JP2016045450A - 複合吸音材料および吸音性内装材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 繊維基材2の表面に合成樹脂発泡層3を形成してなる複合吸音材料1であって、合成樹脂発泡層3には、熱膨張性マイクロカプセルが混合された合成樹脂エマルジョンを使用し、該合成樹脂エマルジョンを加熱して該熱膨張性マイクロカプセルを膨張させるとともに、該熱膨張性マイクロカプセルの膨張度合いに応じて該熱膨張性マイクロカプセル同士の間に形成される隙間の大きさを変えることにより、通気度が所望値となるように調節される。
【選択図】 図1
Description
従来から上記吸音材料としては、通気性を有する合成樹脂発泡体やフェルトからなる多孔質体が使用されている。吸音材料として上記多孔質体を単層で用いる場合、厚みが増すほどに吸音率が高まり、特に厚みが波長の1/4程度以上で吸音率がほぼ一定となることから、吸音性能の向上を図るべく該多孔質体の厚みを増大させる傾向がある。しかし、該多孔質体の厚みを増せば、その分、重量も嵩み、軽量化、省エネ化を目標とする自動車等の吸音材料として使用するには問題がある。そこで、軽量化を図りつつ、吸音性能の向上を図るべく、以下のような提案が為されている。
例えば、特許文献1の吸音材は、マトリックス材中に粒状体を内包しているカプセル体が分散されており、該粒状体の周囲に空間を形成し、空間と粒状体の振動を音の振動と逆位相とすることにより、材料に伝わった音の振動を打ち消すことで吸音性能を発揮する。
特許文献2の吸音材は、連続気泡を形成する母材樹脂と、その母材樹脂に分散され独立気泡を形成する膨張した有機中空粒子とからなり、複雑な微細毛細管構造と、有機中空粒子の粘弾性による振動エネルギーの吸収により、吸音性能を発揮する。
特許文献3の吸音体は、樹脂発泡粒子の多数個が一体化した多孔質成形体を用いており、該樹脂発泡粒子を発泡させて予備発泡粒子を得た上で、該予備発泡粒子を分級して粒子径分布及び平均粒子径を調節する(特許文献5、〔0040〕段落参照)ことで吸音性能を調整している。
特許文献4の自動車用吸音タイプ防音材は、フェルト、グラスウール等の繊維材料やウレタンフォームのような合成樹脂発泡体からなる第一吸音層と第二吸音層との間に、目付10〜200g/m2、通気度3〜35cc/cm2/secの不織布からなる中間層を設けた3層構造としている。
特許文献5の車輌用吸音材は、フェルト、グラスウール、ウレタンフォーム等の多孔質材料からなる吸音層に、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,ポリスチレン等の熱可塑性合成樹脂からなる通気度100〜300cc/cm/sec,目付15〜200g/m2の繊維性不織布または樹脂膜を熱融着して、通気度が1〜25cc/cm2/secの積層体を形成してなるものである。
上記従来構成において、特許文献1の吸音材は、粒状体の周囲に空間を形成するものであって、該吸音材そのものが通気性を有するものであるとは云えず、通気度の設定によって望ましい吸音性能を与えることは不可能である。
特許文献2の吸音材は、連続気泡を形成するために上記有機中空粒子とは別に母材樹脂中に発泡剤を添加しているが、該発泡剤による発泡を制御して上記複雑な微細毛細管構造を調節し、通気度を調整することは不可能である。
特許文献3の吸音体は、通気度を設定することは可能であるものの、上記予備発泡粒子の粒子径分布及び平均粒子径の調節が非常に煩雑で困難なものとなるため、量産に難があり、また時間経過とともに吸音体の表面から樹脂発泡粒子が剥がれ落ちることで、耐久性の低下及び吸音性能の低下が予見される。
特許文献4の自動車用吸音タイプ防音材及び特許文献5の車輌用吸音材は、通気度の調整によって吸音性能の向上を図ろうとしたものであり、該通気度の調整に不織布か多孔性樹脂膜等の多孔質材料を使用している。しかしこうした多孔質材料によって通気度を調整するには、該多孔質材料の密度や厚みの微妙な調節が必要であり、また該多孔質材料によって通気度を調整するには、単位面積当りの孔数や孔径の微妙な調節が必要になり、その結果、通気度の調整が非常に難しく、手間を要するという問題が生じていた。
