JP6459445B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置に関する。
従来技術として、凹凸の差の大きな記録紙に対してトナーを均一に転写させるために、転写部材または転写部材に対向する対向部材に、直流成分と交流成分とを重畳したバイアスを供給する技術が存在する。
例えば特許文献1には、直流成分と交流成分とを重畳した転写バイアスを印加する転写装置において、転写バイアスにおけるプラス極性のピーク値と、マイナス極性のピーク値とのうち、転写ニップ内で像担持体上から記録材に移動したトナーを記録材から像担持体に戻す戻しピーク値を、記録材の表面凹凸が大きなものであるほど、大きくする処理を実施する技術が開示されている。
また、特許文献2には、直流成分と交流成分とを重畳したバイアスを転写部材または対向部材に印加する転写装置において、転写部材の表面に保護剤を塗布する技術が開示されている。
特許第5522538号公報 特開第2013−178451号公報
本発明は、直流電源と交流電源とを有する電源により転写部材と対向部材との間に電界を形成する画像形成装置において、転写部材の表面の十点平均粗さ(Rz)がトナーの体積平均粒径よりも大きい場合と比較して、転写部材の表面に付着したトナーによる被転写体の裏面汚れの発生を抑制することを目的とする。
請求項1に係る発明は、トナー像を保持する保持体と、表面の十点平均粗さ(Rz)がトナー像を構成するトナーの体積平均粒径以下に形成され、回転しながら当該表面と前記保持体との間に被転写体を挟んで当該保持体に保持されたトナー像を被転写体に転写する転写部材と、前記保持体を介して前記転写部材に対向する対向部材と、直流電圧を出力する直流電源と交流電圧を出力する交流電源とが直列に接続され、前記転写部材と前記対向部材との間に予め定めた極性の電界を形成する電源と、前記転写部材の前記表面に付着したトナーを当該表面から除去する除去部材と、前記電源によって前記転写部材と前記対向部材との間に形成される電界の極性を切り替えるための切り替え制御を行う制御手段とを備え、前記保持体に保持されるトナー像は、被転写体に転写される第1トナー像と、被転写体に転写されない第2トナー像とを含み、前記制御手段は、前記第1トナー像が前記転写部材を通過して被転写体に転写された後、前記第2トナー像が当該転写部材に到達する前に、前記切り替え制御を行うことを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に係る発明は、複数の被転写体に対して連続してトナー像を転写する場合に前記転写部材に搬送される被転写体同士の間隔x(mm)、当該転写部材の回転速度V(mm/s)、および前記制御手段により前記切り替え制御が行われてから当該転写部材と前記対向部材との間に形成される電界の極性が切り替わるまでの応答時間τ(s)が、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
x/V≦2τ …(1)
請求項3に係る発明は、前記電源は、前記直流電源により出力される直流電圧と前記交流電源により出力される交流電圧とを重畳した重畳電圧により、前記転写部材と前記対向部材との間に、前記保持体に保持されたトナー像を被転写体に転写する転写電界を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、前記保持体に保持されるトナー像は、体積平均粒径が互いに異なる複数種類のトナーにより構成され、前記転写部材の表面の十点平均粗さ(Rz)は、複数種類のトナーのうち最も体積平均粒径が小さいトナーの体積平均粒径以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置である
請求項1に係る発明によれば、直流電源と交流電源とを有する電源により転写部材と対向部材との間に電界を形成する画像形成装置において、転写部材の表面の十点平均粗さ(Rz)がトナーの体積平均粒径よりも大きい場合と比較して、転写部材の表面に付着したトナーによる被転写体の裏面汚れの発生を抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、間隔x、回転速度Vおよび応答時間τが式(1)を満たさない場合と比較して、画像形成の生産性の低下が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、直流電圧により転写電界を形成する場合と比較して、被転写体に形成される画像の濃度むらが抑制される。
請求項4に係る発明によれば、複数種類のトナーのうち最も体積平均粒径が小さいトナーを用いた場合であっても、転写部材の表面に付着したトナーを容易に除去することができる
本実施の形態が適用される画像形成装置の全体構成を示した図である。 本実施の形態が適用される二次転写部の構成を説明するための図である。 (a)〜(b)は、主制御部により二次転写部に供給するバイアスを二次転写バイアスから非転写バイアスへ切り替える制御を行った場合の、二次転写部に形成される電界の変化を示した図である。 (a)〜(b)は、中間転写ベルトに保持された調整用トナー像が二次転写部に到達した際の、トナーの挙動を示した図である。 二次転写ロールの表面凹凸(Rz)がトナーの体積平均粒径以下である本実施の形態の二次転写部における二次転写ロールとトナーとの関係、およびロールクリーナによるトナーの除去動作を示した図である。 二次転写ロールの表面凹凸(Rz)が、トナーの体積平均粒径よりも大きい場合の二次転写ロールとトナーとの関係、およびロールクリーナによるトナーの除去動作を示した図である。 (a)〜(b)は、中間転写ベルトに保持される調整用トナー像と、二次転写部に形成される電界との関係を示した図である。 (a)〜(b)は、中間転写ベルトに保持される調整用トナー像と、二次転写部に形成される電界との関係を示した図である。 測定結果に基づいて、二次転写ロールの表面凹凸(Rz)の大きさと、二次転写ロールの表面に残存したトナーの量との関係を示した図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成を示した図である。
図1に示す画像形成装置1は、所謂「タンデム型」のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部10と、画像形成装置1全体の動作制御や例えばパーソナルコンピュータ(PC)等との通信、画像データに対して行う画像処理等を実行する制御手段の一例としての主制御部50と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)部90とを備えている。
画像形成部10は、例えば電子写真方式により画像を形成する機能部であって、並列的に配置される6つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11K、11G、11S(以下では、これら全体を画像形成ユニット11と称することがある)を備えている。
これらのうち、画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。これに対し、画像形成ユニット11G、11Sは、それぞれ、金(G)、銀(S)のトナー像を形成する。なお、以下の説明においては、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各色を通常色と称し、金属顔料にて着色される金および銀の各色を特殊色と称する。なお、このような特殊色としては、上述した金や銀以外に、白、クリアトナー、ライトシアン、ライトマゼンタ、オレンジ、ヴァイオレット、グリーン等が挙げられる。
そして、本実施の形態の画像形成装置1では、通常色すなわち、イエロー、マゼンタ、シアンおよび黒のトナーを用いたフルカラー画像の形成が行えるとともに、特殊色すなわち、金および/または銀のトナーを用いた金属色を呈する画像をさらに重畳させたフルカラー画像の形成も行えるようになっている。
各画像形成ユニット11は、図中矢印で示す方向に回転可能に設けられた感光体ドラム12を有している。また、各画像形成ユニット11は、この感光体ドラム12の周囲に矢印方向に沿って設けられた、帯電器13、露光器14、現像器15およびドラムクリーナ16を有している。
感光体ドラム12は、金属製の薄肉の円筒形ドラムの表面に有機感光層(図示せず)を形成してなり、ここでは有機感光層が負極性に帯電する材料で構成されている。また、感光体ドラム12は接地されている。
