≪実施の形態1≫
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置1の構成を概略的に示す縦断面図である。画像形成装置1は、例えば、電子写真方式を採用するカラープリンタである。図2は、実施の形態1における画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kの構成を概略的に示す拡大断面図である。なお、複数の画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kの各々は、内部構造が互いに共通であるので、図2では、各画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kのうちの1つの画像形成ユニットを例として示している。
図1に示されるように、画像形成装置1は、筐体2と、画像形成装置1の状態を表示する表示部3と、画像形成装置1の動作を制御する各種制御部を含む制御ユニット4とを有する。
画像形成装置1は、さらに、電子写真方式により各色の現像剤(トナー)像を形成する画像形成部としての画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kと、画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kに各色の現像剤としてのトナーを補給する現像剤カートリッジとしてのトナーカートリッジ(トナータンク)20W,20Y,20C,20M,20Kと、用紙などの記録媒体Pを供給する媒体供給部としての給紙部30と、記録媒体Pを搬送する媒体搬送部40と、画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kにおいて形成されたトナー像が転写される無端状の中間転写ベルト51と、中間転写ベルト51にトナー像を転写する第1転写ローラ52W,52Y,52C,52M,52Kと、中間転写ベルト51を駆動する駆動ローラ53a,53bと、中間転写ベルト51上のトナー像を記録媒体Pに転写する第2転写ローラ54a,54bと、中間転写ベルト51上の転写残トナーをクリーニングするクリーニングブレード55と、記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体P上に定着させる定着部としての定着ユニット60と、定着ユニット60を通過した記録媒体Pを積載部としての排出カセット70上に排出する排出ローラユニット71とを有する。定着ユニット60は、内部にハロゲンランプなどの発熱体を有し記録媒体を加熱する加熱ローラ61と、記録媒体P上にトナー像を加圧する加圧ローラ62とを有する。
画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kは、中間転写ベルト51の回転方向の上流側から順にそれぞれ配列されている。画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kは、画像形成ユニットの種別(例えば、トナーの色)を識別する識別用メモリ16W,16Y,16C,16M,16Kをそれぞれ有する。画像形成装置1に画像形成ユニットが搭載されると、識別用メモリ16W,16Y,16C,16M,16Kに記憶された情報(例えば、画像形成ユニットの種別を識別する情報)に基づいて、搭載された画像形成ユニットの種別が画像形成装置1により判別され、画像形成ユニットの種別に応じて適切な制御が実行される。識別用メモリ16W,16Y,16C,16M,16Kは、例えば、RFID(Radio frequency identifier)技術を利用した半導体素子チップである。
図1には、5つの画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10K、及び5つのトナーカートリッジ20W,20Y,20C,20M,20Kが示されているが、画像形成装置1が有する画像形成ユニットの数及びトナーカートリッジの数は、それぞれ2以上4以下、又は6以上であってもよい。また、本発明は、電子写真方式を採用する装置であれば、複写機、ファクシミリ装置、多機能周辺装置(MFP)などのような他の電子機器にも適用可能である。
図1に示されるように、給紙部30は、用紙等の媒体が収納された媒体カセットとしての用紙カセット31と、用紙カセット31内に積載された記録媒体Pを1枚ずつ繰り出す給紙ローラ32と、用紙カセット31から繰り出された記録媒体Pを搬送する搬送ローラ対33とを有する。なお、給紙部30の構成は、図1に示される例に限定されず、他の構成を採用してもよい。
画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kは、電子写真方式によって、ホワイト(W)色トナー像、イエロー(Y)色トナー像、マゼンタ(M)色トナー像、シアン(C)色トナー像、ブラック(K)色トナー像をそれぞれ形成する。トナーカートリッジ20W,20Y,20C,20M,20Kは、ホワイト色トナー、イエロー色トナー、マゼンタ色トナー、シアン色トナー、ブラック色トナー(以下、それぞれ「ホワイトトナー」、「イエロートナー」、「マゼンタトナー」、「シアントナー」、「ブラックトナー」ともいう。)をそれぞれ収納しており、対応する現像装置14W,14Y,14C,14M,14Kにトナーを補給する際に、対応する現像装置14W,14Y,14C,14M,14Kにそれぞれ供給する。なお、画像形成ユニット10W及びトナーカートリッジ20Wのトナーとして、ホワイトトナーの代わりに、金属色トナーを用いてもよい。本明細書において、ホワイトトナーと金属色トナーとを、「特色トナー」ともいう。
画像形成装置1において、ホワイトトナーと金属色トナーとは、互いに入れ替えて用いることができる。ホワイトトナーと金属色トナーとを入れ替える際は、ホワイトトナーに対応する画像形成ユニット及びトナーカートリッジと、金属色トナーに対応する画像形成ユニット及びトナーカートリッジとを入れ替えることにより、使用するトナーの色を変更することができる。また、実施の形態1においては、ホワイトトナー、イエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、及びブラックトナーを用いた例を示すが、特色トナー以外のトナーは、任意の色のトナーを用いてもよい。
画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kは、トナーの色が異なる点以外は、互いに基本的に同一の構成要素を持つ。また、トナーカートリッジ20W,20Y,20C,20M,20Kは、トナーの色が異なる点以外は、互いに基本的に同一の構造である。
ホワイトトナー、イエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、及びブラックトナーの各色のトナーは、ポリエステル樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤等を含む。さらに、前記各色のトナーは、外添剤(例えば、疎水性シリカ)が添加されていてもよい。実施の形態1で用いられる各色のトナーは、粉砕法により得られた粉砕形状の、例えば、平均粒径8〔μm〕程度のトナーであることが望ましい。ただし、前記各色のトナーは、重合法などの他の製法で製造されたトナーであってもよい。イエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、及びブラックトナーの各々は、有機系の顔料を着色剤として含有している。着色剤として用いられる顔料は、比較的透明な顔料が望ましく、例えば、それぞれピグメントイエロー、ピグメントシアン、ピグメントマゼンタ、及びカーボンブラックなどが用いられることが望ましい。
本明細書において、「ホワイトトナー」とは、白色のトナーであって、金属含有着色剤が添加されたトナー、及び金属酸化物を有するトナーのいずれかを含むトナーをいう。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、及び酸化亜鉛のうちの、いずれかを用いることができる。なお、金属含有着色剤は、金属系の顔料(例えば、二酸化チタン)を含む、不透明な着色剤である。
本明細書において、「金属色トナー」とは、金色、銀色、及び銅色のいずれか1つ以上を含む色のトナーであって、金属光沢を得るためにアルミニウム、銀、及び蛍光顔料のうちのいずれか1つ以上を含むトナーをいう。金属色トナーは、例えば、金色トナーを得るために黄橙色の蛍光顔料が添加されてもよく、銅色トナーを得るために赤橙色の蛍光顔料が添加されてもよい。
記録媒体Pには、白色の用紙、白色以外のカラー用紙、及びTシャツなどの媒体に画像を転写するための転写紙を用いることができる。なお、カラー用紙とは、白色ではない色の普通紙であり、例えば、黒色、青色、又は赤色などの用紙である。また、記録媒体として転写紙を用いる場合、画像形成装置1によりトナー画像を転写紙上に定着させ、トナー画像が定着された転写紙をアイロン等の熱によりTシャツ等へ転写する。
