JP7153996B2 - 架橋ペプチドの作製方法、及びその方法を用いて作製した架橋ペプチド - Google Patents
架橋ペプチドの作製方法、及びその方法を用いて作製した架橋ペプチド Download PDFInfo
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Description
このため、より簡便に分子内架橋を形成させ、より確実に標的分子と結合するような架橋ペプチドの作製について、強い社会的要請があった。
すなわち、本発明の第1の態様は、(a)28~32アミノ酸のシステインに富んだペプチドコード配列を含むDNAから転写によってmRNAを調製し、mRNAライブラリを作製するmRNAライブラリ作製工程と、ここで、前記ペプチドコード配列は、N末端から3番目及び28番目に前システインをコードする2つのコード配列を含み、前記2つのシステインの間にさらに2つのシステインをコードする配列とを含み;(b)前記(a)工程で得られたmRNAを、ペプチド結合部位、固相結合部位及びmRNA結合部位並びに逆転写用のプライマーとして機能するプライマー領域を有するリンカーのmRNA結合部位にライゲーションさせるリンカー-mRNA連結体調製工程と;(c)前記(b)工程で得られたリンカー-mRNA連結体を無細胞翻訳系で翻訳して、前記mRNAに対応するペプチドを前記リンカー-mRNA連結体にディスプレイしたペプチドディスプレイ分子を作製するペプチドディスプレイ作製工程と;(d)前記(c)工程で得られた前記ペプチドディスプレイ分子を、固相に固定化する固定化工程と;(e)前記(d)工程で固相に固定化された前記ペプチドディスプレイ中のmRNAを逆転写し、前記ペプチドディスプレイにcDNAを連結させた、cDNAディスプレイ分子を調製する逆転写工程と;
図5に示したように、本発明は、上述したように、(a)mRNAライブラリ作製工程と;(b)リンカー-mRNA連結体調製工程と;(c)ペプチドディスプレイ作製工程と;(d)固定化工程と;(e)逆転写工程と;(f)酸化フォールディング工程と;(g)精製工程と;(h)選択工程と;(i)結合工程と;(j)増幅工程と;を備える2つの架橋を有する架橋ペプチドの作製方法である。
以上のようにして、2つの架橋を有する所望の配列の架橋ペプチドを作製することができる。
本明細書において、「架橋ペプチド」とは、特定の物質と特異的に結合する核酸分子(ペプチドアプタマー)で、タンパク質や細胞の機能を変化させるものをいう。ペプチドアプタマーが結合する「特定の物質」には、増殖因子、酵素、受容体、ウイルスタンパク質その他の種々のタンパク質、各種金属イオンなどが含まれる。ペプチドアプタマーは、核酸合成装置などで合成することもでき、cDNAディスプレイ法等で作製することもできる。
所望の配列のDNAディスプレイ中のペプチド配列は、システインリッチペプチドとすることができる。本明細書中でシステインリッチペプチドとは、ペプチド配列中にシステインが少なくとも2つ以上存在しているペプチドのことを指す。ここで、システインリッチペプチドをコードする所望のDNA配列の5’側から2番目~4番目及び27番目~29番目にシステインに対応するコード配列を含むことが、安定したジスルフィド架橋ペプチドを形成する上で好ましく、5’側から3番目及び28番目に、システインに対応するコード配列を含むことが、さらに好ましい。また、前記2つのシステインの間にさらに2つのシステインに対応するコード配列を含むことが、2つの分子内ジスルフィド架橋を形成する上で好ましい。
(a)92~96℃(1~3分)
(b)92~96℃(5~45秒)
(c)50~70℃(2~30秒)
(d)65~80℃(20~40秒)
(e)65~80℃(1~3分)
とし、ステップ(b)~(d)を6~10サイクル行うことが、十分な増幅産物を入手できる点から好ましい。
(a)92~96℃(1~3分)
(b)92~96℃(5~45秒)
(c)50~70℃(2~30秒)
(d)65~80℃(20~40秒)
(e)65~80℃(1~3分)
とし、ステップ(b)~(d)を6~10サイクル行うことが、十分な増幅産物を入手できる点から好ましい。