帯電器13は、感光体ドラム12の表面(有機感光層)を、予め定められた負の電位に帯電する。このため、帯電器13には、感光体ドラム12を負の電位に帯電するための帯電バイアスが印加される。
露光器14は、帯電器13によって負の電位に帯電された感光体ドラム12に、レーザ光等を用いて選択的に光書き込みを行うことで静電潜像を形成する。ここで、本実施の形態の露光器14は、トナー像(画像)となる部位(画像部)に対して光を照射し、背景となる部位(背景部)に対しては光を照射しない、所謂画像部露光形式にて露光を行う。なお、露光器14における光源としては、レーザ光源以下に、LED(Light Emitting Diode)光源を用いることも可能である。
現像器15は、感光体ドラム12に対向して回転可能に配置される現像ロール15aを備えており、現像器15の内部には、予め決められた色のトナーを含む現像剤を収容している。ここで、本実施の形態の現像器15では、現像剤として、磁性を有するキャリアと、予め決められた色に着色されたトナーとを含む、所謂2成分現像剤を用いている。また、この現像剤において、キャリアは正の帯電極性を有しており、トナーは負の帯電極性を有している。
現像ロール15aは磁石(図示せず)を内蔵しており、静電気力によってトナーを付着させたキャリアすなわち現像剤を、磁力によって現像ロール15aの表面に保持する。現像器15では、現像ロール15a上に保持させた現像剤が形成する磁気ブラシを感光体ドラム12に接触させて、感光体ドラム12上の静電潜像をトナーで現像する。この現像器15は、現像ロール15aを負の電位とするための現像バイアスを供給することで、静電潜像のうち負極性に帯電している画像部に、負極性に帯電したトナーを転移させる、所謂反転現像方式にて現像を行う。
ドラムクリーナ16は、転写(一次転写)後の感光体ドラム12の表面を清掃する。
そして、各画像形成ユニット11の現像器15の各々は、それぞれに対応する色のトナーを貯蔵するトナー貯蔵容器17Y、17M、17C、17K、17G、17S(以下では、これら全体をトナー貯蔵容器17と称することがある)と、トナー搬送路(図示せず)によって連結されている。そして、トナー搬送路中に設けられた補給用スクリュー(図示せず)により、トナー貯蔵容器17から現像器15に各色トナーが補給されるように構成されている。
また、画像形成部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12に形成された各色トナー像が転写される中間転写ベルト20と、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト20に転写(一次転写)する一次転写ロール21とを備えている。さらに、画像形成部10は、中間転写ベルト20上に重畳して転写された各色トナー像を被転写体(記録材)である用紙に一括転写(二次転写)する二次転写部30を備えている。なお、二次転写部30の構成については後段にて説明する。
中間転写ベルト20は、保持体の一例であって、ポリイミドあるいはポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の導電剤を適当量含有させたフィルム状の無端ベルトで構成されている。中間転写ベルト20は、各種ロール(図示せず)によって図1に示す矢印方向に予め定められた速度で循環駆動(回転)されている。
さらにまた、画像形成部10は、転写(二次転写)後の中間転写ベルト20の表面を清掃するベルトクリーナ23と、二次転写された各色トナー像を用紙上に定着させる定着器60とを備えている。加えて、画像形成部10は、定着器60にて用紙上に定着された各色トナー像を冷却し、用紙上への各色トナー像の定着を促進する冷却器70と、用紙の曲がり(カール)を矯正するカール矯正器80とを備えている。
また、画像形成部10は、用紙搬送系として、用紙を収容する複数(本実施の形態では2個)の用紙収容容器40A、40Bと、この用紙収容容器40A、40Bに収容された用紙を繰り出して搬送する繰出しロール41A、41Bと、用紙収容容器40Aからの用紙を搬送する第1搬送路R1と、用紙収容容器40Bからの用紙を搬送する第2搬送路R2とを備えている。さらに、画像形成部10は、用紙収容容器40Aおよび用紙収容容器40Bからの用紙を二次転写部30に向けて搬送する第3搬送路R3を備えている。加えて、画像形成部10は、二次転写部30にて各色トナー像が転写された用紙を定着器60、冷却器70およびカール矯正器80を通過するように搬送する第4搬送路R4と、カール矯正器80からの用紙を画像形成装置1の外側に設けられた用紙積載部44に向けて搬送する第5搬送路R5とを備えている。
第1搬送路R1乃至第5搬送路R5には、それぞれに沿って用紙を順次搬送する搬送ロールや搬送ベルトが配置されている。
また、画像形成部10は、両面搬送系として、定着器60で第1面に各色トナー像が定着された用紙を一旦保持する中間用紙収容容器42と、カール矯正器80からの用紙を中間用紙収容容器42に向けて搬送する第6搬送路R6と、中間用紙収容容器42に収容された用紙を上記の第3搬送路R3に向けて搬送する第7搬送路R7とを備えている。さらに、画像形成部10は、カール矯正器80の用紙搬送方向下流側に配置され、用紙を用紙積載部44に向けて搬送する第5搬送路R5と中間用紙収容容器42に搬送する第6搬送路R6とに選択的に振り分ける振分機構部43と、中間用紙収容容器42に収容された用紙を繰り出して第7搬送路R7に向けて搬送する繰出しロール45とを備えている。
さらに、画像形成部10は、画像形成ユニット11Sの下流に設けられ、画像の画質調整を行うための画像濃度センサ29を備えている。画像濃度センサ29は、中間転写ベルト20に形成された調整用トナー像(トナーパッチ;後述する図7(a)におけるQ)を検出する。
[二次転写部について]
続いて、本実施の形態の二次転写部30の構成について説明する。図2は、本実施の形態が適用される二次転写部30の構成を説明するための図である。
図2に示すように、本実施の形態の二次転写部30は、中間転写ベルト20上に重畳して一次転写された各色トナー像を用紙に対して二次転写する転写部材の一例としての二次転写ロール31と、中間転写ベルト20を介して二次転写ロール31に対向配置される対向部材の一例としての対向ロール32とを備えている。二次転写ロール31は、接地されている。
また、二次転写部30は、二次転写ロール31の外表面に接触するように配置され、対向ロール32との対向部を通過した後の二次転写ロール31の表面に付着したトナーを除去する除去部材の一例としてのロールクリーナ35を備えている。
ロールクリーナ35は、例えばウレタンゴム等の弾性材料で構成され二次転写ロール31の軸方向に沿って延びるブレード状の部材である。ロールクリーナ35は、図2に示すように、二次転写ロール31の軸方向と直交する断面が四角形状を有しており、角の一つが二次転写ロール31の回転方向に対してカウンタ方向に接触するように設けられている。これにより、二次転写ロール31の回転に伴って、二次転写ロール31の表面に付着したトナーがロールクリーナ35により掻き取られるようになっている。なお、ロールクリーナ35により掻き取られたトナーは、画像形成装置1内に設けられた蓄積容器(図示せず)内に落下し蓄積された後、廃トナーとして廃棄される。なお、ロールクリーナ35による二次転写ロール31からのトナーの除去動作については、後段にて詳細に説明する。
さらに、二次転写部30は、主制御部50による制御に基づいて予め定められた電圧を出力し、二次転写ロール31と対向ロール32との間に予め定められた極性の電界を形成する電源の一例としての電源装置36を備えている。さらに、二次転写部30は、対向ロール32の外表面に接触するように配置され電源装置36から出力された電圧を対向ロール32に対して供給する金属製の給電ロール37を備えている。
<電源装置について>
電源装置36は、図2に示すように、直流成分の一例である直流電圧を出力する直流電源361と、交流成分の一例である交流電圧を出力する交流電源362とを有している。本実施の形態の電源装置36は、接地され、直流電源361および交流電源362は、接地側からこの順で直列に接続されている。
そして、本実施の形態の電源装置36は、主制御部50(図1参照)による制御に基づいて、直流電源361による直流電圧、または、直流電源361による直流電圧と交流電源362による交流電圧とを重畳した重畳電圧を出力する。