図1に示されるように、画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kは、露光装置としてのLEDヘッド11W,11Y,11C,11M,11Kと、回転可能に支持された像担持体としての感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kと、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの表面を一様に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ13W,13Y,13C,13M,13Kと、LEDヘッド11W,11Y,11C,11M,11Kによる露光によって感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの表面に静電潜像を形成した後に、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの表面にトナーを供給して静電潜像に対応するトナー像を形成する現像装置14W,14Y,14C,14M,14Kと、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの表面を清掃するクリーニングブレード15W,15Y,15C,15M,15Kとをそれぞれ有する。
LEDヘッド11W,11Y,11C,11M,11Kは、例えば、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの軸線方向に複数のLED(発光ダイオード)素子が配列されたLEDアレイを含むLEDヘッドである。LEDヘッド11W,11Y,11C,11M,11Kは、各色の画像データに基づく駆動信号を受け取り、受け取った駆動信号に応じた露光用の光を感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kに照射する。
図2に示されるように、現像装置14W,14Y,14C,14M,14Kは、トナーを収容する現像剤収容スペースを形成するトナー収容部と、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの表面にトナーを供給する現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101Kと、現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101Kに担持されたトナー層の厚さを規制する層形成部材としての層形成ブレード102W,102Y,102C,102M,102Kと、トナー収容部内に収容されたトナーを現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101Kに供給する供給ローラ103W,103Y,103C,103M,103Kとをそれぞれ有する。なお、画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10K、及び現像装置14W,14Y,14C,14M,14Kの構成は、上記の例に限定されず、他の構成を採用してもよい。
現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101Kの各々は、例えば、金属製のシャフトと、このシャフトの外周に備えられた弾性体とにより構成される。この弾性体としては、例えば、ゴム硬度70°(アスカーC硬度)の半導電性のウレタンゴムを用いることが望ましい。供給ローラ103W,103Y,103C,103M,103Kの各々は、例えば、金属製のシャフトと、このシャフトの外周に備えられた発泡体とにより構成される。この発泡体としては、例えば、硬度50°(アスカーF硬度)のシリコン発泡体を成形して用いることが望ましい。
感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kは、円筒型に加工された導電性支持体と、この導電性支持体上に感光層を塗布した感光層部とにより構成される。感光層部は、導電性支持体の表面から順に、ブロッキング層、電荷発生層、及び電荷輸送層を有する積層構造である。実施の形態1では、電荷輸送層を例えば約18〔μm〕になるように感光層が塗布されている。なお、膜厚の測定は、株式会社ケツト科学研究所製の渦電流膜厚計LH−200Jを使用した。
図3は、実施の形態1に係る画像形成装置1の制御系を示すブロック図である。画像形成装置1は、主に制御ユニット4により制御される。制御ユニット4は、コンピュータなどの上位装置501から印刷指示を受けて各制御部に画像形成動作を開始するための指示を送る印刷制御部401を有する。
印刷制御部401は、画像形成動作中か否かなどの画像形成装置1の状態を表示する表示部3に情報を送信する。また、印刷制御部401には、情報入力手段としての上位装置501からの画像データを受信するインタフェイス部402と、操作入力部403とが接続されている。
メモリ404内には、印刷動作の処理手順を示す情報と各種補正を行うために用いられる計算式とを格納する読み出し専用メモリ(ROM)404aと、メインメモリ(RAM)404bとが備えられており、ROM404a及びRAM404bは、印刷制御部401に接続されている。さらに、中央処理装置(CPU)405と、記録媒体P並びに温度及び湿度を検出するセンサ406と、各ローラの電圧制御を行うプロセス制御部407とが、印刷制御部401に接続されている。
現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101Kは、現像電圧制御部408により制御される。供給ローラ103W,103Y,103C,103M,103K及び層形成ブレード102Wは、第1の電圧制御部409により制御される。層形成ブレード102Kは、第2の電圧制御部410により制御される。画像形成ユニット10Wにおいては、層形成ブレード102Wと供給ローラ103Wとが配線により接続されている。
第1の電圧制御部409と第2の電圧制御部410とは、例えば、互いにツェナーダイオード等を介して接続されている。実施の形態1においては、第2の電圧制御部410の出力電圧が、第1の電圧制御部409の出力電圧よりも、例えば、150〔V〕大きくなるように設定されている。
帯電ローラ13W,13Y,13C,13M,13Kは、帯電電圧制御部411により制御される。第1転写ローラ52W,52Y,52C,52M,52Kは、転写制御部412により制御される。LEDヘッド11W,11Y,11C,11M,11Kは、露光制御部413により制御される。
モータ制御部414は、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kに接続されたモータを制御することにより、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kを矢印D1の方向に回転駆動させる。感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12K、現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101K、及び供給ローラ103W,103Y,103C,103M,103Kの各々は、片側にギアが配置されており、現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101Kと供給ローラ103W,103Y,103C,103M,103Kとは、それぞれ対応する感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kのギアと噛み合わされている。したがって、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの回転駆動により、現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101K及び供給ローラ103W,103Y,103C,103M,103Kの各々が回転駆動される。
<画像形成装置1の動作>
