JP2016052448A - カテーテル及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】補強部材で補強されたバルーンの柔軟性を向上させることができるカテーテル及びその製造方法を提供する。【解決手段】カテーテル10のバルーン14は、弾力的伸縮性をもつバルーン壁を構成する筒状の内層24及び外層26を有する。内層24と外層26との間には、筒網状の構造をもつ補強部材28が配置されている。補強部材28の内外面を貫通する複数の隙間33を介して内層24と外層26とを部分的に接合し且つ補強部材28に固定されない接合構造47が設けられていることにより、バルーン14に対する補強部材28の軸方向のずれが抑制されている。【選択図】図2

Description

本発明は、補強部材で補強されたバルーンを備えたカテーテル及びその製造方法に関する。
近年、例えば急性心筋梗塞や狭心症の治療において、冠動脈の病変部(狭窄部)をバルーンカテーテルで押し広げることにより血流を改善する経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)が行われている(例えば、下記特許文献1を参照)。他の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の生体管腔内に形成された病変部の改善についてもバルーンカテーテルによる治療が行われることがある。
バルーンカテーテルは、一般的に、長尺なシャフトと、該シャフトの先端側に設けられて径方向に拡張するバルーンとを備えて構成され、先行するガイドワイヤが挿通されることで体内の狭窄部へと送られる。そして、バルーンが目的の狭窄部に配置された状態で、バルーン内に拡張用流体を圧送することでバルーンを拡張し、狭窄部を拡張することができる。
バルーンカテーテルに用いられるバルーンは、病変部を効果的に治療するために、最大拡張時に所望のバルーン形状となり且つ病変部を押し広げるのに十分な強度を有することが求められる。そこで、従来では、バルーンに高耐圧性、低コンプライアンス性等を付与するために、バルーンを構成する壁内に、網状の補強部材を設けた構成が提案されている(例えば、下記特許文献1を参照)。
特表2008−501408号公報
また、バルーンカテーテルは、生体管腔内の病変部へとバルーンを搬送するものであり、その際にバルーンが屈曲する生体管腔内を通過する必要があることから、バルーンには生体管腔の屈曲に追従できる柔軟性が求められる。しかしながら、バルーンを構成する壁内に補強部材を設けた従来技術では、補強部材がバルーンに一体に固定されており、バルーンの壁に対する動きの自由度がないため、バルーンに十分な柔軟性を付与することが難しいという問題がある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、補強部材で補強されたバルーンの柔軟性を向上させることができるカテーテル及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明のカテーテルは、弾力的伸縮性をもつ筒状の内層及び外層を有し、内圧の変化によって拡張及び収縮が可能なバルーンと、前記内層と前記外層との間に、前記バルーンに対して規制された範囲内で可動に配置され、1以上の線状部材で形成された筒網状の構造をもつ補強部材と、を備え、前記補強部材の内外面を貫通する複数の隙間を介して前記内層と前記外層とを部分的に接合し且つ前記補強部材に固定されない接合構造が設けられていることにより、前記バルーンに対する前記補強部材の軸方向のずれが抑制されている、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、補強部材によってバルーンに高耐圧性及び低コンプライアンス性を付与することができるとともに、補強部材がバルーンに対して動きの自由度を有するため、バルーンの良好な柔軟性を維持することができ、これによりバルーン収縮時におけるカテーテルの生体管腔内での通過性を向上させることができる。ここで、低コンプライアンス性とは、バルーンを高圧拡張した際、バルーン径が圧力に応答して際限なく拡がることがなく、適切な径で高い圧力の拡張を行える性質である。また、バルーンに対する補強部材の軸方向のずれを抑制することにより、補強部材によるバルーンの補強状態を好適に維持することができる。このため、バルーンの拡張及び収縮を複数回繰り返した後であっても、バルーンが低圧で破裂することがなく、カテーテルを安定的に使用することができる。
上記のカテーテルにおいて、前記接合構造は、前記複数の隙間の各々を貫通する複数の融着部を有し、前記線状部材は前記融着部に対して可動であってもよい。この構成により、線状部材が融着部に引っ掛かることで補強部材のずれが適度に抑制される。従って、接合構造によって補強部材を内層及び外層に固定することなく、補強部材の軸方向のずれを効果的に抑制する構造を簡易に実現することができる。
上記のカテーテルにおいて、前記接合構造は、前記補強部材の第1端部側の領域と、前記補強部材の第2端部側の領域のみに設けられていてもよい。この構成により、バルーンの良好な柔軟性を得つつ、補強部材の軸方向のずれを効果的に抑制することができる。
上記のカテーテルにおいて、前記複数の隙間は、前記補強部材の網目であってもよい。この構成により、前記補強部材の網目を利用できるため、内層と外層とを接合するための専用の隙間を設ける必要がない。
