JP2016064955A - ガラスセル、及び液晶素子、並びに陽極接合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶を封入するガラスセル用のガラス板またはスペーサーに成膜された接合用膜の剥離を防止する陽極接合の方法及び陽極接合を利用して製造されたガラスセルの提供。【解決手段】ガラス板1,5,9とスペーサーをこれらのいずれかに成膜されたAlN(1−X)(Xの値は0.2〜0.9)で構成される接合用膜3,6,8,10を介して陽極接合することで、複数のガラス板1,5,9と複数のスペーサー2,7が積層一体化されて液晶を封入するための第一の内部空間S1、第二の内部空間S2が形成されたガラスセル15とした。また、ガラスセル15の第一の内部空間S1、第二の内部空間S2に液晶を封入して液晶レンズとした。これにより、ガラスへの接合用膜3,6,8,10の付着力が高まり、ガラス板1,5やスペーサー2,7に成膜された接合用膜3,6,8,10の剥離を防止することができる陽極接合の方法。【選択図】図5

Description

本発明は、内部空間が形成されたガラスセル、及び、このガラスセルに液晶を封入してなる液晶素子、並びに、これらの製造に利用される陽極接合の方法に関する。
周知のように、液晶レンズは、液晶に印加する電圧を制御することにより、その焦点距離を変化させることが可能な液晶素子である。この液晶レンズは、相互に積層され一体化されることで液晶を封入するための内部空間を形成する複数のガラス板やスペーサー、液晶に電圧を印加するための透明電極や、液晶分子の配向を制御するための配向膜等を有するガラスセルを備えている。
ガラスセルの製造工程においては、複数のガラス板やスペーサーを積層して一体化するために樹脂接着剤等を使用することもあるが、接着させた部位における気密性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性が低い等の欠点がある。そこで、これらの欠点を解消するために、陽極接合(特許文献1を参照)を利用してガラスセルを製造する場合がある。ここで、陽極接合を実行する態様の一例を挙げる。
まず、導電性を有する接合用膜が成膜された第一ガラス板と、この第一ガラス板と陽極接合させる対象となる第二ガラス板(例えば、ガラス製スペーサー)とを準備する。次に、第一ガラス板における接合用膜の上に第二ガラス板を重ねた後、さらに第二ガラス板の上に、導電性を有する膜が成膜されたダミー電極ガラスを重ねる。次に、ダミー電極ガラスで押圧しながら第一及び第二ガラス板を加熱して昇温させる。最後に、接合用膜をプラス側、ダミー電極ガラスに成膜された膜をマイナス側として直流電圧を印加する。これにより、第一ガラス板と第二ガラス板とが接合用膜を介して陽極接合される。
国際公開第2013/121865号
ところで、陽極接合において、接合用膜として使用される一般的な膜の一つにアルミニウム膜がある。しかしながら、このアルミニウム膜を使用した場合には、以下のような解決すべき問題が生じている。
すなわち、アルミニウム膜は、陽極接合によって第二ガラス板とは良好に接合するものの、第一ガラス板への付着力が弱く、第一ガラス板から比較的容易に剥離してしまうという問題がある。例えば、ガラスセル、或いは、このガラスセルに液晶を封入してなる液晶レンズの温度が上昇した場合に、アルミニウム膜とガラスとの熱膨張係数の違いや、熱膨張時に作用する応力に起因して、第一ガラス板からのアルミニウム膜の剥離が発生する。そして、アルミニウム膜が剥離すると、剥離した部位を通じて内部空間に封入した液晶がガラスセルの外部へと漏れ出してしまい、液晶レンズとしての機能が失われるという致命的な欠陥が生じてしまう。
上記のような事情に鑑みなされた本発明は、陽極接合を利用して製造されたガラスセルや、このガラスセルに液晶を封入してなる液晶素子について、ガラス板に成膜された接合用膜の剥離を防止すること、及び、この目的に適した陽極接合の方法を提供することを技術的課題とする。
