JP2008260497A - 電動式パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力軸10の先端部とウォーム8の基端部との間に設けたトルク継手部に組み込んだ弾性スリーブ18の剛性が、このトルク継手部で伝達されるトルクの大きさに応じて変化する構造を実現する。そして、弾性スリーブ18の耐久性を確保しつつ、ステアリングホイールの操作感を向上させる。
【解決手段】上記出力軸10の先端に設けた駆動側凹凸部に弾性スリーブ18を外嵌する。この弾性スリーブ18の外周面を、上記ウォーム8側に設けた、従動側凹凸部であるスプライン孔11aに凹凸係合させる。上記弾性スリーブ18のうちでこのスプライン孔11aと上記駆動側凹凸部との間に挟持される部分に、シート状部とこのシート状部から突出した凸部とを設ける。
【選択図】図2

Description

この発明に係る電動式パワーステアリング装置は、自動車の操舵装置として利用するもので、電動モータを補助動力として利用する事により、運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力の軽減を図るものである。本発明は、この様な電動式パワーステアリング装置を構成する減速機のウォーム軸の基端部と、上記電動モータの出力軸の先端部との接続部に設けるトルク継手部の特性を改良して、上記ステアリングホイールの操作感の向上を図るべく発明したものである。
操舵輪(フォークリフト等の特殊車両を除き、通常は前輪)に舵角を付与する際に運転者がステアリングホイールを操作する為に要する力の軽減を図る為の装置として、パワーステアリング装置が広く使用されている。又、この様なパワーステアリング装置で、補助動力源として電動モータを使用する電動式パワーステアリング装置も、近年普及し始めている。電動式パワーステアリング装置は、油圧式のパワーステアリング装置に比べて小型・軽量にでき、補助動力の大きさ(トルク)の制御が容易で、しかもエンジンの動力損失が少ない等の利点がある。
電動式パワーステアリング装置の構造は、各種知られているが、何れの構造の場合でも、ステアリングホイールの操作によって回転させられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する回転軸に電動モータの補助動力を、減速機を介して付与する。この減速機として一般的には、ウォーム減速機が使用されている。ウォーム減速機を使用した電動式パワーステアリング装置の場合、上記電動モータにより回転駆動されるウォームと、上記回転軸と共に回転するウォームホイールとを噛合させて、上記電動モータの補助動力をこの回転軸に伝達自在とする。
例えば特許文献1には、図8〜9に示す様な電動式パワーステアリング装置が記載されている。ステアリングホイール1により所定方向に回転させられる、回転軸であるステアリングシャフト2の前端部は、ハウジング3の内側に回転自在に支持しており、この部分にウォームホイール4を固定している。このウォームホイール4と噛合するウォーム歯5をウォーム軸6の軸方向中間部に設け、電動モータ7により回転駆動されるウォーム8の両端部は、深溝型玉軸受等の1対の転がり軸受9a、9bにより、上記ハウジング3内に回転自在に支持されている。
上記ウォーム8を上記電動モータ7の出力軸10により回転駆動する為に、上記ウォーム軸6の基端部にスプライン孔11を、このウォーム軸6の基端面に開口する状態で形成している。又、上記出力軸10の先端部にスプライン軸部12を形成している。そして、このスプライン軸部12と上記スプライン孔11とをスプライン係合させる事で、上記出力軸10と上記ウォーム軸6とを、回転力の伝達を自在に結合している。
更に、図9に示した従来構造の場合、上記ウォームホイール4と上記ウォーム歯5との噛合部のバックラッシュをなくす為に、上記ウォーム軸6の先端部(図9の右端部)を上記ウォームホイール4に向け弾性的に押圧する様にしている。即ち、上記ウォーム軸6の先端部で先端側の転がり軸受9aよりも突出した部分に押圧駒13を外嵌し、この押圧駒13と上記ハウジング3との間にコイルばね14等の弾性部材を設けている。そして、このコイルばね14により、上記押圧駒13を介して、上記ウォーム歯5を上記ウォームホイール4に向け押圧している。この様な構成により、これらウォーム歯5とウォームホイール4との間のバックラッシュを抑え、上記電動モータ7の起動時や回転方向の変換時に、上記ウォームホイール4と上記ウォーム歯5との噛合部での歯打ち音の発生を抑えている。
上述の様な電動式パワーステアリング装置では、上記ウォームホイール4と上記ウォーム歯5との噛合部での歯打ち音の発生を抑えられるが、上記スプライン軸部12と上記スプライン孔11とのスプライン係合部での歯打ち音の発生は抑えられない。特に、このスプライン係合部には、或る程度隙間を設ける必要がある。この理由は、上記スプライン孔11と上記スプライン軸部12とをスプライン係合させる作業を容易に行なえる様にする必要上、更には上記ウォームホイール4と上記ウォーム歯5との間のバックラッシュを抑えるべく、上記ウォーム軸6の先端部を上記ウォームホイール4に向け揺動変位させる必要上である。この様な必要上設けられる、上記スプライン係合部の隙間に基づいて、上記電動モータ7の起動時や回転方向の変換時に、このスプライン係合部で、雄スプライン歯の側面と雌スプライン歯の側面との衝突に基づく、騒音や振動が発生する。
