JP2011056148A - バルーンカテーテル - Google Patents

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Abstract

【課題】生体器官内への円滑な挿通と、先端部の変形の抑制とが可能なバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】バルーンカテーテル10は、ガイドワイヤ20を挿通するためのガイドワイヤチューブである内管24と、該内管24に接合され、該内管24の先端開口部よりも先端側に延びた先端チップ16と、内管24の外周面に接合されると共に、前記先端チップ16の一部に接合されたバルーン14とを備え、先端チップ16の最先端から、バルーン14の前記内管24への接合部のうちの先端側に位置した接合部Aまでの間の少なくとも一部の外周に、金属線40が巻回されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、生体器官内の狭窄部の処置等に用いられるバルーンカテーテルに関する。
例えば、心筋梗塞や狭心症の治療では、冠動脈の病変部(狭窄部)をバルーンカテーテルにより押し広げる方法が行われており、他の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の臓器等の生体器官内に形成された狭窄部の改善についても同様に行われることがある。
バルーンカテーテルは、一般的に、長尺なシャフト本体と、該シャフト本体の先端側に設けられて径方向に拡張するバルーンとを備えて構成され、先行するガイドワイヤが挿通されることで体内の狭窄部へと送られる。
特許文献1には、ガイドワイヤが挿通する内管の先端側近傍の外周にバルーンを設けたバルーンカテーテルにおいて、内管先端の外周にバルーンから延びた外管を拡径した環状領域を設け、該環状領域の内部にX線不透過マーカを収納した構成が開示されている。また、特許文献2には、バルーンカテーテルの内管とその先端部材との間に、柔軟なジョイントを介在した構成が開示されている。
米国特許第4571240号明細書 特開2004−209243号公報
上記特許文献1に記載の構成の場合、シャフト本体の先端部は、内管の外周面と外管の内周面との間にX線不透過マーカとしての金属板を収納しているため、実際上、該先端部はシャフト本体の他の部位よりも硬い構造となっている。また、上記特許文献2に記載の構成の場合にも、シャフト本体に柔軟なジョイントを介して接続された先端部は、シャフト本体の他の部位よりも硬い構造としている。これら従来技術によれば、シャフト本体の先端部を硬い構造としているため、硬い狭窄部等に対しても確実に通過(貫通)することが可能となっている。
一方、バルーンカテーテルの先端部は、先行して生体内に挿入されたガイドワイヤに沿って当該バルーンカテーテルを血管等に挿通させる際、より円滑な挿通を可能とするためには、シャフト本体よりも柔軟な構造であることが望ましい。ところが、先端部が柔軟な材質で形成されている場合には、バルーンカテーテルの挿通時の生体との接触、特に硬い狭窄部を通過(貫通)する際に、先端部に捲れや潰れ等の変形が生じ、円滑な挿通が困難になる可能性がある。特に、先端部にガイドワイヤ用の先端開口部が設けられたタイプのカテーテルでは、該先端開口部の端縁が径方向に拡がる捲れを生じる可能性が高い。
このような点につき、上記特許文献1に記載の構成では、先端部が硬いため、血管等の湾曲部や狭窄部の凹凸形状等によっては、カテーテルの円滑な挿通が却って難しくなる場合があると共に、硬い狭窄部に当たった際には、その外周を囲繞した外管が捲れる可能性がある。また、上記特許文献2に記載の構成では、ジョイント部によってある程度の円滑な挿通は可能であるものの、先端部自体は硬い構造であるため、狭窄部の凹凸形状等によっては円滑な挿通が困難となる可能性がある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、生体器官内への円滑な挿通と、先端部の変形の抑制とが可能なバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
