JP2016056216A - オフセット印刷インキおよび印刷物 - Google Patents

オフセット印刷インキおよび印刷物 Download PDF

Info

Publication number
JP2016056216A
JP2016056216A JP2014180702A JP2014180702A JP2016056216A JP 2016056216 A JP2016056216 A JP 2016056216A JP 2014180702 A JP2014180702 A JP 2014180702A JP 2014180702 A JP2014180702 A JP 2014180702A JP 2016056216 A JP2016056216 A JP 2016056216A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
printing ink
fatty acid
offset printing
minutes
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014180702A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6352737B2 (ja
Inventor
康成 西川
Yasunari Nishikawa
康成 西川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Printing Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Printing Ink Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Printing Ink Mfg Co Ltd filed Critical Tokyo Printing Ink Mfg Co Ltd
Priority to JP2014180702A priority Critical patent/JP6352737B2/ja
Publication of JP2016056216A publication Critical patent/JP2016056216A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6352737B2 publication Critical patent/JP6352737B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、印刷インキとしての基本的な性能は満足させたうえで、機上安定性、流動性が良好でインキのしまりが抑制されたオフセット印刷インキおよび当該オフセット印刷インキを用いて作製された印刷物を提供することを課題とする。
【解決手段】ロジン変性フェノール樹脂、トール油脂肪酸エステル、顔料、溶剤を含有するオフセット印刷インキであって、トール油脂肪酸エステルが、トール油脂肪酸、ダイマー酸、3および/または4価アルコールとを反応させてなるエステルであることを特徴とするオフセット印刷インキ。
【選択図】なし