また、本発明は、弾力的伸縮性をもつ筒状の内層及び外層を有し、内圧の変化によって拡張及び収縮が可能なバルーンと、前記内層と前記外層との間に前記バルーンに対して可動に配置され、1以上の線状部材で形成された筒網状の構造をもつ補強部材とを備えたカテーテルを製造するカテーテル製造方法であって、前記補強部材を前記内層と前記外層との間に配置する配置工程と、前記内層と前記外層に対して前記補強部材を固定することなく、前記補強部材の内外面を貫通する隙間を介して前記内層と前記外層とを部分的に融着する融着工程と、を含む、ことを特徴とする。
上記のカテーテル製造方法によれば、高耐圧性及び低コンプライアンス性とともに高い柔軟性を有し、且つ内層及び外層に対する補強部材の軸方向ずれが抑制されていることにより、拡張及び収縮を複数回繰り返した後であっても低圧で破裂することがないバルーンを備えたカテーテルを製造することができる。
上記のカテーテル製造方法において、液体で濡れた前記補強部材を提供する工程をさらに含み、前記融着工程では、前記液体で濡れた前記補強部材を前記内層と前記外層との間に配置した状態で、前記内層及び前記外層を加熱して融着してもよい。これにより、融着工程において、液体で濡れた補強部材は、内層及び外層と融着することがない。よって、内層と外層は部分的に融着しているが、補強部材は内層と外層に対して可動である構造を簡易に形成することができる。
上記のカテーテル製造方法において、前記融着工程では、前記内層及び前記外層の軸方向の1以上の領域を選択的に加熱してもよい。これにより、バルーンの良好な柔軟性を得つつ、補強部材の軸方向のずれを効果的に抑制することができる。
上記のカテーテル製造方法において、前記融着工程では、前記補強部材の前記隙間の箇所のみにレーザを照射して前記内層と前記外層とを融着してもよい。これにより、補強部材を液体で濡らすことなく、線状部材を避けた箇所で内層と外層とを融着することができる。
上記のカテーテル製造方法において、前記融着工程では、前記バルーンの全体を加熱してもよい。これにより、融着工程を効率的に遂行できる。
本発明のカテーテル及びその製造方法によれば、補強部材で補強されたバルーンの柔軟性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係るカテーテルの構成を示す一部省略概略図である。 図1に示すカテーテルの先端部の模式的断面図である。 図3Aは、拡張時の補強部材を示す側面図であり、図3Bは、収縮時の補強部材を示す側面図である。 内層と外層との接合構造を周方向に展開した模式図である。 図5Aは、素材スリーブを作製する工程の説明図であり、図5Bは、素材スリーブから複数の補強部材を作製する工程の説明図である。 補強部材を濡らす工程の説明図である。 図7Aは、内層に補強部材を被せる工程の説明図であり、図7Bは、内層及び補強部材に外層を被せる工程の説明図である。 図8Aは、内層チューブと外層チューブとを接合する工程の第1説明図であり、図8Bは、内層チューブと外層チューブとを接合する工程の第2説明図である。 図9Aは、シャフトの先端とバルーンの基端とを接合する工程の第1説明図であり、図9Bは、シャフトの先端とバルーンの基端とを接合する工程の第2説明図である。 図10Aは、内管とバルーンの先端とを接合する工程の第1説明図であり、図10Bは、内管とバルーンの先端とを接合する工程の第2説明図である。 図11Aは、先端チップと内管とを接合する工程の第1説明図であり、図11Bは、先端チップと内管とを接合する工程の第2説明図である。 変形例に係るカテーテルの先端部の模式的断面図である。 別の変形例に係るカテーテルの先端部の模式的断面図である。
以下、本発明に係るカテーテル及びその製造方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカテーテル10の構成を示す一部省略概略図である。カテーテル10は、長尺なシャフト12を生体器官、例えば冠動脈に挿通させ、その先端側に設けられたバルーン14を狭窄部(病変部)で拡張させることで該狭窄部を押し広げて治療する、いわゆるPTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:経皮的冠動脈形成術)拡張カテーテルである。
本発明は、PTCA拡張カテーテル以外のもの、例えば、他の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の臓器等の生体器官内に形成された病変部の改善のためのカテーテルにも適用可能である。
図1(及び図2)に示すように、カテーテル10は、細径で長尺なシャフト12と、シャフト12の先端に接合されたバルーン14と、バルーン14を構成する膜(壁)内に配置された補強部材28と、シャフト12及びバルーン14に挿通された内管16と、バルーン14の先端に接合された先端チップ18と、シャフト12の基端側に設けられたハブ20とを備える。
図1において、カテーテル10は、シャフト12の長手方向の途中部分にガイドワイヤ21が導出される開口部22を設けた、いわゆる「ラピッドエクスチェンジタイプ」のカテーテルとして構成されている。別の実施形態において、カテーテル10は、ガイドワイヤルーメンがカテーテル10の全長に渡って形成され、ガイドワイヤ21がハブ20の基端から導出される「オーバーザワイヤタイプ」のカテーテルとして構成されてもよい。