本発明に係るバルーンカテーテルは、ガイドワイヤを挿通するためのガイドワイヤチューブと、前記ガイドワイヤチューブに接合され、該ガイドワイヤチューブの先端開口部よりも先端側に延びた先端チップと、前記ガイドワイヤチューブの外周面に接合されると共に、前記先端チップの一部に接合されたバルーンとを備え、前記先端チップの最先端から、前記バルーンの前記ガイドワイヤチューブへの接合部のうちの先端側に位置した先端接合部までの間の少なくとも一部の外周面に、金属線が巻回されていることを特徴とする。
このような構成によれば、バルーンカテーテルの進行方向で最先端となる先端チップを柔軟に構成した場合であっても、その外周面に巻回した金属線により当該先端チップの柔軟性を維持した状態で補強することができる。従って、先端チップの捲れや潰れ等の変形を抑え、硬い病変部等への通過性を向上させることができ、しかも生体器官内への円滑な挿通を確保することができる。
この場合、前記金属線は、前記先端チップの最先端から前記バルーンの先端側非拡張部の先端まで巻回されていると、金属線がバルーンの拡張を邪魔することがなく、且つ先端チップを十分に補強することができる。
前記金属線は、少なくとも一部が前記先端チップの外周面内に埋没していると、先端チップの外周面が滑らかになり、先端チップの体内や狭窄部へと一層円滑に挿通させることができる。
また、前記先端チップに巻回された前記金属線の外径と前記先端チップの外径とが、当該バルーンカテーテルの長軸方向に均一であると、金属線を巻回した先端チップの外周面を一層滑らかに構成することができ、体内や狭窄部への一層円滑な挿通が可能となる。なお、金属線の外径と先端チップの外径とがバルーンカテーテルの長軸方向に均一であるとは、実質的に金属線が先端チップの外周面から突出していない状態であればよく、多少の凹凸形状であれば問題なく用いることができる。
さらに、前記金属線は前記先端チップの外周に複数回巻回されており、前記先端チップに巻回された前記金属線同士の間隔が可変ピッチであってもよい。特に、前記金属線同士の間隔は、先端側よりも後端側が密になる可変ピッチであると、基端側に適度な強度(コシ)が得られ、且つ先端側に適度な柔軟性が得られるため、当該バルーンカテーテルの操作性や狭窄部の通過性を一層向上させることができる。
前記先端チップの最先端から前記金属線の最先端までの距離は、当該バルーンカテーテルの長軸方向での前記金属線の線幅以下であってもよい。そうすると、金属線より先端側の部位を可及的に縮小でき、先端チップの最先端での捲れ等を一層確実に防止することができる。
本発明によれば、バルーンカテーテルの進行方向で最先端となる位置に先端チップを設け、該先端チップの外周面に金属線を巻回することにより、当該先端チップの柔軟性を維持した状態で補強することができる。従って、生体器官内への円滑な挿通が可能でありながら、先端チップの捲れや潰れ等の変形を抑え、硬い病変部等への通過性を向上させることが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係るバルーンカテーテルの全体構成図である。 図1に示すバルーンカテーテルの先端側を拡大した構成図である。 図1に示すバルーンカテーテルの先端側を拡大した側面断面図である。 図1に示すバルーンカテーテルの先端側を拡大した斜視図である。 先端チップにらせん状のコイルを巻回した構成を示す側面図である。 先端チップにリングを巻回した構成を示す側面図である。 先端チップに巻回されるらせん状のコイルを可変ピッチとした構成例を示す側面図である。 先端チップに巻回される複数のリングを可変ピッチとした構成例を示す側面図である。 先端チップに巻回されるコイル及びリングの第1変形例の側面断面図である。 先端チップに巻回されるコイル及びリングの第2変形例の側面断面図である。 先端チップに巻回されるコイル及びリングの第3変形例の側面断面図である。 先端チップに巻回されるコイル及びリングの第4変形例の側面断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るバルーンカテーテルの先端側を拡大した側面断面図である。
