以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。尚、以下の実施の形態は本発明を限定するものでなく、また、以下の実施の形態で説明されている構成の全てが必須であるわけではない。
<装置の構成>
図1は、本発明の実施形態における装置1のブロック図である。装置1は原稿読取装置であって、特に本実施形態の場合、いわゆる複合機である。以下、装置1のことを複合機1と呼ぶ場合がある。
複合機1は、原稿の読み取りデータを処理する複数種類の機能を備える。本実施形態の場合、原稿として紙原稿を想定するが、紙以外の原稿であってもよい。原稿の読み取りデータのことを画像データと呼ぶ場合がある。
複数種類の機能は、スキャナ機能、コピー機能、ファクス送信機能に大別される。ファクス送信機能は、ファクスメモリ送信機能とファクスダイレクト送信機能とを含む、複合機1の他の機能としては、例えば、プリンタ機能やエラー排紙機能がある。
スキャナ機能とは、複合機1をスキャナとして用い、複合機1に接続されたコンピュータ3に原稿の読み取りデータを送出する機能である。コピー機能とは、原稿の読み取り画像を紙などの記録媒体に複写する機能である。ファクスメモリ送信とは、原稿の読み取りデータのメモリへの記録を開始した後、送信先に発呼して回線を接続し、読み取りデータデータを送信先に送出する機能である。ファクスダイレクト送信機能とは、原稿の読取開始前に送信先に発呼して回線を接続し、ファクス送信が可能になった後で、操作者の読取開始操作によって読み取りを開始して読み取りデータを送出する機能である。
プリンタ機能とは、複合機1をプリンタとして用い、複合機1に接続されたコンピュータ3から受信した画像データに基づく画像を紙などの記録媒体に印刷する機能である。エラー排紙機能とは複合機1に搬送異常が発生した場合や操作者によるキャンセル操作があった場合に、原稿積載部に残った原稿を排紙する機能である。
複合機1は、外部インターフェース4から外部バス2を介してコンピュータ3に接続されている。本実施形態の場合、この外部バス2は、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)で構成しているが、複数の外部装置と接続可能なネットワーク接続や、他のインターフェースでもよい。
CPU10は、プログラムを実行して複合機1の制御を行うプロセッサである。ROM11はCPU10で動作するプログラムや固定的データを保存するためのものである。RAM12は、電源をオフすると記憶データが揮発してしまうデータを保持する、書換え可能な作業用メモリである。一方、不揮発性RAM13は、電源をオフしても記憶したデータが揮発しない、恒久的にデータを記憶する書換え可能なメモリである。なお、ROM11、RAM12、13に代えて他の記憶デバイスも採用可能である。
操作部5は、操作者が複合機1に対する指示を行うための入力装置である。本実施形態の場合、操作部5はタッチパネルを含む。タッチパネルに対する操作者の選択操作によって、上述したスキャナ機能、コピー機能、ファクスメモリ送信機能、ファクスダイレクト送信機能の中から原稿の読み取りデータを処理する機能の選択の受付が可能である。
複合機1において、画像読取部7は、原稿を読み取る読取ユニットである。読取ユニットは、例えば、原稿に光を照射する光源やその反射光を読み取り光電変換する素子を配列したイメージセンサを含む。
画像読取制御部6は、画像読取部7で読み取るアナログ電気信号をA/D(アナログ/デジタル)変換したり、画像読取部7の特性補正を行ったり、デジタル画像データをRAM12へ記憶するためDMA(ダイレクトメモリアクセス)転送を行う回路である。
画像処理部8は、RAM12に記憶している画像データを読み出し、画質改善のための様々な画像処理や画像形成のための画像変換処理を行う回路である。また、画像処理部8は、RAM12に記憶している画像データを読み出し、JPEG法などを用いて符号化処理する回路と、符号化データを復号化処理する回路を備える。
両面原稿を読み取る場合、画像読取制御部6によってRAM12に記憶した画像データを、画像処理部8でJPEG法などを用いて符号化処理し、符号化データを再びRAM12へ記憶する。画像処理部8による符号化処理は、画像読取制御部6の画像データをRAM12へ記憶する処理と並行して動作する。また、符号化処理をした画像データが記憶されていたRAM12の領域は解放し、再び画像読取制御部6が画像データを記録するために使用する。このように、読み取った画像データを逐次符号化することで、符号化しない場合と比較して、RAM12上に多くの画像を記憶することが可能になる。そのようにすることで、読み取りのために使用することができる記憶領域が限られている場合でも読み取りを実現することができる。また、画像データを外部のコンピュータ3に送出する場合、画像データを符号化しない場合と比較して通信データ量が小さくなるため、高速に画像データを送出することができる。
画像形成部9は、例えば、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体として感光体ドラムを用いた電子写真方式により記録媒体に画像を形成する装置である。
スキャナ機能が選択された場合、原稿を画像読取部7で読み取る。画像読取部7から出力されるアナログ信号に対して、画像読取制御部6でA/D変換と特性補正を行い、デジタル信号の画像データとしてRAM12に記憶する。画像処理部8でRAM12に書き込んだ画像データを、JPEG符号化して、符号化データをRAM12に記憶する。そして、符号化データを外部インターフェース4から外部バス2を介してコンピュータ3に送出する。
コピー機能が選択された場合、符号化データをRAM12に記憶するまでは、スキャナ機能の場合と同じである。そして、画像処理部8で符号化データを復号化し、画像データに様々な画像処理を行い、画像形成部9で記録媒体に画像を形成する。
ファクス送信機能が選択された場合、画像データをRAM12に記憶するまでは、スキャナ機能の場合と同じである。次にRAM12内の画像データは、画像処理部8によりJPEG法などを用いて符号化処理をされ、コードデータとして再び、RAM12に書き込まれる。次にCPU10によりRAM12から読み出されたコードデータは、モデム15に書き込まれて変調され、ITU−T勧告によって定められた通信機能に基づいて、公衆回線16を経由して他のファクシミリ装置に送られる。
次に、複合機1が備える自動原稿送り装置について図2を参照して説明する。自動原稿送り装置は、原稿を搬送する搬送機構である。図2は、自動原稿送り装置の原稿の搬送パスを横からみた概略断面図である。
自動原稿送り装置において、原稿積載部201は原稿を積載するための積載トレイである。自動原稿送り装置を用いて読み取りを行う場合、まず、給紙ローラ203によって、原稿積載部201の最上位の原稿202を自動原稿送り装置内へ給紙する。