本発明の発明者等は、接合用膜として、Xの値が0.2を超え且つ0.9未満であるAlN(1−X)で構成された膜を使用することにより、上記の課題を解決できることを知見するに至った。すなわち、本来的には絶縁体であるAlN(窒化アルミニウム)について、窒素の含有量を調節することで、陽極接合を実行するために必要な導電性を確保しつつ、ガラスへの付着力を大幅に向上させ得ることを見出した。
上記の課題を解決するために創案された本発明に係るガラスセルは、複数のガラス板と、複数のガラス板の間に配されるスペーサーを有し、ガラス板とスペーサーがこれらのいずれかに成膜された導電性を有する接合用膜を介して陽極接合されることにより、複数のガラス板とスペーサーが積層一体化されて内部空間が形成されたガラスセルにおいて、接合用膜が、Xの値が0.2を超え且つ0.9未満であるAlN(1−X)で構成されていることに特徴付けられる。
このガラスセルにおいては、接合用膜が、ガラスへの付着力が高いAlN(1−X)(Xの値は0.2を超え且つ0.9未満)で構成されている。そのため、ガラスセルの温度が上昇したような場合であっても、ガラス板とスペーサーのうち、接合用膜が成膜されたガラス板またはスペーサーから当該接合用膜が剥離してしまうような事態の発生を好適に防止することが可能となる。
さらに、既に述べた事項と同一の理由により、上記のガラスセルと、このガラスセルの内部空間に封入された液晶とを備える液晶素子についても、ガラス板またはスペーサーに成膜された接合用膜の剥離を好適に防止することができる。
また、上記の課題を解決するために創案された本発明に係る陽極接合方法は、ガラス板と、スペーサーを積層させるに際し、これらのいずれかに成膜された導電性を有する接合用膜を介して陽極接合する方法において、接合用膜として、Xの値が0.2を超え且つ0.9未満であるAlN(1−X)で構成された膜を使用することに特徴付けられる。
このような方法によれば、接合用膜として、ガラスへの付着力が高いAlN(1−X)(Xの値は0.2を超え且つ0.9未満)を使用していることにより、この方法を利用して製造したガラスセルや、当該ガラスセルに液晶を封入してなる液晶素子について、既に述べた事項と同一の作用・効果を得ることが可能である。
以上のように、本発明に係るガラスセルや、液晶素子によれば、ガラス板またはスペーサーに成膜された接合用膜の剥離を好適に防止することができる。また、本発明に係る陽極接合方法は、接合用膜がガラス板やスペーサーから剥離しにくいガラスセルや、液晶素子を製造する上で好適な方法とすることが可能である。
本発明の実施形態に係る陽極接合方法を利用して、ガラスセル及び液晶レンズを製造するための方法の第一の工程を示す縦断正面図である。 本発明の実施形態に係る陽極接合方法を利用して、ガラスセル及び液晶レンズを製造するための方法の第二の工程を示す縦断正面図である。 本発明の実施形態に係る陽極接合方法を利用して、ガラスセル及び液晶レンズを製造するための方法の第三の工程を示す縦断正面図である。 本発明の実施形態に係る陽極接合方法を利用して、ガラスセル及び液晶レンズを製造するための方法の第四の工程を示す縦断正面図である。 本発明の実施形態に係る陽極接合方法を利用して、ガラスセル及び液晶レンズを製造するための方法の第五の工程を示す縦断正面図である。
以下、本発明の実施形態に係るガラスセル、及び液晶素子、並びに陽極接合方法について添付の図面を参照して説明する。
はじめに、本発明の実施形態に係る陽極接合方法を利用して、ガラスセル及び液晶素子としての液晶レンズを製造するための方法について説明する。
図1に示す第一の工程は、液晶に電圧を印加するためのV0電極11、及び、液晶の配向を制御するための配向膜12が成膜されたガラス板1と、中央部に円形の貫通穴2aを有したガラス製のスペーサー2とを積層させる工程である。そして、ガラス板1とスペーサー2を積層させるに際し、ガラス板1に成膜された導電性を有する接合用膜3を介してガラス板1とスペーサー2を陽極接合する。
