JP6323132B2 - トルク伝達用継手及び電動式パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
即ち、従来構造のトルク伝達用継手15の場合には、電動モータの出力軸12とウォーム軸6との間で衝撃や振動が伝達されるのを防止すべく、前記緩衝部材18を、弾性係数の小さい(弾性変形し易い)ゴムを使用した、単一の部材から構成している(単一部品としている)。この為、トルク伝達時に於ける、前記緩衝部材18を構成する被挟持部25、25の円周方向に関する弾性変形量が大きくなり、クリープ変形が生じ易くなる。又、これら各被挟持部25、25の弾性変形量がばらつき易くなり、前記トルク伝達継手15の捩り剛性が不安定になり易くなる。
このうちの駆動側伝達部材は、前記駆動軸の端部に支持される駆動側基部と、この駆動側基部のうちで前記被駆動側伝達部材に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた複数本の駆動側腕部とを備える。
又、前記被駆動側伝達部材は、前記被駆動軸の端部に支持される被駆動側基部と、この被駆動側基部のうちで前記駆動側伝達部材に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた複数本の被駆動側腕部とを備える。
更に、前記緩衝部材は、放射方向に対して傾斜した複数本の被挟持部を備える。
そして、前記各駆動側腕部と前記各被駆動側腕部とを円周方向に関して交互に配置すると共に、円周方向に隣り合う駆動側腕部と被駆動側腕部との円周方向側面同士の間部分に、前記各被挟持部をそれぞれ介在(挟持)させている。
又、軸方向に隣接して配置された1対の緩衝片のうち、一方の緩衝片に比べて弾性変形しにくい材料から造られた他方の緩衝片を構成する被挟持片の軸方向側面に、軸方向に突出すると共に前記他方の緩衝片を構成する被挟持片の長手方向(被挟持片の軸方向)に伸長し、かつ、断面長円形状で全体が長板状である、1乃至複数の嵌合凸部を設けている。そして、この嵌合凸部を、前記一方の緩衝片を構成する被挟持片のうち、前記他方の緩衝片と軸方向に対向する軸方向側面に開口し、かつ、前記一方の緩衝片を構成する被挟持片の長手方向に伸長した断面長円形状の嵌合受部(貫通孔又は有底の凹部)に、前記嵌合凸部の先端部がこの嵌合受部から突出しない態様で嵌合している。
また、本発明のトルク伝達用継手を実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記各緩衝片のうちで、他の緩衝片に比べて弾性変形し易い材料製の緩衝片を構成する被挟持片の円周方向に関する幅寸法を、前記他の緩衝片を構成する被挟持片の円周方向に関する幅寸法よりも大きくする。
尚、前記被挟持組み合わせ部を構成する1対の被挟持部は、上述の様な関係を有する事で、放射方向に対する傾斜角度の大きさは互いに同じになるが、傾斜方向は逆向きになる。
又、上述の様な請求項6に記載した発明を実施する場合には、例えば前記各被挟持組み合わせ部を円周方向等間隔4個所に設け、前記緩衝部材を十字筒状とする事ができる。
このうちのハウジングは、固定の部分に支持されて回転する事がない。
又、前記操舵用回転軸は、前記ハウジングに対し回転自在に設けられて、ステアリングホイールの操作により回転させられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する。
又、前記ウォームホイールは、前記ハウジングの内部で前記操舵用回転軸の一部に、この操舵用回転軸と同心に支持されて、この操舵用回転軸と共に回転する。
又、前記ウォームは、ウォーム軸の軸方向中間部にウォーム歯を設けて成り、このウォーム歯を前記ウォームホイールと噛合させた状態で、前記ウォーム軸の軸方向両端部をそれぞれ軸受により前記ハウジングに対し回転自在に支持されている。
又、前記電動モータは、前記ウォームを回転駆動する為のものである。
更に、前記トルク伝達用継手は、前記電動モータの出力軸と前記ウォーム軸との間に設けられて、これら両軸同士の間でトルクを伝達するもので、上述の様な、本発明のトルク伝達用継手である。
