JP2016056953A - トルク伝達用継手及び電動式パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】組立作業効率、並びに、トルク伝達特性の調整の自由度を向上できるトルク伝達用継手を実現する。【解決手段】トルク伝達用継手15aを、電動モータの出力軸に固定する駆動側伝達部材16aと、ウォーム軸の基端部に固定する被駆動側伝達部材17aと、これら両伝達部材同士の間に配置する緩衝部材18aとから構成する。この緩衝部材18aを、3つの緩衝片28、28aを軸方向に積層して構成すると共に、軸方向両側に設ける1対の緩衝片28を合成樹脂により、軸方向中央に設ける緩衝片28aをゴムにより、それぞれ一体に形成する。3つの緩衝片を28、28aを軸方向に積層した状態で、軸方向両側の緩衝片28に設けた外側緩衝素子29と、軸方向中央の緩衝片28aに設けた中間緩衝素子41とにより緩衝体24aを構成し、これら各緩衝体24aを歯部20a、23a同士の間部分に介在させる。【選択図】図3

Description

この発明に係るトルク伝達用継手は、各種機械装置に組み込んで、駆動軸と被駆動軸との間でトルクを伝達する為に利用する。又、本発明の電動式パワーステアリング装置は、自動車の操舵装置として利用するもので、電動モータを補助動力源として利用する事により、運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力の軽減を図るものである。
操舵輪(フォークリフト等の特殊車両を除き、通常は前輪)に舵角を付与する際に、運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力の軽減を図る為の装置として、パワーステアリング装置が広く使用されている。又、この様なパワーステアリング装置で、補助動力源として電動モータを使用する電動式パワーステアリング装置も、近年普及し始めている。この様な電動式パワーステアリング装置の構造は、各種知られているが、何れの構造の場合でも、ステアリングホイールの操作によって回転させられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する回転軸に電動モータの補助動力を、減速機を介して付与する。この減速機として一般的には、ウォーム減速機が使用されている。ウォーム減速機を使用した電動式パワーステアリング装置の場合、前記電動モータにより回転駆動されるウォームと、前記回転軸と共に回転するウォームホイールとを噛合させて、前記電動モータの補助動力をこの回転軸に伝達自在とする。但し、ウォーム減速機の場合、何らの対策も施さないと、前記ウォームと前記ウォームホイールとの噛合部に存在するバックラッシュに基づき、前記回転軸の回転方向を変える際に、歯打ち音と呼ばれる不快な異音が発生する場合がある。
この様な歯打ち音の発生を抑えられる構造として従来から、特許文献1〜3に記載されている様に、ばね等の弾性部材によりウォームをウォームホイールに向け弾性的に押圧する事が考えられている。図5〜6は、このうちの特許文献2に記載された電動式パワーステアリング装置の1例を示している。ステアリングホイール1により所定方向に回転させられるステアリングシャフト2の前端部は、ハウジング3の内側に回転自在に支持しており、この部分にウォームホイール4を固定している。このウォームホイール4と噛合するウォーム歯5をウォーム軸6の軸方向中間部に設け、電動モータ7により回転駆動されるウォーム8の軸方向両端部は、深溝型玉軸受等の1対の転がり軸受9a、9bにより、前記ハウジング3内に回転自在に支持されている。更に、前記ウォーム軸6の先端部で前記転がり軸受9aよりも突出した部分に押圧駒10を外嵌し、この押圧駒10と前記ハウジング3との間に、コイルばね11等の弾性部材を設けている。そして、このコイルばね11により、前記押圧駒10を介して、前記ウォーム軸6に設けたウォーム歯5を、前記ウォームホイール4に向け押圧している。この様な構成により、これらウォーム歯5とウォームホイール4との間のバックラッシュを抑え、前記歯打ち音の発生を抑えている。
上述の様な従来構造の場合、前記ウォーム歯5と前記ウォームホイール4との噛合部で前記歯打ち音が発生する事を抑えられるが、前記電動モータ7の出力軸12の先端部と前記ウォーム軸6の基端部との結合部分で発生する歯打ち音を抑える事はできない。この点に就いて、以下に説明する。図示の構造の場合、前記電動モータ7の出力軸12の先端部と前記ウォーム軸6の基端部とをトルクの伝達を可能に結合する為に、このウォーム軸6の基端部にスプライン孔13を、このウォーム軸6の基端面に開口する状態で形成している。一方、前記出力軸12の先端部に、スプライン軸部14を形成している。そして、このスプライン軸部14と前記スプライン孔13とをスプライン係合させる事で、前記出力軸12と前記ウォーム軸6とをトルクの伝達を可能に結合している。
前記スプライン軸部14と前記スプライン孔13とが円周方向の隙間なく(バックラッシュ無しで)スプライン係合していれば、前記出力軸12の先端部と前記ウォーム軸6の基端部との結合部(スプライン係合部)で、歯打ち音が発生する事はない。但し、実際の場合には、このスプライン係合部にはバックラッシュが存在している。特に、上述の図6に示す様な構造により、前記ウォーム歯5と前記ウォームホイール4との間のバックラッシュを抑える構造の場合には、前記ウォーム軸6を揺動変位させる必要上、前記スプライン係合部のバックラッシュを完全になくす事はできない。この為、このスプライン係合部での歯打ち音の発生を防止する事は難しい。
この様な歯打ち音の発生を防止できる構造として、例えば特許文献4には、駆動軸の端部と被駆動軸の端部とを、弾性材製の緩衝部材を備えたトルク伝達用継手(カップリング、軸継手)を介して結合する構造が記載されている。図7は、特許文献4に記載された、従来構造のトルク伝達用継手15を示している。このトルク伝達用継手15は、駆動軸である電動モータの出力軸の先端部にこの先端部と同心に支持される、金属製の駆動側伝達部材16と、被駆動軸であるウォーム軸の基端部にこの基端部と同心に支持される、金属製の被駆動側伝達部材17と、これら駆動側伝達部材16と被駆動側伝達部材17との間に設けられる、緩衝部材18とを備えている。
このうちの駆動側伝達部材16は、前記出力軸の先端部に相対回転不能に支持される円板状の駆動側基部19と、この駆動側基部19のうちで前記被駆動側伝達部材17に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた3本の駆動側歯部20、20と、これら駆動側歯部20、20の周囲に設けられた円筒部21とを備える。一方、前記被駆動側伝達部材17は、前記ウォーム軸の基端部に相対回転不能に支持される円板状の被駆動側基部22と、この被駆動側基部22のうちで前記駆動側伝達部材16に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた3本の被駆動側歯部23、23とを備える。又、前記緩衝部材18は、それぞれが樽型(軸方向中央部を峰として軸方向両側に向かって外径寸法が減少する形状)に形成された、合計6個のゴム製の緩衝体24、24から構成されている。
そして、前記トルク伝達用継手15の組立状態では、前記各駆動側歯部20、20と前記各被駆動側歯部23、23とを円周方向に関して交互に配置すると共に、円周方向に隣り合う駆動側歯部20と被駆動側歯部23との間部分に、前記各緩衝体24、24をそれぞれ介在させている。
以上の様な構成を有する従来構造のトルク伝達用継手15の場合、円周方向に隣り合う駆動側歯部20と被駆動側歯部23との間部分に、ゴム製の緩衝体24、24がそれぞれ介在している(挟持されている)。この為、金属製の駆動側歯部20と被駆動側歯部23とが直接接触する事を防止できて、前述した様な歯打ち音が発生する事を有効に防止できる。
但し、上述した様な従来構造のトルク伝達用継手15の場合、次の様な面で、未だ改良の余地がある。
即ち、従来構造のトルク伝達用継手15の場合には、前記緩衝部材18を、それぞれ独立した複数個(図示の例では6個)の緩衝体24、24から構成している。この為、これら各緩衝体24、24を、円周方向に隣り合う駆動側歯部20と被駆動側歯部23との間部分に設置する作業は、前記両伝達部材16、17のうちの一方の伝達部材16(17)を構成する各歯部20(23)の円周方向両側部分に、前記各緩衝体24、24を1個ずつ配置した後、他方の伝達部材17(16)を組み合わせる事により行う必要がある。従って、前記各緩衝体24、24を1個ずつ配置する作業が面倒で、トルク伝達用継手15の組立作業効率が低下し易くなる。又、前記各緩衝体24、24がそれぞれ独立しており、部品点数が多くなる為、部品管理コストが嵩み、トルク伝達用継手15のコストが高くなり易くなる。
又、従来構造のトルク伝達用継手15の場合には、前記各緩衝体24、24を樽型として、これら各緩衝体24、24の弾性特性(圧縮状態)を3段階に変化させる様にしている。この為、前記出力軸12の回転開始直後に、急に大きなトルクが伝達される事を防止できる。但し、従来構造のトルク伝達用継手15の場合には、前記各緩衝体24、24の形状(外周面形状)にのみ基づいて弾性特性を変化させる事を意図している為、出力軸の回転量と伝達トルクとの関係(以下、本明細書で「トルクの伝達特性」と言い、不感帯を意味するヒステリシスを含む)を調整する事に関して自由度が十分に高いとは言えない。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、上述した特許文献1〜4の他に、特許文献5がある。この特許文献5には、緩衝部材を、3つの部材を軸方向に重ね合わせる事により構成する発明が記載されている。但し、この様な特許文献5に記載された発明の場合にも、上述した様な問題を解決する事はできない。