電動モータの出力軸とウォーム減速機のウォーム軸との間でトルクを伝達する為のトルク継手部で、歯打ち音と呼ばれる騒音や振動が発生する事を防止する為の構造として従来から、特許文献2〜4に記載された構造が知られている。図10は、これら特許文献2〜4に記載された、電動モータの出力軸とウォーム減速機のウォーム軸との間に設置するトルク継手部の構造を示している。この従来構造の場合には、互いの間でトルクを伝達すべき1対の回転軸15a、15bの互いに対向する端面に凹凸部16a、16bを形成し、これら両凹凸係合部16a、16bを、弾性部材17を介して凹凸係合させる。金属材料製の上記両回転軸15a、15bに設けた、上記両凹凸係合部16a、16bの円周方向側面同士は、上記弾性部材17を介して噛合するので、噛合部で歯打ち音の如き騒音や振動が発生する事はなくなる。尚、特許文献3には、上記弾性部材17の形状を工夫する事により、この弾性部材17の耐久性向上を図る為の構造が記載されている。又、特許文献4には、上記両凹凸係合部16a、16b同士の間での上記弾性部材17の締め代を、一部で残部よりも大きくする事で、この弾性部材17の組み付け性を向上させる為の構造が記載されている。
上述の様な特許文献2〜4に記載された従来構造の場合、上記両回転軸15a、15b同士の間で伝達するトルクの大きさと、上記弾性部材17の弾性変形量との関係が、ほぼ直線的になる。言い換えれば、この弾性部材17の剛性(弾性)が、上記両回転軸15a、15b同士の間で伝達するトルクの大きさに応じて変化する事はない。この為、上記弾性部材17の剛性は、上記両回転軸15a、15b同士の間で伝達するトルクの最大値に応じて規制する必要があり、上記剛性の値が相当に大きくならざるを得ない。この為、上記図10に示した様なトルク継手部の構造を、前述の図9に示した電動モータ7の出力軸10の先端部とウォーム軸6の基端部とに組み込んだ場合に、トルク伝達に関する特性が、ステアリングホイールの操作感を良好にする面から好ましくないものになる。この点に就いて、以下に説明する。
上記出力軸10から上記ウォーム軸6に伝達するトルクが小さい場合、即ち、ステアリングホイール1を操作する為の操舵力を補助する為、ステアリングシャフト2(図8参照)に付与する補助力が小さくて済む場合には、この出力軸10からこのウォーム軸6に、トルクが緩徐に伝達される事が好ましい。言い換えれば、この様な場合には、上記出力軸10の回転が上記ウォーム軸6に、弾性部材による十分な緩衝作用を受けた状態で伝達される事が好ましい。これに対して、上記図10に示した様なトルク継手部の構造の場合、上記弾性部材17の剛性を大きくせざるを得ない為、上記出力軸10の回転が上記ウォーム軸6に、かなり直接的に(上記弾性部材17による緩衝をあまり受けずに)伝達される。この結果、上記ステアリングホイール1を操作する運転者に違和感を与える。勿論、上記弾性部材17の剛性を低く(軟らかく)すれば、この様な違和感をなくせるが、大きなトルクを伝達する際の、上記弾性部材17の弾性変形量が過大になり、この弾性部材17の耐久性が損なわれる。
特開2004−306898号公報 特開2002−145083号公報 特開2005−212622号公報 特開2005−212623号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑み、出力軸の先端部とウォームの基端部との間に設けたトルク継手部に組み込んだ弾性部材の剛性が、このトルク継手部で伝達されるトルクの大きさに応じて変化する構造を実現すべく発明したものである。
本発明の電動式パワーステアリング装置は、何れも、従来から知られている電動式パワーステアリング装置と同様に、ハウジングと、回転軸と、ウォームホイールと、ウォームと、電動モータと、トルク継手部とを備える。
このうちのハウジングは、固定の部分に支持されて回転する事がない。
又、上記回転軸は、このハウジングに対し回転自在に設けられて、ステアリングホイールの操作により回転させられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する。
又、上記ウォームホイールは、上記ハウジングの内部で上記回転軸の一部に、この回転軸と同心に支持されて、この回転軸と共に回転する。
又、上記ウォームは、ウォーム軸の軸方向中間部にウォーム歯を設けて成り、このウォーム歯を上記ウォームホイールと噛合させた状態で、上記ウォーム軸の軸方向端部を転がり軸受により上記ハウジングに対し回転自在に支持されている。
又、上記電動モータは、上記ウォームを回転駆動する為、その出力軸をこのウォームと同心に配置している。尚、これら出力軸とウォームとは、トルク伝達可能な程度に実質的に同心であれば良く、完全に同心である必要はない(例えば、上記ウォームと上記ウォームホイールとの噛合部のバックラッシュを解消する為、このウォームの中心軸が僅かに傾斜していても良い)。
又、上記トルク継手部は、上記出力軸の先端部と上記ウォームの基端部との間に設けられて、この出力軸からこのウォームへのトルクの伝達を自在としたものである。