上位装置501から画像データがインタフェイス部402を介して印刷制御部401に送られると、印刷制御部401は、画像形成装置1が画像形成動作を実行するための指示を各制御部に送る。モータ制御部414は、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kに連結されたモータを駆動させて感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kを矢印D1の方向に回転させる。感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kが回転すると、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kに連結された現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101K及び供給ローラ103W,103Y,103C,103M,103Kが回転する。また、帯電ローラ13W,13Y,13C,13M,13Kは、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kに当接しているので、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kが回転すると、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの回転に伴って帯電ローラ13W,13Y,13C,13M,13Kが従動回転する。
帯電ローラ13W,13Y,13C,13M,13Kは、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの表面を帯電する。LEDヘッド11W,11Y,11C,11M,11Kは、帯電した感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの表面に、画像データに基づいた静電潜像を形成する。供給ローラ103W,103Y,103C,103M,103Kは、回転しながらトナーを保持して現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101Kにトナーを供給する。供給ローラ103W,103Y,103C,103M,103Kから供給された現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101K上のトナーは、層形成ブレード102W,102Y,102C,102M,102Kを通過する際、層形成ブレード102W,102Y,102C,102M,102Kのせん断力により、現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101K上のトナー層の厚みが規制されて均一になる。
現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101Kが回転することにより、現像ローラ101W,101Y,101C,101M,101Kに担持されたトナーが感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kに付着する。静電潜像が形成された感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kにトナーが付着することにより、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの表面にトナー像が形成される。
中間転写ベルト51は、駆動ローラ53a,53bが矢印D2の方向に回転することにより、回転移動しており、感光体ドラム12W,12Y,12C,12M,12Kの表面に形成されたトナー像は、第1転写ローラ52W,52Y,52C,52M,52Kにより、中間転写ベルト51の移動方向における上流側から中間転写ベルト51上に順次転写される。
記録媒体Pは、給紙ローラ32が矢印D3の方向に回転することにより給紙され、搬送ローラ対33により第2転写ローラ54a,54bの位置まで搬送される。第2転写ローラ54a,54bには転写制御部412により電圧が印加されており、記録媒体Pが第2転写ローラ54a,54bを通過する時に、中間転写ベルト51上に転写されたトナー像が、第2転写ローラ54a,54bにより記録媒体P上に転写される。
トナー像が転写された記録媒体Pは、定着ユニット60の位置へ搬送され、加熱ローラ61及び加圧ローラ62により、加熱及び加圧され、記録媒体Pにトナー像が定着される。トナー像が定着された記録媒体Pは、排出ローラユニット71により、排出口から排出カセット70上に排出される。これにより、記録媒体Pへの画像形成が終了する。
次に、画像形成動作中に、特色トナーを用いる画像形成ユニット及び特色トナー以外のトナーを用いる画像形成ユニットにおける各構成要素に印加される制御バイアス(電圧)の例について説明する。実施の形態1においては、特色トナー以外のトナー(第1の現像剤)を用いる画像形成ユニットを「第1の画像形成ユニット」とし、特色トナー(第2の現像剤)を用いる画像形成ユニットを「第2の画像形成ユニット」として以後説明する。
特色トナー以外のトナーを用いる画像形成ユニット(例えば、10Y,10C,10M,10K)では、互いに異なる制御バイアスが印加される場合があるが、特色トナー以外のトナーを用いる画像形成ユニット(第1の画像形成ユニット)と特色トナーを用いる画像形成ユニット(第2の画像形成ユニット)との間の制御バイアスの関係は、特色トナー以外のトナーを用いるいずれの画像形成ユニットにおいても共通する。例えば、画像形成ユニット10Kと画像形成ユニット10Yとでは、互いに異なる制御バイアスが印加される場合があるが、画像形成ユニット10Kにおける制御バイアスと画像形成ユニット10Wにおける制御バイアスとの関係と、画像形成ユニット10Yにおける制御バイアスと画像形成ユニット10Wにおける制御バイアスとの関係は、互いに共通する。したがって、実施の形態1では、第1の画像形成ユニットにおける制御バイアスの例の説明には、画像形成ユニット10Kにおける制御バイアスの例を第1の画像形成ユニットにおける制御バイアスの例として説明する。同様に、金属色トナーを用いる画像形成ユニットとホワイトトナーを用いる画像形成ユニット10Wとでは、互いに異なる制御バイアスが印加される場合があるが、実施の形態1では、第2の画像形成ユニットにおける制御バイアスの例の説明には、画像形成ユニット10Wにおける制御バイアスの例を第2の画像形成ユニットにおける制御バイアスの例として説明する。
<比較例における制御例>
まず、比較例としての画像形成ユニット10K,10Wにおける制御例を説明する。図4は、比較例における第1の電圧制御部及び第2の電圧制御部と、画像形成ユニット(図4では、画像形成ユニット10K及び10W)との関係を示すブロック図である。
まず、画像形成ユニット10Kの制御について説明する。画像形成ユニット10Kにおいて、画像形成動作が開始されると、現像電圧制御部408により現像ローラ101Kに−200〔V〕の現像電圧(以下、「現像バイアス」ともいう。)が印加される。供給ローラ103Kには、第1の電圧制御部409aにより−300〔V〕の供給電圧(以下、「供給バイアス」ともいう。)が印加される。
層形成ブレード102Kには、第2の電圧制御部410aにより−150〔V〕の層形成電圧(以下、「層形成バイアス」ともいう。)が印加される。帯電ローラ13Kには、帯電電圧制御部411により−1200〔V〕の帯電電圧(以下、「帯電バイアス」ともいう。)が印加され、感光体ドラム12Kの表面電位が−650〔V〕となるように、感光体ドラム12Kの表面が帯電される。
画像形成ユニット10Kにおいて用いられるブラックトナーは、現像ローラ101Kに担持されて層形成ブレード102Kを通過すると、ブラックトナーの単位重量あたりの帯電量が−25〔μC/g〕となる。したがって、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーは負極性であり、現像ローラ101Kの現像バイアスと感光体ドラム12Kの表面の電位との差により、現像ローラ101Kに担持されたブラックトナーが感光体ドラム12Kの表面(例えば、画像データに対応して露光された部分)に付着する。なお、トナーの単位重量あたりの帯電量Q/M〔μC/g〕(以下、単に「帯電量」ともいう。)は、トレック・ジャパン株式会社製の吸引式小型帯電量測定装置MODEL212HSを用いて測定した。
次に、比較例における画像形成ユニット10Wの制御について説明する。画像形成ユニット10Wにおいて、画像形成動作が開始されると、現像電圧制御部408により現像ローラ101Wに、−200〔V〕の現像バイアスが印加される。供給ローラ103Wには、第1の電圧制御部409aにより−300〔V〕の供給バイアスが印加される。
層形成ブレード102Wには、第2の電圧制御部410aにより−150〔V〕の層形成バイアスが印加される。帯電ローラ13Wには、帯電電圧制御部411により−1000〔V〕の帯電バイアスが印加され、感光体ドラム12Wの表面電位が−420〔V〕となるように、感光体ドラム12Wの表面が帯電される。