特開2000−43739号公報 特開2004−306898号公報 特表2006−513906号公報 特開2009−190519号公報 特許第4779358号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、組立作業効率の向上を図れると共に、トルクの伝達特性の調整の自由度を向上できるトルク伝達用継手、及び、このトルク伝達用継手を備えた電動式パワーステアリング装置を実現すべく発明したものである。
本発明のトルク伝達用継手及び電動式パワーステアリング装置のうち、請求項1に記載したトルク伝達用継手の発明は、軸方向に関して互いに直列に配置された駆動軸と被駆動軸との端部同士の間でトルクを伝達するものであり、前記駆動軸の端部にこの駆動軸と同心に支持される駆動側伝達部材と、前記被駆動軸の端部にこの被駆動軸と同心に支持される被駆動側伝達部材と、これら駆動側伝達部材と被駆動側伝達部材との間に設けられる弾性材製の緩衝部材とを備える。
このうちの駆動側伝達部材は、前記駆動軸の端部に支持される駆動側基部と、この駆動側基部のうちで前記被駆動側伝達部材に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた複数本(例えば2〜4本)の駆動側歯部とを備える。
又、前記被駆動側伝達部材は、前記被駆動軸の端部に支持される被駆動側基部と、この被駆動側基部のうちで前記駆動側伝達部材に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた複数本(例えば2〜4本)の被駆動側歯部とを備える。
そして、前記各駆動側歯部と前記各被駆動側歯部とを円周方向に関して交互に配置すると共に、円周方向に隣り合う駆動側歯部と被駆動側歯部との間部分に、前記緩衝部材を構成する緩衝体をそれぞれ介在させている。
特に、本発明のトルク伝達用継手の場合には、前記緩衝部材を、複数(例えば3つ)の緩衝片を軸方向に積層する事により構成し、4個以上で偶数個(例えば4個或いは6個)の緩衝体を備えたものとする。
又、前記緩衝部材を構成する複数の緩衝片のうち、軸方向両側に配置された1対の緩衝片を、例えば合成樹脂を射出成形する事によりそれぞれ一体に形成する。そして、これら両緩衝片を、軸方向に積層された状態で前記各緩衝体を構成する、円周方向等間隔に配置された外側緩衝素子と、円周方向に隣り合う前記駆動側歯部同士或いは前記被駆動側歯部同士の間部分に配置され、円周方向に隣り合う外側緩衝素子同士を連結する、例えば円弧板状に構成された外径側連結部と、これら外径側連結部よりも径方向内側に配置されて、これら外径側連結部同士を連結する内径側連結部とを備えたものとする。
更に、前記緩衝部材を構成する複数の緩衝片のうち、軸方向中間部に配置された1乃至複数の緩衝片を、例えばゴムを射出成形する事により一体に形成する。そして、この緩衝片を、軸方向に積層された状態で前記各緩衝体を構成する、円周方向等間隔に配置された中間緩衝素子と、これら中間緩衝素子よりも径方向内側に配置されて、これら中間緩衝素子同士を連結する中央連結部とを備えたものとする。
尚、本発明のトルク伝達用継手を実施する場合に、前記各緩衝体(を構成する外側緩衝素子及び中間緩衝素子)の断面形状は、特に問わない。例えば円形、楕円形、1対の直線部を備えた長円形の他、三角形や四角形(例えば台形や長方形)等の多角形を採用する事もできる。
上述した様な本発明のトルク伝達用継手を実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記緩衝部材を構成する複数の緩衝片のうちで、軸方向中間部に配置された緩衝片を、弾性材製(例えばゴム製)とし、この緩衝片を構成する中央連結部に、前記駆動側伝達部材と前記被駆動側伝達部材との間部分で、前記駆動軸と前記被駆動軸との間に作用するスラスト力の一部を吸収しつつ、残りのスラスト力を伝達するダンパ機能を持たせる。
又、上述した様な本発明のトルク伝達用継手を実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、軸方向に積層された状態で互いに同一の緩衝体を構成する1対の外側緩衝素子のうちの一方の外側緩衝素子に、他方の外側緩衝素子に向けて軸方向に突出した係合ピンを設ける。又、この他方の外側緩衝素子に、この係合ピンと係合可能な係合孔を形成する。更に、軸方向中間部に配置される緩衝片を構成する中間緩衝素子に、前記各係合ピンを挿通可能な挿通孔を形成する。
そして、軸方向両側に配置される前記1対の緩衝片により軸方向中間部に配置される緩衝片を挟持した状態で、前記各挿通孔を挿通した前記各係合ピンと前記各係合孔とを係合させる。
一方、本発明のトルク伝達用継手及び電動式パワーステアリング装置のうち、請求項4に記載した電動式パワーステアリング装置の発明は、ハウジングと、被操舵用回転軸と、ウォームホイールと、ウォームと、電動モータと、トルク伝達用継手とを備える。
このうちのハウジングは、固定の部分に支持されて回転しない。
又、前記被操舵用回転軸は、前記ハウジングに対し回転自在に設けられて、ステアリングホイールの操作により回転させられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する。
又、前記ウォームホイールは、前記ハウジングの内部で前記操舵用回転軸の一部に、この操舵用回転軸と同心に支持されて、この操舵用回転軸と共に回転する。
又、前記ウォームは、ウォーム軸の軸方向中間部にウォーム歯を設けて成り、このウォーム歯を前記ウォームホイールと噛合させた状態で、前記ウォーム軸の軸方向両端部をそれぞれ軸受により前記ハウジングに対し回転自在に支持されている。
又、前記電動モータは、前記ウォームを回転駆動する為のものである。
更に、前記トルク伝達用継手は、前記電動モータの出力軸と前記ウォーム軸との間に設けられて、これら両軸同士の間でトルクを伝達するもので、上述の様な、本発明のトルク伝達用継手である。
以上の様な構成を有する本発明のトルク伝達用継手及び電動式パワーステアリング装置によれば、組立作業効率の向上を図れると共に、トルクの伝達特性の調整の自由度を向上できる。
即ち、本発明の場合には、緩衝部材を複数の緩衝片を軸方向に積層する事により構成すると共に、これら各緩衝片をそれぞれ一体に形成して、これら各緩衝片を構成する複数の緩衝素子(外側緩衝素子、中間緩衝素子)同士を、連結部(外径側、内径側各連結部、中央連結部)によりそれぞれ連結している。この為、前記各緩衝片を構成する複数の緩衝素子が互いに相対変位する(バラバラになる)事を防止できて、これら緩衝素子を設置位置となる円周方向等間隔位置に配置した状態に維持できる。従って、例えばこの様な緩衝片を軸方向に積層した状態(緩衝部材を構成した状態)で、駆動側伝達部材と被駆動側伝達部材とのうちの何れか一方の伝達部材に対して軸方向に組み付ければ、前記緩衝部材を構成する全ての緩衝体を、この一方の伝達部材に設けられた各歯部の円周方向両側部分に同時に配置する事が可能になる。この様に本発明によれば、前述した従来構造の場合の様に、緩衝体を1個ずつ設置する場合に比べて、緩衝体の設置作業を容易に行う事が可能になり、トルク伝達用継手の組立作業効率の向上を図れる。
又、本発明の場合には、緩衝部材を構成する複数の緩衝片同士の間で、弾性の大きさを異ならせたり、緩衝素子の大きさや形状等を異ならせる事ができる。この為、トルクの伝達開始時やトルクの変動時に、駆動側歯部と被駆動側歯部との間で緩衝素子が弾性変形させられるタイミングを、複数の緩衝片同士の間で多様にずらす(例えば弾性変形し易い緩衝片の緩衝素子から先に弾性変形させられる様にする)事ができる。従って、本発明によれば、トルクの伝達特性の調整の自由度を向上できる。
又、請求項2に記載した発明によれば、駆動軸と被駆動軸との間で作用するスラスト力を吸収する為の部材を別個独立して設ける場合に比べて、部品点数の削減に伴うコスト低減を図れると共に、製造作業及び組付作業の作業工数の低減に伴うコスト低減を図れる。
又、請求項3に記載した発明によれば、緩衝部材を構成する複数の緩衝片同士が互いに軸方向に離隔したり、円周方向に相対変位等する事を防止できる為、緩衝部材の取り扱い性、並びに、組み付け性をより一層向上できる。
本発明の実施の形態の1例を示す、トルク伝達用継手を組み込んだ電動式パワーステアリング装置の要部断面図。 同じくトルク伝達用継手を取り出して示す図1のA部拡大図。 同じくトルク伝達用継手を取り出して模式的に示す分解斜視図。 同じく緩衝部材を構成する3つの緩衝片のうち、(A)はウォーム軸側の緩衝片を、(B)は軸方向中央の緩衝片を、(C)は電動モータ側の緩衝片をそれぞれ示すもので、(a)はウォーム軸側から見た端面図であり、(b)は(a)の右側面図。 自動車用操舵装置の1例を示す部分縦断側面図。 電動式パワーステアリング装置の従来構造の1例を示す、図5の拡大B−B断面図。 従来構造のトルク伝達用継手を示す分解斜視図。
[実施の形態の1例]
図1〜4は、総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合には、電動式パワーステアリング装置を構成する電動モータ7の出力軸12aの先端部と、ウォーム式減速機を構成するウォーム軸6aの基端部との間に、本例のトルク伝達用継手15aを設けて、前記出力軸12aから前記ウォーム軸6aにトルクを伝達可能としている。このトルク伝達用継手15aを除く、電動式パワーステアリング装置の構成及び作用は、前述の図5〜6に示した構造を含め、従来から広く知られている電動式パワーステアリング装置と同様であるから説明を省略し、以下、前記トルク伝達用継手15aの構成及び作用に就いて説明する。
前記トルク伝達用継手15aは、駆動軸である前記出力軸12aの先端部にこの先端部と同心に支持される駆動側伝達部材16aと、被駆動軸である前記ウォーム軸6aの基端部にこの基端部と同心に支持される被駆動側伝達部材17aと、これら駆動側伝達部材16aと被駆動側伝達部材17aとの間に設けられる弾性材製の緩衝部材18aとを備える。