二次転写部30では、電源装置36により出力された電圧が対向ロール32に供給されることで、二次転写ロール31と対向ロール32との間に、予め定めた極性の電界が形成される。
ここで、本実施の形態では、電源装置36により対向ロール32に対して負の電圧(二次転写バイアス)が供給されることで、二次転写ロール31と対向ロール32との間に二次転写電界が形成される。具体的には、対向ロール32に対して、二次転写バイアスとして直流電源361から出力される負の直流電圧、または直流電源361から出力される負の直流電圧と交流電源362から出力される交流電圧とを重畳した重畳電圧が供給される。これにより、二次転写ロール31と対向ロール32との間に二次転写電界が形成される。
そして、この状態で、二次転写部30に用紙が搬送されると、中間転写ベルト20に保持された各色トナー像が二次転写ロール31側に静電吸引され、用紙に二次転写される。
ところで、従来、画像形成装置1において、エンボス紙等の表面凹凸が大きい用紙に対して画像を形成する場合、用紙の表面凹凸に倣った画像の濃淡パターンが形成されやすくなるという問題が存在する。このような濃淡パターンは、中間転写ベルト20上に保持された各色トナー像を用紙に二次転写する際に、用紙表面の凹部において、凸部と比較して十分量のトナーが転写されず、凹部の画像濃度が凸部よりも薄くなることによって生じるものである。
これに対し、本実施の形態の二次転写部30では、対向ロール32に対して、電源装置36により、直流電源361からの直流電圧と交流電源362からの交流電圧とを重畳した重畳電圧が印加される。これにより、二次転写部30において、トナーを振動・衝突させ、中間転写ベルト20に対するトナーの付着力を低下させている。この結果、本実施の形態の二次転写部30では、用紙の凹部へのトナーの転写が促進される。そして、凹部の画像濃度が凸部よりも薄くなることが抑制され、用紙に形成される画像に濃淡パターンが発生することが抑制される。
さらに本実施の形態では、電源装置36により、対向ロール32に対して、二次転写バイアスに代えて二次転写バイアスとは逆極性の正の電圧(非転写バイアス)が供給されるようになっている。具体的には、対向ロール32に対して、非転写バイアスとして直流電源361から出力される正の直流電圧が供給される。そして、電源装置36により非転写バイアスが供給されることで、二次転写ロール31と対向ロール32との間に、二次転写電界とは逆極性の非転写電界が形成される。
<対向ロールについて>
対向ロール32は、例えば、表面にカーボンを分散したエチレンプロピレンゴム(EPDM)とニトリルゴム(NBR)とのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMからなる。そして、対向ロール32は、その表面抵抗率が、例えば7logΩ/□以上10logΩ/□以下の範囲となるように形成される。また、対向ロール32は、硬度が、例えば70°(アスカC)に設定される。
<二次転写ロールについて>
二次転写ロール31は、両端が軸受部材(図示せず)により回転可能に支持されるシャフト311と、弾性を有する部材からなりシャフト311の外周面に設けられる円筒形状の弾性層312と、弾性層312の外周面に設けられるコート層313とを備えている。
なお、詳細については後述するが、本実施の形態の二次転写ロール31は、表面(中間転写ベルト20に対向する面)の表面凹凸(十点平均粗さRz)が、トナーの平均粒径以下となっている。
(シャフト)
シャフト311は、全体として円筒状または円柱状の導電性を有する材料からなる。そして、シャフト311は、二次転写ロール31の電極として機能するとともに二次転写ロール31全体を支持する支持部材として機能する。
シャフト311を構成する材料としては、例えば、鉄(快削鋼等)、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属が挙げられる。また、シャフト311として、樹脂やセラミック等の外周面にメッキ処理を施した部材や、樹脂やセラミック等に導電剤を分散させた部材を用いてもよい。
なお、シャフト311の形状は、中空形状(円筒状)であってもよく、中実形状(円柱状)であってもよい。
(弾性層)
弾性層312は、導電性および弾性を有する部材からなり、弾性材料(ゴム材料)と導電性付与剤とを含む。また、弾性層312は、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。さらに、弾性層312は、導電性を有する発泡弾性体からなってもよく、導電性を有する非発泡弾性体からなってもよい。ただし、弾性層312の表面研磨による表面粗さの制御の容易さや、弾性層312を形成する際に弾性層312内への液体の侵入を防止する等の観点から、弾性層312としては非発泡弾性体を用いることが好ましい。
なお、本実施の形態では、弾性層312の表面研磨により、後述するように二次転写ロール31の表面凹凸(十点平均粗さRz)を制御している。
弾性層312を構成する弾性材料(ゴム材料)としては、例えば、化学構造中に二重結合を有する弾性材料が挙げられる。このような弾性材料として具体的には、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等や、これらを混合したゴム等が挙げられる。
これらの弾性材料の中でも、ポリウレタン、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR、およびこれらを混合したゴムを用いることが好ましい。
導電性付与剤は、弾性層312に導電性を付与するために用いられ、弾性層312を構成する弾性材料の導電性が低い場合や弾性材料が導電性を有していない場合等に用いられる。
導電性付与剤としては、電子導電剤、イオン導電剤が挙げられる。
電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン固溶体、酸化錫−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;等の粉末が挙げられる。
ここで、電子導電剤として用いるカーボンブラックとして具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック35」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、同「MONARCH1300」、同「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
電子導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
弾性層312において電子導電剤は、通常、弾性材料(ゴム材料)100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲で含有される。
イオン導電剤としては、例えば、四級アンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、ハロゲン化ベンジル塩(例えば、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等)、エトサルフェート塩等)、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩、各種ベタイン、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル塩等が挙げられる。
イオン導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
弾性層312においてイオン導電剤は、通常、弾性材料(ゴム材料)100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲で含有される。
また、必要に応じて弾性層312に添加されるその他の添加剤としては、例えば、発泡剤、発泡助剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム等)、一般にゴム材料に添加され得る材料が挙げられる。
(コート層)
コート層313は、例えば二次転写ロール31からの用紙の剥離やトナーの除去を容易にし、また、弾性層312の摩耗を抑制するために設けられる。
コート層313は、導電性を有する材料からなり、樹脂材料と、導電性付与剤とを含む。また、コート層313は、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。