給紙した原稿202は、搬送パスに沿って搬送部である搬送ローラ204で搬送し、原稿先端が読取位置213に到達したら、読み取りを開始する。読み取りを開始した後、原稿202を搬送しながら流し読みを続けて、原稿後端まで読み取った後または、所定量読み取った後、読み取りを終了する。読み取り終わった原稿202は、排紙ローラ205で原稿排紙部206に排紙する。ここでは、原稿の先端から読み取り開始し、原稿の後端まで読み取る説明をしたが、原稿先端から所定量手前の位置から読み取りを開始してもよい。また、原稿後端から所定量後の位置で読み取りを終了してもよい。
画像読取部7は、図中の矢印210方向、すなわち、紙の搬送方向に移動することが可能で、読取動作中以外は、待機位置211に位置する。自動原稿送り装置を用いた読み取りの場合、画像読取部7を読取位置213に停止させ、搬送パスに沿って搬送される原稿を流し読みする。
原稿センサ207は、原稿積載部201の原稿の有無を検知するためのセンサである。原稿先端センサ208は、搬送ローラ204で搬送する原稿の先端位置を検知するためのセンサである。搬送ローラ204で搬送している原稿202の先端が原稿先端センサ208に達した時にセンサの値が変化することで、原稿202の先端が原稿先端センサ208の位置であることを検知することができる。また、原稿先端センサ208は、原稿202の後端が原稿先端センサを抜けた時にセンサの値が変化することで、原稿202の後端の位置が原稿先端センサ208の位置であることを検知することができる。検知した原稿の先端の位置と原稿の後端の位置に基づいて、読み取り開始と読み取り終了を行う。
原稿202の読み取りは、原稿先端センサ208で原稿の先端位置を検知した時点から、原稿をあらかじめ設定した読取開始搬送量を搬送した後に開始する。また、原稿203の読み取りは、原稿先端センサ208で原稿の後端位置を検知した時点から、あらかじめ決められた読取終了搬送量を読み取った後に終了する。
キャリブレーションシート218は、面画像読取部7の特性補正を行うための白基準を取得するためのシートである。また、キャリブレーションシート218は、稼働する画像読取部7の基準位置を判断するためのパターンが形成されていて、画像読取部7の位置を検出するためにも使用する。画像読取部7を移動させながらキャリブレーションパターン218付近を読み取り、読取画像からパターンを検出することで画像読取部7の位置を検出する。待機位置211の位置を、検出した位置からの所定量の相対位置とすることで、画像読取部7の待機位置211を正確に保つことが可能となる。画像読取部7の位置検出は、電源ON時と読取動作終了後に待機位置211に移動する前に毎回行う。
なお、ここではキャリブレーションシート218を用いて画像読取部7の位置検出を行う説明をしているが、他の位置検出方法を採用してもよい。例えば、画像読取部7の位置を検出するセンサを備えて位置を検出しても構わない。また、画像読取部7を移動可能なだけ移動させ可動範囲端部につき当てて停止させることで位置を検出しても構わない。
画像読取部7は、自動原稿送り装置を用いた読み取りだけでなく、原稿固定の読み取りでも使用する。原稿固定の読み取りの場合、画像読取部7を固定原稿読み取り面212の方向に移動させ、固定原稿読み取り面212に置かれた原稿の読み取りを開始する。
モータ216は、給紙ローラ203と搬送ローラ204と排紙ローラ205を駆動するための駆動モータであり、自動原稿送り装置の駆動源である。不図示の駆動力伝達機構により、駆動するローラを切り替えることが可能である。モータ216には、その駆動量(回転量)を検出するためのロータリーエンコーダ216aを装着している。
モータ217は、画像読取部7を移動させるための駆動モータである。モータ217には、その駆動量(回転量)を検出するためのロータリーエンコーダ217aを装着している。本実施形態の場合、モータの駆動量を検出するためにロータリーエンコーダを装着する構成を採用しているが、他のセンサを用いてもよい。また、ローラ等、モータによって駆動される構成の回転量を検出する方式も採用可能である。
<温度管理>
モータ216は駆動により発熱する。そこで、モータ温度管理を行う。図3は昇温抑制のためのモータ216の停止制御の説明図(タイミングチャート)であり、横軸は時間の経過を示している。各項目について上から説明する。
「昇温抑制」は、モータ216の昇温抑制が必要か否かの判定結果を示している。「要」の場合は、モータ216の昇温抑制のための駆動停止や、停止時間の設定といった温度管理処理を行う。なお、昇温抑制を目的とした駆動停止のことを、昇温停止と呼ぶ場合がある。また、昇温停止の時間のことを停止指示時間と呼ぶ場合がある。また、昇温抑制が要の場合を抑制必要状態と呼ぶ場合がある。「不要」の場合は、このような温度管理処理は行わない。「不要」の場合を抑制不要状態と呼ぶ場合がある。
「停止指示時間」は、昇温停止のために設定された停止指示時間の残り時間(縦軸)を示している。停止指示時間は初期値が設定されて、時間の経過と共に減算されていく。停止指示時間が0よりも大きい間、モータ216を昇温停止する。
「モータ温度」はモータ温度(縦軸)を示す。モータ温度が閾値TH_H以上になった場合、昇温抑制が要に設定される。昇温抑制が要に設定された後は、モータ温度が閾値TH_C以下になった場合に、昇温抑制が不要に設定される。
すなわち、閾値TH_Hは、モータ216の昇温抑制を判断するための閾値である。昇温抑制が要に設定された後も、モータ216の駆動が継続する場合はあり、モータ温度が閾値TH_Hよりも高くなることがある。例えば、本実施形態の場合、後述するように、モータ216の昇温抑制が要に設定された後のモータ216の最大駆動量は、後述するファクスダイレクト送信において、昇温停止せずに読取可能な最大長の原稿を一枚読み取った場合である。
そのため、閾値TH_Hの値は、モータ温度が更に上昇することを考慮して決定する。本実施形態では、モータ温度を所定の上限温度以下に保ちたい場合、閾値TH_Hの値=上限温度−最大駆動量での上昇温度、とする。
なお、閾値TH_Hの値の決定方法はこれに限られない。上限温度以上になる時間があっても問題ない場合は、最大駆動量を考慮せず決定しても構わない。また、複合機1を使用する環境温度を考慮して決定しても構わない。また、モータ温度を基準にするのではなく、読取動作によって温度上昇する他の駆動素子(イメージセンサ部や光源部)の温度を基準にして、モータ216の昇温抑制の要否を判定しても構わない。
本実施形態では、モータ温度は、温度推定の処理によって求めた推定値を用いる。温度推定の方法は、例えば、モータ駆動電流の積分値を簡易的に近似する方法である。具体的には、所定時間間隔で、その時点のモータ温度の推定値及び駆動速度に応じた係数を、モータ温度の推定値に足しこむことで行う。