このうちの駆動側伝達部材16aは、金属製で、駆動側基部19aと、2本の駆動側歯部20a、20aとを備える。この駆動側基部19aは、円板状で、その中心部に、前記出力軸12aの先端部外周面に形成された雄セレーションとセレーション係合する、駆動側セレーション孔25が形成されている。又、前記各駆動側歯部20a、20aは、径方向外方に向かう程円周方向に関する幅寸法が大きくなった略台形柱状で、前記駆動側基部19aのうちで前記被駆動側伝達部材17aに対向する面の外径寄り部分に、円周方向に関して間欠的に(位相を180度ずらして)、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられている。又、前記各駆動側歯部20a、20aの円周方向側面は、それぞれ円周方向内側に凹んだ部分円筒面に形成されている。又、前記各駆動側歯部20a、20aの軸方向寸法は、後述する被駆動側歯部23a、23aの軸方向寸法と等しい。
一方、前記被駆動側伝達部材17aは、金属製で、被駆動側基部22aと、2本の被駆動側歯部23a、23aとを備える。このうちの被駆動側基部22aは、円板状で、その中心部に、前記ウォーム軸6aの基端部外周面に形成された雄セレーションとセレーション係合する、被駆動側セレーション孔26が形成されている。又、前記各被駆動側歯部23a、23aは、径方向外方に向かう程円周方向に関する幅寸法が大きくなった略台形柱状で、前記被駆動側基部22aのうちで前記駆動側伝達部材16aに対向する面の外径寄り部分に、円周方向に関して間欠的に(位相を180度ずらして)、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられている。又、前記各被駆動側歯部23a、23aの円周方向側面も、それぞれ円周方向内側に凹んだ部分円筒面に形成されている。又、前記被駆動側基部22aのうちで前記駆動側伝達部材16aに対向する面の内周縁部(被駆動側セレーション孔26の周囲)に、軸方向に突出した円筒状の位置決め筒部27を設けている。
前記緩衝部材18aは、3つの緩衝片28、28aを軸方向に積層並びに係合する事により構成されており、組み付け状態で、円周方向に隣り合う前記駆動側歯部20aと前記被駆動側歯部23aとの間部分に配置される、合計4個の略円柱状の緩衝体24a、24aを有する。
軸方向両側に配置される前記両緩衝片28、28は、合成樹脂を射出成形する事によりそれぞれ一体に形成されており、円周方向等間隔に配置された4個の外側緩衝素子29、29と、2個の外径側連結部30、30と、1個の内径側連結部31とを備える。このうちの外側緩衝素子29、29は、それぞれ略短円柱状に構成されており、後述する中間緩衝素子41と共に軸方向に積層された状態で、前記各緩衝体24a、24aを構成する。又、前記各外側緩衝素子29、29の軸方向寸法は、これら各緩衝体24a、24aの軸方向寸法の1/3よりも少しだけ大きい。
又、前記各外径側連結部30、30は、それぞれ円弧板状(およそ1/4円弧状)で、円周方向に隣り合う駆動側歯部20a、20a同士の間部分(電動モータ7側に配置される緩衝片28の場合)或いは円周方向に隣り合う被駆動側歯部23a、23a同士の間部分(ウォーム軸6a側に配置される緩衝片28の場合)に配置され、円周方向に隣り合う外側緩衝素子29、29の軸方向端部同士を連結している。この為、前記各緩衝片28、28を構成する1対の外径側連結部30、30の位相は180度ずれている。又、前記緩衝部材18aを組み立てた状態で、前記電動モータ7側に配置される緩衝片28を構成する外径側連結部30、30と、前記ウォーム軸6a側に配置される緩衝片28を構成する外径側連結部30、30とは、円周方向に関して交互に(位相が90度ずつずれた状態で)配置される。
又、前記内径側連結部31は、前記各外径側連結部30、30よりも径方向内側に配置されており、円環状のリング部32と、このリング部32の直径方向反対側2個所位置から径方向外方に突出した1対の直線部33、33とを有する。そして、これら各直線部33、33の先端部を、前記各外径側連結部30、30の内周縁のうちの円周方向中央部にそれぞれ連続させて、これら両外径側連結部30、30同士を連結している。
又、本例の場合、軸方向に積層された状態で同一の緩衝体24a、24aを構成する(軸方向両側部分に配置される)1対の外側緩衝素子29、29のうち、一方の外側緩衝素子29に、他方の外側緩衝素子29に向けて軸方向に突出した係合ピン34を設けており、他方の外側緩衝素子29に、軸方向に貫通する状態で、この係合ピン34と係合可能な段付き形状の係合孔35を形成している。又、前記各緩衝片28、28を構成する4個の外側緩衝素子29、29のうち、直径方向反対側に設けられた(外径側連結部30、30により互いに連結されていない)1対の外側緩衝素子29、29に前記各係合ピン34、34を設けると共に、残りの1対の外側緩衝素子29、29に前記各係合孔35、35を形成している。従って、図3に示す様に、本例の場合には、前記電動モータ7側に配置された緩衝片28の係合ピン34、34と、前記ウォーム軸6a側に配置された緩衝片28の係合ピン34、34とが、円周方向に関して交互に配置されている。
前記各係合ピン34は、基端部乃至中間部に設けられた円柱状の軸部36と、先端部に設けられたこの軸部36よりも大径の係合片37とを有している。又、前記各係合ピン34の先端部乃至中間部には、直径方向にスリット38が形成されている。この為、本例の場合には、このスリット38の隙間を小さくする事により、前記係合片37の外径寸法を自由状態での外径寸法よりも小さくできる。又、前記各係合ピン34の全長は、後述する中間緩衝素子41の軸方向寸法よりも大きく、中間緩衝素子41と外側緩衝素子29との軸方向寸法の和よりも小さい。この様な係合ピン34は、前記両緩衝片28、28を造る際に、その他の部分(外側緩衝素子29、外径側連結部30及び内径側連結部31)と同時に形成する。
前記各係合孔35は、軸方向中央に配置される前記緩衝片28に対向した開口側半部を小径部39とし、奥部側半部を大径部40としている。そして、このうちの小径部39の内径寸法を、前記係合片37の自由状態での外径寸法よりも小さく、且つ、前記スリット38の隙間を小さくした状態での前記係合片37の外径寸法、及び、前記軸部36の外径寸法よりも僅かに大きくしている。これに対し、前記大径部40の内径寸法を、前記係合片37の自由状態での外径寸法よりも僅かに大きくしている。この様な係合孔35は、前記両緩衝片28、28を造る際に、その他の部分(外側緩衝素子29、外径側連結部30及び内径側連結部31)と同時に形成する。
尚、軸方向両側に配置される1対の緩衝片28、28の形状は、前記各係合ピン34、34及び係合孔35、35を除けば同一形状である。この為、この様な係合ピン34、34及び係合孔35、35を設けない構造を採用する場合には、1対の緩衝片28、28で同じものを使用できる(部品を共通化できる)。
一方、軸方向中央に配置された前記緩衝片28aは、ゴム或いはビニルの如きエラストマーを射出成形する事により一体に形成されており、全体形状が略十字形で、円周方向等間隔に配置された4個の中間緩衝素子41、41と、1個の中央連結部42とを備える。このうちの中間緩衝素子41、41は、それぞれ略短円柱状に構成されており、前記各外側緩衝素子29、29と共に軸方向に積層された状態で、前記各緩衝体24a、24aを構成する。又、前記各中間緩衝素子41、41の軸方向寸法は、これら各緩衝体24a、24aの軸方向寸法の1/3よりも少しだけ小さい。又、本例の場合には、前記各中間緩衝素子41、41の外径寸法を、前記各外側緩衝素子29、29の外径寸法よりも僅かに大きくしている。
又、前記中央連結部42は、前記各中間緩衝素子41、41よりも径方向内側に配置されており、中央部分に配置された段付円柱状のダンパ部43と、このダンパ部43の軸方向中間部外周面の円周方向等間隔4個所位置からそれぞれ径方向外方に突出した、合計4個の連結腕部44、44とを有する。そして、これら各連結腕部44、44の先端部を、前記各中間緩衝素子41、41の内径側端縁にそれぞれ連続させて、これら中間緩衝素子41、41同士を連結している。又、前記ダンパ部43は、外径側半部に設けられたダンパ部本体45と、内径側半部に設けられた軸状部46とから成る。このうちのダンパ部本体45は、前記駆動側基部19aの内径側部分と前記被駆動側基部22aに設けられた位置決め筒部27との間で軸方向に挟持される。又、前記軸状部46の各端部は、駆動側、被駆動側各セレーション孔25、26内に遊嵌されており、この軸状部46の両端面と、前記出力軸12aの先端面及び前記ウォーム軸6aの基端面との間には、前記ダンパ部本体45が軸方向に或る程度弾性変形した場合に消滅する程度の大きさの隙間を設けている。
又、前記各中間緩衝素子41には、軸方向に貫通する状態で、挿通孔47が形成されている。これら各挿通孔47の内径寸法は、前記各係合孔35の小径部39の内径寸法と同じである。
本例の場合、前記緩衝部材18aを構成する3つの緩衝片28、28aのうち、軸方向中央に配置された緩衝片28aを、軸方向両側に配置された緩衝片28、28に比べて、弾性変形し易い材料から造っている。具体的には、軸方向中央の緩衝片28aを、ゴムやビニルの如きエラストマー等の弾性変形し易い材料から造り、軸方向両側の緩衝片28、28を、エラストマー等に比べて弾性変形し難い、ポリアセタール樹脂やポリアミド樹脂等の合成樹脂から造っている。
本例のトルク伝達用継手15aを組み立てる際には、先ず、前記緩衝部材18aを組み立てる。即ち、軸方向両側に配置される前記両緩衝片28、28により、軸方向中央に配置される前記緩衝片28aを挟持した状態で、前記各係合ピン34、34と前記各係合孔35、35とをそれぞれ係合させる。具体的には、これら各係合ピン34、34の先端部に設けられた前記各係合片37、37を、前記各中間緩衝素子41、41に形成された挿通孔47、47の内側に押し込む事により、前記各スリット38、38の隙間を小さくし、前記各係合片37、37の外径寸法を小さくした状態で、前記各挿通孔47、47の内側を通過させる。又、同様に、前記各外側緩衝素子29、29に形成された係合孔35、35のうちの小径部39、39の内側を通過させる。そして、前記各係合片37、37が、これら各係合孔35、35のうちの大径部40、40の内側に迄移動すると、弾性復帰し、前記各係合片37、37の外径寸法は大きくなる。この結果、前記各係合片37、37と、前記各係合孔35、35(大径部40と小径部39との間の段差面)とが係合する。又、この状態で、軸方向中央に配置された合計4個の中間緩衝素子41、41が軸方向両側の1対の外側緩衝素子29、29によりそれぞれ挟持されて、合計4個の緩衝体24a、24aが構成される。この様にして、3つの緩衝片28、28aから1つの緩衝部材18aが組み立てられる。
