JP6277895B2 - トルク伝達部材及び駆動軸と被駆動軸との結合部 - Google Patents
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Description
尚、本明細書及び特許請求の範囲に於ける「スプライン」には、ピッチの細かい、所謂「セレーション」と呼ばれるものも含む。
又、前記トルク伝達部材は、軸方向両側に配置された1対のトルク伝達素子と、これら両トルク伝達素子同士の間部分に設けられた中間素子とを組み合わせて成る。
前記両トルク伝達素子は、互いに連結されておらず、それぞれ略円環状で、内外両周面のうち、内周面には前記内径側歯部を構成する内径側歯素子が、外周面には前記外径側歯部を構成する外径側歯素子が、それぞれ設けられている。
前記中間素子は、略円環状で、前記両トルク伝達素子よりも弾性変形し易い材料から造られた本体部と、この本体部の軸方向両側面から軸方向両側にそれぞれ突出する状態で設けられた複数の突起部とを備えている。
又、前記本体部の内外両周面のうちの一方の周面にのみ、前記外歯と前記内歯とのうちの何れか一方の歯と、がたつきなく弾性的に噛合する、弾性歯部が設けられている。
そして、特に本発明のトルク伝達部材の場合には、前記各突起部を、前記両トルク伝達素子に形成された挿入孔内にそれぞれ挿入する(例えば圧入する)事により、これら両トルク伝達素子を前記中間素子に対しそれぞれ支持した状態で、内周面に設けられた1対の内径側歯素子と、外周面に設けられた1対の外径側歯素子とのうち、少なくとも径方向に関して前記弾性歯部と反対側に位置する1対の歯素子同士の円周方向に関する位相をずらしている。そして、これら両歯素子を前記外歯と前記内歯とのうちの何れか他方の歯と噛合させた状態で、これら両歯素子同士の間で、この他方の歯を円周方向両側から押圧する。
これら両軸のうち、一方の軸には外歯が、他方の軸には内歯が、それぞれ設けられている。尚、外歯及び内歯は、軸の周面に直接形成されていても良いし、軸に固定した別の部材の周面に形成されていても良い。
又、前記トルク伝達部材の内外両周面のうち、内周面には前記外歯と噛合する内径側歯部が、外周面には前記内歯と噛合する外径側歯部が、それぞれ設けられている。
そして、特に本発明の駆動軸と被駆動軸との結合部の場合には、前記トルク伝達部材を、上述した様な本発明のトルク伝達部材としている。
即ち、本発明の場合には、トルク伝達部材を構成する中間素子の本体部のうち、何れか一方の周面に設けた弾性歯部を、前記外歯と前記内歯とのうちの何れか一方の歯に対し、がたつきなく弾性的に噛合させている。又、前記トルク伝達部材を構成する1対のトルク伝達素子に設けられた1対の内径側歯素子と1対の外径側歯素子とのうち、少なくとも径方向に関して前記弾性歯部と反対側に設けられ、円周方向に関する位相をずらした1対の歯素子により、前記外歯と前記内歯とのうちの何れか他方の歯を円周方向両側から押圧している。この為、本発明の場合には、前記外歯と前記内歯とのうちの何れか一方の歯との噛合部でのバックラッシュを前記弾性歯部により、何れか他方の歯との噛合部でのバックラッシュを、円周方向に関する位相がずれた前記1対の歯素子により、それぞれ有効に防止できる。従って、前記トルク伝達部材と前記外歯及び前記内歯とのそれぞれの噛合部において、バックラッシュの発生を抑制できる。
又、本発明の場合には、前記トルク伝達部材を構成する1対のトルク伝達素子同士を連結せずに、これら両トルク伝達素子を、前記中間素子に設けられた突起部を利用して、この中間素子にのみ支持している。この為、前記両トルク伝達素子同士を互いに変位し易くできる為、前記両軸同士のアライメント誤差を効果的に吸収できる。
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1〜12を参照しつつ説明する。本例の場合には、電動式パワーステアリング装置を構成する電動モータ7(図17、18参照)の出力軸10aの先端部と、ウォーム式減速機を構成するウォーム軸6aの基端部との間に、本例のトルク伝達部材15を設けて、前記出力軸10aから前記ウォーム軸6aにトルクを伝達可能としている。電動式パワーステアリング装置全体の構成及び作用は、前述の図17〜18に示した構造を含め、従来から広く知られている電動式パワーステアリング装置と同様であるから、説明を省略し、以下、前記出力軸10aと前記ウォーム軸6aとの結合部の構成及び作用を中心に説明する。
