JP4953046B2 - ランダムペプチドライブラリーもしくは抗体超可変領域を模倣したペプチドライブラリーと、rna結合タンパク質を用いる試験管内ペプチド選択法を組み合わせた、新規の機能性ペプチド創製システム - Google Patents
ランダムペプチドライブラリーもしくは抗体超可変領域を模倣したペプチドライブラリーと、rna結合タンパク質を用いる試験管内ペプチド選択法を組み合わせた、新規の機能性ペプチド創製システム Download PDFInfo
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Description
(1)マグネシウムイオン存在下で 4℃を常に維持すること。
(2)mRNA の 5’ 末端側と 3’ 末端側の双方にステム&ループ構造を導入して無細胞タンパク質合成系由来のエキソヌクレアーゼによる分解に対処すること。
(3)使用する無細胞タンパク質合成系は大腸菌抽出物(S30)が適しているのでそれを使うこと。
という3点である。発表当初、このシステムは1回の選択における mRNA の回収量が低く、最初の報告では 0.015 % であり(非特許文献4)、まだまだ改善の余地があると思われた。主な原因については複数あって明確ではないが、恐らくはリボソームディスプレイ法の開発者たちが主張するほど mRNA-リボソーム-翻訳産物の複合体が安定ではないのではないかと推測されている。
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〔1〕下記(i)から(iv)のDNAを含み、かつ、下記(i)から(iv)のDNAが、融合された転写産物を発現するように結合され、下記(ii)から(iv)のDNAが、融合された翻訳産物を発現するように結合されているDNA構築物であって、終止コドンを有さないDNA構築物。
(i)RNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNA
(ii)任意のペプチドをコードするDNAであって、NNK配列もしくはNNS配列、またはNNY配列を有するDNA
(iii)該RNA結合タンパク質をコードするDNA
(iv)リンカータンパク質をコードするDNA
〔2〕(iii)のDNAが複数個並置されている、〔1〕に記載のDNA構築物。
〔3〕RNA結合タンパク質が、MS2コートタンパク質であり、該RNA結合タンパク質が結合するRNAが、MS2コートタンパク質が結合するRNAである、〔1〕に記載のDNA構築物。
〔4〕リンカータンパク質が、g3タンパク質(g3p)またはDHFRタンパク質のアミノ酸配列を有するリンカータンパク質である、〔1〕に記載のDNA構築物。
〔5〕(ii)のDNAが、配列番号:2から4のいずれかに記載の塩基配列を有するDNAである、〔1〕に記載のDNA構築物。
〔6〕下記(i)から(iv)のDNAが、融合された転写産物を発現するように結合され、下記(ii)から(iv)のDNAが、融合された翻訳産物を発現するように結合されているDNA構築物であって、終止コドンを有さないDNA構築物。
(i)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA
(ii)配列番号:2から4のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA
(iii)配列番号:5に記載の塩基配列からなるDNAがリンカーを介して2個並置されているDNA
(iv)配列番号:7に記載の塩基配列からなるDNA
〔7〕下記(i)から(iv)のDNAが、融合された転写産物を発現するように結合され、下記(ii)から(iv)のDNAが、融合された翻訳産物を発現するように結合されているDNA構築物であって、終止コドンを有さないDNA構築物。
(i)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA
(ii)配列番号:2から4のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA
(iii)配列番号:6に記載の塩基配列からなるDNA
(iv)配列番号:7に記載の塩基配列からなるDNA
〔8〕配列番号:8から10のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA構築物。
〔9〕下記(i)から(iii)のDNAを含むDNA構築物であって、下記(i)から(iii)のDNAが、クローニング部位に挿入される任意のペプチドをコードするDNA、RNA結合タンパク質をコードするDNA、およびリンカータンパク質をコードするDNAの融合された転写産物および翻訳産物が発現するように結合されているDNA構築物。
(i)制限酵素SfiIで認識されるクローニング部位を有するDNA
