JP6026909B2 - カチオン電着塗料組成物 - Google Patents
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示されている(特許文献2)。
「1.アミノ基含有エポキシ樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)、下記特徴を有する重合体(C)を含有するカチオン電着塗料組成物であって、
(A)成分と(B)成分の固形分合計100質量部を基準にして、該重合体(C)を0.03〜5.0質量部含有するカチオン電着塗料組成物。
重合体(C):4−ビニルフェノールの重合体又は共重合体(c11)、ホルムアルデヒド(c12)及び少なくとも一つの活性水素を有する塩基性化合物(c13)を含む混合物をマンニッヒ反応させることによって得られた一般式(1)で表わされる構造式を含む重合体(C1)であって、かつ下記の(i)又は(ii)の条件を満たす重合体、
(i)ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)≧塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c13m)/共重合体(c11)に含まれるフェノール核のモル数(c11m)]=0.35〜1.45
(ii)ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)<塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c12m)/モル数(c11m)]=0.35〜1.45
又は、フェノール樹脂(c21)、ホルムアルデヒド(c12)及び少なくとも一つの活性水素を有する塩基性化合物(c13)を含む混合物をマンニッヒ反応させることによって得られた一般式(2)で表わされる構造式を含む重合体(C2)であって、かつ下記の(iii)又は(iV)の条件を満たす重合体、
(iii) ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)≧塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c13m)/フェノール樹脂(c21)に含まれるフェノール核のモル数(c21m)]=0.35〜1.45
(iV) ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)<塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c12m)/モル数(c21m)]=0.35〜1.45
(一般式(1)における、R1〜R3は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Xは同一又は相異なってもよくかつ少なくとも1種類の一般式(3)で表わされるZを含ものであって、水素原子、メチル基及び該Zから選ばれる有機基を示し、mは1〜400の整数を表す)
(一般式(2)における、R4〜R5は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Yは同一又は相異なってもよくかつ少なくとも一般式(3)で表わされるZを含み、水素原子、メチル基及びZから選ばれる有機基を示し、nは1〜400の整数を表す)
Z:下記一般式(3)で表わされる有機基
(一般式(3)における、R6は水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表す。R7及びR8は、同一又は相異なってもよい、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基、ケチミン化されていてもよい炭素数2〜6のアミノアルキル基、炭素数2〜6のジメチルアミノアルキル基、フェニル基、ベンジル基、複素環を有する有機基を表す。R7とR8は、互いに結合して複素環を形成していてもよい)
2.塩基性化合物(c13)が、モノメチルエタノールアミンである1項に記載のカチオン電着塗料組成物、
3.重合体(C)におけるアミン価が、120〜470mgKOH/gである1項又は2に記載のカチオン電着塗料組成物、
4.重合体(C)におけるフェノール性水酸基価が、190〜400mgKOH/gである1〜3項のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物、
5.1〜4項のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物の電着塗料浴中に、金属被塗物を浸漬し電着塗装して得られた塗装物品」に関する。
本発明に用いるアミノ基含有エポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(a1)、アミン化合物(a2)、及び必要に応じて変性剤を配合し、これらを反応させて得られる樹脂である。
