JP2016056228A - カチオン電着塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗料安定性、仕上がり性、及び防食性に優れたカチオン電着塗料組成物、及び諸塗膜性能に優れた塗装物品の提供。【解決手段】アミノ基含有エポキシ樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)を含有するカチオン電着塗料組成物であって、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)が、式(1)で表される及び更に式(2)で表されるアミン化合物又はケチミン化合物からなるアミン化合物をエポキシ樹脂に反応させたものであるカチオン電着塗料組成物。R1−NH−R2−OH・・・式(1)X1−R3−NH−R4−X2・・・式(2)(R1〜R4は各々独立に直鎖状又は分岐状のC1〜8の炭化水素基;X1及びX2は水酸基及び/又はアミノ基)【選択図】なし

Description

本発明は、塗料安定性、塗膜の仕上がり性及び防食性に優れるカチオン電着塗料組成物に関する。
従来から、カチオン電着塗料は塗装作業性が優れ形成した塗膜の防食性が良好なことから、これらの性能が要求される自動車部品、電気機器部品及びその他の工業用機器等に広く利用されている。このようなカチオン電着塗料の電着塗装設備は、電着塗料槽の他に、回収水洗設備、UF濾過設備、精密濾過設備などがあり、カチオン電着塗料の塗料安定性が悪いと濾過設備での目詰まりや仕上がり性の低下などを生じることがあった。このため従来から、塗料安定性に優れ、かつ防食性、仕上り性、つきまわり性などの性能を満足する種々のカチオン電着塗料が提案されてきた。
例えば、エポキシ当量が180〜2500のエポキシ樹脂に、キシレンホルムアルデヒド樹脂及びアミノ基含有化合物を反応させることにより生成させたキシレンホルムアルデヒド樹脂変性アミノ基含有エポキシ樹脂をビヒクル成分として含有するカチオン性塗料組成物によって、防食性、付着性、防錆鋼板の電着塗装適性及び塗料安定性に優れることが開示されている。(特許文献1)しかしながら、電着塗装適性、つきまわり性、仕上り性、防食性のバランスが不十分な場合があった。
また、数平均分子量が1,000〜10,000、酸価が20〜80及び水酸基価が50〜200である水溶性ポリエステル樹脂を含有するカチオン電着塗料が開示されている(特許文献2)。しかしながら、アミノ基含有エポキシ樹脂を基体樹脂として含有するカチオン電着塗料に、酸価が20〜80のポリエステル樹脂を用いると酸塩基相互作用により塗料安定性を損なう場合があった。
また、酸価10mgKOH/g以下でかつ数平均分子量が1,000以上でかつ7,000以下のポリエステル樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤を含有するカチオン電着塗料組成物で、塗料安定性が良好で、つきまわり性、防食性に優れることが開示されている。(特許文献3)しかしながら、樹脂組成が異なる水分散体を混合した電着塗料は、塗装ラインで負荷がかかった場合には塗料安定性を損なう場合があった。
また、ポリエーテル変性アミノ基含有エポキシ樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂変性アミノ基含有エポキシ樹脂及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤を含有する水分散性(塗料安定性)に優れたカチオン電着塗料組成物が開示されている。(特許文献4)しかしながら、塗料安定性と防食性のバランスが不十分であり、長期の安定性試験では塗料安定性が劣る場合があった。
特開2003−221547号公報 特開2003−10774号公報 特開2013−241582号公報 特開2009−84567号公報
本発明が解決しようとする課題は、塗料安定性、仕上がり性、及び防食性に優れたカチオン電着塗料組成物、並びにこれらの諸塗膜性能に優れた塗装物品を提供することである。
発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のアミン化合物を反応させたアミノ基含有エポキシ樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)を含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物によって、上記課題の解決が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のカチオン電着塗料組成物、及び該カチオン電着塗料組成物を被塗物に電着塗装した塗装物品を提供するものである:
項1.少なくとも1種の下記式(1)で表されるアミン化合物(a1−1)を含有するアミン化合物(a1)をエポキシ樹脂(a)と反応させたアミノ基含有エポキシ樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)を含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物。
−NH−R−OH ・・・式(1)
(式中、R及びRは、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、それぞれ異なっていても同じでも良い。)
項2.Rが炭素数3〜4の直鎖状又は分岐状の炭化水素基である、項1に記載のカチオン電着塗料組成物。
項3.Rが炭素数3の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、かつRが炭素数3〜4の直鎖状又は分岐状の炭化水素基である、項1又は2に記載のカチオン電着塗料組成物。
項4.アミン化合物(a1)が、アミン化合物(a1−1)に加えて、さらに下記式(2)で表されるアミン化合物(a1−2)又はそのケチミン化物とを含有することを特徴とする項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
−R−NH−R−X ・・・式(2)
(式中、R及びRは、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、それぞれ異なっていても同じでも良い。X及びXは、水酸基及び/又はアミノ基であり、それぞれ異なっていても同じでも良い。ただし、X及びXがアミノ基の場合は、R及びRの少なくとも一方が炭素数1〜2の炭化水素基である。)
項5.アミノ基含有エポキシ樹脂(A)が、キシレンホルムアルデヒド樹脂、ポリアルキレングリコール化合物、脂肪酸、アルキレングリコール、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネート化合物、ラクトン化合物及びカテコール化合物から選ばれる少なくとも1種の変性剤により変性されてなるアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A1)であることを特徴とする項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
項6.カチオン電着塗料組成物が、さらに水酸基含有樹脂(C)を含有し、成分(A)、(B)及び(C)の樹脂固形分合計質量を基準にして、成分(A)を40〜85質量%、成分(B)を10〜40質量%、成分(C)を5〜50質量%含有することを特徴とする項1〜5のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
項7.水酸基含有樹脂(C)が、水酸基含有アクリル樹脂(C1)、水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)、及びアミノ基を含有しない水酸基含有エポキシ樹脂(C3)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする項6に記載のカチオン電着塗料組成物。
項8.アミノ基含有エポキシ樹脂(A)の溶解性パラメーターδAと水酸基含有樹脂(C)の溶解性パラメーターδCが、|δA−δC|<1.3の関係であることを特徴とする項6又は7に記載のカチオン電着塗料組成物。
項9.アミノ基含有エポキシ樹脂(A)のアミン価が、樹脂固形分を基準として50mgKOH/g以上であり、成分(A)、(B)及び(C)を合計したアミン価が、樹脂固形分を基準として20〜100mgKOH/gの範囲内であることを特徴とする項6〜8のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
項10.カチオン電着塗料組成物が、少なくとも1種の金属化合物(D)を、樹脂固形分の合計質量を基準にして、0.01〜10.0質量%含有することを特徴とする項1〜9のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
項11.項10に記載の金属化合物(D)が、ビスマス化合物及び/又は亜鉛化合物であることを特徴とするカチオン電着塗料組成物。
項12.項1〜11のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物を電着塗料浴として、これに合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を含む金属被塗物を浸漬し、電着塗装して得られる塗装物品。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、良好な塗料安定性を確保した上、さらに該カチオン電着塗料組成物を電着塗装して得られた塗膜は、仕上がり性及び防食性に優れる。
具体的には、本発明品が塗装された自動車ボディは、融雪塩が散布された環境下を長期間走行しても、腐食劣化が少ない。また、本発明の塗料組成物は、UF濾過をする塗装ラインにおいても長期間にわたってUFフィルターの閉塞を起こすことなく、塗料安定性が良好である。
図1は、本願実施例における、塗料安定性の概略を示す。
本発明は、特定のアミン化合物を反応させたアミノ基含有エポキシ樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)を含有するカチオン電着塗料組成物に関する。尚、上記カチオン電着塗料組成物は、上記成分(A)及び(B)を含む水分散体を含有するカチオン電着塗料と言い換えることもできる。以下、詳細に述べる。
アミノ基含有エポキシ樹脂(A)
本発明の電着塗料組成物で用いることができるアミノ基含有エポキシ樹脂(A)としては、少なくとも1種の下記式(1)のアミン化合物(a1−1)を含有するアミン化合物(a1)をエポキシ樹脂(a)と反応させたアミノ基含有エポキシ樹脂(A)である。
−NH−R−OH ・・・式(1)
(式中、R及びRは、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、それぞれ異なっていても同じでも良い。)
上記アミノ基含有エポキシ樹脂(A)の原料として使用されるエポキシ樹脂(a)は、1分子中にエポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物である。当該エポキシ樹脂(a)としては、少なくとも300、好ましくは400〜4,000、さらに好ましくは800〜2,500の範囲内の数平均分子量を有するものが好ましい。また、当該エポキシ樹脂(a)としては、少なくとも160、好ましくは180〜2,500、さらに好ましくは400〜1,500の範囲内のエポキシ当量を有するものが適している。かかるエポキシ樹脂としては、例えば、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリン(例えば、エピクロルヒドリン等)との反応によって得られるものを使用することができる。
上記エポキシ樹脂の形成のために用いられるポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン[水添ビスフェノールF]、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン[水添ビスフェノールA]、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどを挙げることができる。