(ii)RNA結合タンパク質をコードするDNA
(iii)リンカータンパク質をコードするDNA
〔10〕さらに、RNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNAが含まれている、〔9〕に記載のDNA構築物。
〔11〕(ii)のDNAが複数個並置されている、〔9〕または〔10〕に記載のDNA構築物。
〔12〕RNA結合タンパク質が、MS2コートタンパク質である、〔9〕または〔10〕に記載のDNA構築物。
〔13〕配列番号:11に記載の塩基配列からなるDNA構築物。
〔14〕〔1〕から〔8〕のいずれかに記載のDNA構築物の転写産物。
〔15〕下記(i)から(iv)のRNAを含み、かつ、下記(ii)から(iv)のRNAが、融合された翻訳産物を発現するように結合されており、該融合された翻訳産物が、下記(i)のRNAに結合するように構築されているRNA構築物であって、終止コドンを有さないRNA構築物。
(i)RNA結合タンパク質が結合するRNA
(ii)任意のペプチドをコードし、NNK配列もしくはNNS配列、またはNNY配列を有するRNA
(iii)該RNA結合タンパク質をコードするRNA
(iv)リンカータンパク質をコードするRNA
〔16〕(iii)のRNAが複数個並置されている、〔15〕に記載のRNA構築物。
〔17〕RNA結合タンパク質が、MS2コートタンパク質であり、該RNA結合タンパク質が結合するRNAが、MS2コートタンパク質が結合するRNAである、〔15〕に記載のRNA構築物。
〔18〕〔1〕に記載のDNA構築物を転写させる工程、および転写産物を翻訳させる工程を含む、転写産物と翻訳産物を含む複合体を製造する方法。
〔19〕無細胞系で行われる、〔18〕に記載の方法。
〔20〕〔14〕に記載の転写産物または〔15〕に記載のRNA構築物を翻訳させる工程を含む、該RNA構築物と翻訳産物を含む複合体を製造する方法。
〔21〕無細胞系で行われる、〔20〕に記載の方法。
〔22〕〔18〕から〔21〕のいずれかに記載の方法により製造される複合体。
〔23〕特定の標的物質に結合するペプチドまたは該ペプチドをコードするmRNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(g)の工程を含む方法。
(a)任意のペプチドをコードするDNAであって、NNK配列もしくはNNS配列、またはNNY配列を有するDNAを製造する工程
(b)〔9〕または〔10〕に記載のDNA構築物のクローニング部位に、工程(a)で製造されたDNAを挿入する工程
(c)工程(b)で得られるDNA構築物を利用して、〔1〕に記載のDNA構築物を製造する工程
(d)〔1〕に記載のDNA構築物を転写させる工程
(e)得られた転写産物を翻訳させることにより、転写産物と翻訳産物を含む複合体を形成させる工程
(f)該標的物質と、工程(e)で形成された複合体とを接触させる工程
(g)該標的物質に結合した複合体を回収する工程
〔24〕無細胞系で行われる、〔23〕に記載の方法。
〔25〕特定の標的物質に結合するペプチドをコードするDNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(j)の工程を含む方法。
(a)任意のペプチドをコードするDNAであって、NNK配列もしくはNNS配列、またはNNY配列を有するDNAを製造する工程
(b)〔9〕または〔10〕に記載のDNA構築物のクローニング部位に、工程(a)で製造されたDNAを挿入する工程
(c)工程(b)で得られるDNA構築物を利用して、〔1〕に記載のDNA構築物を製造する工程
(d)〔1〕に記載のDNA構築物を転写させる工程
(e)得られた転写産物を翻訳させることにより、転写産物と翻訳産物を含む複合体を形成させる工程
(f)該標的物質と、工程(e)で形成された複合体とを接触させる工程
(g)該標的物質に結合した複合体を回収する工程
(h)回収された複合体より、RNA構築物を回収する工程
(i)該RNA構築物に含まれる、標的物質に結合するペプチドをコードするRNAの逆転写を行う工程
(j)増幅されたDNAを回収する工程
〔26〕特定の標的物質に結合するペプチドをコードするDNAをスクリーニングする方法であって、下記(a)から(d)の工程を含む方法。
(a)〔9〕または〔10〕に記載のDNA構築物のクローニング部位に、〔25〕に記載の工程(j)で回収されたDNAを挿入する工程
(b)工程(a)で得られるDNA構築物を利用して、〔1〕(ii)のDNAが〔25〕に記載の工程(j)で回収されたDNAであるDNA構築物を製造する工程
(c)工程(b)で製造されるDNA構築物を転写させる工程
(d)〔25〕に記載の工程(e)から(j)を実施する工程
〔27〕無細胞系で行われる、〔25〕または〔26〕に記載の方法。