また上記繊維基材は厚みが5mm〜10mm、単位質量が400g/m2〜1000g/m2であり、上記合成樹脂発泡層は単位面積当りの質量が50g/m2〜300g/m2であり、上記熱膨張性マイクロカプセルは上記合成樹脂エマルジョン100質量部に対して2〜20質量部添加されており、上記通気度は0.1〜50cc/cm2・secの範囲に設定されていることが望ましい。
更に本発明では、上記複合吸音材料における上記合成樹脂発泡層側の表面に表皮層を積層してなる吸音性内装材であって、上記複合吸音材料を形成するに際し、上記繊維基材の表面に上記合成樹脂エマルジョンを層状に塗布し、未乾燥のフォーム状前駆層として、該フォーム状前駆層の表面に上記表皮層を圧着して加熱乾燥することにより、上記表皮層が接合された状態の上記合成樹脂発泡層が形成されていることを特徴とする吸音性内装材が提供される。
本発明の複合吸音材料は、繊維基材の表面に、膨張前の熱膨張性マイクロカプセルを混合した合成樹脂エマルジョンを塗布し、該合成樹脂エマルジョンを加熱乾燥することにより、該合成樹脂エマルジョン中の該熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて、合成樹脂発泡層を形成する。上記合成樹脂発泡層は、膨張した上記熱膨張性マイクロカプセル同士の間に隙間が形成されることで通気性を有している。
上記合成樹脂エマルジョンの加熱乾燥に際しては、加熱温度や加熱時間等を制御することにより、上記熱膨張性マイクロカプセルの膨張度合い(膨張倍率、あるいは膨張後の大きさ)が調整される。そして、該熱膨張性マイクロカプセルの膨張度合い(膨張倍率、あるいは膨張後の大きさ)に応じて該熱膨張性マイクロカプセル同士の間に形成される隙間の大きさを変えることにより、通気度を容易に調節することができる。従って、合成樹脂発泡体や繊維基材の厚みや密度によらずとも、通気度を容易に調節することができ、該通気度を、所定の周波数帯域の音に対して所望の吸音率となるような所望値に調節することによって、吸音性能の向上を図ることができる。
本発明の複合吸音材料は、上記繊維基材の単位面積当りの質量を400g/m2〜1000g/m2とし、厚みを5mm〜10mmとしても、通気度を望ましい範囲0.1〜50cc/cm2・secに設定することが容易に出来る。
本発明の吸音性内装材は、上記複合吸音材料を形成する際に繊維基材の表面に層状に塗布された合成樹脂エマルジョンを未乾燥のフォーム状前駆層とし、該フォーム状前駆層の表面に表皮層を圧着した後に、該フォーム状前駆層を加熱乾燥して合成樹脂発泡層とすることにより、形成されている。つまり、該吸音性内装材においては、上記合成樹脂発泡層になる前の段階である上記フォーム状前駆層を接合に用いており、表皮層を合成樹脂発泡層に接合するための接着剤や接着フィルム等を必要としていない。このため、接着剤や接着フィルム等を用いたことによる通気度の変化を考慮せずに、上記したような熱膨張性マイクロカプセルの膨張の度合い(膨張後の大きさ)で通気度を容易に調節することができ、該通気度の調節によって吸音性能の向上を図ることができる。
本発明によれば、通気度を容易に調節することができ、該通気度の調節によって吸音性能の向上を図ることができる複合吸音材料および吸音性内装材を提供することが出来る。
〔繊維基材〕
本発明の複合吸音材料又は吸音性内装材において、繊維基材は、実質的な吸音性能を発揮させるために用いられている。該繊維基材としては、例えばポリエステル繊維,ポリアミド繊維,ポリエチレン繊維,ポリプロピレン繊維,アクリル繊維等の合成繊維、あるいはガラス繊維、岩石繊維等の無機繊維からなる不織布やフェルトが使用される。繊維基材として望ましいものは、所定形状に成形加工することが可能なものであり、上記合成繊維、例えば融点180℃以上のポリエステル線維に融点160℃以下のポリプロピレン繊維,ポリエチレン繊維,低融点ポリエステル繊維等の低融点繊維を混合した混合繊維からなるものが例示される。上記繊維基材の厚みは5mm〜10mm,単位質量は400g/m2〜1000g/m2の範囲が一般的である。