以下、本発明に係るバルーンカテーテルについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るバルーンカテーテル10の全体構成図であり、図2は、図1に示すバルーンカテーテル10の先端側を拡大した構成図である。本実施形態に係るバルーンカテーテル10は、長尺なシャフト本体12を生体器官、例えば冠動脈に挿通させ、その先端側に設けられたバルーン14を狭窄部(病変部)で拡張させることで該狭窄部を押し広げて治療する、いわゆるPTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:経皮的冠動脈形成術)拡張カテーテルである。本発明は、このようなPTCA拡張カテーテル以外のもの、例えば、他の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の臓器等の生体器官内に形成された病変部の改善のためのカテーテルにも適用可能である。
図1及び図2に示すように、バルーンカテーテル10は、細径で長尺なシャフト本体12と、シャフト本体12の最先端に固着された先端チップ16と、先端チップ16の基端側に設けられたバルーン14と、シャフト本体12の基端側に設けられたハブ18とを備える。
本実施形態では、シャフト本体12の中間部のやや先端側寄りにガイドワイヤ20が導出される開口部22を設けた、いわゆるラピットエクスチェンジタイプと呼ばれるバルーンカテーテル10を例示して説明するが、本発明は他の種類、例えばシャフト本体12の基端側のハブ18にガイドワイヤ用の開口部を設けたオーバーザワイヤタイプ等にも適用可能である。なお、図1及び図2において、シャフト本体12の右側(ハブ18側)を「基端(後端)」側、シャフト本体12の左側(先端チップ16及びバルーン14側)を「先端」側と呼び、他の各図についても同様とする。
図3は、図1に示すバルーンカテーテル10の先端側を拡大した側面断面図であり、バルーン14が拡張された状態を示している。図1〜図3に示すように、シャフト本体12は、ガイドワイヤ20が挿通されるワイヤ用ルーメン24aを形成した内管(ガイドワイヤチューブ)24と、バルーン14の拡張用流体を供給するための拡張用ルーメン26aを内管24の外周面との間に形成した外管26とから構成される同心二重管である。
内管24は、その先端が先端チップ16の略中央に位置すると共に、バルーン14及び外管26内を延在し、その基端が外管26の中間部に形成された開口部22に液密に接合されている。従って、先端チップ16の先端開口部16aを入口として挿入されたガイドワイヤ20は、内管24のワイヤ用ルーメン24aを先端側から基端側へと挿通し、出口である開口部22から導出される。
外管26は、バルーン14の後端からハブ18の先端まで延びており、先端から開口部22までの部位は内管24との間に拡張用ルーメン26aを形成する二重管であり、開口部22からハブ18までの部位は一重管である。外管26は、ハブ18に設けられるルアーテーパー18a等によって図示しないインデフレーター等の圧力印加装置から圧送される拡張用流体をバルーン14まで送液可能となっている。
内管24は、例えば、外径が0.1〜1.0mm程度、好ましくは0.3〜0.7mm程度であり、肉厚が10〜150μm程度、好ましくは20〜100μm程度であり、長さが100〜2000mm程度、好ましくは150〜1500mm程度のチューブであり、先端側と基端側とで外径や内径が異なるものでもよい。外管26は、例えば、外径が0.3〜3.0mm程度、好ましくは0.5〜1.5mm程度であり、肉厚が約10〜150μm程度、好ましくは20〜100μm程度、長さが300〜2000mm程度、好ましくは700〜1600mm程度のチューブであり、先端側と基端側とで外径や内径が異なるものでもよい。
これら内管24及び外管26は、術者が基端側を把持及び操作しながら、長尺なシャフト本体12を血管等の生体器官内へと円滑に挿通させることができるために、適度な可撓性と適度な強度(コシ。剛性)を有する構造であることが好ましい。そこで、内管24及び外管26は、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、或いはこれら二種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂等の高分子材料或いはこれらの混合物、或いは上記2種以上の高分子材料の多層チューブ等で形成するとよい。なお、外管26は、例えば、先端から開口部22付近までの柔軟な先端側部位26bと、ハブ18と接合される部分を含む比較的剛性の高い基端側部位26cと、これら先端側部位及び基端側部位を繋ぐ中間的な剛性の中間部位26dとを備えた構成とし、操作性を一層向上させるように構成することもできる(図1参照)。