二本鎖化したフルコンストラクトDNAは、共沈剤 (Quick-Precip Plus Solution, EdgeBio社製) を使用してエタノール沈殿した後にFavogenのFavorPrep PCR Clean-Up Mini Kitを使用してカラム精製する。
以上のようにして得たDNAを鋳型DNAとして用いて転写を行う。こうした転写は、例えば、市販されている転写キットを使用することができ、プロメガのキット(RiboMAX Large Scale RNA Production Systems - T7)を用いることが、迅速簡便に転写を行えるために好ましい。こうしたキットを使用する場合、キットに付属しているプロトコルに従い、例えば、0.5~5μgのdsDNAを使用して、10~30μLのスケールで転写を行えばよい。通常使用される恒温槽を用いて、所望の条件でインキュベートし、所望量のDNaseを加えて再びインキュベートしてmRNAを合成することができる。
本明細書において、「リンカー」とは、cDNAディスプレイ法において用いられる、リンカー-mRNA連結体、ペプチドディスプレイ、リンカー-mRNA-cDNA連結体(以下、この連結体を「IVV」ということがある)、及びリンカー-mRNA-cDNA連結体からなる群から選ばれるいずれかの連結体を生成する際に使用するリンカーのことをいう。
また、本明細書中において、「所定のmRNA」には、遺伝子をコードする配列、又は連結体形成、翻訳反応促進に必要な配列、あるいはその他の配列等を有するmRNAが含まれるものとする。
まず、所望の配列となるように、常法に従ってDNAを合成し、主鎖として使用するための一本鎖のオリゴマーを作製する。このように合成した一本鎖オリゴマーは、上述したように、固相結合部位と、2以上の切断部位と、mRNA結合部位と、側鎖結合部位と、プライマー領域とを備えている。2以上の切断部位の大きさ及び主鎖中の位置によって、主鎖となる一本鎖オリゴマーの長さを適宜決定する。次いで、所望の長さの側鎖を合成し、主鎖上の側鎖結合部位に結合させる。側鎖の遊離末端に、例えば、ピューロマイシンを導入し、上述したFluorescein-dTを蛍光標識部位に導入して、本発明のmRNA/cDNA-タンパク質連結体作製用リンカーを得ることができる。
ライゲーション反応は、反応効率の点から20~40μLで行い、RNA:リンカーを、モル比で3:1~1:6の範囲で行う。反応効率を上げ、残余を最少化するためには、1:(1~2)(10pmolのmRNAに対し、10~20pmolのリンカー)とするとよい。
無細胞翻訳として哺乳類の網状赤血球細胞のライセートを利用することが好ましく、ウサギの血液から得られた網状赤血球細胞のライセートを利用することがさらに好ましい。また、前記哺乳動物に予めアセチルフェニルヒドラジンを投与して溶血性貧血等を誘導し、数日間経過した後に採血をすると、血中の網状赤血球の割合を高めることができる。例えば、前記ライセートとして、マイクロコッカルヌクレアーゼによって細胞由来のmRNAを分解し、グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)を加えてカルシウムをキレートし、前記ヌクレアーゼを不活化処理したもの(以下、「マイクロコッカルヌクレアーゼ処理済」という。)を使用する。
反応効率の点から、ウサギ網状赤血球ライセートの量を約8.5~約17μL、上記連結体の量を約1.2~約2pmolとし、反応系のサイズを約12.5~約25μLとして、約20~約40℃で約10~約30分間行う。この場合に使用する反応液は、約80mMの酢酸カリウム、約0.5mMの酢酸マグネシウム、約10mMのクレアチンリン酸、それぞれ約0.025mMのメチオニン及びロイシン、約0.05mMのメチオニン及びロイシン以外のアミノ酸を含む。約30℃で約20分間翻訳を行うと、生成効率と作業効率が高い。
