JP5342135B2 - カチオン電着塗料組成物及び当該電着塗料を用いて塗装した物品 - Google Patents
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従来、ブロック化ポリイソシアネートとしては、芳香族イソシアヌレート環とブロックされた3つ以上のイソシアネート基とを有し、かつ上記ブロック化イソシアネート基の少なくとも1つが、グリコールエーテルによりブロックされているものが開示されている(特許文献1)。
具体的には、電着塗膜の析出開始が早く、かつ塗膜の融着性が良好なため高電圧を印加することが可能となるので「つきまわり性」が向上する。さらに、塗膜の融着性及び被塗物への密着性が良好となるので、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の電着塗装時に発生するスパークにも耐え得る丈夫な析出膜を形成することができ、「合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の電着塗装適性」に優れ、かつ仕上り性や防食性が良好な塗装物品を得ることができる。
カチオン性樹脂(A)は、分子中にアミノ基、アンモニウム塩基、スルホニウム塩基、ホスホニウム塩基などのカチオン化可能な基を有する樹脂であり、樹脂種としては通常使用されているもの、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。特に、エポキシ樹脂にアミノ基含有化合物を付加反応させて得られるアミン付加エポキシ樹脂が、防食性と合金化溶融メッキ鋼板上の電着塗装適性との両立の観点から好適である。
(1)エポキシ樹脂に、第1級モノ−及びポリアミン、第2級モノ−及びポリアミン又は第1、2級混合ポリアミンを付加物させたもの(例えば、米国特許第3,984,299号明細書参照);
(2)エポキシ樹脂に、ケチミン化された第1級アミノ基を有する第2級モノ−及びポリアミンとの付加物(例えば、米国特許第4,017,438号明細書参照);
(3)エポキシ樹脂とケチミン化された第1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物とのエーテル化により得られる反応物(例えば、特開昭59−43013号公報参照);
等を挙げることができる。
上記エポキシ樹脂の形成のために用いられるポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン[水添ビスフェノールA]、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−2−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどを挙げることができる。
上記エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)
からjER828EL、jER1002、jER1004、jER1007(いずれも商品名)の下で販売されるものが挙げられる。
キシレンホルムアルデヒド樹脂は、エポキシ樹脂の内部可塑化(変性)に役立つものであり、例えば、キシレン及びホルムアルデヒド類並びにフェノール類を、酸性触媒の存在下で縮合反応させることにより製造することができる。
すなわち、エポキシ樹脂は、一般に50〜90質量%、好ましくは50〜85質量%;キシレンホルムアルデヒド樹脂は、一般に5〜45質量%、好ましくは6〜43質量%;アミノ基含有化合物は、一般に5〜25質量%、好ましくは6〜20質量%の範囲内で用いることが好ましい。
本発明のカチオン電着塗料組成物は、架橋剤として、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物(b1)に付加物(b2)とブロック剤(b3)とを反応させて得られるブロック化ポリイソシアネート(B)を含有することが、つきまわり性、合金化溶融メッキ鋼板上の電着塗装適性、仕上り性及び防食性の面から好ましい。
ブロック化ポリイソシアネート(B)で使用されるポリイソシアネート化合物(b1)としては、公知のものを使用することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI(「ポリメチレンポリフェニルイソシアネート」)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート化合物;これらのポリイソシアネート化合物の環化重合体又はビゥレット体;又はこれらは、それぞれ単独又は2種以上組合わせを挙げることができる。
特に、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、クルードMDI等の芳香族ポリイソシアネート化合物が、防食性の観点から特に好適である。
ブロック化ポリイソシアネート(B)で使用される付加物(b2)としては、炭素数8以上のモノカルボン酸(b21)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(b22)とを反応させてなる付加物である。
なお付加物(b2)は、エポキシ樹脂(b22)にモノカルボン酸(b21)が1個付加していても、エポキシ樹脂(b22)にモノカルボン酸(b21)が2個以上付加していてもよい。