バルーン14は、内圧の変化により折り畳み及び拡張が可能であり、図2及び図3に示すように、拡張用ルーメン26aを介して内部に注入される拡張用流体により筒状(円筒状)に拡張する筒部28と、筒部28の先端側で漸次縮径する先端テーパ部30と、筒部28の基端側で漸次縮径する基端テーパ部32とを有する。
バルーン14は、先端テーパ部30の先端側に設けられた円筒状の先端側非拡張部34が内管24の外周面に液密に接合され、基端テーパ部32の基端側に設けられた円筒状の基端側非拡張部36が外管26の先端部に液密に接合されることで、シャフト本体12に固着されている。先端側非拡張部34の内径は、内管24の外径に略一致しており、基端側非拡張部36の外径は、外管26の外径に略一致している。バルーン14と内管24(外管26)とは、液密に固着されればよく、例えば接着や熱融着によって接合される。
バルーン14の拡張時の大きさは、例えば、筒部28の外径が1.5〜6mm程度、好ましくは2〜4mm程度であり、長さが10〜50mm程度、好ましくは10〜40mm程度である。また、先端側非拡張部34の外径は、0.5〜1.5mm程度、好ましくは0.6〜1.3mm程度であり、先端チップ16の外径と略同一とされ、長さは1〜5mm程度、好ましくは1〜2.0mm程度である。基端側非拡張部36の外径は0.5〜1.6mm程度、好ましくは0.7〜1.5mm程度であり、長さは1〜5mm程度、好ましくは2〜4mm程度である。さらに先端テーパ部30及び基端テーパ部32の長さは1〜10mm程度、好ましくは3〜7mmで程度である。
このようなバルーン14は、内管24及び外管26と同様に適度な可撓性が必要とされると共に、狭窄部を確実に押し広げることできる程度の強度が必要であり、その材質は、例えば、上記にて例示した内管24及び外管26のものと同一でよく、勿論他の材質であってもよい。
図3及び図4に示すように、先端チップ16は、その外径がバルーン14の先端側非拡張部34と略同一とされ、その内径が内管24の外径と略同一とされた短尺なチューブであり、例えば、軸線方向の長さLが0.5〜10mm程度である。先端チップ16は、内管24の先端部に外嵌及び液密に接合されてワイヤ用ルーメン24aの先端開口部よりも先端側に突出すると共に、その基端面がバルーン14の先端側非拡張部34の先端面に接合されている。図3から諒解されるように、先端チップ16の先端開口部16aは、内管24のワイヤ用ルーメン24aに連通し、ガイドワイヤ20の入口となっている。
先端チップ16は、その材質や形状を適宜設定することにより、少なくとも内管24(外管26)よりも柔軟に構成され、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、或いはこれら二種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂等の高分子材料或いはこれらの混合物、或いは上記2種以上の高分子材料の多層チューブ等で形成するとよい。このような先端チップ16は、バルーンカテーテル10の最先端として生体器官内での湾曲部や凹凸部等を柔軟に進むと共に、狭窄部(病変部)を貫通し、当該バルーンカテーテル10の円滑な挿通を先導するための部位である。なお、先端チップ16が内管24(外管26)よりも柔軟な構成(構造)であるとは、単に材質的に柔軟に構成される場合は勿論、それ以外、例えば、バルーンカテーテル10を生体内に進入させている際に先端チップ16が硬い病変部等に当接した際、内管24(外管26)よりも先端チップ16が先に撓み始める程度に柔軟に構成されるような場合等を含んでもよい。また、先端チップ16と、内管24、外管26及びバルーン14とを同じ材質、例えばポリアミドエラストマーで形成した場合であっても、図3等から諒解されるように、先端に突出し且つその突出部が一重管からなる先端チップ16が、実際上、内管24、外管26及びバルーン14からなる二重管の部位よりも構造的に柔軟であるような場合等を含んでもよい。
図3及び図4に示すように、先端チップ16の外周面には、金属線40が複数回巻回されたコイル42が設けられている。コイル42は、柔軟な構成でありながら先端側に突出している先端チップ16について、その柔軟な構成を保持しつつ補強する補強部材である。金属線40は、その軸線方向(先端チップ16への周回方向)に直交する断面が扁平した矩形帯状の線であり、例えば、ステンレス鋼や白金、金等によって形成され、幅Wが0.01〜0.5mm程度である。なお、図4では、理解の容易のため、金属線40に点模様を記している。