上記のアミノ基含有エポキシ樹脂(A)の製造に使用されるエポキシ樹脂(a1)は、1分子中にエポキシ基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物であり、その数平均分子量は400〜4,000、好ましくは800〜2,500の範囲内、エポキシ当量は180〜2,500、好ましくは400〜1,500の範囲を有するものが適しており、特に、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応によって得られるものが好ましい。
また、ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂(a1)としては、中でも、ビスフェノールAから誘導される下記式の樹脂が好適である。
かかるエポキシ樹脂(a1)の市販品としては、例えば、三菱化学(株)から、jER828EL、jER1002、jER1004、jER1007なる商品名で販売されているものが挙げられる。
上記のアミノ基含有エポキシ樹脂(A)の製造に使用されるアミン化合物(a2)としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミンなどのモノ−もしくはジ−アルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノール、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、3−メチルアミン−1,2−プロパンジオール、3−tert−ブチルアミノ−1,2−プロパンジオール、N−メチルグルカミン、N−オクチルグルカミンなどのアルカノールアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ビス(4−アミノブチル)アミン、トリエチレンテトラミンなどのアルキレンポリアミン;3−ピロリジノール、3−ピぺリジノール、4−ピロリジノールなどの複素環を有するポリアミン;モノエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ビス(4−アミノブチル)アミン、トリエチレンテトラミン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、1,2,3−プロパントリアミン、シクロヘキサン−1,3,5−トリアミン、及びこれらのアミン化合物とケトン化合物とを反応せしめたケチミン化アミン化合物などを挙げることができ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようにして得られたアミノ基含有エポキシ樹脂(A)のアミン価は、5〜80mgKOH/g樹脂固形分、好ましくは10〜65mgKOH/g樹脂固形分、数平均分子量は1,500〜5,000、好ましくは2,000〜4,000とすることが、防食性の点から好ましい。
ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)は、ポリイソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応による生成物である。ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)で使用されるポリイソシアネート化合物としては、公知のものを使用することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI[ポリメチレンポリフェニルイソシアネート]、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の環化重合体又はビゥレット体;又はこれらの組合せが挙げられる。
特に、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI等の芳香族ポリイソシアネート化合物が、防食性の為により好ましい。
重合体(C)は、4−ビニルフェノールの重合体又は共重合体(c11)、ホルムアルデヒド(c12)及び少なくとも一つの活性水素を有する塩基性化合物(c13)を含む混合物をマンニッヒ反応させることによって得られた一般式(1)で表わされる構造式を含む重合体(C1)であって、かつ下記の(iii)又は(iV)の条件を満たす重合体、
(iii)ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)≧塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c13m)/共重合体(c11)に含まれるフェノール核のモル数(c11m)]=0.35〜1.45、好ましくは0.6〜1.2
(iV)ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)<塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c12m)/共重合体(c11)に含まれるフェノール核のモル数(c11m)]=0.35〜1.45、好ましくは0.6〜1.2