画像形成ユニット10Wにおいて用いられるホワイトトナーは、現像ローラ101Wに担持されて層形成ブレード102Wを通過すると、ホワイトトナーの単位重量あたりの帯電量が−4.4〔μC/g〕となる。したがって、層形成ブレード102Wを通過したホワイトトナーは負極性であり、現像ローラ101Wの現像バイアスと感光体ドラム12Wの表面の電位との差により、現像ローラ101Wに担持されたホワイトナーが感光体ドラム12Wの表面(例えば、画像データに対応して露光された部分)に付着する。
上記の比較例の場合、現像ローラ101K,101Wに印加される現像バイアスの大きさがそれぞれ同じであり、層形成ブレード102K,102Wに印加される層形成バイアスの大きさもそれぞれ同じである。この場合、ホワイトトナーはブラックトナーに比べて帯電性が弱いという特性を有するため、層形成ブレード102Wを通過したホワイトトナーの単位重量あたりの帯電量は、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーの単位重量あたりの帯電量に比べて低く(すなわち、帯電量の絶対値が小さく)なると考えられる。なお、本明細書において「帯電性」とは、予め定められた電圧が印加された場合における単位重量あたりのトナーの帯電量Q/M〔μC/g〕で示されるトナーに固有の性質をいう。また、本明細書において「帯電性が弱い」とは、予め定められた電圧が印加された場合における単位重量あたりのトナーの帯電量Q/M〔μC/g〕の絶対値が小さいことをいい、「帯電性が強い」とは、予め定められた電圧が印加された場合における単位重量あたりのトナーの帯電量Q/M〔μC/g〕の絶対値が大きいことをいう。
ここで、実施の形態1において用いられるホワイトトナーの帯電量とその他の色のトナーの帯電量とを比較するために実験を行った。具体的には、同一の電圧を印加したローラに、ホワイトトナーと、ホワイトトナー以外のトナー(シアントナー、イエロートナー、及びマゼンタトナー)とを付着させて、それぞれの帯電量を帯電量測定装置(トレック・ジャパン株式会社製の吸引式小型帯電量測定装置MODEL212HS)で測定した。その結果、ホワイトトナーの帯電量が−6〔μC/g〕となり、シアントナー、イエロートナー、及びマゼンタトナーの帯電量が−30〔μC/g〕となり、ホワイトトナーの帯電量が、その他のトナーの帯電量よりも低い(すなわち、帯電量の絶対値が小さい)結果となった。したがって、この結果から、実施の形態1で用いられるホワイトトナーは、その他のトナーよりも導電性が高いこと等により、帯電性が弱いという性質を有することがわかった。
上記の帯電量を測定する実験結果より、ホワイトトナーはブラックトナーに比べて帯電性が弱いという特性を有することが確認され、層形成ブレード102Wを通過したホワイトトナーの単位重量あたりの帯電量は、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーの単位重量あたりの帯電量に比べて低くなることがわかる。したがって、比較例のような制御の場合、画像形成ユニット10Wにおける画像形成時にかぶりが発生しやすくなる。
<実施の形態1における制御例>
次に、実施の形態1における画像形成ユニット10K(第1の画像形成ユニット)及び画像形成ユニット10W(第2の画像形成ユニット)における制御例を説明する。図5は、実施の形態1における第1の電圧制御部及び第2の電圧制御部と、第1の画像形成ユニット(図5では、画像形成ユニット10K)及び第2の画像形成ユニット(図5では、画像形成ユニット10W)との関係を示すブロック図である。
まず、画像形成ユニット10Kの制御の一例について説明する。画像形成ユニット10Kにおいて、画像形成動作が開始されると、現像電圧制御部408により現像ローラ101K(第1の現像剤担持体)に、例えば、−200〔V〕の現像バイアス(第1の現像電圧)が印加される。供給ローラ103K(第1の供給部材)には、第1の電圧制御部409により、例えば、−300〔V〕の供給バイアス(第1の供給電圧)が印加される。供給バイアス及び現像バイアスを同極性とし、供給バイアスの絶対値が現像バイアスの絶対値よりも大きくなるように供給バイアス及び現像バイアスを設定することにより、トナー(第1の現像剤)が供給ローラ103Kから現像ローラ101Kに供給される。
第1の電圧制御部409と第2の電圧制御部410とは、ツェナーダイオード等を介して接続されており、層形成ブレード102K(第1の層形成部材)には、第2の電圧制御部410により現像バイアスと同極性のバイアスが印加され、例えば、−150〔V〕の層形成バイアス(第1の層形成電圧)が印加される。帯電ローラ13K(第1の帯電部材)には、帯電電圧制御部411により、例えば、−1200〔V〕の帯電バイアス(第1の帯電電圧)が印加され、感光体ドラム12K(第1の像担持体)の表面電位が、例えば、−650〔V〕となるように、感光体ドラム12Kの表面が帯電される。
画像形成ユニット10Kにおいて用いられるブラックトナーは、現像ローラ101Kに担持されて層形成ブレード102Kを通過すると、ブラックトナーの単位重量あたりの帯電量が、例えば、−25〔μC/g〕となる。したがって、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーは負極性であり、現像ローラ101Kの現像バイアスと感光体ドラム12Kの表面の電位との差により、現像ローラ101Kに担持されたブラックトナーが感光体ドラム12Kの表面(例えば、画像データに対応して露光された部分)に付着する。ただし、画像形成ユニット10Kにおける制御バイアスの例は上記の例に限られない。
また、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーの単位重量あたりの帯電量Q/M〔μC/g〕が
−20≦Q/M≦−35〔μC/g〕
となるように、画像形成ユニット10Kにおける各バイアスが設定されることが望ましい。
画像形成ユニット10Kにおいて、層形成ブレード102Kに印加される層形成バイアスをVbb〔V〕とし、現像ローラ101Kに印加される現像バイアスをVdb〔V〕としたとき、
0〔V〕≦(Vbb−Vdb)≦+100〔V〕 …(1)
を満たすように、層形成ブレード102Kに印加される層形成バイアスVbb〔V〕と現像ローラ101Kに印加される現像バイアスVdb〔V〕とが設定されていることが好ましい。
(Vbb−Vdb)が式(1)の下限値である0〔V〕より小さい場合(例えば、(Vbb−Vdb)=−100〔V〕の場合)、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーの帯電量が高く(すなわち、帯電量の絶対値が大きく)なり過ぎる場合がある。そこで、(Vbb−Vdb)が0〔V〕以上となるように制御することで、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーの帯電量を低く(すなわち、帯電量の絶対値を小さく)抑えることができる。
(Vbb−Vdb)が式(1)の上限値である+100〔V〕よりも大きい場合(例えば、(Vbb−Vdb)=+200〔V〕の場合)、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーの帯電量が低くなりすぎる場合があり(すなわち、帯電量が0に近づく場合があり)、ブラックトナーが現像ローラ101Kから感光体ドラム12Kに適切に付着しない可能性がある。
したがって、(Vbb−Vdb)が、上記式(1)の条件を満たすことにより、画像形成ユニット10Kにおいて、現像ローラ101Kから感光体ドラム12Kに付着させるブラックトナーの感光体ドラム12K表面における単位面積あたりの付着量が適切になる。
実施の形態1においては、画像形成ユニット10Kにおける各構成要素に印加される制御電圧が負極性である例を示したが、本発明は、画像形成装置1における各画像形成ユニットの各構成要素に印加される制御電圧が正極性である例にも適用できる。したがって、各画像形成ユニットにおける各構成要素に印加される制御電圧が正極性である構成に本発明を適用する場合は、上記式(1)を、以下の式(1a)
−100〔V〕≦(Vbb−Vdb)≦0〔V〕 …(1a)
に置き換えることにより、本発明を適用できる。
次に、実施の形態1における画像形成ユニット10Wの制御の一例について説明する。画像形成ユニット10Wにおいて、画像形成動作が開始されると、現像電圧制御部408により現像ローラ101W(第2の現像剤担持体)に、例えば、−170〔V〕の現像バイアス(第2の現像電圧)が印加される。供給ローラ103W(第2の供給部材)には、第1の電圧制御部409により、例えば、−370〔V〕の供給バイアス(第2の供給電圧)が印加される。供給バイアス及び現像バイアスを同極性とし、供給バイアスの絶対値が現像バイアスの絶対値よりも大きくなるように供給バイアス及び現像バイアスを設定することにより、トナー(第2の現像剤)が供給ローラ103Wから現像ローラ101Wに供給される。