そして、上記トルク継手部は、駆動側凹凸部と、従動側凹凸部と、弾性部材とから成る。
このうちの駆動側凹凸部は、上記出力軸側にこの出力軸と同心に設けられて、この出力軸と共に回転する。
又、上記従動側凹凸部は、上記ウォーム側にこのウォームと同心に設けられて、上記駆動側凹凸部と上記トルクの伝達方向に関して凹凸係合する。そして、上記ウォームと共に回転する。
この様な、駆動側、従動側両凹凸部としては、前述の図10に示した従来構造の第2例の構造を構成する凹凸部の他、ピッチの粗いスプライン溝を採用できる。
又、上記弾性部材は、上記駆動側凹凸部と上記従動側凹凸部との間に、(少なくとも上記トルクの伝達方向に関して)挟持されている。
特に、本発明のうちの請求項1に記載した電動式パワーステアリング装置に於いては、上記弾性部材のうちで上記従動側凹凸部と上記駆動側凹凸部との間に挟持される部分に、シート状部と、このシート状部から突出した凸部とを設けている。
この様な凸部は、例えば請求項2に記載した様に、互いに独立した突起状、或いは、請求項3に記載した様に、トルク継手部の軸方向等、シート状部の面方向に長い土手状とする。
又、請求項4に記載した電動式パワーステアリング装置に於いては、上記従動側凹凸部と上記駆動側凹凸部との間に、上記トルクの伝達方向に関して複数個所に存在し、それぞれの内側に上記弾性部材を介在させる複数の隙間の、このトルクの伝達方向に関する厚さ寸法と、同方向に関するこの弾性部材の(上記両凹凸部同士の間への設置状態での)厚さ寸法との差の値を、複数種類設定している。
この様な請求項4に記載した電動式パワーステアリング装置の発明を実施する場合に、好ましくは、請求項5に記載した様に、上記従動側凹凸部及び上記駆動側凹凸部のピッチを、上記トルクの伝達方向に関して等しくする。そして、これら従動側凹凸部と駆動側凹凸部との関係を中立位置にした状態で、それぞれの内側に弾性部材を介在させる複数の隙間の、上記トルクの伝達方向に関する厚さ寸法を、これら各隙間毎に同じとする。これに対して、これら各隙間内に設置する弾性部材の厚さ寸法を、複数種類設定する。
更に、各発明を実施する場合に好ましくは、請求項6に記載した様に、出力軸の先端部とウォーム軸の基端部とのうちの一方の端部に、従動側凹凸部と駆動側凹凸部とのうちの何れか一方の凹凸部である内周面側凹凸部を内周面に形成した受孔を、当該軸の端面に開口する状態で設ける。又、上記出力軸の先端部とウォーム軸の基端部とのうちの他方の端部である軸部の外周面に、上記従動側凹凸部と上記駆動側凹凸部とのうちの他方の凹凸部を設ける。そして、上記受孔と上記軸部とを、トルクの伝達方向に関して凹凸係合させる。又、この軸部は、剛体製で上記一方の端部を備えた軸と同期して回転する第一軸部と、この第一軸部よりも小径の第二軸部に、この第二軸部に対する相対回転を阻止された状態で外嵌固定された弾性部材とを、軸方向に関して互いに直列に配置して成るものとする。そして、上記第一軸部の外周面と上記受孔の内周面の一部との間に存在するトルクの伝達方向に関する隙間よりも、上記弾性部材の外周面とこの受孔の内周面の残部との間に存在する上記トルクの伝達方向に関する隙間を小さくする。
上述の様な構成を有する本発明の電動式パワーステアリング装置によれば、出力軸の先端部とウォームの基端部との間に設けたトルク継手部に組み込んだ弾性部材の剛性を、このトルク継手部で伝達されるトルクの大きさに応じて変化させられる。具体的には、このトルクが小さい場合に上記剛性を低く抑えつつ、このトルクが大きい場合にこの剛性を高くできる。
先ず、請求項1に記載した発明の構造によれば、上記トルクが小さく、上記弾性部材の弾性変形量が少ない場合には、この弾性部材のうちの凸部のみが押し潰される。この為、上記トルク伝達に関する、この弾性部材の剛性を低くできる。これに対して、上記トルクが大きい場合には、上記凸部が完全に押し潰されてシート状部から突出していない状態となり、それ以上のトルク伝達の為には、このシート状部を弾性変形させる必要が生じる。この為、上記トルク伝達に関する、上記弾性部材の剛性を高くできる。
又、請求項4に記載した発明の構造によれば、上記トルクが小さい場合には、弾性部材のうちで、当該部分の厚さ寸法と隙間の厚さ寸法との差が小さい(或いは元々差がない)部分が、上記トルクの伝達に供される。この為、上記弾性部材のうちでトルク伝達に供される部分の容積が少なく(従動側、駆動側両凹凸部に対する接触面積が狭く)、上記トルク伝達に関する、この弾性部材の剛性を低くできる。これに対して、上記トルクが大きい場合には、上記差が小さい部分の厚さ寸法が縮まる事に伴って、この部分だけでなく、この差が比較的大きい残り部分も、上記従動側、駆動側両凹凸部同士の間で挟持された状態となる。そして、それ以上のトルク伝達の為には、上記両部分を弾性変形させる必要が生じる。この為、上記トルク伝達に関する、上記弾性部材の剛性を高くできる。
そして、請求項1、4、何れの構造によっても、トルク継手部で伝達するトルクが小さい場合にこのトルク継手部の剛性を低く抑えつつ、このトルクが大きい場合にこのトルク継手部の剛性を高くできる為、上記弾性部材の耐久性を確保しつつ、ステアリングホイールを操作する運転者に違和感を与える事を防止できる。