ガラス板1について、V0電極11は、ITO膜(酸化インジウムスズ膜)で構成されると共に、平面視で円形の外周輪郭を有している。このV0電極11は、ガラス板1の上面における中央部に成膜されている。配向膜12は、ポリイミドで構成されると共に、V0電極11の上面における中央部に成膜されている。なお、配向膜12には、成膜後にラビング処理が施されている。
この第一の工程では、ガラス板1とスペーサー2とを陽極接合するにあたって、まず、ガラス板1の上面における外縁部に接合用膜3を成膜する。この接合用膜3は、Xの値が0.2を超え且つ0.9未満であるAlN(1−X)で構成される膜である。なお、Xの値は、好ましくは0.4〜0.7である。以下、ガラス板1に接合用膜3を成膜するための手法を示す。
アルミニウムで構成されたターゲットと、V0電極11、及び配向膜12が成膜されたガラス板1の上面側とが対向するように、ターゲットとガラス板1とをチャンバー内に設置する。なお、ガラス板1の上面において、V0電極11や配向膜12が成膜された箇所については、接合用膜3が当該箇所に成膜されることを防止するため、マスキングを施す。そして、イオン化させたアルゴンに加えて、窒素をチャンバー内に流入させつつ、反応性スパッタリング法を実行することにより、ガラス板1に接合用膜3を成膜する。ここで、例えば、チャンバー内へのアルゴンの流入量は、30sccm(=30×1.68875×10−3Pa・m/s)、窒素の流入量は、0.86sccm(=0.86×1.68875×10−3Pa・m/s)、スパッタ圧は、0.7Paである。
上記のXの値は、例えば、チャンバー内への窒素の流入量を変更することにより、調節することが可能である。そして、AlN(1−X)で構成される膜について、Xの値を大きくして窒素の含有量を少なくするほど、陽極接合を実行するために必要な膜の導電性を高めることができる。AlN(窒化アルミニウム)は本来的には絶縁体であるが、窒素の含有量を調節することで導電性を確保することが可能である。一方、Xの値を小さくして窒素の含有量を多くするほど、膜のガラス板1への付着力を向上させることができる。なお、AlNで構成された膜は透明であるが、AlN(1−X)(Xの値は0.2を超え且つ0.9未満)で構成された膜は黒色となる。
ガラス板1への接合用膜3の成膜が完了すると、次に、接合用膜3の上にスペーサー2を重ねる。つまり、ガラス板1とスペーサー2との相互間には、接合用膜3のみが介在することになる。次に、アルカリ金属酸化物成分を含有し、且つ上面にアルミニウム膜41が成膜されたダミー電極ガラス4を、スペーサー2の上に重ねる。そして、ダミー電極ガラス4で押圧しながらガラス板1とスペーサーを加熱昇温させる。その後、接合用膜3をプラス側、ダミー電極ガラス4に成膜されたアルミニウム膜41をマイナス側として直流電圧を印加する。これにより、接合用膜3を介してガラス板1とスペーサー2とが陽極接合され、ガラス板1とスペーサー2が積層される。ガラス板1とスペーサーの陽極接合が完了すると、ダミー電極ガラス4をスペーサー2の上から取り除く。
図2に示す第二の工程は、スペーサー2と、上面の中央部に配向膜51が成膜され、且つ、下面の中央部に配向膜52が成膜されたガラス板5とを積層させる工程である。そして、スペーサー2とガラス板5を積層させるに際し、スペーサー2に成膜された接合用膜6を介してスペーサー2とガラス板5を陽極接合する。なお、ガラス板5に成膜された配向膜51,52の各々は、上記の配向膜12と同様にポリイミドで構成されると共に、成膜後にラビング処理が施されている。
この第二の工程では、スペーサー2とガラス板5とを陽極接合するにあたって、まず、スペーサー2の上面に接合用膜6を成膜する。この接合用膜6は、上記の接合用膜3と同様に、Xの値が0.2を超え且つ0.9未満(好ましくは0.4〜0.7)であるAlN(1−X)で構成される膜である。スペーサー2への接合用膜6の成膜は、上記のガラス板1への接合用膜3の成膜と同様の態様の下で、反応性スパッタリング法を実行することにより行う。