層形成ブレード102W(第2の層形成部材)には、第1の電圧制御部409により、現像バイアスと同極性のバイアスとして、例えば、−370〔V〕の層形成バイアス(第2の層形成電圧)が印加される。帯電ローラ13W(第2の帯電部材)には、帯電電圧制御部411により、例えば、−970〔V〕の帯電バイアス(第2の帯電電圧)が印加され、感光体ドラム12W(第2の像担持体)の表面電位が、例えば、−420〔V〕となるように、感光体ドラム12Wの表面が帯電される。
画像形成ユニット10Wにおいて用いられるホワイトトナーは、現像ローラ101Wに担持されて層形成ブレード102Wを通過すると、ホワイトトナーの単位重量あたりの帯電量が、例えば、−7.4〔μC/g〕程度となる。したがって、層形成ブレード102Wを通過したホワイトトナーは負極性であり、現像ローラ101Wの現像バイアスと感光体ドラム12Wの表面の電位との差により、現像ローラ101Wに担持されたホワイトトナーが感光体ドラム12Wの表面(例えば、画像データに対応して露光された部分)に付着する。ただし、画像形成ユニット10Wにおける制御バイアスの例は上記の例に限られない。
画像形成ユニット10Wにおいて用いられるホワイトトナーの帯電性は、画像形成ユニット10Kにおいて用いられるブラックトナーの帯電性よりも弱い。したがって、画像形成ユニット10Wにおいて層形成ブレード102Wと現像ローラ101Wとの間を通過したホワイトトナーの帯電量の絶対値は、画像形成ユニット10Kにおいて層形成ブレード102Kと現像ローラ101Kとの間を通過したブラックトナーの帯電量の絶対値よりも小さい。
層形成ブレード102Wを通過したホワイトトナーの単位重量あたりの帯電量Q/M〔μC/g〕の絶対値|Q/M|は、
5〔μC/g〕≦|Q/M|≦10〔μC/g〕
となるように、画像形成ユニット10Wにおける各バイアスが設定されることが望ましい。実施の形態1においては、負極性に帯電するホワイトトナーを用いているので、
−5〔μC/g〕≦Q/M≦−10〔μC/g〕
となるように、画像形成ユニット10Wにおける各バイアスが設定されることが望ましい。
図6は、ホワイトトナーを用いた画像形成ユニット10Wにおける層形成ブレード102Wの層形成バイアスVbwと現像ローラ101Wの現像バイアスVdwとの差(Vbw−Vdw)と、現像ローラ101W上のホワイトトナーの帯電量Q/Mとの関係を示す図である。図6は、ホワイトトナーの帯電量を実測した結果をグラフとして示しており、帯電量Q/M〔μC/g〕の測定には、トレック・ジャパン株式会社製の吸引式小型帯電量測定装置MODEL212HSを使用した。図6に示されるように、層形成バイアスVbwと現像バイアスVdwとの差(Vbw−Vdw)を、例えば、−200〔V〕に設定すると、ホワイトトナーの帯電量が略−7.4〔μC/g〕になることがわかる。
また、画像形成ユニット10Kにおける供給ローラ103Kに印加される供給バイアスの絶対値|Vsb|、現像ローラ101Kに印加される現像バイアスの絶対値|Vdb|、画像形成ユニット10Wにおける供給ローラ103Wに印加される供給バイアスの絶対値|Vsw|、及び現像ローラ101Wに印加される現像バイアスの絶対値|Vdw|は、下記の式(2)、
|Vsb|−|Vdb|<|Vsw|−|Vdw| …(2)
を満たすように、画像形成ユニット10K及び10Wの各構成要素に印加される電圧が設定される。
すなわち、特色トナーに比べて帯電性が高いトナーを用いる画像形成ユニット10Kにおける供給バイアスの絶対値|Vsb|と現像バイアスの絶対値|Vdb|との差(|Vsb|−|Vdb|)よりも、特色トナーであるホワイトトナーを用いる画像形成ユニット10Wにおける供給バイアスの絶対値|Vsw|と現像バイアスの絶対値|Vdw|との差(|Vsw|−|Vdw|)が大きくなるように画像形成装置1における制御バイアスが設定されるので、画像形成ユニット10Kにおけるブラックトナーによる画像に比べて、画像形成ユニット10Wにおけるホワイトトナーによる画像のかすれを低減し、ホワイトトナーによる画像濃度の低下を抑えることができる。また、画像形成ユニット10Wにおいて供給ローラ103Wから現像ローラ101Wに供給されるホワイトトナーの量を安定させ、画像形成ユニット10Kにおいて供給ローラ103Kから現像ローラ101Kに供給されるブラックトナーの量が著しく多くならないように制御することができるので、画像形成ユニット10Wにおいて供給ローラ103Wから現像ローラ101Wに供給されるホワイトトナーの量と、画像形成ユニット10Kにおいて供給ローラ103Kから現像ローラ101Kに供給されるブラックトナーの量とを適切な値に設定することができる。
画像形成ユニット10Wにおける現像ローラ101Wに印加される現像バイアスの絶対値|Vdw|は、画像形成ユニット10Kにおける現像ローラ101Kに印加される現像バイアスの絶対値|Vdb|よりも小さいことが望ましい。これにより、供給ローラ103K及び103Wに同じ大きさの供給バイアス|Vsb|及び|Vsw|をそれぞれ印加した場合であっても、上記式(2)の条件を満たすように構成することができる。
図7は、比較例における制御バイアス及び実施の形態1における制御バイアスをそれぞれ用いた場合におけるかぶりの度合いを表す指標としての色差ΔEを測定した結果を示す図である。図7において、Aは、上記の<比較例における制御例>で示した画像形成ユニット10Wにおける制御バイアス値を用いて印刷した場合の測定結果に基づいて算出した色差ΔEを示し、Bは、上記の<実施の形態1における制御例>で示した画像形成ユニット10Wにおける制御バイアス値を用いて印刷した場合の測定結果に基づいて算出した色差ΔEを示す。また、図7において、ΔEの値が大きいほど、かぶりの度合いが高い(印刷品質が低い)ことを示す。
色差ΔEは、印刷媒体として住友スリーエム社製のOHPフィルムCG3600を用い、印刷媒体の下紙として黒色の紙(北越紀州製紙社製の色上質紙/黒色/厚口)を用い、コニカミノルタ社製の分光測色計CM−2600dによりOHPフィルムの印刷前後のLab色空間(座標軸を(L*,a*,b*)とする空間)における値(L* 1,a* 1,b* 1)及び(L* 2,a* 2,b* 2)を測定し、測定された値(L* 1,a* 1,b* 1)及び(L* 2,a* 2,b* 2)を用いて、下記の計算式により算出した。
ΔE
={(L* 1−L* 2)2+(a* 1−a* 2)2+(b* 1−b* 2)2}0.5
図7に示されるように、比較例の場合(図7のA)、ΔE=1.5であった。一方、実施の形態1における制御例で示した制御バイアス値を用いた場合(図7のB)、ΔE=0.9であった。したがって、実施の形態1における制御例の場合(図7のB)には、比較例の場合(図7のA)よりも、色差ΔEが約40%良くなっていることがわかる。これは、実施の形態1における制御例の場合、現像ローラ101W上のホワイトトナーの帯電量Q/M〔μC/g〕が、比較例の場合における帯電量(−4.4〔μC/g〕)よりも高い(すなわち、帯電量の絶対値が大きい)帯電量(−7.4〔μC/g〕)にすることができたからである。
以上に説明したように、実施の形態1によれば、特色トナー以外のトナーを用いる画像形成ユニットの層形成ブレードに印加する電圧の絶対値に比べて、層形成ブレード102Wに印加される層形成電圧の絶対値|Vbw|を大きくしているので、ホワイトトナーの帯電量を高く(すなわち、帯電量の絶対値を大きく)することができる。
また、層形成ブレード102Kに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbb|は、現像ローラ101Kに印加される現像バイアスの絶対値|Vdb|よりも小さく、且つ、層形成ブレード102Wに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbw|は、現像ローラ101Wに印加される現像バイアスの絶対値|Vdw|よりも大きくなるように設定されているので、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーの帯電量を低く抑え(すなわち、帯電量の絶対値を小さく抑え)、層形成ブレード102Wを通過したホワイトトナーの帯電量を高く(すなわち、帯電量の絶対値を大きく)することができ、画像形成ユニット10Wにおけるかぶりトナーを減らすことができる。これにより、帯電性が弱いという特色トナーの特性に起因する画像品質の低下を抑制することができる。
具体的に言えば、特色トナー、例えば、ホワイトトナーは、帯電性が弱いという特性を有するため、層形成ブレード102Wからの電荷注入作用によってトナーにマイナス電荷が付与されるように制御される。一方、特色トナー以外のトナー、例えば、ブラックトナーは、特色トナーよりも帯電しやすいので、層形成ブレード102Kからマイナス電荷の電荷注入作用が生じ難くなるようにバイアス制御され、その結果、特色トナー(第2の現像剤)の帯電量と特色トナー以外のトナー(第1の現像剤)の帯電量との差を小さくすることができる。