又、請求項5に記載した発明の構造によれば、上記請求項4に記載した発明の構造を容易に実現できる。即ち、射出成形等により各部の厚さ寸法の調節を容易に行なえる弾性部材の側の厚さ寸法を調節する事で、隙間の厚さ寸法とこの弾性部材の厚さ寸法との差の値を、複数種類設定できる。言い換えれば、上記トルクの伝達方向に関する、上記従動側、駆動側両凹凸部のピッチを、この方向に関して異ならせる必要はない。この為、上記差の値を複数種類設定した構造を、容易に実現できる。
更に、請求項6に記載した発明の構造によれば、出力軸からウォーム軸に、大きなトルクを伝達する際には、剛体製の第一軸部と受孔との凹凸係合により、このトルクのうちの多くの部分を伝達する。この為、上記弾性部材が過度に弾性変形する事を防止して、この弾性部材の耐久性が損なわれる事を防止できる。
[実施の形態の第1例]
図1〜3は、請求項1、2、6に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、本例の電動式パワーステアリング装置の特徴は、トルク継手部で伝達するトルクが小さい場合にこのトルク継手部の剛性を低く抑えつつ、このトルクが大きい場合にこのトルク継手部の剛性を高くすると共に、弾性部材の耐久性を確保すべく、この弾性部材が過度に押し潰される事を防止する為の構造にある。その他、電動式パワーステアリング装置全体の構造及び作用に就いては、前述した従来構造と同様であるから、この従来構造と同等部分に関する図示並びに説明は、省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。尚、前述の図8〜9と図1とで、ハウジング3に対する電動モータ7の取付方向が異なっているが、この点は、設置する自動車に応じ適宜設計的に変更するものであって、本発明の特徴部分とは関係がない。
本例の構造の場合には、図1〜2に示す様に、ウォーム軸6の基端部に、特許請求の範囲に記載した受孔であるスプライン孔11aを、このウォーム軸6の基端面に開口する状態で、このウォーム軸6と同心に形成している。又、上記電動モータ7の出力軸10の先端部に、特許請求の範囲に記載した軸部であるスプライン軸部12aを、この出力軸10と同心に形成している。そして、このスプライン軸部12aと上記スプライン孔11aとを、特許請求の範囲に記載した凹凸係合であるスプライン係合させる事で、上記出力軸10と上記ウォーム軸6とを、回転力の伝達を可能に結合している。但し、上記スプライン軸部12aの外周面に形成した雄スプライン歯のピッチ、並びに、上記スプライン孔11aの内周面に形成した雌スプライン歯のピッチは、通常のスプライン歯のピッチよりも粗くしている。図示の例では、これら各スプライン歯の中心角ピッチを、それぞれ60度としている。又、上記両軸12、6の中心軸に直交する仮想平面に関する、上記各スプライン歯の断面形状は、角部が丸まった二等辺三角形としている。即ち、上記仮想平面に関する上記スプライン孔11aの内周面の断面形状は、後述する図3〜7に示した、特許請求の範囲に記載した弾性部材である弾性スリーブ18、18a〜18dの外周面の断面形状と同一若しくは相似形状である。同じく、上記スプライン軸部12aの外周面の断面形状は、上記弾性スリーブ18、18a〜18dの内周面の断面形状と同一若しくは相似形状である。
上記スプライン軸部12aの基半部(図1〜2の左半部)は、特許請求の範囲(請求項6)に記載した第一軸部である第一スプライン軸部19としている。この第一スプライン部19は、上記スプライン軸部12aと一体に設けられており、従って、この第一スプライン軸部19は、剛体である金属製(一般的には、炭素鋼、ステンレス鋼等の鉄系合金製)であって、上記出力軸10と同期して回転する。又、上記第一スプライン軸部19の外周面に設けた雄スプライン歯のピッチ円直径は、上記スプライン孔11aの内周面に設けた雌スプライン歯のピッチ円直径よりも少しだけ小さくしている。この為、上記第一スプライン軸部19は上記スプライン孔11aに、緩く(隙間嵌で)挿入可能である。
これに対して、上記スプライン軸部12aの先半部(図1〜2の右半部で、次述する弾性スリーブ18により覆われた部分)は、同じく第二軸部である第二スプライン軸部としている。この第二スプライン軸部の外径、更には、この第二スプライン軸部の外周面に形成した雄スプライン歯のピッチ円直径は、上記第一スプライン軸部19の外径、更には、この第一スプライン軸部19の外周面に形成した雄スプライン歯のピッチ円直径よりも小さい。但し、上記第二スプライン軸部は上記第一スプライン軸部19と同心であり、この第二スプライン軸部の外周面の断面形状は、上記第一スプライン軸部19の断面形状と相似形である。そして、この様な第二スプライン軸部に、図3に示す様な弾性スリーブ18を外嵌固定している。