本実施形態の場合、コイル42は、金属線40をらせん状に複数回巻回して形成されているが(図5参照)、金属線40により形成したリング44を先端チップ16の軸線方向に複数個並列したものや(図6参照)、編込みによるメッシュ状のものであってもよい。この場合、バルーンカテーテル10を体内に挿通させる際の操作感やトルク伝達性、さらにねじり方向に対する強度は、図5に示すらせん状のものや編込みによるものの方が良好であり、らせん状のものでは構成部材も1本の金属線40のみでよいという利点があるが、図6に示すようにリング44を並列した構成の場合には、小径且つ短尺な先端チップ16への巻き掛け作業が簡便となるという利点がある。リング44は、金属線40の長手方向両端を溶接等で連結したもの以外にも、例えば、金属線40の長手方向両端が多少離間したものや、らせん状のコイル42の略一巻分を切断したもの等であってもよい。
次に、以上のように構成される本実施形態に係るバルーンカテーテル10の作用について説明する。
先ず、冠動脈内等に発生した狭窄部(病変部)の形態を、血管内造影法や血管内超音波診断法により特定する。次に、例えばセルジンガー法によって大腿部等から経皮的に血管内にガイドワイヤ20を先行して導入すると共に、該ガイドワイヤ20を先端チップ16の先端開口部16aから内管24のワイヤ用ルーメン24aを挿通させて開口部22へと導出しつつバルーンカテーテル10を冠動脈内へと挿入する。そして、X線透視下で、ガイドワイヤ20を目的とする狭窄部へ進め、その狭窄部を通過させて留置すると共に、バルーンカテーテル10をガイドワイヤ20に沿って冠動脈内に進行させる。そうすると、バルーンカテーテル10の先端チップ16が狭窄部に到達して通過(貫通)し、バルーン14が狭窄部に位置するため、ハブ18側から拡張用ルーメン26a内へと拡張用流体(例えば、造影剤)を圧送することにより、バルーン14が拡張して狭窄部が押し広げられ、所定の治療を行うことができる。
ところで、処置する狭窄部が相当に硬い場合等には、バルーンカテーテル10の最先端を構成する先端チップ16が、その先端開口部16aの端縁等から捲れや潰れを生じて変形し、その後方にあるバルーン14を狭窄部に適切に配置することが困難となる場合がある。また、処置する狭窄部の凹凸形状等が複雑且つ硬い場合等には、該凹凸形状に沿って柔軟に先端チップ16を通過させる必要が生じることもある。
そこで、本実施形態に係るバルーンカテーテル10では、先端チップ16を柔軟に構成すると共に、その外周面に金属線40を巻回したコイル42(リング44)を設けている。すなわち、先端チップ16はコイル42により補強(特に径方向に対して補強)されており、また金属線40は細くコイル42全体として弾性体を構成し、径方向に適度な弾性を有している。このため、上記した先端チップ16の捲れや潰れ等の変形が抑制され、硬い狭窄部への貫通性が向上し、硬く狭い隙間であっても容易に通過することができる。さらに、コイル42を構成する金属線40はバルーンカテーテル10の進行方向(長軸方向)に所定間隔を空けて並列されているため、該進行方向に交差する方向(首振り方向)での柔軟性が損なわれることはなく、狭窄部の凹凸形状や血管内での湾曲部等に対しても円滑に通過させることができる。
先端チップ16を補強するコイル42(リング44)の金属線40は、少なくとも先端チップ16の最先端から、該先端チップ16の接合部、つまりバルーン14の先端側非拡張部34の内管24への接合部(先端接合部)A(図3参照)までの間の少なくとも一部の外周に巻回されていれば、上記した変形を防止することができる。なお、本実施形態では、先端チップ16は先端開口部16aで開口しており、該先端開口部16aの端縁から捲れ等を生じる可能性が高い。そこで、金属線40は、少なくとも先端チップ16の最先端(先端開口部16a)の端縁を周回して一巻のみされていれば捲れ等の防止効果を十分に得ることができるが、好ましくは、先端チップ16の最先端から外周面後端(バルーン14の先端側非拡張部34の先端)まで複数回巻回されていることが好ましい(図3参照)。