例として、モータ温度推定値を40.0℃、所定時間間隔を1秒とした場合の説明をする。1秒間でモータを10000[スリット/秒]の駆動速度で駆動するとし、40℃と10000[スリット/秒]の駆動速度に応じた係数が0.2であるとする。1秒間モータを駆動すると、モータ温度の推定値を40.2℃に更新する。なお、モータ速度はロータリーエンコーダ216aの単位時間あたりの回転量[スリット/秒]の値である。
次の1秒間でモータを停止した場合の説明をする。40.2℃と0[スリット/秒]の駆動速度に応じた係数が−0.1であるとする。すると、モータ温度の推定値を40.1℃に更新する。このような処理を所定時間間隔で繰り返し行うことでモータ温度を推定することができる。
なお、モータ温度は実測してもよい。つまり、モータ温度を測定するための温度センサを備えて、温度センサの測定値をモータ温度としてもよい。
「読取動作」は、原稿の読み取りに関する動作を示し、自動原稿送り装置による搬送動作及び画像読取部7の動作を時系列順で表したものである。原稿の読み取りに関する動作は、ここでは、「給紙」、「読取」、「搬送」、「排紙」の各段階に区分けしている。
「給紙」は、原稿積載部201に積載された原稿を読取開始位置に到達するまで搬送する給送動作である。「読取」は、原稿を読取開始位置から読取終了位置まで搬送する動作と、搬送される原稿を読み取る動作である(流し読み)。
「搬送」は、読取が終了した原稿を原稿排出部206に搬送する排出動作と、次原稿を読取開始位置まで搬送する給送動作である。したがって、一枚の原稿を読み取る場合、「搬送」は無い。「排紙」は、読取が終了した原稿の次原稿がない場合に、読取が終了した原稿を原稿排出部206に搬送する排出動作である。
以上のことから、「読取動作」は、原稿が一枚の場合は、給紙、読取、排紙から構成され、原稿が複数枚の場合は、給紙、読取、搬送、排紙から構成される。
「停止」は昇温停止を実行中であることを示している。すなわち、モータ駆動を停止する。言い換えれば、原稿の読取に関する動作を停止する。
「選択機能」は、原稿の読み取りに際し、操作者が選択することによりCPU10が受け付けた機能の種類を示している。例えば、給紙1〜排紙5の読取動作は、スキャナ機能が選択されて実行された読取動作である。また、給紙6〜排紙16の読取動作は、コピー機能が選択されて実行された読取動作である。
次に、図3が示す状態について説明する。図3の給紙1から排紙5は、スキャナ機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた二枚の原稿の読取動作を示す。
一連の動作を説明する。まず、給紙1では原稿を給紙し、読取2では給紙した一枚目の原稿を読み取る。読取2が終了すると、搬送3で原稿の排紙と次原稿の給紙とを行い、読取4で二枚目の原稿を読み取る。読取4が終了すると、次原稿が無いため、排紙5を行い、読取動作を終了する。
給紙1から排紙5までモータ216が連続して動作するため、それに応じてモータ温度も上昇している。この動作では、モータ温度がTH_Hに達していないため、給紙1から排紙5まで抑制不要状態である。
図3の給紙6から排紙16は、コピー機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた4枚の原稿の読取動作を示す。なお、読取動作の他に読み取った画像を記録媒体に印刷する動作が実行されるが図示を省略している。
前動作の排紙5の終了から給紙6の開始までは、操作者が何も行わないアイドル状態である。アイドル状態では、モータ216を停止しているために時間経過に応じてモータ温度が低下する。しかしながら、このコピー機能における読取動作の実行によりモータ温度が再び上昇し、二枚目の読み取り中に抑制不要状態から抑制必要状態になる。
コピー機能の一連の動作を説明する。まず、給紙6で原稿を給紙し、読取7で給紙した一枚目の原稿を読み取る。読取7が終了すると搬送8で原稿の排紙と次原稿の給紙とを行い、読取9で二枚目の原稿を読み取る。読取9の途中でモータ温度がTH_H以上になったため、昇温抑制が要となり、抑制必要状態になる。読取9が終了すると、搬送10で原稿の排紙と次原稿の給紙とを行う。搬送10が終了すると、抑制必要状態のため、停止指示時間を設定する。
本実施形態の場合、停止指示時間は、原稿単位でモータ216の駆動状況に基づいて設定する。ここでは読取9と搬送10におけるモータ216の駆動状況に基づいて停止指示時間を設定する。一例として、モータ216の駆動量とモータ216の駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。
読取9に応じた停止指示時間[秒]は、読取駆動速度[スリット/秒]から停止時間係数[秒/スリット]を求めて、求めた停止時間係数を読取駆動量[スリット]に掛けることで決定する。停止時間係数[秒/スリット]は、複数の駆動速度範囲に応じた停止時間係数を予め決めておき、読取駆動速度に対応する範囲の定時間係数を使用すればよい。
また、搬送10に応じた停止指示時間[秒]も同様に、搬送駆動速度[スリット/秒]から停止時間係数[秒/スリット]を求めて、求めた停止時間係数を搬送駆動量[スリット]に掛けることで決定する。すなわち、搬送10が終了した時の停止指示時間[秒]は、((読取駆動速度に対応する停止時間係数 × 読取駆動量)+(搬送駆動速度に対応する停止時間係数 × 搬送駆動量))である。
この説明での、スリットは、ロータリーエンコーダ216aのスリットを駆動中に検出した回数を示している。ここでは停止指示時間を駆動速度と駆動量から求める説明したが、これに限られるわけではない。停止指示時間は、読取速度や搬送速度に応じて算出しても構わないし、あらかじめ決めた固定値でも構わない。また、温度管理の対象の温度に応じて停止指示時間を決定しても構わない。
次に、停止11を行う。停止中は、設定した停止指示時間を初期値として、これを時間経過に応じて減少させる。昇温停止の終了は停止指示時間が0になったか否かで判断する。停止中は、モータ216を停止しているために時間経過に応じてモータ温度が低下する。
停止11が終了すると次原稿3枚目の読取12を行う。読取12が終了すると搬送13を行い、原稿の排紙と次原稿の給紙とを行う。搬送13が終了すると、抑制必要状態のため、前原稿の停止と同じように、停止指示時間の設定と、停止14とを行う。
このように、抑制必要状態である場合、「読取」と「搬送」を行うたびに「停止」を行う。これにより、「読取」と「搬送」に起因するモータ216の温度上昇を抑制する。停止中の温度低下を、「読取」と「搬送」による温度上昇よりも大きくすることで、モータ温度を一定温度低下することができる。
停止14が終了すると4枚目の読取15を行う。読取15が終了すると次原稿が無いため排紙16を行う。排紙16が終了すると、抑制必要状態のため、停止指示時間を設定する。停止指示時間は、読取15と排紙16のモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。停止指示時間を設定した後で、読取動作を終了する。