この弾性スリーブ18は、ニトリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等のゴム、或いはポリウレタンの如きエラストマー、合成樹脂等の弾性材製で、断面形状が六つ星形である、筒状に形成している。この様な弾性スリーブ18は、この筒状部分を構成する12枚のシート状部20、20と、これら各シート状部20、20の外周面複数個所に、この外周面から突出する状態で形成された、半球状の凸部21、21とから構成している。上記各シート状部20、20の端縁同士はそれぞれ、外径側折り返し部22、22と内径側折り返し部23、23とにより、互いに連続させている。この様な弾性スリーブ18の、自由状態での内周面の形状及び大きさは、上記第二スプライン軸部の外周面の形状及び大きさと、一致若しくは僅かに小さくしている。又、上記弾性スリーブ18の、自由状態での外周面の形状及び大きさは、上記凸部21、21を除く上記各シート状部20、20で、上記スプライン孔11aの内周面の形状及び大きさよりも少しだけ小さくしている。これに対して、上記各凸部21、21の頂部の位置(頂部を結ぶ仮想平面により構成される曲面)は、これら各凸部21、21の自由状態で、上記スプライン孔11aの内周面の形状及び大きさよりも少しだけ大きくしている。
上述の様な弾性スリーブ18は、上記第二スプライン軸部の外周面と上記スプライン孔11aの内周面との間に、上記各凸部21、21を少し弾性的に圧縮した状態で設置する。即ち、上記各シート状部20、20を上記第二スプライン軸に、軽い締り嵌めにより隙間なく外嵌すると共に、上記各凸部21、21の頂部を上記スプライン孔11aの内周面に、弾性的に当接させる。この状態で、このスプライン孔11aの内周面と上記各シート状部20、20の外周面との間には、全周に亙り隙間が介在する。言い換えれば、上記スプライン孔11aの内周面と上記弾性スリーブ18とは、上記各凸部21、21の頂部でのみ当接する。
上述の様な構成を有する本例の電動式パワーステアリング装置の作動時には、電動モータ7からステアリングシャフト2(図8参照)に補助動力を付与すべく、この電動モータ7の出力軸10により、上記ウォーム軸6を回転駆動する。この際、上記補助動力の大きさに応じて、前記第一スプライン軸部19と上記第二スプライン軸部に外嵌した上記弾性スリーブ18とのうちの一方又は双方を介して、上記ウォーム軸6を回転駆動する。又、上記補助動力が小さい場合にも、その程度に応じて、上記弾性スリーブ18のうちの何れの部分を介して上記ウォーム軸6を回転駆動するかを異ならせる。
先ず、上記補助動力が最も小さい場合には、上記弾性スリーブ18のうち、トルクの伝達方向に関して前側(トルクの伝達に伴って、上記第二スプライン軸部の外周面と上記スプライン孔の内周面との間で押圧される側)に存在する、上記各凸部21、21部分のみで、上記出力軸10から上記ウォーム軸6にトルクを伝達する。この状態では、上記スプライン孔11aの内周面と上記各シート状部20、20の外周面との間には、全周に亙り(トルクの伝達方向に関して後側は勿論、前側に関しても)隙間が介在したままとなる。上記各凸部21、21の剛性は低い為、上記出力軸10から上記ウォーム軸6に、トルクが緩徐に伝達される。即ち、ステアリングホイール1を操作する為の操舵力を補助する為、ステアリングシャフト2(図8参照)に付与する補助力が小さくて済む場合には、上記出力軸10の回転が上記ウォーム軸6に、弾性部材による十分な緩衝作用を受けた状態で伝達される。従って、前記電動モータ7への通電開始時に、上記出力軸10の起動トルクが上記ウォーム軸6に、直接的に(いきなり)伝達される事が防止される。この為、上記ステアリングホイール1を操作する運転者に違和感を与える事を防止できる。
これに対して、上記補助動力が少し大きくなると、上記トルクの伝達方向に関して前側に存在する各凸部21、21が、同じく前記各シート状部20、20に沈入した状態となる。この状態では、これら各シート状部20、20の外周面と前記スプライン孔11aの内周面とが、上記トルクの伝達方向に関して互いに当接する。そして、それ以上のトルク伝達の為には、上記各シート状部20、20を弾性変形させる必要が生じる。上記第二スプライン軸部の外周面と上記スプライン孔11aの内周面との間で、上記トルクの伝達方向に関して挟持された、上記各シート状部20、20の容積(これら両周面との当接面積)は、上記各凸部20、20に比べて十分に大きい(広い)為、上記トルク伝達に関する、上記弾性スリーブ18の剛性を高くできる。この結果、上記少し大きめの補助動力を、上記出力軸10から上記ウォーム軸6に、確実に伝達して、上記ステアリングホイール1を回転させる為に必要となる操舵力を、適切に軽減できる。
又、上記補助動力が更に大きくなると、上記弾性スリーブ18のうち、トルクの伝達方向に関して前側に存在する、上記各シート状部20、20の円周方向に関する弾性変形量が増大し、前記第一スプライン軸部19の外周面と上記スプライン孔11aの内周面と(雄、雌両スプライン歯の側面同士)が当接する。この状態では、上記第一スプライン軸部19と上記スプライン孔11aとのスプライン係合部が、上記弾性スリーブ18により伝達し切れないトルクを伝達する。従って上記ウォーム軸6は上記出力軸10により、十分に大きなトルクにより回転駆動される。
上記補助動力が大きくなる過程で、上記第一スプライン軸部19の外周面に形成した雄スプライン歯と上記スプライン孔11aの内周面に形成した雌スプライン歯とが衝突するが、この衝突は、上記弾性スリーブ18の弾性に抗しつつ(このスリーブが上記両スプライン歯17、18同士の動きを或る程度緩衝した後に)行なわれるので、緩徐に行なわれる。従って、上記補助動力の伝達方向が逆転する様な場合、或いは悪路走行等に伴って振動が加わる様な場合にも、上記第一スプライン軸部19の外周面と上記スプライン孔11aの内周面とのスプライン係合部で、歯打ち音等の耳障りな騒音や振動が発生する事はない。又、大きな補助動力を伝達する場合にも、上記弾性スリーブ18を介して伝達する補助動力は限られた値である為、この弾性スリーブ18が過度に弾性変形する事はなく、この弾性スリーブ18の耐久性が損なわれる事はない。