コート層313を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、共重合ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレンブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等)、尿素樹脂等が挙げられる。
ここで、共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンのうちのいずれか1種または複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。
また、コート層313を構成する樹脂材料は、硬化性樹脂を硬化剤により硬化したものであってもよい。
ここで、本実施の形態では、二次転写ロール31表面の微小硬度およびヤング率を調整して割れおよび傷の発生を共に抑制する観点から、コート層313は、硬化性樹脂と、硬化剤と、カーボンブラックとを含む組成物から構成されることが好ましい。特に、コート層313は、イソシアネート基と反応し得る官能基を持つ樹脂(硬化性樹脂)と、イソシアネート系硬化剤と、カーボンブラックとを含む組成物の硬化膜から構成されることが好ましい。
コート層313をこのような硬化膜により構成することで、例えば、硬化剤の種類および量、焼成温度(硬化温度)を調整すること等により二次転写ロール31表面の低ヤング率化を実現し、割れの発生を抑制しやすくなる。また、この一方で、カーボンブラックの含有量を調整することにより、二次転写ロール31表面の微小硬度を高め、二次転写ロール31表面の傷の発生を抑制しやすくなる。このため、コート層313として上述した硬化膜を用いることが好適である。
ここで、このようなコート層313に用いる硬化性樹脂としては、例えば、4フッ化エチレン−ビニルモノマー共重合体、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
特に、イソシアネート基と反応し得る官能基を持つ樹脂としては、分子内に水酸基を有するアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられる。また、コート層313の機能向上等の観点では、例えば、フルオロオレフィン共重合体(例えば、4フッ化エチレン−ビニルモノマー共重合体等)、フッ化ビニル共重合体等を用いることが好ましい。
また、コート層313に用いる硬化剤としては、分子末端にイソシアネート基を有する低分子量のポリイソシアネート系化合物が好適に用いられる。このような硬化剤として具体的には、日本ポリウレタン社製「コロネートL」、同「コロネート2030」、同「コロネートHX」、同「コロネートHL」、バイエル社製「デスモジュールL」、同「デスモジュールN3300」、同「デスモジュールHT」、武田薬品社製「タケネートD102」、同「タケネートD160N」、同「タケネートD170N」、住化バイエルウレタン社製「スミジュールN3300」、デグサ社製「T1890」等が挙げられる。また、硬化剤として、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いてもよい。
コート層313において、硬化性樹脂および硬化剤は、ポリオール中の水酸基(OH基)に対するイソシアネート基(NCO基)のモル比(NCO/OH、R値)が、0.2以上1.5以下の範囲となるような配合比で混合することが好ましく、0.3以上1.3以下の範囲となるような配合比で混合することがより好ましく、0.9以上1.1以下の範囲となるような配合比で混合することがさらに好ましい。
また、コート層313に必要に応じて添加されるその他の添加剤としては、例えば、反応抑制剤、金属触媒の他、界面活性剤、整泡剤、脱泡剤、難燃剤、可塑剤、顔料、染料、安定剤、制菌剤、充填剤等、コート層313の物性制御の為の添加剤が挙げられる。
コート層313は、上述した各成分を溶剤に分散させて塗布液を調整し、弾性層312上にこの塗布液を塗布し、乾燥、必要に応じて焼成(硬化)することにより形成される。
ここで、塗布液の調整には、導電性付与剤(カーボンブラック等)の分散性を高める観点から、ジェットミルまたはホモジナイザ等の衝突型分散機を利用することが好ましい。導電性付与剤(カーボンブラック等)の分散性を高めることで、コート層313の低効率の過剰な上昇を抑制しながら、コート層313中の導電性付与剤の含有量を高め、二次転写ロール31の表面における微小硬度が高められる。
塗布液に用いる溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、2−メトキシエタノール(メチルセルソルブ)、2−エトキシエタノール(エチルセルソルブ)、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
[画像形成動作について]
次に、本実施の形態が適用される画像形成装置1において行われる基本的な画像形成動作について説明する。
画像形成部10の各画像形成ユニット11は、電子写真プロセスによりY色、M色、C色、K色、G色、S色の各色トナー像を形成する。各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像は、各一次転写ロール21により中間転写ベルト20上に順に一次転写され、各色トナー像が重畳された合成トナー像を形成する。中間転写ベルト20上の合成トナー像は、中間転写ベルト20の移動(矢印方向)に伴って二次転写部30に搬送される。
一方、用紙搬送系では、各画像形成ユニット11での画像形成の開始タイミングに合わせて繰出しロール41A、41Bが回転動作し、用紙収容容器40Aおよび用紙収容容器40Bの中から例えばUI部90にて指定された方の用紙が繰出しロール41A、41Bにより繰り出される。繰出しロール41A、41Bにより繰り出された用紙は、第1搬送路R1または第2搬送路R2と、第3搬送路R3とに沿って搬送され、二次転写部30に到達する。
二次転写部30では、後述する二次転写ロール31および対向ロール32の間に形成された二次転写電界によって、中間転写ベルト20上に保持された合成トナー像が用紙に一括して二次転写される。
その後、合成トナー像が転写された用紙は、中間転写ベルト20から分離され、第4搬送路R4に沿って定着器60に搬送される。定着器60に搬送された用紙上の合成トナー像は、定着器60によって定着処理を受けて用紙上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙は、冷却器70にて冷却され、カール矯正器80にて用紙の曲がりが矯正される。その後、カール矯正器80を通過した用紙は、振分機構部43により、片面印刷時には第5搬送路R5に導かれて、用紙積載部44に向けて搬送される。
なお、一次転写後に感光体ドラム12に付着しているトナー(一次転写残トナー)はドラムクリーナ16によって、二次転写後に中間転写ベルト20に付着しているトナー(二次転写残トナー)はベルトクリーナ23によって、それぞれ除去される。
一方、両面印刷時には、上述した過程によって用紙の第1面上に定着画像が形成された用紙は、カール矯正器80を通過した後、振分機構部43により第6搬送路R6に導かれ、第6搬送路R6を中間用紙収容容器42に向けて搬送される。そして再び、各画像形成ユニット11による第2面の画像形成の開始タイミングに合わせて繰出しロール45が回転し、中間用紙収容容器42から用紙が繰り出される。繰出しロール45により繰り出された用紙は、第7搬送路R7および第3搬送路R3に沿って搬送され、二次転写部30に到達する。
二次転写部30では、第1面の場合と同様にして、二次転写ロール31および対向ロール32の間に形成された二次転写電界によって、中間転写ベルト20上に保持された第2面の合成トナー像が用紙に一括して二次転写される。
そして、両面にトナー像が転写された用紙は、第1面の場合と同様に定着器60にて定着され、冷却器70にて冷却され、さらにはカール矯正器80にて用紙の曲がりが矯正される。その後、カール矯正器80を通過した用紙は、振分機構部43により第5搬送路R5に導かれて、用紙積載部44に向けて搬送される。
このようにして、画像形成装置1での画像形成動作が、プリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
[調整用トナー像の形成動作について]