重合体(C1)の製造におけるモル比が、上記範囲内であることによって、電着塗装時のつきまわり性を損なうことなく、防食性向上を図ることができる。上記範囲を外れると、電着塗装時のつきまわり性、防食性のいずれかを損なうことがある。
(一般式(1)における、R1〜R3は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Xは同一又は相異なってもよくかつ少なくとも1種類の一般式(3)で表わされるZを含むものであって、水素原子、メチル基及び該Zから選ばれる有機基を示し、mは1〜400の整数を表す)
また、重合体(C)は、フェノール樹脂(c21)、ホルムアルデヒド(c12)及び少なくとも一つの活性水素を有する塩基性化合物(c13)を含む混合物をマンニッヒ反応させることによって得られた一般式(2)で表わされる構造式を含む重合体(C2)であって、かつ下記の(iii)又は(iV)の条件を満たす重合体、
(iii) ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)≧塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c13m)/フェノール樹脂(c21)に含まれるフェノール核のモル数(c21m)]=0.35〜1.45、好ましくは0.6〜1.2
(iV) ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)<塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c12m)/フェノール樹脂(c21)に含まれるフェノール核のモル数(c21m)]=0.35〜1.45、好ましくは0.6〜1.2
重合体(C2)の製造におけるモル比が、上記範囲内であることによって、電着塗装時のつきまわり性を損なうことなく、防食性向上を図ることができる。上記範囲を外れると、電着塗装時のつきまわり性、防食性のいずれかを損なうことがある。
(一般式(2)における、R4〜R5は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Yは同一又は相異なってもよくかつ少なくとも一般式(3)で表わされるZを含み、水素原子、メチル基及びZから選ばれる有機基を示し、nは1〜400の整数を表す)
Z:下記一般式(3)で表わされる有機基
(一般式(3)における、R6は水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表す。R7及びR8は、同一又は相異なってもよい、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基、ケチミン化されていてもよい炭素数2〜6のアミノアルキル基、炭素数2〜6のジメチルアミノアルキル基、フェニル基、ベンジル基、複素環を有する有機基を表す。R7とR8は、互いに結合して複素環を形成していてもよい)。
重合体(C1):
重合体(C1)は、4−ビニルフェノールの重合体又は共重合体(c11)、ホルムアルデヒド(c12)及び少なくとも一つの活性水素を有する塩基性化合物(c13)を含む混合物をマンニッヒ反応させることによって得ることができる。また、ホルムアルデヒド(c12)は、パラホルムアルデヒドを用いてもよい。
前記4−ビニルフェノールの重合体又は共重合体(c11)は、4−ビニルフェノール、4−(1−メチルエテニル)フェノール、4−(2−メチルプロペニル)フェノール及び2,6−ジメチル−4−ビニルフェノールから選らばれる化合物を重合して得ることができる。
このようにして得られる重合体(C1)は、アミン価は120〜470mgKOH/g、好ましくは200〜310mgKOH/g、フェノール性水酸基価は190〜400mgKOH/g、好ましくは230〜320mgKOH/gの範囲であることが、防食性向上ために望ましい。
重合体(C2)は、フェノール樹脂(c21)、ホルムアルデヒド(c12)及び少なくとも一つの活性水素を有する塩基性化合物(c13)を混合し、マンニッヒ反応によって得ることができる。また、ホルムアルデヒド(c12)は、パラホルムアルデヒドを用いてもよい。
なおフェノール樹脂(c21)の市販品は、ショウノールBRG−555、ショウノールBRG−556、ショウノールBRG−558、ショウノールCKM−923、ショウノールCKM−983、ショウノールBKM−2620、ショウノールBRL−2854、ショウノールBRG−5590M、ショウノールCKS−3898、ショウノールCKS−3877A、ショウノールCKM−937、ショウノールCKM−2400(以上、昭和高分子社製、商品名)、フェノライトTD2131(DIC社製、商品名)が挙げられる。