シャフト12は、軸方向の両端が開口した長尺で細径の可撓性チューブである。シャフト12は、バルーン14の後端からハブ20の先端まで延びており、先端から開口部22までの部位は内管16との間に拡張用ルーメン12aを形成する二重管を構成し、開口部22からハブ20までの部位は一重管である。シャフト12は、バルーン14の拡張用流体を供給するための拡張用ルーメン12aを形成している。
シャフト12は、ハブ20に設けられるルアーテーパー20a等を介して接続される図示しないインデフレータ等の圧力印加装置から圧送される拡張用流体をバルーン14まで送液可能となっている。例えば、拡張用流体は、造影剤や生理食塩水、あるいはその混合物である。
内管16は、ガイドワイヤ21が挿通されるワイヤ用ルーメン16aを形成するガイドワイヤチューブである。内管16の先端は、先端チップ18の基端よりも先端側に位置する。内管16は、バルーン14及びシャフト12内を延在し、その基端がシャフト12の中間部に形成された開口部22(図1参照)に液密に接合されている。従って、先端チップ18の先端開口部18aを入口として挿入されたガイドワイヤ21は、内管16のワイヤ用ルーメン16aを先端側から基端側へと挿通し、出口である開口部22から導出される。
バルーン14内の内層24には、造影マーカー41が設けられているとよい。造影マーカー41は、X線(放射線)不透過性を有する材質(例えば、金、白金、タングステンあるいはこれらの混合物等)によって構成され、生体内でバルーン14の位置をX線造影下で視認するためのものである。造影マーカー41は、例えば筒状(リング状)に構成され得る。なお、図2のようにバルーン14内で内管16の軸方向に間隔を置いて複数の造影マーカー41が設けられてもよく、あるいは、バルーン14内の内管16に造影マーカー41が1つだけ設けられてもよい。
シャフト12及び内管16は、術者がカテーテル10の基端側を把持及び操作しながら、長尺なカテーテル10を血管等の生体器官内へと円滑に挿通させることができるために、適度な可撓性と適度な剛性を有する構造であることが好ましい。そこで、シャフト12及び内管16は、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら2種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂等の高分子材料あるいはこれらの混合物、あるいは上記2種以上の高分子材料の多層チューブ等で形成するとよい。
バルーン14は、内圧の変化により収縮及び拡張が可能である。バルーン14の先端部は内管16の先端部近傍に接合され、バルーン14の基端部はシャフト12の先端部に接合されている。バルーン14の内部空間は、拡張用ルーメン12aと連通する。
拡張用ルーメン12aを介して、バルーン14への拡張用流体の流入(導入)、及びバルーン14からの拡張用流体の排出が可能となっている。バルーン14内に拡張用流体が導入されることに伴って、バルーン14は拡張する。そして、最大拡張時には、バルーン14は、図1において仮想線で示すように、先端と基端との間の部分が軸方向に沿って略一定の外径で拡径した形状を呈する。
バルーン14は、生体管腔の蛇行又は屈曲した箇所を通過できるように、適度な柔軟性が必要とされる。また、バルーン14は、病変部を確実に押し広げることができる程度の強度が必要であり、高耐圧性と低コンプライアンス性が必要である。そのため、本実施形態では、バルーン14は、弾力的伸縮性をもつ流体不透過性のバルーン壁を構成する筒状の内層24及び外層26を有しており、内層24と外層26との間には、補強部材28が配置されている。バルーン14と補強部材28とにより、カテーテル10の先端部において径方向に拡張及び収縮可能な拡張部15が構成されている。
内層24は、バルーン14内への拡張用流体の導入(加圧)に伴って補強部材28に力を伝達し、補強部材28の拡張形状によって規制される形状まで膨らむ。外層26は、バルーン14内への拡張用流体の導入(加圧)に伴って補強部材28の拡張形状に沿って膨らみ、バルーン14内からの拡張用流体の排出(減圧)に伴って補強部材28を拡張前の元の形状(位置)に戻すために初期形状まで縮む。そのため、外層26は、伸長回復率の高い素材からなることが好ましい。
内層24と外層26は、それらの先端部同士及び基端部同士が、例えば融着、接着等によってそれぞれ接合されており、内層24と外層26との間には、補強部材28を収容する密閉された環状の収容室30が形成されている。
内層24及び外層26の構成材料としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等が挙げられる。内層24の構成材料と、外層26の構成材料は、同じでもよく、異なっていてもよい。
補強部材28は、内層24と外層26との間の中間層を構成する筒網状の部材であり、バルーン14の耐圧性を高める機能を担う。補強部材28は、1以上の糸29を編む(織る)ことによって筒状の網状体に形成されており、少なくとも周方向(及び径方向)に伸縮性を有する。補強部材28の形成の仕方は、特定の形態に限定されるものではなく、例えば、筒編み、組紐編み等が挙げられる。筒編みの場合、補強部材28は、周方向に波形状に延在する糸29が軸方向に並んでおり、軸方向に隣接する波形状の糸29同士が絡み合っている(図3A参照)。組紐編みの場合、補強部材28は、1以上の第1の螺旋方向に延在する糸29と、1以上の第2の螺旋方向に延在する糸29とが交差して織り上げられ筒状の網状体に形成される。