また、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂(a)としては、中でも、ビスフェノールAから誘導される下記式の樹脂又はこれを原料とする樹脂(例えば、下記式の樹脂にさらにポリフェノール化合物を反応させたもの等)が好適である。
ここで、n=0〜8で示されるものが好適である。
かかるエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、三菱化学(株)からjER828EL、jER1002、jER1004、jER1007なる商品名で販売されているものが挙げられる。
アミン化合物(a1)
本発明で用いるアミノ基含有エポキシ樹脂(A)の原料であるアミン化合物(a1)は、少なくとも1種の下記式(1)のアミン化合物(a1−1)を含有する。
−NH−R−OH ・・・式(1)
(式中、R及びRは、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、それぞれ異なっていても同じでも良い。)
アミン化合物(a1−1)
上記アミン化合物(a1−1)としては、上記式(1)において、Rの炭素数が、通常1〜8、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜4、特に好ましくは3であり、R2の炭素数が、通常1〜8、好ましくは2〜4、より好ましくは3〜4、特に好ましくは3であることが好適である。
具体的には、例えば、モノメチルエタノールアミン、モノメチルプロパノールアミン、モノメチルブタノールアミン、モノエチルエタノールアミン、モノエチルプロパノールアミン、モノエチルブタノールアミン、モノプロピルエタノールアミン、モノプロピルプロパノールアミン、モノプロピルブタノールアミン、モノブチルエタノールアミン、モノブチルプロパノールアミン、モノブチルブタノールアミンなどが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
なお、上記に表記したR及びRの炭化水素基は、全ての可能な異性体も含まれるものとする。従って、例えば、プロピルはイソプロピルを含み、ブチルは、n−ブチル、イソブチルおよびt−ブチルを含むものとする。
上記アミン化合物(a1−1)は、例えば、モノアルキルアミンとアルキレンオキシドとの反応により得ることができる。上記モノアルキルアミンとしては、特に制限はないが、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノn−プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノn−ブチルアミン、モノイソブチルアミン、モノsec−ブチルアミン、モノt−ブチルアミン、モノn−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、モノn−ヘキシルアミンなどの1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状モノアルキルアミンを用いることができ、好適にはモノメチルアミン、モノエチルアミン、モノn−プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノn−ブチルアミン、モノイソブチルアミン、モノt−ブチルアミンを用いることができ、特に好適にはモノメチルアミン、モノエチルアミン、モノn−プロピルアミン、モノイソプロピルアミン、モノn−ブチルアミンを用いることができる。上記アルキレンオキシドとしては、特に制限はないが、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを用いることができ、好適にはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを用いることができる。
上記アミン化合物(a1−1)の合成方法としては、特に制限はないが、例えば、特開2004−275933号公報、特開昭59−13751号公報、特開平8−333310号公報などに記載された既知の方法で合成することができる。
アミン化合物(a1−1)以外のアミン化合物
アミン化合物(a1−1)以外のアミン化合物としては、前述のエポキシ樹脂(a)との反応性を有するアミン化合物であれば特に限定されず、例えば、ジメチレントリアミン、ジエチレントリアミンなどのジアルキレントリアミン;モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、モノオクチルアミン、メチルブチルアミン、ジブチルアミンなどのモノ−アルキルアミン又はジ−アルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、3−メチルアミン−1,2−プロパンジオール、3−tert−ブチルアミノ−1,2−プロパンジオール、N−メチルグルカミン、N−オクチルグルカミンなどのアルカノールアミン;ポリメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ビス(4−アミノブチル)アミンなどのアルキレンポリアミン;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ナフチレンジアミン、ジメチルアミノメチルベンゼンなどの芳香族又は脂環族ポリアミン;ピペラジン、1−メチルピペラジン、3−ピロリジノール、3−ピぺリジノール、4−ピロリジノールなどの複素環を有するポリアミン;上記ポリアミン1モルに対しエポキシ基含有化合物を1〜30モル付加させることによって得られるエポキシ付加ポリアミン;上記ポリアミンと芳香族酸無水物、環状脂肪族酸無水物、脂肪族酸無水物、ハロゲン化酸無水物及び/又はダイマー酸との縮合によって生成するポリアミド樹脂の分子中に1個以上の1級又は2級アミンを含有するポリアミドポリアミン;上記ポリアミン中の1個以上の1級又は2級アミンとケトン化合物とを反応せしめたケチミン化アミン;などが挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
なかでも、前記アミン化合物(a1−1)と共に下記式(2)で表されるアミン化合物(a1−2)又はそのケチミン化物を含有することが硬化性と親水性のバランスを取る観点からより好ましい。
−R−NH−R−X ・・・式(2)
(式中、R及びRは、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、それぞれ異なっていても同じでも良い。X及びXは、水酸基及び/又はアミノ基であり、それぞれ異なっていても同じでも良い。ただし、X及びXがアミノ基の場合は、R及びRの少なくとも一方が炭素数1〜2の炭化水素基である。)
上記アミン化合物(a1−2)としては、下記式(3)〜(5)で表されるアミン化合物が挙げられる。
HO−R−NH−R−OH ・・・式(3)
上記式(3)のアミン化合物としては、具体的には、例えば、ジブタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジメタノールアミンなどのジアルカノールアミンなどが挙げられる。なかでも、R及びRの炭化水素基の炭素数が1〜2のものが好ましく、具体的には、ジメタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましい。
HO−R−NH−R−NH ・・・式(4)
上記式(4)のアミン化合物としては、具体的には、例えば、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノメチル)プロパノールアミン、N−(アミノメチル)ブタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)プロパノールアミン、N−(アミノエチル)ブタノールアミン、N−(アミノプロピル)メタノールアミン、N−(アミノプロピル)エタノールアミン、N−(アミノプロピル)プロパノールアミン、N−(アミノプロピル)ブタノールアミン、N−(アミノブチル)メタノールアミン、N−(アミノブチル)エタノールアミン、N−(アミノブチル)プロパノールアミン、N−(アミノブチル)ブタノールアミン等の炭素数1〜4のアルキル基を有するアルカノールアミンなどが挙げられる。なかでも、R及びRの炭化水素基の炭素数が1〜2のものが好ましく、具体的には、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミンが好ましい。
NH−R−NH−R−NH ・・・式(5)
上記式(5)のアミン化合物としては、R及びRの少なくとも一方(好ましくは両方)の炭化水素基の炭素数が1〜2であり、具体的には、ジメチレントリアミン、ジエチレントリアミンなどが挙げられる。なかでも、ジエチレントリアミンが好ましい。
なお、上記に表記したR及びRの炭化水素基は、全ての可能な異性体も含まれるものとする。従って、例えば、プロピルはイソプロピルを含み、ブチルは、n−ブチル、イソブチルおよびt−ブチルを含むものとする。
また、上記式(4)及び(5)で表されるアミン化合物(a1−2)は、樹脂合成の際に高分子量化を防ぐために、アミン化合物末端の1級アミンをケトン化合物と反応してケチミン化した後に2級アミンとエポキシ樹脂のエポキシ基を反応させ、次いで、塗料化(エマルション化)する際に加水分解により1級アミンに戻す製造方法が好ましい。本発明で用いるアミノ基含有エポキシ樹脂(A)は、樹脂末端に水分散基である1級アミノ基を有することで、水性塗料中において良好な塗料安定性を得ることができる。
ケチミン化するために用いるケトンとしては、上記アミン化合物(a1−2)の1級アミンと反応してケチミン化合物となり、さらに水性塗料組成物中で加水分解するものであれば特に制限はなく使用でき、例えば、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジエチルケトン(DEK)、エチルブチルケトン(EBK)、エチルプロピルケトン(EPK)、ジプロピルケトン(DPK)、メチルエチルケトン(MEK)などが挙げられる。中でも、メチルイソブチルケトン(MIBK)が好ましい。これらのケトンは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明のカチオン電着塗料組成物が塗料安定性、仕上がり性及び防食性に優れる理由としては、詳しいことはわかっていないが、本発明で用いるアミノ基含有エポキシ樹脂が、比較的塩基性強度及び/又は親水性が強いアミン化合物(a1−1)を構成成分としていることで水への親和力を高め、水性塗料組成物中での安定性を高め、また、さらに親水性の強いアミン化合物(a1−2)と併用することで、親水性(塗料安定性)と硬化性のバランスを取ることができると考えられる。ここで、アミン化合物の「塩基性強度が強い」とは、該アミン化合物中に結合する炭化水素基の炭素数が比較的多い場合、電子供与基となるため、アミノ基の塩基性強度がより高められると考えられる。
変性剤
また、本発明で用いるアミノ基含有エポキシ樹脂(A)は、必要に応じて、変性剤により変性を図ることができる。このような変性剤は、例えば、キシレンホルムアルデヒド樹脂、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、脂肪酸、フェノール類、アルキレングリコール、一価アルコール、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネート化合物、ラクトン化合物、カテコール化合物、アクリルモノマー及びアクリルモノマーを重合反応させた化合物などが挙げられ、これらの変性剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
これらのうち、変性剤としては、特に塗料安定性及び/又は防食性の観点から、脂肪酸、キシレンホルムアルデヒド樹脂、ポリエーテルポリオール、アルキレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