翻訳後のリンカー-mRNA連結体が固定される固相としては、例えば、スチレンビーズ、ガラスビーズ、アガロースビーズ、セファロースビーズ、磁性体ビーズ等のビーズ;ガラス基板、シリコン(石英)基板、プラスチック基板、金属基板(例えば、金箔基板)等の基板;ガラス容器、プラスチック容器等の容器;ニトロセルロース、ポリビニリデンフロリド(PVDF)等の材料からなるメンブレンなどが挙げられる。固相がスチレンビーズ、スチレン基板などのプラスチック材料で構成されている場合には、必要に応じて、公知の手法を用いてリンカーの一部を直接それらの固相に共有結合させてもよい(Qiagen社製、LiquiChip Applications Handbook等参照)。連結体にビオチン又はその類縁体が結合されている場合には、固相にアビジンを結合させておけば、上記連結体を容易に固相に結合させることができる
固相に固定化されたペプチドディスプレイの逆転写反応は、前記主鎖の3’末端を反応開始点とし、前記mRNAを鋳型として、所定の条件の下でcDNA鎖を合成する。その結果、リンカー-mRNA-cDNA連結体が得られる。逆転写反応系は任意に選択できるが、上記mRNA-リンカー-mRNA連結体と、dNTP Mixと、DTTと、逆転写酵素と、標準溶液と、RNaseを除去した水(以下、「RNaseフリー水」という。)とを加えて反応系を調製し、この系中、5~20分間、30~50℃の条件で逆転写を行わせることが好ましい。
また、市販のキットを使用して逆転写を行ってもよい。例えば、PrimeScript RT-PCR Kit(タカラバイオ(株)製)やReverTra Ase(東洋紡(株)製)を用いて付属のプロトコルに従って行うことができる。
上記逆転写反応により得られたリンカー-mRNA-cDNA連結体の側鎖に結合している、上記無細胞翻訳によって合成されたペプチド部分を、所望の方法で酸化させて分子内架橋を形成する。例えば、逆転写後のリンカー-mRNA-cDNA連結体が結合している磁性体ビーズを、所望のバッファーで洗浄後、冷却サーモブロックローテーターを使用して4℃で一晩撹拌して、ペプチド内に分子内架橋を形成させることができる。バッファーとしては、例えば30~70mM Tris-HCl pH7.4, 0.75~1.25M NaCl, 0.75~1.25mM EDTA, 0.025~0.1% Tween-20を含む洗浄用バッファーを使用することができる。
上記撹拌終了後に、上記磁性体ビーズ上から、分子内架橋したペプチドが結合した状態でリンカー-mRNA-cDNA連結体を回収する。まず、所望の洗浄バッファーで上記磁性体ビーズを洗浄し、次いで遊離剤を加えてインキュベートし、リンカー中の切断部位から切断されたリンカー-mRNA-cDNA連結体を遊離させる。こうした洗浄バッファーとしては、例えば、1xHis-タグ洗浄バッファー(10~30mM リン酸ナトリウム(pH7.4), 0.25~0.75M NaCl, 10~30mM イミダゾール, 0.025~0.1%Tween-20を含む)を使用することができる。また、遊離剤としては所定の濃度のRNA分解酵素、例えば、500~1,500UのRNase T1を含む1xHis-タグ洗浄バッファーを使用することができる。
標的分子固定化ビーズ充填カラムを用いて、標的分子と特異的に結合する、同一ループ内に架橋を有するシステインリッチペプチドと結合したcDNA(以下、cDNAディスプレイということがある)を分離する。標的分子としては、抗原と抗体、酵素基質と酵素、DNA結合タンパク質等が挙げられる。使用する担体は所望のビーズを使用する。例えばラウンド1ではアガロースビーズを、ラウンド2以降は磁性体ビーズを用いることができる。
アフィニティーセレクションの際に回収した溶液を用いて、標的分子と結合したcDNAディスプレイを、所望のプライマーを用いてPCR法等を用いて増幅させ、所望のシステインリッチペプチドのコード配列を含むDNAライブラリを作製することができる。
例えば、セレクションの際に回収した溶液を、例えば共沈剤(Quick-Precip Plus Solution, EdgeBio社製)を使用してエタノール沈殿させ、それぞれPCR反応液(1×PrimeSTAR buffer (Mg2+)、0.1~0.4mM dNTPs、4~12μM T7omeganew (配列: 5'‐GATCCCGCGAAATTAATACGACTCACTATAGGGGAAGTATTTTTACAACAATTACCAACA‐3':配列番号1)、6~10μM NewYtag、0.01~0.04U/μL PrimeSTAR HS DNA polymerase)200~400μLを加え、以下のPCRプログラムを行う。PCRプログラムは、例えば、