Description

本発明は、オフセット印刷インキ、特に、浸透乾燥により乾燥皮膜が形成される浸透乾燥型オフセット印刷インキに関する。
浸透乾燥型オフセット印刷インキは、一般的に、印刷インキに含まれる溶剤や植物油、顔料や樹脂のうち、溶剤や植物油などが、毛細管現象で紙の繊維部分に浸透する一方、顔料や樹脂などの一部の固形物が紙の表面で固着し、皮膜を形成させるという乾燥機構をとる。また、浸透乾燥型オフセット印刷インキは、ヒートセット印刷インキと言われる加熱オーブン(ドライヤー)を通過させてインキ中の溶剤を蒸発、乾燥させて、皮膜を形成させるという乾燥機構と区別することから、コールドセット印刷インキともいう。
浸透乾燥型オフセット印刷インキを主に使用する近年の新聞印刷業界においては、生産性向上の動きに対応して印刷機の高速化が進んでいる。それに伴い、印刷インキに対しても、機上安定性、ミスチング抑制、セット性、着肉性などの高速印刷適性の向上が求められている。
また、コスト削減などで印刷用紙の品質も低下してきており、従来のインキを用いて印刷する場合、インキの粘着性(タック)が高いと、低品質で紙面強度の弱い紙では紙むけが発生しやすくなる。紙むけとは、インキの粘着性(タック)によって紙の表面層が引きちぎられたり剥ぎ取られたりすることをいう。インキの粘着性(タック)はJIS K5701−1に記載の方法により測定される。この紙むけを防ぐ方法としては、インキの低タック化、流動性向上、機上安定性の向上などが挙げられる。しかし、単純にインキのタックを低くするためにインキ溶剤を増やすと、流動性は向上するが、インキの粘度が低下してしまう為、ミスチングの増加や機上安定性の低下などが起きる。特に、新聞印刷機の場合、印刷機ユニット内のインキ振りローラー(ゴム)は通水されていないものが多く、ロングラン印刷においてはこのゴムローラーと接触する金属ローラーの摩擦により発熱し、インキ中の溶剤が揮発しやすくなり、版面やローラー上にインキが固着しやすくなる(パイリングともいう)。このような、インキ固着を抑制するには、インキの溶解性が重要である。
インキの溶解性の調整には、使用溶剤との相溶性の高い樹脂(高溶解樹脂)を使用する方法や溶解力の高いエステル溶剤を使用する方法がある。しかし、高溶解樹脂は分子量が小さく、樹脂粘度が低くなりやすいため、印刷後のローラー洗浄性には優れるものの、浸透乾燥の際には用紙に溶剤や植物油などの浸透と同時に低粘度樹脂も浸透し、セットが早くなってしまう。浸透乾燥方式の印刷においては、これらの浸透を遅くし、セットを遅らせることが有用である。特に、近年では新聞印刷でも高精細印刷の需要が増えてきており、この印刷においては、網点が小さく、かつインキ膜厚も薄いため、よりセットが早く、パイリングが発生しやすくなる。一方、エステル溶剤の使用は、ローラー洗浄性には優れるが、溶解力が高いゆえに流動性が大きくなり、ミスチングの増加や機上安定性の低下などの原因となる。
機上安定性とは、印刷時における印刷機上での粘着性(タック)の安定性をいう。例えばインキ中の溶剤分の蒸発速度が速いと、インキの粘着性(タック)が徐々に高まり、紙むけしやすくなるため、このようなインキは機上安定性が悪いインキといわれる。機上安定性が良いインキとは、粘着性(タック)の変動が少ないインキといえる。前述したとおり、低品質で紙面強度の弱い紙が使用されることが多くなってきたことから、機上安定性の良いインキが必要となっている。
このため、比較的粘度の高い植物油やマシン油などを併用することが行われるが、植物油などを増やすと、乾燥性(セット性)が低下してくる。一方、マシン油は有限の石油資源からなる石油系溶剤であり、これに含まれる芳香族成分は、人体に悪影響を及ぼす物質として知られている。これらが印刷工程や、あるいは印刷物のインキ塗膜から放出されることで、印刷作業環境や大気汚染などの環境負荷の要因となっている。
また、上記したようにインキの低タック化のために、インキ溶剤を増加させると、ミスチング増加や機上安定性の低下などが起き、これらの対策のために、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、有機ベントナイトなどの、いわゆる体質顔料を添加することも行われるが、一方でチキソトロピー性が強くなり、流動性が著しく低下する場合もあり、適度な流動性を保つことが困難である。
特に、最近の新聞印刷業界においては、生産性向上、印刷機の高速化や省人化などにより、印刷インキの自動供給システムが一般的になり、別に設けたインキ室などに設置された大容量のインキタンクから一旦、一時供給タンクなどにインキを受け、そこから高圧ポンプを介して、印刷機ユニットのインキ供給部(インキレールなど)まで配管を設置することにより、印刷インキを供給している。一般的にこのシステムは、一時供給タンクなどからインキを高圧で印刷機ユニット近傍まで圧送する送り配管を設置しているが、高圧のままでは印刷機ユニットのインキ供給ポンプに負荷がかかるため、減圧弁を設置し、そのポンプに見合う圧力に減圧している。さらに使用しない印刷機ユニットあるいは印刷画像などが小さいなど印刷に使用しないインキがあるときには、これらを一時供給タンクに戻す必要があるため、さらに減圧し低圧の戻り配管を設置している。このことによって、一時供給タンクと印刷機ユニット間を送り配管と戻り配管を介してインキを循環させている。
ここで、このような自動供給システムにおいて、例えば印刷をしない時間(例えば8〜10時間)や印刷機のメンテナンスなどがある場合、インキの循環を止める場合がある。この場合、配管内ではインキの流動が止まってしまう。このような状態においては、インキ特有の「しまり」が生じる。インキは、いわゆる非ニュートン流体であり、インキの流動が止まると、チキソトロピーまたは可塑性により、インキの見掛け粘度が急上昇し、再度流動させようとしても、すぐに流動しない場合があり、このような場合印刷機ユニットへのインキ供給が困難となり、再印刷時のインキ供給不足による濃度低下などの印刷トラブルが発生する。このようなインキの流動が止まった場合においても、流動性不足による印刷トラブルを生じさせないような性質を持ったインキ、特に十分な流動性を持ち、かつ「しまり」が抑制されたインキが必要である。
特許文献1には、ワニス用樹脂と溶解助剤とを有機溶媒中に分散溶解したワニスを含有し、溶解助剤が、植物油以外の多価アルコール脂肪酸エステルを含有するオフセットインキ組成物が開示されている。
特許文献2には、トール油脂肪酸の3価アルコールエステルを含有する印刷インキ用ワニスおよび印刷インキ用ワニスに顔料を含有した印刷インキが開示されている。
特許文献3には、トール油脂肪酸エステルを含有する平版印刷インキ組成物が開示されている。
特許文献4には、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリドおよび2−エチルヘキシル酸アルミニウムにより合成されるゲル状脂肪酸グリセリドを含有する浸透型オフセット印刷用インキ組成物が開示されている。
前記特許文献1〜4はどれもエステルを使用したものであるが、特許文献1は、低溶解樹脂を使用し、溶解助剤として多価アルコール脂肪酸エステルで補うものであり、用紙内部への浸透離脱性を増すための乾燥助剤である。具体例としてトリカプロン酸グリセリドやトリ(カプリル・カプリン)酸グリセリドが記載され、塗膜硬化性に効果があるとされているが、機上安定性、流動性およびインキのしまりについては記載も示唆もない。特許文献2は、大豆油と遜色ない乾燥性を持たせるためにエステルを使用しており、具体例としてトール油脂肪酸のグリセリンエステル、トリメチロールプロパンエステルおよびトリメチロールエタンが記載され、従来の大豆油と遜色ないとしているが、機上安定性、流動性およびインキのしまりについては記載も示唆もない。特許文献3は、水無しインキにおける樹脂との相溶性に有用なエステルであり、実施例にトール油脂肪酸のノルマルブチルエステルしか記載がなく、機上安定性、流動性およびインキのしまりについては記載も示唆もない。特許文献4は、エステル溶剤をゲル化させたものを使用したインキであり、流動性を抑制することについては効果があるが、本発明の趣旨とは異なるものであり、実施例からも十分な流動性が確保されているかどうかは不明であることに加え、機上安定性およびインキのしまりについての記載も示唆もない。
特許文献5〜7には、粗製銅フタロシアニンと特定のロジン樹脂とを乾式粉砕した乾式粉砕物と印刷インキ溶剤、印刷インキ用ワニス、印刷インキ用補助剤などを添加混合して製造される平版印刷インキが開示され、印刷インキ溶剤として動植物油や脂肪酸モノエステルが適し、銅フタロシアニンに特有な赤味化や分散性劣化に起因する流動性の劣化・高粘度化が防止できるとし、流動性およびインキしまりについての評価をしているが、流動性またはインキしまりについては、標準としたものよりも劣る結果となる実施例もあり、十分ではないことが明らかであり、また機上安定性については記載も示唆もない。
特開2009−73953号公報 特開2010−285520号公報 特開2012−201883号公報 特開2013−213112号公報 特開2008−270512号公報 特開2009−155579号公報 特開2009−155582号公報
従って、本発明は、印刷インキとしての基本的な性能は満足させたうえで、機上安定性、流動性が良好でインキのしまりが抑制されたオフセット印刷インキおよび当該オフセット印刷インキを用いて作製された印刷物を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意検討した結果、オフセット印刷インキにおいて、特定のトール油脂肪酸エステルを含有することにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)ロジン変性フェノール樹脂、トール油脂肪酸エステル、顔料、溶剤を含有するオフセット印刷インキであって、