上記脂肪酸としては、炭素数8〜22の長鎖脂肪酸が好ましく、例えば、カプリル酸、カプリン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上の組合せて用いることができる。
中でも、フェノール及びクレゾール類が好適である。中でも、炭素数10〜20の長鎖脂肪酸がより好ましく、炭素数13〜18の長鎖脂肪酸がさらに好ましい。
上記キシレンホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、キシレン、ホルムアルデヒド及びフェノール類を、酸性触媒の存在下に縮合反応させることにより製造することができる。
上記ホルムアルデヒドとしては、例えば、工業的に入手容易なホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサンなどのホルムアルデヒドを発生する化合物を使用することができる。また、上記フェノール類には、2個又は3個の反応サイトを持つ1価もしくは2価のフェノール性化合物が包含され、具体的には、例えば、フェノール、クレゾール類、パラ−オクチルフェノール、ノニルフェノール、ビスフェノールプロパン、ビスフェノールメタン、レゾルシノール、ピロカテコール、ハイドロキノン、パラ−tert−ブチルフェノール、ビスフェノールスルホン、ビスフェノールエーテル、パラ−フェニルフェノールなどが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上の組合せて用いることができる。中でも、フェノール及びクレゾール類が好適である。
上記ポリエーテルポリオールとしては、通常62〜10,000、好ましくは62〜2,000の範囲内の数平均分子量を有することができ、例えば、アルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフランなど)の開環付加反応によって製造される、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(エチレン・プロピレン)グリコール、ビスフェノールAポリエチレングリコールエーテル、ビスフェノールAポリプロピレングリコールエーテルなどが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコールが好ましい。
また、上記ポリアルキレングリコールは、エポキシ樹脂(a)の樹脂骨格中にポリアルキレングリコールを含有しているものも含まれる。通常、このようなエポキシ樹脂は、(α)エポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有するエポキシ樹脂と、アルキレンオキシド又はポリアルキレングリコールを反応せしめる方法、(β)上記ポリフェノール化合物と、エポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有するポリアルキレングリコールと、さらに必要に応じてポリフェノール化合物とを反応せしめる方法などにより得ることができる。また、既にポリアルキレングリコールを含有しているエポキシ樹脂を用いても良い。(例えば、特開平8−337750号公報の明細書参照)
市販品としては、例えば、グリシエールPP−300P(商品名、三洋化成工業社製、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル)、エポライト200E、エポライト400E(どちらも共栄社化学社製、商品名、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル)などが挙げられ、これらを単独で、又はビスフェノールAなどのポリフェノール化合物及び/又はエポキシ樹脂と反応せしめて、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)の原料であるエポキシ樹脂(a)として用いることができる。
また、ポリアルキレングリコールのアルキレン基としては、炭素数が2〜8のアルキレン基が好ましく、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基がより好ましく、プロピレン基が特に好ましい。
上記アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、2,3―ブタンジオール、1,5―ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,3−プロパンシオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられ、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。中でも、炭素数2〜8の直鎖状2価アルコールが好ましく、1,6−ヘキサンジオールがより好ましい。
また、上記アルキレングリコールは、エポキシ樹脂(a)の樹脂骨格中に既にアルキレングリコールを含有しているものも含まれる。市販品としては、例えば、デナコールEX−212L(商品名、ナガセケムテックス社製、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)、デナコールEX−214L(商品名、ナガセケムテックス社製、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)、SR−16H(商品名、阪本薬品工業社製、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル)、SR−NPG(商品名、阪本薬品工業社製、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル)、SR−PG(商品名、阪本薬品工業社製、プロピレングリコールジグリシジルエーテル)などが挙げられ、これらを単独で、又はビスフェノールAなどのポリフェノール化合物及び/又はエポキシ樹脂と反応せしめて、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)の原料であるエポキシ樹脂(a)として用いることができる。
製造方法
上記のアミン化合物及び/又は変性剤のエポキシ樹脂(a)への付加反応は、通常、適当な溶媒中で、約80〜約170℃、好ましくは約90〜約150℃の温度で1〜6時間程度、好ましくは1〜5時間程度で行なうことができる。
上記の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘキサンなどの炭化水素系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどのケトン系;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系;メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノールなどのアルコール系、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系化合物;あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
アミノ基含有エポキシ樹脂(A)の数平均分子量としては、仕上がり性、防食性などの観点から、通常1,000〜50,000の範囲内であり、さらに1,300〜20,000の範囲内であり、さらに特に1,600〜10,000の範囲内であることが好ましい。アミノ基含有エポキシ樹脂(A)のアミン価としては、樹脂固形分を基準として、通常50mgKOH/g以上であり、54〜200mgKOH/gの範囲内が好ましく、57〜150mgKOH/gの範囲内がより好ましい。
尚、本明細書におけるアミン価は、JIS K 7237−1995に準じて測定する。全て樹脂固形分当たりのアミン価(mgKOH/g)である。
また、本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した保持時間(保持容量)を、同一条件で測定した分子量既知の標準ポリスチレンの保持時間(保持容量)によりポリスチレンの分子量に換算して求めた値である。具体的には、ゲルパーミュエーションクロマトグラフとして、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」及び「TSKgel G−2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min及び検出器RIの条件下で測定することができる。
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)は、ポリイソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤とのほぼ化学理論量での付加反応生成物である。ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)で使用されるポリイソシアネート化合物としては、公知のものを使用することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI[ポリメチレンポリフェニルイソシアネート]、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の環化重合体又はビゥレット体;又はこれらの組合せを挙げることができる。
特に、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI等(好ましくはクルードMDI等)の芳香族ポリイソシアネート化合物が防食性の為により好ましい。
一方、前記イソシアネートブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックするものであり、そして付加によって生成するブロックポリイソシアネート化合物は常温において安定であるが、塗膜の焼付け温度(通常約100〜約200℃)に加熱した際、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基を再生することが望ましい。
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)で使用されるブロック剤としては、例えば、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾールなどのフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系化合物;ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム系化合物;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物等(好ましくは、アルコール系化合物等)が挙げられる。
水酸基含有樹脂(C)
本発明のカチオン電着塗料組成物は、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)と共に、必要に応じて、水酸基含有樹脂(C)を含有することができる。上記水酸基含有樹脂(C)としては、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)と反応するものであれば特に限定されないが、水酸基含有アクリル樹脂(C1)、水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)、及びアミノ基を含有しない水酸基含有エポキシ樹脂(C3)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
各樹脂成分の含有量としては、水酸基含有樹脂(C)を含有する場合、成分(A)、(B)及び(C)の樹脂固形分合計質量を基準にして、成分(A)を40〜85質量%、成分(B)を10〜40質量%、成分(C)を5〜50質量%含有することが好ましい。