炭素数8個以上のモノカルボン酸(b21)としては、炭化水素鎖の末端にカルボキシル基が結合した構造を有しているものが挙げられ、具体的には芳香族モノカルボン酸、飽和ないし不飽和脂肪族モノカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸を挙げることができる。
芳香族モノカルボン酸は、例えば、メチル安息香酸、エチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸などが挙げられる。
1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(b22):
1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(b22)としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物が好適であり、中でも700以下のエポキシ当量を有するものが適しており、特に、ポリフェノール化合物とエピハロヒドリンとの反応によって得られるものが好ましい。
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−2もしくは3−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどを挙げることができる。
当該エポキシ樹脂は、ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカルボン酸などと部分的に反応させたものであってもよく、さらにまた、ε−カプロラクトンなどのラクトン類、アクリルモノマーなどをグラフト重合させたものであってもよい。
なお本発明のカチオン電着塗料組成物は、ブロック化ポリイソシアネート(B)中に、前記付加物(b2)を含有することによって、電着塗膜の析出開始が早くなり、さらに塗膜の融着性及び被塗物への密着性が良好となる。
ブロック剤(b3)は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックするものであること、及び付加によって生成するブロックポリイソシアネート化合物は常温においては安定であるが、塗膜の焼付け温度(通常約100〜約200℃)に加熱した際、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基を再生しうるものであることが望ましい。
(式中、n個の繰り返し単位中のR1は、それぞれ、同一又は相異なってもよく、
炭素数2〜4の直鎖又は分枝鎖状のアルキレン基であり、R2は炭素数1〜15のアルキル基であり、そしてnは1〜4の整数を表す)
なお、ブロック化ポリイソシアネート(B)を製造する場合には、最初に、ポリイソシアネート化合物(b1)に付加物(b2)と反応させて、次にブロック剤(b3)を反応させることが、カチオン電着塗料のつきまわり性向上の観点から好ましい。
[前記付加物(b2)の活性水素基+前記ブロック剤(b3)の活性水素基]/[前記ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基]の当量比は、1.0〜1.5、好ましくは1.0〜1.3であることが、特に、得られるカチオン電着塗料のつきまわり性及び防食性の観点から好ましい。
また、ブロック化ポリイソシアネート(B)中の付加物(b2)の含有量は、ポリイソシアネート化合物(b1)、付加物(b2)及びブロック剤(b3)の合計質量部を基準にして、2〜50質量%、好ましくは3〜45質量%、さらに4〜40質量%であることが、特に、つきまわり性、仕上り性と防食性の観点から好ましい。
ブロック化ポリイソシアネート(B)に加えて、その他のブロック化ポリイソシアネート化合物を併用することも可能である。
その他のブロック化ポリイソシアネート化合物に用いるポリイソシアネート化合物及びブロック剤としては、上述のポリイソシアネート化合物(b1)及びブロック剤(b3)を用いることができる。
本発明のカチオン電着塗料において、カチオン性樹脂(A)及びブロック化ポリイソシアネート(B)の固形分合計に対して、下記式(2)で示される芳香族カルボン酸のアルキル錫エステル化合物の少なくとも1種を、0〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%含有することが、仕上り性及び防食性を両立の観点から好ましい。
(式中、R3は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R4は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、mは1〜3の整数である。)
式(2)で表される芳香族カルボン酸のアルキル錫エステル化合物としては、例えば、ジオクチル錫ジベンゾエート、ジブチル錫ジベンゾエートが挙げられる。
また、硬化性の向上を目的として、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド等の有機錫化合物を用いることができる。しかし、上記酸化亜鉛(亜鉛華)等の防錆顔料及び/又はビスマス化合物を使用し、所望により、増量、微細化(ナノ化)等をすることによって、これらの有機錫化合物を含有せずに硬化性の向上を図ることもできる。
また、塗膜の焼き付け乾燥は、電着塗膜を電気熱風乾燥機、ガス熱風乾燥機などの乾燥設備を用いて、塗装物表面の温度で110℃〜200℃、好ましくは140〜180℃にて、時間としては10分間〜180分間、好ましくは20分間〜50分間、電着塗膜を加熱して行う。上記焼付け乾燥により塗膜を硬化させることができる。
製造例1 硬化剤No.1の製造