〔28〕〔23〕から〔27〕のいずれかに記載のスクリーニング方法に用いるためのキット。
〔29〕〔25〕から〔27〕のいずれかに記載のスクリーニング方法によって得られたDNAによりコードされるペプチドと標的物質との結合実験に用いるためのキット。
〔30〕下記(a)または(b)に記載のDNA。
(a)配列番号:24から47の偶数番号に記載のアミノ酸配列を有するペプチドをコードするDNA。
(b)配列番号:24から47の奇数番号に記載の塩基配列を有するDNA。
〔31〕〔30〕に記載のDNAからコードされるペプチド。
〔32〕〔30〕に記載のDNAを有するベクター。
〔33〕〔30〕に記載のDNAまたは〔32〕に記載のベクターを有する細胞。
〔34〕配列番号:28、30、38、40、42、44、または46に記載のアミノ酸配列を有するペプチドを含有する抗癌剤。
〔35〕配列番号:32、34、または36に記載のアミノ酸配列を有するペプチドを含有する糖尿病治療剤。
(i)RNA結合タンパク質が結合するRNAをコードするDNA
(ii)任意のペプチドをコードするDNAであって、NNK配列もしくはNNS配列、またはNNY配列を有するDNA
(iii)該RNA結合タンパク質をコードするDNA
(iv)リンカータンパク質をコードするDNA
(i)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA
(ii)配列番号:2から4のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA
(iii)配列番号:5に記載の塩基配列からなるDNAがリンカーを介して2個並置されているDNA
(iv)配列番号:7に記載の塩基配列からなるDNA
(i)配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNA
(ii)配列番号:2から4のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA
(iii)配列番号:6に記載の塩基配列からなるDNA
(iv)配列番号:7に記載の塩基配列からなるDNA
(i)RNA結合タンパク質が結合するRNA
(ii)任意のペプチドをコードし、NNK配列もしくはNNS配列、またはNNY配列を有するRNA
(iii)該RNA結合タンパク質をコードするRNA
(iv)リンカータンパク質をコードするRNA
(i)制限酵素SfiIで認識されるクローニング部位を有するDNA
(ii)RNA結合タンパク質をコードするDNA
(iii)リンカータンパク質をコードするDNA
(a)任意のペプチドをコードするDNAであって、NNK配列もしくはNNS配列、またはNNY配列を有するDNAを製造する工程
(b)上記DNA構築物Bのクローニング部位に、工程(a)で製造されたDNAを挿入する工程
(c)工程(b)で得られるDNA構築物を利用して、上記DNA構築物Aを製造する工程
(d)上記DNA構築物Aを転写させる工程
(e)得られた転写産物を翻訳させることにより、転写産物と翻訳産物を含む複合体を形成させる工程
(f)該標的物質と、工程(e)で形成された複合体とを接触させる工程
(g)該標的物質に結合した複合体を回収する工程
(a)任意のペプチドをコードするDNAであって、NNK配列もしくはNNS配列、またはNNY配列を有するDNAを製造する工程
(b)上記DNA構築物Bのクローニング部位に、工程(a)で製造されたDNAを挿入する工程
(c)工程(b)で得られるDNA構築物を利用して、上記DNA構築物Aを製造する工程
(d)上記DNA構築物Aを転写させる工程
(e)得られた転写産物を翻訳させることにより、転写産物と翻訳産物を含む複合体を形成させる工程
(f)該標的物質と、工程(e)で形成された複合体とを接触させる工程
(g)該標的物質に結合した複合体を回収する工程
(h)回収された複合体より、RNA構築物を回収する工程
(i)該RNA構築物に含まれる、標的物質に結合するペプチドをコードするRNAの逆転を行う工程
(j)増幅されたDNAを回収する工程
本発明において、3回目以降のn回目(nは3以上の整数)ラウンドでは、n-1回目のラウンドで回収されたDNAを用いて、2回目のラウンドの工程1から4と同様の作業を実施する。
各ラウンドにおいて、電気泳動によるPCRの増幅の様子を基に、ラウンドを何回目で終了するかを判断することができる。この基準でラウンドを終了すると判断した場合、その最終ラウンド時に回収されたDNA(上記工程(j)における一回目のPCR産物)を、例えば市販のTAクローニングキットでサブクローニングし、それぞれについて配列を決定することができる。
(a)配列番号:24から47の偶数番号に記載のアミノ酸配列を有するペプチドをコードするDNA。
(b)配列番号:24から47の奇数番号に記載の塩基配列を有するDNA。
(材料および方法)