この読取動作終了では、停止14のような強制的な駆動停止とせず、処理上、コピー機能の読取動作を終了させ、次の機能選択を受け付け可能とする。次の機能選択を受け付け可能とすることで、操作者の操作性が向上する。モータ216は停止しているので停止指示時間は減算する。本実施形態の場合、読取動作終了時の「停止」について、後述するファクスダイレクト送信機能選択時とエラー排紙処理以外の処理では、強制的な駆動停止を行わない。
給紙17から排紙20は、スキャナ機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた一枚の原稿の読取動作を示す。この動作では、給紙17から排紙20まで抑制必要状態である。
一連の動作を説明する。まず、給紙17で原稿を給紙する。前回のコピー機能選択時に設定された停止指示時間が残っているため、この給紙17中も停止指示時間が減算される。給紙17によるモータ216の昇温抑制は、後で(今回の原稿に関する停止指示時間の設定で)対処するものとし、前回の原稿について設定された停止指示時間は減算していく。
給紙17を終了した時点で、前回の原稿について設定した停止指示時間が未だ残っている。そこで、停止18を行う。この停止18による昇温抑制は、前回の原稿搬送時(読取15と排紙16)に対応した昇温抑制である。コピー機能による読取動作の終了後、直ぐにスキャナ機能が選択された場合、排紙16後の停止が継続されて給紙が開始されないと、操作者は機能選択が正常に受け付けられなかったと誤解する場合がある。本実施形態では、給紙17を行ってから停止18を行うことで、操作者が開始操作した機能が受け付けられたことを認識しやすくさせることができる。
停止18が終了すると給紙した一枚目の原稿の読取19を行う。読取19が終了すると次原稿が無いため排紙20を行う。排紙20が終了すると、抑制必要状態のため、停止指示時間を設定する。給紙17が抑制必要状態での動作だったので、給紙17と読取19と排紙20におけるモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。
本実施形態では、抑制必要状態で給紙した場合、給紙動作に応じた停止指示時間を排紙後の停止指示時間の設定において設定することとしたがこれに限られない。例えば、給紙後に停止指示時間に加算して、給紙後の昇温停止で給紙におけるモータ温度上昇を抑制してもよい。また、複数枚の原稿の読み取りであれば、「搬送」後の昇温停止の停止指示時間に加算してモータ温度上昇を抑制してもよい。
なお、本実施形態では、画像読取部7が原稿を読み取っている間は、モータ216の昇温抑制が必要であると判定した場合でもモータ216を昇温停止しない。これは原稿の読み取り途中に昇温停止をすると、停止前後で原稿の読取位置がずれやすく画像が飛んだり伸びたりすることがあるためである。また、昇温停止時にモータ216の駆動停止と駆動再開のための減速と加速を行う際に、読取中のような一定速度を保つよりもモータ216に比較的多くの電流を加える必要がある。そのため、短い間隔で昇温停止を行うほど加速と減速のために加える電流による温度上昇が多くなるため、昇温停止の回数を少なくして停止時間を長くする方が冷却の効率がよい。本実施形態では、一枚の原稿の読取開始前にモータ216の昇温停止をしているが、複数枚の原稿の読取開始前に昇温停止する制御でも構わない。
図4は、「読取」前に停止指示時間が0になっている場合は、「読取」前に昇温停止を行わない例を示している。
図4の給紙1から排紙4は、スキャナ機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた一枚の原稿の読取動作を示し、図3における給紙17から排紙20までと同じである。
図4の給紙5から排紙7は、スキャナ機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた一枚の原稿の読取動作を示す。この動作では、給紙5から排紙7まで抑制必要状態である。給紙1から排紙4の場合と比べると、給紙5が終了した段階で停止指示時間が0であり、昇温停止が行われていない点が異なっている。
一連の動作を説明する。まず、給紙5で原稿を給紙する。給紙終了時、停止指示時間が残っていないため、停止動作は行わない。給紙5が終了すると給紙した一枚目の原稿の読取6を行う。読取6が終了すると次原稿が無いため排紙7を行う。
排紙7が終了すると、抑制必要状態のため、停止指示時間を設定する。給紙5が抑制必要状態での動作だったので、給紙5と読取6と排紙7におけるモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。このように、原稿一枚の読み取りで、給紙終了までに前動作の停止指示時間が0になっている場合は、停止動作が入らない。そのため、原稿一枚の読み取りの場合に操作者が動作終了まで停止でまたされることがないため操作性がよい。
図4の給紙8から排紙12は、スキャナ機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた二枚の原稿の読取動作を示す。前動作から給紙8開始までのアイドル状態中にモータ温度がTH_C以下となり、抑制不要状態に入っていて、給紙8から排紙12まで抑制不要状態である。
抑制不要状態ではモータ216の昇温停止の必要がないため停止指示時間を0にクリアする。給紙8から排紙12は、図3における給紙1から排紙5と同じである。
図5は、コピー機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた複数枚の原稿の読取動作を示す。
図5の給紙1から排紙11は、4枚の原稿の読取動作を示す。この動作では、給紙1から読取4の途中まで抑制不要状態で、読取4の途中から排紙11まで抑制必要状態である。給紙1から排紙11まで一連の動作は、図3及び図4で説明した各動作と同様なため説明を省略する。
給紙1から排紙11までの読取動作後、読み取った画像をプリントする(印刷12)。その際の温度管理について説明する。印刷機能では、複合機1の画像形成部9を用いた動作であって、自動原稿送り装置を使用しない。そのため、印刷機能の間は、モータ216を停止しているために時間経過に応じてモータ温度が低下する。したがって、印刷機能の間は、アイドル状態と同様で時間経過に応じて停止指示時間を減少させる。このように、自動原稿送り装置を使用しない機能は、停止指示時間や抑制必要状態とは関係なく動作させる。
図6は、コピー機能の選択後、ファクスメモリ送信機能が選択された場合及びその後にスキャナ機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた原稿の読取動作を示す。