又、本例の構造は、上記ウォーム軸6の基端部をハウジング3に対し回転自在に支持する為の転がり軸受9bの内径側に設置できる等、小型且つ軽量に構成できる。又、上記ウォーム軸6の基端部と上記出力軸10の先端部とを結合する作業は、上記弾性スリーブ18を弾性変形させつつ、容易に行なえる。更に、上記ウォーム軸6の基端部と上記出力軸10の先端部との結合部は、上記スプライン係合部に存在する隙間と上記弾性スリーブ18とにより、これらウォーム軸6と出力軸10との相対変位を可能に結合している。従って、これらウォーム軸6と出力軸10との位置関係が、トルク伝達に基づく弾性変形、摩耗、温度変化、吸水等により多少変化した場合でも、上記弾性スリーブ18の弾性変形に基づいてこの変化を吸収(補償)できる。この為、上記位置関係が多少変化しても、上記結合部で、コジリが発生する事はなく、コジリに基づく伝達効率の低下や耐久性の低下を招く事はない。
[実施の形態の第2例]
図4も請求項1、2、6に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、弾性スリーブ18aを構成するシート状部20、20の外周面に形成した各凸部21a、21aを、円すい状に構成している。円すい状の各凸部21a、21aは、上述した実施の形態の第1例の、半球状の凸部21、21に比べて緩衝機能は優れている反面、耐久性の点で劣る。従って、凸部として何れの形状のものを採用するか、或いは混在させるかは、電動式パワーステアリング装置に必要とされる特性等に応じて選択する。その他の部分の構成及び作用は上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図5は、請求項1、3、6に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、弾性スリーブ18bを構成するシート状部20、20の外周面に形成した各凸部21b、21bを、この弾性スリーブ18bの軸方向に長い、断面半円形の土手状に構成している。これら各凸部21b、21bを土手状にする事で、これら各凸部21b、21bの容積を上述した第1〜2例の場合よりも増大させて、これら各凸部21b、21bのみで伝達可能なトルクの値を大きくしている。尚、上記各凸部21b、21bは、上記弾性スリーブ18bの軸方向に形成する事が、成形用金型の加工を容易にする面からは好ましいが、機能上からは、特に軸方向にする必要はなく、他の方向とする事もできる。その他の部分の構成及び作用は上述した実施の形態の第1〜2例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第4例]
図6も、請求項1、3、6に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、弾性スリーブ18cを構成するシート状部20、20の外周面に形成した、それぞれが土手状である各凸部21c、21cの断面形状を、三角形にしている。断面形状が三角形で土手状の各凸部21c、21cは、上述した実施の形態の第3例の、断面形状が半円形の凸部21b、21bに比べて緩衝機能は優れている反面、耐久性の点で劣る。従って、凸部として何れの形状のものを採用するか、或いは混在させるかは、電動式パワーステアリング装置に必要とされる特性等に応じて選択する。その他の部分の構成及び作用は上述した実施の形態の第3例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
[実施の形態の第5例]
図7は、請求項4〜6に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、弾性スリーブ18dを構成する12枚のシート状部20a〜20cの自由状態での厚さ寸法Ta 、Tb 、Tc を、3通りに異ならせている。即ち、図7の上下両端部に存在する4枚のシート状部20a、20aの厚さ寸法Ta を最も大きく、同じく右上部と左下部とに存在する4枚のシート状部20b、20bの厚さ寸法Tb をその次に大きく、同じく右下部と左上部とに存在する4枚のシート状部20c、20cの厚さ寸法Tc を最も小さく(Ta >Tb >Tc と)している。
この様な弾性スリーブ18dは、前述した実施の形態の第1例の場合と同様、図1〜2に示す様に、電動モータ7の出力軸10の先端部に設けた第二スプライン軸部の外周面と、ウォーム軸6の基端部に設けたスプライン孔11aの内周面との間に設置する。このスプライン孔11aの内周面に設けた雌スプライン歯のピッチ、並びに、上記第二スプライン軸部の外周面に形成した雄スプライン歯のピッチは、上記実施の形態の第1例の場合と同様、通常のスプライン歯のピッチよりも粗く、それぞれ60度としている。又、上記両軸12、6の中心軸に直交する仮想平面に関する、上記各スプライン歯の断面形状は、角部が丸まった二等辺三角形としている。
