JP2016064866A - 合成樹脂製キャップ、閉止装置、および飲料入り閉止装置 - Google Patents
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Abstract
Description
図5および図6は、従来のキャップの例を示す図である。
ここに示すキャップ31は、天板部2と、その周縁から垂下した筒部3とを備えている。
天板部2には、容器の口元部に嵌入して口元部の内面に当接する内側シール突起4と、口元部の外面または開口端面に当接する外側シール突起5とが形成されている。
筒部3は、スコア6(弱化部)によって、主部8と、ブリッジによって主部8に連結されたタンパーエビデンスリング部(TEリング部)9とに区画されている。
主部8の内周面には、容器の雄ネジに螺合するネジ部10が形成されている。
TEリング部9の内周面には、開栓時に容器に係止してTEリング部9の移動を阻止する係止突起11が形成されている。
一方、ナール凸部32aの形成ピッチが大きいと、1つ1つのナール凸部32aが手指に強く当たり、使用者がキャップ31を把持して回転させる際に、手指に痛みを感じることがあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、使用者がキャップを把持して回転させる際に、開栓操作が容易となり、しかも手指に痛みを感じることがない合成樹脂製キャップ、閉止装置、および飲料入り閉止装置を提供することを目的とする。
前記ナール凸部の、前記筒部の軸方向に垂直な断面の形状は、前記筒部の径方向に沿う中央線に対して線対称形であることが望ましい。
本発明の合成樹脂製キャップは、主部と、ブリッジによって前記主部に連結されたタンパーエビデンスリング部とに区画され、前記主部の内周面に、前記口元部の雄ネジに螺合するネジ部が設けられ、前記タンパーエビデンスリング部に、開栓の際に前記口元部の係止段部に係止して前記タンパーエビデンスリング部の移動を阻止する複数の係止突起が設けられ、前記タンパーエビデンスリング部の内面に、開栓過程において前記係止突起が前記係止段部に達した状態で前記係止段部の外面に当接する膨出部が形成されていることが好ましい。
本発明は、飲料が充てんされた容器と、その口元部に装着されるキャップとを備えた飲料入り閉止装置であって、前記キャップが上述の構成を有する飲料入り閉止装置を提供する。
また、本発明では、空白領域の幅が十分に広いため(1.5mm以上)、手指が空白領域に食い込み、係止力が高められる。
空白領域に食い込んだ部分の手指は、ナール凸部群の側縁部に強く係止すると考えられるが、本発明では、ナール凸部群の幅と空白領域の幅の合計が小さいため(7mm以下)、前記側縁部の数を十分に確保し、係止力を高めることができる。
また、1つのナール凸部群を構成するナール凸部の数が少ない場合には、ナール凸部群の幅W1と空白領域の幅W2との比率W1/W2が適正範囲を外れると、手指がナール凸部群に係止しにくくなることがあるが、比率W1/W2を0.6〜3とすることによって、係止力を高めることができる。
よって、滑り止め性能を高めることができる。
また、本発明のキャップは、空白領域を有するため、キャップを把持した際に手指の痛みを緩和することができる。
図1は、本発明の合成樹脂製キャップの一実施形態であるキャップ1を示す正面図である。図2は、キャップ1を示す断面図である。図2における符号C1はキャップ1の中心軸を示す。図3は、キャップ1の筒部3の水平方向に沿う拡大断面図である。図4は、キャップ1の筒部3の軸方向に沿う拡大断面図である。
以下の説明において、「上」および「下」とは図1および図2における上下方向に応じて定められる。上下方向は、キャップ1の中心軸C1に沿う方向である。水平方向は中心軸C1に垂直な方向である。
天板部2には、容器20の口元部21に嵌入して口元部21の内面21aに当接する内側シール突起4と、外面21cまたは開口端面21bに当接する外側シール突起5とが形成されている。
係止突起11は、TEリング部9の内周面から径方向内方に突出して形成され、その内径は係止段部23の外径より小さい。
係止突起11は、閉栓の際に係止段部23により力が加えられても、ほとんど変形しない程度の機械的強度(剛性)を有することが望ましい。
なお、係止突起11は、起伏可能な板状に形成されていてもよい。