また、アミノ基含有エポキシ樹脂(A)の溶解性パラメーターδA及び水酸基含有樹脂(C)の溶解性パラメーターδCの関係は、通常、|δA−δC|<1.3であり、好ましくは、|δA−δC|<1.0であり、さらに好ましくは、|δA−δC|<0.8であり、さらに特に好ましくは、|δA−δC|<0.5である。このような関係を満たすことによって、樹脂同士の相溶性が良好になり、塗料安定性に優れた塗料および仕上がり性に優れた塗膜を得ることができる。
ここで、溶解性パラメーターδとは、一般にSP値(ソルビリティ・パラメーター)とも呼ばれるものであって、樹脂の親水性又は疎水性の度合いを示す尺度である。また、樹脂間の相溶性を判断する上で重要な尺度となるものであり、溶解性パラメーターの値が近い(溶解性パラメーターの差の絶対値が小さい)樹脂同士は一般的に相溶性が良好となる。上記溶解性パラメーターは、当業者に公知の濁度測定法をもとに数値定量化されるものであり、具体的には、下記式(6)、K.W.SUH、J.M.CORBETTの式(Journalof Applied Polymer Science,12,2359,1968)に準じて算出することができる。
[式(6)中、VHはn−ヘキサンの容積分率、Vは脱イオン水の容積分率、δHはn−ヘキサンのSP値、δは脱イオン水のSP値を示す。]
濁点滴定では、サンプルとして樹脂0.5g(固形分)をテトラヒドロフラン10mlに溶解した中に、n−ヘキサンを徐々に加え、濁点での滴定量H(ml)を読み、同様にアセトン溶液中に脱イオン水を加えての濁点における滴定量D(ml)を読んで、これらを下記式に適用しVH、V、δH、δを算出する。なお、各溶剤のSP値はテトラヒドロフラン:9.52、n−ヘキサン:7.24、脱イオン水:23.43である。
[VH=H/(10+H)、V=D/(10+D)、δH=9.52×10/(10+H)+7.24×H/(10+H)、δ=9.52×10/(10+D)+23.43×D/(10+D)]
また、上記水酸基含有樹脂(C)は、カチオン性のアミノ基含有エポキシ樹脂と塗料中で長期間、安定的に存在させるため、酸価が10mgKOH/g以下のアニオン性樹脂、ノニオン性樹脂、及び/又はカチオン性樹脂であることが好ましく、酸価が5mgKOH/g以下のアニオン性樹脂、ノニオン性樹脂、及び/又はカチオン性樹脂であることがより好ましく、ノニオン性樹脂及び/又はカチオン性樹脂であることがさらに好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂(C1)
本発明のカチオン電着塗料組成物に用いることができる水酸基含有アクリル樹脂(C1)としては、水酸基含有アクリルモノマー及びその他のモノマーをラジカル共重合することによって製造することができる。
上記水酸基含有アクリルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加生成物(例えばダイセル株式会社製の商品名としてプラクセルFA−2、及びFM−3)等が挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記その他のモノマーとしては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
水酸基含有アクリル樹脂(C1)は、上記のモノマーを公知の方法によりラジカル共重合反応することによって得ることができる。
なお、水酸基含有アクリル樹脂(C1)の水酸基価は、通常10〜300mgKOH/gの範囲内、好ましくは50〜200mgKOH/gの範囲内、数平均分子量は、通常1,000〜100,000の範囲内、好ましくは、2,000〜30,000の範囲内、アミン価は、通常0〜300mgKOH/gの範囲内、好ましくは10〜150mgKOH/gの範囲内が適当である。
また、グリシジル(メタ)アクリレートを含むラジカル重合性不飽和モノマーの共重合体のグリシジル基に、活性水素を含有するアミン化合物を付加してアクリル樹脂に水分散性を付与することができる。上記アミン化合物としては、1級モノ−及びポリアミン、2級モノ−及びポリアミン又は1、2級混合ポリアミン、ケチミン化された1級アミノ基を有する2級モノ−及びポリアミン、ケチミン化された1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物等が挙げられ、具体的には、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルトリアミンのケチミン化物などを用いることができる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)
本発明のカチオン電着塗料組成物に用いることができる水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)としては、酸成分とアルコール成分のエステル化反応及び/又はエステル交換反応によって製造することができる。
上記酸成分としては、水酸基含有ポリエステル樹脂の製造に際して、酸成分として通常使用される化合物を特に制限なく使用することができる。上記酸成分としては、例えば、脂環族多塩基酸、脂肪族多塩基酸、芳香族多塩基酸、芳香族モノカルボン酸、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、これらの酸の低級アルキルエステル化物等を使用することができる。
脂環族多塩基酸は、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個以上のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物及び該化合物のエステル化物である。
脂肪族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物である。
芳香族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物及び該芳香族化合物のエステル化物である。
また、必要に応じて、芳香族モノカルボン酸、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸などを使用することもできる。
上記アルコール成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して、アルコール成分として通常使用される化合物を特に制限なく使用することができるが、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、芳香族ジオールなどの2価アルコール及び3価以上の多価アルコールを含むものが好ましい。
上記水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)の製造方法としては、上記酸成分とアルコール成分を、公知の方法で反応することにより製造することができる。
また、前記水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)は、該樹脂の調製中、もしくはエステル化反応後及び/又はエステル交換反応後に、脂肪酸、油脂、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物等で変性することもできる。
水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)の数平均分子量としては、仕上り性の観点から、通常1,000〜20,000であり、好ましくは1,050〜10,000、さらに好ましくは1,100〜5,000の範囲内であることが好適である。
また、水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)の水酸基価としては、得られる塗膜の硬化性の観点から、通常20〜300mgKOH/gであり、好ましくは30〜250mgKOH/g、さらに好ましくは40〜180mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
水酸基含有エポキシ樹脂(C3)
本発明のカチオン電着塗料組成物に用いることができるアミノ基を含有しない水酸基含有エポキシ樹脂(C3)としては、エポキシ樹脂と多価アルコール、さらに必要に応じて変性剤とを反応させて得ることができる。ここで、「アミノ基を含有しない」とは、実質的にアミノ基を含有しないことであり、僅かな量のアミン価(5.0mgKOH/g未満)を有することも「アミノ基を含有しない」に含まれ、前記アミノ基含有エポキシ樹脂(A)とは、アミン価の範囲で明確に区別される。
水酸基含有エポキシ樹脂(C3)の原料として用いることができるエポキシ樹脂としては、カチオン電着塗料向けのアミノ基含有エポキシ樹脂の製造に際して、通常使用される公知のエポキシ樹脂を使用することができ、例えば、前述のアミノ基含有エポキシ樹脂(A)で記載したエポキシ樹脂(a)を好適に用いることができる。
水酸基含有エポキシ樹脂(C3)の原料として用いることができる多価アルコールとしては、上記エポキシ樹脂との反応性を有する多価アルコール成分であれば特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、2,3―ブタンジオール、1,5―ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,3−プロパンシオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリエチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなどの二価アルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリエーテルジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの三価アルコール;ペンタエリスリトールなどの四価アルコール;ポリエステルポリオール、アクリルポリオールなどの重合体が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
また、水酸基含有エポキシ樹脂(C3)は、さらに必要に応じて変性剤をエポキシ樹脂と反応させることができる。このような変性剤は、上記エポキシ樹脂との反応性を有し、かつ上記多価アルコール以外の化合物であれば特に限定されず、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、アクリル酸、オレイン酸、グリコール酸、乳酸、安息香酸、没食子酸、脂肪酸、二塩基酸などの酸性化合物;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコールなどの一価アルコール;フェノール、クレゾール、エチルフェノール、パラ−tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、4−tert−ブチルカテコールなどのフェノール類;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどのラクトン類;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物、若しくはその環化重合体(例えば、イソシアヌレート)又はビウレット型付加物;キシレンホルムアルデヒド化合物などが挙げられ、これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記水酸基含有エポキシ樹脂(C3)の製造方法としては、上記エポキシ樹脂、多価アルコール、及び必要に応じて変性剤を、公知の方法で反応させることにより製造することができる。
また、水酸基含有エポキシ樹脂(C3)の数平均分子量は、塗料安定性、仕上がり性、防食性などの観点から、通常1,000〜50,000の範囲内であり、好ましくは1,300〜20,000の範囲内であり、より好ましくは1,600〜10,000の範囲内であることが好適である。水酸基含有エポキシ樹脂(C3)の水酸基価は、得られる塗膜の硬化性の観点から、通常10〜300mgKOH/gであり、好ましくは20〜250mgKOH/g、さらに好ましくは30〜200mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