重合体(C2)の製造は、フェノール樹脂(c21)、ホルムアルデヒド(c12)及び少なくとも一つの活性水素を有する塩基性化合物(c13)を混合し、反応温度40〜200℃、好ましくは60〜180℃、反応時間1〜10時間、好ましくは1〜8時間反応させることによって得ることができる。
このようにして得られる重合体(C2)は、アミン価は120〜470mgKOH/g、好ましくは200〜310mgKOH/g、フェノール性水酸基価は190〜400mgKOH/g、好ましくは230〜320mgKOH/gの範囲であることが、防食性向上ために望ましい。
本発明のカチオン電着塗料組成物におけるアミノ基含有エポキシ樹脂(A)、及びブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)の配合割合は、上記成分(A)及び成分(B)の固形分合計質量を基準にして、成分(A)を55〜80質量%、好ましくは60〜75質量%、成分(B)を20〜45質量%、好ましくは25〜40質量%の範囲内であることが、塗料安定性の為にも好ましい。
なお調合樹脂の中和には、一般的には、公知の有機カルボン酸を用いることができるが、中でも酢酸、ギ酸、乳酸又はこれらの混合物が好適である。次いで前記エマルションに顔料分散ペースト及び水を加えることによって、カチオン電着塗料組成物を製造することができる。
上記顔料類には、特に制限なく使用でき、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着色顔料;クレー、マイカ、バリタ、炭酸カルシウム、シリカなどの体質顔料;リンモリブデン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、酸化亜鉛(亜鉛華)等の防錆顔料;を添加することができる。
このようにして得られたカチオン電着塗料組成物の被塗物は、自動車ボディ、2輪車部品、家庭用機器、その他の機器等が挙げられる。被塗物基材としては、冷延鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−鉄二層めっき鋼板、有機複合めっき鋼板、Al素材、Mg素材等が挙げられ、該基材に、リン酸塩化成処理、クロメート処理等の表面処理を行ったものが、防食性に優れる塗装物品を得る為にも好ましい。
カチオン電着塗料組成物を塗装して得られる電着塗膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、一般的には、乾燥塗膜に基づいて5〜40μm、好ましくは10〜30μmの範囲内である。また、塗膜の焼き付け乾燥は、電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥機などの乾燥設備を用いて、塗装物表面の温度で110℃〜200℃、好ましくは140〜180℃にて、10分間〜180分間、好ましくは20分間〜60分間加熱して行う。上記焼付け乾燥により硬化塗膜を得ることができる。
合成例1 変性剤No.1の合成
フラスコ内に、50%ホルマリン600部、フェノール137.5部、98%工業用硫酸252.5部、及びメタキシレン530部を仕込み、84〜88℃で4時間反応させた。反応終了後、静置して樹脂相と硫酸水相とを分離した後、樹脂相を3回水洗し、変性剤No.1を得た。
フラスコ内に、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸296部、ε−カプロラクトン650部を加え、120℃で溶解させた後、テトラブトキシチタン0.05部加えて170℃に昇温した。この温度を保ちながら経時でサンプリングして赤外吸収スペクトルを測定することによって未反応のε−カプロラクトン量を追跡し、反応率が98%以上になった時点で冷却し、変性剤No.2を得た。
フラスコに、jER828EL(注1)2,000部、ビスフェノールA 800部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量750になるまで反応させた。次に、この反応物に合成例1にて得た変性剤No.1を600部、ジエチレントリアミンのケチミン化物を454部加え120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテルを964部加え、固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂No.1溶液を得た。
アミノ基含有エポキシ樹脂No.1溶液の樹脂固形分は、数平均分子量3,800、アミン価53.4mgKOH/gであった。
(注1)jER828EL:三菱化学社製、商品名、エポキシ樹脂 、エポキ
シ当量190、数平均分子量350。
フラスコに、jER828EL(注1)2,000部、ビスフェノールA 800部、ジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が750になるまで反応させた。次に、この反応物に合成例2にて得た変性剤No.2を400部、ジエチレントリアミンのケチミン化物374部を加え、120℃にて4時間反応させて、エチレングリコールモノブチルエーテルを894部加え、固形分80%のアミノ基含有エポキシ樹脂No.2溶液を得た。アミノ基含有エポキシ樹脂No.2溶液の樹脂固形分は、数平均分子量3,500、アミン価47.0mgKOH/gであった。