次いで、前記駆動側伝達部材16aと前記被駆動側伝達部材17aとのうち、何れか一方の伝達部材16a(17a)を構成する各歯部20a(23a)の円周方向両側部分に、前記各緩衝体24a、24aが配置される様に、前記緩衝部材18aを前記一方の伝達部材16a(17a)に対して軸方向に組み込む。この状態で、この一方の伝達部材16a(17a)を構成する各歯部20a(23a)同士の間部分に、この一方の伝達部材16a(17a)側に配置された緩衝片28を構成する外径側連結部30、30が配置され、他方の伝達部材17a(16a)側(軸方向反対側)に配置された緩衝片28を構成する外径側連結部30、30は、前記一方の伝達部材16a(17a)を構成する各歯部20a(23a)を覆う様に配置される。その後、前記他方の伝達部材17a(16a)を、この他方の伝達部材17a(16a)を構成する各歯部23a(20a)同士の間部分に、この他方の伝達部材17a(16a)側に配置された緩衝片28を構成する外径側連結部30、30が位置する様に、軸方向に組み合わせる。これにより、円周方向に隣り合う駆動側歯部20aと被駆動側歯部23aとの間部分に、前記各緩衝体24a、24aがそれぞれ位置した状態となる。
以上の様な構成を有する本例のトルク伝達用継手15a及び電動式パワーステアリング装置の場合には、組立作業効率の向上を図れると共に、トルクの伝達効率の調整の自由度を向上できる。
即ち、本例の場合には、前記緩衝部材18aを、3つの緩衝片28、28aを軸方向に積層(並びに係合)する事により構成すると共に、これら各緩衝片28、28aをそれぞれ一体に形成して、これら各緩衝片28、28aを構成する4つの緩衝素子(外側緩衝素子29、中間緩衝素子41)同士を、連結部(外径側、内径側各連結部30、31、中央連結部42)によりそれぞれ連結している。この為、前記各緩衝片28、28aを構成する4個の緩衝素子(29、41)が互いに相対変位する(バラバラになる)事を防止できて、これら緩衝素子(29、41)を設置位置となる円周方向等間隔位置に配置した状態に維持できる。しかも、本例の場合には、前記各係合ピン34、34と前記各係合孔35、35とをそれぞれ係合させる事により、軸方向に積層された前記各緩衝片28、28aが互いに軸方向に離隔したり、円周方向に相対変位等する事を防止できる。この為、前記各緩衝体24a、24aを構成する1対の外側緩衝素子29、29と中間緩衝素子41とが、軸方向に離隔したり、円周方向に相対変位する事も防止できる。従って、前述した様に、前記緩衝部材18aを組み立てた状態で、前記駆動側伝達部材16aと前記被駆動側伝達部材17aとのうちの何れか一方の伝達部材16a(17a)に対して軸方向に組み付ける事で、前記緩衝部材18aを構成する全ての緩衝体24a、24aを、この一方の伝達部材16a(17a)に設けられた各歯部20a(23a)の円周方向両側部分に同時に配置する事が可能になる。この様に、本例の場合には、前述した従来構造の場合の様に、緩衝体24、24(図7参照)を1個ずつ組み込む場合に比べて、前記各緩衝体24a、24aの設置作業を容易に行う事が可能になる。又、本例の場合には、前記他方の伝達部材17a(16a)を組み合わせる際に、前記各緩衝体24a、24aが傾斜したり、転倒等するも有効に防止できる。更に、前記各係合ピン34、34と前記各係合孔35、35との係合により、3つの緩衝片28、28aを一体として取り扱える為、前記緩衝部材18aの取り扱い性、並びに、組み付け性をより一層向上できる。この結果、本例の構造によれば、トルク伝達用継手15aの組立作業効率の向上を図れる。又、本例の場合には、前記各緩衝体24、24(図7参照)をそれぞれ独立して設ける場合に比べて、部品点数の低減を図れる。この為、部品管理コストの低減を図れ、前記トルク伝達用継手15aのコストの低廉化を図れる。
又、本例の場合には、トルクの伝達開始時やトルクの変動時に、先ず、前記各駆動側歯部20a、20aと前記各被駆動側歯部23a、23aとの間で、軸方向中央に配置された弾性変形し易い材料から造られた緩衝片28aを構成する中間緩衝素子41、41が弾性変形する。そして、これら各中間緩衝素子41、41が所定量だけ弾性変形した後、軸方向両側に配置された緩衝片28、28を構成する外側緩衝素子29、29が弾性変形する。この様に、本例の場合には、前記各緩衝片28、28a(中間緩衝素子41、外側緩衝素子29)が弾性変形するタイミングを、これら各緩衝片28、28a同士の間で多様にずらす事ができる。従って、本例の構造によれば、トルクの伝達効率の調整の自由度を向上できる。
更に、本例の場合には、運転時に、前記出力軸12aと前記ウォーム軸6aとの間でスラスト力が作用した場合に、軸方向中央部に配置された緩衝片28aを構成するダンパ部本体45が軸方向に弾性変形(収縮)し、前記スラスト力の一部を吸収しつつ、残りのスラスト力を伝達する。従って、前記出力軸12aと前記ウォーム軸6aとの間で伝達されるスラスト力を小さくできる。しかも、本例の場合には、このようにスラスト力を吸収する部材を、前記緩衝部材18a(緩衝片28a)と一体に形成している為、この緩衝部材18aとは別個独立して設ける場合に比べて、部品点数の削減に伴うコスト低減を図れると共に、製造作業及び組付作業の作業工数の低減に伴うコスト低減を図れる。
その他の構成及び作用・効果に就いては、前述した従来構造のトルク伝達用継手、及び、電動式パワーステアリング装置の場合と同様である。
実施の形態の1例では、緩衝部材を構成する複数の緩衝体の形状を円柱状とした場合に就いて説明したが、本発明を実施する場合に、これら緩衝体の形状は、円柱状(断面円形)に限定されない。例えば、楕円柱状(断面楕円形)、1対の直線部を備えた長円柱状(断面長円形)の他、三角柱状や四角柱状等の多角柱状(断面多角形)を採用しても良い。又、本発明を実施する場合に、緩衝部材を構成する緩衝体の数は4個に限定されず、4個以上の偶数個であれば良い。例えば緩衝体の数を6個とした場合には、駆動側伝達部材に形成する駆動側歯部の数を3本とすると共に、被駆動側伝達部材に形成する被駆動側歯部の数を3本とする。
又、緩衝部材を構成する緩衝片の数は3つに限定されず、2つでも良いし、3つ以上(例えば4つ若しくは5つ或いはそれ以上)としても良い。又、緩衝部材を構成する全ての緩衝片を同じ材料から造る事もできるし、全ての緩衝片を異なる材料から造っても良い。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ハウジング
4 ウォームホイール
5 ウォーム歯
6、6a ウォーム軸
7 電動モータ
8 ウォーム
9a、9b 転がり軸受
10 押圧駒
11 コイルばね
12、12a 出力軸
13 スプライン孔
14 スプライン軸部
15、15a トルク伝達用継手
16、16a 駆動側伝達部材
17、17a 被駆動側伝達部材
18、18a 緩衝部材
19、19a 駆動側基部
20、20a 駆動側歯部
21 円筒部
22、22a 被駆動側基部
23、23a 被駆動側歯部
24、24a 緩衝体
25 駆動側セレーション孔
26 被駆動側セレーション孔
27 位置決め筒部
28、28a 緩衝片
29 外側緩衝素子
30 外径側連結部
31 内径側連結部
32 リング部
33 中間板部
34 係合ピン
35 係合孔
36 軸部
37 係合片
38 スリット
39 小径部
40 大径部
41 中間緩衝素子
42 中央連結部
43 ダンパ部材
44 延出腕部
45 ダンパ部本体
46 軸状部
47 挿通孔
この発明に係るトルク伝達用継手は、各種機械装置に組み込んで、駆動軸と被駆動軸との間でトルクを伝達する為に利用する。又、本発明の電動式パワーステアリング装置は、自動車の操舵装置として利用するもので、電動モータを補助動力源として利用する事により、運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力の軽減を図るものである。
操舵輪(フォークリフト等の特殊車両を除き、通常は前輪)に舵角を付与する際に、運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力の軽減を図る為の装置として、パワーステアリング装置が広く使用されている。又、この様なパワーステアリング装置で、補助動力源として電動モータを使用する電動式パワーステアリング装置も、近年普及し始めている。この様な電動式パワーステアリング装置の構造は、各種知られているが、何れの構造の場合でも、ステアリングホイールの操作によって回転させられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する回転軸に電動モータの補助動力を、減速機を介して付与する。この減速機として一般的には、ウォーム減速機が使用されている。ウォーム減速機を使用した電動式パワーステアリング装置の場合、前記電動モータにより回転駆動されるウォームと、前記回転軸と共に回転するウォームホイールとを噛合させて、前記電動モータの補助動力をこの回転軸に伝達自在とする。但し、ウォーム減速機の場合、何らの対策も施さないと、前記ウォームと前記ウォームホイールとの噛合部に存在するバックラッシュに基づき、前記回転軸の回転方向を変える際に、歯打ち音と呼ばれる不快な異音が発生する場合がある。