金属線40は、予め先端チップ16の外周面に巻回しておいてもよいが、先端チップ16を内管24等に接合した後、巻き付けてもよい。また、先端チップ16の外周面だけでなく、バルーン14の先端側非拡張部34の外周面まで金属線40を巻き付けてもよいが、バルーン14の拡張を邪魔しないため、先端テーパ部30に金属線40がかからない必要がある。
図7及び図8に示すように、コイル42やリング44を構成する金属線40の先端チップ16への巻き掛けピッチは可変ピッチとすることもできる。可変ピッチにする場合には、先端側の金属線40同士のピッチ(間隔)P1よりも基端側のピッチP2を狭くするとよく、好ましくは、金属線40同士の間隔が先端側から基端側へと次第に狭くなるように、つまり先端側から基端側へとピッチが粗から密になるようにするとよい。このように、先端側よりも基端側で金属線40同士の間隔を狭幅にすると、基端側に適度な強度(コシ)が得られ、且つ先端側に適度な柔軟性が得られるため、当該バルーンカテーテル10の操作性や狭窄部の通過性を一層向上させることができる。勿論、当該バルーンカテーテル10の使用条件等によっては、先端側よりも基端側で前記巻き掛けピッチが次第に広くなるように構成し、先端側の強度をより高めることで、先端チップ16の狭窄部への貫通性を高めてもよい。
なお、金属線40が先端チップ16の最先端に巻回されているとは、図9に示すように、最先端から微小な距離L2だけ後方にオフセットして巻回されている状態も含むものとする。上記のように、先端チップ16は、外径0.5〜1.5mm程度で長さLが0.5〜10mm程度の非常に小さく精密な形状であり、金属線40をその最先端に確実に巻回させることが難しい場合もあり、換言すれば、最先端から距離L2だけ後方から巻回するように構成すれば、製造が一層容易となり生産効率が向上するからである。但し、上記のように先端開口部16aでの捲れ等を確実に防止する観点から、前記距離L2は、例えば金属線40の幅Wよりも小さく設定されることが好ましい(図9参照)。
図3に示すように、金属線40は、先端チップ16の外周面内に埋没しており、これにより先端チップ16の外径と当該金属線40を巻回したコイル42(リング44)の外径とが、バルーンカテーテル10の長軸方向に均一(略均一)となり、当該先端チップ16の外周面が面一の滑らかな形状となっている。このため、先端チップ16を一層円滑に体内へと挿通させることができる。金属線40は、柔軟な材質の先端チップ16の外周面に圧入して埋め込むように巻き掛けてもよいし、先端チップ16の外周面に予めコイル42やリング44に対応した溝部を形成しておいてもよい。
図10に示すように、金属線40は、先端チップ16の外周面に一部のみが埋没した状態で巻回されていてもよく、図11及び図12に示すように、完全に又はほとんど埋没することなく先端チップ16の外周面に巻回されていてもよい。これらの構成によれば、図3及び図9に示すように金属線40を先端チップ16の外周面内に完全に埋没させた構成に比べ、体内への挿入の円滑さ等では劣る可能性がある。しかしながら、上記のように非常に小さく精密な先端チップ16へのコイル42(リング44)の巻き掛け作業が一層容易となることから、当該バルーンカテーテル10の使用条件等によっては有効に用いることができる。
また、金属線40を金や白金等からなるX線(放射線)不透過性を有する材質(放射線不透過性材)や、これらを含むステンレス鋼等で構成すれば、先端チップ16の位置、つまりバルーンカテーテル10の最先端の位置をX線撮影により確実に視認することができ、特別にX線不透過マーカのような部材を設けることも不要となる。
図13は、本発明の第2の実施形態に係るバルーンカテーテル50の先端側を拡大した側面断面図である。図13中、図1〜図12に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略する。
本実施形態に係るバルーンカテーテル50は、上記第1の実施形態に係るバルーンカテーテル10と比較して、先端チップの接合構造が異なっている。すなわち、バルーンカテーテル50を構成する先端チップ52は、その基端側がバルーン14の先端側非拡張部34内に挿入されて接合されると共に、その基端面が内管24の先端面に接合されている。従って、内管24等を上記第1の実施形態に係るバルーンカテーテル10の場合と同径に構成した場合、先端チップ52は、先端チップ16よりも小径に構成される一方、その長軸方向での長さLは多少長く、例えば0.7〜15mm程度に構成される。