金属化合物(D)
本発明のカチオン電着塗料組成物は、必要に応じて金属化合物(D)を含有することができる。上記金属化合物(D)としては、公知のものを特に制限なく用いることができるが、例えば、チタン、コバルト、バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、インジウム、亜鉛、アルミニウム、ビスマス、イットリウム、ランタノイド金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属などが挙げられ、これらは1種を単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。なかでも、ビスマス化合物及び/又は亜鉛化合物が好ましい。
上記ビスマス化合物としては、例えば、塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、臭化ビスマス、ケイ酸ビスマス、水酸化ビスマス、三酸化ビスマス、硝酸ビスマス、亜硝酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス等の無機系ビスマス含有化合物;乳酸ビスマス、トリフェニルビスマス、没食子酸ビスマス、安息香酸ビスマス、クエン酸ビスマス、メトキシ酢酸ビスマス、酢酸ビスマス、蟻酸ビスマス、2,2−ジメチロールプロピオン酸ビスマス等が挙げられる。
上記亜鉛化合物としては、例えば、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、蟻酸亜鉛等が挙げられる。
なお、本発明のカチオン電着塗料組成物に用いられる金属化合物(C)の濃度としては、無処理鋼板上の防食性向上の観点から、カチオン電着塗料組成物の質量に対して、金属元素の質量で、通常0.01〜10質量%の範囲内であり、好ましくは0.05〜8質量%の範囲内であり、より好ましくは0.1〜5質量%の範囲内であることが好適である。
カチオン電着塗料組成物について
本発明のカチオン電着塗料組成物におけるアミノ基含有エポキシ樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)、及び必要に応じて配合される水酸基含有樹脂(C)の配合割合としては、上記成分(A)、(B)及び(C)の樹脂固形分合計質量を基準にして、成分(A)を30〜90質量部、好ましくは40〜85質量部、成分(B)を10〜50質量部、好ましくは10〜40質量部、そして成分(C)を0〜50質量部、好ましくは5〜50質量部の範囲内であることが、塗料安定性が良好で、仕上がり性、防食性に優れた塗装物品を得る為にも好ましい。また、塗料中に含まれる樹脂全体のアミン価としては、樹脂固形分を基準として、アミン価が、通常20〜100mgKOH/gの範囲内であり、25〜90mgKOH/gの範囲内であることがより好ましい。
配合割合や樹脂全体のアミン価が上記範囲を外れると、上記の塗料特性及び塗膜性能のいずれかを損うことがあり好ましくない。
本発明のカチオン電着塗料組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記樹脂(A)、硬化剤(B)、及び必要に応じて硬化剤(C)、界面活性剤や表面調整剤等の各種添加剤を十分に混合して調合樹脂とした後、水分散化し、これに顔料分散ペースト、水や有機溶剤、中和剤などを十分に混合して得ることができる。上記中和剤としては、公知の有機酸を特に制限なく用いることができ、なかでもギ酸、乳酸、酢酸又はこれらの混合物が好適である。
上記の顔料分散ペーストは、着色顔料、防錆顔料及び体質顔料などの顔料をあらかじめ微細粒子に分散したものであって、例えば、顔料分散用樹脂、中和剤及び顔料を配合し、ボールミル、サンドミル、ペブルミル等の分散混合機中で分散処理して、顔料分散ペーストを調製できる。
上記顔料分散用樹脂としては、公知のものを特に制限なく使用でき、例えば水酸基及びカチオン性基を有するエポキシ樹脂やアクリル樹脂、界面活性剤等、3級アミン型エポキシ樹脂、4級アンモニウム塩型エポキシ樹脂、3級スルホニウム塩型エポキシ樹脂、3級アミン型アクリル樹脂、4級アンモニウム塩型アクリル樹脂、3級スルホニウム塩型アクリル樹脂などを使用できる。
上記顔料としては、公知のものを特に制限なく使用でき、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着色顔料;クレー、マイカ、バリタ、炭酸カルシウム、シリカなどの体質顔料;主に防錆顔料としての機能を持つ前述の金属化合物(D)を添加することができる。
また、塗膜硬化性の向上を目的として、ジブチル錫ジベンゾエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイト゛等の有機錫化合物を用いることができる。金属化合物(D)の亜鉛化合物及び/又はビスマス化合物を適用(増量)及び/又は微細化して用いることによって、これらの有機錫化合物を含有せずに、塗膜硬化性の向上を図ることもできる。これらの顔料の配合量は、樹脂の合計固形分100質量部あたり1〜100質量部、特に10〜50質量部の範囲内が好ましい。
塗膜形成方法
本発明は、前述のカチオン電着塗料組成物からなる電着浴に被塗物を浸漬する工程、及び被塗物を陰極として通電する工程を含む、カチオン電着塗膜の形成方法を提供する。
本発明のカチオン電着塗料組成物の被塗物としては、自動車ボディ、2輪車部品、家庭用機器、その他の機器等が挙げられ、金属であれば特に制限はない。
被塗物としての金属鋼板としては、冷延鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−鉄二層めっき鋼板、有機複合めっき鋼板、Al素材、Mg素材など、並びにこれらの金属板を必要に応じてアルカリ脱脂等の表面を洗浄化した後、リン酸塩化成処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理を行ったものが挙げられる。
カチオン電着塗料組成物は、カチオン電着塗装によって所望の被塗物基材表面に塗装することができる。カチオン電着方法は、一般的には、脱イオン水等で希釈して固形分濃度が約5〜40質量%とし、好ましくは10〜25質量%とし、さらにpHを4.0〜9.0、好ましくは5.5〜7.0の範囲内に調整したカチオン電着塗料組成物を浴として、通常、浴温15〜35℃に調整し、負荷電圧100〜400V好ましくは150〜350Vの条件で被塗物を陰極として通電することによって行う。電着塗装後、通常、被塗物に余分に付着したカチオン電着塗料を落とすために、限外濾過液(UF濾液)、逆浸透透過水(RO水)、工業用水、純水等で十分に水洗する。
電着塗膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、一般的には、乾燥塗膜に基づいて5〜40μm、好ましくは10〜30μmの範囲内とすることができる。また、塗膜の焼き付け乾燥は、電着塗膜を電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥機などの乾燥設備を用いて、塗装物表面の温度で110〜200℃、好ましくは140〜180℃にて、時間としては10〜180分間、好ましくは20〜50分間、電着塗膜を加熱して行う。上記焼付け乾燥により硬化塗膜を得ることができる。
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
アミノ基含有エポキシ樹脂(A)の製造
製造例1 アミノ基含有エポキシ樹脂A1の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL(注1)1000部に、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量700になるまで反応させた。
次に、モノメチルエタノールアミン128部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A1溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A1は、アミン価62mgKOH/gであった。
(注1)jER828EL:商品名、ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂、エポキシ当量190、数平均分子量350。
製造例2 アミノ基含有エポキシ樹脂A2の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、モノエチルエタノールアミン151部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A2溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A2は、アミン価52mgKOH/gであった。
製造例3 アミノ基含有エポキシ樹脂A3の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1000部に、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量700になるまで反応させた。
次に、モノメチル−n−プロパノールアミン151部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A3溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A3は、アミン価61mgKOH/gであった。
製造例4 アミノ基含有エポキシ樹脂A4の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1000部に、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量700になるまで反応させた。
次に、モノ−n−プロピル−n−プロパノールアミン199部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A4溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A4は、アミン価60mgKOH/gであった。
製造例5 アミノ基含有エポキシ樹脂A5の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、モノメチルエタノールアミン83部及びジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物160部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A5溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A5は、アミン価91mgKOH/gであった。
製造例6 アミノ基含有エポキシ樹脂A6の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、モノメチルエタノールアミン83部及びジエタノールアミン74部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A6溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A6は、アミン価54mgKOH/gであった。
製造例7 アミノ基含有エポキシ樹脂A7の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、モノメチルエタノールアミン83部及びN−(アミノエチル)エタノールアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物112部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A7溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A7は、アミン価68mgKOH/gであった。