この様な歯打ち音の発生を抑えられる構造として従来から、特許文献1〜3に記載されている様に、ばね等の弾性部材によりウォームをウォームホイールに向け弾性的に押圧する事が考えられている。図5〜6は、このうちの特許文献2に記載された電動式パワーステアリング装置の1例を示している。ステアリングホイール1により所定方向に回転させられるステアリングシャフト2の前端部は、ハウジング3の内側に回転自在に支持しており、この部分にウォームホイール4を固定している。このウォームホイール4と噛合するウォーム歯5をウォーム軸6の軸方向中間部に設け、電動モータ7により回転駆動されるウォーム8の軸方向両端部は、深溝型玉軸受等の1対の転がり軸受9a、9bにより、前記ハウジング3内に回転自在に支持されている。更に、前記ウォーム軸6の先端部で前記転がり軸受9aよりも突出した部分に押圧駒10を外嵌し、この押圧駒10と前記ハウジング3との間に、コイルばね11等の弾性部材を設けている。そして、このコイルばね11により、前記押圧駒10を介して、前記ウォーム軸6に設けたウォーム歯5を、前記ウォームホイール4に向け押圧している。この様な構成により、これらウォーム歯5とウォームホイール4との間のバックラッシュを抑え、前記歯打ち音の発生を抑えている。
上述の様な従来構造の場合、前記ウォーム歯5と前記ウォームホイール4との噛合部で前記歯打ち音が発生する事を抑えられるが、前記電動モータ7の出力軸12の先端部と前記ウォーム軸6の基端部との結合部分で発生する歯打ち音を抑える事はできない。この点に就いて、以下に説明する。図示の構造の場合、前記電動モータ7の出力軸12の先端部と前記ウォーム軸6の基端部とをトルクの伝達を可能に結合する為に、このウォーム軸6の基端部にスプライン孔13を、このウォーム軸6の基端面に開口する状態で形成している。一方、前記出力軸12の先端部に、スプライン軸部14を形成している。そして、このスプライン軸部14と前記スプライン孔13とをスプライン係合させる事で、前記出力軸12と前記ウォーム軸6とをトルクの伝達を可能に結合している。
前記スプライン軸部14と前記スプライン孔13とが円周方向の隙間なく(バックラッシュ無しで)スプライン係合していれば、前記出力軸12の先端部と前記ウォーム軸6の基端部との結合部(スプライン係合部)で、歯打ち音が発生する事はない。但し、実際の場合には、このスプライン係合部にはバックラッシュが存在している。特に、上述の図6に示す様な構造により、前記ウォーム歯5と前記ウォームホイール4との間のバックラッシュを抑える構造の場合には、前記ウォーム軸6を揺動変位させる必要上、前記スプライン係合部のバックラッシュを完全になくす事はできない。この為、このスプライン係合部での歯打ち音の発生を防止する事は難しい。
この様な歯打ち音の発生を防止できる構造として、例えば特許文献4には、駆動軸の端部と被駆動軸の端部とを、弾性材製の緩衝部材を備えたトルク伝達用継手(カップリング、軸継手)を介して結合する構造が記載されている。図7は、特許文献4に記載された、従来構造のトルク伝達用継手15を示している。このトルク伝達用継手15は、駆動軸である電動モータの出力軸の先端部にこの先端部と同心に支持される、金属製の駆動側伝達部材16と、被駆動軸であるウォーム軸の基端部にこの基端部と同心に支持される、金属製の被駆動側伝達部材17と、これら駆動側伝達部材16と被駆動側伝達部材17との間に設けられる、緩衝部材18とを備えている。
このうちの駆動側伝達部材16は、前記出力軸の先端部に相対回転不能に支持される円板状の駆動側基部19と、この駆動側基部19のうちで前記被駆動側伝達部材17に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた3本の駆動側歯部20、20と、これら駆動側歯部20、20の周囲に設けられた円筒部21とを備える。一方、前記被駆動側伝達部材17は、前記ウォーム軸の基端部に相対回転不能に支持される円板状の被駆動側基部22と、この被駆動側基部22のうちで前記駆動側伝達部材16に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた3本の被駆動側歯部23、23とを備える。又、前記緩衝部材18は、それぞれが樽型(軸方向中央部を峰として軸方向両側に向かって外径寸法が減少する形状)に形成された、合計6個のゴム製の緩衝体24、24から構成されている。
そして、前記トルク伝達用継手15の組立状態では、前記各駆動側歯部20、20と前記各被駆動側歯部23、23とを円周方向に関して交互に配置すると共に、円周方向に隣り合う駆動側歯部20と被駆動側歯部23との間部分に、前記各緩衝体24、24をそれぞれ介在させている。
以上の様な構成を有する従来構造のトルク伝達用継手15の場合、円周方向に隣り合う駆動側歯部20と被駆動側歯部23との間部分に、ゴム製の緩衝体24、24がそれぞれ介在している(挟持されている)。この為、金属製の駆動側歯部20と被駆動側歯部23とが直接接触する事を防止できて、前述した様な歯打ち音が発生する事を有効に防止できる。
但し、上述した様な従来構造のトルク伝達用継手15の場合、次の様な面で、未だ改良の余地がある。
即ち、従来構造のトルク伝達用継手15の場合には、前記緩衝部材18を、それぞれ独立した複数個(図示の例では6個)の緩衝体24、24から構成している。この為、これら各緩衝体24、24を、円周方向に隣り合う駆動側歯部20と被駆動側歯部23との間部分に設置する作業は、前記両伝達部材16、17のうちの一方の伝達部材16(17)を構成する各歯部20(23)の円周方向両側部分に、前記各緩衝体24、24を1個ずつ配置した後、他方の伝達部材17(16)を組み合わせる事により行う必要がある。従って、前記各緩衝体24、24を1個ずつ配置する作業が面倒で、トルク伝達用継手15の組立作業効率が低下し易くなる。又、前記各緩衝体24、24がそれぞれ独立しており、部品点数が多くなる為、部品管理コストが嵩み、トルク伝達用継手15のコストが高くなり易くなる。
又、従来構造のトルク伝達用継手15の場合には、前記各緩衝体24、24を樽型として、これら各緩衝体24、24の弾性特性(圧縮状態)を3段階に変化させる様にしている。この為、前記出力軸12の回転開始直後に、急に大きなトルクが伝達される事を防止できる。但し、従来構造のトルク伝達用継手15の場合には、前記各緩衝体24、24の形状(外周面形状)にのみ基づいて弾性特性を変化させる事を意図している為、出力軸の回転量と伝達トルクとの関係(以下、本明細書で「トルクの伝達特性」と言い、不感帯を意味するヒステリシスを含む)を調整する事に関して自由度が十分に高いとは言えない。
尚、本発明に関連する先行技術文献として、上述した特許文献1〜4の他に、特許文献5がある。この特許文献5には、緩衝部材を、3つの部材を軸方向に重ね合わせる事により構成する発明が記載されている。但し、この様な特許文献5に記載された発明の場合にも、上述した様な問題を解決する事はできない。
特開2000−43739号公報 特開2004−306898号公報 特表2006−513906号公報 特開2009−190519号公報 特許第4779358号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、組立作業効率の向上を図れると共に、トルクの伝達特性の調整の自由度を向上できるトルク伝達用継手、及び、このトルク伝達用継手を備えた電動式パワーステアリング装置を実現すべく発明したものである。
本発明のトルク伝達用継手及び電動式パワーステアリング装置のうち、請求項1に記載したトルク伝達用継手の発明は、軸方向に関して互いに直列に配置された駆動軸と被駆動軸との端部同士の間でトルクを伝達するものであり、前記駆動軸の端部にこの駆動軸と同心に支持される駆動側伝達部材と、前記被駆動軸の端部にこの被駆動軸と同心に支持される被駆動側伝達部材と、これら駆動側伝達部材と被駆動側伝達部材との間に設けられる弾性材製の緩衝部材とを備える。
このうちの駆動側伝達部材は、前記駆動軸の端部に支持される駆動側基部と、この駆動側基部のうちで前記被駆動側伝達部材に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた複数本(例えば2〜4本)の駆動側歯部とを備える。
又、前記被駆動側伝達部材は、前記被駆動軸の端部に支持される被駆動側基部と、この被駆動側基部のうちで前記駆動側伝達部材に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた複数本(例えば2〜4本)の被駆動側歯部とを備える。
そして、前記各駆動側歯部と前記各被駆動側歯部とを円周方向に関して交互に配置すると共に、円周方向に隣り合う駆動側歯部と被駆動側歯部との間部分に、前記緩衝部材を構成する緩衝体をそれぞれ介在させている。
特に、本発明のトルク伝達用継手の場合には、前記緩衝部材を、複数(例えば3つ)の緩衝片を軸方向に積層する事により構成し、4個以上で偶数個(例えば4個或いは6個)の緩衝体を備えたものとする。
又、前記緩衝部材を構成する複数の緩衝片のうち、軸方向両側に配置された1対の緩衝片を、例えば合成樹脂を射出成形する事によりそれぞれ一体に形成する。そして、これら両緩衝片を、軸方向に積層された状態で前記各緩衝体を構成する、円周方向等間隔に配置された外側緩衝素子と、円周方向に隣り合う前記駆動側歯部同士或いは前記被駆動側歯部同士の間部分に配置され、円周方向に隣り合う外側緩衝素子同士を連結する、例えば円弧板状に構成された外径側連結部と、これら外径側連結部よりも径方向内側に配置されて、これら外径側連結部同士を連結する内径側連結部とを備えたものとする。
更に、前記緩衝部材を構成する複数の緩衝片のうち、軸方向中間部に配置された1乃至複数の緩衝片を、例えばゴムを射出成形する事により一体に形成する。そして、この緩衝片を、軸方向に積層された状態で前記各緩衝体を構成する、円周方向等間隔に配置された中間緩衝素子と、これら中間緩衝素子よりも径方向内側に配置されて、これら中間緩衝素子同士を連結する中央連結部とを備えたものとする。
又、本発明の場合には、前記中央連結部を、中央部分に配置されたダンパ部と、該ダンパ部の外面から径方向外方に突出した連結腕部とを有するものとし、これら連結腕部の先端部を前記中間緩衝素子の内径側端縁に連続させて、これら中間緩衝素子同士を連結している。