それぞれがこの様な形状を有する、上記雌スプライン歯の内径側に上記雄スプライン歯を挿入し、これら両スプライン歯を中立位置にした(各歯の山部の位相を半ピッチ分ずらせた=各歯の山部の位相と谷部の位相とを一致させた)状態で、これら両スプライン歯の円周方向(トルクの伝達方向)側面同士の間に、円周方向に関する厚さ寸法がTS である隙間が存在する。この隙間の厚さ寸法TS は、上記最も厚いシート状部20a、20aの自由状態での厚さ寸法Ta とほぼ同じである(TS ≒Ta 、完全に同じか僅かに大きい又は小さい)。これに対して、上記隙間の厚さ寸法TS は、次に大きいシート状部20b、20b、及び最も薄いシート状部20c、20cの厚さ寸法Tb 、Tc よりも大きい(TS ≒Ta >Tb >Tc )。
本例の場合には、上記弾性スリーブ18dに、前述した実施の形態の第1〜4例の様な凸部を形成しない代わりに、上記各シート状部20a〜20cの厚さ寸法Ta 、Tb 、Tc と上記隙間の厚さ寸法TS との関係を上述の様に規制している。この為、上記弾性スリーブ18dを上記第二スプライン軸部の外周面と上記スプライン孔11aの内周面との間に設置した状態では、これら両周面同士の間に存在する、トルクの伝達方向に関する隙間の厚さ寸法TS と、上記各シート状部20a〜20cの自由状態での厚さ寸法Ta 、Tb 、Tc との関係が、3通りに異なる。
先ず第一に、上記最も厚いシート状部20a、20aの厚さ寸法Ta と上記隙間の厚さ寸法TS との差はほぼ零(TS −Ta ≒0)であるから、これら各シート状部20a、20aの両面と、上記第二スプライン軸部の外周面及び上記スプライン孔11aの内周面とは、前記出力軸10と前記ウォーム軸6との間でトルク伝達を行なわない中立状態でも、当接若しくは極く微小な隙間を介して近接対向する。これに対して、他のシート状部20b、20cの両面と上記第二スプライン軸部の外周面及び上記スプライン孔11aの内周面とは、中立状態で、隙間を介して対向する。この隙間の大きさは、中程度の厚さ寸法Tb を有するシート状部20b、20bに関するものよりも、最も薄い厚さ寸法Tc を有するシート状部20c、20cに関するものの方が大きくなる。
上述の様な構成を有する本例の構造によれば、上記出力軸10と上記ウォーム軸6との間で伝達するトルクが小さい場合には、上記弾性スリーブ18dを構成する上記各シート状部20a、20b、20cのうちで、最も大きな厚さ寸法Ta を有するシート状部20a、20a(のうちでトルクの伝達方向前側に存在する2枚のシート状部20a、20a)が、上記トルクの伝達に供される。この為、上記弾性スリーブ18dのうちでトルク伝達に供される部分の容積が少なく(従動側、駆動側両凹凸部である、上記出力軸10の外周面に形成した雄スプライン歯の円周方向側面と、上記ウォーム軸6のスプライン孔に形成した雌スプライン歯の円周方向側面とに対する接触面積が狭く)、上記トルク伝達に関する、上記弾性スリーブ18dの剛性を低くできる。これに対して、上記トルクが大きい場合には、上記最も大きな厚さ寸法Ta を有するシート状部20a、20aだけでなく、比較的小さな厚さ寸法Tb 、Tc を有する各シート状部20b、20cも、順次(トルクが大きくなるに従って各シート状部20b、20b→各シート状部20c、20cの順番で)、上記雄スプライン歯の円周方向側面と上記雌スプライン歯の円周方向側面との間で挟持された状態となる。そして、それ以上のトルク伝達の為には、上記最も大きな厚さ寸法Ta を有するシート状部20a、20aだけでなく、上記比較的小さな厚さ寸法Tb を有する各シート状部20b、20b(更には最も薄い厚さ寸法Tc を有する各シート状部20c、20c)も弾性変形させる必要が生じる。この為、上記トルク伝達に関する、上記弾性スリーブ18dの剛性を高くできる。その他の部分の構成及び作用は前述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
本発明の実施の形態の第1例を示す、図8の拡大A−A断面に相当する図。 図1のB部を拡大した状態で示す模式図。 第1例の構造で、出力軸とウォーム軸との間のトルク継手部に組み込む弾性部材を取り出して示す拡大斜視図。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図3と同様の図。 同第3例を示す、図3と同様の図。 同第4例を示す、図3と同様の図。 同第5例を示す、弾性部材の端面図。 従来構造の第1例を示す、電動式パワーステアリング装置の全体構成の部分切断側面図。 図8の拡大A−A断面図。 従来構造の第2例を示す、継手部の分解斜視図。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ハウジング
4 ウォームホイール
5 ウォーム歯
6 ウォーム軸
7 電動モータ
8 ウォーム
9a、9b 転がり軸受
10 出力軸
11、11a スプライン孔
12、12a スプライン軸部
13 押圧駒
14 コイルばね
15a、15b 回転軸
16a、16b 凹凸部
17 弾性部材
18、18a〜18d 弾性スリーブ
19 第一スプライン軸部
20、20a〜20c シート状部
21、21a〜21c 凸部