本発明では複数のタンパク質をコードする遺伝子(cDNA)を用いた。それらの由来およびそれらを用いて構築した各種プラスミドについて説明する。まず要となる変異型 MS2 コートタンパク質の遺伝子については、米国の Invitrogen 社が発売している酵母 Saccharomyces cerevisiae L40 ura MS2 の熱溶解物から PCR で増幅してクローニングした。
〔実施例1〕NNKコドン由来ペプチドライブラリーとNeutrAvidin 固定化アガロース担体を用いた新規ペプチドの選択
(1)変異型 MS2 コートタンパク質(mMSp)タンデムダイマーと Cv モチーフとの両者を持つシステムにおいて、高い NeutrAvidin 結合能を示す2種類のペプチド配列が得られ、それらを K-NAV-08(配列番号:24、25)、K-NAV-17(配列番号:26、27) と命名した。
(2)試験管内で大腸菌抽出物由来の無細胞タンパク質合成系を用いてこれらのペプチドを変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質として調整し、その NeutrAvidin アガロースとの相互作用を比較すると、K-NAV-08 を持つ変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質は、K-NAV-17 を持つ変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質よりも高い結合能を持っていることがわかった。変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーだけではこの結合は見られなかった(図7)。
(3)上記(2)で述べた相互作用は、グルタチオンセファロースについては見られなかった。このことから、(1)の結合は担体である高分子多糖(アガロースもしくはセファロース)に対するものではなく、NeutrAvidin に対するものであることがわかった(図7)。
(4)K-NAV-17 について合成ペプチドを作製し解離定数(Kd)を測定したところ 16 nM となり、その配列はこれまでに報告されたものに比べ、ほぼ同程度の解離定数を示した(表1)。
(6)変異型 MS2 コートタンパク質(mMSp)タンデムダイマーは持つが Cv モチーフを持たないシステムを用いた同様の試験管内選択では、特定のペプチド配列をコードする DNA を得ることはできたものの、その選択されたペプチドの結合は極めて弱く、また NeutrAvidin が固定化されていないアガロース担体とも同様の弱い相互作用することから、試験管内のペプチド選択に失敗したと考えられる。
(7)今回調整したランダムな配列からなる DNA ライブラリー(NNK ライブラリー)の多様性は、本質的に含まずに正規の読み枠を持つものだけを見積もると、1.4 × 108 であり、1種類あたりのコピー数は8.6 × 104 であった。報告されて入れているストレプトアビジンに対する試験管内ペプチド選択実験におけるNNK ライブラリーは、ファージディスプレイ法で多様性が2.0 × 107 で1種類あたりのコピー数は5.0 × 104(Devlin, J.J. et al, (1990) Science, 249, 404-406.)、リボソームディスプレイ法で多様性が2.0 × 1013 で1種類あたりのコピー数は2.0 × 102(Lamla, T et al., (2003) J. Mol. Biol., 329, 381-388.)、mRNA ディスプレイ法で多様性が6.7 × 1012 で1種類あたりのコピー数は 1 であった(Wilson, D.S. et al, Proc. Natl. Acad. Sci. U S A, 98, 3750-3755.)。
上記の結果から、本発明者らが新規に開発した ARMS システムは、変異型 MS2 コートタンパク質(mMSp)タンデムダイマーと Cv モチーフとの相互作用に依存して機能していることが証明された。
引き続いて、EphA2 受容体タンパク質(リガンド結合部位)を標的とした、人工ペプチドリガンドを創製するための実験を行った。その結果について以下に述べる。
(1)今回の試験管内における選択と増幅の繰り返しは5回で、その後に回収された DNA をクローニングしてシークエンス解析した。20クローンを選択して調べた結果、そのうち19クローンは全く同じ配列であり、残り1個だけがそれとは異なる配列でお互いに相同性は低かった。