以上に説明したバイアス制御により、画像形成ユニット10Wにおけるかぶりトナーを減らすことができ、帯電性が弱いという特色トナーの特性に起因する画像品質の低下を抑制することができる。また、実施の形態1に係る画像形成装置1は、画像形成ユニット10Wにおいて現像ローラ101Wから感光体ドラム12Wに付着させるホワイトトナーの感光体ドラム12W表面における単位面積あたりの付着量を安定させ、画像形成ユニット10Kにおいて現像ローラ101Kから感光体ドラム12Kに付着させるブラックトナーの単位面積あたりの付着量が著しく多くならないように制御することができる。すなわち、実施の形態1によれば、画像形成ユニット10Wにおいて現像ローラ101Wから感光体ドラム12Wに付着させるホワイトトナーの感光体ドラム12W表面における単位面積あたりの付着量と、画像形成ユニット10Kにおいて現像ローラ101Kから感光体ドラム12Kに付着させるブラックトナーの単位面積あたりの付着量とを適切な付着量にする画像形成装置1を提供することができる。
実施の形態1においては、画像形成ユニット10W以外の画像形成ユニットについての制御例を画像形成ユニット10Kを用いて説明したが、画像形成ユニット10W以外の画像形成ユニット、例えば、画像形成ユニット10Y,10C,10Mについては、上記で説明した画像形成ユニット10Kにおける制御例を適用することができる。また、金属色トナーを用いる画像形成ユニットについては、上記で説明した画像形成ユニット10Wにおける制御例を適用することができる。
≪実施の形態2≫
実施の形態2に係る画像形成装置1は、基本的な構成が実施の形態1で説明した画像形成装置1の構成と同じであり、画像形成ユニット10Kにおける層形成ブレード102Kに印加する層形成バイアスの例のみが実施の形態1で説明した制御バイアスの例と異なる。したがって、実施の形態2の説明においては、実施の形態1で参照した図面を参照し、実施の形態1に係る構成と同一又は対応する構成については、同一の符号を用いて説明する。
また、上記(実施の形態1)で説明した理由と同様の理由により、実施の形態2では、第1の画像形成ユニットにおける制御バイアスの例の説明には、画像形成ユニット10Kにおける制御バイアスの例を第1の画像形成ユニットにおける制御バイアスの例として説明する。同様に、第2の画像形成ユニットにおける制御バイアスの例の説明には、画像形成ユニット10Wにおける制御バイアスの例を第2の画像形成ユニットにおける制御バイアスの例として説明する。
まず、実施の形態2における画像形成ユニット10K(第1の画像形成ユニット)の制御について説明する。画像形成ユニット10Kにおいて、画像形成動作が開始されると、現像電圧制御部408により現像ローラ101Kに、例えば、−200〔V〕の現像バイアスが印加される。供給ローラ103Kには、第1の電圧制御部409により、例えば、−300〔V〕の供給バイアスが印加される。供給バイアス及び現像バイアスを同極性とし、供給バイアスの絶対値が現像バイアスの絶対値よりも大きくなるように供給バイアス及び現像バイアスを設定することにより、トナーが供給ローラ103Kから現像ローラ101Kに供給される。
第1の電圧制御部409と第2の電圧制御部410とは、ツェナーダイオード等を介して接続されており、層形成ブレード102Kには、第2の電圧制御部410により現像バイアスと同極性のバイアスが印加され、例えば、−210〔V〕の層形成バイアスが印加される。帯電ローラ13Kには、帯電電圧制御部411により、例えば、−1200〔V〕の帯電バイアスが印加され、感光体ドラム12Kの表面電位が、例えば、−650〔V〕となるように、感光体ドラム12Kの表面が帯電される。
画像形成ユニット10Kにおいて用いられるブラックトナーは、現像ローラ101Kに担持されて層形成ブレード102Kを通過すると、ブラックトナーの単位重量あたりの帯電量が、例えば、−25〔μC/g〕となる。したがって、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーは負極性であり、現像ローラ101Kの現像バイアスと感光体ドラム12Kの表面の電位との差により、現像ローラ101Kに担持されたブラックトナーが感光体ドラム12Kの表面(例えば、画像データに対応して露光された部分)に付着する。ただし、画像形成ユニット10Kにおける制御バイアスの例は上記の例に限られない。
また、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーの単位重量あたりの帯電量Q/M〔μC/g〕が
−20〔μC/g〕≦Q/M≦−35〔μC/g〕
となるように、画像形成ユニット10Kにおける各バイアスが設定されることが望ましい。
実施の形態2に係る画像形成装置1の画像形成ユニット10Kでは、層形成ブレード102Kに印加される層形成バイアスが、実施の形態1に係る画像形成装置1の画像形成ユニット10Kにおける層形成バイアスの例と異なる。すなわち、実施の形態2に係る画像形成装置1の画像形成ユニット10Kでは、層形成ブレード102Kに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbb|が、現像ローラ101Kに印加される現像バイアスの絶対値|Vdb|よりも大きい。この場合、画像形成ユニット10Kにおいて層形成ブレード102Kによるブラックトナーへのマイナス電荷の電荷注入作用が生じることがあり、ブラックトナーの帯電量がホワイトトナーの帯電量よりもさらに高く(すなわち、帯電量の絶対値が大きく)なり、ブラックトナーの帯電量とホワイトトナーの帯電量の差が大きくなる場合がある。そこで、ホワイトトナーを用いる画像形成ユニット10W(第2の画像形成ユニット)においては、後述する条件を満たすように画像形成ユニット10Wの各構成要素が制御される。
実施の形態2に係る画像形成装置1の画像形成ユニット10Wでは、実施の形態1に係る画像形成装置1の画像形成ユニット10Wと同様に、層形成ブレード102Wに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbw|が、現像ローラ101Wに印加される現像バイアスの絶対値|Vdw|よりも大きい。
実施の形態2においては、層形成ブレード102Kに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbb|、現像ローラ101Kに印加される現像バイアスの絶対値|Vdb|、層形成ブレード102Wに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbw|、及び現像ローラ101Wに印加される現像バイアスの絶対値|Vdw|が、次式の条件を満たすように、画像形成ユニット10K及び10Wにおける制御バイアスが設定される。
|Vbb|−|Vdb|<|Vbw|−|Vdw|
また、層形成ブレード102Wに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbw|と現像ローラ101Wに印加される現像バイアスの絶対値|Vdw|との関係が、次式(3)
0〔V〕<(|Vbw|−|Vdw|)≦400〔V〕 …(3)
を満たすように、層形成ブレード102Wに印加される層形成バイアスと現像ローラ101Wに印加される現像バイアスとが設定されていることが好ましく、特に、次式(4)
100〔V〕≦(|Vbw|−|Vdw|)≦300〔V〕 …(4)
を満たすように、層形成ブレード102Wに印加される層形成バイアスと現像ローラ101Wに印加される現像バイアスとが設定されることが好ましい。
式(3)に示されるように、(|Vbw|−|Vdw|)が下限値である0〔V〕より大きくなるように設定されることで電荷注入作用が生じやすくなり、層形成ブレード102Wを通過したホワイトトナーの帯電量を高く(すなわち、帯電量の絶対値を大きく)することができる。
ホワイトトナーの帯電量は、ある高さの帯電量で飽和することから、実施の形態2においては、(|Vbw|−|Vdw|)が400〔V〕よりも大きくなるように層形成ブレード102Wに印加される層形成バイアスと現像ローラ101Wに印加される現像バイアスとが設定されても、ホワイトトナーの帯電量に大きな変化がなく、消費電力が大きくなる。そのため、式(3)に示されるように、(|Vbw|−|Vdw|)が上限値である400〔V〕以下となるように層形成ブレード102Wに印加される層形成バイアスと現像ローラ101Wに印加される現像バイアスとが設定されていることが好ましい。
さらに、式(4)に示されるように、(|Vbw|−|Vdw|)を望ましい下限値100〔V〕以上とすれば、電荷注入作用により、層形成ブレード102Wを通過したホワイトトナーの帯電量をより一層高く(すなわち、帯電量の絶対値をより一層大きく)することができる。また、式(4)に示されるように、(|Vbw|−|Vdw|)を望ましい上限値300〔V〕以下とすれば、消費電力の抑制の効果が得られる。