スペーサー2への接合用膜6の成膜が完了すると、次に、接合用膜6の上にガラス板5を重ねた後、上記のガラス板1とスペーサー2との陽極接合と同様の態様の下で、スペーサー2とガラス板5とを陽極接合する。これにより、スペーサー2とガラス板5が積層される。また、対となって相互に対向するガラス板1とガラス板5との間に、貫通穴2aを有したスペーサー2が介在する構造が形成される。これにより、これらのガラス板1,5及びスペーサー2によって液晶を封入するための第一の内部空間S1が形成される。なお、図2においては、図示の都合上、ガラス板5とダミー電極ガラス4との間に隙間が存在しているが、実際には、陽極接合の実行時にガラス板5とダミー電極ガラス4とを接触させている。
図3に示す第三の工程は、ガラス板5と、中央部に円形の貫通穴7aを有したガラス製のスペーサー7とを積層させる工程である。そして、ガラス板5とスペーサー7を積層させるに際し、ガラス板5に成膜された接合用膜8を介してガラス板5とスペーサー7を陽極接合する。なお、スペーサー7に形成された貫通穴7aの直径は、上記のスペーサー2に形成された貫通穴2aの直径と同一とされている。
図4に示す第四の工程は、スペーサー7と、下面の中央部に配向膜91が成膜されたガラス板9とを積層させる工程である。そして、スペーサー7とガラス板9を積層させるに際し、スペーサー7に成膜された接合用膜10を介してスペーサー7とガラス板9を陽極接合する。なお、ガラス板9の下面に成膜された配向膜91は、上記の配向膜12,51,52と同様にポリイミドで構成されると共に、成膜後にラビング処理が施されている。
これら第三、第四の両工程は、上記の第一の工程と同様の態様の下で実行する。第四の工程が完了すると、対となって相互に対向するガラス板5とガラス板9との間に、貫通穴7aを有したスペーサー7が介在する構造が形成される。これにより、これらのガラス板5,9及びスペーサー7によって液晶を封入するための第二の内部空間S2が形成される。
以上のことをまとめると、上記の第一の工程〜第四の工程では、ガラス板とスペーサー(第一の工程ではガラス板1とスペーサー2、第二の工程ではスペーサー2とガラス板5、第三の工程ではガラス板5とスペーサー7、第四の工程ではスペーサー7とガラス板9)を、これらのいずれかに成膜された導電性を有する接合用膜3,6,8,10を介して陽極接合する。これにより、複数のガラス板1,5,9と複数のスペーサー2,7が積層一体化されて液晶を封入するための第一の内部空間S1と、第二の内部空間S2とが形成される。
図5に示す第五の工程は、液晶に電圧を印加するためのV1電極131及びV2電極132、液晶レンズの駆動電圧を低下させるための高抵抗膜133、V1電極131及びV2電極132と高抵抗膜133とを絶縁するための層間絶縁膜134、及び、保護膜であるパッシベーション膜135が成膜されたガラス板13を、ガラス板9の上に光学用接着剤14を介して積層させる工程である。
ガラス板13について、V1電極131及びV2電極132は、ITO膜で構成されると共に、ガラス板13の下面に成膜されている。V1電極131は、円形の開口部131aを有しており、開口部131aの内側に円形のV2電極132が設けられている。高抵抗膜133は、アルミニウムをドープした酸化亜鉛で構成され、且つ平面視で円形の外周輪郭を有している。この高抵抗膜133の直径は、V2電極132の直径よりも大きくなっている。層間絶縁膜134は、二酸化ケイ素で構成されており、V1電極131及びV2電極132の下面に成膜されている。パッシベーション膜135は、層間絶縁膜134と同様に二酸化ケイ素で構成されている。そして、このパッシベーション膜135は、高抵抗膜133の下面側に成膜されている。また、光学用接着剤14について、当該光学用接着剤14はガラスと同等の屈折率を有している。この屈折率としては、例えば、1.5程度である。