(a)92~96℃(1~3分)
(b)92~96℃(5~45秒)
(c)50~70℃(20~60秒)
(d)65~80℃(30~90秒)
とし、ステップ(b)~(d)を10~20サイクル行うことが、十分な増幅産物を入手できる点から好ましい。
(1)DNAライブラリ用DNA断片の作製
DNAライブラリは、下記表1に示す3本の合成DNA断片を作製した。F1(配列番号2)とF3(配列番号4)はユーロフィンジェノミクス(株)に0、F2(配列番号3)はつくばオリゴサービス(株)にDNAの合成を依頼して入手した。
(a)95℃(2分)
(b)95℃(20秒)
(c)58℃(20秒)
(d)72℃(30秒)
(e)72℃(2分)
とし、ステップ(b)~(d)を9サイクル行った。
(a)95℃(2分)
(b)95℃(20秒)
(c)57℃(20秒)
(d)72℃(30秒)
(e)72℃(2分)
とし、ステップ(b)~(d)を9サイクル行った。
(a)95℃(2分)
(b)95℃(20秒)
(c)69℃(20秒)
(d)72℃(30秒)
(e)72℃(2分)
とし、ステップ(b)~(d)を5サイクル行った。
ユーロフィンジェノミクス(株)にダイレクトシーケンシングを依頼し、作製したフルコンストラクトDNAの配列を確認した(図3参照)。
T7Ω: T7プロモーター、Ω配列及びKozak配列からなる配列
Ω:タバコモザイクウイルスの翻訳エンハンサー
CysRich-4:システインに対応するコード配列を4つ含む30のアミノ酸からなるペプチド
各フラグメントの反応量比は、T7Ω:CysRich-4:NewYtag-HisX6=3:1:3[mol]とした。
具体的な方法は、図5に示した通りとした。
(1)初期ライブラリDNAの転写
実施例1で作製したライブラリDNAの転写は、プロメガのキット (RiboMAX Large Scale RNA Production Systems―T7) に付属するプロトコルに従い、dsDNA 16pmol、50μLスケールで行った。アルミブロック恒温槽(Anatech社製、Cool Stat 5200)を使用して、37℃で2時間インキューベションした後、キット付属のDNase (RQ1 DNase) を3μL加え、さらに37℃で15分間インキュベートした。合成されたmRNAはFavogen社のAfter Tri-Reagent RNA Clean-Up Kitを使用して精製した。
転写により得られたmRNA 120pmolに、ピューロマイシンリンカーDNA (Short Biotin-segment Puromycin (SBP)-linker) 120pmol、10×T4 RNA Ligase buffer (タカラバイオ(株)製) 12μL、0.1% BSA 7.2μLを加え、Nuclease-free waterで合計111μLとなるよう調製後、18.5μLずつに分注した。90℃で1分間インキュベートした後に70℃で1分間インキュベートし、0.04℃/sのスピードで25℃まで温度を下げた。T4 Polynucleotide kinase (タカラバイオ(株)製) 3μL、T4 RNA Liagse 6μLを加え、25℃で1時間インキュベートし、リンカー-mRNA連結体を作製した。上記ピューロマイシンリンカーDNAは、下記引用文献に記載の方法により作製した(図6参照)。
引用文献:Mochizuki Y, Biyani M, Tsuji-Ueno S, Suzuki M, Nishigaki K, Husimi Y, and Nemoto N. (2011) One-pot preparation of mRNA/cDNA display by a novel and versatile puromycin-linker DNA. ACS Comb. Sci., 13, 478-485
上記リンカー-mRNA連結体 108pmolを、無細胞翻訳系(Rabbit Reticulocyte Lysate System, Nuclease Treat、Promega社製)900μLスケールで翻訳した。翻訳は25μLずつ1.75 mLチューブに分注してから、30℃で20分間行った。その後、MgCl2、KClをそれぞれ最終濃度75mM、900mMとなるように加えて37℃で1時間インキュベートすることで、ペプチドディスプレイを得た。