膨出部15は、開栓時にTEリング部9の姿勢を安定化させるためのもので、係止突起11の上面に一体に連設されている。
膨出部15は、係止突起11が係止段部23に係止した状態において、内面15aが係止段部23に当接または近接するように形成される。
ナール部12は、筒部3の外周面の表面摩擦を高め、使用者がキャップ1を開栓および閉栓する際に、キャップ1を回転させるのに必要な力を低減する機能を有する。
突出高さH1は、0.5mm以下とすることができ、0.35mm以下とするのがさらに好ましい。
突出高さH1が低すぎれば、使用者がキャップ1を開栓する際に手指がナール凸部12aに係止しにくくなり、高すぎれば、開栓時に使用者が手指に痛みを感じやすくなる。
これに対し、突出高さH1を前記範囲とすることによって、手指をナール凸部12aに確実に係止させることができ、かつ、手指の痛みを緩和できる。
なお、谷部12bは、隣り合うナール凸部12a,12aの間の凹部である。
ピッチP1が小さすぎれば使用者の手指がナール部12に係止しにくくなり、大きすぎれば開栓時に使用者が手指に痛みを感じやすくなるが、ピッチP1を前記範囲とすることによって、手指をナール部12に確実に係止させることができ、かつ、手指の痛みを緩和できる。
ナール凸部12aの断面形状(水平方向の断面)は、筒部3の径方向に沿う中央線C2に対して線対称形であることが望ましい。
すなわち、ナール凸部12aの一方側面12c1と他方側面12c2は、中央線C2に対して互いに線対称となる断面形状を有することが望ましい。
図3において、ナール凸部群12Aを構成する3つのナール凸部12a(12a1〜12a3)のうち、ナール凸部12a1,12a3の断面形状が線対称形でない場合には、キャップ装着装置(キャッパー)のチャックの内面の係止突起がナール凸部12aに着脱しにくくなることがあるが、ナール凸部12a1、12a3の断面形状が線対称形であると、このような事態を回避できる。
ナール凸部群12Aを構成するナール凸部12aの数が少なすぎれば、使用者がキャップ1を開栓する際に手指がナール部12に係止しにくくなり、しかも手指に痛みを感じやすくなるが、ナール凸部12aの数を前記範囲とすることによって、開栓時に使用者がキャップ1を把持する際に手指がナール部12に係止しやすくなり、かつ手指の痛みも緩和できる。
また、ナール凸部群12Aを構成するナール凸部12aの数が多すぎれば、ナール凸部群12Aの幅W1が大きくなり、手指が特に強く係止する箇所である側縁部12dの数が少なくなるが、ナール凸部12aの数が前記範囲であれば、側縁部12dの数を確保し、滑り止め性能を高めることができる。
なお、側縁部12dは、ナール凸部群12Aの側縁部である。
幅W1が狭すぎれば、手指がナール凸部群12Aに係止しにくくなり、しかも手指に痛みを感じやすくなる。幅W1が広すぎれば、手指が特に強く係止する箇所である側縁部12dが少なくなる。
これに対し、幅W1を前記範囲とすれば、手指をナール部12に確実に係止させることができ、かつ、側縁部12dの数を多くできる。よって、滑り止め性能を高めることができる。
幅W1は、すべてのナール凸部群12Aについて互いに等しいことが望ましい。
複数のナール凸部12aの長さは、互いに等しいことが望ましい。
これによって、図5および図6に示す通常のキャップ31に適用可能なキャップ装着装置(キャッパー)のチャックをそのまま使用できる。
空白領域14はナール凸部12aが形成されていない領域であり、その表面は平滑に形成されている。空白領域14の表面は、円筒面であることが望ましい。
キャップ1は、ナール部12がない空白領域14を有するため、キャップ1を把持した際に手指の痛みを緩和することができる。
主部8の外周面のうち空白領域14の上方および下方の領域についても、ナール凸部が形成されていないことが好ましい。
空白領域14の表面の算術平均粗さRa(JIS B 0601−1994)は、例えば10μm以下(好ましくは5μm以下)とすることができる。
幅W2が狭すぎれば、手指が空白領域14に食い込むことができず、係止力が低くなるが、幅W2を前記範囲とすることによって、手指をナール部12に確実に係止させることができる。
幅W2が広すぎれば、手指が特に強く係止する箇所である側縁部12dが少なくなるが、幅W2を前記範囲とすることによって、側縁部12dの数を多くでき、係止力を高めることができる。