トール油脂肪酸エステルが、トール油脂肪酸、ダイマー酸、3および/または4価アルコールとを反応させてなるエステルであることを特徴とするオフセット印刷インキ、
(2)前記トール油脂肪酸エステルの反応成分として、前記ダイマー酸を5〜30重量%含むことを特徴とする(1)に記載のオフセット印刷インキ、
(3)前記トール油脂肪酸エステルが、印刷インキ中に1〜20重量%であることを特徴とする(1)または(2)に記載のオフセット印刷インキ、
(4)前記トール油脂肪酸エステルの水酸基価が20〜80mgKOH/gの範囲内で、
酸価が4mgKOH/g以下で、
かつ、重量平均分子量が1,500〜6,000の範囲内であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のオフセット印刷インキ、
(5)オフセット印刷インキのせん断粘度ηの差(η[20分]−η[5分])の割合が、前記トール油脂肪酸エステルを含有しないオフセット印刷インキのせん断粘度ηの差を100としたときに、40〜95であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のオフセット印刷インキ、
(ここで、せん断粘度ηの差(η[20分]−η[5分])とは、直径25mm、コーン角1°のコーンプレートを使用して、25℃において、5分間、ひずみ10%、せん断速度30sec−1の条件下にて、インキの構造を崩したときのせん断粘度η(η[5分])を測定し、引き続き、ひずみ10%、せん断速度5sec−1の条件下にて、15分間、せん断粘度ηを測定したときの20分のせん断粘度η(η[20分])から前記5分のせん断粘度η(η[5分])を引いた値)
(6)基材である紙に、(1)〜(5)のいずれかに記載のオフセット印刷インキを印刷して得られる印刷物、
である。
本発明によると、印刷インキとしての基本的な性能は満足させたうえで、機上安定性および流動性が良好なオフセット印刷インキおよび当該オフセット印刷インキを用いて作製された印刷物を提供できる。
特に、新聞、書籍、チラシなどの浸透乾燥型のオフセット印刷インキとして、機上安定性、流動性が向上し、印刷時の生産性を低下させずに使用することができるという優れた特徴を有する。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
本発明のオフセット印刷インキは、ロジン変性フェノール樹脂、トール油脂肪酸エステル、顔料、溶剤などを混練含有させて製造されるものであって、トール油脂肪酸エステルが、トール油脂肪酸、ダイマー酸、3および/または4価アルコールとを反応させてなるエステルであることが好ましい。
トール油脂肪酸、ダイマー酸ならびに3および/または4価アルコールとを、従来公知の方法により脱水反応させることにより得られる。また、必要に応じて、公知公用のエステル化触媒を使用することもできる。エステル化触媒としては、テトライソプロポキシチタンなどの公知のLewis酸、あるいはLewis塩基などが挙げられる。 反応後は減圧蒸留などで精製したり、分子蒸留、吸着などの処理を行ってトリエステルのみを単離してもよい。
トール油脂肪酸エステルの酸価は、4mgKOH/g以下であることが好ましい。また、トール油脂肪酸エステルの水酸基価は、20〜80mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。さらに、トール油脂肪酸エステルの重量平均分子量が、1,500〜6,000の範囲内であることが好ましい。酸価、水酸基価、重量平均分子量が、前記範囲内であることにより、機上安定性および流動性のバランスに優れる印刷インキが得られる。
本発明で使用するトール油脂肪酸としては、クラフトパルプ工程での副産物である粗トール油の精留によって得られるものであり、主要脂肪酸はオレイン酸とリノール酸であり、共役リノール酸も若干量含有される。市販品としては、ハートールFA−1、ハートールFA−1P、ハートールFA−3S(以上、ハリマ化成(株)製)などが挙げられる。
本発明で使用するダイマー酸としては、ヨウ素価120〜145のトール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、綿実油脂肪酸及び米糠油脂肪酸などが好ましく、特にオレイン酸含有量が比較的多いトール油脂肪酸、米糠油脂肪酸がより好ましい。市販品としては、ハリダイマーシリーズ(ハリマ化成(株)製)として入手できる。上記市販品のトール油脂肪酸を二量化したものでもよい。ただし、このダイマー酸の構造は単一ではなく、非環、単環および多環の混合物の場合もある。また、市販品のダイマー酸にも、少量のモノマー酸、トリマー酸などが含まれる場合もある。
本発明で使用する3および/または4価アルコールとしては、グリセリン、プロパン−1,1,3−トリオール、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,1,4−ブタントリオール、2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、2−メチルプロパン−1,1,1−トリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールエタン、2,3,4−ペンタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,3,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、3−メチル−1,2,3−ブタントリオール、2−メチルブタン−1,2,3−トリオール、2−エチルブタン−1,2,3−トリオール、2−(ヒドロキシメチル)−1,3−ブタンジオール、2−(ヒドロキシメチル)−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタン、2−ヒドロキシメチル−3−メチルブタン−1,3−ジオール、2−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、2−メチルペンタン−1,2,3−トリオール、3−メチルペンタン−1,2,5−トリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、ヘキサン−1,2,4−トリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,4,5−ヘキサントリオール、ヘキサン−1,3,6−トリオール、ヘキサン−2,3,4−トリオール、2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−3−ブタノール、3−ヒドロキシメチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチル−1,2,4−ブタントリオール、2−イソプロピルプロパン−1,2,3−トリオールなどの3価アルコール、1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,1,4,4−ブタンテトラオール、ペンタエリスリトール、1,1,5,5−ペンタンテトラオール、1,2,3,5−ペンタンテトラオール、1,2,4,5−ペンタンテトラオール、2−メチル−1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,4,5−ヘキサンテトラオール、1,2,5,6−ヘキサンテトラオール、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,4−ブタンジオール、4−メチルペンタン−1,2,4,5−テトラオールなどの4価アルコールなどの直鎖状または分岐鎖状の炭素数が3〜6の多価アルコールが挙げられる。なかでも、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタンがより好ましい。
前記トール油脂肪酸エステルは、トール油脂肪酸、ダイマー酸、3および/または4価アルコールを反応させてなるエステルであり、それら反応成分全体を100重量%としたとき、その一つである前記ダイマー酸を5〜30重量%含むことが好ましい。なかでも、特に好ましいのは10〜20重量%である。ダイマー酸が5重量%より少ないと、重量平均分子量が低くなり、流動性が過剰になるとともに、溶解性が高くなるため、インキの凝集力が低下し、汚れたり、ミスチングが増加しやすくなる。ダイマー酸が30重量%を超えると、重量平均分子量が高くなり、流動性が低下し、さらに良好なチキソトロピック性を有することが困難となるため、印刷時において壷上がりやローラー間でのインキ転移性、紙面へのインキ着肉性が低下しやすくなる。前記範囲内であることにより、機上安定性および流動性のバランスに優れる印刷インキが得られる。また、溶解力は維持されているので、ローラー洗浄性に優れる印刷インキが得られる。
本発明のトール油脂肪酸エステルの酸価は、4mgKOH/g以下であることが好ましい。なかでも、より好ましいのは2mgKOH/g以下であり、特に好ましいのは1〜2mgKOH/gである。酸価が4mgKOH/gより大きいと、極性が高くなるため、乳化しやすくなり、凝集力が低下することによる汚れの発生や網点再現性の低下が生じる。なお、酸価はJIS K5601による測定値である。