(2)ここで前者のマジョリティの配列を K-EA2-09 (図10および配列番号:28、29)、後者のマイノリティの配列を K-EA2-19 (図10および配列番号:30、31)と命名した。この後者のマイノリティの配列(K-EA2-19)は、すでにファージディスプレイ法を用いて単離されている EphA2 受容体タンパク質に対する2種類の人工ペプチドリガンドと高い相同性を持つモチーフを含んでいることがわかった(Koolpe, M. et al, J. Biol. Chem., 277, 46974-46979.)。それに対して前者のマジョリティの配列(K-EA2-09)は他の3者と共有するモチーフを持たない、全く未知の人工ペプチドリガンドであった。
(3)試験管内で大腸菌抽出物由来の無細胞タンパク質合成系を用いてこれらのペプチドを変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質として調整し、その EphA2 受容体タンパク質との相互作用を比較すると、K-EA2-09 を持つ変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質は、K-EA2-19 を持つ変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質よりも2倍程度高い結合能を持っていることがわかった。変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーだけではこの結合は見られなかった(図9)。
(4)今回使用した EphA2 受容体タンパク質は EphA2 のリガンド結合部位の他に、ヒト由来の抗体の Fc フラグメントを持ったキメラタンパク質である。(3)で述べた融合タンパク質は、同様のキメラ型の構造を持つ ErbB2 受容体タンパク質には結合しなかったことから、K-EA2-09 および K-EA2-19 は EphA2 のリガンド結合部位を認識していることがわかった(図9)。
(5)実際に K-EA2-09 の配列を含むペプチドを化学合成し、水晶振動子によるマイクロバランスを用いた分子間相互作用定量装置でその合成した K-EA2-09 と EphA2 受容体タンパク質との相互作用における解離定数(Kd)を見積もったところ、その値はファージディスプレイ法で同定されたペプチドリガンドの2つのうち、より EphA2 に親和性の高かったものの解離定数(186 nM)よりも若干ではあるが優れていることがわかった(131 nM)(図8)。
比較的大きな受容体タンパク質(実際にはそのリガンド結合部位と 抗体の Fc フラグメントとのキメラタンパク質で分子量は 105 kDa)について ARMS システムが期待通り機能することがわかったので、次にもっと小さいペプチドホルモンであるレジスチン(9.9 kDa)について同様の実験を行った。その結果を以下に述べる。
(1)今回の試験管内における選択と増幅の繰り返しは7回で、その後に回収された DNA をクローニングしてシークエンス解析した。22クローンを選択して調べた結果、5種類の候補配列を得、それぞれについて K-RES-10(22クローンのうち6個がこの配列)、K-RES-11(22クローンのうち4個がこの配列)、K-RES-14(22クローンのうち3個がこの配列)、K-RES-24(22クローンのうち3個がこの配列)、K-RES-32(22クローンのうち2個がこの配列)と命名した。
(2) 試験管内で大腸菌抽出物由来の無細胞タンパク質合成系を用いてこれらのペプチドを変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質として調整し、そのレジスチンとの相互作用を比較すると、K-RES-10 (配列番号:32、33)の配列を持つ変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質が、他に比べて非常に高いレジスチン親和性を持っていることがわかった。
(3)K-RES-11(配列番号:34、35)、K-RES-14(配列番号:36、37)それぞれについては、弱い結合が見られたが、K-RES-24、K-RES-32 については、各タンパク質非添加条件でのレジスチンおよび BSA の ELISA のバックグラウンドから考慮して、有意な結合能は検出できなかった。変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーだけではこの結合は見られなかった。このことから、K-RES-10、K-RES-11、K-RES-14 をレジスチン結合ペプチドとした(図10)。
次に ARMS システムと組み合わせた PEACE ライブラリー(NNY コドン利用)を用意して、EphB2 および EphB4 受容体タンパク質(リガンド結合部位)を標的とした、人工ペプチドリガンドを創製するための実験を行った。その結果について以下に述べる。
(1)用意した PEACE ライブラリーは同時に用意したNNK ライブラリーの多様性(2.8 x 108)に比べて有意に高い値となった(1.0 x 109)。その他の PEACE ライブラリーとNNK ライブラリーの比較については表2にまとめた。