製造例8 アミノ基含有エポキシ樹脂A8の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1000部に、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量700になるまで反応させた。
次に、モノメチルエタノールアミン83部及びジエチルアミン44部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A8溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A8は、アミン価62mgKOH/gであった。
製造例9 アミノ基含有エポキシ樹脂A9の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 680部、デナコールEX−212(商品名、ナガセケムテックス社製、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エポキシ当量約151)300部、ビスフェノールA410部、及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、エポキシ当量が690になるまで130℃で反応させた。
次に、モノメチルエタノールアミン128部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A9溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A9は、アミン価63mgKOH/gであった。
製造例10 アミノ基含有エポキシ樹脂A10の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、50%ホルマリン480部、フェノール110部、98%工業用硫酸202部及びメタキシレン424部を仕込み、84〜88℃で4時間反応させる。反応終了後、静置して樹脂相と硫酸水相とを分離した後、樹脂相を3回水洗し、20〜30mmHg/120〜130℃の条件で20分間未反応メタキシレンをストリッピングして、粘度1050PaS(25℃)のフェノール変性の液状キシレンホルムアルデヒド樹脂(以下、単に液状キシレンホルムアルデヒド樹脂Pとする)480部を得た。
別のフラスコに、jER828EL 1000部、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量700になるまで反応させた。次に、液状キシレンホルムアルデヒド樹脂Pを300部及びモノメチルエタノールアミン120部を加え120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A10を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A10は、アミン価49mgKOH/gであった。
製造例11 アミノ基含有エポキシ樹脂A11の製造例
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、グリシエールPP−300P(注2)を162部、jER828ELを1000部、ビスフェノールAを440部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、160℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。次に、モノメチルエタノールアミン128部を加えて120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して樹脂固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A11溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A11は、アミン価55mgKOH/gであった。
(注2)グリシエールPP−300P:商品名、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、三洋化成工業社製、エポキシ当量約296。
製造例12 アミノ基含有エポキシ樹脂A12の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1000部に、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量700になるまで反応させた。
次に、大豆油脂肪酸87部、モノメチルエタノールアミン90部及びジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物53部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A12溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A12は、アミン価62mgKOH/gであった。
製造例13 アミノ基含有エポキシ樹脂A13の製造例
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、グリシエールPP−300Pを162部、jER828ELを1000部、ビスフェノールAを440部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、160℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。次に、モノ−n−プロピル−n−プロパノールアミン117部及びジエタノールアミン74部を加えて120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して樹脂固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A13溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A13は、アミン価53mgKOH/gであった。
製造例14 アミノ基含有エポキシ樹脂A14の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1000部に、ビスフェノールA 440部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量720になるまで反応させた。
次に、大豆油脂肪酸87部、モノメチルエタノールアミン15部及びジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物401部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A14溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A14は、アミン価156mgKOH/gであった。
製造例15 アミノ基含有エポキシ樹脂A15の製造例
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、グリシエールPP−300Pを162部、jER828ELを1000部、ビスフェノールAを440部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、160℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。次に、ジエチレントリアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物214部及びジエタノールアミン105部を加えて120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して樹脂固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A15溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A15は、アミン価99mgKOH/gであった。
製造例16 アミノ基含有エポキシ樹脂A16の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、ジエタノールアミン200部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A16溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A16は、アミン価56mgKOH/gであった。
製造例17 アミノ基含有エポキシ樹脂A17溶液の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、製造例10で製造した液状キシレンホルムアルデヒド樹脂Pを300部及びN−(アミノエチル)エタノールアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物を335部加え120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A17溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A17は、アミン価86mgKOH/gであった。
製造例18 アミノ基含有エポキシ樹脂A18の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、ジエチルアミン139部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A18溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A18は、アミン価58mgKOH/gであった。
製造例19 アミノ基含有エポキシ樹脂A19の製造例
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、グリシエールPP−300Pを162部、jER828ELを1000部、ビスフェノールAを440部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、160℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。次に、N−(アミノエチル)エタノールアミンとメチルイソブチルケトンとのケチミン化物335部を加えて120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して樹脂固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂A19溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂A19は、アミン価104mgKOH/gであった。
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)の製造
製造例20 硬化剤の製造
反応容器中に、コスモネートM−200(商品名、三井化学社製、クルードMDI)270部及びメチルイソブチルケトン127部を加え70℃に昇温した。この中にエチレングリコールモノブチルエーテル236部を1時間かけて滴下して加え、その後、100℃に昇温し、この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネート基の吸収がなくなったことを確認し、樹脂固形分80%のブロック化ポリイソシアネート硬化剤を得た。
水酸基含有アクリル樹脂(C1)の製造
製造例21 水酸基含有アクリル樹脂C1−1の製造例
容量2リットルの4つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル246部を仕込み、窒素置換後、110℃に保った。この中に、以下に示す混合物を3時間かけて滴下した。
スチレン 160部
n−ブチルメタクリレート 160部
2−エチルヘキシルアクリレート 160部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 320部