空白領域14の幅W2は、すべての空白領域14について互いに等しいことが望ましい。
これによって、キャップ31に適用可能なキャップ装着装置(キャッパー)のチャックをそのまま使用できる。
幅W1と幅W2との合計が大きすぎれば、手指が特に強く係止する箇所である側縁部12dが少なくなるが、幅W1と幅W2との合計を前記範囲とすることによって、側縁部12dの数を多くし、係止力を高めることができる。
一方、幅W1と幅W2との合計が小さすぎれば、開栓時において手指がナール部12に係止しにくくなるか、または手指の空白領域14への食い込みが起こりにくくなる。
これに対し、幅W1と幅W2との合計を前記範囲とすることによって、手指をナール部12に確実に係止させることができ、滑り止め性能を高めることができる。
形成比率W1/W2が小さすぎれば、手指がナール部12に係止しにくくなる場合がある。
一方、形成比率W1/W2が大きすぎれば、開栓時における手指の係止箇所が少なくなるか、または手指の空白領域14への食い込みが起こりにくくなって係止力が低くなることがある。
これに対し、形成比率W1/W2を前記範囲とすることによって、ナール部12に確実に係止させることができ、かつ、側縁部12dの数を多くし、係止力を高めることができる。
容器20と、口元部21に装着されるキャップ1とは、閉止装置を構成する。
図2に示す閉栓状態において、使用者が筒部3を把持し、開栓方向に回すと、主部8が回転に従って上昇する一方、係止突起11は係止段部23に係止するため、TEリング部9の上方移動は阻止され、主部8とTEリング部9とを連結しているブリッジ(図示略)に引張力が作用する。
前記引張力によりブリッジ(図示略)は破断し、TEリング部9は主部8から切り離される。これによって、キャップ1が開栓されたことが明示される。
キャップ1では、空白領域14の幅W2が十分に広いため(1.5mm以上)、手指が空白領域14に食い込み、係止力が高められる。
空白領域14に食い込んだ部分の手指は、ナール凸部群12Aの側縁部12dに特に強く係止すると考えられるが、キャップ1では、幅W1と幅W2の合計が小さいため(7mm以下)、側縁部12dの数を十分に確保し、係止力を高めることができる。
図1〜図3に示すキャップ1を作製した。
図3に示すように、ナール凸部12aの突出高さH1は0.35mmとし、幅W3は0.7mmとした。ピッチP1は0.75mmとした。ナール凸部群12Aは3つのナール凸部12aからなる。
ナール凸部群12Aの幅W1は2.2mmとし、空白領域14の幅W2は1.6mmとした。W1/W2は約1.4である。
キャップ1の外径(ナール部12の外径)は29.5mmとした。
このキャップ1を容量約300mlの容器20の口元部21に装着した。
図5および図6に示すように、ナール部32が主部8の外周面の全領域に形成されていること以外は実施例1のキャップ1と同様のキャップ31を作製した。ナール凸部32aの全数は120である。
このキャップ31を容量約300mlの容器20の口元部21に装着した。
ナール部12のピッチP1を比較例1のキャップ32に対して2倍とすること以外は比較例1のキャップ31と同様のキャップ31を作製した。ナール凸部32aの全数は60である。
このキャップ31を容量約300mlの容器20の口元部21に装着した。
(1)開栓官能試験(開栓しやすさ)
10人の女性パネラーに、実施例1および比較例1を、いずれも3つずつ連続して開栓させ、開栓しやすさについて評価させた。サンプルは試験直前まで5℃に冷却しておき、キャップ表面に結露が生じた状態で、室温下で試験を行った。結果を表1に示す。
10人の女性パネラーに、実施例1および比較例2を、いずれも3つずつ連続して開栓させ、開栓時の手の痛みについて評価させた。サンプルは試験直前まで5℃に冷却しておき、キャップ表面に結露が生じた状態で、室温下で試験を行った。結果を表2に示す。
表1、2より、実施例1では、使用者がキャップを把持して回転させる際に、手指の痛みが少なく、しかも開栓操作が容易となることが確認された。
(試験例1〜25)
図1に示すキャップを作製した。
ナール凸部群12Aの幅W1、1つのナール凸部群12Aあたりのナール凸部12aの数、空白領域14の幅W2、比率W1/W2は、表3に示すように設定した。
