JP2011156115A - 医療用器具 - Google Patents

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克彦 清水
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Abstract

【課題】X線造影下でカテーテルの位置を正確に把握することができ、しかも生体器官内への円滑な挿通が可能となる医療用器具を提供する。
【解決手段】カテーテル・ガイドワイヤ組立体10は、外管26と、内管24と、先端側が内管24の先端側に取り付けられ且つ基端側が外管26の先端側に取り付けられたバルーンカテーテル12と、内管24内に挿通されるガイドワイヤ14とを備える。カテーテル12は、バルーン17と外管26の接合部28から基端側にのみ配置されるX線不透過マーカMc1を有し、ガイドワイヤ14は、その長軸方向に配置される少なくとも第1及び第2のX線不透過マーカMg1及びMg2を有し、ガイドワイヤ14に配置される第1のX線不透過マーカMg1から第2のX線不透過マーカMg2までの距離と、カテーテル12に配置されるX線不透過マーカMc1から該カテーテル12の最先端までの距離とが実質的に等しく構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、生体器官内の狭窄部の処置等に用いられるバルーンを有するカテーテルと、該カテーテルのバルーンを狭窄部まで導くガイドワイヤとを組み合わせて構成した医療用器具に関する。
例えば、心筋梗塞や狭心症の治療では、冠動脈の病変部(狭窄部)をカテーテルの先端側に設けたバルーンにより押し広げる方法が行われており、他の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の臓器等の生体器官内に形成された狭窄部の改善についても同様に行われることがある。
このようなカテーテルは、一般に、長尺なシャフト本体と、該シャフト本体の先端側に設けられて径方向に拡張するバルーンとを備えて構成され、先行するガイドワイヤが挿通されることで体内の狭窄部へと送られる。この際、X線を透過しない金や白金等で形成されたX線不透過マーカ(造影マーカ)をバルーンの近傍に設けておき、該X線不透過マーカをX線で造影しながら、バルーンを目的とする狭窄部に配置することが行われている。
特許文献1には、X線透視下で病変部の長さ(病変長)を高精度に測定するために、バルーン内に2つのX線不透過マーカを配置したカテーテルと、このバルーン内のX線不透過マーカの間隔に対応可能な所定間隔でX線不透過マーカを複数配置したガイドワイヤとを有する医療用器具が開示されている。
特開2007−20885号公報
ところで、この種のカテーテルは、凹凸形状の狭窄部や屈曲した部位を円滑に通過するために、その先端からバルーンまでの部位が柔軟に形成されていることが好ましい。従って、硬い金属材料からなるX線不透過マーカをカテーテルの最先端に配置することは避ける必要があるが、そうするとX線透視下でカテーテルの最先端位置を視認することができず、体内で末梢の血管等を確実に避けながら円滑に進めることが難しい。
上記特許文献1の構成の場合、カテーテルの最先端にX線不透過マーカを設けていないが、カテーテル側のX線不透過マーカがバルーン内に配置されている。すなわち、バルーン内にX線不透過マーカによる硬い凸部が存在しており、カテーテルを狭窄部に進める際、狭窄部の凹凸形状をバルーンが円滑に通過できない可能性がある。しかも、バルーンを石灰化した硬い狭窄部等を通過させる際には、この硬い狭窄部と硬いX線不透過マーカとが折り畳まれたバルーン素材を介して互いに擦れ合うことがあり、その結果、バルーンが損傷して拡張ができなくなる可能性もある。
本発明はこのような従来の課題を考慮してなされたものであり、X線造影下でカテーテルの位置を正確に把握することができ、しかも生体器官内への円滑な挿通が可能となる医療用器具を提供することを目的とする。
本発明に係る医療用器具は、外管シャフトと、前記外管シャフト内に配置された内管シャフトと、先端側が前記内管シャフトの先端側に取り付けられ且つ基端側が前記外管シャフトの先端側に取り付けられ、筒部とテーパ部を有するバルーンとを有するカテーテルと、前記内管シャフト内に挿通されることで、前記カテーテルの前記バルーンを狭窄部まで導くガイドワイヤとを備えた医療用器具であって、前記カテーテルは、前記バルーンと前記外管シャフトの接合部から基端側にのみ配置される少なくとも1つのX線不透過マーカを有し、前記ガイドワイヤは、その長軸方向に配置される少なくとも第1及び第2のX線不透過マーカを有し、前記ガイドワイヤに配置される前記第1のX線不透過マーカから前記第2のX線不透過マーカまでの距離と、前記カテーテルに配置される前記X線不透過マーカから該カテーテルの最先端又は前記バルーンのテーパ部の最先端又は前記バルーンの筒部の先端までの距離とが実質的に等しいことを特徴とする。