尚、前記各挿入孔23a、23bの円周方向に関するずれの程度(ずれ量、ずれ角度)は、前記各突起部27a、27bの剛性の大きさを考慮し、前記両外径側歯素子22a、22bにより、前記雌スプライン歯11aを、円周方向両側から軽い力で挟持できる程度の大きさに設定している。
即ち、本例の場合には、前記中間素子18の本体部26の内周面に設けた弾性歯部28を、前記雄スプライン歯13aに対し、がたつきなく弾性的に噛合させていると共に、前記トルク伝達部材15の外周面の両端部に設けられ、このトルク伝達部材15の組立状態で円周方向に関する位相をずらした1対の外径側歯素子22a、22bにより、前記雌スプライン歯11aを円周方向両側から押圧している。この為、前記雄スプライン歯13aとの噛合部におけるバックラッシュを前記弾性歯部28により、前記雌スプライン歯11aとの噛合部におけるバックラッシュを前記両外径側歯素子22a、22bにより、それぞれ有効に防止できる。従って、前記トルク伝達部材15と前記雄スプライン歯13a及び前記雌スプライン歯11aとのそれぞれの噛合部において、バックラッシュの発生を抑制できる。
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図13〜14を参照しつつ説明する。本例の特徴は、トルク伝達素子17a、17bの外周面に形成した外径側歯素子22c、22dの円周方向に関する幅寸法を、それぞれ軸方向に関して変化させた点にある。より具体的には、前記両トルク伝達素子17a、17bの軸方向外半部に関する、前記両外径側歯素子22c、22dの円周方向に関する幅寸法を、それぞれ軸方向外側に向かう程小さくしている。
その他の構成及び作用効果に就いては、前記実施の形態の第1例の場合と同様である。
本発明の実施の形態の第3例に就いて、図15を参照しつつ説明する。本例の特徴は、トルク伝達素子17a、17bの外周面に形成した外径側歯素子22e、22fの歯丈を、それぞれ軸方向に関して変化させた点にある。より具体的には、前記両トルク伝達素子17a、17bの軸方向外半部に関する、前記両外径側歯素子22e、22fの歯丈を、それぞれ軸方向外側に向かう程低くしている。
その他の構成及び作用効果に就いては、前記実施の形態の第1例の場合と同様である。
即ち、図16の(A)に示す様に、1対のトルク伝達素子17c、17cに関して、外径側歯素子22eを構成する各歯及び内径側歯素子21cを構成する各歯に関する円周方向の対称軸α、α´上にそれぞれ挿入孔23c、23cを形成し、前記両トルク伝達素子17c、17cを同一形状とする。尚、図16の(A)中、実線で示した挿入孔23cが対称軸α上に形成された手前側のトルク伝達素子17cに関する挿入孔であり、破線で示した挿入孔23cが対称軸α´上に形成された奥側のトルク伝達素子17cに関する挿入孔である。そして、代わりに、中間素子18aとして、軸方向両側に設けられる突起部の円周方向に関する位相がずれたものを使用する。又は、図16の(B)に示す様に、1対のトルク伝達素子17d、17dとして、外径側歯素子22fを構成する各歯及び内径側歯素子21dを構成する各歯に関する円周方向の対称軸α、α´上から円周方向に僅かにずれた位置にそれぞれ挿入孔23d、23dを形成したもの用意する。そして、中間素子18と組み合わせる際に、一方のトルク伝達素子17dを、他方のトルク伝達素子17dとは表裏反対に組み合わせ、図16の(B)中、手前側のトルク伝達素子17dに形成された挿入孔23d、23dと、奥側のトルク伝達素子17dに形成された挿入孔23d、23dとの円周方向に関する位相を一致させる。以上の様な構成によれば、1対のトルク伝達素子の共通化を図れる為、コストの低減効果を得られる。