尚、本発明のトルク伝達用継手を実施する場合に、前記各緩衝体(を構成する外側緩衝素子及び中間緩衝素子)の断面形状は、特に問わない。例えば円形、楕円形、1対の直線部を備えた長円形の他、三角形や四角形(例えば台形や長方形)等の多角形を採用する事もできる。
上述した様な本発明のトルク伝達用継手を実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記緩衝部材を構成する複数の緩衝片のうちで、軸方向中間部に配置された緩衝片を、弾性材製(例えばゴム製)とし、この緩衝片を構成する中央連結部のダンパ部に、前記駆動側伝達部材と前記被駆動側伝達部材とに挟持され、前記駆動軸と前記被駆動軸との間に作用するスラスト力の一部を吸収しつつ、残りのスラスト力を伝達するダンパ機能を持たせる。
又、上述した様な請求項2に記載した発明を実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記緩衝部材を構成する複数の緩衝片のうちで、軸方向中間部に配置された緩衝片を、エラストマーの一体成形品とする事ができる。
又、上述した様な本発明のトルク伝達用継手を実施する場合には、例えば請求項に記載した発明の様に、軸方向に積層された状態で互いに同一の緩衝体を構成する1対の外側緩衝素子のうちの一方の外側緩衝素子に、他方の外側緩衝素子に向けて軸方向に突出した係合ピンを設ける。又、この他方の外側緩衝素子に、この係合ピンと係合可能な係合孔を形成する。更に、軸方向中間部に配置される緩衝片を構成する中間緩衝素子に、前記係合ピンを挿通可能な挿通孔を形成する。
そして、軸方向両側に配置される前記1対の緩衝片により軸方向中間部に配置される緩衝片を挟持した状態で、前挿通孔を挿通した前記係合ピンと前記係合孔とを係合させる。
一方、本発明のトルク伝達用継手及び電動式パワーステアリング装置のうち、請求項に記載した電動式パワーステアリング装置の発明は、ハウジングと、被操舵用回転軸と、ウォームホイールと、ウォームと、電動モータと、トルク伝達用継手とを備える。
このうちのハウジングは、固定の部分に支持されて回転しない。
又、前記被操舵用回転軸は、前記ハウジングに対し回転自在に設けられて、ステアリングホイールの操作により回転させられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する。
又、前記ウォームホイールは、前記ハウジングの内部で前記操舵用回転軸の一部に、この操舵用回転軸と同心に支持されて、この操舵用回転軸と共に回転する。
又、前記ウォームは、ウォーム軸の軸方向中間部にウォーム歯を設けて成り、このウォーム歯を前記ウォームホイールと噛合させた状態で、前記ウォーム軸の軸方向両端部をそれぞれ軸受により前記ハウジングに対し回転自在に支持されている。
又、前記電動モータは、前記ウォームを回転駆動する為のものである。
更に、前記トルク伝達用継手は、前記電動モータの出力軸と前記ウォーム軸との間に設けられて、これら両軸同士の間でトルクを伝達するもので、上述の様な、本発明のトルク伝達用継手である。
以上の様な構成を有する本発明のトルク伝達用継手及び電動式パワーステアリング装置によれば、組立作業効率の向上を図れると共に、トルクの伝達特性の調整の自由度を向上できる。
即ち、本発明の場合には、緩衝部材を複数の緩衝片を軸方向に積層する事により構成すると共に、これら各緩衝片をそれぞれ一体に形成して、これら各緩衝片を構成する複数の緩衝素子(外側緩衝素子、中間緩衝素子)同士を、連結部(外径側、内径側各連結部、中央連結部)によりそれぞれ連結している。この為、前記各緩衝片を構成する複数の緩衝素子が互いに相対変位する(バラバラになる)事を防止できて、これら緩衝素子を設置位置となる円周方向等間隔位置に配置した状態に維持できる。従って、例えばこの様な緩衝片を軸方向に積層した状態(緩衝部材を構成した状態)で、駆動側伝達部材と被駆動側伝達部材とのうちの何れか一方の伝達部材に対して軸方向に組み付ければ、前記緩衝部材を構成する全ての緩衝体を、この一方の伝達部材に設けられた各歯部の円周方向両側部分に同時に配置する事が可能になる。この様に本発明によれば、前述した従来構造の場合の様に、緩衝体を1個ずつ設置する場合に比べて、緩衝体の設置作業を容易に行う事が可能になり、トルク伝達用継手の組立作業効率の向上を図れる。
又、本発明の場合には、緩衝部材を構成する複数の緩衝片同士の間で、弾性の大きさを異ならせたり、緩衝素子の大きさや形状等を異ならせる事ができる。この為、トルクの伝達開始時やトルクの変動時に、駆動側歯部と被駆動側歯部との間で緩衝素子が弾性変形させられるタイミングを、複数の緩衝片同士の間で多様にずらす(例えば弾性変形し易い緩衝片の緩衝素子から先に弾性変形させられる様にする)事ができる。従って、本発明によれば、トルクの伝達特性の調整の自由度を向上できる。
又、請求項2に記載した発明によれば、駆動軸と被駆動軸との間で作用するスラスト力を吸収する為の部材を別個独立して設ける場合に比べて、部品点数の削減に伴うコスト低減を図れると共に、製造作業及び組付作業の作業工数の低減に伴うコスト低減を図れる。
又、請求項に記載した発明によれば、緩衝部材を構成する複数の緩衝片同士が互いに軸方向に離隔したり、円周方向に相対変位等する事を防止できる為、緩衝部材の取り扱い性、並びに、組み付け性をより一層向上できる。
本発明の実施の形態の1例を示す、トルク伝達用継手を組み込んだ電動式パワーステアリング装置の要部断面図。 同じくトルク伝達用継手を取り出して示す図1のA部拡大図。 同じくトルク伝達用継手を取り出して模式的に示す分解斜視図。 同じく緩衝部材を構成する3つの緩衝片のうち、(A)はウォーム軸側の緩衝片を、(B)は軸方向中央の緩衝片を、(C)は電動モータ側の緩衝片をそれぞれ示すもので、(a)はウォーム軸側から見た端面図であり、(b)は(a)の右側面図。 自動車用操舵装置の1例を示す部分縦断側面図。 電動式パワーステアリング装置の従来構造の1例を示す、図5の拡大B−B断面図。 従来構造のトルク伝達用継手を示す分解斜視図。
[実施の形態の1例]
図1〜4は、総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合には、電動式パワーステアリング装置を構成する電動モータ7の出力軸12aの先端部と、ウォーム式減速機を構成するウォーム軸6aの基端部との間に、本例のトルク伝達用継手15aを設けて、前記出力軸12aから前記ウォーム軸6aにトルクを伝達可能としている。このトルク伝達用継手15aを除く、電動式パワーステアリング装置の構成及び作用は、前述の図5〜6に示した構造を含め、従来から広く知られている電動式パワーステアリング装置と同様であるから説明を省略し、以下、前記トルク伝達用継手15aの構成及び作用に就いて説明する。
前記トルク伝達用継手15aは、駆動軸である前記出力軸12aの先端部にこの先端部と同心に支持される駆動側伝達部材16aと、被駆動軸である前記ウォーム軸6aの基端部にこの基端部と同心に支持される被駆動側伝達部材17aと、これら駆動側伝達部材16aと被駆動側伝達部材17aとの間に設けられる弾性材製の緩衝部材18aとを備える。
このうちの駆動側伝達部材16aは、金属製で、駆動側基部19aと、2本の駆動側歯部20a、20aとを備える。この駆動側基部19aは、円板状で、その中心部に、前記出力軸12aの先端部外周面に形成された雄セレーションとセレーション係合する、駆動側セレーション孔25が形成されている。又、前記各駆動側歯部20a、20aは、径方向外方に向かう程円周方向に関する幅寸法が大きくなった略台形柱状で、前記駆動側基部19aのうちで前記被駆動側伝達部材17aに対向する面の外径寄り部分に、円周方向に関して間欠的に(位相を180度ずらして)、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられている。又、前記各駆動側歯部20a、20aの円周方向側面は、それぞれ円周方向内側に凹んだ部分円筒面に形成されている。又、前記各駆動側歯部20a、20aの軸方向寸法は、後述する被駆動側歯部23a、23aの軸方向寸法と等しい。
一方、前記被駆動側伝達部材17aは、金属製で、被駆動側基部22aと、2本の被駆動側歯部23a、23aとを備える。このうちの被駆動側基部22aは、円板状で、その中心部に、前記ウォーム軸6aの基端部外周面に形成された雄セレーションとセレーション係合する、被駆動側セレーション孔26が形成されている。又、前記各被駆動側歯部23a、23aは、径方向外方に向かう程円周方向に関する幅寸法が大きくなった略台形柱状で、前記被駆動側基部22aのうちで前記駆動側伝達部材16aに対向する面の外径寄り部分に、円周方向に関して間欠的に(位相を180度ずらして)、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられている。又、前記各被駆動側歯部23a、23aの円周方向側面も、それぞれ円周方向内側に凹んだ部分円筒面に形成されている。又、前記被駆動側基部22aのうちで前記駆動側伝達部材16aに対向する面の内周縁部(被駆動側セレーション孔26の周囲)に、軸方向に突出した円筒状の位置決め筒部27を設けている。
前記緩衝部材18aは、3つの緩衝片28、28aを軸方向に積層並びに係合する事により構成されており、組み付け状態で、円周方向に隣り合う前記駆動側歯部20aと前記被駆動側歯部23aとの間部分に配置される、合計4個の略円柱状の緩衝体24a、24aを有する。
軸方向両側に配置される前記両緩衝片28、28は、合成樹脂を射出成形する事によりそれぞれ一体に形成されており、円周方向等間隔に配置された4個の外側緩衝素子29、29と、2個の外径側連結部30、30と、1個の内径側連結部31とを備える。このうちの外側緩衝素子29、29は、それぞれ略短円柱状に構成されており、後述する中間緩衝素子41と共に軸方向に積層された状態で、前記各緩衝体24a、24aを構成する。又、前記各外側緩衝素子29、29の軸方向寸法は、これら各緩衝体24a、24aの軸方向寸法の1/3よりも少しだけ大きい。