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 40部
滴下終了後から1時間経過後、この中に2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)5部をプロピレングリコールモノメチルエーテル56部に溶かした溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに1時間110℃に保持したのち、メチルイソブチルケトンで調整し、固形分70%の水酸基含有アクリル樹脂C1−1溶液を得た。水酸基含有アクリル樹脂溶液C1−1は、水酸基価172mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、数平均分子量10,000、SP値(δC)10.0であった。
製造例22 水酸基含有アクリル樹脂C1−2の製造例
容量2リットルの4つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル246部を仕込み、窒素置換後、110℃に保った。この中に、以下に示す混合物を3時間かけて滴下した。
スチレン 240部
n−ブチルメタクリレート 280部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 200部
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート 80部
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 40部
滴下終了後から1時間経過後、この中に2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)5部をプロピレングリコールモノメチルエーテル56部に溶かした溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに1時間110℃に保持したのち、メチルイソブチルケトンで調整し、固形分70%の水酸基含有アクリル樹脂C1−2溶液を得た。水酸基含有アクリル樹脂C1−2は、水酸基価108mgKOH/g、アミン価35mgKOH/g、数平均分子量10,000、SP値(δC)10.2であった。
製造例23 水酸基含有アクリル樹脂C1−3の製造例
容量2リットルの4つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル246部を仕込み、窒素置換後、110℃に保った。この中に、以下に示す混合物を3時間かけて滴下した。
スチレン 80部
n−ブチルメタクリレート 120部
2−エチルヘキシルアクリレート 400部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 200部
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 40部
滴下終了後から1時間経過後、この中に2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)5部をプロピレングリコールモノメチルエーテル56部に溶かした溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに1時間110℃に保持したのち、メチルイソブチルケトンで調整し、固形分70%の水酸基含有アクリル樹脂C1−3溶液を得た。水酸基含有アクリル樹脂C1−3は、水酸基価108mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、数平均分子量10,000、SP値(δC)9.5であった。
製造例24 水酸基含有アクリル樹脂C1−4の製造例
容量2リットルの4つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル246部を仕込み、窒素置換後、110℃に保った。この中に、以下に示す混合物を3時間かけて滴下した。
スチレン 80部
n−ブチルメタクリレート 120部
2−エチルヘキシルアクリレート 480部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 120部
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 40部
滴下終了後から1時間経過後、この中に2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)5部をプロピレングリコールモノメチルエーテル56部に溶かした溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに1時間110℃に保持したのち、メチルイソブチルケトンで調整し、固形分70%の水酸基含有アクリル樹脂C1−4溶液を得た。水酸基含有アクリル樹脂C1−4は、水酸基価65mgKOH/g、アミン価0mgKOH/g、数平均分子量10,000、SP値(δC)9.3であった。
水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)の製造
製造例25 水酸基含有ポリエステル樹脂C2−1の製造
加熱装置、攪拌機、窒素導入管及び分留塔を有する反応装置に、無水フタル酸335部、ヘキサヒドロフタル酸357部、グリセリン42部、エチレングリコール190部、ネオペンチルグリコール159部を仕込み、乾燥窒素下で加熱を開始し、230℃まで徐々に昇温してエステル化反応を行った。230℃を保持し、樹脂酸価5mgKOH/gとなるまでエステル化反応を行った後、170℃まで冷却し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて、樹脂固形分80質量%の水酸基含有ポリエステル樹脂C2−1溶液を得た。
得られた水酸基含有ポリエステル樹脂C2−1は、酸価5mgKOH/g、水酸基価81mgKOH/g、数平均分子量1,840、油長0質量%、SP値(δC)10.5であった。
製造例26 水酸基含有ポリエステル樹脂C2−2の製造
加熱装置、攪拌機、窒素導入管及び分留塔を有する反応装置に、無水フタル酸335部、ヘキサヒドロフタル酸357部、グリセリン42部、エチレングリコール190部、ネオペンチルグリコール159部を仕込み、乾燥窒素下で加熱を開始し、230℃まで徐々に昇温してエステル化反応を行った。230℃を保持し、樹脂酸価8mgKOH/gとなるまでエステル化反応を行った後、170℃まで冷却し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて、樹脂固形分80質量%の水酸基含有ポリエステル樹脂C2−2溶液を得た。
得られた水酸基含有ポリエステル樹脂C2−2は、酸価8mgKOH/g、水酸基価84mgKOH/g、数平均分子量1,700、油長0質量%、SP値(δC)10.5であった。
製造例27 水酸基含有ポリエステル樹脂C2−3の製造
加熱装置、攪拌機、窒素導入管及び分留塔を有する反応装置に、無水フタル酸538部、大豆油70部、グリセリン75部、トリメチロールプロパン155部、エチレングリコール155部を仕込み、乾燥窒素下で加熱を開始し、230℃まで徐々に昇温してエステル化反応を行った。230℃を保持し、樹脂酸価5mgKOH/gとなるまでエステル化反応を行った後、170℃まで冷却し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて、樹脂固形分80質量%の水酸基含有ポリエステル樹脂C2−3溶液を得た。
得られた水酸基含有ポリエステル樹脂C2−3は、酸価5mgKOH/g、水酸基価156mgKOH/g、数平均分子量1,840、油長8質量%、SP値(δC)10.5であった。
製造例28 水酸基含有ポリエステル樹脂C2−4の製造
加熱装置、攪拌機、窒素導入管及び分留塔を有する反応装置に、アジピン酸117部、無水フタル酸402部、安息香酸146部、グリセリン55部、トリメチロールプロパン109部、3−メチル−1,3−ブタンジオール270部を仕込み、乾燥窒素下で加熱を開始し、230℃まで徐々に昇温してエステル化反応を行った。230℃を保持し、樹脂酸価5mgKOH/gとなるまでエステル化反応を行った後、170℃まで冷却し、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて、樹脂固形分80質量%の水酸基含有ポリエステル樹脂C2−4溶液を得た。
得られた水酸基含有ポリエステル樹脂C2−4は、酸価5mgKOH/g、水酸基価70mgKOH/g、数平均分子量1,760、油長0質量%、SP値(δC)9.9であった。
水酸基含有エポキシ樹脂(C3)の製造
製造例29 水酸基含有エポキシ樹脂C3−1の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、ビスフェノールA 410部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%の水酸基含有エポキシ樹脂C3−1溶液を得た。水酸基含有エポキシ樹脂C3−1は、アミン価0mgKOH/g、数平均分子量2,900、SP値(δC)10.2であった。
製造例30 水酸基含有エポキシ樹脂C3−2の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、1,6−ヘキサンジオール212部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%の水酸基含有エポキシ樹脂C3−2溶液を得た。水酸基含有エポキシ樹脂C3−2は、アミン価0mgKOH/g、数平均分子量2,600、SP値(δC)10.2であった。
製造例31 水酸基含有エポキシ樹脂C3−3の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、カテコール198部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%の水酸基含有エポキシ樹脂C3−3溶液を得た。水酸基含有エポキシ樹脂C3−3は、アミン価0mgKOH/g、数平均分子量2,200、SP値(δC)10.2であった。
製造例32 水酸基含有エポキシ樹脂C3−4の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、50%ホルマリン480部、フェノール110部、98%工業用硫酸202部及びメタキシレン424部を仕込み、84〜88℃で4時間反応させる。反応終了後、静置して樹脂相と硫酸水相とを分離した後、樹脂相を3回水洗し、20〜30mmHg/120〜130℃の条件で20分間未反応メタキシレンをストリッピングして、粘度1050PaS(25℃)のフェノール変性の液状キシレンホルムアルデヒド樹脂480部を得た。
別のフラスコに、jER828EL 1000部、ビスフェノールA 400部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量700になるまで反応させた。次に、液状キシレンホルムアルデヒド樹脂を300部、1,6−ヘキサンジオールを189部加え120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%の水酸基含有エポキシ樹脂C3−4溶液を得た。水酸基含有エポキシ樹脂C3−4は、アミン価0mgKOH/g、数平均分子量2,300、SP値(δC)10.2であった。
製造例33 水酸基含有エポキシ樹脂C3−5の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、グリシエールPP−300P 162部、jER828EL 1000部、ビスフェノールAを440部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、160℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。次に、1,6−ヘキサンジオールを212部加えて120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して樹脂固形分80%の水酸基含有エポキシ樹脂C3−5溶液を得た。水酸基含有エポキシ樹脂C3−5は、アミン価0mgKOH/g、数平均分子量2,500、SP値(δC)10.6であった。