滑りが少なく開栓しやすいと回答した者の数が8以上の場合は「◎」、5〜7の場合は「○」、2〜4の場合は「△」、1以下の場合は「×」とした。
開栓時に手指の痛みを感じなかったと回答した者の数が8以上の場合は「◎」、5〜7の場合は「○」、2〜4の場合は「△」、1以下の場合は「×」とした。
これに対し、ナール凸部12aの数が3以上である試験例6、11、15、19等は、開栓しやすさの点で優れていた。
これは、ナール凸部12aの数が3以上であると、使用者がキャップ1を把持した際に手指をナール凸部群12Aに確実に係止させることができるためであると考えられる。
また、空白領域14の幅W2が小さい試験例5、10、14、18に比べ、空白領域14の幅W2が十分に広い(1.5mm以上)試験例6、11、15、19等は、開栓しやすさの点で優れていた。
これは、空白領域14の幅W2が十分に広いと、使用者がキャップ1を把持した際に、手指が空白領域14に食い込み、係止力が高められるためであると考えられる。
これは、幅W1と幅W2の合計が小さい試験例6、11、15、19等ではナール凸部群12Aの側縁部12dの数が多く、キャップ1を把持した際の係止箇所の数が多くなったためであると考えられる。
また、前述の条件を満足した場合でも、ナール凸部群12Aの幅W1と空白領域14の幅W2との比率W1/W2が小さい場合(試験例8)は、手指がナール凸部群12Aに係止しにくくなるが、比率W1/W2を前記範囲とすることによって、手指をナール凸部群12Aに確実に係止させることができる。
よって、滑り止め性能を高めることができる。
例えば、空白領域は、ナール部が形成されていなければよく、円筒面を有する形状に限定されない。例えば、空白領域は平坦面であってもよいし、複数の平坦面を組み合わせた形状であってもよい。
2 天板部
3 筒部
12 ナール部
12a ナール凸部(凸部)
12A ナール凸部群
13 ナール領域
14 空白領域
15 膨出部
20 容器
21 口元部
C2 中央線
W1 ナール凸部群の幅
W2 空白領域の幅
Claims (5)
- 容器の口元部に装着される合成樹脂製キャップであって、
天板部とその周縁から垂下した筒部とを備え、この筒部の外周面に、前記垂下方向に延在する複数のナール凸部からなるナール部が形成され、
前記ナール部は、前記筒部の周方向に間隔をおいて複数のナール領域に分かれて形成され、
前記複数のナール領域には、それぞれ3以上のナール凸部からなるナール凸部群が形成され、
隣り合う前記ナール凸部群の間の空白領域の幅W2は、1.5mm以上であり、
前記ナール凸部群の幅W1と前記空白領域の幅W2の合計は7mm以下であり、
前記ナール凸部群の幅W1と、前記空白領域の幅W2との比率W1/W2は、0.6〜3とされていることを特徴とする合成樹脂製キャップ。 - 前記ナール凸部の、前記筒部の軸方向に垂直な断面の形状は、前記筒部の径方向に沿う中央線に対して線対称形であることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製キャップ。
- 前記筒部が、主部と、ブリッジによって前記主部に連結されたタンパーエビデンスリング部とに区画され、
前記主部の内周面に、前記口元部の雄ネジに螺合するネジ部が設けられ、
前記タンパーエビデンスリング部に、開栓の際に前記口元部の係止段部に係止して前記タンパーエビデンスリング部の移動を阻止する複数の係止突起が設けられ、
前記タンパーエビデンスリング部の内面に、開栓過程において前記係止突起が前記係止段部に達した状態で前記係止段部の外面に当接する膨出部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の合成樹脂製キャップ。 - 飲料が充てんされる容器と、その口元部に装着されるキャップとを備えた閉止装置であって、
前記キャップは、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のものであることを特徴とする閉止装置。 - 飲料が充てんされた容器と、その口元部に装着されるキャップとを備えた飲料入り閉止装置であって、
前記キャップは、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のものであることを特徴とする飲料入り閉止装置。
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