即ち、本発明の場合には、緩衝部材を、弾性の異なる2種以上の材料から造られた複数の緩衝片を軸方向に重ね合わせて構成すると共に、軸方向に隣接して配置された1対の緩衝片のうち、一方の緩衝片に比べて弾性変形しにくい材料から造られた他方の緩衝片を構成する被挟持片に嵌合凸部を設け、この嵌合凸部を、前記一方の緩衝片を構成する被挟持片に形成した嵌合受部に嵌合している。この為、前記1対の緩衝片のうちで弾性変形し易い材料から造られた前記一方の緩衝片を構成する被挟持片に関して、トルク伝達時に於ける円周方向に関する弾性変形量を小さく抑えられる。この為、駆動軸と被駆動軸との間で伝達される衝撃や振動を抑制すべく、前記一方の緩衝片を弾性変形しやすい材料から造った場合にも、この一方の緩衝片を構成する被挟持片にクリープ変形が生じる事を防止できる。又、この一方の緩衝片を構成する被挟持片ごとの弾性変形量のばらつきを抑えられ、トルク伝達用継手の捩り剛性を安定させる事ができる。
又、請求項6に記載した発明によれば、緩衝部材を構成する被挟持部の外径側端部同士を連続する外径側覆い部が、駆動側腕部と被駆動側腕部とのうちの何れか片方の腕部の外周側面を覆う。この為、トルク伝達用継手の組立状態で外部に露出している部分の面積が十分に大きくなり、緩衝部材の外部からの視認性を高くできる。従って、この緩衝部材を目視確認し易くなり(緩衝部材が目立ち)、この緩衝部材の組み付け忘れを防止する為の検査工程の作業効率の向上を図れる。
又、請求項7に記載した発明によれば、駆動軸を回転駆動させて、トルクの伝達を開始すると、駆動側腕部又は被駆動側腕部のうち一方の腕部の回転方向前方側の円周方向側面と、他方の腕部の回転方向後方側の円周方向側面との間で挟持する被挟持部に対し、緩衝部材の径方向内方に向いた力を作用させられる。この為、前記緩衝部材を径方向に弾性変形させ易い状態にできる。従って、駆動軸と被駆動軸との偏心をより効果的に吸収できる。
更に、請求項8に記載した発明によれば、駆動軸と被駆動軸とが相対変位した場合にも、ダンパ部材により、衝突に基づく異音が発生する事を有効に防止できる。又、このダンパ部が弾性変形する事で、前記駆動軸と前記被駆動軸との間で伝達されるスラスト力の一部を吸収(低減)できる。又、これら駆動軸と被駆動軸との端面同士の間に、前記ダンパ部を軸方向に弾性変形させた状態で挟持すれば、これら両軸を軸方向に関して反対向きに付勢できる為、これら両軸の相対変位を有効に抑制する事もできる。又、緩衝部材とは別個独立してスラスト力の吸収部材を設ける場合に比べて、部品点数の削減に伴うコスト低減を図れると共に、製造作業及び組付作業の作業工数の低減に伴うコスト低減を図れる。又、ダンパ部の設置位置を、緩衝部材を介して規制できる為、このダンパ部により発揮されるスラスト力の吸収機能を安定して得る事ができる。
図1〜17は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の場合には、電動式パワーステアリング装置を構成する電動モータ7の出力軸12aの先端部と、ウォーム式減速機を構成するウォーム軸6aの基端部との間に、本例のトルク伝達用継手15aを設けて、前記出力軸12aから前記ウォーム軸6aにトルクを伝達可能としている。このトルク伝達用継手15aを除く、電動式パワーステアリング装置の構成及び作用は、前述の図18〜19に示した構造を含め、従来から広く知られている電動式パワーステアリング装置と同様であるから説明を省略し、以下、前記トルク伝達用継手15aの構成及び作用に就いて説明する。
即ち、本例の場合には、前記緩衝部材18aを、弾性(弾性係数)の異なる3つの緩衝片31、32を軸方向に重ね合わせて構成すると共に、このうちの弾性変形しにくい材料から造られた1対の外側緩衝片32、32の外側被挟持片38a、38bに嵌合凸部44a、44bを設け、これら各嵌合凸部44a、44bを、弾性変形し易い材料から造られた内側緩衝片31の内側被挟持片36a、36bに形成した嵌合孔45a、45bにそれぞれ圧入(締り嵌めで内嵌)している。この為、トルク伝達時に於ける、これら各内側被挟持片36a、36bの円周方向に関する弾性変形量を、前記各係合凸部44a、44bを嵌合しない(中実の内側被挟持片36a、36bのみにより構成する)構造に比べて、小さく抑えられる。この為、前記電動モータ7の出力軸12aの先端部と前記ウォーム軸6aとの間で伝達される衝撃や振動を抑制(緩和)すべく、前記内側緩衝片31を弾性係数の低い(弾性変形し易い)材料から造った場合にも、前記各内側被緩衝片36a、36bにクリープ変形が生じる事を防止できる。又、これら各内側被緩衝片36a、36bごとの弾性変形量のばらつきを抑えられ、前記トルク伝達用継手15aの捩り剛性を安定させる事ができる。この結果、本例の場合には、ステアリングホイールを操作する運転者に不快感を与える事を有効に防止できる。