製造例34 水酸基含有エポキシ樹脂C3−6の製造
攪拌機、温度計、窒素導入管および還流冷却器を取りつけたフラスコに、jER828EL 1200部に、ビスフェノールA 500部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量850になるまで反応させた。
次に、大豆油脂肪酸を290部、1,6−ヘキサンジオールを144部加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルで調整して固形分80%の水酸基含有エポキシ樹脂C3−6溶液を得た。水酸基含有エポキシ樹脂C3−6は、アミン価0mgKOH/g、数平均分子量2,400、SP値(δC)10.2であった。
顔料分散ペーストの製造
製造例35 顔料分散ペーストNo.1の製造
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、jER828EL 1010部に、ビスフェノールA 390部、プラクセル212(商品名、ポリカプロラクトンジオール、ダイセル化学工業株式会社、重量平均分子量約1,250)240部及びジメチルベンジルアミン 0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1,090になるまで反応させた。次に、ジメチルエタノールアミン134部及び90%の乳酸水溶液150部を加え、120℃で4時間反応させた。次いで、メチルイソブチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分60%の4級アンモニウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂溶液を得た。
続いて、上記顔料分散用樹脂溶液8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー8.0部、カーボンブラック0.3部、ジオクチル錫オキサイド1部及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
製造例36 顔料分散ペーストNo.2の製造
製造例35で得た顔料分散用樹脂溶液8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー7.0部、カーボンブラック0.3部、ジオクチル錫オキサイド1部、水酸化ビスマス1部及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストNo.2を得た。
製造例37 顔料分散ペーストNo.3の製造
製造例35で得た顔料分散用樹脂溶液8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー7.0部、カーボンブラック0.3部、ジオクチル錫オキサイド1部、酢酸亜鉛1部及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストNo.3を得た。
カチオン電着塗料の製造
実施例1 カチオン電着塗料X1
製造例1で得られたアミノ基含有エポキシ樹脂A1溶液を87.5部(固形分70部)、製造例20で得られたブロック化ポリイソシアネート硬化剤溶液を37.5部(固形分30部)混合し、さらに10%酢酸13部を配合して均一に攪拌した後、強く攪拌しながら脱イオン水を徐々に滴下して固形分34%のエマルションを得た。続いて、該エマルション294部(固形分100部)、製造例35で得た55%の顔料分散ペーストNo.1を52.4部(固形分28.8部)、脱イオン水297.6部を加え、固形分20%のカチオン電着塗料X1を製造した。
実施例2〜32及び比較例1〜5 カチオン電着塗料X2〜X37
下記表1で示される以外は実施例1と同様にして、固形分20%のカチオン電着塗料X2〜X37を製造した。(水酸基含有樹脂を用いる場合は、アミノ基含有エポキシ樹脂及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤と同時に混合してエマルション化を行う。)
また、後述する方法で塗料安定性、仕上がり性、防食性の評価試験を行った。表中に評価結果を示す。3つの評価試験のうち、1つでも不合格(D)の評価結果が出た場合、その塗料は不合格となる。
表中の配合量は全て樹脂固形分の値である。
試験板の作成
化成処理(商品名、パルボンド#3020、日本パーカライジング社製、リン酸亜鉛処理剤)を施した冷延鋼板(150mm(縦)×70mm(横)×0.8mm(厚))を施した冷延鋼板(0.8mm×150mm×70mm)を被塗物として、実施例及び比較例で得た各々のカチオン電着塗料を用いて乾燥膜厚17μmとなるように電着塗装し、170℃で20分間焼付け乾燥して試験板を得た。
評価試験
<塗料安定性>
図1に示す円筒形の密封容器(直径20cm×高さ15cm)に各々のカチオン電着塗料を3500g入れ、30℃の温度で14日間撹拌(幅8cm×高さ3cmの撹拌翼で回転速度700rpm)した。14日後にあらかじめ秤量しておいた400メッシュ金網にて塗料を濾過し、金網を120℃×10分間加熱乾燥させた。この金網を再度秤量し、金網分の質量を差し引いて濾過残渣量を求めた。濾過残渣量はもとの塗料の質量(kg)あたりのmg数で示した。塗料安定性を以下の基準で評価した。濾過残渣量が少ないほど良く、A〜Cが合格であり、Dが不合格である。
Aは、濾過残渣量が、10mg/kg未満、
Bは、濾過残渣量が、10mg/kg以上で、かつ25mg/kg未満、
Cは、濾過残渣量が、25mg/kg以上で、かつ50mg/kg未満、
Dは、濾過残渣量が、50mg/kg以上、を示す。
<仕上がり性>
試験板の塗面をサーフテスト301(商品名、株式会社ミツトヨ製、表面粗度計)を用いて、表面粗度値(Ra)をカットオフ0.8mmにて測定し、以下の基準で評価した。評価は、A〜Cが合格であり、Dが不合格である。
A:表面粗度値(Ra)が0.2未満、
B:表面粗度値(Ra)が0.2以上でかつ0.25未満、
C:表面粗度値(Ra)が0.25以上でかつ0.3未満、
D:表面粗度値(Ra)が0.3以上、を示す。
<防食性>
試験板の素地に達するように塗膜にカッターナイフでクロスカット傷を入れ、これをJISZ−2371に準じて、35℃ソルトスプレー試験を840時間行い、カット部からの片側での錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
評価は、S〜Cが合格であり、Dが不合格である。
Sは、錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で2.0mm以下、
Aは、錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で2.0mmを超え、かつ2.5mm以下、
Bは、錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で2.5mmを超え、かつ3.0mm以下、
Cは、錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で3.0mmを超え、かつ3.5mm以下、
Dは、錆及びフクレの最大幅がカット部より片側で3.5mmを超える。

Claims (12)

  1. 少なくとも1種の下記式(1)で表されるアミン化合物(a1−1)を含有するアミン化合物(a1)をエポキシ樹脂(a)と反応させたアミノ基含有エポキシ樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)を含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物。
    −NH−R−OH ・・・式(1)
    (式中、R及びRは、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、それぞれ異なっていても同じでも良い。)
  2. が炭素数3〜4の直鎖状又は分岐状の炭化水素基である、請求項1に記載のカチオン電着塗料組成物。
  3. が炭素数3の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、かつRが炭素数3〜4の直鎖状又は分岐状の炭化水素基である、請求項1又は2に記載のカチオン電着塗料組成物。
  4. アミン化合物(a1)が、アミン化合物(a1−1)に加えて、さらに下記式(2)で表されるアミン化合物(a1−2)又はそのケチミン化物とを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
    −R−NH−R−X ・・・式(2)
    (式中、R及びRは、炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、それぞれ異なっていても同じでも良い。X及びXは、水酸基及び/又はアミノ基であり、それぞれ異なっていても同じでも良い。ただし、X及びXがアミノ基の場合は、R及びRの少なくとも一方が炭素数1〜2の炭化水素基である。)
  5. アミノ基含有エポキシ樹脂(A)が、キシレンホルムアルデヒド樹脂、ポリアルキレングリコール化合物、脂肪酸、アルキレングリコール、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネート化合物、ラクトン化合物及びカテコール化合物から選ばれる少なくとも1種の変性剤により変性されてなるアミノ基含有変性エポキシ樹脂(A1)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
  6. カチオン電着塗料組成物が、さらに水酸基含有樹脂(C)を含有し、成分(A)、(B)及び(C)の樹脂固形分合計質量を基準にして、成分(A)を40〜85質量%、成分(B)を10〜40質量%、成分(C)を5〜50質量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
  7. 水酸基含有樹脂(C)が、水酸基含有アクリル樹脂(C1)、水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)、及びアミノ基を含有しない水酸基含有エポキシ樹脂(C3)から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載のカチオン電着塗料組成物。
  8. アミノ基含有エポキシ樹脂(A)の溶解性パラメーターδAと水酸基含有樹脂(C)の溶解性パラメーターδCが、|δA−δC|<1.3の関係であることを特徴とする請求項6又は7に記載のカチオン電着塗料組成物。
  9. アミノ基含有エポキシ樹脂(A)のアミン価が、樹脂固形分を基準として50mgKOH/g以上であり、成分(A)、(B)及び(C)を合計したアミン価が、樹脂固形分を基準として20〜100mgKOH/gの範囲内であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
  10. カチオン電着塗料組成物が、少なくとも1種の金属化合物(D)を、樹脂固形分の合計質量を基準にして、0.01〜10.0質量%含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
  11. 請求項10に記載の金属化合物(D)が、ビスマス化合物及び/又は亜鉛化合物であることを特徴とするカチオン電着塗料組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物を電着塗料浴として、これに合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を含む金属被塗物を浸漬し、電着塗装して得られる塗装物品。
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