バルーン14に高耐圧性及び低コンプライアンス性を付与するために、補強部材28を構成する糸29としては、高強度且つ高弾性率を有する糸29、例えば、引張破断強度が2GPa以上、弾性率が50GPa以上の高強度繊維(スーパー繊維)からなる撚糸が好ましい。高強度繊維としては、例えば、アラミド繊維、炭素繊維、ポリアリレート繊維、PBO繊維、超高分子量ポリエチレン、LCP繊維等が挙げられる。
糸29の直径は、例えば、50〜100μm程度としてよい。糸29として高強度繊維の撚糸を使用する場合、高強度繊維の単繊維径は、例えば、5〜30μm程度としてよい。高強度繊維としては、例えば、単繊維径が12μmのものを使用できるが、より細い繊維を使用してもよく、より太い繊維を使用してもよい。より太い繊維の場合は、撚糸に張力が掛からないときに解れた状態になるように、撚りが甘いものであるのがよい。
補強部材28は、軸方向の両端部(第1端部31及び第2端部32)と、第1端部31と第2端部32との間を構成する中間部34とを有する。本実施形態では、補強部材28は、内層24及び外層26のどこにも固定されていない。従って、内層24及び外層26によって規制された範囲内で周方向及び軸方向に自由に動くことが可能である。
補強部材28の第1端部31及び第2端部32は、拡張規制部36によって、周方向及び径方向の拡張が規制されている。拡張規制部36は特定の構成に限定されず、例えば、編み方によって周方向及び径方向の拡張を規制した編込み部、第1端部31及び第2端部32において融着性を有する糸(繊維)同士を融着して形成したリング状の融着部、第1端部31及び第2端部32に固定されるリング状の抑え部材、等の構成が挙げられる。
図2に示すように、内層24の先端部は内管16に接合されている。また、内層24の基端部は、シャフト12の先端部(細径部40)に接合されているとともに、シャフト12の最先端部は、内層24の内側で内層24の最基端面よりも先端側に位置する。従って、内層24のうちバルーン14の拡縮変形時に伸縮可能な領域(以下、「内層24の可伸縮領域25」という)は、内層24と内管16との接合箇所と、シャフト12の最先端部との間の部分である。
補強部材28の最基端部は、内層24の可伸縮領域25の最基端部よりも基端側に位置する。
なお、図2に示すように、補強部材28の第2端部32は、バルーン14の内層24と外層26との間に形成される収容室30において、シャフト12の最先端部より基端側に配置してもよい。これにより、補強部材28の第2端部32は、バルーン14を拡張した際、バルーン14の拡張による影響が少なく、補強部材28によるバルーン14の最大拡張径の規制に寄与する。
図3Aは、拡張時の補強部材28を示す側面図であり、図3Bは、収縮時の補強部材28を示す側面図である。図3Aに示すように、補強部材28は、周方向に拡張されると、糸29同士が張った状態となり、ある一定以上の外径にはならない。この場合、第1端部31と第2端部32の拡張が規制されているため、拡張時の補強部材28(中間部34)の形状は、外形が略一定のストレート部42と、ストレート部42の両側にそれぞれ位置して軸方向の外側に向かって縮径する外径変化部(テーパ部)45、46とを有する。
なお、図3A及び図3Bに示すような補強部材28を使用してバルーン14を作成した場合、拡張時のバルーン14は、補強部材28により、外形が略一定のストレート部と、ストレート部の両側にそれぞれ位置して軸方向の外側に向かって縮径する外径変化部(テーパ部)とを有する。このような場合、造影マーカー41は、バルーン14のストレート部の位置が分かるように内管16に配置される。これにより、術者は、X線造影下においてバルーン14の最大拡張径を有する位置を視認することができるため、バルーン14の最大拡張径の領域と病変部との位置合わせを容易に行うことができる。
軸方向に隣接する波形状の糸29同士を絡ませる編み方で形成した補強部材28の場合、図3Bに示すように、周方向に圧縮されると糸29が畳まれることで、補強部材28は縮径する。また、この補強部材28は、軸方向に圧縮されると網目の糸29がずれて軸方向に隣接する糸29同士が重なることが可能であるとともに、軸方向に隣接する糸29同士の絡み合い部分の回転で屈曲することが可能である。従って、このような補強部材28は、曲げに対する柔軟性に優れる。
このカテーテル10では、図2に示すように、補強部材28の内外面を貫通する隙間33を介して内層24と外層26とを部分的に接合し且つ補強部材28に固定されない接合構造47が設けられていることにより、内層24及び外層26に対する補強部材28の軸方向の初期位置からのずれが抑制されている。本実施形態では、上記の隙間33は、補強部材28を構成する糸29と糸29との間の隙間33(網目33a)である。
接合構造47は、複数の隙間33(網目33a)をそれぞれ貫通する複数の融着部48を有する。各融着部48は、内層24の一部と外層26の一部がそれぞれ溶融後、固化することによって形成された部分である。補強部材28を構成する糸29と融着部48とは融着しておらず、すなわち、糸29と融着部48とは固定されていない。従って、糸29は融着部48に対して可動である。
本実施形態の場合、接合構造47(融着部48)は、補強部材28の第1端部31側の領域と、補強部材28の第2端部32側の領域のみに設けられている。すなわち、第1端部31側の領域と第2端部32側の領域との間には、接合構造47が設けられていない。補強部材28の第1端部31側の領域は、第1端部31及びその近傍だけでなく、例えば、補強部材28の最先端位置から補強部材28の全長の3分の1〜4分の1程度までに亘る領域も含み得る。また、補強部材28の第2端部32側の領域は、第2端部32及びその近傍だけでなく、補強部材28の最基端位置から補強部材28の全長の3分の1〜4分の1程度までに亘る領域も含み得る。