初めに、前記出力軸12aを図6の時計回りに回転駆動させて、トルクの伝達を開始する場合を考える。この場合、前記各駆動側腕部21a、21aのうちの回転方向前方側の円周方向側面29a、29aと、前記各被駆動側腕部23a、23aのうちの回転方向後方側の円周方向側面30b、30bとの間で、前記緩衝部材18aを構成する4本の被挟持部33a、33aが挟持される。そしてこの場合に、前記各駆動側腕部21a、21aを構成する円周方向側面29a、29aが、放射方向に対して径方向外側に向かう程回転方向前方に向かう方向に傾斜している事に起因して、前記各被挟持部33a、33a(膨出部40a、40a)は、外径側部分から内径側部分へと徐々に円周方向に弾性変形させられる(押し潰される)。そして、前記各被挟持部33a、33aには、前記緩衝部材18aの径方向内方に向いた力が作用する。
その他の構成及び作用効果に就いては、前述した従来構造のトルク伝達用継手、及び、電動式パワーステアリング装置の場合と同様である。
2 ステアリングシャフト
3 ハウジング
4 ウォームホイール
5 ウォーム歯
6、6a ウォーム軸
7 電動モータ
8 ウォーム
9a、9b 転がり軸受
10 押圧駒
11 コイルばね
12、12a 出力軸
13 スプライン孔
14 スプライン軸部
15、15a トルク伝達用継手
16、16a 駆動側伝達部材
17、17a、17b 被駆動側伝達部材
18、18a 緩衝部材
19 鋼球
20、20a 駆動側基部
21、21a 駆動側腕部
22、22a、22b 被駆動側基部
23、23a、23b 被駆動側腕部
24 円筒部
25 被挟持部
26 ダンパ部
27 駆動側セレーション孔
28 被駆動側セレーション孔
29a、29b 円周方向側面
30a、30b 円周方向側面
31 内側緩衝片
32 外側緩衝片
33a、33b 被挟持部
34 外径側覆い部
35 被挟持組み合わせ部
36a、36b 内側被挟持片
37 内側覆い片
38a、38b 外側被挟持片
39 外側覆い片
40a、40b 膨出部
41 内径側連続部
42 内側連続部
43 外側連続部
44a、44b 嵌合凸部
45a、45b 嵌合孔
46 貫通孔
47 連結片
48 係止爪片
49 係合凹部
50 凹溝
Claims (9)
- 軸方向に関して互いに直列に配置された駆動軸と被駆動軸との端部同士の間でトルクを伝達するもので、
前記駆動軸の端部にこの駆動軸と同心に支持される駆動側伝達部材と、前記被駆動軸の端部にこの被駆動軸と同心に支持される被駆動側伝達部材と、これら駆動側伝達部材と被駆動側伝達部材との間に設けられる弾性材製の緩衝部材とを備え、
このうちの駆動側伝達部材は、前記駆動軸の端部に支持される駆動側基部と、この駆動側基部のうちで前記被駆動側伝達部材に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた複数本の駆動側腕部とを備えたものであり、
前記被駆動側伝達部材は、前記被駆動軸の端部に支持される被駆動側基部と、この被駆動側基部のうちで前記駆動側伝達部材に対向する面に、円周方向に関して間欠的に、それぞれ軸方向に突出する状態で設けられた複数本の被駆動側腕部とを備えたものであり、
前記緩衝部材は、放射方向に対して傾斜した複数本の被挟持部を備えたものであり、
前記各駆動側腕部と前記各被駆動側腕部とを円周方向に関して交互に配置すると共に、円周方向に隣り合う駆動側腕部と被駆動側腕部との円周方向側面同士の間部分に、前記各被挟持部をそれぞれ介在させているトルク伝達用継手に於いて、
前記緩衝部材が、弾性の異なる2種以上の材料から造られた複数の緩衝片を軸方向に重ね合わせて構成されていると共に、前記各被挟持部が、これら各緩衝片に設けられた複数本の被挟持片を軸方向に重ね合わせる事により構成されており、