製造例3 硬化剤の製造例
反応容器中に、コスモネートM−200(商品名、三井化学社製、クルード
MDI)270部、及びメチルイソブチルケトン127部を加え70℃に昇温
した。この中にエチレングリコールモノブチルエーテル236部を1時間かけ
て滴下して加え、その後、100℃に昇温した。この温度を保ちながら経時で
サンプリングして赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネート基の
吸収がなくなったことを確認し、樹脂固形分80%の硬化剤を得た。
製造例4 重合体c−1溶液の製造
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取付けたフラスコに、マルカリンカーM S−1(注2)48.0部(0.4モル(注))、モノメチルエタノールアミン21.0部(0.28モル)、プロピレングリコールモノメチルエーテル88.2部を加えて90℃に昇温し、ポリ−4−ビニルフェノールを溶解させた。
この溶液を60℃まで冷却し、37%のホルマリン24.3部(固形分9.0部(0.30モル))を30分掛けて加えた後、90℃に昇温し、90℃で8時間反応させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテル88.2部を加えて樹脂固形分を25%に調整して重合体c−1溶液を得た。
なお得られた重合体c−1溶液は、1H−NMRを測定して、マンニッヒ反応により生成したメチレン基のピーク(3.8ppm)を確認できた。
(注)水酸基当量から計算した樹脂中のフェノール核のモル数
なお、[塩基性化合物(c13)の活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)/共重合体(c11)のフェノール核のモル数(c11m)]=0.28/0.40=0.70であった。
表1に示す配合内容とする以外は、製造例4と同様にして、重合体c−2溶液〜c−11溶液を得た。
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取付けたフラスコに、マルカリンカーM S−2(丸善石油化学社製、商品名、ポリ−4−ビニルフェノール)48.0部(0.40モル(注))、エチレンジアミン50.4部(0.84モル)、プロピレングリコールモノメチルエーテル49.3部を加えて90℃に昇温し、ポリ−4−ビニルフェノールを溶解させた。
この溶液を60℃まで冷却し、次いで、37%のホルマリン22.7部(固形分8.4部(0.28モル))を30分間かけて加えた後、90℃に昇温してこの温度を保持したまま8時間反応させた。次に10mmHg減圧下で120℃にて未反応のエチレンジアミンを除去した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加えて樹脂固形分を25%に調整して重合体c−12溶液を得た。
なお、[ホルムアルデヒドのモル数(c12m)/フェノール樹脂(c21)のフェノール核のモル数(c21m)]=0.28/0.40=0.70であった。
なお得られた重合体c−12溶液は、1H−NMRを測定して、マンニッヒ反応により生成したメチレン基のピーク(3.8ppm)を確認できた。
表1に示す配合内容とする以外は、製造例4と同様にして、重合体c−13溶液〜c−14溶液を得た。
表1に示す配合内容とする以外は、製造例4と同様にして、重合体c−15溶液〜c−17溶液を得た。
(注3)マルカリンカーM S−2:丸善石油化学株式会社、商品名、4−ビニルフェノールの重合体又は共重合体、重量平均分子量5,000、水酸基当量120g/eq
(注4)マルカリンカーM S−4:丸善石油化学株式会社、商品名、4−ビニルフェノールの重合体又は共重合体、重量平均分子量10,000、水酸基当量120g/eq
(注5)マルカリンカーCMM:丸善石油化学株式会社、商品名、4−ビニルフェノールとメタクリル酸メチルの共重合物、重量平均分子量10,000、水酸基当量220g/eq
(注6)マルカリンカーCST:丸善石油化学株式会社、商品名、4−ビニルフェノールとスチレンの共重合物、重量平均分子量4,000、水酸基当量224g/eq
(注7)フェノライトTD2131:DIC株式会社、商品名、ノボラック型フェノール樹脂、水酸基当量104g/eq。
製造例18 エマルションNo.1の製造例
製造例1で得られたアミノ基変性エポキシ樹脂No.1溶液を87.5部(固形分70部)、製造例3で得られた硬化剤37.5部(固形分30部)を混合し、さらに10%酢酸13部を配合して均一に攪拌した後、脱イオン水156部を強く攪拌しながら約15分間を要して滴下して、固形分34%のエマルションNo.1を得た。