上記繊維基材には、所望なれば撥水処理を施してもよい。該撥水処理に使用される撥水剤としては、例えばワックス,ジルコニウム塩,脂肪アルキル基をもつウェルナ型Cr、Al錯塩化合物,脂肪酸アミドのメチロール化物,ポリオルガノシロキサン,フッ素樹脂等がある。
上記繊維基材には、所望なれば難燃処理を施してもよい。該難燃処理に使用される難燃化剤としては、例えば塩素化合物,臭素化合物等のハロゲン化合物,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム等の金属水和物,リン酸アンモニウム,ポリリン酸アンモニウム等のリン酸化合物等がある。
本発明の複合吸音材料又は吸音性内装材において、合成樹脂発泡層は、複合吸音材料又は吸音性内装材の全体の通気度を所望値に調節するために用いられている。該合成樹脂発泡層は、合成樹脂エマルジョン中に熱膨張性マイクロカプセルを所定量添加して分散させて得られた分散液を使用して形成されたものである。
上記合成樹脂エマルジョンに使用する合成樹脂としては、例えばアクリル樹脂,エチレン−酢酸ビニル樹脂,スチレン−ブタジエン樹脂,アクリロニトリル−ブタジエン樹脂,アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂,アクリル−酢酸ビニル樹脂等の望ましくはガラス転移点Tgが−40℃〜+30℃の範囲の合成樹脂が例示される。
本発明において、上記合成樹脂エマルジョンは、特に水性エマルジョンの形態で使用されることが望ましい。熱膨張性マイクロカプセルを均一に分散させるため、あるいは上記繊維基材の表面に厚塗りするために、水性の合成樹脂エマルジョンには増粘剤を添加することが望ましい。なお、水性の合成樹脂エマルジョンを増粘する場合、粘度は、5000cps以上にすることが望ましい。上記増粘剤としては、通常ポリビニルアルコール(PVA),カルボキシメチルセルロース(CMC),あるいはASE−60(商品名:ロームアンドハース社製)のような酸含有架橋型アクリル樹脂エマルジョンが用いられる。
また、水性の合成樹脂エマルジョンを用いた場合、上記繊維基材に撥水処理が施されていると、該合成樹脂エマルジョンが該繊維基材に染み込むことなく、該繊維基材の表面で好適な層状となるため、より望ましいものとなる。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、熱膨張温度(通常140℃〜215℃)の範囲内で加熱すると、熱可塑性樹脂製の外殻が軟化し、かつ上記液状の発泡剤が気体となることにより、気化した発泡剤の圧力で上記外殻を膨張させる。上記合成樹脂発泡層中には、膨張した熱膨張性マイクロカプセル同士の間に隙間が形成され、該隙間を介して空気が流通するので、該合成樹脂発泡層は通気性を有するものとなる。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、上記加熱する際の温度を所定値に設定する、更に必要であれば加熱時間を設定することにより、所望の膨張度合い(膨張倍率)とする、言い換えると膨張後の大きさを所望の大きさとすることができるという性能を有している。該熱膨張性マイクロカプセルの性能を利用し、上記膨張した熱膨張性マイクロカプセル同士の間に形成される隙間の大きさを変えることにより、通気性が変化するので、その結果、通気度の調節が可能となる。
例えば、熱膨張性マイクロカプセルの膨張度合いを大きくすると、膨張した熱膨張性マイクロカプセル同士の間に形成される隙間が小さくなり、通気性が低下するので、通気度は低くなる。これとは逆に、熱膨張性マイクロカプセルの膨張度合いを小さくすると、膨張した熱膨張性マイクロカプセル同士の間に形成される隙間が大きくなり、通気性が向上するので、通気度は高くなる。