翻訳した産物を9本分ずつまとめ (360μL×4本)、 0.5M EDTA (pH 8.0) 64μL、2×Binding buffer (20mM Tris-HCl pH7.5, 2M NaCl, 2mM EDTA, 0.2% Tween-20) 424μLを加え4℃で10分間インキュベートすることで、ペプチドディスプレイに結合しているリボソームを除去した。1× Binding buffer で洗浄済みのDynabeads MyOne C1 Streptavidin 250μLを1.75mL チューブ(×4本)に用意し、翻訳産物848μL分を加え、冷却サーモブロックローテーター((株)日伸理化製、SNP-24B)を使用して25℃で30min撹拌した。Dynabeadsを1×Binding buffer 150μLで3回洗浄しつつ、1本の1.75mLチューブにまとめた。
逆転写はReverTra Ase(東洋紡(株)製)に付属のプロトコルに従い、1mL分のDynabeadsに対して800μLのスケールで行った。冷却サーモブロックローテーターを使用して42℃で60min撹拌した。
逆転写後のDynabeadsをSelection buffer (50mM Tris-HCl pH7.4, 1M NaCl, 1mM EDTA, 0.1% Tween-20)で2回洗浄した後、800μLのSelection bufferを加え、冷却サーモブロックローテーターを使用して4℃で一晩撹拌した。
1×His-tag binding buffer (20mM sodium phosphate pH7.4, 0.5M NaCl, 5mM Imidazole, 0.05% Tween20) 500μLでDynabeadsを洗浄した後に、RNase T1 (Ambion社製) 1000U入りの1×His-tag binding buffer 300μLを加え、37℃で20minインキュベートした。その後、上清を回収しmRNA-cDNA連結体を回収した。
回収したmRNA-cDNA連結体サンプル300μLに、1×His-tag binding bufferにより洗浄済みの His Mag Sepharose Ni (GE healthcare社製) 50μL分を加え、冷却サーモブロックローテーターを使用して25℃で1時間撹拌した。1×His-tag wash buffer (20mM sodium phosphate pH7.4, 0.5M NaCl, 20mM Imidazole, 0.05% Tween20) 100μLで3回洗浄した後に、1×His-tag elution buffer (20mM sodium phosphate pH7.4, 0.5M NaCl, 250mM Imidazole, 0.05% Tween20)を50μL加え、マイクロチューブミキサー((株)トミー精工製、MT-360)を使用して、室温で15分間撹拌した。その後、上清を回収した。
回収した上清はBIO-RADのBio-Spin 6 Tris Columnsを用いて、1×His-tag elution bufferからSelection bufferへのバッファー交換を行った。
エタノール沈殿させたcDNAディスプレイ分子が入った1.75mLチューブに、PCR反応液(1×PrimeSTAR buffer (Mg2+)、0.2 mM dNTPs、8 μM T7omeganew、8 μM NewYtag、0.02U/μL PrimeSTAR HS DNA polymerase)300μLを加え、以下のPCRプログラムを行った。PCRプログラムは、
(a)95℃(2分)
(b)95℃(15秒)
(c)68℃(35秒)
(d)68℃(1分)
とし、ステップ(b)~(d)を16サイクル行った。
(1)担体へのsCD40 Ligandの固定化
cDNAディスプレイ分子ライブラリ中から、sCD40 Ligandに結合するcDNAディスプレイ分子を分離するために使用するsCD40 Ligand固定化ビーズ(アガロースビーズ、磁性体ビーズ)を調製した。