図4は、補強部材28と接合構造47(第1端部31側の接合構造47)とを周方向に展開した模式図である。図4において、矢印A方向が軸方向であり、矢印P方向が周方向である。本実施形態では、周方向に隣接する網目33aごとに、融着部48が周方向に間隔を置いて設けられており、周方向に並ぶ複数の融着部48によって融着部列49が構成されている。また、補強部材28の軸方向に、融着部列49が複数設けられており、融着部列49間で、融着部48は周方向にずれている。なお、第2端部32側の接合構造47も、第1端部31側の接合構造47と同様に構成されている。
図4に示すように、糸29は融着部48に固定されておらず、また、隣接する融着部48の間隔は糸29の太さ以上の大きさを有するため、糸29は融着部48に対して可動である。一方、融着部48は補強部材28の隙間33(網目33a)を通って配置されているため、補強部材28の移動の際、糸29が融着部48に引っ掛かることによって、補強部材28の軸方向の移動が規制される。
このように、補強部材28は、内層24と外層26との間で、適度な動きの自由度を有するが、初期位置から軸方向に大きくずれることがない。従って、補強部材28の最基端位置は、内層24の可伸縮領域25よりも基端側に保持され、可伸縮領域25の最基端位置よりも先端側にずれることが防止される。
補強部材28において、融着部48が貫通する隙間33は、網目33aに限られず、網目33a以外の空間であってもよい。例えば、補強部材28の軸方向両側の各拡張規制部36に、内外面を貫通する孔又はスリットの形態の隙間33が形成され、当該隙間33を貫通するように融着部48が設けられてもよい。この場合、各拡張規制部36には、孔又はスリットの形態の隙間33が周方向に間隔をおいて複数形成され、各隙間33を融着部48が貫通するとよい。
図1及び図2において、バルーン14の先端側に設けられる先端チップ18は、カテーテル10の最先端として生体器官内での湾曲部や凹凸部等を柔軟に進むとともに、病変部(狭窄部)を貫通し、カテーテル10の円滑な挿通を先導するための部位であり、その内径が内管16の内径と略同一とされた短尺なチューブである。
先端チップ18は、内管16の先端部に外嵌及び液密に接合されてワイヤ用ルーメン16aの先端開口部18aよりも先端側に突出するとともに、その基端面がバルーン14の先端面に接合されている。先端チップ18の先端開口部18aは、内管16のワイヤ用ルーメン16aに連通し、ガイドワイヤ21の入口となっている。
先端チップ18は、その材質や形状を適宜設定することにより、少なくともシャフト12及び内管16よりも柔軟に構成される。なお、先端チップ18は省略してもよく、その場合には、内管16の最先端位置とバルーン14の最先端位置とを一致させた構成や、バルーン14の最先端位置よりも内管16の最先端位置を多少突出させた構成とするとよい。
次に、カテーテル10の製造方法(主として、拡張部15及びその周辺部の製造工程)の一例を説明する。なお、本発明は、例示する製造方法に限定されるものではない。図5A〜図11Bでは、筒網状の補強部材28を模式的に示しており、特定の編み方で補強部材28が形成されることを意図していない。
図5A及び図5Bは、補強部材28の製造工程の説明図である。図5Aのように、まず、補強部材28の素材となる筒網状の素材スリーブ50を作製する工程(素材スリーブ作製工程)を実施する。素材スリーブ50は、補強部材28複数個分以上の長さを有する。この場合、素材スリーブ50は、例えば上述した高強度繊維を編んで筒網状に形成したものである。
次に、図5Bのように、素材スリーブ50を軸方向の1以上の箇所で切断して複数個の分割スリーブ51にするとともに、各分割スリーブ51の両端部に、上述した拡張規制部36を形成する工程(切断・規制加工工程)を実施する。これにより、複数の補強部材28を得る。
次に、補強部材28を液体57で濡らす工程(濡らし工程)を実施する。この工程で適用する液体57は、後述する融着工程において、補強部材28を構成する糸29と、内層24及び外層26との融着を阻止するためのものである。そのような液体57としては、例えば、水、油(シリコーン油等)が挙げられる。
濡らし工程では、例えば、図6に示すように、容器55に入れられた液体57中に補強部材28を浸漬した後、液体57から取り出すことで、補強部材28を液体57で濡らしてよい。補強部材28を構成する糸29は、繊維を撚って形成した撚糸であるため、繊維間に液体57が入り込むことで、糸29が濡れる。他の方法として、液体57をかける(注ぐ)、液体57を噴霧する、刷毛で塗る等によって、補強部材28を液体57で濡らしてもよい。なお、予め液体57で濡らした糸29を編むことにより、液体57で濡れた補強部材28を得てもよい。
次に、補強部材28を内層24と外層26との間に配置する配置工程を実施する。配置工程は、例えば、以下に説明する第1被せ工程と第2被せ工程とを含む。
図7Aのように、内層24の素材である内層チューブ52に、液体57で濡れた補強部材28を被せる工程(第1被せ工程)を実施する。この場合、内層チューブ52の両端部が補強部材28の両端開口から突出する。なお、内層チューブ52に液体57で濡れていない補強部材28を被せた後に、補強部材28を液体57で濡らしてもよい。