製造例1で得られたアミノ基変性エポキシ樹脂No.2溶液を87.5部(固形分70部)、製造例3で得られた硬化剤37.5部(固形分30部)を混合し、さらに10%酢酸13部を配合して均一に攪拌した後、脱イオン水156部を強く攪拌しながら約15分間を要して滴下して、固形分34%のエマルションNo.2を得た。
撹拌機、温度計、滴下ロートおよび還流冷却器を取り付けたフラスコに、ノニルフェノール450部、CNE195LB(注8)960部を仕込み、混合撹拌しながら徐々に加熱し、160℃で反応させる。その後、ε−カプロラクトン430部を仕込み、170℃に昇温して反応させた。さらに、ジエタノールアミン105部、及びN−メチルエタノールアミン124部を反応させ、エポキシ価が0になったことを確認して、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えて固形分を調整し、固形分60%の顔料分散樹脂溶液を得た。この顔料分散樹脂溶液の樹脂固形分は、アミン価が70mgKOH/g、数平均分子量が2,200であった。
(注8)CNE195LB:長春ジャパン株式会社製、商品名、クレゾール型ノボラックエポキシ樹脂。
製造例20で得た固形分60%の顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー7.0部、カーボンブラック0.3部、ジオクチル錫オキサイド1部、水酸化ビスマス1部及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストを得た。
実施例1 カチオン電着塗料No.1の製造例
製造例18で得たエマルションNo.1を294部(固形分100部)、製造例21で得た55%の顔料分散ペーストを52.4部(固形分28.8部)、脱イオン水297.6部を加え、次いで、製造例4で得られた重合体c−1溶液を0.24部(固形分0.06部)配合し、カチオン電着塗料No.1とした。
実施例1と同様にして、表2及び表3(表2のつづき)で示されるような配合内容にて、カチオン電着塗料No.2〜No.20を製造した。併せて、試験結果を示す。
実施例1と同様にして、表4で示されるような配合内容にて、カチオン電着塗料No.21〜No.31を製造した。併せて、試験結果を示す。
化成処理(パルボンド#3020;日本パーカライジング社製、商品名、リン酸亜鉛処理剤)を施した冷延鋼板(150mm(縦)×70mm(横)×0.8mm(厚))を被塗物として、実施例及び比較例で得た各々のカチオン電着塗料を用いて、電着塗装を行った。
直径8mmの穴を空け、4枚の鋼板を2cm間隔で設置した「4枚ボックス法つきまわり性試験の治具」(図1参照)を、図2のように配線した。図2の4枚の鋼板のうち、最も左側の鋼板に向かって左側の面を「A面」、向かって右側の面を「B面」とする。同様に、左から2番目の鋼板左右の面を、それぞれ、「C面」及び「D面」、左から3番目の鋼板左右の面を、それぞれ、「E面」及び「F面」、そして最も右側の鋼板左右の面が、それぞれ、「G面」と「H面」となる。この中で、A面が「外板」であり、G面が「内板」となる。
図2の装置において、塗装浴温30℃、A面と電極との極間距離10cm、通電時間3分間にて、外板乾燥膜厚15μmとなる電圧にて電着塗装した。つきまわり性は、外板乾燥膜厚、内板乾燥膜厚及びつきまわり性(%)(=内板乾燥膜厚/外板乾燥膜厚×100)で評価した。
[評価]について
A:G面(膜厚)/A面(膜厚)=70%以上で、つきまわり性が優れている。
B:G面(膜厚)/A面(膜厚)=65%以上でかつ70%未満で、つきまわり性が良好である。
C:G面(膜厚)/A面(膜厚)=60%以上でかつ65%未満で、ややつきまわり性が劣る。
D:G面(膜厚)/A面(膜厚)=60%未満で、つきまわり性が劣る。
乾燥膜厚15μmとなるように電着塗装し、170℃20分間焼付け乾燥して試験板を得た。この試験板の素地に達するように塗膜にカッターナイフでクロスカット傷を入れ、これをJIS Z−2371に準じて、35℃ソルトスプレー試験を840時間(35日間)行い、カット部からの傷、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
◎は、錆、フクレの最大幅がカット部
より2.0mm以下(片側)
○は、錆、フクレの最大幅がカット部より2.0を超え、かつ3.0mm以下(片側)
△は、錆、フクレの最大幅がカット部より3.0mmを超え、かつ3.5mm以下(片側)
×は、錆、フクレの最大幅がカット部より3.5mmを超える。
試験板を、50℃の5質量%の塩水に480時間浸漬し、セロテープ(登録商標)剥離試験を行って剥がれた割合(%)を評価した;
◎は、剥がれた割合(%)が5%未満、
〇は、剥がれた割合(%)が5%以上、10%未満、
△は、剥がれた割合(%)が10%以上、20%未満、
×は、剥がれた割合(%)が20%以上、を表す。