反応容器中に、jER828EL(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名、エポキシ樹脂)380部、大豆油脂肪酸532部、テトラブチルアンモニウムブロマイド1部を加え、160℃に昇温した。この温度で酸価を追跡し、酸価1mgKOH/g以下になったことを確認し、変性剤1を得た。
次に、コスモネートM−200(商品名、三井化学社製、クルードMDI、イソシアネート価311mgNCO/g)270部及びメチルイソブチルケトン140部を加え70℃に昇温した。この中に変性剤1を140部添加し、イソシアネート価が180mgNCO/gになるまで反応させた。
次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル212部を1時間かけて滴下し、その後、100℃に昇温した。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて2270cm−1に未反応のイソシアナネート基の吸収が判別できなくなったことを確認してから温度を下げ、固形分が80%の硬化剤No.1を得た。
硬化剤No.1において、付加物(b2)の活性水素基/ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基の当量比は0.15であり、ブロック剤(b3)の活性水素基/ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基の当量比は0.90であり、
そして[付加物(b2)の活性水素基+ブロック剤(b3)の活性水素基]/[ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基]の当量比は1.05であった。また、付加物(b2)の割合は、ポリイソシアネート化合物(b1)と付加物(b2)とブロック剤(b3)との合計質量を基準にして、23質量%であった。
反応容器中に、YDCN−701(東都化成(株)製、商品名、ノボラック型エポキシ樹脂)208部、大豆油脂肪酸252部、テトラブチルアンモニウムブロマイド1部を加え、160℃に昇温した。この温度で酸価を追跡し、酸価1以下になったことを確認し、変性剤2を得た。
次にコスモネートM−200(商品名、三井化学社製、クルードMDI、イソシアネート価311mgNCO/g)270部及びメチルイソブチルケトン133部を加え70℃に昇温した。この中に変性剤2を90部添加し、イソシアネート価が212mgNCO/gになるまで反応させた。
次いで、エチレングリコールモノブチルエーテル224部を1時間かけて滴下し、その後100℃に昇温した。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて2270cm−1に未反応のイソシアナネート基の吸収が判別できなくなったことを確認してから温度を下げ、固形分が80%の硬化剤No.2を得た。
硬化剤No.2において、付加物(b2)の活性水素基/ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基の当量比は0.09であり、
ブロック剤(b3)の活性水素基/ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基の当量比は0.95であり、
そして[付加物(b2)の活性水素基+ブロック剤(b3)の活性水素基]/[ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基]の当量比は1.04であった。また、付加物(b2)の割合は、ポリイソシアネート化合物(b1)と付加物(b2)とブロック剤(b3)との合計質量を基準にして、16質量%であった。
反応容器中に、コスモネートM−200(商品名、三井化学社製、クルード
MDI、イソシアネート価311mgNCO/g)270部及びメチルイソブチルケトン130部を加え、70℃に昇温した。
この中にエチレングリコールモノブチルエーテル240部を1時間かけて滴下して加え、その後100℃に昇温した。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネート基の吸収を確認してから温度を下げ、固形分が80%の硬化剤No.3を得た。
反応容器中に、イソホロンジイソシアネート(イソシアネート価378mg
NCO/g)222部及びメチルイソブチルケトン100部を加え、50℃に昇温した。この中にメチルエチルケトオキシム174部をゆっくり加えた後、60℃に昇温した。この温度を保ちながら、経時でサンプリングし、赤外線吸収スペクトル測定にて未反応のイソシアネート基の吸収が判別できなくなったことを確認してから温度を下げ、固形分80%の硬化剤No.4を得た。
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに、jER828EL(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名、エポキシ樹脂)1010部に、ビスフェノールA 390部と、ジメチルベンジルアミン0.2部とを加え、130℃でエポキシ当量800になるまで反応させた。
次に、ジエタノールアミン160部及びジエチレントリアミンのケチミン化物65部を加え、120℃で4時間反応させた後、エチレングリコールモノブチルエーテル355部を加え、樹脂固形分80質量%の基体樹脂No.1溶液を得た。基体樹脂No.1は、アミン価67mgKOH/g、数平均分子量2,000であった。