このような構成によれば、術者は、X線造影下でガイドワイヤの基端側に設置される第2のX線不透過マーカに対してカテーテルのX線不透過マーカの位置を一致させることにより、ガイドワイヤの第1のX線不透過マーカの位置とカテーテルの最先端又はバルーンのテーパ部の最先端や筒部の先端の位置とを一致させることができる。すなわち、前記一致させたX線不透過マーカの先端側で撮像されるガイドワイヤの第1のX線不透過マーカの位置にカテーテルの最先端があり、その間にバルーンがあること、又は第1のX線不透過マーカの位置にバルーンのテーパ部の最先端や筒部の先端があることを容易に認識することができる。従って、生体内でカテーテルの先端を末梢の血管等に突き当てず、これらを容易に避けながら円滑に進めることができると共に、カテーテルの先端を狭窄部に対して円滑に通過させて、バルーンを狭窄部に正確に配置することができる。しかも、カテーテルのX線不透過マーカは、バルーンと外管シャフトの接合部から基端側にのみ配置され、つまりバルーンの内部にX線不透過マーカが配置されないため、バルーンから先端側を柔軟に構成しておくことができ、石灰化して硬く且つ凹凸形状のある狭窄部等に対しても、バルーンを円滑に挿通及び配置することができる。
この場合、前記ガイドワイヤに配置される前記第1のX線不透過マーカの基端から前記第2のX線不透過マーカの基端までの距離と、前記カテーテルに配置される前記X線不透過マーカの基端から該カテーテルの最先端又は前記バルーンのテーパ部の最先端又は前記バルーンの筒部の先端までの距離とが実質的に等しく設定されていてもよい。そうすると、X線造影下でX線不透過マーカの基準となる位置を容易に把握することができるため、上記したカテーテル最先端位置やバルーン先端位置の把握を一層容易に且つ一層正確に行うことができる。
前記ガイドワイヤは、その長軸方向に第3のX線不透過マーカを有し、前記第1のX線不透過マーカから前記第2のX線不透過マーカまでの距離と、前記第2のX線不透過マーカから前記第3のX線不透過マーカまでの距離とが実質的に等しく構成されていてもよい。これにより、カテーテル側のX線不透過マーカをガイドワイヤ側のX線不透過マーカに対して一層容易に一致させることができる。
前記第1のX線不透過マーカは、前記ガイドワイヤにおいて最も先端側に配置されると共に、該ガイドワイヤに配置される他のX線不透過マーカと異なる寸法又は形状であると、ガイドワイヤの最も先端側に配置された第1のX線不透過マーカを容易に判別することができるため、カテーテルのX線不透過マーカの位置を誤ってガイドワイヤの最先端にある第1のX線不透過マーカの位置に一致させてしまい、カテーテルの最先端及びバルーンの位置把握が困難になることを有効に防止することができる。
本発明によれば、ガイドワイヤに配置される第1のX線不透過マーカから第2のX線不透過マーカまでの距離と、カテーテルに配置されるX線不透過マーカから該カテーテルの最先端又は前記バルーンのテーパ部の最先端や筒部の先端までの距離とが実質的に等しく設定されることにより、術者は、X線造影下でガイドワイヤの基端側に設置される第2のX線不透過マーカに対してカテーテルのX線不透過マーカの位置を一致させることにより、該一致させたX線不透過マーカの先端側で撮像されるガイドワイヤの第1のX線不透過マーカの位置にカテーテルの最先端があり、その間にバルーンがあること、又は第1のX線不透過マーカの位置にバルーンのテーパ部の最先端や筒部の先端があることを容易に認識することができる。しかも、カテーテルのX線不透過マーカは、バルーンと外管シャフトの接合部から基端側にのみ配置され、つまりバルーンの内部にX線不透過マーカが配置されないため、バルーンから先端側を柔軟に構成しておくことができ、石灰化して硬く且つ凹凸形状のある狭窄部等に対しても、バルーンを円滑に挿通及び配置することができる。
本発明の第1の実施形態に係る医療用器具であるカテーテル・ガイドワイヤ組立体の全体構成図である。 図1に示す組立体のカテーテルとガイドワイヤとを平行に並べた状態での一部省略側面断面図である。 図3Aは、第1マーカと第2ガイドマーカの軸方向位置を一致させた状態での要部を拡大した側面断面図であり、図3Bは、第1マーカと第3ガイドマーカの軸方向位置を一致させた状態での要部を拡大した側面断面図である。 図2に示す組立体の変形例に係る組立体の側面断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る組立体の先端側を拡大した側面断面図である。