(3)EphB2 について得られたペプチドである Y-EB2-01(配列番号:38、39)、Y-EB2-02(配列番号:40、41)について、試験管内で大腸菌抽出物由来の無細胞タンパク質合成系を用いてこれらのペプチドを変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質として調整して、その EphB2 受容体タンパク質との相互作用を比較した。Y-EB2-01 を持つ変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質と、後者の Y-EB2-02 を持つ変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質は、EphB2 に対して同程度の親和性を示した。変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーだけではこの結合は見られなかった。
(4)今回使用した EphB2 受容体タンパク質は EphB2 のリガンド結合部位の他に、ヒト由来の抗体の Fc フラグメントを持ったキメラタンパク質である。(2)で述べた融合タンパク質は、同様のキメラ型の構造を持つ EphA2 受容体タンパク質には結合しなかったことから、Y-EB2-01 および Y-EB2-02 は EphB2 のリガンド結合部位を認識していることがわかった。またこの結果は、Y-EB2-01F’ および Y-EB2-02F’ が、同様のファミリータンパク質である EphB2 と EphA2 を識別できる分子認識能を有していることを示していた。
(5)EphB4 についての試験管内における選択と増幅の繰り返しは5回で、その後に回収された DNA をクローニングしてシークエンス解析した。22クローンを選択して調べた結果、3種類の候補配列を得、それぞれについて Y-EB4-01 (22クローンのうち6個がこの配列),Y-EB4-02(22クローンのうち2個がこの配列),Y-EB4-03(22クローンのうち1個がこの配列)と命名した(図12)。これらのペプチドは極めてよく似たアミノ酸配列を有していた。
(6)EphB4 について得られたペプチドである Y-EB4-01 (配列番号:42、43)、Y-EB4-02(配列番号:44、45)、Y-EB4-03 (配列番号:46、47)は互いに極めてよく似ていた。試験管内で大腸菌抽出物由来の無細胞タンパク質合成系を用いてこれらのペプチドを変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質として調整して、その EphB4 受容体タンパク質との相互作用を比較した。結果として、これらのペプチド配列を持つ変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーとの融合タンパク質は、EphB4 に対して同程度の親和性を示した。変異型 MS2 コートタンパク質タンデムダイマーだけではこの結合は見られなかった。
(7)今回使用した EphB2 受容体タンパク質は EphB2 のリガンド結合部位の他に、ヒト由来の抗体の Fc フラグメントを持ったキメラタンパク質である。(4)で述べた融合タンパク質は、同様のキメラ型の構造を持つ EphA2 および ErbB2 受容体タンパク質には結合しなかったことから、Y-EB4-01、Y-EB4-02、Y-EB4-03 は EphB4 のリガンド結合部位を認識していることがわかった。またこの結果は、Y-EB4-01,Y-EB4-02,Y-EB4-03 が、同様のファミリータンパク質である EphB4 と EphA2 を識別できる分子認識能を有していることを示していた。
(8)実際に Y-EB4-03 を化学合成し、水晶振動子によるマイクロバランスを用いた分子間相互作用定量装置で、その合成した Y-EB4-03と EphB4 受容体タンパク質との相互作用における解離定数(Kd)を見積もったところ、その値は 27 nM であった。
)、悪性腫瘍細胞の検出に応用することができるだろう。同様のことは抗 EphA2 抗体を用いればできることではあるが、K-EA2-09 があくまで短鎖のペプチドであり、その化学合成はもちろん遺伝子操作も容易であることを考慮すれば、抗体では行いにくい化学修飾や遺伝子工学的修飾が容易に行うことができるので、より高機能な、ドラッグデリバリーシステム(DDS)への応用が可能であり、産業的に有用であると考えられる。
(1)114 アミノ酸で発現後、94 アミノ酸ポリペプチドとして分泌され、26番目の Cys で二量体化する。
(2)正常マウスにおいて、高栄養摂取によって過剰発現。飢餓状態で抑制される。