又、前記各外径側連結部30、30は、それぞれ円弧板状(およそ1/4円弧状)で、円周方向に隣り合う駆動側歯部20a、20a同士の間部分(電動モータ7側に配置される緩衝片28の場合)或いは円周方向に隣り合う被駆動側歯部23a、23a同士の間部分(ウォーム軸6a側に配置される緩衝片28の場合)に配置され、円周方向に隣り合う外側緩衝素子29、29の軸方向端部同士を連結している。この為、前記各緩衝片28、28を構成する1対の外径側連結部30、30の位相は180度ずれている。又、前記緩衝部材18aを組み立てた状態で、前記電動モータ7側に配置される緩衝片28を構成する外径側連結部30、30と、前記ウォーム軸6a側に配置される緩衝片28を構成する外径側連結部30、30とは、円周方向に関して交互に(位相が90度ずつずれた状態で)配置される。
又、前記内径側連結部31は、前記各外径側連結部30、30よりも径方向内側に配置されており、円環状のリング部32と、このリング部32の直径方向反対側2個所位置から径方向外方に突出した1対の直線部33、33とを有する。そして、これら各直線部33、33の先端部を、前記各外径側連結部30、30の内周縁のうちの円周方向中央部にそれぞれ連続させて、これら両外径側連結部30、30同士を連結している。
又、本例の場合、軸方向に積層された状態で同一の緩衝体24a、24aを構成する(軸方向両側部分に配置される)1対の外側緩衝素子29、29のうち、一方の外側緩衝素子29に、他方の外側緩衝素子29に向けて軸方向に突出した係合ピン34を設けており、他方の外側緩衝素子29に、軸方向に貫通する状態で、この係合ピン34と係合可能な段付き形状の係合孔35を形成している。又、前記各緩衝片28、28を構成する4個の外側緩衝素子29、29のうち、直径方向反対側に設けられた(外径側連結部30、30により互いに連結されていない)1対の外側緩衝素子29、29に前記各係合ピン34、34を設けると共に、残りの1対の外側緩衝素子29、29に前記各係合孔35、35を形成している。従って、図3に示す様に、本例の場合には、前記電動モータ7側に配置された緩衝片28の係合ピン34、34と、前記ウォーム軸6a側に配置された緩衝片28の係合ピン34、34とが、円周方向に関して交互に配置されている。
前記各係合ピン34は、基端部乃至中間部に設けられた円柱状の軸部36と、先端部に設けられたこの軸部36よりも大径の係合片37とを有している。又、前記各係合ピン34の先端部乃至中間部には、直径方向にスリット38が形成されている。この為、本例の場合には、このスリット38の隙間を小さくする事により、前記係合片37の外径寸法を自由状態での外径寸法よりも小さくできる。又、前記各係合ピン34の全長は、後述する中間緩衝素子41の軸方向寸法よりも大きく、中間緩衝素子41と外側緩衝素子29との軸方向寸法の和よりも小さい。この様な係合ピン34は、前記両緩衝片28、28を造る際に、その他の部分(外側緩衝素子29、外径側連結部30及び内径側連結部31)と同時に形成する。
前記各係合孔35は、軸方向中央に配置される前記緩衝片28に対向した開口側半部を小径部39とし、奥部側半部を大径部40としている。そして、このうちの小径部39の内径寸法を、前記係合片37の自由状態での外径寸法よりも小さく、且つ、前記スリット38の隙間を小さくした状態での前記係合片37の外径寸法、及び、前記軸部36の外径寸法よりも僅かに大きくしている。これに対し、前記大径部40の内径寸法を、前記係合片37の自由状態での外径寸法よりも僅かに大きくしている。この様な係合孔35は、前記両緩衝片28、28を造る際に、その他の部分(外側緩衝素子29、外径側連結部30及び内径側連結部31)と同時に形成する。
尚、軸方向両側に配置される1対の緩衝片28、28の形状は、前記各係合ピン34、34及び係合孔35、35を除けば同一形状である。この為、この様な係合ピン34、34及び係合孔35、35を設けない構造を採用する場合には、1対の緩衝片28、28で同じものを使用できる(部品を共通化できる)。
一方、軸方向中央に配置された前記緩衝片28aは、ゴム或いはビニルの如きエラストマーを射出成形する事により一体に形成されており、全体形状が略十字形で、円周方向等間隔に配置された4個の中間緩衝素子41、41と、1個の中央連結部42とを備える。このうちの中間緩衝素子41、41は、それぞれ略短円柱状に構成されており、前記各外側緩衝素子29、29と共に軸方向に積層された状態で、前記各緩衝体24a、24aを構成する。又、前記各中間緩衝素子41、41の軸方向寸法は、これら各緩衝体24a、24aの軸方向寸法の1/3よりも少しだけ小さい。又、本例の場合には、前記各中間緩衝素子41、41の外径寸法を、前記各外側緩衝素子29、29の外径寸法よりも僅かに大きくしている。
又、前記中央連結部42は、前記各中間緩衝素子41、41よりも径方向内側に配置されており、中央部分に配置された段付円柱状のダンパ部43と、このダンパ部43の軸方向中間部外周面の円周方向等間隔4個所位置からそれぞれ径方向外方に突出した、合計4個の連結腕部44、44とを有する。そして、これら各連結腕部44、44の先端部を、前記各中間緩衝素子41、41の内径側端縁にそれぞれ連続させて、これら中間緩衝素子41、41同士を連結している。又、前記ダンパ部43は、外径側半部に設けられたダンパ部本体45と、内径側半部に設けられた軸状部46とから成る。このうちのダンパ部本体45は、前記駆動側基部19aの内径側部分と前記被駆動側基部22aに設けられた位置決め筒部27との間で軸方向に挟持される。又、前記軸状部46の各端部は、駆動側、被駆動側各セレーション孔25、26内に遊嵌されており、この軸状部46の両端面と、前記出力軸12aの先端面及び前記ウォーム軸6aの基端面との間には、前記ダンパ部本体45が軸方向に或る程度弾性変形した場合に消滅する程度の大きさの隙間を設けている。
又、前記各中間緩衝素子41には、軸方向に貫通する状態で、挿通孔47が形成されている。これら各挿通孔47の内径寸法は、前記各係合孔35の小径部39の内径寸法と同じである。
本例の場合、前記緩衝部材18aを構成する3つの緩衝片28、28aのうち、軸方向中央に配置された緩衝片28aを、軸方向両側に配置された緩衝片28、28に比べて、弾性変形し易い材料から造っている。具体的には、軸方向中央の緩衝片28aを、ゴムやビニルの如きエラストマー等の弾性変形し易い材料から造り、軸方向両側の緩衝片28、28を、エラストマー等に比べて弾性変形し難い、ポリアセタール樹脂やポリアミド樹脂等の合成樹脂から造っている。
本例のトルク伝達用継手15aを組み立てる際には、先ず、前記緩衝部材18aを組み立てる。即ち、軸方向両側に配置される前記両緩衝片28、28により、軸方向中央に配置される前記緩衝片28aを挟持した状態で、前記各係合ピン34、34と前記各係合孔35、35とをそれぞれ係合させる。具体的には、これら各係合ピン34、34の先端部に設けられた前記各係合片37、37を、前記各中間緩衝素子41、41に形成された挿通孔47、47の内側に押し込む事により、前記各スリット38、38の隙間を小さくし、前記各係合片37、37の外径寸法を小さくした状態で、前記各挿通孔47、47の内側を通過させる。又、同様に、前記各外側緩衝素子29、29に形成された係合孔35、35のうちの小径部39、39の内側を通過させる。そして、前記各係合片37、37が、これら各係合孔35、35のうちの大径部40、40の内側に迄移動すると、弾性復帰し、前記各係合片37、37の外径寸法は大きくなる。この結果、前記各係合片37、37と、前記各係合孔35、35(大径部40と小径部39との間の段差面)とが係合する。又、この状態で、軸方向中央に配置された合計4個の中間緩衝素子41、41が軸方向両側の1対の外側緩衝素子29、29によりそれぞれ挟持されて、合計4個の緩衝体24a、24aが構成される。この様にして、3つの緩衝片28、28aから1つの緩衝部材18aが組み立てられる。
次いで、前記駆動側伝達部材16aと前記被駆動側伝達部材17aとのうち、何れか一方の伝達部材16a(17a)を構成する各歯部20a(23a)の円周方向両側部分に、前記各緩衝体24a、24aが配置される様に、前記緩衝部材18aを前記一方の伝達部材16a(17a)に対して軸方向に組み込む。この状態で、この一方の伝達部材16a(17a)を構成する各歯部20a(23a)同士の間部分に、この一方の伝達部材16a(17a)側に配置された緩衝片28を構成する外径側連結部30、30が配置され、他方の伝達部材17a(16a)側(軸方向反対側)に配置された緩衝片28を構成する外径側連結部30、30は、前記一方の伝達部材16a(17a)を構成する各歯部20a(23a)を覆う様に配置される。その後、前記他方の伝達部材17a(16a)を、この他方の伝達部材17a(16a)を構成する各歯部23a(20a)同士の間部分に、この他方の伝達部材17a(16a)側に配置された緩衝片28を構成する外径側連結部30、30が位置する様に、軸方向に組み合わせる。これにより、円周方向に隣り合う駆動側歯部20aと被駆動側歯部23aとの間部分に、前記各緩衝体24a、24aがそれぞれ位置した状態となる。
以上の様な構成を有する本例のトルク伝達用継手15a及び電動式パワーステアリング装置の場合には、組立作業効率の向上を図れると共に、トルクの伝達効率の調整の自由度を向上できる。