以下、本発明に係る医療用器具について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る医療用器具であるカテーテル・ガイドワイヤ組立体10の全体構成図である。図2は、図1に示すカテーテル・ガイドワイヤ組立体10のカテーテル12とガイドワイヤ14とを平行に並べた状態での一部省略側面断面図であり、ガイドワイヤ14は断面図ではなく側面図として図示している。
本実施形態に係るカテーテル・ガイドワイヤ組立体10(以下、単に「組立体10」ともいう)は、先行して挿入されたガイドワイヤ14に沿ってカテーテル12を体内へと導入し、該カテーテル12のシャフト本体13の先端側に設けられたバルーン17を狭窄部(病変部、病変狭窄部)に配置・拡張させることで該狭窄部を押し広げて治療する、いわゆるPTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty:経皮的冠動脈形成術)拡張カテーテルである。本発明は、このようなPTCA拡張カテーテル以外のもの、例えば、他の血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の臓器等の生体器官内に形成された病変部の改善のためのカテーテルにも適用可能である。
図1及び図2に示すように、カテーテル12は、細径で長尺なシャフト本体13と、シャフト本体13の最先端に固着された先端チップ16と、先端チップ16の基端側に設けられたバルーン17と、シャフト本体13の基端側に設けられたハブ18とを備える。
本実施形態では、シャフト本体13の中間部のやや先端側寄りにガイドワイヤ14が導出される基端側開口部22を設けた、いわゆるラピッドエクスチェンジタイプと呼ばれるバルーンカテーテルを例示するが、本発明は他の種類、例えばシャフト本体13の基端側のハブ18にガイドワイヤ用の開口部を設けたオーバーザワイヤタイプ等にも適用可能である。なお、図1及び図2において、シャフト本体13の右側(ハブ18側)を「基端(後端)」側、シャフト本体13の左側(先端チップ16及びバルーン17側)を「先端」側と呼び、他の各図についても同様とする。
図2に示すように、シャフト本体13は、ガイドワイヤ14が挿通されるワイヤ用ルーメン24aを形成した内管(内管シャフト、ガイドワイヤチューブ)24と、バルーン17へと拡張用流体(例えば、造影剤)を供給するための拡張用ルーメン26aを内管24の外周面との間に形成した外管(外管シャフト)26とから構成される同心二重管である。さらに、シャフト本体13において、バルーン17の基端側(本実施形態ではバルーン17の拡張部位の基端側)の内管24の外面上には、X線不透過マーカMc1(以下、「第1マーカMc1」という)が設けられている。
内管24は、その先端が先端チップ16の略中央に位置すると共に、バルーン17及び外管26内を延在し、その基端が外管26の中間部に液密に接合されて外部に開口した基端側開口部22を形成している。従って、先端チップ16の先端側開口部を入口として挿入されたガイドワイヤ14は、内管24のワイヤ用ルーメン24aを先端側から基端側へと挿通し、出口である基端側開口部22から導出される。
外管26は、バルーン17の後端からハブ18の先端まで延びており、先端から基端側開口部22までの部位は内管24との間に拡張用ルーメン26aを形成する二重管を構成し、基端側開口部22からハブ18までの部位は一重管である。外管26は、ハブ18に設けられるルアーテーパー18a等によって図示しないインデフレーター等の圧力印加装置から圧送される拡張用流体をバルーン17まで送液可能となっている。
内管24は、例えば、外径が0.1mm〜1mm程度、好ましくは0.3〜0.7mm程度であり、肉厚が10μm〜150μm程度、好ましくは20μm〜100μm程度であり、長さが100mm〜2000mm程度、好ましくは150mm〜1500mm程度のチューブであり、先端側と基端側とで外径や内径が異なるものでもよい。外管26は、例えば、外径が0.3mm〜3mm程度、好ましくは0.5mm〜1.5mm程度であり、肉厚が約10μm〜150μm程度、好ましくは20μm〜100μm程度、長さが300mm〜2000mm程度、好ましくは700mm〜1600mm程度のチューブであり、先端側と基端側とで外径や内径が異なるものでもよい。