アガロースビーズはNHS-activated Sepahrose 4 Fast Flow (GE healthcare社製)を使用し、MicroSpin Empty Columns (GE healthcare社製) カラムボリューム(CV)が300μLになるように充填した。CVの10倍量の1mM ice-cold HClで洗浄した後に、6μM sCD40 Ligandを含むPBS溶液300μLを流し込み、室温で2時間インキュベートした。さらに未反応活性基をつぶすためにethanolamine 5μLを加え、室温で1時間インキュベートした。CVの10倍量以上のSelection bufferにより洗浄した。
磁性体ビーズには、NHS-Activated Magnetic Beads (Thermo Scientific社製)を使用した。1mM ice-cold HClで洗浄済みのNHS-Activated Magnetic Beads 100μLを1.75mLチューブに用意し、1.5μM sCD40 Ligandを含むPBS溶液300μLを流し込み、室温で2時間インキュベートした。さらに未反応活性基をつぶすためにethanolamine 5μLを加え、室温で1時間インキュベートした後に、Selection buffer 200μLで2回洗浄した。
使用する担体は、ラウンド1はアガロースビーズ、ラウンド2以降は磁性体ビーズを用いた。セレクションのラウンド1では108pmol、その後のラウンド2~4ではそれぞれ42、24、12pmol分のリンカー-mRNA連結体から調製したcDNAディスプレイ分子をセレクションに使用した。また各調製ステップも適宜スケールダウンして行った。
ラウンド2~4では洗浄する回数を5、10、10回と増やしていき、ラウンド4では比較のためにsCD40 Ligandを固定化していない磁性体ビーズを調製して同様のセレクションを行った。
セレクションの際に回収した溶液(固定化上清、洗浄)も、溶出と同様にエタノール沈殿させ、それぞれPCR反応液(1×PrimeSTAR buffer (Mg2+)、0.2mM dNTPs、8μM T7omeganew、8μM NewYtag、0.02U/μL PrimeSTAR HS DNA polymerase)300μLを加え、以下のPCRプログラムを行った。PCRプログラムは、
(a)95℃(2分)
(b)95℃(15秒)
(c)68℃(35秒)
(d)68℃(1分)
とし、ステップ(b)~(d)を16サイクル行った。
上記PCR反応溶液を8M Urea変性4.5% PAGEにて電気泳動し、セレクションの確認を行った(図7及び図8参照)。その結果、図7で示した、従来のシステインリッチペプチド配列に比べ、図8に示した本願のシステインリッチペプチド配列のほうが、sCD40 Ligandと結合しやすいことが示された。
配列番号2:DNAライブラリ合成用のDNA断片の塩基配列(F1)
配列番号3:DNAライブラリ合成用のシステインリッチペプチドのコード配列
配列番号4:DNAライブラリ合成用のDNA断片の塩基配列(F3)
配列番号5:フルコンストラクトDNAのPCR用フォワードプライマー
配列番号6:フルコンストラクトDNAのPCR用リバースプライマー
配列番号7:DNAライブラリのランダム領域のアミノ酸配列
配列番号8:DNAライブラリの塩基配列
配列番号9:システインリッチペプチドのアミノ酸配列
配列番号10:システインリッチペプチドのアミノ酸配列
配列番号11:システインリッチペプチドのアミノ酸配列
配列番号12:システインリッチペプチドのアミノ酸配列
配列番号13:システインリッチペプチドのアミノ酸配列
配列番号14:システインリッチペプチドのアミノ酸配列
Claims (8)
- (a)28~32アミノ酸のシステインに富んだペプチドコード配列を含むDNAから転写によってmRNAを調製し、mRNAライブラリを作製するmRNAライブラリ作製工程と、ここで、前記ペプチドコード配列は、N末端から3番目及び28番目にシステインをコードする2つのコード配列を含み、前記2つのシステインの間にさらに2つのシステインをコードする配列とを含み;