各々のカチオン電着塗料を、35℃にて30日間容器を密閉して攪拌(700rpm、直径3cm羽根)した。その後、各カチオン電着塗料を400メッシュ濾過網にて全量濾過し、残さ量(mg/L)を測定し、カチオン電着塗料の水分散性の判断基準とした。
◎は、10mg/L未満、
○は、10mg/L以上で、かつ20mg/L未満
△は、20mg/L以上で、かつ30mg/L未満
×は、30mg/L以上、を示す。
2.4枚ボックス法のつきまわり性試験用治具における外板(A面)を示す。
3.4枚ボックス法のつきまわり性試験用治具における内板(G面)を示す。
4.電着塗料浴を示す。
Claims (5)
- アミノ基含有エポキシ樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート硬化剤(B)、下記特徴を有する重合体(C)を含有するカチオン電着塗料組成物であって、
(A)成分と(B)成分の固形分合計100質量部を基準にして、該重合体(C)を0.03〜5.0質量部含有するカチオン電着塗料組成物。
重合体(C):4−ビニルフェノールの重合体又は共重合体(c11)、ホルムアルデヒド(c12)及び少なくとも一つの活性水素を有する塩基性化合物(c13)を含む混合物をマンニッヒ反応させることによって得られた一般式(1)で表わされる構造式を含む重合体(C1)であって、かつ下記の(i)又は(ii)の条件を満たす重合体、
(i)ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)≧塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c13m)/共重合体(c11)に含まれるフェノール核のモル数(c11m)]=0.35〜1.45
(ii)ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)<塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c12m)/モル数(c11m)]=0.35〜1.45
又は、フェノール樹脂(c21)、ホルムアルデヒド(c12)及び少なくとも一つの活性水素を有する塩基性化合物(c13)を含む混合物をマンニッヒ反応させることによって得られた一般式(2)で表わされる構造式を含む重合体(C2)であって、かつ下記の(iii)又は(iV)の条件を満たす重合体、
(iii) ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)≧塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c13m)/フェノール樹脂(c21)に含まれるフェノール核のモル数(c21m)]=0.35〜1.45
(iV) ホルムアルデヒド(c12)のモル数(c12m)<塩基性化合物(c13)に含まれる活性水素原子を有するアミノ基のモル数(c13m)の場合、
[モル数(c12m)/モル数(c21m)]=0.35〜1.45
(一般式(1)における、R1〜R3は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Xは同一又は相異なってもよくかつ少なくとも1種類の一般式(3)で表わされるZを含むものであって、水素原子、メチル基及び該Zから選ばれる有機基を示し、mは1〜400の整数を表す)
(一般式(2)における、R4〜R5は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Yは同一又は相異なってもよくかつ少なくとも一般式(3)で表わされるZを含み、水素原子、メチル基及びZから選ばれる有機基を示し、nは1〜400の整数を表す)
Z:下記一般式(3)で表わされる有機基
(一般式(3)における、R6は水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表す。R7及びR8は、同一又は相異なってもよい、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜6のヒドロキシアルキル基、ケチミン化されていてもよい炭素数2〜6のアミノアルキル基、炭素数2〜6のジメチルアミノアルキル基、フェニル基、ベンジル基、複素環を有する有機基を表す。R7とR8は、互いに結合して複素環を形成していてもよい) - 塩基性化合物(c13)が、モノメチルエタノールアミンである請求項1に記載のカチオン電着塗料組成物。
- 重合体(C)におけるアミン価が、120〜470mgKOH/gである請求項1又は2に記載のカチオン電着塗料組成物。
- 重合体(C)におけるフェノール性水酸基価が、190〜400mgKOH/gである請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物の電着塗料浴中に、金属被塗物を浸漬し電着塗装して得られた塗装物品の製造方法。
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