また、本実施の形態の画像形成装置1では、各画像形成ユニット11は、上述した用紙上に画像を形成するためのトナー像(以下、画像形成用トナー像と称する)を形成する動作に加え、画像形成用トナー像の画像濃度等を調整するために用いられるトナー像(以下、調整用トナー像と称する)を形成する動作を行う。ここで、画像形成用トナー像は第1トナー像の一例であり、調整用トナー像は第2トナー像の一例である。
具体的に説明すると、本実施の形態では、中間転写ベルト20のうち、画像形成用トナー像が形成され用紙が搬送される領域(後述する図7(a)におけるP1、P2)の間隙(インターイメージ領域)に、画像形成ユニット11により調整用トナー像(トナーパッチ;後述する図7(a)におけるQ)が形成される。
続いて、中間転写ベルト20上に形成された調整用トナー像の濃度が、画像濃度センサ29により検出される。そして、画像濃度センサ29によって検出された調整用トナー像の検出結果に基づいて、主制御部50により、各画像形成ユニット11の動作条件の調整が行われる。これにより、画像形成用トナー像が予め定められた画像濃度に調整される。
ここで、調整用トナー像は、画像形成用トナー像とは異なり、用紙に二次転写されないトナー像である。したがって、中間転写ベルト20のうち調整用トナー像が形成された領域が二次転写部30を通過する際には、二次転写部30に用紙は搬送されない。すなわち、調整用トナー像は、二次転写部30において、二次転写ロール31の表面に対して直接接触する。
本実施の形態の画像形成装置1では、主制御部50による制御に基づいて、中間転写ベルト20のうち調整用トナー像が形成された領域が二次転写部30を通過するタイミングに対応させて、電源装置36により二次転写部30(対向ロール32)に供給される電圧を、二次転写バイアスから非転写バイアスに切り替えている。これにより、二次転写部30に供給される電圧を二次転写バイアスのまま維持する場合と比較して、中間転写ベルト20上に形成された調整用トナー像から二次転写ロール31に転移するトナー量を低減している。
ところで、本実施の形態のように、直流電源361と交流電源362とを有する電源装置36を用いる場合、直流電源361のみを有する電源装置36を用いる場合と比較して、二次転写部30に供給するバイアスの切り替えの応答性が低下する傾向がある。
具体的に説明すると、上述したように、二次転写部30に供給するバイアスの切り替えは、直流電源361から出力される直流電圧の極性を切り替えることにより行われる。電源装置36では、直流電源361と交流電源362とが直列に接続されているため、直流電源361からの電圧は、交流電源362を通過して、対向ロール32に供給される。
このため、直流電源361から出力される直流電圧の極性を負極性から正極性に切り替えた場合であっても、交流電源362自身が有する電気容量(キャパシタンス)により、二次転写部30における電界の極性が切り替わるまでに、電源装置36が直流電源361のみで構成される場合と比較して、長い時間を要することになる。
図3(a)〜(b)は、主制御部50(図1参照)により二次転写部30に供給するバイアスを二次転写バイアスから非転写バイアスへ切り替える制御を行った場合の、二次転写部30に形成される電界の変化を示した図である。ここで、図3(a)は、電源装置36が直流電源361のみで構成される場合の変化を示しており、図3(b)は、電源装置36が、直流電源361と交流電源362とが直列接続された本実施の形態の構成を有する場合の変化を示している。
また、図3(a)〜(b)に示す例では、矢印Aで示すタイミングで、主制御部50(図1参照)により、二次転写部30に供給するバイアスを二次転写バイアスから非転写バイアスへ切り替える制御(切り替え制御)が行われている。なお、切り替え制御は、例えば主制御部50から電源装置36に対して、二次転写部30に供給するバイアスを切り替える旨の信号が発信されることにより行われる。
電源装置36が直流電源361のみで構成される場合、図3(a)に示すように、主制御部50による切り替え制御が行われてからおよそ1msで、二次転写部30における電界が0Vに到達している。言い換えると、図3(a)に示す例では、主制御部50による切り替え制御が行われてから、実際に二次転写部30に形成される電界が負極性の二次転写電界から正極性の非転写電界に切り替わるまでの時間がおよそ1msとなっている。
これに対し、電源装置36が直流電源361と交流電源362とを有する場合、図3(b)に示すように、主制御部50による切り替え制御が行われてからおよそ45msで、二次転写部30における電界が0Vに到達している。言い換えると、図3(b)に示す例では、主制御部50による切り替え制御が行われてから、実際に二次転写部30に形成される電界が負極性の二次転写電界から正極性の非転写電界に切り替わるまでの時間がおよそ45msとなっている。
したがって、本実施の形態のように、電源装置36が直流電源361と交流電源362とを有する場合、電源装置36が直流電源361のみを有する場合と比較して、主制御部50によるバイアスの切り替え制御を行ってから二次転写部30に非転写電界が形成されるまでに長い時間を要する。この場合、二次転写部30において二次転写電界が形成されたままの状態で、中間転写ベルト20に保持された調整用トナー像が二次転写部30に到達する場合がある。そして、二次転写部30において二次転写電界が形成されたままの状態で調整用トナー像が二次転写部30に到達した場合、調整用トナー像を構成するトナーが二次転写ロール31の表面に付着しやすくなる。
図4(a)〜(b)は、中間転写ベルト20に保持された調整用トナー像が二次転写部30に到達した際の、トナーの挙動を示した図である。図4(a)は、二次転写部30に非転写電界が形成されている状態でのトナーの挙動を示している。一方、図4(b)は、二次転写部30に二次転写電界が形成される状態でのトナーの挙動を示しており、本実施の形態のように直流電源361と交流電源362とが直列接続された電源装置36を有する場合に生じやすい状態を示している。
ここで、中間転写ベルト20に保持されるトナーには、負極性に帯電したトナーと、正極性に帯電したトナーとが含まれる。
具体的には、図4(a)〜(b)に示すように、中間転写ベルト20上に保持されるトナーには、負極性に帯電し粒径がトナーの体積平均粒径よりも大きい負極性大トナーT1、負極性に帯電し粒径がトナーの体積平均粒径以下の負極性小トナーT2、正極性に帯電し粒径がトナーの体積平均粒径よりも大きい正極性大トナーT3、正極性に帯電し粒径がトナーの体積平均粒径以下の正極性小トナーT4が含まれる。
ここで、上述したように、本実施の形態の現像器15では、トナーとキャリアとを積極的に摩擦させることによって、トナーを負極性に帯電させている。このため、中間転写ベルト20に保持されるトナーは、その多くが負極性に帯電したトナー(負極性大トナーT1、負極性小トナーT2)である。
現像器15では、トナー同士の電荷交換や摩擦等によって正極性に帯電したトナー(正極性大トナーT3、正極性小トナーT4)も生じるが、正極性のトナーの量は、負極性のトナーと比較すると少量である。また、正極性のトナーの帯電量(絶対値)は、負極性のトナーの帯電量(絶対値)と比較して小さい。さらに、トナーは表面積が大きいほど相対的な帯電量(絶対値)が大きくなりやすく、正極性大トナーT3の帯電量(絶対値)は、正極性小トナーT4と比較して大きくなりやすい。さらにまた、正極性大トナーT3は、正極性小トナーT4と比較してトナー中の存在量が多くなりやすい。
図4(a)に示すように、二次転写部30に非転写電界が形成されている場合、トナー1粒あたりの正の帯電量(絶対値)が大きく、二次転写ロール31側へ向けてはたらく力が大きい正極性大トナーT3が、静電気力により二次転写ロール31の表面に付着する。一方、負極性に帯電した負極性大トナーT1および負極性小トナーT2、正の帯電量(絶対値)が小さくトナー中の存在量が少ない正極性小トナーT4は、二次転写ロール31にほとんど付着しない。
上述したように、正極性大トナーT3は、トナー中における絶対量が少なく、またその粒径がトナーの平均粒径よりも大きい。このため、二次転写ロール31の表面に付着した場合であっても、ロールクリーナ35(図2参照)により、二次転写ロール31の表面から容易に除去される。
これに対し、図4(b)に示すように、二次転写部30に二次転写電界が形成されている場合、トナー1粒あたりの負の帯電量(絶対値)が大きい負極性大トナーT1および負極性小トナーT2が、静電気力により二次転写ロール31の表面に付着する。