なお、画像形成ユニット10Wにおいて、層形成バイアス及び現像バイアスが上記式(3)又は(4)の条件を満たすように設定された場合、画像形成ユニット10Wにおけるその他の構成要素に印加される電圧は、設定された層形成バイアス及び現像バイアスを考慮して適切に設定すればよい。
実施の形態2によれば、層形成ブレード102Wに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbw|と現像ローラ101Wに印加される現像バイアスの絶対値|Vdw|との差(|Vbw|−|Vdw|)は、層形成ブレード102Kに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbb|と現像ローラ101Kに印加される現像バイアスの絶対値|Vdb|との差(|Vbb|−|Vdb|)よりも大きいので、画像形成ユニット10Wにおいて現像ローラ101Wから感光体ドラム12Wに付着させるホワイトトナーの感光体ドラム12W表面における単位面積あたりの付着量を安定させることができる。また、画像形成ユニット10Kにおいて現像ローラ101Kから感光体ドラム12Kに付着させるブラックトナーの単位面積あたりの付着量が著しく多くならないように制御することができる。これを言い換えると、画像形成ユニット10Wにおいて現像ローラ101Wから感光体ドラム12Wに付着させるホワイトトナーの感光体ドラム12W表面における単位面積あたりの付着量と、画像形成ユニット10Kにおいて現像ローラ101Kから感光体ドラム12Kに付着させるブラックトナーの単位面積あたりの付着量とを適切な付着量にすることができる。
また、層形成ブレード102Kに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbb|が、現像ローラ101Kに印加される現像バイアスの絶対値|Vdb|よりも小さく、且つ、層形成ブレード102Wに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbw|が、現像ローラ101Wに印加される現像バイアスの絶対値|Vdw|よりも大きくなるように設定された状態において、層形成ブレード102Wに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbw|と現像ローラ101Wに印加される現像バイアスの絶対値|Vdw|との差(|Vbw|−|Vdw|)が、層形成ブレード102Kに印加される層形成バイアスの絶対値|Vbb|と現像ローラ101Kに印加される現像バイアスの絶対値|Vdb|との差(|Vbb|−|Vdb|)よりも大きくなるように構成されていることがさらに望ましい。このような構成によれば、層形成ブレード102Kを通過したブラックトナーの帯電量を低く抑え(すなわち、帯電量の絶対値を小さく抑え)、層形成ブレード102Wを通過したホワイトトナーの帯電量を高く(すなわち、帯電量の絶対値を大きく)することができるので、画像形成ユニット10Wにおいて現像ローラ101Wから感光体ドラム12Wに付着させるホワイトトナーの感光体ドラム12W表面における単位面積あたりの付着量と、画像形成ユニット10Kにおいて現像ローラ101Kから感光体ドラム12Kに付着させるブラックトナーの単位面積あたりの付着量とを適切な値に設定することができ、各色のトナー画像の濃度を適切に設定することができる。
≪実施の形態3≫
実施の形態3に係る画像形成装置1aは、基本的な構成が実施の形態1及び2で説明した画像形成装置1の構成と同じであり、制御ユニット4aが第3の電圧制御部415を有する点、及び特色トナーと透明トナー(以下、「クリアトナー」ともいう)とを互いに入れ替えて用いることができる点が、実施の形態1及び2に係る画像形成装置1の構成と異なる。したがって、実施の形態3の説明では、実施の形態1に係る構成と同一又は対応する構成については、同一の符号を用いて説明する。また、クリアトナーを用いる画像形成ユニット10CLの構成要素の基本的な構成は実施の形態1及び2で説明した画像形成ユニット10W及び10Kと同じであるが、画像形成ユニット10CLの各構成要素に印加される制御バイアスは、画像形成ユニット10W及び10Kの各構成要素に印加される制御バイアスと異なる場合がある。
図8は、本発明の実施の形態3に係る画像形成装置1aの構成を概略的に示す縦断面図である。図9は、実施の形態3における画像形成ユニット10CLの構成を概略的に示す拡大断面図である。図10は、実施の形態3に係る画像形成装置1aの制御系を示すブロック図である。図11は、実施の形態3における第1の電圧制御部、第2の電圧制御部、及び第3の電圧制御部と、画像形成ユニットとの関係を示すブロック図である。
実施の形態3に係る画像形成装置1aでは、同じ画像形成ユニット装着位置に、ホワイトトナーを用いる画像形成ユニット10W又はクリアトナーを用いる画像形成ユニット10CLのいずれかを選択的に装着することができる。また、ユーザは、画像形成装置1aに装着されている画像形成ユニット10Wを取外し、同じ装着位置に画像形成ユニット10CLを装着するユニット交換、及び、画像形成装置1aに装着されている画像形成ユニット10CLを取外し、同じ装着位置に画像形成ユニット10Wを装着するユニット交換を、行うことができる。
「クリアトナー」とは、ポリエステル樹脂、着色剤、帯電制御剤、及び離型剤等を含むトナーであって、ベース樹脂に対して樹脂由来の色味を打ち消す程度の蛍光発色剤などを有する着色剤を含むトナーをいう。さらに、クリアトナーは、外添剤(例えば、疎水性シリカ)が添加されていてもよい。実施の形態3で用いられるクリアトナーは、粉砕法により得られた粉砕形状の平均粒径が、例えば、8〔μm〕程度のクリアトナーであることが望ましい。ただし、実施の形態3で用いられるクリアトナーは、重合法などの他の製法で製造されたトナーであってもよい。
画像形成ユニット10Wと画像形成ユニット10CLとの交換は、ユーザが任意のタイミングで行うことができ、例えば、画像形成動作が停止しているときに行うことができる。画像形成装置1aにおいて、ホワイトトナーとクリアトナーとは、互いに入れ替えて用いることができる。ホワイトトナーとクリアトナーとを入れ替える際は、ホワイトトナーに対応する画像形成ユニット10W及びトナーカートリッジ20Wと、クリアトナーに対応する画像形成ユニット10CL及びトナーカートリッジ20CLとを入れ替えることにより、画像形成装置1aで使用されるトナーの色を変更することができる。また、実施の形態3においては、ホワイトトナー、イエロートナー、シアントナー、マゼンタトナー、及びブラックトナーを用いた例を示すが、ホワイトトナー及びクリアトナー以外のトナーは、任意の色のトナーを用いてもよい。
図8では、ホワイトトナーを用いる画像形成ユニット10W及びトナーカートリッジ20Wから、クリアトナーを用いる画像形成ユニット10CL及びトナーカートリッジ20CLに交換された画像形成装置1aが示されている。画像形成ユニット10CL,10W,10Y,10C,10M,10Kは、画像形成ユニットの種別(例えば、トナーの色)を識別する識別用メモリ16CL,16W,16Y,16C,16M,16Kをそれぞれ有する。例えば、画像形成ユニット10Wが画像形成装置1の外部に引き出されて、画像形成ユニット10CLが搭載されると、画像形成ユニット10CLの識別用メモリ16CLに記憶された情報(例えば、画像形成ユニットの種別を識別する情報)に基づいて、画像形成ユニットCLが搭載されたことが画像形成装置1aにより判別され、画像形成ユニット10CLにおいて適切な制御が実行される。
図8に示されるように、画像形成ユニット10CL,10Y,10C,10M,10Kは、中間転写ベルト51の回転方向の上流側から順にそれぞれ配列されている。図8には、5つの画像形成ユニット10CL,10Y,10C,10M,10K、及び5つのトナーカートリッジ20CL,20Y,20C,20M,20Kが示されているが、画像形成装置1aに搭載される画像形成ユニットの数及びトナーカートリッジの数は、それぞれ2以上4以下、又は6以上であってもよい。また、本発明は、電子写真方式を採用する装置であれば、複写機、ファクシミリ装置、多機能周辺装置(MFP)などのような他の電子機器にも適用可能である。
図8及び図9に示されるように、画像形成ユニット10CLは、露光装置としてのLEDヘッド11CLと、回転可能に支持された像担持体としての感光体ドラム12CLと、感光体ドラム12CLの表面を一様に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ13CLと、LEDヘッド11CLによる露光によって感光体ドラム12CLの表面に静電潜像を形成した後に、感光体ドラム12CLの表面にトナーを供給して静電潜像に対応するトナー像を形成する現像装置14CLと、感光体ドラム12CLの表面を清掃するクリーニングブレード15CLとを有する。