これら内管24及び外管26は、術者が基端側を把持及び操作しながら、長尺なシャフト本体13を血管等の生体器官内へと円滑に挿通させることができるために、適度な可撓性と適度な強度(コシ。剛性)を有する構造であることが好ましい。そこで、内管24及び外管26は、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、或いはこれら二種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂等の高分子材料或いはこれらの混合物、或いは上記2種以上の高分子材料の多層チューブ等で形成するとよい。
バルーン17は、内圧の変化により折り畳み及び拡張が可能であり、図2に示すように、拡張用ルーメン26aを介して内部に注入される拡張用流体により筒状(円筒状)に拡張する筒部(ストレート部)17aと、筒部17aの先端側で漸次縮径する先端テーパ部17bと、筒部17aの基端側で漸次縮径する基端テーパ部17cとを有する。
バルーン17は、先端テーパ部17bの先端側に設けられた円筒状の先端側非拡張部17dが内管24の外周面に液密に接合され、基端テーパ部17cの基端側に設けられた円筒状の基端側非拡張部17eが接合部28にて外管26の先端部に液密に接合されることで、シャフト本体13に固着されている。先端側非拡張部17dの内径は、内管24の外径に略一致しており、基端側非拡張部17eの外径は、外管26の外径に略一致している。バルーン17と内管24(外管26)とは、液密に固着されればよく、例えば接着や熱融着によって接合される。
バルーン17の拡張時の大きさは、例えば、筒部17aの外径が1mm〜6mm程度、好ましくは1mm〜5mm程度であり、長さが5mm〜50mm程度、好ましくは5mm〜40mm程度である。また、先端側非拡張部17dの外径は、0.5mm〜1.5mm程度、好ましくは0.6mm〜1.3mm程度であり、先端チップ16の外径と略同一とされ、長さは1mm〜5mm程度、好ましくは1mm〜2.0mm程度である。基端側非拡張部17eの外径は0.5mm〜1.6mm程度、好ましくは0.7mm〜1.5mm程度であり、長さは1mm〜5mm程度、好ましくは2mm〜4mm程度である。さらに先端テーパ部17b及び基端テーパ部17cの長さは1mm〜10mm程度、好ましくは3mm〜7mmで程度である。
このようなバルーン17は、内管24及び外管26と同様に適度な可撓性が必要とされると共に、狭窄部を確実に押し広げることできる程度の強度が必要であり、その材質は、例えば、上記にて例示した内管24及び外管26のものと同一でよく、勿論他の材質であってもよい。
先端チップ16は、その外径がバルーン17の先端側非拡張部17dと略同一とされ、その内径が内管24の外径と略同一とされた短尺なチューブであり、例えば、軸線方向の長さLが0.5mm〜20mm程度である。先端チップ16は、内管24の先端部に外嵌及び液密に接合されてワイヤ用ルーメン24aの先端開口部よりも先端側に突出すると共に、その基端面がバルーン17の先端側非拡張部17dの先端面に接合されている。図2から諒解されるように、先端チップ16の先端は開口すると共に、内管24のワイヤ用ルーメン24aに連通し、ガイドワイヤ14の入口となっている。
このような先端チップ16は、カテーテル12の最先端として生体器官内での湾曲部や凹凸部等を柔軟に進むと共に、狭窄部(病変部)を貫通し、カテーテル12の円滑な挿通を先導するための部位である。先端チップ16は、上記した内管24等と同様な材質でチューブ状に構成するとよく、その材質や形状を適宜設定することにより、内管24や外管26よりも柔軟に構成されることが好ましい。なお、先端チップ16は省略してもよく、その場合には、内管24の最先端位置とバルーン17の先端側非拡張部17dの最先端位置とを一致させた構成や、該先端側非拡張部17dの最先端位置よりも内管24の最先端位置を多少突出させた構成とするとよい。
第1マーカMc1は、例えば、金や白金等からなるX線(放射線)不透過性を有する材質(放射線不透過性材)を内管24の外周面に外嵌固定することで構成されたX線不透過マーカであり、X線造影下で生体内でのカテーテル12の位置を視認するためのものである。第1マーカMc1はその先端が、カテーテル12の軸方向でバルーン17の拡張部位(先端テーパ部17b、筒部17a及び基端テーパ部17c)の直後に位置して設けられている。第1マーカMc1は、例えば、外径が内管24と略同一又は多少大径であり、軸方向長さが0.5mm〜5mm程度の円筒状に構成されるとよい。
ガイドワイヤ14は、例えば、所定の金属製材料で形成された図示しない芯材(シャフト)の外周面にPTFE等のコーティングが施された長尺なワイヤである。