このようなバルーンカテーテル50では、先端チップ52をより小径に構成することができるため、狭窄部や体内へと一層円滑に先端チップ52を挿通させることができ、狭窄部での貫通性も向上する。なお、先端チップ52をより小径に構成しても、その長さLが多少長く設定されるため、バルーン14及び内管24への接合工程や金属線40の巻き掛け工程での作業性が低下することはほとんどない。
本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至工程を採り得ることは勿論である。
例えば、コイル42やリング44を構成する金属線40は、断面が扁平な矩形以外の形状、例えば円形や楕円形等であってもよく、要は先端チップ16、52を補強することができる構成であればよい。
また、先端チップ16、52のシャフト本体12への接合方法としては、上記第1及び第2の実施形態に係る接合構造(図3及び図13参照)以外であってもよいことは勿論であり、先端チップは、シャフト本体の最先端で先端側へと突出して接合されていればよい。
10、50…バルーンカテーテル 12…シャフト本体
14…バルーン 16、52…先端チップ
16a…先端開口部 18…ハブ
20…ガイドワイヤ 24…内管
26…外管 40…金属線
42…コイル 44…リング

Claims (8)

  1. ガイドワイヤを挿通するためのガイドワイヤチューブと、
    前記ガイドワイヤチューブに接合され、該ガイドワイヤチューブの先端開口部よりも先端側に延びた先端チップと、
    前記ガイドワイヤチューブの外周面に接合されると共に、前記先端チップの一部に接合されたバルーンと、
    を備え、
    前記先端チップの最先端から、前記バルーンの前記ガイドワイヤチューブへの接合部のうちの先端側に位置した先端接合部までの間の少なくとも一部の外周面に、金属線が巻回されていることを特徴とするバルーンカテーテル。
  2. 請求項1記載のバルーンカテーテルにおいて、
    前記金属線は、前記先端チップの最先端から前記バルーンの先端側非拡張部の先端まで巻回されていることを特徴とするバルーンカテーテル。
  3. 請求項1又は2記載のバルーンカテーテルにおいて、
    前記金属線は、少なくとも一部が前記先端チップの外周面内に埋没していることを特徴とするバルーンカテーテル。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルにおいて、
    前記先端チップに巻回された前記金属線の外径と前記先端チップの外径とは、当該バルーンカテーテルの長軸方向に均一であることを特徴とするバルーンカテーテル。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルにおいて、
    前記金属線は前記先端チップの外周に複数回巻回されており、前記先端チップに巻回された前記金属線同士の間隔が可変ピッチであることを特徴とするバルーンカテーテル。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルにおいて、
    前記先端チップの最先端から前記金属線の最先端までの距離は、当該バルーンカテーテルの長軸方向での前記金属線の線幅以下であることを特徴とするバルーンカテーテル。
  7. 請求項5記載のバルーンカテーテルにおいて、
    前記金属線同士の間隔は、先端側よりも後端側が密になる可変ピッチであることを特徴とするバルーンカテーテル。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のバルーンカテーテルにおいて、
    前記先端チップは、前記ガイドワイヤチューブよりも柔軟な材質で形成されていることを特徴とするバルーンカテーテル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2018193598A1 (ja) * 2017-04-20 2020-04-23 朝日インテック株式会社 カテーテル
JP7514309B2 (ja) 2020-02-27 2024-07-10 ゼルティス アーゲー 吻合術用の医療機器

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