次に、図7Bのように、内層チューブ52及び補強部材28(内側に内層チューブ52が挿入された状態の補強部材28)に、外層26の素材である外層チューブ54を被せる工程(第2被せ工程)を実施する。この場合、外層チューブ54内に補強部材28の全長が収まる(補強部材28の両端部よりも外層26の両端部が軸方向に突出する)ように外層チューブ54を被せる。
次に、内層チューブ52と外層チューブ54とを接合する工程(内外層接合工程)を実施する。具体的には、まず、図8Aのように、芯棒56(芯金)を内層チューブ52(内層チューブ52、外層チューブ54及び補強部材28の組立体)の内側に挿入する。
次に、図8Bのように、内層チューブ52と外層チューブ54の一端部同士と他端部同士をそれぞれ融着によって接合する。これにより、内層24と外層26との間に密閉された環状の収容室30が形成される。
次に、内層24と外層26に対して補強部材28を固定することなく、補強部材28の内外面を貫通する隙間33(網目33a)を介して内層24と外層26とを部分的に融着する融着工程を実施する。この場合、バルーン14の全体を加熱するのではなく、補強部材28の第1端部31側と第2端部32側に対応する部分をレーザ照射等により加熱することにより、加熱した部分の内層24と外層26だけを融着することができる。これにより、補強部材28の第1端部31側の領域と第2端部32側の領域のみに融着部48を形成することができる。
融着工程において、液体57で濡れた補強部材28は、内層24及び外層26と融着することがない。すなわち、補強部材28の表面は液体57で濡れているため、補強部材28が内層24及び外層26と接触していても、接触部分では内層24及び外層26の材料(樹脂)が融点以上とならず、結果として、補強部材28と、内層24及び外層26との融着が阻止される。
なお、融着工程では、補強部材28の網目33aの箇所のみにレーザを照射して内層24と外層26とを融着し、融着部48を形成してもよい。この場合、補強部材28を液体57で濡らさなくても、網目33aに対応する箇所のみを選択して内層24と外層26(糸29を避けた位置の内層24と外層26)とを融着することができる。また、外層26が透明性を有する材料により構成されていると、外層26の内側に配置された補強部材28の網目33aの位置を確認しやすい。
以上により、バルーン14の収容室30内に補強部材28が規制された範囲内で可動に配置された状態の拡張部15が得られる。融着工程後、芯棒56を抜去する。
この場合、本実施形態では、補強部材28は、収容室30内に配置されているだけであり、他の部材に対して融着、接着等の接合がなされておらず、従って、バルーン14(内層24及び外層26)のどの部分にも固定されていない。
次に、バルーン14(拡張部15)とシャフト12とを接合する工程(バルーン・シャフト接合工程)を実施する(図9A及び図9B)。具体的には、シャフト12の先端部に細径部40を形成する。この場合、例えば、シャフト12の先端部を引き落す(シャフト12の中空部に芯金を挿入し、そのシャフト12よりも小径の穴を有する金型にシャフト12の先端部を圧入する)ことにより、先端部を細径化することができる。次に、図9Aのように、バルーン14の基端側にシャフト12の細径部40を挿入する。次に、図9Bのように、バルーン14の基端部とシャフト12の先端部(細径部40)とを融着によって接合する。
次に、工程は図示していないが、内管16に造影マーカー41を取り付ける。具体的には内管16より若干大きな内径を有する筒状の造影マーカー41を内管の外側に通し、内管16に芯金を挿入した後、造影マーカー41の全周を叩き(スウェージ工程)、造影マーカー41を縮径させ内管16に噛み込ませることで内管16に造影マーカー41を固定する。
次に、バルーン14と内管16とを接合する工程(バルーン・内管接合工程)を実施する(図10A及び図10B)。具体的には、図10Aのように、バルーン14及びシャフト12内に内管16を挿入する。次に、図10Bのように、バルーン14の先端部と内管16とを融着により接合する。
次に、先端チップ18と内管16とを接合する工程(先端チップ・内管接合工程)を実施する(図11A及び図11B)。具体的には、まず、内管16の先端部を切断して長さ調整をする(図11A)。次に、先端チップ18の基端部を内管16の先端部に外嵌合し、先端チップ18の基端部と内管16の先端部とを融着により接合する(図11B)。
なお、シャフト12の基端とハブ20の先端部とを接合する工程(シャフト・ハブ接合工程)の実施は、任意のタイミングで行うことができる。例えば、シャフト・ハブ接合工程の実施は、バルーン・シャフト接合工程の前でもよく、先端チップ・内管接合工程の後でもよく、あるいは、バルーン・シャフト接合工程と先端チップ・内管接合工程との間でもよい。
上述した製造方法において、各部材同士を接合する手段として、融着を例示したが、融着に代えて、接着等の他の接合手段を適用してもよい。
本実施形態に係るカテーテル10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、その作用及び効果について説明する。
カテーテル10を用いた治療は、例えば、以下のように行う。まず、血管内に発生した病変部(狭窄部)の形態を、血管内造影法や血管内超音波診断法により特定する。次に、例えばセルジンガー法によって経皮的に血管内にガイドワイヤ21を先行して導入するとともに、該ガイドワイヤ21を先端チップ18の先端開口部18aから内管16のワイヤ用ルーメン16aを挿通させて開口部22へと導出しつつカテーテル10を血管内へと挿入する。そして、X線透視下で、ガイドワイヤ21を目的とする病変部へ進め、その病変部を通過させて留置するとともに、カテーテル10をガイドワイヤ21に沿って進行させる。