ガラス板9とガラス板13との光学用接着剤14を介した積層が完了すると、ガラスセル15が完成する。このガラスセル15には、上述のように液晶を封入するための第一の内部空間S1と、第二の内部空間S2とが形成されており、これらに液晶を封入することで液晶レンズが完成する。
以下、上記のガラスセル15、及び液晶レンズによる作用・効果について説明する。
このガラスセル15(液晶レンズ)においては、接合用膜3,6,8,10が、ガラスへの付着力が高いAlN(1−X)(Xの値は0.2を超え且つ0.9未満)で構成されている。そのため、ガラスセル15(液晶レンズ)の温度が上昇した場合であっても、ガラス板とスペーサー(ガラス板1とスペーサー2、スペーサー2とガラス板5、ガラス板5とスペーサー7、スペーサー7とガラス板9)のうち、接合用膜3,6,8,10が成膜されたガラス板1,5やスペーサー2,7から、当該接合用膜3,6,8,10が剥離してしまうような事態の発生を好適に防止することが可能となる。
また、このガラスセル15(液晶レンズ)は、上記の陽極接合方法を利用して、液晶を封入するための第一の内部空間S1と、第二の内部空間S2とを形成した後、光学用接着剤14を介して高抵抗膜133や層間絶縁膜134等の各種機能膜が成膜されたガラス板13を接着させることで製造されている。これにより、陽極接合の実行時に印加される電圧に起因して、ガラス板13に成膜された各種機能膜が絶縁破壊してしまうような事態が必然的に起こり得ない。そのため、このガラスセル15(液晶レンズ)は、その歩留まりの低下を防止しつつ製造することが可能である。
以下、上記のガラスセル15、及び液晶レンズの製造に利用した陽極接合方法の作用・効果について説明する。
上述のように、陽極接合を実行するにあたって、接合用膜としてアルミニウム膜を使用した場合には、ガラス板に成膜されたアルミニウム膜が比較的容易に剥離してしまうという問題がある。そこで、従来においては、アルミニウム膜の剥離への対策として、例えば、アルミニウム膜よりもガラスへの付着力が高い膜をガラス板に二層〜三層ほど成膜した後、これらの膜の上にアルミニウム膜を成膜することにより、ガラス板からのアルミニウム膜の剥離を防止していた。しかしながら、このような対策の下では、アルミニウム膜に加えて、ガラスへの付着力の高い膜を別途に複数成膜することが必要となることから、接合用膜を成膜するための作業が煩雑になったり、成膜のための装置が大型化したりする等の難点がある。一方、上記の陽極接合方法においては、AlN(1−X)(Xの値は0.2を超え且つ0.9未満)で構成された膜(接合用膜3,6,8,10)のみを成膜した場合であっても、ガラスへの高い付着力が得られるため、上記のような難点を解消することが可能である。
ところで、陽極接合の実行時において、接合させる両ガラス板の温度を高くすればするほど、ガラス板1,5やスペーサー2,7に成膜された接合用膜3,6,8,10と、接合させる対象となるガラス板5,9やスペーサー2,7との陽極接合による接合力を向上させることが可能である。一方で、接合させるガラス板とスペーサーの温度を高くするほど、V0電極11の抵抗値が急激に上昇する等して、電極としての機能が失われるおそれが高まってしまう。しかしながら、本発明の発明者等は、鋭意研究の結果、接合用膜3,6,8,10として上記のAlN(1−X)を使用すれば、陽極接合の実行時において、接合させるガラス板やスペーサーの温度が低温であっても、接合用膜3,6,8,10と、接合させる対象となるガラス板5,9やスペーサー2,7との十分な接合力が得られることを知見するに至った。このため、上記の陽極接合方法によれば、接合用膜3,6,8,10と、ガラス板5,9やスペーサー2,7との十分な接合力を確保することが可能となると共に、V0電極11の電極としての機能が失われるような事態の発生を的確に防止することができる。
ここで、本発明に係るガラスセル、及び液晶素子、並びに陽極接合方法は、上記の実施形態で説明した構成や態様に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変更が加えることが可能である。例えば、上記の実施形態では、液晶を封入するための内部空間として第一の内部空間と第二の内部空間との二つが形成される構成となっているが、例えば、この内部空間が一つのみ形成される構成であってもよい。