製造例5と同様のセパラブルフラスコに、50%ホルマリン480部、フェノール110部、98%工業用硫酸202部及びメタキシレン424部を仕込み、84〜88℃で4時間反応させた。
反応終了後、静置して樹脂相を溶解しているキシレン溶液と硫酸水相とを分離した後、樹脂相を3回水洗し、20〜30mmHg/120〜130℃の条件で20分間処理し、未反応メタキシレンを留去して、粘度1050センチポイズ(25℃)のフェノール変性のキシレンホルムアルデヒド樹脂 480部を得た。
別のフラスコに、jER828EL(ジャパンエポキシレジン社製、商品名、エポキシ樹脂、エポキシ当量190、分子量350)1000部、ビスフェノールA 400部と、ジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量750になるまで反応させた。
次に、上記キシレンホルムアルデヒド樹脂を300部、ジエタノールアミンを137部及びジエチレントリアミンのケチミン化物を95部加え120℃で4時間反応させた後、メチルイソブチルケトンを403部加え、キシレンホルムアルデヒド樹脂変性のアミノ基含有エポキシ樹脂溶液である樹脂固形分80質量%の基体樹脂No.2溶液を得た。基体樹脂No.2は、アミン価57mgKOH/g、数平均分子量2,000であった。
製造例7 エマルションNo.1の製造
製造例5で得られた基体樹脂No.1溶液を87.5部(固形分70部)と、製造例1で得られた硬化剤No.1を37.5部(固形分30部)を混合し、さらに10%蟻酸11部を配合して均一に攪拌した後、混合物を強攪拌しながら、脱イオン水158部を約15分かけて滴下して、エマルションNo.1を得た。
表1の配合内容とする以外は、製造例7と同様にしてエマルションNo.2〜No.10を得た。
jER828EL(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名、エポキシ樹脂)1010部に、ビスフェノールAを390部、プラクセル212(ポリカプロラクトンジオール、ダイセル化学工業株式会社、商品名、重量平均分子量約1,250)240部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当量が約1090になるまで反応させた。
次に、ジメチルエタノールアミン134部及び濃度90%の乳酸水溶液150部を加え、120℃で4時間反応させた。次いで、メチルイソブチルケトンを加えて固形分を調整し、固形分60%のアンモニウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂を得た。上記分散用樹脂のアンモニウム塩濃度は、0.78mmol/gであった。
製造例17で得た固形分60%の顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー7.0部、カーボンブラック0.3部、ジオクチル錫オキサイド1部、水酸化ビスマス1部及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
製造例17で得た固形分60%の顔料分散用樹脂8.3部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレー6.0部、カーボンブラック0.3部、酸化亜鉛3.0部及び脱イオン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分55%の顔料分散ペーストNo.2を得た。
実施例1
カチオン電着用のエマルションNo.1を294部(固形分100部)、55%の顔料分散ペーストを52.4部(固形分28.8部)、脱イオン水297.6部を加え、固形分20%のカチオン電着塗料No.1を製造した。
実施例1と同様にして、表2で示されるような配合内容で、カチオン電着塗料No.2〜No.7を製造した。
実施例1と同様にして、表2で示されるような配合内容で、カチオン電着塗料No.8〜No.11を製造した。
実施例及び比較例で得た各カチオン電着塗料を用い、化成処理(パルボンド#3020(日本パーカライジング社製、商品名、リン酸亜鉛化成処理剤))を施した冷延鋼板(0.8mm×150mm×70mm)、又は同様の化成処理を施した合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(0.8mm×150mm×70mm)を被塗物として電着塗装し、試験板を作成した。得られた試験板を用い、下記の試験方法に従って実施した試験結果を表3及び表4に示す。
直径8mmの穴を空け、4枚の鋼板を2cm間隔で設置した「4枚ボックス法つきまわり性試験の治具」(図1参照)を、図2のように配線した。図2の4枚の鋼板のうち、最も左側の鋼板に向かって左側の面を「A面」、向かって右側の面を「B面」とする。同様に、左から2番目の鋼板の左右の面を、それぞれ、「C面」及び「D面」、左から3番目の鋼板の左右の面を、それぞれ、「E面」及び「F面」、そして最も右側の鋼板の左右の面が、それぞれ、「G面」と「H面」となる。この中で、A面が「外板」であり、G面が「内板」となる。
図2の装置において、塗装浴温30℃、A面と電極との極間距離10cm、通電時間3分間にて、外板硬化膜厚15μmとなる電圧にて電着塗装した。つきまわり性は、外板硬化膜厚、内板硬化膜厚及びつきまわり性(%)(=内板硬化膜厚/外板硬化膜厚×100)で評価した。
各評価については、
◎:ピンホールなし、