(b)前記(a)工程で得られたmRNAを、ペプチド結合部位、固相結合部位及びmRNA結合部位並びに逆転写用のプライマーとして機能するプライマー領域を有するリンカーのmRNA結合部位にライゲーションさせるリンカー-mRNA連結体調製工程と;
(c)前記(b)工程で得られたリンカー-mRNA連結体を無細胞翻訳系で翻訳して、前記mRNAに対応するペプチドを前記リンカー-mRNA連結体にディスプレイしたペプチドディスプレイ分子を作製するペプチドディスプレイ作製工程と;
(d)前記(c)工程で得られた前記ペプチドディスプレイ分子を、固相に固定化する固定化工程と;
(e)前記(d)工程で固相に固定化された前記ペプチドディスプレイ中のmRNAを逆転写し、前記ペプチドディスプレイ分子にcDNAを連結させた、cDNAディスプレイ分子を調製する逆転写工程と;
(f)前記(e)工程で得られたcDNAディスプレイ分子中のリンカーの側鎖にディスプレイした前記ペプチドを、酸化型/還元型グルタチオン及びプロテイン・ジスルフィド・イソメラーゼによる処理を行うことなく酸化によってフォールディングして、ペプチド分子内架橋を形成させる酸化フォールディング工程と;
(g)前記(f)工程で架橋されたcDNAディスプレイ分子を固相から切り離して、タグ付きのタンパク質精製用の固相を用いて精製する、精製工程と;
(h)前記(g)工程で精製されたcDNAディスプレイ分子をアフィニティー選択する選択工程であって、前記アフィニティー選択は、前記cDNAディスプレイ分子中のペプチドと標的タンパク質との相互作用を用いるものであり;
(i)前記(h)工程で選択されたcDNAディスプレイ分子を前記標的タンパク質から切り離して溶出させる溶出工程;
(j)前記(i)工程で溶出されたcDNAディスプレイ分子をPCRで増幅させる増幅工程と;を備え、
上記(a)~(j)の工程を標的タンパク質(IL-6受容体を除く)と結合する配列に収束するまで繰り返すことで得られたcDNAから、同一ループ内に2つの架橋を有するペプチドを含むペプチド群を作製する方法。 - 前記標的タンパク質は、sCD40 Ligandであることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド群を作製する方法。
- 前記所望の配列のDNAは、5’側から3’側に向かって、T7プロモーター-Ω-Kozak配列、前記システインに富んだ28~32アミノ酸からなるペプチドコード配列、GGGS配列、His-tag配列、GGS配列及びNewYtag配列(配列表の配列番号6)が配置されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のペプチド群を作製する方法。
- 前記固相結合部位は、ストレプトアビジン、及びビオチンからなる群から選ばれるもので構成されていることを特徴とする、請求項3に記載のペプチド群を作製する方法。
- 前記ペプチドコード配列中のアミノ酸数は30であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のペプチド群を作製する方法。
- 前記酸化フォールディングは、終夜の撹拌によって行われることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のペプチド群を作製する方法。
- 請求項2~6のいずれかに記載された方法で作製された、同一ループ内に2つの架橋を有するペプチドを含むペプチド群。
- 5’側から3’側に向かって、T7プロモーター-Ω-Kozak配列、システインに富んだ30アミノ酸からなるペプチドコード配列、GGGS配列、His-tag配列、GGS配列及びNewYtag配列(配列表の配列番号6)が配置され、前記システインに富んだ30アミノ酸からなるペプチドコード配列中、N末端から3番目及び28番目に位置する2つのシステインをコードする配列と、それらの間に位置するさらに2つのシステインをコードする配列とを含み、sCD40リガンドに結合する、30アミノ酸で規定されるペプチドコード配列を有する、同一ループ内に2つの架橋を有するペプチドを産生するDNAコンストラクト。
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