上述したように、本実施の形態では、トナーを積極的に負極性に帯電させているため、調整用トナー像を構成するトナーには、負極性大トナーT1だけでなく負極性小トナーT2も多く含まれている。そして、二次転写ロール31の表面に付着するトナーの絶対量は、図4(a)に示した場合と比較して多くなる。また、図4(a)に示した場合と異なり、粒径がトナーの平均粒径以下のトナー(負極性小トナーT2)も二次転写ロール31の表面に多く付着する。
上述したように、本実施の形態では、二次転写ロール31の表面に付着したトナーをロールクリーナ35(図2参照)により掻き取ることで除去している。しかし、図4(b)に示すように二次転写ロール31の表面に付着するトナーの量が多くなった場合には、二次転写ロール31の表面に付着したトナーをロールクリーナ35により掻き取った場合であっても、二次転写ロール31の表面にトナーが残存するおそれがある。特に、粒径がトナーの体積平均粒径よりも小さいトナー(負極性小トナーT2)は、ロールクリーナ35により掻き取られにくく、二次転写ロール31の表面に残存しやすい。
そして、二次転写ロール31の表面にトナーが残存している場合、二次転写部30において画像形成用トナー像を用紙に二次転写する際に、二次転写部30に搬送された用紙の裏面に、二次転写ロール31の表面に残存したトナーが付着するおそれがある。この場合、用紙の裏面汚れが生じ好ましくない。
そこで、本実施の形態の二次転写部30では、二次転写ロール31の表面凹凸を予め定められた範囲に調整することで、ロールクリーナ35によりトナーを除去しやすくし、二次転写ロール31の表面にトナーが残存することを抑制している。これにより、調整用トナー像を形成する際に二次転写ロール31にトナーが付着しやすい直流電源361と交流電源362とを有する電源装置36を用いた場合であっても、用紙の裏面汚れの発生を抑制している。
具体的に説明すると、本実施の形態では、二次転写ロール31の表面凹凸(十点平均粗さRz)を、トナーの体積平均粒径以下としている。トナーの体積平均粒径は、例えば、LSコールター(ベックマン−コールター社製粒度測定装置)を用いて測定できる。具体的には、測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々の粒子の体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径を、体積平均粒径(D50v)とする。
ここで、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、黒等の通常色のトナーと金、銀等の特殊色のトナーとで体積平均粒径が異なる場合や、通常色同士または特殊色同士でトナーの体積平均粒径が異なる場合等のように、体積平均粒径が異なる複数のトナーを用いる画像形成装置1では、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)を、最も小さいトナーの体積平均粒径以下とする。
図5は、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)がトナーの体積平均粒径以下である本実施の形態における二次転写ロール31とトナーとの関係、およびロールクリーナ35によるトナーの除去動作を示した図である。
また、図6は、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)が、トナーの体積平均粒径よりも大きい場合の二次転写ロール31とトナーとの関係、およびロールクリーナ35によるトナーの除去動作を示した図である。
上述したように、本実施の形態の画像形成装置1では、ロールクリーナ35により二次転写ロール31の表面に付着したトナーを掻き取ることで、二次転写ロール31の表面を清掃する。したがって、二次転写ロール31の表面にトナーが残存することを抑制するためには、ロールクリーナ35と二次転写ロール31の表面に付着したトナーとが接触することが重要である。
図5に示すように、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)がトナーの体積平均粒径以下である場合、二次転写ロール31の表面に付着したトナーTの高さが、二次転写ロール31の表面に形成された凹凸の凸部よりも高くなりやすい。言い換えると、二次転写ロール31の表面に形成された凹凸の凹部にトナーTが付着した場合であっても、トナーTが凹凸の凸部から突出した状態となりやすい。
したがって、ロールクリーナ35との対向部を通過する際に、トナーTがロールクリーナ35と接触しやすくなり、ロールクリーナ35によって二次転写ロール31の表面からトナーTが除去されやすくなる。
これに対し、図6に示すように、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)がトナーTの体積平均粒径よりも大きい場合、トナーTが二次転写ロール31の表面に形成された凹凸の凹部に埋まり込みやすい。
この場合、ロールクリーナ35との対向部を通過した場合であっても、凹部に付着したトナーTにはロールクリーナ35が接触しにくく、二次転写ロール31の表面にトナーTが残存するおそれがある。
ここで、二次転写部30に二次転写電界が形成されたまま調整用トナー像が二次転写部30に到達することを抑制し用紙の裏面汚れの発生を抑制する方法としては、例えば、用紙の搬送間隔を長くし隣接する画像形成用トナー像同士の距離(インターイメージ領域)を長くする、中間転写ベルト20の移動速度(プロセススピード)を遅くする等の方法が挙げられる。しかしながら、このような構成を採用した場合、画像形成装置1における生産性(単位時間あたりの画像形成枚数)が低下し、好ましくない。
これに対し、本実施の形態は、画像形成装置1において生産性を低下させることなく用紙の裏面汚れの発生を抑制することができ、画像形成装置1の生産性の向上に寄与する。
特に、本実施の形態は、搬送される用紙同士の間隔(中間転写ベルト20に隣接して形成される画像形成用トナー像同士の距離)x(mm)、中間転写ベルト20の移動速度V(mm/s)、主制御部50によるバイアスの切り替え制御を行ってから二次転写部30の電界が0Vとなるまでの応答時間τが、以下の式(1)を満たす場合に、特に好適に用いられる。
x/V ≦ 2τ …(1)
図7(a)〜(b)および図8(a)〜(b)は、中間転写ベルト20に保持される調整用トナー像Qと、二次転写部30に形成される電界との関係を示した図である。
ここで、図7(a)および図8(a)は、調整用トナー像Qが形成された中間転写ベルト20の一例を示している。また、図7(a)および図8(a)において符号P1、P2は、二次転写部30において用紙が搬送される領域(以下、用紙搬送領域P1、P2と称する)を表しており、画像形成用トナー像が形成される領域に対応する。図7(b)および図8(b)は、図7(a)または図8(a)に示した中間転写ベルト20が二次転写部30を通過する時点において二次転写部30に形成される電界を示している。
また、図7(a)〜(b)は、搬送される用紙同士の間隔(以下、用紙間隔と称する)x(mm)、中間転写ベルト20の移動速度V(mm/s)および応答時間τが上記式(1)を満たす場合を示している。これに対し、図8(a)〜(b)は、用紙間隔x、移動速度Vおよび応答時間τが上記式(1)を満たさない場合であり、図7(a)〜(b)に示した例と比較して画像形成装置1における画像形成動作の生産性が低い場合の関係を示している。
図7(a)および図8(a)に示す例では、中間転写ベルト20において用紙搬送領域P1、P2同士の間隙(インターイメージ領域)における移動方向の中央部に、調整用トナー像Qが形成されている。言い換えると、図7(a)および図8(a)に示す例では、用紙搬送領域P1の移動方向後端から調整用トナー像Qの移動方向中心部までの距離が、1/2x(mm)となっている。そして、用紙搬送領域P1の移動方向後端が二次転写部30を通過してから調整用トナー像Qの移動方向中心部が二次転写部30に到達するまでの時間が、1/2(x/V)秒となっている。
用紙間隔x、移動速度Vおよび応答時間τが上記式(1)を満たす場合には、図7(a)〜(b)に示すように、用紙搬送領域P1の移動方向後端が二次転写部30を通過してから調整用トナー像Qの移動方向中心部が二次転写部30に到達するまでの時間(1/2(x/V))が、応答時間τ以下となっている。このため、調整用トナー像Qの移動方向中心部が二次転写部30を通過する際には、二次転写部30の電界が正極性に切り替わらず負極性の二次転写電界のままとなっている。