本発明のトール油脂肪酸エステルの水酸基価は、20〜80mgKOH/gであることが好ましい。なかでも、特に好ましいのは30〜70mgKOH/gである。水酸基価が20mgKOH/gより小さいと、インキが乳化したときに凝集力が低下し、流動性が過剰となるため、汚れたり、網点再現性が低下する。80mgKOH/gを超えると、乳化率が高くなり、乳化したインキの凝集力も高くなるため、流動性が不足する。過度の乳化により、流動性が低下すると、ローラー上でインキが余り易く、汚れたり、ミスチング、色抜け、濃度変動などの要因となる。なお、水酸基価は、試料1g中に含まれるOH基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数である。無水酢酸を用いて試料中のOH基をアセチル化し、生成した酢酸を水酸化カリウム溶液で滴定することによって求められる。
本発明のトール油脂肪酸エステルの重量平均分子量は、1,500〜6,000であることが好ましい。なかでも、特に好ましいのは、2,000〜4,000である。重量平均分子量が1,500より小さいと、印刷インキの粘度、降伏値(凝集力)が低下し、流動性が過剰になる。また、インキの粘度が低すぎると、裏抜けしやすくなる。6,000を超えると、インキが高粘度で、凝集力が高くなりすぎて、流動性が不足したり、浸透乾燥性が遅くなる。ここで、重量平均分子量は、GPC法(ポリスチレン換算)による測定値である。
前述したとおり、ロングラン印刷においては、印刷機ユニット内のゴムでできたインキ振りローラーと金属ローラーの接触による摩擦により発熱し、インキ中の溶剤が揮発しやすくなり、版面やローラー上にインキがパイリングしやすくなるが、本発明のトール油脂肪酸エステルは、前記酸価、水酸基価、重量平均分子量がそれぞれ前記範囲内であることで、高粘度で架橋密度の高い樹脂に対する溶解性を低下させることがないため、特に高精細印刷のような網点が小さい箇所においても樹脂を用紙表面に留まらせることができるため、セットが遅くなり、パイリングの抑制や経時でのタックの上昇が抑えられ(機上安定性が良好となり)、また適度な粘度を有することから、インキのタックを低く維持できるとともに、流動性過剰にならない。また、流動性過剰にならない程度の適度な流動性を付与でき、インキのしまりを抑制することができるという効果がある。
本発明のトール油脂肪酸エステルは、印刷インキ中に1〜20重量%であることが好ましい。なかでも、特に好ましいのは5〜15重量%である。1重量%より少ないと、印刷機上での溶剤離脱が抑制できず、経時でのタック上昇が抑えられないため、紙剥けによるヒッキーの発生や、ローラー上へのインキ固着が起こりやすくなる。20重量%を超えると、印刷機上での溶剤離脱は抑制され、経時でのタック上昇は抑えられるものの、浸透乾燥性が遅くなり、ガイドローラーへのインキ取られや、セットオフが発生し易くなる。
本発明のオフセット印刷インキは、印刷インキ用ワニス(以下、単にワニスともいう)、トール油脂肪酸エステル、顔料、溶剤などを含むものである。
前記印刷インキ用ワニスは、従来公知の方法により製造されたものでよく、ロジン変性フェノール樹脂、溶剤、キレート剤などを加熱混合して製造される。
前記ロジン変性フェノール樹脂は、従来よりオフセット印刷インキに使用されているものが使用できる。ロジン変性フェノール樹脂は、重量平均分子量が40,000〜300,000の範囲内であることが好ましい。なかでも、特に好ましいのは、重量平均分子量が90,000〜170,000の範囲内である。重量平均分子量が300,000を超えると溶解性が低下するため、溶剤離脱性が早くなることにより、機上安定性が劣り、紙剥けが発生しやすくなる。また高い弾性を有するため、顔料分散性の低下、紙面への着肉低下や、レベリング性、流動性低下による光沢低下が起こりやすくなる。
ここで、重量平均分子量は、GPC法(ポリスチレン換算)による測定値である。
前記ロジン変性フェノール樹脂の含有量は、オフセット印刷インキ全量中に20〜35重量%の範囲内であることが好ましい。20重量%未満では固形分が少ないため、低粘度となって流動性が過剰となり所望のインキを得ることが困難となり、35重量%を超えると光沢が低下しやすくなるため好ましくない。
本発明で用いられる溶剤としては、流動性付与などの目的で、AF溶剤、ノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、マシン油、シリンダー油などに代表される石油系溶剤、植物油類、ビニリデンオレフィンなどを適宜選択して用いることができる。
本発明で用いられる植物油類としては、主に大豆油または大豆油由来の脂肪酸エステルが用いられる。その他の植物油としては、例えばアマニ油、菜種油、ヤシ油、オリーブ油、桐油などおよびこれらを再生処理したものが挙げられる。また、その他の植物油由来の脂肪酸エステルとしては、例えば綿実油、アマニ油、サフラワー油、向日葵油、桐油、トール油、脱水ヒマシ油、菜種油、胡麻油などの乾性油または半乾性油を由来とした脂肪酸モノアルキルエステルが例示できる。脂肪酸モノアルキルエステルを構成するアルコール由来のアルキル基の炭素数は1〜12のものが好ましく、具体例としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、3−メチル−1−ブチル、2,2−ビス(ヒドロキメチル)ブチル、2,4−ジメチル−3−ペンチル、2−エチル−1−ブチル、2−エチル−1−ヘキシル、3,5,5−トリメチル−1−ヘキシル、4−デシル、2−イソプロピル−5−メチル−1−ヘキシル、2−ブチル−1−オクチルなどである。なかでも特に好ましいのはメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,2−ビス(ヒドロキメチル)ブチルなどである。上記植物油類は、樹脂に対する溶解性が上がり、印刷物の光沢向上に優れた効果がある。ただし、本発明のトール油脂肪酸エステルを使用すれば、大豆油由来の脂肪酸エステル、またはその他の植物油由来の脂肪酸エステルは使用しないことが好ましい。
本発明のオフセット印刷インキの全量に対し植物油類(本発明のトール油脂肪酸エステルも含める)は、30〜50重量%の範囲内であることが好ましい。なかでも、特に好ましいのは35〜45重量%の範囲内である。30重量%未満では光沢が低下する。50重量%を超える量を添加しても光沢の向上効果は得られず、溶解性が高くなり、パイリングしやすくなったり、タックの経時での上昇が大きくなるため、ブランケット上に堆積したインキの粘着性が高まり、アフタータックが残り、紙剥けしやすくなる。
大豆油と本発明のトール油脂肪酸エステル(大豆油由来の脂肪酸エステルまたはその他の植物油由来の脂肪酸エステルを含む場合は、それらを含めた脂肪酸エステルの合計量)の比率は、重量比で100/0〜30/70の範囲内であることが好ましい。なかでも、特に好ましいのは90/10〜50/50の範囲内である。大豆油と本発明のトール油脂肪酸エステルの比率において、本発明のトール油脂肪酸エステルが、重量比で70重量%を超えるとタックが高くなり、紙剥けしやすくなる。
本発明で用いられるキレート剤はゲル化剤として働くものであるが、金属キレート、特に、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリスエチルアセトアセテートなどのアルミニウムキレート化合物が好ましく用いられる。
本発明で用いられる顔料としては、有機顔料または無機顔料であり、例えばジスアゾイエロー、カーミン6B、フタロシアニンブルーなどに代表される有機顔料、およびカーボンブラック、炭酸カルシウムなどに代表される無機顔料などであり、特に限定されない。
前記有機顔料の多くは、水系で合成されることが多いため、処理されたうえで、ある程度まで水分を絞ったペースト状で使用され、ワニスと、ニーダーや押出機、連続式混練機などの混練機で混練されて、オフセット印刷インキに使用される。さらに詳しくは、有機顔料ペーストとワニスとを混練機で混練し、有機顔料をワニスに移行させ、水を分離、除去した後、残存する水を減圧することにより除去(フラッシング法という)し、有機顔料とワニスの混合物とする。
本発明では、他にインキとしての機能向上を目的として、適宜、顔料分散剤、乳化剤、乾燥防止剤、乾燥促進剤、整面剤、滑剤などの添加剤を用いることができる。
例えば、耐摩擦性、ブロッキング防止剤、滑り剤としては、カルナバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの天然ワックス、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、シリコーン化合物等の合成ワックスを例示することができる。
本発明の印刷物は、基材となる紙に、通常のオフセット印刷により製作出来る。
本発明の印刷物に用いる基材としては、通常のオフセット印刷が可能な用紙であれば使用できるが、特に、オフセット印刷に適する更紙(非塗工紙)、微塗工紙、コート紙、アート紙などが好ましく用いられる。