カテーテル10の先端チップ18が病変部を通過すると、バルーン14が病変部に位置する。そして、ハブ20側から拡張用ルーメン12a内へと拡張用流体(例えば、造影剤)を圧送することにより、バルーン14が拡張して病変部が押し広げられ、これにより病変部の治療を行うことができる。次に、拡張用流体をバルーン14内から拡張用ルーメン12aを通ってハブ20側へと吸引し、バルーン14を再収縮させる。生体管腔内の別の箇所に治療を要する他の病変部がある場合には、バルーン14を当該他の病変部へ送達し、上記と同様にバルーン14を拡張及び収縮させる。治療対象のすべての病変部に対する処置を終えたら、カテーテル10を体外へと抜去する。
この場合、上述したように本実施形態に係るカテーテル10では、補強部材28によってバルーン14に高耐圧性及び低コンプライアンス性を付与することができるとともに、補強部材28がバルーン14に対して動きの自由度を有するため、バルーン14の良好な柔軟性を維持することができ、これにより生体管腔内での高い通過性を有するバルーン14を実現することができる。
また、このカテーテル10では、補強部材28の内外面を貫通する隙間33を介して内層24と外層26とを部分的に接合し且つ糸29(線状部材)に固定されない接合構造47が設けられていることにより、補強部材28の初期位置からの軸方向のずれが適度に抑制されている。従って、補強部材28が軸方向に大きくずれて内層24及び外層26の非補強部分が露出することがなく、これにより、補強部材28によるバルーン14の補強状態を好適に維持することができる。このため、バルーン14の拡張及び収縮を複数回繰り返した後であっても、バルーン14が低圧で破裂することがなく、カテーテル10を安定的に使用することができる。
接合構造47は、補強部材28の隙間33を貫通する1以上の融着部48を有し、線状部材は融着部48に対して可動である。この構成により、糸29が融着部48に引っ掛かることで補強部材28のずれが適度に抑制される。従って、接合構造47によって補強部材28を内層24及び外層26に固定することなく、補強部材28の軸方向のずれを効果的に抑制する構造を簡易に実現することができる。
本実施形態の場合、接合構造47は、補強部材28の第1端部31側の領域と、補強部材28の第2端部32側の領域のみに設けられている。この構成により、バルーンの良好な柔軟性を得つつ、補強部材28の軸方向のずれを効果的に抑制することができる。
本実施形態の場合、隙間33は、補強部材28の網目33aである。この構成により、補強部材28の網目33aを利用できるため、内層24と外層26とを接合するための専用の孔等を補強部材28に設ける必要がない。
本実施形態の場合、バルーン14は、弾力的な伸縮を伴って拡張・収縮するものであり、収縮状態で折り畳まれないゼロフォールディング型であるため、拡張後の再収縮時に元の外径に戻りやすい。従って、生体管腔内の異なる場所に生じた複数の病変部を同一のバルーン14で治療する場合に、再収縮後の外径が初期外径よりも大きくなることが抑制されるため、バルーン14の再収縮後でも生体管腔内での良好な通過性を維持できる。
加えて、弾力的伸縮性を有するバルーン14は、ブロー成形によることなく作製できるため、カテーテル10を簡便に製造することができる。すなわち、非伸縮性材料で構成されるバルーンの場合、バルーン素材の成形後にブロー成形を実施することにより、所望のバルーン形状に成形する必要があり、さらに、バルーンを収縮状態とするためにバルーンを折り畳む(バルーンの1以上の外周部を周方向に折り重ねる)ラッピング工程を実施する必要がある。これに対し、本実施形態のバルーン14の場合、上述した製造方法の説明から明らかなように、ブロー成形が不要であり、その後のラッピング工程も不要であることから、工程数を減らし、製造コストを低減することができる。
また、本実施形態の場合、補強部材28の第1端部31及び第2端部32は、拡張規制部36により、周方向及び径方向の拡張が規制されている(図2参照)。この構成により、補強部材28において、第1端部31と第2端部32との間に位置する中間部34の最大拡張径を効果的に規制することができ、補強部材28としての機能を好適に発揮することができる。
本実施形態の場合、補強部材28は、1以上の糸29を筒状に編むことによって形成され、軸方向に隣接する波形状の糸29同士が絡み合っている(図3A及び図3B参照)。この構成により、補強部材28は、周方向に圧縮されると糸29が周方向に畳まれ、軸方向に圧縮されると網目の糸29が軸方向にずれる。このため、補強部材28は柔軟に曲がることができる。
また、軸方向に隣接する蛇行する糸29同士が絡み合っている補強部材28は、糸29の絡み合いの部分が関節部として機能する。この構成により、補強部材28は糸29の絡み合いの部分の回転により屈曲可能であるため、バルーン14の柔軟性を一層高めることができる。
本実施形態の場合、補強部材28は、引張破断強度が2GPa以上、弾性率が50GPa以上の高強度繊維により形成される。この構成により、優れた高耐圧性及び低コンプライアンス性を備えたバルーン14を実現することができる。