給紙1から排紙11は、コピー機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた4枚の原稿の読取動作を示す。この動作では、給紙1から読取4の途中まで抑制不要状態で、読取4の途中から排紙11まで抑制必要状態である。給紙1〜排紙11まで一連の動作は、図3から図4で説明した各動作と同様なため説明を省略する。
給紙12から排紙15は、ファクスメモリ送信機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた一枚の原稿の読取動作を示す。一連の動作を説明する。
まず、給紙12で原稿を給紙する。給紙終了時、前回の原稿について設定された停止指示時間が残っているため、停止13を行う。停止13は、コピー機能選択時における4枚目の原稿に関する読取10と排紙11で上昇したモータ温度を低下させる。ファクスメモリ送信では、画像データをメモリに記録した後、送信先に発呼するため、停止13の間は発呼しない。
停止13が終了すると給紙した一枚目の原稿の読取14を行う。読み取った画像データをファクス送信するコードデータとしてRAMに記憶開始した時点で、相手先に発呼して回線を接続して、コードデータの送出を始める。読取14が終了すると次原稿が無いため排紙15を行う。排紙15が終了すると、抑制必要状態のため、停止指示時間を設定する。給紙12が抑制必要状態での動作だったので、給紙12と読取14と排紙15におけるモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。
給紙16から排紙19は、スキャナ機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた一枚の原稿の読取動作を示す。この動作では、給紙16から停止17まで抑制必要状態で、読取18から排紙19まで抑制不要状態である。これら一連の動作は、図3から図4で説明した動作と同様なため説明を省略する。
図7は、コピー機能の選択後、ファクスダイレクト送信機能が選択された場合及びその後にスキャナ機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた原稿の読取動作を示す。
ファクスダイレクト送信では、操作者の読取開始操作によって接続先への画像データの送出を開始するが、通信規格の伝送手順に従うために、開始操作後は画像データの送出を一定時間内に開始する必要がある。読み取りが開始できずに画像データが送出できない場合、通信規格を満たすことができなくなり、通信エラーとなって回線が切断される。
そのため、ファクスダイレクト送信機能が選択された場合、抑制必要状態で「読取」の前に停止指示時間が残っている場合であっても、読み取りを開始して画像データの送出を開始する制御を行う。
給紙1から排紙11は、コピー機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた4枚の原稿の読取動作を示す。この動作では、給紙1から読取4の途中まで抑制不要状態で、読取4の途中から排紙11まで抑制必要状態である。給紙1〜排紙11まで一連の動作は、図3から図4で説明した各動作と同様なため説明を省略する。
給紙12から排紙14は、ファクスダイレクト送信機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた一枚の原稿の読取動作を示す。一連の動作を説明する。
給紙12の前に操作者の発呼によって、回線が接続される。すなわち、ファクスダイレクト送信機能では、画像データのメモリへの記録開始を待つことなく発呼を行う。次に操作者が複合機1の操作部5のスタートキーを押下することで読取動作を開始する。読取動作が開始すると、まず給紙12を行う。この段階では、抑制必要状態で停止指示時間が0ではないが、昇温停止を行わず、読取13を行う。読み取った画像データは、回線を接続している送出先に送信する。給紙12によるモータ216の昇温抑制は、後で(今回の原稿に関する停止指示時間の設定で)対処するものとし、前回の原稿について設定された停止指示時間は減算していく。
読取開始時に残っていた停止指示時間は、後述する排紙後の停止15の停止指示時間に加算する。
読取13が終了すると次原稿が無いため排紙14を行う。排紙14が終了すると、抑制必要状態のため、停止指示時間を設定する。
停止指示時間は、給紙12が抑制必要状態での動作だったので、給紙12と読取13と排紙14におけるモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。更に、先述したように読取13の前に停止しなかった停止指示時間の停止を行うために、その停止しなかった停止指示時間(給紙12完了時点での残りの停止指示時間)を停止指示時間に加算する。その後、停止15を行う。
他の機能選択時の場合と異なり、停止15は強制的な駆動停止であり、次の機能選択は受け付けない。すなわち、ファクスダイレクト送信機能の排紙完了時に昇温抑制が要である場合、停止時間が経過するまで次の機能選択は受け付けない。原稿の読み取りを終えたにも関わらず、停止15を完了させる理由は、ファクスダイレクト送信機能が連続して選択された場合、「読取」前に昇温停止を行わないためにモータ温度が上昇し続けてしまう場合があるからである。
このように抑制必要状態であっても読取開始前の停止を行わずに、排紙後に停止することで、抑制必要状態であってもファクスダイレクト送信機能を行える。また、ファクスダイレクト送信機能が連続して選択された場合でも、モータ温度を一定以下に保つことができる。
こうして、選択されている機能の種類に応じて、モータ216の停止制御を行うことで、読み取りデータを処理する機能を円滑に実行しつつ、駆動素子の昇温抑制を図ることができる。
なお、図7の例では一枚の原稿を読み取り、ファクスダイレクト送信を行う場合について説明したが、複数枚の原稿を読み取り、ファクスダイレクト送信を行うことも勿論可能である。その場合、「読取」前の昇温停止や「搬送」後の昇温停止を行わないと、モータ温度が上昇し続ける場合がある。
そこで、ファクスダイレクト送信機能の動作時は、所定量の画像データを送るたびに所定時間画像データの送出を停止することとし、通信規格の範囲内で所定時間を設定する。この所定時間は昇温停止を行っても支障のない時間とする。こうして読み取った画像データを間欠的に送出することで、一定間隔で通信を行うことになり、通信エラーが発生することなく、二枚目以降の原稿の各「読取」の前において昇温停止を行うことが可能となる。
図8は、自動原稿送り装置のエラー排紙処理における温度管理の動作を説明するための説明図である。
給紙1から搬送5は、スキャナ機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた複数枚の原稿の読取動作を示す。給紙1から読取4の途中まで抑制不要状態で、読取4の途中から搬送5まで抑制必要状態である。二枚の原稿の読み取りを終えた後、3枚目の原稿を読取開始位置まで搬送する動作である搬送5において、原稿が自動送り装置内に詰まった場合(原稿ジャムエラー)を想定している。