本発明のオフセット印刷インキは、本発明のトール油脂肪酸エステルを含有しないオフセット印刷インキのせん断粘度ηの差(η[20分]−η[5分])を100としたときに、そのせん断粘度ηの差の割合が40〜95であることが好ましい。なかでも、特に好ましいのは60〜85である。インキのせん断粘度ηの差(η[20分]−η[5分])は、例えばPhysica MCR301粘弾性測定装置(Anton Paar社製)などの粘弾性測定装置にて、直径25mm、コーン角1°のコーンプレートを使用して、25℃において、5分間、ひずみ10%、せん断速度30sec−1の条件下にて、インキの構造を崩したときのせん断粘度η(η[5分])を測定し、引き続き、ひずみ10%、せん断速度5sec−1の条件下にて、15分間、せん断粘度ηを測定したときの20分のせん断粘度η(η[20分])から前記5分のせん断粘度η(η[5分])を引くことにより求めることができる。この差が小さい程、インキ粘度変動が小さく、インキがしまりにくくなる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を示す。
[オフセット印刷インキ用ワニスの調整]
製造例1
ロジン変性フェノール樹脂R1(重量平均分子量126,000、33%Oソルトレランス3.1、酸価19.1mgKOH/g、水酸基価63mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)17部、ロジン変性フェノール樹脂R2(重量平均分子量88,000、5ソルトレランス1.3、酸価26.7mgKOH/g、水酸基価120mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)15部、大豆白締油38部、AFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)11部、131120A(トール油脂肪酸グリセリンエステル(ダイマー酸15%)、重量平均分子量2,500、酸価1.1、水酸基価35、ハリマ化成(株)製)18部、およびアルミキレート剤(8%オクトープアルミ、ホープ製薬(株)製)1部を反応容器中に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら185℃に昇温し、60分撹拌混合して、ワニスV1を得た。このワニスのヘプタントレランスは505%、アルコールナンバーは25.7mlであった。
製造例2
ロジン変性フェノール樹脂R3(重量平均分子量200,000、5ソルトレランス1.0、酸価18mgKOH/g、水酸基価47.6mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)16部、ロジン変性フェノール樹脂R2(重量平均分子量88,000、5ソルトレランス1.3、酸価26.7mgKOH/g、水酸基価120mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)16部、大豆白絞油35部、AFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)12部、131120A(トール油脂肪酸グリセリンエステル(ダイマー酸15%)、重量平均分子量2,500、酸価1.1、水酸基価35、ハリマ化成(株)製)20部、およびアルミキレート剤(ALCH、川研ファインケミカル(株)製)1部を反応容器中に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら185℃に昇温し、60分撹拌混合して、ワニスV2を得た。このワニスのヘプタントレランスは324%、アルコールナンバーは30.1mlであった。
製造例3
ロジン変性フェノール樹脂R1(重量平均分子量126,000、33%Oソルトレランス3.1、酸価19.1mgKOH/g、水酸基価63mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)17部、ロジン変性フェノール樹脂R2(重量平均分子量88,000、5ソルトレランス1.3、酸価26.7mgKOH/g、水酸基価120mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)15部、大豆白絞油38部、AFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)11部、130324A(トール油脂肪酸グリセリンエステル(ダイマー酸30%)、重量平均分子量5,300、酸価1.8、水酸基価30、ハリマ化成(株)製)18部、およびアルミキレート剤(8%オクトープアルミ、ホープ製薬(株)製)1部を反応容器中に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら185℃に昇温し、60分撹拌混合して、ワニスV3を得た。このワニスのヘプタントレランスは461%、アルコールナンバーは26.3mlであった。
製造例4
ロジン変性フェノール樹脂R1(重量平均分子量126,000、33%Oソルトレランス3.1、酸価19.1mgKOH/g、水酸基価63mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)17部、ロジン変性フェノール樹脂R2(重量平均分子量88,000、5ソルトレランス1.3、酸価26.7mgKOH/g、水酸基価120mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)15部、大豆白絞油38部、AFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)11部、130324D(トール油脂肪酸ペンタエリスリトールエステル(ダイマー酸15%)、重量平均分子量3,500、酸価2、水酸基価30、ハリマ化成(株)製)18部、およびアルミキレート剤(8%オクトープアルミ、ホープ製薬(株)製)1部を反応容器中に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら185℃に昇温し、60分撹拌混合して、ワニスV4を得た。このワニスのヘプタントレランスは500%、アルコールナンバーは25.6mlであった。
製造例5
ロジン変性フェノール樹脂R1(重量平均分子量126,000、33%Oソルトレランス3.1、酸価19.1mgKOH/g、水酸基価63mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)17部、ロジン変性フェノール樹脂R2(重量平均分子量88,000、5ソルトレランス1.3、酸価26.7mgKOH/g、水酸基価120mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)15部、大豆白絞油38部、AFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)11部、130324C(トール油脂肪酸グリセリンエステル(ダイマー酸15%)、重量平均分子量2,000、酸価1.6、水酸基価70、ハリマ化成(株)製)18部、およびアルミキレート剤(8%オクトープアルミ、ホープ製薬(株)製)1部を反応容器中に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら185℃に昇温し、60分撹拌混合して、ワニスV5を得た。このワニスのヘプタントレランスは443%、アルコールナンバーは27.4mlであった。
製造例6
ロジン変性フェノール樹脂R1(重量平均分子量126,000、33%Oソルトレランス3.1、酸価19.1mgKOH/g、水酸基価63mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)17部、ロジン変性フェノール樹脂R2(重量平均分子量88,000、5ソルトレランス1.3、酸価26.7mgKOH/g、水酸基価120mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)15部、大豆白絞油38部、AFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)11部、130324B(トール油脂肪酸グリセリンエステル(ダイマー酸5%)、重量平均分子量1,800、酸価1.4、水酸基価30、ハリマ化成(株)製)18部、およびアルミキレート剤(8%オクトープアルミ、ホープ製薬(株)製)1部を反応容器中に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら185℃に昇温し、60分撹拌混合して、ワニスV6を得た。このワニスのヘプタントレランスは450%、アルコールナンバーは27.2mlであった。
製造例7
ロジン変性フェノール樹脂R1(重量平均分子量126,000、33%Oソルトレランス3.1、酸価19.1mgKOH/g、水酸基価63mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)17部、ロジン変性フェノール樹脂R2(重量平均分子量88,000、5ソルトレランス1.3、酸価26.7mgKOH/g、水酸基価120mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)15部、大豆白絞油38部、AFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)11部、130702A(トール油脂肪酸グリセリンエステル(ダイマー酸0%)、重量平均分子量1,000、酸価1.1、水酸基価34.3、ハリマ化成(株)製)18部、およびアルミキレート剤(8%オクトープアルミ、ホープ製薬(株)製)1部を反応容器中に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら185℃に昇温し、60分撹拌混合して、ワニスV7を得た。このワニスのヘプタントレランスは470%、アルコールナンバーは26.5mlであった。