軸方向に隣接して配置された1対の緩衝片のうち、一方の緩衝片に比べて弾性変形しにくい材料から造られた他方の緩衝片を構成する被挟持片の軸方向側面に、軸方向に突出すると共に前記他方の緩衝片を構成する被挟持片の長手方向に伸長し、かつ、断面長円形状で全体が長板状の嵌合凸部が設けられており、この嵌合凸部が、前記一方の緩衝片を構成する被挟持片のうち、前記他方の緩衝片と軸方向に対向する軸方向側面に開口し、かつ、前記一方の緩衝片を構成する被挟持片の長手方向に伸長した断面長円形状の嵌合受部に、前記嵌合凸部の先端部がこの嵌合受部から突出しない態様で嵌合されている
事を特徴とするトルク伝達用継手。
- 前記嵌合凸部が前記嵌合受部に軽圧入されている、請求項1に記載したトルク伝達用継手。
- 前記各緩衝片のうちで、他の緩衝片に比べて弾性変形し易い材料製の緩衝片を構成する被挟持片の円周方向に関する幅寸法が、前記他の緩衝片を構成する被挟持片の円周方向に関する幅寸法よりも大きい、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したトルク伝達用継手。
- 前記嵌合凸部が、前記被挟持片の幅方向中間部に形成されている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したトルク伝達用継手。
- 前記緩衝部材を構成する複数の緩衝片が、これら緩衝片にそれぞれ設けられた係合部と被係合部との係合により互いに結合されている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したトルク伝達用継手。
- 前記緩衝部材が、この緩衝部材の中心軸を含む仮想平面に関して鏡面対称で、且つ、放射方向に対して径方向外側に向かう程この仮想平面に近づく方向にそれぞれ傾斜したそれぞれが平板状である1対の被挟持部より成る被挟持組み合わせ部を、円周方向等間隔複数個所に配置し、円周方向に隣り合う被挟持部同士の間で、それぞれの外径側端部同士を外径側覆い部を介して連続させた部分と、それぞれの内径側端部同士を内径側連続部を介して連続させた部分とを、円周方向に関して交互に配置して成る、非円形の筒状に構成されたものである、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載したトルク伝達用継手。
- 前記各駆動側腕部又は前記各被駆動側腕部のうち一方の腕部を構成する1対の円周方向側面のうちで、前記駆動軸の回転方向に関して前方に位置する円周方向側面が、放射方向に対して径方向外側に向かう程回転方向前方に向かう方向に傾斜しており、
前記各被挟持組み合わせ部を構成する1対の被挟持部同士の間部分に、前記各駆動側腕部又は前記各被駆動側腕部のうち他方の腕部を配置すると共に、円周方向に隣り合う被挟持組み合わせ部同士の間部分に、前記各駆動側腕部又は前記各被駆動側腕部のうち一方の腕部を配置して、これら各駆動側腕部とこれら各被駆動側腕部とのうちの何れか片方の腕部の外周側面を前記各外径側覆い部によりそれぞれ覆っている、請求項6に記載したトルク伝達用継手。 - 前記駆動軸と前記被駆動軸との端面同士の間に挟持されるダンパ部が、前記各緩衝片のうちで、他の緩衝片に比べて弾性変形し易い材料製の緩衝片に一体的に設けられている、請求項1〜7のうちの何れか1項に記載したトルク伝達用継手。
- 固定の部分に支持されて回転する事のないハウジングと、このハウジングに対し回転自在に設けられて、ステアリングホイールの操作により回転させられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する操舵用回転軸と、前記ハウジングの内部でこの操舵用回転軸の一部に、この操舵用回転軸と同心に支持されて、この操舵用回転軸と共に回転するウォームホイールと、ウォーム軸の軸方向中間部にウォーム歯を設けて成り、このウォーム歯を前記ウォームホイールと噛合させた状態で、前記ウォーム軸の軸方向両端部をそれぞれ軸受により前記ハウジングに対し回転自在に支持されたウォームと、このウォームを回転駆動する為の電動モータとを備え、この電動モータの出力軸と前記ウォーム軸とをトルク伝達用継手により、トルクの伝達を可能に接続している電動式パワーステアリング装置に於いて、このトルク伝達用継手が、請求項1〜8のうちの何れか1項に記載したトルク伝達用継手である、電動式パワーステアリング装置。
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