原稿ジャムエラー発生時、抑制必要状態のため、停止指示時間を設定する。読取4は抑制必要状態での動作であるが、ここでは、余裕を見て搬送3と読取4と搬送5のモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。なお、読取4と搬送5のモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定してもよい。
原稿ジャムエラーが発生すると、スキャン機能をエラー終了する。操作者が原稿ジャムの解除を行うと、原稿積載部201に残った原稿を排出するエラー排紙処理を行う。エラー排紙処理は、排紙動作を繰り返し行う処理であるが、モータ216の昇温停止が必要に応じて行われる。停止6から停止10の終了まで抑制必要状態で、排紙11から排紙13の途中まで抑制不要状態であり、排紙13の途中から停止14の終了まで再び抑制必要状態である。
一連の動作を説明する。停止6は、エラー前の動作で設定された停止指示時間が残っているための昇温停止である。次に、排紙7を行う。ここでは、搬送パスまたは原稿積載部201に残った原稿を一枚排紙する動作を行う。排紙7が終了すると、抑制必要状態のため、停止指示時間を設定する。停止指示時間は、排紙7におけるモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。その後、停止8を行う。排紙9と停止10は、排紙7と停止8と同じため説明を省略する。
停止10の処理で、モータ温度がTH_C以下となり、抑制不要状態になるため、排紙11と排紙12と排紙13で3枚の原稿が連続的に排紙される。排紙13の途中で抑制必要状態になったため停止14を行う。停止指示時間と停止動作は、停止8と同様である。ここでは、排紙11及び排紙12では抑制不要状態であり、排紙13において抑制必要状態になったため、停止時間は排紙13におけるモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。
停止14は強制的な駆動停止であり、次の機能選択は受け付けない。すなわち、原稿ジャムエラーの排紙完了時に昇温抑制が要である場合、停止時間が経過するまで次の機能選択は受け付けない。残原稿がない場合でもエラー排紙処理を終了せずに停止14を完了させる理由は、ファクスダイレクト送信機能の選択と原稿ジャムエラーの発生とが連続した場合に、モータ216の昇温を抑制するためである。
図9は、スキャナ機能が選択された場合における、自動原稿送り装置を用いた複数枚の原稿の読取動作を示す。ここでは、原稿をより低速で搬送しながら読み取りを行う場合を想定している。
給紙1から排紙6は、自動原稿送り装置を用いて二枚の原稿を低速で読み取る動作を示す。高解像度で原稿を読み取る場合は、原稿搬送を低速にするため読取に時間がかかる。この動作では、給紙1から搬送3の途中まで抑制不要状態で、搬送3の途中から排紙6まで抑制必要状態である。
一連の動作を説明する。まず、給紙1では原稿を給紙し、読取2では給紙した一枚目の原稿を読み取る。読取2が終了すると、搬送3を行って読み取った原稿の排紙と次原稿の給紙を行う。搬送3の途中で抑制必要状態になったため昇温停止を行う。余裕を見て、読取2と搬送3におけるモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。停止4が終了すると二枚目の原稿の読取5を行う。
読取5が終了すると、次原稿が無いため、排紙6を行う。排紙6が終了すると、抑制必要状態のため、停止指示時間を設定する。読取5と排紙6におけるモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。強制的な駆動停止はしない。停止指示時間を設定後、読取動作を終了する。
次に、自動原稿送り装置の原稿搬送制御に関して、CPU10がROM11に格納されたプログラムをRAM12にロードして実行する処理例について説明する。図10はそのフローチャートである。この処理は、図3〜図7及び図9で説明した読取動作に関する処理であり、モータ216の昇温停止制御も含まれる。なお、昇温抑制の要否判定は、並列的に実行される別の処理により行うことができ、判定結果はRAM12に保存して更新していくことができる。
ステップS1001は、原稿積載部201から原稿を給紙する処理である。ステップS1002では、操作者が選択している機能の種類を判定する。本実施形態の場合、ファクスダイレクト送信機能が選択されているか、それ以外の機能が選択されているかを判断する。ファクスダイレクト送信機能が選択されている場合、ステップS1003へ進む。ファクスダイレクト送信機能以外の機能(スキャナ機能、コピー機能、ファクスメモリ送信機能)が選択されている場合、ステップS1004へ進む。
ステップS1003は、停止指示時間を保存する。ファクスダイレクト送信機能が選択されている場合に、読取開始前の昇温停止を行わずに読み取りを開始するために、次にステップS1007へ進む。
ステップS1004は、モータ216が抑制必要状態であるかを判断する処理である。抑制必要状態である場合、次にステップS1005を行う。抑制必要状態でない場合、次にステップS1007を行う。
ステップS1005は、停止指示時間が残っているかを確認する処理である。停止指示時間が残っている場合は、次にステップS1006を行う。抑制必要状態であっても停止指示時間がない場合は、停止させないため、次にステップS1007を行う。
ステップS1006は、モータ216の駆動を停止する。モータ温度を冷却させるための昇温停止動作である。ファクスダイレクト送信機能以外の機能を選択した場合、このように、「読取」前に昇温停止可能な制御となっている。昇温停止は、停止指示時間が0になるか抑制不要状態になるまで継続する。
ステップS1007は、原稿を一枚読み取る処理である。読取開始位置まで搬送した原稿を流し読みして、原稿後端まで読み取るか、指定された範囲を読み取る。
ステップS1008は、次原稿があるかを判断する。次原稿がある場合は、次原稿を読み取るため次にステップS1009を行う。次原稿がない場合は、読み取りを終了するため、次にステップS1012を行う。
ステップS1009は、読み取った原稿を排紙し、また、次原稿の読み取りを開始するため、次原稿を読み取り開始位置まで給紙する搬送処理である。
ステップS1010は、モータ216が抑制必要状態であるかを判断する処理である。抑制必要状態である場合、次にステップS1011を行う。抑制必要状態でない場合、次にステップS1007を行う。