製造例8
ロジン変性フェノール樹脂R1(重量平均分子量126,000、33%Oソルトレランス3.1、酸価19.1mgKOH/g、水酸基価63mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)20部、ロジン変性フェノール樹脂R2(重量平均分子量88,000、5ソルトレランス1.3、酸価26.7mgKOH/g、水酸基価120mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)15部、大豆白絞油38部、AFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)29部、およびアルミキレート剤(8%オクトープアルミ、ホープ製薬(株)製)1部を反応容器中に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら185℃に昇温し、60分撹拌混合して、ワニスV8を得た。このワニスのヘプタントレランスは365%、アルコールナンバーは24.6mlであった。
製造例9
ロジン変性フェノール樹脂R3(重量平均分子量200,000、5ソルトレランス1.0、酸価18mgKOH/g、水酸基価47.6mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)16部、ロジン変性フェノール樹脂R2(重量平均分子量88,000、5ソルトレランス1.3、酸価26.7mgKOH/g、水酸基価120mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)16部、大豆白絞油35部、AFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)12部、130702A(トール油脂肪酸グリセリンエステル(ダイマー酸0%)、重量平均分子量1,000、酸価1.1、水酸基価34.3、ハリマ化成(株)製)20部、およびアルミキレート剤(ALCH、川研ファインケミカル社製)1部を反応容器中に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら185℃に昇温し、60分撹拌混合して、ワニスV9を得た。このワニスのヘプタントレランスは244%、アルコールナンバーは29.3mlであった。
製造例10
ロジン変性フェノール樹脂R3(重量平均分子量200,000、5ソルトレランス1.0、酸価18mgKOH/g、水酸基価47.6mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)16部、ロジン変性フェノール樹脂R2(重量平均分子量88,000、5ソルトレランス1.3、酸価26.7mgKOH/g、水酸基価120mgKOH/g、荒川化学工業(株)製)16部、大豆白絞油35部、AFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)32部、およびアルミキレート剤(ALCH、川研ファインケミカル(株)製)1部を反応容器中に仕込み、窒素ガスを吹き込みながら185℃に昇温し、60分撹拌混合して、ワニスV10を得た。このワニスのヘプタントレランスは270%、アルコールナンバーは29.8mlであった。
なお、ヘプタントレランスは、100mlビーカーにワニス5gを秤量し、トルエン45gに溶解後、20℃で撹拌しながらn−ヘプタンを滴下していったとき、溶液が白濁しビーカー下の新聞紙活字(10ポイント)が判定出来なくなるまでのn−ヘプタン滴下量(g)から次式で算出される数値である。
ヘプタントレランス(%)=100×(n−ヘプタン滴下量g)/(ワニス量g)
ヘプタントレランスは、ワニス中の樹脂に対する溶剤の親和性の指標で、600%より大きいと印刷機上での安定性は良好となるが、印刷したとき溶剤の抜けが悪くなりセットが遅く(乾燥しにくく)なる。一方、400%より小さいと印刷機上でのインキ状態は不安定となり、流動性が低下し、ローラー間転移性、紙面への着肉が低下するため、品質の良い印刷物を安定して生産できなくなる。
アルコールナンバーは、100mlビーカーにワニス5gを秤量し、トルエン45gに溶解後、20℃で撹拌しながらメタノールを滴下していったとき、溶液が白濁しビーカー下の新聞紙活字(10ポイント)が判定出来なくなるまでのメタノール滴下量(ml)である。
アルコールナンバーは、ワニス中の水酸基の割合を間接的に表す指標で、32mlより大きいと水を取り込みやすくなるため、過乳化しやすくなり、調量ローラーのインキ絡みや汚れが発生しやすくなる。また、25mlより小さいと水を取り込みにくくなるため、乳化しにくくなり、ローラー剥げしやすく、インキ転移性を阻害する。
[オフセット印刷インキの調製]
実施例1〜7および比較例1〜5
表1の配合でワニス、藍顔料(Fastgen Blue GBK−19SD、DIC(株)製)、炭酸カルシウム(ネオライトSA−300、竹原化学工業(株)製)およびAFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)を配合し、3本ロールミルで練肉して、インキベースを得、大豆白絞油およびAFソルベント6(JX日鉱日石エネルギー(株)製)を添加、混合し粘度7〜8Pa・sの実施例1〜7および比較例1〜5のオフセット印刷インキを得た。
表1のオフセット印刷インキについて、下記のテーブルテストを行った。その結果を表2に示した。
[流動性]
実施例1〜7および比較例1〜5の各オフセット印刷インキをインキピペットに一定容量測り取り、水平に置いたガラス板流度計の基準線上に滴下し、直ちにガラス板を垂直に立てる。垂直に立てた時から、10分後に印刷インキが流れた長さを測定し、評価した。測定値の大きいものほど流動性が優れる。流動性の程度について、◎:130mm以上135mm未満、○:120mm以上130mm未満、△:110mm以上120mm未満または135mm以上140mm未満(実用上問題ない程度)、×:110mm未満または140mm以上、の4段階で評価した。
[機上安定性]
実施例1〜7および比較例1〜5の各オフセット印刷インキをインコメーター((株)東洋精機製作所製)を使用し、インキ量1.31cc、室温25℃、ローラー温度30℃、回転数1200rpmの条件下で0分のタック値と10分後のタック値の差(タック変化)を測定し、評価した。タック変化がより少ないものほど、機上安定性が優れる。
タック変化について、○:0.5未満(機上安定性最良)、△:0.5以上1.0未満(機上安定性良好、実用上問題ない)、×:1.0以上(機上安定性が劣る)、の3段階で評価した。
[インキのしまり]
実施例1〜7および比較例1〜5の各オフセット印刷インキをPhysica MCR301粘弾性測定装置(Anton Paar社製)にて、直径25mm、コーン角1°のコーンプレートを使用して、25℃において、5分間、ひずみ10%、せん断速度30sec−1の条件下にて、インキの構造を崩したときのせん断粘度η(η[5分])を測定し、引き続き、ひずみ10%、せん断速度5sec−1の条件下にて、15分間、せん断粘度ηを測定したときの20分のせん断粘度η(η[20分])から前記5分のせん断粘度η(η[5分])を引くことにより求め、この差が小さい程、インキ粘度変動が小さくインキがしまりにくくなる。なお、本発明のトール油脂肪酸エステルを含有しないオフセット印刷インキのせん断粘度ηの差を100としたときの割合で示した。実施例1〜5および比較例1は比較例2を、実施例6および比較例3は比較例4を、実施例7は比較例5を100としたときの割合である。
[タック]
実施例1〜7および比較例1〜5の各オフセット印刷インキをインコメーター((株)東洋精機製作所製)を使用し、インキ量1.31cc、室温25℃、ローラー温度30℃、回転数400rpmの条件下で1分後の数値(タック値)を測定した。タック値が低いほど、紙剥けしにくくなる。
タック値について、○:3.0より小さいもの、×:3.0以上のもの、で評価した。
[乳化試験]
実施例1〜7および比較例1〜5の各オフセット印刷インキについてリソトロニック乳化試験機(NOVOCONTROL社製)を使用し、インキ25gを40℃において回転数1200rpmで、インキ25gに対して、2ml/分の速度で水を添加していき、インキが飽和した時点の水分量を測定し、インキ25gに対する重量%とし、評価した。
乳化率(%)=100×(飽和時点の水分量g)/(インキ量g)
乳化率は、印刷機による印刷試験において、概ね30〜50%の範囲であることが好ましい効果が得られることが確認されている。
Figure 2016056216
Figure 2016056216
表2より、実施例1〜7は、低タックで、流動性が良好で、インキのしまりも抑制され、機上安定性も優れている。すなわち、実施例1〜7のオフセット印刷インキはどれも紙剥け抑制に効果がありながら、機上安定性も付与できているため、インキパイリングの発生も抑えられ、さらに低タック化を抑えるための体質顔料を添加しながらも流動性が向上し、チキソトロピー性も抑えられ、インキのしまりが抑制できていることから、配管内での流動性を低下させることがないため、印刷時におけるトラブルを回避することができ、生産性を低下させることなく使用できるものである。さらに、溶解力は維持されているため、ローラー洗浄性にも優れ、作業性の向上にも寄与するものである。