また、本実施形態に係るカテーテル製造方法によれば、高耐圧性及び低コンプライアンス性とともに柔軟性を有し、且つバルーン14に対する補強部材28の軸方向ずれが抑制されていることにより、拡張及び収縮を複数回繰り返した後であっても低圧で破裂することがないバルーン14を備えたカテーテル10を製造することができる。
本実施形態の場合、融着工程では、液体57で濡れた補強部材28を内層24と外層26との間に配置した状態で、内層24及び外層26を加熱して融着する。これにより、融着工程において、液体57で濡れた補強部材28は、内層24及び外層26と融着することがない。よって、内層24と外層26は部分的に融着しているが、補強部材28は内層24と外層26に対して可動である構造を簡易に形成することができる。
また、本実施形態の場合、融着工程では、内層24及び外層26の軸方向の1以上の領域を選択的に加熱するので、バルーン14の良好な柔軟性を得つつ、補強部材28の軸方向のずれを効果的に抑制することができる。この場合、融着工程では、補強部材28の隙間33の箇所のみにレーザを照射して内層24と外層26とを融着すると、補強部材28を液体57で濡らすことなく、線状部材を避けた箇所で内層24と外層26とを融着することができる。
なお、図12に示すカテーテル10aのように、第1端部31側の領域と、第2端部32側の領域と、補強部材28の軸方向中央部に、融着部48が設けられてもよい。
図13に示すカテーテル10bのように、内層24と外層26との間の略全体(補強部材28の略全体)に亘って、接合構造47を構成する複数の融着部48が間隔を置いて分散配置されてもよい。このカテーテル10bを製造する場合、上述した融着工程では、内層24と外層26との間に液体57で濡れた補強部材28が配置された状態のバルーン14全体を加熱してよい。これにより、隙間33を介して内層24と外層26とを融着する融着工程を効率的に遂行できる。なお、融着工程において、バルーン14の全体を加熱することに代えて、バルーン14に対して、補強部材28の隙間33の箇所のみにレーザを照射することにより、隙間33を介して内層24と外層26とを融着してもよい。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10…カテーテル 12…シャフト
14…バルーン 16…内管
24…内層 26…外層
28…補強部材 29…糸
33…隙間 33a…網目
47…接合構造 48…融着部

Claims (9)

  1. 弾力的伸縮性をもつ筒状の内層及び外層を有し、内圧の変化によって拡張及び収縮が可能なバルーンと、
    前記内層と前記外層との間に、前記バルーンに対して規制された範囲内で可動に配置され、1以上の線状部材で形成された筒網状の構造をもつ補強部材と、を備え、
    前記補強部材の内外面を貫通する複数の隙間を介して前記内層と前記外層とを部分的に接合し且つ前記補強部材に固定されない接合構造が設けられていることにより、前記バルーンに対する前記補強部材の軸方向のずれが抑制されている、
    ことを特徴とするカテーテル。
  2. 請求項1記載のカテーテルにおいて、
    前記接合構造は、前記複数の隙間の各々を貫通する複数の融着部を有し、
    前記線状部材は前記融着部に対して可動である、
    ことを特徴とするカテーテル。
  3. 請求項1又は2記載のカテーテルにおいて、
    前記接合構造は、前記補強部材の第1端部側の領域と、前記補強部材の第2端部側の領域のみに設けられている、
    ことを特徴とするカテーテル。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のカテーテルにおいて、
    前記複数の隙間は、前記補強部材の網目である、
    ことを特徴とするカテーテル。
  5. 弾力的伸縮性をもつ筒状の内層及び外層を有し、内圧の変化によって拡張及び収縮が可能なバルーンと、前記内層と前記外層との間に前記バルーンに対して可動に配置され、1以上の線状部材で形成された筒網状の構造をもつ補強部材とを備えたカテーテルを製造するカテーテル製造方法であって、
    前記補強部材を前記内層と前記外層との間に配置する配置工程と、
    前記内層と前記外層に対して前記補強部材を固定することなく、前記補強部材の内外面を貫通する隙間を介して前記内層と前記外層とを部分的に融着する融着工程と、を含む、
    ことを特徴とするカテーテル製造方法。
  6. 請求項5記載のカテーテル製造方法において、
    液体で濡れた前記補強部材を提供する工程をさらに含み、
    前記融着工程では、前記液体で濡れた前記補強部材を前記内層と前記外層との間に配置した状態で、前記内層及び前記外層を加熱して融着する、
    ことを特徴とするカテーテル製造方法。
  7. 請求項6記載のカテーテル製造方法において、
    前記融着工程では、前記内層及び前記外層の軸方向の1以上の領域を選択的に加熱する、
    ことを特徴とするカテーテル製造方法。
  8. 請求項6又は7記載のカテーテル製造方法において、
    前記融着工程では、前記補強部材の前記隙間の箇所のみにレーザを照射して前記内層と前記外層とを融着する、
    ことを特徴とするカテーテル製造方法。
  9. 請求項6記載のカテーテル製造方法において、
    前記融着工程では、前記バルーンの全体を加熱する、
    ことを特徴とするカテーテル製造方法。
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