ステップS1011は、原稿読取間の昇温停止の停止指示時間を設定する処理である。ステップS1007の原稿一枚の読取処理とステップS1009の搬送処理におけるモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。次にステップS1006で設定した停止指示時間にしたがって昇温停止することになる。
ステップS1012は、ステップS1007で読み取った原稿を原稿排紙部206に搬送する排紙処理である。
ステップS1013は、モータ216が抑制必要状態であるかを判断する処理である。抑制必要状態である場合、次にステップS1014を行う。抑制必要状態でない場合、一単位の読取動作を終了する。
ステップS1014は、読取動作終了後の停止指示時間、または、後述するステップS1019の昇温停止の停止指示時間を設定する処理である。ステップS1007の原稿一枚の読取処理とステップS1012の排紙処理におけるモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間を設定する。
ステップS1015は、ステップS1001の給紙時に抑制必要状態であったか否かを判定する処理である。抑制必要状態であった場合はステップS1016へ進み、抑制不要状態であった場合はS1017へ進む。ステップS1016は、ステップS1001の給紙処理におけるモータ216の駆動量と駆動速度に応じた停止指示時間をステップS1014で設定した停止指示時間に加算する。
ステップS1017は、読取動作がファクスダイレクト送信機能か、それ以外の機能かを判断する処理である。ファクスダイレクト送信機能である場合、次にステップS1018を行う。ファクスダイレクト送信以外の機能である場合、一単位の読取動作を終了する。
ステップS1018は、ファクスダイレクト送信の読み取り開始前に停止指示時間があった場合でも、停止せずに読取開始した場合に、その停止指示時間分の昇温停止を行うための処理である。ステップS1003で保存した停止指示時間を、S1014で設定した停止指示時間(或いはS1016で加算された停止指示時間)に加算する。
ステップS1019は、ファクスダイレクト送信機能が選択された読取動作終了時(原稿の排出後)に抑制必要状態であった場合の、強制的な昇温停止処理である。昇温停止を終えたら、一単位の読取動作を終了する。
図11は、自動原稿送り装置の原稿搬送制御に関して、CPU10がROM11に格納されたプログラムをRAM12にロードして実行する処理例を示し、図8で説明したエラー排紙処理を示すフローチャートである。
ステップS1101は、モータ216が抑制必要状態であるかを判断する処理である。ステップS1102は、停止指示時間が残っているかを確認する処理である。これらのステップS1101とステップS1102の分岐は、エラー排紙処理開始時に昇温停止を行うかを判断するための分岐である。抑制必要状態かつ停止指示時間が残っている場合、次にステップS1103を行う。そうでない場合は、次にステップS1104を行う。
ステップS1103は、エラー排紙処理の前の動作において停止指示時間が設定されている場合の昇温停止処理である。ステップS1104は、搬送パス内または原稿積載部201に残っている原稿を一枚排紙する処理である。
ステップS1105は、搬送パス内または原稿積載部201に原稿が残っているかを判断して、排紙を継続するか終了するかを判断する処理である。原稿が残っている場合は、次にステップS1106を行う。また、原稿が残っていない場合、ステップS1108を行う。
ステップS1106の分岐とステップS1107は、原稿一枚を排紙した動作の昇温停止を行うための停止指示時間設定処理である。抑制必要状態の場合は、原稿一枚の排紙に対応する停止指示時間を設定して、次にステップS1103を行う。抑制必要状態でない場合は、次にステップS1104を行う。
ステップS1108の分岐とステップS1109とステップS1110は、最終の原稿を排紙した動作の昇温停止を行う処理である。抑制必要状態の場合は、原稿一枚の排紙に対応する停止指示時間を設定して、次にステップS1110で昇温停止した後で、エラー排紙処理を終了する。抑制必要状態でない場合は、エラー排紙処理を終了する。
次に、操作部5が備えるタッチパネルの表示例について図12〜図14を参照して説明する。図12は、スキャナ機能、コピー機能が選択された場合の表示遷移図である。操作者は、表示内容を確認したり、タッチパネルを操作して複合機1に各種選択或いは指示若しくは設定が可能である。
画面D001は、複合機1の初期画面であるホーム画面である。ホーム画面D001では、複合機1が備える様々な機能を選択可能となっている。「スキャン」はスキャナ機能を示し、「コピー」はコピー機能を示し、「ファクス」はファクス機能を示す。「ファクス」にはファクスメモリ送信機能、ファクスダイレクト送信機能が含まれる。
画面D001のスキャンを選択すると画面D101に遷移する。コピーを選択すると画面D201に遷移する。
画面D101は、スキャナ機能画面である。スキャナ機能画面D101では、読取った原稿の送出先の設定や読取画像の画質の設定が可能である。設定ボタンをタッチすることで種々の設定が可能である。図12では、原稿の送出先として、コンピュータ1が設定されている。複合機1のスタートボタン(不図示)を押下することで、読み取りを開始して画面D102に表示が遷移する。複合機1の戻るボタン(不図示)を押下することで、画面D001に遷移する。
画面D102は、スキャン中の画面である。画面D102では、スキャン動作中であることをユーザに通知する。本実施形態では「原稿を読み取ってます」と表示する。スキャンが終了すると画面D101に遷移する。モータ216の温度管理のためにモータ216を昇温停止した場合は、例えば、画面D103に表示が遷移する。画面D103では、スキャン動作の停止中であることをユーザに通知する。本実施形態では、「スキャナ部の温度調整中です」と表示する。スキャン動作を再開する場合は、画面D102に遷移する。
画面D201は、コピー機能画面である。コピー機能画面D101では、コピー出力する部数の設定や用紙サイズの設定など様々な設定が可能である。設定ボタンをタッチすることで種々の設定が可能である。複合機1のスタートボタン(不図示)を押下することで、コピーを開始して画面D202に遷移する。複合機1の戻るボタン(不図示)を押下することで、画面D001に遷移する。
画面D202は、コピー中の画面である。画面D202では、コピー動作中であることをユーザに通知する。本実施形態では「コピーしています」と表示する。コピーが終了すると画面D201に遷移する。モータ216の温度管理のためにモータ216を昇温停止した場合は、例えば、画面D203に表示が遷移する。画面D203では、コピー動作の停止中であることをユーザに通知する。本実施形態では、「スキャナ部の温度調整中です」と表示する。再開する場合は、画面D202に遷移する。
図13は、ファクス機能が選択された場合の表示遷移図である。ホーム画面D001でファクス機能を選択すると、画面D301に遷移する。