即ち、本例の場合には、前記緩衝部材18aを、3つの緩衝片28、28aを軸方向に積層(並びに係合)する事により構成すると共に、これら各緩衝片28、28aをそれぞれ一体に形成して、これら各緩衝片28、28aを構成する4つの緩衝素子(外側緩衝素子29、中間緩衝素子41)同士を、連結部(外径側、内径側各連結部30、31、中央連結部42)によりそれぞれ連結している。この為、前記各緩衝片28、28aを構成する4個の緩衝素子(29、41)が互いに相対変位する(バラバラになる)事を防止できて、これら緩衝素子(29、41)を設置位置となる円周方向等間隔位置に配置した状態に維持できる。しかも、本例の場合には、前記各係合ピン34、34と前記各係合孔35、35とをそれぞれ係合させる事により、軸方向に積層された前記各緩衝片28、28aが互いに軸方向に離隔したり、円周方向に相対変位等する事を防止できる。この為、前記各緩衝体24a、24aを構成する1対の外側緩衝素子29、29と中間緩衝素子41とが、軸方向に離隔したり、円周方向に相対変位する事も防止できる。従って、前述した様に、前記緩衝部材18aを組み立てた状態で、前記駆動側伝達部材16aと前記被駆動側伝達部材17aとのうちの何れか一方の伝達部材16a(17a)に対して軸方向に組み付ける事で、前記緩衝部材18aを構成する全ての緩衝体24a、24aを、この一方の伝達部材16a(17a)に設けられた各歯部20a(23a)の円周方向両側部分に同時に配置する事が可能になる。この様に、本例の場合には、前述した従来構造の場合の様に、緩衝体24、24(図7参照)を1個ずつ組み込む場合に比べて、前記各緩衝体24a、24aの設置作業を容易に行う事が可能になる。又、本例の場合には、前記他方の伝達部材17a(16a)を組み合わせる際に、前記各緩衝体24a、24aが傾斜したり、転倒等するも有効に防止できる。更に、前記各係合ピン34、34と前記各係合孔35、35との係合により、3つの緩衝片28、28aを一体として取り扱える為、前記緩衝部材18aの取り扱い性、並びに、組み付け性をより一層向上できる。この結果、本例の構造によれば、トルク伝達用継手15aの組立作業効率の向上を図れる。又、本例の場合には、前記各緩衝体24、24(図7参照)をそれぞれ独立して設ける場合に比べて、部品点数の低減を図れる。この為、部品管理コストの低減を図れ、前記トルク伝達用継手15aのコストの低廉化を図れる。
又、本例の場合には、トルクの伝達開始時やトルクの変動時に、先ず、前記各駆動側歯部20a、20aと前記各被駆動側歯部23a、23aとの間で、軸方向中央に配置された弾性変形し易い材料から造られた緩衝片28aを構成する中間緩衝素子41、41が弾性変形する。そして、これら各中間緩衝素子41、41が所定量だけ弾性変形した後、軸方向両側に配置された緩衝片28、28を構成する外側緩衝素子29、29が弾性変形する。この様に、本例の場合には、前記各緩衝片28、28a(中間緩衝素子41、外側緩衝素子29)が弾性変形するタイミングを、これら各緩衝片28、28a同士の間で多様にずらす事ができる。従って、本例の構造によれば、トルクの伝達効率の調整の自由度を向上できる。
更に、本例の場合には、運転時に、前記出力軸12aと前記ウォーム軸6aとの間でスラスト力が作用した場合に、軸方向中央部に配置された緩衝片28aを構成するダンパ部本体45が軸方向に弾性変形(収縮)し、前記スラスト力の一部を吸収しつつ、残りのスラスト力を伝達する。従って、前記出力軸12aと前記ウォーム軸6aとの間で伝達されるスラスト力を小さくできる。しかも、本例の場合には、このようにスラスト力を吸収する部材を、前記緩衝部材18a(緩衝片28a)と一体に形成している為、この緩衝部材18aとは別個独立して設ける場合に比べて、部品点数の削減に伴うコスト低減を図れると共に、製造作業及び組付作業の作業工数の低減に伴うコスト低減を図れる。
その他の構成及び作用・効果に就いては、前述した従来構造のトルク伝達用継手、及び、電動式パワーステアリング装置の場合と同様である。
実施の形態の1例では、緩衝部材を構成する複数の緩衝体の形状を円柱状とした場合に就いて説明したが、本発明を実施する場合に、これら緩衝体の形状は、円柱状(断面円形)に限定されない。例えば、楕円柱状(断面楕円形)、1対の直線部を備えた長円柱状(断面長円形)の他、三角柱状や四角柱状等の多角柱状(断面多角形)を採用しても良い。又、本発明を実施する場合に、緩衝部材を構成する緩衝体の数は4個に限定されず、4個以上の偶数個であれば良い。例えば緩衝体の数を6個とした場合には、駆動側伝達部材に形成する駆動側歯部の数を3本とすると共に、被駆動側伝達部材に形成する被駆動側歯部の数を3本とする。
又、緩衝部材を構成する緩衝片の数は3つに限定されず、2つでも良いし、3つ以上(例えば4つ若しくは5つ或いはそれ以上)としても良い。又、緩衝部材を構成する全ての緩衝片を同じ材料から造る事もできるし、全ての緩衝片を異なる材料から造っても良い。
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ハウジング
4 ウォームホイール
5 ウォーム歯
6、6a ウォーム軸
7 電動モータ
8 ウォーム
9a、9b 転がり軸受
10 押圧駒
11 コイルばね
12、12a 出力軸
13 スプライン孔
14 スプライン軸部
15、15a トルク伝達用継手
16、16a 駆動側伝達部材
17、17a 被駆動側伝達部材
18、18a 緩衝部材
19、19a 駆動側基部
20、20a 駆動側歯部
21 円筒部
22、22a 被駆動側基部
23、23a 被駆動側歯部
24、24a 緩衝体
25 駆動側セレーション孔
26 被駆動側セレーション孔
27 位置決め筒部
28、28a 緩衝片
29 外側緩衝素子
30 外径側連結部
31 内径側連結部
32 リング部
33 直線
34 係合ピン
35 係合孔
36 軸部
37 係合片
38 スリット
39 小径部
40 大径部
41 中間緩衝素子
42 中央連結部
43 ダンパ部材
44 延出腕部
45 ダンパ部本体
46 軸状部
47 挿通孔

Claims (4)

  1. 軸方向に関して互いに直列に配置された駆動軸と被駆動軸との端部同士の間でトルクを伝達するもので、
    前記駆動軸の端部にこの駆動軸と同心に支持される駆動側伝達部材と、前記被駆動軸の端部にこの被駆動軸と同心に支持される被駆動側伝達部材と、これら駆動側伝達部材と被駆動側伝達部材との間に設けられる弾性材製の緩衝部材とを備え、
    このうちの駆動側伝達部材は、前記駆動軸の端部に支持される駆動側基部と、この駆動側基部のうちで前記被駆動側伝達部材に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた複数本の駆動側歯部とを備えたものであり、
    前記被駆動側伝達部材は、前記被駆動軸の端部に支持される被駆動側基部と、この被駆動側基部のうちで前記駆動側伝達部材に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた複数本の被駆動側歯部とを備えたものであり、
    前記各駆動側歯部と前記各被駆動側歯部とを円周方向に関して交互に配置すると共に、円周方向に隣り合う駆動側歯部と被駆動側歯部との間部分に、前記緩衝部材を構成する緩衝体をそれぞれ介在させているトルク伝達用継手に於いて、
    前記緩衝部材が、複数の緩衝片を軸方向に積層して成るもので、4個以上で偶数個の緩衝体を有しており、
    前記緩衝部材を構成する複数の緩衝片のうち、軸方向両側に配置された1対の緩衝片は、それぞれ一体に形成されており、軸方向に積層された状態で前記各緩衝体を構成する、円周方向等間隔に配置された外側緩衝素子と、円周方向に隣り合う駆動側歯部同士或いは被駆動側歯部同士の間部分に配置され、円周方向に隣り合う外側緩衝素子同士を連結する外径側連結部と、これら外径側連結部よりも径方向内側に配置されて、これら外径側連結部同士を連結する内径側連結部とを備えており、同じく軸方向中間部に配置された緩衝片は、一体に形成されており、軸方向に積層された状態で前記各緩衝体を構成する、円周方向等間隔に配置された中間緩衝素子と、これら中間緩衝素子よりも径方向内側に配置されて、これら中間緩衝素子同士を連結する中央連結部とを備えている、
    事を特徴とするトルク伝達用継手。
  2. 緩衝部材を構成する複数の緩衝片のうちで、軸方向中間部に配置された緩衝片が、弾性材製であり、この緩衝片を構成する中央連結部が、駆動側伝達部材と被駆動側伝達部材との間部分で、駆動軸と被駆動軸との間に作用するスラスト力の一部を吸収しつつ、残りのスラスト力を伝達するダンパ機能を有する、請求項1に記載したトルク伝達用継手。
  3. 軸方向に積層された状態で互いに同一の緩衝体を構成する1対の外側緩衝素子のうちの一方の外側緩衝素子に、他方の外側緩衝素子に向けて軸方向に突出した係合ピンが設けられており、この他方の外側緩衝素子にこの係合ピンと係合可能な係合孔が形成されており、軸方向中間部に配置される緩衝片を構成する中間緩衝素子に、前記各係合ピンを挿通可能な挿通孔が形成されており、軸方向両側に配置される1対の緩衝片により軸方向中間部に配置される緩衝片を挟持した状態で、前記各挿通孔を挿通した前記各係合ピンと前記各係合孔とを係合させている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したトルク伝達用継手。
  4. 固定の部分に支持されて回転する事のないハウジングと、このハウジングに対し回転自在に設けられて、ステアリングホイールの操作により回転させられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する操舵用回転軸と、前記ハウジングの内部でこの操舵用回転軸の一部に、この操舵用回転軸と同心に支持されて、この操舵用回転軸と共に回転するウォームホイールと、ウォーム軸の軸方向中間部にウォーム歯を設けて成り、このウォーム歯を前記ウォームホイールと噛合させた状態で、前記ウォーム軸の軸方向両端部をそれぞれ軸受により前記ハウジングに対し回転自在に支持されたウォームと、このウォームを回転駆動する為の電動モータとを備え、この電動モータの出力軸と前記ウォーム軸とをトルク伝達用継手により、トルクの伝達を可能に接続している電動式パワーステアリング装置に於いて、このトルク伝達用継手が、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したトルク伝達用継手である、電動式パワーステアリング装置。
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