この結果、調整用トナー像Qのうち少なくとも移動方向先端側の領域に対して二次転写電界が作用し、調整用トナー像Qを構成する負極性のトナー(負極性大トナーT1、負極性小トナーT2;図4(b)参照)が二次転写ロール31の表面に付着しやすくなる。そして、上述したように、二次転写ロール31の表面に付着したトナーをロールクリーナ35により掻き取った場合であっても、二次転写ロール31の表面にトナーが残存しやすくなる。
この場合、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)をトナーの平均粒径以下とする本実施の形態がより効果的に採用される。すなわち、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)をトナーの体積平均粒径以下とする構成を採用することで、二次転写ロール31の表面に付着したトナーがロールクリーナ35により取り除かれやすくなるという本実施の形態の効果がより顕著に表れるようになる。
なお、図8(a)〜(b)に示すように、用紙間隔x、移動速度Vおよび応答時間τが上記式(1)を満たさない場合には、用紙搬送領域P1の移動方向後端が二次転写部30を通過してから調整用トナー像Qの移動方向中心部が二次転写部30に到達するまでの時間(1/2(x/V))が、応答時間τと比較して長い。このため、調整用トナー像Qの移動方向中心部が二次転写部30を通過する際には、二次転写部30の電界が非転写電界に切り替わっている。したがって、二次転写ロール31の表面に少量の正極性のトナー(正極性大トナーT3)が付着するものの負極性のトナーは付着しにくい。この場合、図7(a)〜(b)に示した場合とは異なり、二次転写ロール31の表面にトナーが残存するという問題は生じにくい。
以上説明したように、本実施の形態では、二次転写ロール31の表面凹凸(十点平均粗さRz)を、トナーの体積平均粒径以下とすることにより、二次転写部30に電界を形成する電源装置36として直流電源361と交流電源362とが直列に接続された構成を採用した場合であっても、ロールクリーナ35により清掃した後の二次転写ロール31の表面にトナーが残存することが抑制される。これにより、二次転写ロール31の表面に残存したトナーが用紙の裏面に付着することが抑制され、用紙の裏面汚れの発生が抑制される。
そして、本実施の形態の構成は、用紙間隔x、移動速度Vおよび応答時間τが上記式(1)条件を満たす場合により効果的に用いられる。すなわち、用紙間隔x、移動速度Vおよび応答時間τが上記式(1)条件を満たす場合には、画像形成装置1の生産性の低下、および用紙の裏面汚れの発生の双方の抑制が実現される。
なお、本実施の形態では、二次転写ロール31の表面を清掃するロールクリーナ35として、ブレード方式を用いた例について説明した。しかし、二次転写ロール31の表面に付着したトナーに対して機械的な掻き取り力が作用するものであれば、ロールクリーナ35の構成は特に限定されるものではなく、ロールクリーナ35として、例えば機械的な掻き取り力に加えて静電気力を利用するブラシ方式等を採用してもよい。
また、本実施の形態では、弾性層312の表面研磨により二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)をトナーの体積平均粒径以下に制御したが、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)の制御方法はこれに限定されるものではない。例えば、弾性層312の外周面に設けるコート層313の材料や塗布方法等を調整することにより、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)を制御してもよい。
また、本実施の形態では、二次転写部30において用紙にトナー像を二次転写する二次転写手段として、ロール状の二次転写ロール31を用いたが、例えばベルト状の部材を用いてもよい。
続いて、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(a)二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)と残トナー量との関係について
本発明者らは、まず、表面凹凸(Rz)を異ならせた二次転写ロール31を用い、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)の大きさと、ロールクリーナ35による清掃後の二次転写ロール31の表面に残存するトナーの量との関係を測定した。
(装置の説明)
画像形成装置1としては、富士ゼロックス社製700 Digital Color Pressの改造機を用いた。
具体的には、二次転写ロール31としては、外径がφ14の金属製のシャフト311上に厚さ5mmのゴムまたは発泡樹脂からなる弾性層312を設け、その外周面に厚さ20μmの樹脂からなるコート層313を設けた、トータル径がφ24のロール部材を用いた。なお、いずれの二次転写ロール31も、体積抵抗は、7.0logΩであった。また、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)は、0.8μm〜13μmのものを用いた。
また、対向ロール32としては、外径がφ15の金属シャフト上に厚さ2.5mmのゴム弾性層を設けたトータル径がφ20のロール部材を用いた。なお、いずれの対向ロール32も、体積抵抗は、6.5logΩであった。
さらに、中間転写ベルト20としては、カーボンブラックを分散させたポリイミド層を2層積層した構造を有する無端状のベルト部材を用いた。外周側のポリイミド層の厚さは、67μmであり、内周側のポリイミド層の厚さは33μmであった。また、中間転写ベルト20全体の体積抵抗率は、12.5logΩ・cmであり、中間転写ベルト20の内周面の表面抵抗率は、10.3logΩ・cm/□であった。
(調整用トナー像の形成)
そして、上述した画像形成装置1を用い、二次転写ロール31上に、調整用トナー像を形成した。具体的には、まず画像形成ユニット11Mを用いてマゼンタ(M)色トナーからなる調整用トナー像(M色100%パッチ)を中間転写ベルト20に形成した。続いて、中間転写ベルト20上に形成された調整用トナー像を、二次転写部30において、用紙を介さずに直接、二次転写ロール31上に転写した。
二次転写部30における中間転写ベルト20および二次転写ロール31の表面速度(プロセススピード)は、440mm/sとした。
中間転写ベルト20上に形成する調整用トナー像の大きさは、10mm×50mmとした。また、マゼンタ(M)色トナーとしては、体積平均粒径が3.8μmのトナー(以下、第1トナーと称する)と、体積平均粒径が5.8μmのトナー(以下、第2トナーと称する)との2種類を用いた。
なお、調整用トナー像の濃度を等しくした場合、第1トナーと第2トナーとでは、調整用トナー像を構成するトナーの重量が異なる。具体的には、調整用トナー像を構成するトナーの重量は、第1トナーを用いた場合、2.9g/m2であり、第2トナーを用いた場合、4.5g/m2であった。これは、トナーの粒径が小さいほど、調整用トナー像を構成するトナーの高さ(パイルハイト)が低くなる分、調整用トナー像を構成するトナーの重量が小さくなるためである。
続いて、二次転写ロール31の表面に転写された調整用トナー像を、ロールクリーナ35により掻き取り、二次転写ロール31の表面を清掃した。
ロールクリーナ35としては、硬度70度のゴムブレードを用いた。また、ロールクリーナ35は、押し付け力NF2.7g/mm、接触角度WA10度で、二次転写ロール31の表面に対して押し付けられるものとした。また、ロールクリーナ35の表面には、潤滑剤としてZnStを塗布した。
そして、表面凹凸(Rz)が異なるそれぞれの二次転写ロール31について、ロールクリーナ35を通過した後の二次転写ロール31の表面に残存したトナーの量(以下、残トナー量と称する)を測定した。
図9は、測定結果に基づいて、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)の大きさと、二次転写ロール31の表面に残存したトナーの量との関係を示した図である。
図9において、破線は、第1トナーおよび第2トナーそれぞれを用いた場合の、残トナー量の目標値を示している。ここで、残トナー量の目標値とは、二次転写部30に用紙が搬送され二次転写ロール31の表面から用紙の裏面にトナーが付着した場合であっても、トナーによる裏面汚れが目視で確認できない残トナー量の上限値を意味する。図9に示すように、残トナー量の目標値はトナーの体積平均粒径によって異なっており、第1トナーの場合には0.33g/m2、第2トナーの場合には、0.5g/m2である。