図1及び図2に示すように、ガイドワイヤ14は、その長軸方向に複数、本実施形態では11個のX線不透過マーカMg1、Mg2、Mg3、Mg4、Mg5、Mg6、Mg7、Mg8、Mg9、Mg10、Mg11(以下、順に「第1ガイドマーカMg1〜第11ガイドマーカMg11」という)が設けられている。
第1ガイドマーカMg1は、例えば、前記芯材の先端部の外周面に金や白金等からなるX線不透過性を有する材質のコイルを巻回配置して構成されたX線不透過マーカである。第2ガイドマーカMg2〜第11ガイドマーカMg11は、上記した第1マーカMc1と略同様な構造であり、前記芯材の外周面に金や白金等を円筒状にして外嵌固定したX線不透過マーカである。これら第1ガイドマーカMg1〜第11ガイドマーカMg11は、X線造影下でカテーテル12の第1マーカMc1及び第2マーカMc2と共に生体内で視認されることにより、カテーテル12の位置を高精度に且つ容易に把握するために用いられる。
ガイドワイヤ14は、例えば、外径が0.1mm〜1mm程度、軸方向長さが1m〜3m程度の細径長尺なワイヤである。第1ガイドマーカMg1は、例えば、外径がガイドワイヤ14と略同一又は多少大径であり、軸方向長さが10mm〜40mm程度のコイル状に構成される。第2ガイドマーカMg2〜第11ガイドマーカMg11は、例えば、外径がガイドワイヤ14と略同一又は多少大径であり、軸方向長さが0.5mm〜5mm程度の円筒状に構成される。
図2に示すように、隣接するガイドマーカ間の距離は実質的に等しく設定されており、例えば、第1ガイドマーカMg1の基端から第2ガイドマーカMg2の基端までの距離(L1)と、第2ガイドマーカMg2の基端から第3ガイドマーカMg3の基端までの距離(L1)とは実質的に等しく設定されており、他の間隔についても同様である。
さらに、図2に示すように、カテーテル12の最先端(本実施形態の場合には先端チップ16の最先端)から第1マーカMc1の基端までの間も距離L1に設定されている。つまり、隣接するガイドマーカ間の距離は、カテーテル12の最先端から第1マーカMc1までの距離と実質的に等しく設定されている。勿論、前記距離L1の設定方法は、各マーカの基端以外、例えば各マーカの中央位置に基づき設定してもよい。
次に、以上のように構成される本実施形態に係る組立体10の作用について説明する。
例えば、冠動脈内に発生した狭窄部(病変部)の処置を行う場合には、先ず、発生した狭窄部の形態を、血管内造影法や血管内超音波診断法により特定する。次に、例えばセルジンガー法によって大腿部等から経皮的に血管内にガイドワイヤ14を先行して導入すると共に、該ガイドワイヤ14を先端チップ16の先端開口部から内管24のワイヤ用ルーメン24aを挿通させて基端側開口部22へと導出しつつカテーテル12を冠動脈内へと挿入する。すなわち、X線造影下で、ガイドワイヤ14を目的とする狭窄部へ進め、その狭窄部を通過させて留置すると共に、カテーテル12をガイドワイヤ14に沿って冠動脈内に進行させる。そうすると、カテーテル12の先端にある先端チップ16が狭窄部に到達すると共に、該狭窄部を通過(貫通)する。これにより、バルーン17を狭窄部に配置することができ、ハブ18側から拡張用ルーメン26a内へと拡張用流体を圧送することで、バルーン17が拡張して狭窄部が押し広げられ、所定の治療を行うことができる。
このように、カテーテル12をガイドワイヤ14に沿って体内へと挿入し、目的の狭窄部まで進行させる際には、カテーテル12の先端及びバルーン17の位置を正確に把握して、バルーン17を円滑に且つ正確に目的とする狭窄部へと導くことが望ましい。換言すれば、体内で末梢の血管等を確実に避けながらカテーテルを円滑に進め、バルーン17を狭窄部に正確に配置するためには、カテーテル12の最先端位置及びバルーン17の位置をX線造影下で確実に把握できることが望ましい。
そこで、本実施形態の組立体10では、カテーテル12にX線不透過マーカとして第1マーカMc1を設け、ガイドワイヤ14に複数のX線不透過マーカとして第1ガイドマーカMg1〜第11ガイドマーカMg11を等間隔で設けると共に、カテーテル12の最先端から第1マーカMc1までの距離(L1)と、隣接するガイドマーカMg1〜Mg11間の距離(L1)とを実質的に等しく設定している。
これにより、術者は、X線で撮像されるガイドワイヤ14の第2ガイドマーカMg2〜第11ガイドマーカMg11のいずれかに対してカテーテル12の第1マーカMc1の位置を合わせることにより、該第1マーカMc1を一致させた第2ガイドマーカMg2〜第11ガイドマーカMg11の先端側に隣接して撮像された第1ガイドマーカMg1〜第10ガイドマーカMg10の位置にカテーテル12の最先端があること、及びその中間にバルーン17があることを容易に認識することができる。このため、生体内でカテーテル12の先端を末梢の血管等に突き当てず、これらを容易に避けながら円滑に進めることができる。また、カテーテル12の先端を狭窄部に対して円滑に通過させて、バルーン17を狭窄部に円滑に且つ正確に配置することができる。