○:小さいピンホール(ガスヘコ)が1個(中塗り塗膜にて隠蔽可能なレベル)、
△:ピンホールが2〜5個、
×:ピンホールが10個以上、
を表している。
mの塗板を得た。上記塗板の表面粗度を、JIS B 0651に準じて、
サーフテスト301(株式会社ミツトヨ社製、商品名、表面粗さ測定機)を用いて、中心線平均粗さ(Ra)値として評価した。
各評価については、
◎:Ra値が、0.25μm未満、
○:Ra値が、0.26以上、0.35μm未満、
△:Ra値が、0.35以上で、かつ0.40μm未満
×:Ra値が、0.40μm超、を表している。
mの試験板を得た。
次に、上記試験板上の塗膜に、試験板の素地に達するようにカッターナイフでクロスカットキズを入れ、JIS Z−2371に準じて、35℃ソルトスプレー試験を840時間行い、カット部からの錆又はフクレの幅を評価した。
各評価については、錆又はフクレの最大幅が、
◎:カット部から片側2.0mm以下
○:カット部から片側2.0mm超、3.0mm以下、
△:カット部から片側3.0mm超、3.5mm以下、
×:カット部から片側3.5mm超、
を表している。
上記防食性と同様の条件で作成した試験板に、WP−300(関西ペイント株式会社製、水性中塗り塗料)を、硬化膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装した後、電気熱風乾燥器で140℃で30分焼き付けを行なった。
さらに、上記中塗塗膜上に、ネオアミラック6000スプレー塗装により、ネオアミラック6000(関西ペイント株式会社製、上塗り塗料)を、硬化膜厚が35μmとなるようにスプレー塗装した後、電気熱風乾燥器で140℃で30分間焼き付け、暴露試験板を作製した。
得られた暴露試験板上の塗膜に、素地に達するようにナイフでクロスカットキズを入れ、千葉県 千倉町で水平にて1年間暴露した後、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
各評価については、錆又はフクレの最大幅が、
◎:カット部から片側2mm未満、
○:カット部から片側2mm以上、3mm未満、
△:カット部から片側3mm以上、4mm未満、
×:カット部から片側4mm以上、
を表している。
2.4枚ボックス法のつきまわり性試験用治具における外板(A面)
3.4枚ボックス法のつきまわり性試験用治具における内板(G面)
4.電着塗料浴
Claims (6)
- エポキシ当量が180〜2,500であるエポキシ樹脂に、フェノール性水酸基を有するキシレンホルムアルデヒド樹脂及びアミノ基含有化合物を反応させて得られる樹脂であって、前記アミノ基含有化合物の使用割合が、前記エポキシ樹脂、前記キシレンホルムアルデヒド樹脂及びアミノ基含有化合物の合計固形分質量を基準にして、5〜25質量%であるキシレン樹脂変性アミン付加エポキシ樹脂(A)、下記特徴のブロック化ポリイソシアネート(B)を含有するカチオン電着塗料組成物。
ブロック化ポリイソシアネート(B):
芳香族ポリイソシアネート化合物(b1)、天然油脂から得られる乾性油脂肪酸や半乾性油脂脂肪酸から選ばれる炭素数8以上のモノカルボン酸(b21)と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(b22)とを反応させてなる付加物(b2)及びブロック剤(b3)を反応させて得られるブロック化ポリイソシアネートであって、
かつ構成成分の当量比が、
付加物(b2)の活性水素基/ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基の当量比が0.02〜0.5、
ブロック剤(b3)の活性水素基/ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基の当量比が0.5〜1.2、
[付加物(b2)の活性水素基+ブロック剤(b3)の活性水素基]/[ポリイソシアネート化合物(b1)のイソシアネート基]の当量比が1.0〜1.5の割合であるブロック化ポリイソシアネート - 付加物(b2)の割合が、ポリイソシアネート化合物(b1)と付加物(b2)とブロック剤(b3)との合計質量を基準にして、2〜50質量%である、請求項1に記載のカチオン電着塗料組成物。
- 付加物(b2)が、[天然油脂から得られる乾性油脂肪酸や半乾性油脂脂肪酸から選ばれる炭素数8以上のモノカルボン酸(b21)におけるカルボキシル基]/[エポキシ樹脂(b22)のエポキシ基]の当量比が0.80〜1.05の割合で、天然油脂から得られる乾性油脂肪酸や半乾性油脂脂肪酸から選ばれる炭素数8以上のモノカルボン酸(b21)とエポキシ樹脂(b22)を反応させて得られた、請求項1又は2に記載のカチオン電着塗料組成物。
- エポキシ樹脂(b22)が、エポキシ当量700以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
- ブロック剤(b3)が、下記式(1)で表される請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物。
HO-(R1O)nR2・・・式(1)
(式中、n個の繰り返し単位中のR1は、それぞれ、同一又は相異なってもよく、炭素数2〜4の直鎖又は分枝鎖状のアルキレン基であり、R2は、炭素数1〜15のアルキル基であり、そしてnは1〜4の整数である。) - 請求項1〜5いずれか1項に記載のカチオン電着塗料組成物を用いて塗装された物品。
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