画面D301は、ファクス待機画面である。ファクス待機画面D301では、ファクスメモリ送信の送信先の設定とファクス送受信の様々な設定が可能である。設定ボタンをタッチすることで種々の設定が可能である。図6で先述したように、ファクスメモリ送信とは、操作者の開始操作によって原稿の読み取りを開始した後で送信先との回線接続を行い、読み取った画像データを送出する機能である。
複合機1のスタートボタン(不図示)を押下することで、原稿の読み取りを開始して画面D302に遷移する。オンフックを選択すると画面D401に遷移する。複合機1の戻るボタン(不図示)を押下することで、画面D001に遷移する。
画面D302は、ファクス原稿読取中の画面である。画面D302では、ファクス原稿読取動作中であることをユーザに通知する。本実施形態では「ファクス送信中 原稿を読み取っています」と表示する。原稿の読み取りを開始して送信先への発呼と回線を行い、読み取った画像データを送出する。原稿の読み取りが終了すると画面D301に遷移する。モータ216の温度管理のためにモータ216を昇温停止した場合は、例えば、画面D303に表示が遷移する。画面D303では、ファクス原稿読取動作の停止中であることをユーザに通知する。本実施形態では、「スキャナ部の温度調整中です」と表示する。再開する場合は、画面D302に遷移する。
画面D401は、ファクスダイレクト送受信待機画面である。図7で先述したように、ファクスダイレクト送信とは、原稿の読取開始前に送信先との回線接続を行い、回線接続後に操作者の操作によって読み取りを開始して、読み取った画像データを送出する方法である。
ファクスダイレクト送受信待機画面D401では、ファクスダイレクト送受信の接続先の設定とファクス送受信の様々な設定が可能である。操作者が送信先を入力することで送信先への発呼と回線接続を行う。回線接続後に複合機1のスタートボタン(不図示)を押下することで、読み取りを開始して、画面D402に遷移する。複合機1の戻るボタン(不図示)を押下することで、画面D401に遷移する。
画面D402は、ファクスダイレクト送信中の画面である。画面D402では、ファクスダイレクト送信動作中であることをユーザに通知する。本実施形態では「ファクス送信中 原稿を読み取っています」と表示する。原稿の読み取りを開始して接続している送出先に読み取った画像データを送信する。送信が終了すると画面D401に遷移する。モータ216の温度管理のためにモータ216を昇温停止した場合は、例えば、画面D403に表示が遷移する。画面D403では、ファクスダイレクト送信動作の停止中であることをユーザに通知する。本実施形態では、「スキャナ部の温度調整中です」と表示する。再開する場合は、画面D402に遷移する。
図14は、エラー排紙処理における表示遷移図である。画面D201、画面D202、画面D203は、先述した図12の説明と同じため省略する。
画面D202のコピー中に操作者によるキャンセルや原稿ジャムや、画像形成部のエラーなどによってコピーがエラー終了した場合、画面D501に遷移する。
画面D501は、搬送パス内や原稿積載部201に残った原稿を排出することを確認する画面である。本実施形態では、「原稿が残っています OKを押すと原稿を排出します」と表示する。OKを選択すると排紙動作を開始する。搬送パス内や原稿積載部201に原稿が無くなった場合、画面D201に遷移する。モータ216の温度管理のためにモータ216を昇温停止した場合は、例えば、画面D502に表示が遷移する。画面D502では、排紙処理動作の停止中であることをユーザに通知する。本実施形態では、「スキャナ部の温度調整中です」と表示する。再開する場合は、画面D501に遷移する。モータ216の昇温停止と原稿の排出が終了している場合は、画面D201に遷移する。
本実施形態では、ページ間(枚数)で停止をさせ、ページの途中で停止させない。これにより、読み取った画像の品質を安定させることができる。また、昇温の抑制が必要と判断した場合も、ジョブを受け付けた場合は給紙を実行した後に、停止を行うことにより、ユーザはジョブが受け付けられたことを容易に認識することができる。
また、本実施形態によれば、ファクス送信(FAX送信)の場合、通信規約で時間的な制約を満たしつつ、昇温の抑制を行うことができる。また、FAX手動送信後に昇温の抑制が必要な場合は、ユーザ操作を受け付けず、停止を行うことにより、ファクスダイレクト送信機能の選択と原稿ジャムエラーの発生などが連続した場合にモータが許容温度を超えるのを抑制することができる。
本実施形態によれば、モータ近傍に温度センサを備えていなくても、モータが昇温して許容温度を超えるのを抑制することができる。
<他の実施形態>
上述した実施形態では、モータ216の昇温抑制のために昇温停止する説明をしたが、昇温抑制の対象となる駆動素子はこれに限られない。モータ217や、画像読取部7(イメージセンサ)や、原稿に光を照射する光源部を昇温抑制の対象とすることも可能である。
上述した実施形態では、ファクスダイレクト送信機能が選択された場合には、「読取」の前に昇温停止しない例を説明をしたが、使用する通信規格の伝送手順の種類によっては、画像データを送出するタイミングの制約が異なる。そのため、伝送手順の種類によって、制約の範囲内の時間で、読取動作の前に昇温停止を行った後、「読取」を開始する構成でも構わない。
上述した実施形態では、ファクスダイレクト送信機能の場合には、停止指示時間が残っていても、昇温停止を行わずに読取動作を開始する例をしたが、このような制御を行う機能の種類はファクスダイレクト送信機能に限られるわけではない。例えば、データを送出する機能において、画像データを送出するタイミングに制約がある場合には、ファクスダイレクト送信機能の場合と同じ昇温停止制御を行っても構わない。また、データを送出する機能において、送出先からの要求に従って、温度管理方法を切り替えるようにしても構わない。また、操作部5で操作者が温度管理方法を設定することで、ファクスダイレクト送信以外の機能で、ファクスダイレクト送信機能の場合と同じ温度管理を行うようにしても構わない。
上述した実施形態では、コピー機能やスキャナ機能を実行する場合、抑制必要状態のとき、読取及び搬送を行った後に、停止指示を行うものとしたが、これに限定されるものではない。読取を行ったあとに停止指示を行い、搬送と読取を行った後に、停止を行ってもよい。
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
また、プログラムは、1つのコンピュータで実行させても、複数のコンピュータを連動させて実行させるようにしてもよい。また、上記した処理の全てをソフトウエアで実現する必要はなく、処理の一部または全部をASIC等のハードウェアで実現するようにしてもよい。また、CPUも1つのCPUで全ての処理を行うものに限らず、複数のCPUが適宜連携をしながら処理を行うものとしてもよい。