例えば、図3Aに示すように、X線造影下で第1マーカMc1と第2ガイドマーカMg2の軸方向位置を一致させることにより、術者は、一致したマーカ位置より先端側に造影されたマーカ、つまり第1ガイドマーカMg1の位置にカテーテル12の最先端があること、及び該一致したマーカ位置と第1ガイドマーカMg1の間にバルーン17があることを容易に且つ迅速に認識することができる。同様に、図3Bに示すように、X線造影下で第1マーカMc1と第3ガイドマーカMg3の軸方向位置を一致させた場合には、該一致したマーカ位置より先端側に造影されたマーカ、つまり第2ガイドマーカMg2の位置にカテーテル12の最先端があること、及び該一致したマーカ位置と第2ガイドマーカMg2の間にバルーン17があることを認識することができる。
なお、カテーテル12の最先端から第1マーカMc1の基端までの距離(L1)と、隣接するガイドマーカMg1〜Mg11の各基端間の距離(L1)とを実質的に等しく設定しておくことにより、X線造影下でX線不透過マーカの基準となる位置(基端)を容易に視認することができるため、上記したカテーテル12の最先端位置やバルーン17の先端位置の把握を一層容易に且つ一層正確に行うことができる。
組立体10では、ガイドワイヤ14の最先端に配置される第1ガイドマーカMg1が他の第2ガイドマーカMg2等と異なる寸法及び形状で構成されている。このため、X線造影下で第1ガイドマーカMg1を容易に特定・判別することができ、カテーテル12の第1マーカMc1の位置を誤って第1ガイドマーカMg1の位置に一致させてしまい、カテーテル12の最先端及びバルーン17の位置把握が困難となることを有効に防止することができる。
また、第1マーカMc1は、バルーン17の根元、つまり拡張部位の直後に配置されているため、該第1マーカMc1の直ぐ前方にバルーン17の拡張部位が設けられていることが容易に認識でき、バルーン17の狭窄部への配置を一層正確に行うことができる。そこで、カテーテル12について、バルーン17の拡張部位より先端側部分の距離、つまり先端側非拡張部17d及び先端チップ16の合計距離を可及的に短く設定しておけば、距離L1から把握できるカテーテル12の最先端から第1マーカMc1までの距離とバルーン17の拡張部位の長さとが実質的に等しくなるため、バルーン17の狭窄部への配置を一層正確に行うことができる。
なお、上記した2つの距離(距離L1同士)が実質的に等しいとは、カテーテル12側の距離L1とガイドワイヤ14側の距離L1とが完全に同一な場合以外を含んでも勿論よく、例えば、距離L1の数%程度の誤差であれば実質的に同一と呼ぶことができ、さらには、第1マーカMc1や第2ガイドマーカMg2の軸方向長さ程度のずれであれば特に問題なく用いることができる。すなわち、第1マーカMc1等はX線造影下でカテーテル12の先端やバルーン17の位置を示すものであり、X線画像のやや不鮮明な解像度等を考慮すると、多少のずれがあっても実際の使用上は特に問題とならないことは容易に理解されよう。
組立体10において、カテーテル12側のX線不透過マーカ(第1マーカMc1)は、バルーン17の接合部28から基端側にのみ(図2ではバルーン17の拡張部位の基端側にのみ)設置されている。つまり、組立体10では、バルーン17の内部にはX線不透過マーカを設置していないため、バルーン17から先端側を柔軟に構成しておくことができ、石灰化して硬く且つ凹凸形状のある狭窄部等に対しても、バルーン17を円滑に挿通及び配置することができる。しかも、硬い狭窄部に対して、硬いX線不透過マーカが擦れることがないため、その間に介在しているバルーン17が損傷することを抑制することができる。
このようにバルーン17の内側にX線不透過マーカを設けない構造を採用した場合、カテーテル12の最先端と第1マーカMc1との間の距離(L1)が比較的大きくなる傾向にあり、体内を進行中にその最先端位置やバルーン17の位置を把握することが難しい傾向にある。ところが、組立体10では、カテーテル12側の第1マーカMc1とガイドワイヤ14側の第1ガイドマーカMg1〜第11ガイドマーカMg11との対応構造を備えたことにより、カテーテル12の最先端及びバルーン17の位置を容易に把握することができ、さらに、バルーン17内にマーカを配置しないため、硬い狭窄部等に対してもカテーテル12を円滑に挿通させることができ、バルーン17が損傷することも防止することができる。