2 ステアリングシャフト
3 ハウジング
4 ウォームホイール
5 ウォーム歯
6、6a ウォーム軸
7 電動モータ
8 ウォーム
9a、9b 転がり軸受
10、10a 出力軸
11、11a 雌スプライン歯
12、12a スプライン孔
13、13a 雄スプライン歯
14、14a スプライン軸部
15 トルク伝達部材
16 大径部
17a、17b、17c、17d トルク伝達素子
18、18a 中間素子
19 内径側歯部
20 外径側歯部
21a、21b、21c、21d 内径側歯素子
22a、22b、22c、22d、22e、22f 外径側歯素子
23a、23b、23c、23d 挿入孔
24 大径孔部
25 小径孔部
26 本体部
27a、27b 突起部
28 弾性歯部
29 軸部
30 くびれ部
Claims (6)
- 互いに同軸上に配置された駆動軸と被駆動軸との間に設けられて、これら両軸同士の間でトルクを伝達するものであり、これら両軸のうちの一方の軸に設けられた外歯と噛合する内径側歯部と、これら両軸のうちの他方の軸に設けられた内歯と噛合する外径側歯部とを、それぞれ備えたトルク伝達部材であって、
このトルク伝達部材が、軸方向両側に配置された1対のトルク伝達素子と、これら両トルク伝達素子同士の間部分に設けられた中間素子とを組み合わせて成り、
これら両トルク伝達素子は、互いに連結されておらず、それぞれ略円環状で、内外両周面のうち、内周面には前記内径側歯部を構成する内径側歯素子が、外周面には前記外径側歯部を構成する外径側歯素子が、それぞれ設けられており、
前記中間素子は、略円環状で、前記両トルク伝達素子よりも弾性変形し易い材料から造られた本体部と、この本体部の軸方向両側面から軸方向両側にそれぞれ突出する状態で設けられた複数の突起部とを備えており、
前記本体部の内外両周面のうちの一方の周面にのみ、前記外歯と前記内歯とのうちの何れか一方の歯と、がたつきなく弾性的に噛合する、弾性歯部が設けられており、
前記各突起部を、前記両トルク伝達素子に形成された挿入孔内にそれぞれ挿入する事により、これら両トルク伝達素子を前記中間素子に対しそれぞれ支持した状態で、内周面に設けられた1対の内径側歯素子と、外周面に設けられた1対の外径側歯素子とのうち、少なくとも径方向に関して前記弾性歯部と反対側に位置する1対の歯素子同士の円周方向に関する位相がずれており、これら両歯素子同士の間で、前記外歯と前記内歯とのうちの何れか他方の歯を円周方向両側から押圧する、
事を特徴とするトルク伝達部材。 - 前記各内径側歯素子及び前記各外径側歯素子が、インボリュート歯形である、請求項1に記載したトルク伝達部材。
- 前記各内径側歯素子及び前記各外径側歯素子が、スプライン歯形である、請求項1に記載したトルク伝達部材。
- 前記各内径側歯素子と前記各外径側歯素子とのうち、少なくとも一方の歯素子の円周方向に関する幅寸法が、軸方向に関して変化している、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したトルク伝達部材。
- 前記各内径側歯素子と前記各外径側歯素子とのうち、少なくとも一方の歯素子の歯丈が、軸方向に関して変化している、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したトルク伝達部材。
- 互いに同軸上に配置された駆動軸及び被駆動軸と、これら両軸同士の間でトルクを伝達する、略円環状のトルク伝達部材とを備え、これら両軸のうち、一方の軸には外歯が、他方の軸には内歯が、それぞれ設けられており、前記トルク伝達部材の内外両周面のうち、内周面には前記外歯と噛合する内径側歯部が、外周面には前記内歯と噛合する外径側歯部が、それぞれ設けられている、駆動軸と被駆動軸との結合部であって、
前記トルク伝達部材が、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載したトルク伝達部材である事を特徴とする、駆動軸と被駆動軸との結合部。
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