(3)抗レジスチン抗体の静脈注射( 10 μg / μL, 約 50 μM)によって、糖尿病モデルマウスのインスリン感受性が向上し、血中のグルコース濃度が低下する。
Claims (17)
- 下記(i)から(iv)のDNAをこの順序で含み、かつ、下記(i)から(iv)のDNAが、融合された転写産物を発現するように結合され、下記(ii)から(iv)のDNAが、融合された翻訳産物を発現するように結合されているDNA構築物であって、終止コドンを有さないDNA構築物:
(i)MS2コートタンパク質もしくは変異型MS2コートタンパク質(mMSp)が結合するRNAをコードするDNA、
(ii)下記の一般式に示される任意のペプチドをコードするDNAを含み、かつ両端に制限酵素サイトを含むDNA;
[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]b−[システインをコードするDNA]−[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]a−[システインをコードするDNA]−[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]c(式中、aは1〜20、bは1〜4、cは1〜4を表す。)、
(iii)複数個並置されたMS2コートタンパク質もしくは変異型MS2コートタンパク質(mMSp)をコードするDNA、
(iv)リンカータンパク質をコードするDNA。 - リンカータンパク質が、g3タンパク質またはDHFRタンパク質のアミノ酸配列を有するリンカータンパク質である、請求項1に記載のDNA構築物。
- (ii)のDNAにおいて、一般式中、a=10、b=c=2であり、かつ両端の制限酵素サイトが制限酵素SfiIの制限サイトである、請求項1又は2に記載のDNA構築物。
- (ii)のDNAが、配列番号:2から4のいずれかに記載の塩基配列からなるDNAである、請求項3に記載のDNA構築物。
- (i)のDNAが、配列番号:1に記載の塩基配列からなるDNAであり、
(iii)のDNAが、配列番号:5に記載の塩基配列からなるDNAがリンカーを介して2個並置されているDNAである、請求項4に記載のDNA構築物。 - 配列番号:8から10のいずれかに記載の塩基配列からなるDNA構築物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のDNA構築物の転写産物。
- 請求項1〜6に記載のDNA構築物を転写させる工程、および転写産物を翻訳させる工程を含む、無細胞系で転写産物と翻訳産物を含む複合体を製造する方法。
- 請求項8に記載の方法により製造される複合体。
- 特定の標的物質に結合するペプチドまたは該ペプチドをコードするmRNAを無細胞系でスクリーニングする方法であって、下記(a)から(g)の工程を含む方法:
(a)下記の一般式に示される任意のペプチドをコードするDNAを含み、かつ両端に制限酵素サイトを含むDNAを製造する工程;
[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]b−[システインをコードするDNA]−[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]a−[システインをコードするDNA]−[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]c(式中、aは1〜20、bは1〜4、cは1〜4を表す。)、
(b)MS2コートタンパク質もしくは変異型MS2コートタンパク質(mMSp)が結合するRNAをコードするDNA、リンカーDNAで繋がれた前記(a)と同一の制限酵素サイトからなるクローニング部位、複数個並置されたMS2コートタンパク質もしくは変異型MS2コートタンパク質(mMSp)をコードするDNA、及びリンカータンパク質をコードするDNAのそれぞれがこの順序で含まれているDNA構築物において、当該クローニング部位に、工程(a)で製造されたDNAを挿入する工程、
(c)工程(b)で得られるDNA構築物を利用して、請求項1〜6のいずれかに記載のDNA構築物を製造する工程、
(d)請求項1〜6のいずれかに記載のDNA構築物を転写させる工程、
(e)得られた転写産物を翻訳させることにより、転写産物と翻訳産物を含む複合体を形成させる工程、
(f)該標的物質と、工程(e)で形成された複合体とを接触させる工程、
(g)該標的物質に結合した複合体を回収する工程。 - 工程(a)のDNAにおいて、一般式中、a=10、b=c=2であり、かつ両端の制限酵素サイトが制限酵素SfiIの制限サイトである、請求項10に記載のスクリーニング方法。
- 特定の標的物質に結合するペプチドをコードするDNAを無細胞系でスクリーニングする方法であって、下記(a)から(j)の工程を含む方法:
(a)下記の一般式に示される任意のペプチドをコードするDNAを含み、かつ両端に制限酵素サイトを含むDNAを製造する工程;
[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]b−[システインをコードするDNA]−[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]a−[システインをコードするDNA]−[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]c(式中、aは1〜20、bは1〜4、cは1〜4を表す。)、
(b)MS2コートタンパク質もしくは変異型MS2コートタンパク質(mMSp)が結合するRNAをコードするDNA、リンカーDNAで繋がれた前記(a)と同一の制限酵素サイトからなるクローニング部位、複数個並置されたMS2コートタンパク質もしくは変異型MS2コートタンパク質(mMSp)をコードするDNA、及びリンカータンパク質をコードするDNAのそれぞれがこの順序で含まれているDNA構築物において、当該クローニング部位に、工程(a)で製造されたDNAを挿入する工程、
(c)工程(b)で得られるDNA構築物を利用して、請求項1〜6のいずれかに記載のDNA構築物を製造する工程、
(d)請求項1〜6のいずれかに記載のDNA構築物を転写させる工程、
(e)得られた転写産物を翻訳させることにより、転写産物と翻訳産物を含む複合体を形成させる工程、
(f)該標的物質と、工程(e)で形成された複合体とを接触させる工程、
(g)該標的物質に結合した複合体を回収する工程、
(h)回収された複合体より、RNA構築物を回収する工程、
(i)該RNA構築物に含まれる、標的物質に結合するペプチドをコードするRNAの逆転写を行う工程、
(j)増幅されたDNAを回収する工程。 - 工程(a)のDNAにおいて、一般式中、a=10、b=c=2であり、かつ両端の制限酵素サイトが制限酵素SfiIの制限サイトである、請求項12に記載のスクリーニング方法。
- 請求項12又は13に記載のスクリーニング方法によって得られた特定の標的物質に結合するペプチドをコードするDNAについて、当該DNAがコードするペプチドと標的物質との結合性を評価する方法であって、
請求項12又は13における(b)の工程において、(b)に記載されたDNA構築物のクローニング部位に、工程(a)で製造されたDNAに代えて、工程(j)で回収されたDNAを挿入し、得られたDNA構築物を転写させる工程を設け、次いで請求項12に記載の工程(e)から(j)を実施する工程を含む方法。 - 特定の標的物質に結合するペプチドまたは該ペプチドをコードするmRNAもしくはDNAを無細胞系でスクリーニングするためのキットであって、下記(a)及び(b)のDNA構築物を含むキット:
(a)下記の一般式に示される任意のペプチドをコードするDNAを含み、かつ両端に制限酵素サイトを含むDNA;
[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]b−[システインをコードするDNA]−[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]a−[システインをコードするDNA]−[NNKもしくはNNS配列、またはNNY配列]c(式中、aは1〜20、bは1〜4、cは1〜4を表す。)、
(b)MS2コートタンパク質もしくは変異型MS2コートタンパク質(mMSp)が結合するRNAをコードするDNA、リンカーDNAで繋がれた前記(a)と同一の制限酵素サイトからなるクローニング部位、複数個並置されたMS2コートタンパク質もしくは変異型MS2コートタンパク質(mMSp)をコードするDNA、及びリンカータンパク質をコードするDNAのそれぞれがこの順序で含まれているDNA構築物。 - (a)のDNAにおいて、一般式中、a=10、b=c=2であり、かつ両端の制限酵素サイトが制限酵素SfiIの制限サイトである、請求項15に記載のキット。
- 請求項12又は13に記載のスクリーニング方法によって得られた特定の標的物質に結合するペプチドをコードするDNAについて、当該DNAがコードするペプチドと標的物質との結合性を評価するためのキットであって、MS2コートタンパク質もしくは変異型MS2コートタンパク質(mMSp)が結合するRNAをコードするDNA、リンカーDNAで繋がれた、前記スクリーニング工程で用いられたと同一の制限酵素サイトからなるクローニング部位、複数個並置されたMS2コートタンパク質もしくは変異型MS2コートタンパク質(mMSp)をコードするDNA、及びリンカータンパク質をコードするDNAのそれぞれがこの順序で含まれているDNA構築物を含むキット。
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