なお、カテーテル12の先端やバルーン17の位置をX線造影下で認識するためには、ガイドワイヤ14側のX線不透過マーカは少なくとも2個配置されていればよいが、カテーテル12の先端位置をガイドワイヤ14に沿って随時認識し、さらに処置対象の血管等の各所に生じている複数の狭窄部へとガイドワイヤ14やカテーテル12を適宜配置し、一度の手技で各狭窄部を連続的に処置することが可能となるため、本実施形態のようにガイドワイヤ14側のX線不透過マーカを所定間隔で複数設置しておくことが有効である。
同様に、カテーテル12の先端やバルーン17の位置をX線造影下で認識するためには、カテーテル12側のX線不透過マーカは少なくとも1個配置されていればよいが、例えば、図2中に2点鎖線で示すように、第1マーカMc1より基端側に別のX線不透過マーカとして第2マーカMc2を配置し、第1マーカMc1の基端と第2マーカMc2の基端との間を距離L1に設定することも有効である。すなわち、カテーテル12の最先端から第1マーカMc1までの距離(L1)と、第1マーカMc1から第2マーカMc2までの距離(L1)とが実質的に等しいことにより、術者は、X線で撮像される第1マーカMc1と第2マーカMc2との位置関係(間隔)から、第1マーカMc1よりも先端側で距離L1の位置に当該カテーテル12の最先端があること、及びその中間にバルーン17があることを容易に認識することができる。しかも、カテーテル12側にも2個のX線不透過マーカが設置されることにより、X線造影下でのカテーテル12側の位置認識性が向上し、ガイドワイヤ14側のX線不透過マーカとの位置合わせが一層容易且つ正確になる。
組立体10では、上記のように、カテーテル12の最先端から第1マーカMc1の基端までの距離(L1)と、ガイドワイヤ14の第1ガイドマーカMg1の基端から第2ガイドマーカMg2の基端までの距離(L1)等とを等しく設定する構成以外にも、例えば、図4に示すように、バルーン17の筒部17aの先端から第1マーカMc1の基端までの距離(L2)と、第1ガイドマーカMg1の基端から第2ガイドマーカMg2の基端までの距離(L2)等とを実質的に等しく設定した組立体10aとして構成することも有効である。
この組立体10aでは、X線で撮像されるガイドワイヤ14の第2ガイドマーカMg2〜第11ガイドマーカMg11のいずれかに対してカテーテル12の第1マーカMc1の位置を合わせることにより、該第1マーカMc1を一致させた第2ガイドマーカMg2〜第11ガイドマーカMg11の先端側に隣接して撮像された第1ガイドマーカMg1〜第10ガイドマーカMg10の位置にバルーン17の筒部17aの先端があることを容易に認識することができる。すなわち、バルーン17において、狭窄部の拡張に実際に用いられる部位は筒部17aであることから、筒部17aの位置(先端位置)を容易に確認できることで、狭窄部へのバルーン17の一層円滑な配置が可能となる。なお、この場合にも、バルーン17の筒部17aの位置が分かることにより、カテーテル12の先端位置も比較的容易に把握することができる。
図4中に2点鎖線で示すように、組立体10aにおいて、バルーン17のテーパ部の最先端、つまり先端テーパ部17bの先端(先端テーパ部17bと先端側非拡張部17dとの接合部)から、第1マーカMc1の基端までの距離をL2に設定し、この距離を第1ガイドマーカMg1の基端から第2ガイドマーカMg2の基端までの距離(L2)と実質的に等しく設定してもよい。これによっても、上記と同様に、バルーン17のテーパ部の最先端位置を容易に確認できることから、狭窄部へのバルーン17の一層円滑な配置が可能となる。なお、距離L2をバルーン17のテーパ部の最先端に設定するか、筒部17aの先端に設定するかは、バルーン17の仕様等に応じて適宜使い分ければよい。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る組立体10bの先端側を拡大した側面断面図である。図5中、図1〜図4に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る組立体10bは、上記第1の実施形態に係る組立体10と比較して、カテーテル12の第1マーカMc1の位置をバルーン17と外管26との接合部28よりもさらに基端側に設けた点が相違している。