図9に示すように、調整用トナー像の形成に第1トナーを用いた場合および第2トナーを用いた場合の双方において、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)をトナーの体積平均粒径以下とすることで、残トナー量が目標値以下となることが確認された。
この結果は、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)をトナーの体積平均粒径以下とすることにより、ロールクリーナ35が二次転写ロール31の表面に付着したトナーに接触し、問題のないレベルまでトナーを掻き取っていることを示唆するものである。
(b)二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)と用紙裏面汚れとの関係について
(実施例1〜実施例11、比較例1、比較例2)
続いて、表面凹凸(Rz)を異ならせた二次転写ロール31を用いた画像形成装置1において、用紙を連続出力し、裏面汚れを評価した。出力する用紙としては、A4サイズのOSコート127gsm紙(富士ゼロックス社製)を用いた。また、実施環境は、気温22度、湿度55%であった。
画像形成装置1は、上記(a)と同様のものを用いた。画像形成装置1を構成する各部材の体積抵抗値は、全て上記(a)と同様である。
また、二次転写部30(対向ロール32)にバイアスを供給する電源装置36としては、直流電源361と交流電源362とが直列に接続されたものを用い、二次転写部30に対して直流電源361から出力される直流電圧のみを供給するものとした。
さらに、二次転写部30における中間転写ベルト20および二次転写ロール31の表面速度(プロセススピード)は、528mm/sとした。
そして、中間転写ベルト20に対して、用紙搬送領域同士の間隙(インターイメージ領域)の移動方向中心部に、マゼンタ(M)色トナーからなる調整用トナー像(M色100%パッチ)を形成しながら、用紙の連続出力を行った。なお、調整用トナー像のサイズは、10mm×10mmとした。調整用トナー像の形成に用いるマゼンタ(M)色トナーとしては、上記(a)と同様に、体積平均粒径が3.8μmの第1トナーと、体積平均粒径が5.8μmの第2トナーとの2種類を用いた。
また、用紙搬送領域同士の間隔(用紙間隔x)は、45mmであった。
また、主制御部50による制御に基づき、二次転写部30を用紙が通過する際には、直流電源361から出力された−3.0kVの電圧(二次転写バイアス)を対向ロール32に供給した。また、二次転写部30を用紙が通過した後に、主制御部50により、二次転写部30の電圧が+0.9kVとなるように、直流電源361から出力される直流電圧の極性の切り替え制御を行った。
なお、主制御部50によるバイアスの切り替え制御を行ってから二次転写部30の電界が0Vとなるまでの応答時間τは、45msであった。応答時間τは、上記実施環境下で、対向ロール32に対して−3.0kVの電圧(二次転写バイアス)を印加した状態から、+0.9kVに向けて極性の切り替え制御を行った際に、切り替え信号を発信してから二次転写部30の電界が0Vに到達するまでの時間を測定した結果である。
なお、実施例1〜実施例11、比較例1および比較例2それぞれの二次転写ロール31は、表面凹凸(Rz)が異なるものの、他は同様の構造を有している。このため、電源装置36に対する容量負荷は同程度であり、応答時間τは、実施例1〜実施例11、比較例1および比較例2の全てで45msであった。そして、実施例1〜実施例11、比較例1および比較例2の全てにおいて、上記条件(1)x/V≦2τを満たしていた。
そして、上述した条件で画像形成装置1により用紙1000枚を出力した後、1000枚目の用紙の裏面汚れを目視で確認した。用紙の裏面汚れの評価は、以下の基準で行った。
A:用紙の裏面汚れが確認されない。
B:用紙の裏面汚れの発生が確認される。
表1に、実施例1〜実施例11、比較例1および比較例2について、トナーの体積平均粒径、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)、用紙の裏面汚れの評価結果等を示す。
Figure 0006459445
表1に示すように、調整用トナー像を形成するトナーとして体積平均粒径が3.8μmの第1トナーを用いた場合、および体積平均粒径が5.8μmの第2トナーを用いた場合の双方において、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)がトナーの体積平均粒径以下である場合(実施例1〜実施例11)に、用紙の裏面汚れの発生が抑制されることが確認された。
これに対し、表1に示すように、調整用トナー像を形成するトナーとして第1トナーを用いた場合および第2トナーを用いた場合の双方において、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)がトナーの体積平均粒径よりも大きい場合(比較例1、比較例2)、用紙の裏面汚れが発生することが確認された。これは、直流電源361と交流電源362とが直列接続された電源装置36を用いた場合において、電界の切り替えが遅れ、調整用トナー像が二次転写部30に到達した際に二次転写部30に二次転写電界が形成されていることに起因する。この場合、径が体積平均粒径より小さいトナーが二次転写部30の表面に付着し、二次転写ロール31の表面凹凸(Rz)がトナーの体積平均粒径よりも大きいことによりロールクリーナ35によるトナーの除去不良が起こっていることを示唆している。
1…画像形成装置、10…画像形成部、11…画像形成ユニット、20…中間転写ベルト、30…二次転写部、31…二次転写ロール、32…対向ロール、35…ロールクリーナ、36…電源装置、361…直流電源、362…交流電源

Claims (4)

  1. トナー像を保持する保持体と、
    表面の十点平均粗さ(Rz)がトナー像を構成するトナーの体積平均粒径以下に形成され、回転しながら当該表面と前記保持体との間に被転写体を挟んで当該保持体に保持されたトナー像を被転写体に転写する転写部材と、
    前記保持体を介して前記転写部材に対向する対向部材と、
    直流電圧を出力する直流電源と交流電圧を出力する交流電源とが直列に接続され、前記転写部材と前記対向部材との間に予め定めた極性の電界を形成する電源と、
    前記転写部材の前記表面に付着したトナーを当該表面から除去する除去部材と、
    前記電源によって前記転写部材と前記対向部材との間に形成される電界の極性を切り替えるための切り替え制御を行う制御手段とを備え、
    前記保持体に保持されるトナー像は、被転写体に転写される第1トナー像と、被転写体に転写されない第2トナー像とを含み、
    前記制御手段は、前記第1トナー像が前記転写部材を通過して被転写体に転写された後、前記第2トナー像が当該転写部材に到達する前に、前記切り替え制御を行うことを特徴とする画像形成装置。
  2. 複数の被転写体に対して連続してトナー像を転写する場合に前記転写部材に搬送される被転写体同士の間隔x(mm)、当該転写部材の回転速度V(mm/s)、および前記制御手段により前記切り替え制御が行われてから当該転写部材と前記対向部材との間に形成される電界の極性が切り替わるまでの応答時間τ(s)が、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
    x/V≦2τ …(1)
  3. 前記電源は、前記直流電源により出力される直流電圧と前記交流電源により出力される交流電圧とを重畳した重畳電圧により、前記転写部材と前記対向部材との間に、前記保持体に保持されたトナー像を被転写体に転写する転写電界を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記保持体に保持されるトナー像は、体積平均粒径が互いに異なる複数種類のトナーにより構成され、
    前記転写部材の表面の十点平均粗さ(Rz)は、複数種類のトナーのうち最も体積平均粒径が小さいトナーの体積平均粒径以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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