22 外径側折り返し部
23 内径側折り返し部

Claims (6)

  1. 固定の部分に支持されて回転する事のないハウジングと、このハウジングに対し回転自在に設けられて、ステアリングホイールの操作により回転させられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する回転軸と、上記ハウジングの内部でこの回転軸の一部に、この回転軸と同心に支持されて、この回転軸と共に回転するウォームホイールと、ウォーム軸の軸方向中間部にウォーム歯を設けて成り、このウォーム歯を上記ウォームホイールと噛合させた状態で、上記ウォーム軸の軸方向端部を転がり軸受により上記ハウジングに対し回転自在に支持されたウォームと、上記ウォームを回転駆動する為、その出力軸をこのウォームと同心に配置した電動モータと、これら出力軸の先端部とウォームの基端部との間に設けられて、この出力軸からこのウォームへのトルクの伝達を自在としたトルク継手部とを備え、このトルク継手部は、上記出力軸側にこの出力軸と同心に設けられてこの出力軸と共に回転する駆動側凹凸部と、上記ウォーム側にこのウォームと同心に設けられてこの駆動側凹凸部と上記トルクの伝達方向に関して凹凸係合し、このウォームと共に回転する従動側凹凸部と、この従動側凹凸部と上記駆動側凹凸部との間に挟持された弾性部材とから成るものである電動式パワーステアリング装置に於いて、この弾性部材のうちで上記従動側凹凸部と上記駆動側凹凸部との間に挟持される部分に、シート状部とこのシート状部から突出した凸部とを設けた事を特徴とする電動式パワーステアリング装置。
  2. 凸部が、互いに独立した突起状である、請求項1に記載した電動式パワーステアリング装置。
  3. 凸部が、シート状部の面方向に長い土手状である、請求項1に記載した電動式パワーステアリング装置。
  4. 固定の部分に支持されて回転する事のないハウジングと、このハウジングに対し回転自在に設けられて、ステアリングホイールの操作により回転させられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する回転軸と、上記ハウジングの内部でこの回転軸の一部に、この回転軸と同心に支持されて、この回転軸と共に回転するウォームホイールと、ウォーム軸の軸方向中間部にウォーム歯を設けて成り、このウォーム歯を上記ウォームホイールと噛合させた状態で、上記ウォーム軸の軸方向端部を転がり軸受により上記ハウジングに対し回転自在に支持されたウォームと、上記ウォームを回転駆動する為、その出力軸をこのウォームと同心に配置した電動モータと、これら出力軸の先端部とウォームの基端部との間に設けられて、この出力軸からこのウォームへのトルクの伝達を自在としたトルク継手部とを備え、このトルク継手部は、上記出力軸側にこの出力軸と同心に設けられてこの出力軸と共に回転する駆動側凹凸部と、上記ウォーム側にこのウォームと同心に設けられてこの駆動側凹凸部と上記トルクの伝達方向に関して凹凸係合し、このウォームと共に回転する従動側凹凸部と、この従動側凹凸部と上記駆動側凹凸部との間に上記トルクの伝達方向に関して挟持された弾性部材とから成るものである電動式パワーステアリング装置に於いて、上記従動側凹凸部と上記駆動側凹凸部との間に、上記トルクの伝達方向に関して複数個所に存在し、それぞれの内側に上記弾性部材を介在させる複数の隙間の、このトルクの伝達方向に関する厚さ寸法と、同方向に関するこの弾性部材の厚さ寸法との差の値を、複数種類設定した事を特徴とする電動式パワーステアリング装置。
  5. 従動側凹凸部及び駆動側凹凸部のピッチが、トルクの伝達方向に関して等しく、これら従動側凹凸部と駆動側凹凸部との関係を中立位置にした状態で、それぞれの内側に弾性部材を介在させる複数の隙間の、上記トルクの伝達方向に関する厚さ寸法が、これら各隙間毎に同じであり、これら各隙間内に設置する弾性部材の厚さ寸法が複数種類設定されている、請求項4に記載した電動式パワーステアリング装置。
  6. 出力軸の先端部とウォーム軸の基端部とのうちの一方の端部に、当該軸の端面に開口する状態で設けられ、従動側凹凸部と駆動側凹凸部とのうちの何れか一方の凹凸部である内周面側凹凸部を内周面に形成した受孔と、上記出力軸の先端部とウォーム軸の基端部とのうちの他方の端部であって、上記従動側凹凸部と上記駆動側凹凸部とのうちの他方の凹凸部である外周面側凹凸部を外周面に設けた軸部とを、トルクの伝達方向に関して凹凸係合させており、この軸部は、剛体製で上記一方の端部を備えた軸と同期して回転する第一軸部と、この第一軸部よりも小径の第二軸部に、この第二軸部に対する相対回転を阻止された状態で外嵌固定された弾性部材とを、軸方向に関して互いに直列に配置して成るものであり、上記第一軸部の外周面と上記受孔の内周面の一部との間に存在するトルクの伝達方向に関する隙間よりも、上記弾性部材の外周面とこの受孔の内周面の残部との間に存在する上記トルクの伝達方向に関する隙間を小さくしている、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載した電動式パワーステアリング装置。
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