図5に示すように、組立体10bにおいても、ガイドワイヤ14の隣接するガイドマーカMg1〜Mg11間の距離(L3)と、カテーテル12の最先端から第1マーカMc1までの距離(L3)とは実質的に等しく設定されている。これにより、カテーテル12において、他の部位よりも肉厚が厚くなる傾向にあり、拡張用ルーメン26aの流路面積が狭くなり易い接合部28部分に第1マーカMc1が配置されることがないため、拡張用ルーメン26aの流路を一層確実に確保しておくことができる。特に、カテーテル12を極めて細径にした仕様やバルーン17が大径の仕様等では、拡張用ルーメン26aをより確実に確保しておくことができる組立体10bの構造が有効である。
本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至工程を採り得ることは勿論である。
例えば、ガイドワイヤ14の第1ガイドマーカMg1は、他のガイドマーカと同様な寸法・形状であっても勿論よい。
また、カテーテル12側及びガイドワイヤ14側のX線不透過マーカの設置数は、上記で例示した個数以外であっても当然よい。なお、上記では、ガイドワイヤ14側に11個のX線不透過マーカを設置したが、その理由は次の通りである。例えば、冠動脈の長さが180mm程度であり、バルーン17の筒部17aの軸方向長さが5mmであり、第1ガイドマーカMg1の長さが30mmであるとすると、距離L1は15mm程度に設定するとよい。そうすると、本実施形態の場合、全ての距離L1の合計が150mmとなり、第1ガイドマーカMg1の長さ30mmと合わせて、180mmの範囲に等間隔で第1ガイドマーカMg1〜第11ガイドマーカMg11が配置され、上記冠動脈の略全範囲にマーカを配置して、冠動脈各所に生じた狭窄部に確実に対応することができる。すなわち、ガイドワイヤへのX線不透過マーカ(ガイドマーカ)の設置数は、カテーテル・ガイドワイヤ組立体の用途・対象(例えば、冠動脈)と、適用するバルーンの仕様(例えば、筒部の軸方向長さ)とに基づき、適用するバルーンの仕様に対して適切な間隔(例えば、距離L1)を規定し、該規定した間隔と当該組立体の用途(例えば、冠動脈)とから必要な設置数を算出することにより、対象とする生体器官の全範囲(又は所望範囲)に対して適用可能なガイドワイヤを容易に設計することができる。
10、10a、10b…カテーテル・ガイドワイヤ組立体
12…カテーテル 13…シャフト本体
14…ガイドワイヤ 17…バルーン
22…基端側開口部 24…内管
26…外管 28…接合部
Mc1、Mc2、Mg1〜Mg11…X線不透過マーカ

Claims (4)

  1. 外管シャフトと、前記外管シャフト内に配置された内管シャフトと、先端側が前記内管シャフトの先端側に取り付けられ且つ基端側が前記外管シャフトの先端側に取り付けられ、筒部とテーパ部を有するバルーンとを有するカテーテルと、
    前記内管シャフト内に挿通されることで、前記カテーテルの前記バルーンを狭窄部まで導くガイドワイヤと、
    を備えた医療用器具であって、
    前記カテーテルは、前記バルーンと前記外管シャフトの接合部から基端側にのみ配置される少なくとも1つのX線不透過マーカを有し、
    前記ガイドワイヤは、その長軸方向に配置される少なくとも第1及び第2のX線不透過マーカを有し、
    前記ガイドワイヤに配置される前記第1のX線不透過マーカから前記第2のX線不透過マーカまでの距離と、前記カテーテルに配置される前記X線不透過マーカから該カテーテルの最先端又は前記バルーンのテーパ部の最先端又は前記バルーンの筒部の先端までの距離とが実質的に等しいことを特徴とする医療用器具。
  2. 請求項1記載の医療用器具において、
    前記ガイドワイヤに配置される前記第1のX線不透過マーカの基端から前記第2のX線不透過マーカの基端までの距離と、前記カテーテルに配置される前記X線不透過マーカの基端から該カテーテルの最先端又は前記バルーンのテーパ部の最先端又は前記バルーンの筒部の先端までの距離とが実質的に等しいことを特徴とする医療用器具。
  3. 請求項1又は2記載の医療用器具において、
    前記ガイドワイヤは、その長軸方向に第3のX線不透過マーカを有し、
    前記第1のX線不透過マーカから前記第2のX線不透過マーカまでの距離と、前記第2のX線不透過マーカから前記第3のX線不透過マーカまでの距離とが実質的に等しいことを特徴とする医療用器具。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用器具において、
    前記第1のX線不透過マーカは、前記ガイドワイヤにおいて最も先端側に配置され、且つ、前記ガイドワイヤに配置される他のX線不透過マーカと異なる寸法又は形状であることを特徴とする医療用器具。
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