Claims (6)

  1. ロジン変性フェノール樹脂、トール油脂肪酸エステル、顔料、溶剤を含有するオフセット印刷インキであって、
    トール油脂肪酸エステルが、トール油脂肪酸、ダイマー酸、3および/または4価アルコールとを反応させてなるエステルであることを特徴とするオフセット印刷インキ。
  2. 前記トール油脂肪酸エステルの反応成分として、前記ダイマー酸を5〜30重量%含むことを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷インキ。
  3. 前記トール油脂肪酸エステルが、印刷インキ中に1〜20重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のオフセット印刷インキ。
  4. 前記トール油脂肪酸エステルの水酸基価が20〜80mgKOH/gの範囲内で、
    酸価が4mgKOH/g以下で、
    かつ、重量平均分子量が1,500〜6,000の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオフセット印刷インキ。
  5. オフセット印刷インキのせん断粘度ηの差(η[20分]−η[5分])の割合が、前記トール油脂肪酸エステルを含有しないオフセット印刷インキのせん断粘度ηの差を100としたときに、40〜95であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオフセット印刷インキ。
    (ここで、せん断粘度ηの差(η[20分]−η[5分])とは、直径25mm、コーン角1°のコーンプレートを使用して、25℃において、5分間、ひずみ10%、せん断速度30sec−1の条件下にて、インキの構造を崩したときのせん断粘度η(η[5分])を測定し、引き続き、ひずみ10%、せん断速度5sec−1の条件下にて、15分間、せん断粘度ηを測定したときの20分のせん断粘度η(η[20分])から前記5分のせん断粘度η(η[5分])を引いた値)
  6. 基材である紙に、請求項1〜5のいずれかに記載のオフセット印刷インキを印刷して得られる印刷物。
JP2014180702A 2014-09-05 2014-09-05 オフセット印刷インキおよび印刷物 Active JP6352737B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014180702A JP6352737B2 (ja) 2014-09-05 2014-09-05 オフセット印刷インキおよび印刷物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014180702A JP6352737B2 (ja) 2014-09-05 2014-09-05 オフセット印刷インキおよび印刷物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016056216A true JP2016056216A (ja) 2016-04-21
JP6352737B2 JP6352737B2 (ja) 2018-07-04