図9に示されるように、現像装置14CLは、トナーを収容する現像剤収容スペースを形成するトナー収容部と、感光体ドラム12CLの表面にトナーを供給する現像ローラ101CLと、現像ローラ101CLに担持されたトナー層の厚さを規制する層形成部材としての層形成ブレード102CLと、トナー収容部内に収容されたトナーを現像ローラ101CLに供給する供給ローラ103CLとをそれぞれ有する。なお、画像形成ユニット10CL及び現像装置14CLの構成は、上記の例に限定されず、他の構成を採用してもよい。画像形成ユニット10CLにおけるこれらの各構成要素の材料、構造、及び形状等は、実施の形態1で説明した画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kにおける各構成要素と同様の材料、構造、及び形状等を採用することができる。
図10に示されるように、画像形成装置1aは、主に制御ユニット4aにより制御される。制御ユニット4aの構成及び機能は、基本的に実施の形態1で説明した制御ユニット4と同様であるが、実施の形態3における制御ユニット4aはさらに第3の電圧制御部415を有する。
図11に示されるように、第3の電圧制御部415は、第1の電圧制御部409及び第2の電圧制御部410から独立して機能し、予め決められた複数の層形成バイアスのうち、ホワイトトナーを用いる画像形成ユニット10W(第2の画像形成ユニット)における層形成ブレード102Wに印加する電圧Vbw、及びクリアトナーを用いる画像形成ユニット10CLにおける層形成ブレード102CLに印加する電圧Vbclのいずれかを選択して、搭載されている画像形成ユニット(例えば、10W及び10CLのうちのいずれかの画像形成ユニット)に選択した層形成バイアスを印加する。例えば、第3の電圧制御部415は、画像形成ユニット10Wが画像形成装置1aに搭載されている場合に、予め決められた複数の層形成バイアスのうちのいずれかを層形成ブレード102Wに印加する層形成バイアスVbwとして選択して、選択した層形成バイアスを層形成ブレード102Wに印加する。
次に、画像形成動作中に画像形成ユニット10CLにおける各構成要素に印加される制御バイアスの例について説明する。画像形成ユニット10CLにおいて、画像形成動作が開始されると、現像電圧制御部408により現像ローラ101CLに、例えば、−200〔V〕の現像バイアスVdclが印加される。供給ローラ103CLには、第1の電圧制御部409により、例えば、−300〔V〕の供給バイアスVsclが印加される。供給バイアスVscl及び現像バイアスVdclを同極性とし、供給バイアスの絶対値|Vscl|が現像バイアスの絶対値|Vdcl|よりも大きくなるように供給バイアスVscl及び現像バイアスVdclが設定されることにより、トナーが供給ローラ103CLから現像ローラ101CLに供給される。
層形成ブレード102CLには、第3の電圧制御部415により、現像バイアスVdclと同極性のバイアスである、例えば、−150〔V〕の層形成バイアスVbclが印加される。帯電ローラ13CLには、帯電電圧制御部411により、例えば、−1000〔V〕の帯電バイアスが印加され、感光体ドラム12CLの表面電位が、例えば、−450〔V〕となるように、感光体ドラム12CLの表面が帯電される。
画像形成ユニット10CLにおいて用いられるクリアトナーは、現像ローラ101CLに担持されて層形成ブレード102CLを通過すると、ホワイトトナーの単位重量あたりの帯電量が、例えば、−30〔μC/g〕となる。したがって、層形成ブレード102CLを通過したクリアトナーは負極性であり、現像ローラ101CLの現像バイアスと感光体ドラム12CLの表面の電位との差により、現像ローラ101CLに担持されたクリアトナーが感光体ドラム12CLの表面(例えば、画像データに対応して露光された部分)に付着する。ただし、画像形成ユニット10CLにおける制御バイアスの例は上記の例に限られない。
ホワイトトナーを用いた画像形成ユニット10W(第2の画像形成ユニット)の各構成要素の制御は、実施の形態1及び2で説明した例と同様の例を適用できる。また、画像形成ユニット10Y,10C,10M,10K(第1の画像形成ユニット)の各構成要素の制御は、実施の形態1及び2で説明した画像形成ユニット10Kの制御例と同様の例を適用できる。ただし、各画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10Kにおける制御バイアスの例は実施の形態1及び2で説明した例に限られない。
画像形成装置1aにホワイトトナーを用いた場合、ホワイトトナーの単位重量あたりの帯電量(例えば、−7.4〔μC/g〕)は低い(すなわち、帯電量の絶対値が小さい)ので、記録媒体上に汚れは発生し難いが、記録媒体上にかぶりは発生しやすい。一方、画像形成装置1aにクリアトナーを用いた場合、クリアトナーの単位重量あたりの帯電量(例えば、−30〔μC/g〕)は高い(すなわち、帯電量の絶対値が大きい)ので、記録媒体上に汚れは発生しやすいが、記録媒体上にかぶりは発生し難い。そこで、実施の形態3によれば、画像形成ユニット10Wと画像形成ユニット10CLとが交換された場合に、第1の電圧制御部409及び第2の電圧制御部410から独立した第3の電圧制御部415により、層形成ブレード(102W,102CL)に印加される層形成バイアスが個別に設定されるので、交換されたトナーの帯電性に合わせた層形成バイアスの設定を容易に行うことができ、画像品質を安定させることができる。なお、本明細書において「汚れ」とは、正常に帯電したトナーと比べて帯電量が高い(すなわち、帯電量の絶対値が大きい)トナー、いわゆる、過剰帯電トナーにより画像の背景部、すなわち、非画像部にトナーが付着することをいい、この「汚れ」を引き起こす過剰帯電トナーを「汚れトナー」という。
実施の形態3において、交換可能な画像形成ユニットとして、ホワイトトナーを用いる画像形成ユニット10W及びクリアトナーを用いる画像形成ユニット10CLを例として説明したが、交換可能な画像形成ユニットのトナーの種類はこれらに限られず、マイカトナー、UV(Ultraviolet)トナー、金トナー、及び銀トナーなどのような他のトナーを用いた画像形成ユニットを交換可能に構成された画像形成装置であってもよい。
以上に説明したように、実施の形態3によれば、第1の電圧制御部409及び第2の電圧制御部410から独立した第3の電圧制御部415を用いているので、簡易な構成により、入れ替えられた画像形成ユニットのトナーの帯電性などの特性に応じて、層形成バイアスを変更でき、かぶり及び汚れの少ない高品位な画像を得ることができる。
上記の各実施の形態においては、各画像形成ユニット10W,10Y,10C,10M,10K,10CLにおける各構成要素に印加される制御電圧が負極性である例を示したが、本発明は、各画像形成ユニット(金属色トナーを用いる画像形成ユニットを含む)の各構成要素に印加される制御電圧が正極性である例にも適用できる。すなわち、各画像形成ユニットにおける各構成要素に印加される制御電圧が同極性であれば本発明を適用できる。なお、各画像形成ユニットにおける各構成要素に印加される制御電圧が正極性である構成に本発明を適用する場合は、各画像形成ユニットにおいて使用するトナーが正極性に帯電するトナーを用いるとよい。
《変形例1》
図12は、画像形成装置1,1aの内部構造の一部を変形させた変形例を概略的に示す縦断面図である。上記の各実施の形態では、中間転写ベルトを用いた中間転写方式を採用した画像形成装置1,1aを例として説明したが、図12に示される画像形成装置1bのように、搬送ベルト(転写ベルト)51b上の記録媒体Pに感光体ドラムから直接トナー像を転写する直接転写方式を採用した画像形成装置にも本発明を適用できる。
また、上記の各実施の形態では、中間転写ベルト51の移動方向における最上流にホワイトトナーを用いる画像形成ユニット10Wが配置された例を示したが、図12に示されるように、画像形成ユニットの配列順は任意に決めることができ、例えば、画像形成ユニット10Wを搬送ベルトの移動方向における最下流に配置してもよい。
《変形例2》
図13は、画像形成装置1,1aの内部構造の一部を変形させた変形例を概略的に示す縦断面図である。上記の各実施の形態では、5つの画像形成ユニットが配列された例を示したが、画像形成装置に搭載される画像形成ユニットの数及びトナーカートリッジの数は、それぞれ2以上4以下、又は6以上であってもよい。例えば、図13に示される画像形成装置1cのように、例えば、ホワイトトナーを用いる画像形成ユニット10Wと、他の色のトナーを用いる3つの画像形成ユニットとを中間転写ベルト51c上に配列した画像形成装置にも本発明を適用できる。
また、上記の各実施の形態及び変形例では、複数の像担持体が互いに並行に配列されたタンデム方式の画像形成装置を例として説明したが、像担持体が1つである4サイクル方式のカラー画像形成装置にも本発明を適用できる。