本発明の実施例として、反応性スパッタリング法を実行してガラス板にAlN(1−X)で構成された接合用膜を成膜した後、当該接合用膜について耐剥離性の評価を行った。また、AlN(1−X)で構成された接合用膜を成膜したガラス板と、別のガラス板とを接合用膜を介して陽極接合した後、接合用膜と別のガラス板との接合性の評価を行った。
以下、具体的な実施条件について説明する。まず、日本電気硝子社製の厚みが0.7mmのアルカリ金属酸化物成分を含有するガラス板(製品名:BDA)を八枚準備し、各ガラス板に対して上記の実施形態と同様の態様の下で反応性スパッタリング法を実行することにより、AlN(1−X)で構成された接合用膜を成膜した。各ガラス板には、それぞれ異なる条件の下で反応性スパッタリング法を実行しており、具体的には、チャンバー内への窒素の流入量を相互に異ならせている。これにより、下記の表1に示すとおり、八枚のガラス板に対してそれぞれXの値が異なるAlN(1−X)で構成された接合用膜を成膜した。なお、成膜された接合用膜の厚みは、八枚のガラス板で共通して180nmである。
次に、成膜済みの八枚のガラス板の各々に対して、接合用膜の上にニチバン社製のセロハンテープ(製品番号:405)を貼り付けた。その後、セロハンテープを接合用膜の表面に対して垂直な方向に0.3m/sの速度で剥がした。このとき、接合用膜が剥離しなかったものを「○」とし、剥離したものを「×」とすることで、接合用膜の耐剥離性を評価した。
次に、上記の方法と同様にして成膜済みの八枚のガラス板を作製した後、その各々について、当該ガラス板と別のガラス板とを接合用膜を介して重ね合わせ、上記の実施形態と同様の態様の下で陽極接合を実行した。このとき、接合用膜と別のガラス板とを接合できたものを「○」とし、接合できなかったものを「×」とすることで、接合用膜と別のガラス板との接合性を評価した。
下記の表1に耐剥離性、及び接合性の評価の結果を示す。なお、表1に示すとおり、陽極接合を実行するにあたっては、成膜された接合用膜の抵抗の大きさを予め測定している。
Figure 2016064955
表1に示すように、Xの値が0.2を超え且つ0.9未満である実施例1〜実施例4においては、比較例1〜比較例4とは異なり、耐剥離性と接合性との双方において良好な結果が得られていることが分かる。このような結果が得られたのは、Xの値が0.2を超え且つ0.9未満であるAlN(1−X)で構成された接合用膜を使用することで、陽極接合を実行するために必要な接合用膜の導電性を確保しつつ、接合用膜のガラスへの付着力を高めることができたことによるものと想定される。
1,5,9 ガラス板
2,7 スペーサー
3,6,8,10 接合用膜
15 ガラスセル
S1 第一の内部空間
S2 第二の内部空間

Claims (3)

  1. 複数のガラス板と、複数の前記ガラス板の間に配されるスペーサーを有し、前記ガラス板と前記スペーサーがこれらのいずれかに成膜された導電性を有する接合用膜を介して陽極接合されることにより、複数のガラス板とスペーサーが積層一体化されて内部空間が形成されたガラスセルにおいて、
    前記接合用膜が、Xの値が0.2を超え且つ0.9未満であるAlN(1−X)で構成されていることを特徴とするガラスセル。
  2. 請求項1に記載のガラスセルと、前記内部空間に封入された液晶とを備えることを特徴とする液晶素子。
  3. ガラス板と、スペーサーを積層させるに際し、これらのいずれかに成膜された導電性を有する接合用膜を介して陽極接合する方法において、
    前記接合用膜として、Xの値が0.2を超え且つ0.9未満であるAlN(1−X)で構成された膜を使用することを特徴とする陽極接合方法。
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