Family

ID=55757507

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014180702A Active JP6352737B2 (ja) 2014-09-05 2014-09-05 オフセット印刷インキおよび印刷物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6352737B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017197701A (ja) * 2016-04-29 2017-11-02 東京インキ株式会社 オフセット印刷インキおよび印刷物
JP2018058956A (ja) * 2016-10-03 2018-04-12 Dicグラフィックス株式会社 金属印刷インキ

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003003017A (ja) * 2001-06-19 2003-01-08 Chisso Corp 難燃性樹脂組成物およびそれを用いたシート
JP2009073953A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 The Inctec Inc インキ組成物
JP2009144044A (ja) * 2007-12-13 2009-07-02 Harima Chem Inc 印刷インキ用添加剤及び当該添加剤を含む印刷インキ
JP2010285520A (ja) * 2009-06-10 2010-12-24 Harima Chem Inc 印刷インキ用ワニス及び印刷インキ組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003003017A (ja) * 2001-06-19 2003-01-08 Chisso Corp 難燃性樹脂組成物およびそれを用いたシート
JP2009073953A (ja) * 2007-09-21 2009-04-09 The Inctec Inc インキ組成物
JP2009144044A (ja) * 2007-12-13 2009-07-02 Harima Chem Inc 印刷インキ用添加剤及び当該添加剤を含む印刷インキ
JP2010285520A (ja) * 2009-06-10 2010-12-24 Harima Chem Inc 印刷インキ用ワニス及び印刷インキ組成物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017197701A (ja) * 2016-04-29 2017-11-02 東京インキ株式会社 オフセット印刷インキおよび印刷物
JP2018058956A (ja) * 2016-10-03 2018-04-12 Dicグラフィックス株式会社 金属印刷インキ

Also Published As

Publication number Publication date
JP6352737B2 (ja) 2018-07-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6243248B2 (ja) 印刷インキ組成物
JP6128159B2 (ja) 平版印刷インキ組成物および印刷物
JP2013144765A (ja) オフセット印刷インキ組成物
JP2011144315A (ja) オフセットインキ組成物および印刷物
JP6352737B2 (ja) オフセット印刷インキおよび印刷物
JP2015227432A (ja) オフセット印刷インキおよび印刷物
JP2011074112A (ja) オフセット印刷用墨インキ
JP2013100394A (ja) 印刷インキ用ワニスおよび印刷インキ組成物
JP6214495B2 (ja) オフセット印刷インキおよび印刷物
JP6719268B2 (ja) オフセット印刷インキおよび印刷物
JP5467556B2 (ja) 平版印刷用インキおよびそれを用いて印刷した印刷物
JP2017197700A (ja) オフセット印刷インキおよび印刷物
JP6226502B2 (ja) オフセット印刷インキ用ゲルワニス、オフセット印刷インキおよび印刷物
JP4506238B2 (ja) 平版印刷インキ組成物
JP5689548B1 (ja) 印刷インキ組成物
JP5699487B2 (ja) 平版印刷インキ組成物
JP2013189528A (ja) 浸透乾燥型オフセット印刷インキ組成物
JP5515359B2 (ja) 平版印刷インキ組成物
JP2004244519A (ja) 印刷インキ組成物
JP5714238B2 (ja) 平版印刷インキ組成物
JP6206722B2 (ja) オフセットインキ組成物および印刷物
JP2013189527A (ja) 平版印刷インキ組成物
JP2004204202A (ja) 印刷インキ組成物
JP2017149877A (ja) 平版印刷インキ
JP2004204203A (ja) 印刷インキ組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170808

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180306

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180423

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180605

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180607

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6352737

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250