図1に示すように、複合吸音材料1は、繊維基材2の表面に合成樹脂発泡層3が形成されることによって構成されたものである。該複合吸音材料1において、上記合成樹脂発泡層3中で膨張した熱膨張性マイクロカプセル同士の間には、隙間が形成されている。そして、上記複合吸音材料1は、繊維基材2を使用し、該繊維基材2の表面に形成された合成樹脂発泡層3中で熱膨張性マイクロカプセル同士の間に隙間が形成されることにより、通気性を有しており、吸音性能を発揮する。
すなわち、上記繊維基材2のみでは、該繊維基材2の厚みに応じた周波数の音(主に高周波数の音)に対してのみしか吸音性能を発揮することができない。しかし、上記複合吸音材料1は、上記合成樹脂発泡層3を設けることにより、該合成樹脂発泡層3で通気度が所望値となるように調節されており、その結果、上記繊維基材2の厚みに係わらず、該通気度に応じた周波数の音に対して吸音性能を発揮する。
本発明において得られた複合吸音材料1の通気性は通気度で示され、該通気度は、JIS L1096記載の方法に準じてフラジール型試験機を使用して測定した値である。該複合吸音材料1の通気度は、好適な吸音性能を発揮出来るという観点から、0.1〜50cc/cm2・secの範囲に設定されることが望ましい。
上記複合吸音材料1の通気度は、上記合成樹脂発泡層3中で熱膨張性マイクロカプセル同士の間に形成される隙間の大きさを変えることで調節することが可能である。該隙間の大きさは、上記したように上記熱膨張性マイクロカプセルの膨張度合い(膨張倍率)を調節することによって調整することが可能である。該膨張度合い(膨張倍率)の調節は、主に加熱温度および/または加熱時間の設定によって行われる。また他に、上記隙間の大きさは、上記繊維基材2の表面に対する上記熱膨張性マイクロカプセルの単位面積当りの塗布量を調節することによっても調整することが可能である。
なお、該複合吸音材料1は、通気度が低くなるに従って低周波数の音(1000Hz以下)に対する吸音性能が高まり、通気度が高くなるに従って高周波数の音(3000Hz以上)に対する吸音性能が高まるという傾向が見られる。
上記熱膨張性マイクロカプセルの上記合成樹脂エマルジョン100質量部に対する添加量は、該熱膨張性マイクロカプセルの塗布量を上記範囲内にするという観点から、2〜20質量部とすることが望ましい。
上記熱膨張性マイクロカプセルが添加された上記合成樹脂エマルジョンは、該熱膨張性マイクロカプセルの塗布量を上記範囲内にするという観点から、上記繊維基材の表面に対し、単位面積当り50g/m2〜300g/m2の範囲の塗布量になるように塗布されることが望ましい。
上記熱膨張性マイクロカプセルは、通常、未膨張状態における平均粒子径が10〜40μm、膨張状態における平均粒子径が100μm未満のものを使用することが望ましい。該熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径が小さなものを使用すると、膨張度合い(膨張倍率)を変えても上記隙間の大きさが過度に変わりにくくなり、また平均粒子径が大きなものを使用すると、膨張度合い(膨張倍率)を変えると上記隙間の大きさが過度に変わりやすくなるため、上記通気度を所望値に調節することが難しくなる。
次いで、例えばヒーター等のような一次加熱乾燥機42を使用することにより、一次加熱乾燥処理が行われる。該一次加熱乾燥処理においては、該一次加熱乾燥機42による加熱温度が上記熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張温度(140℃〜215℃)の範囲内になるように設定される。また該一次加熱乾燥処理においては、上記繊維シート21上に層状に塗布された分散液31中で表層部分の合成樹脂エマルジョンのみを乾燥することにより、内部が未乾燥状態のフォーム状前駆層32が形成される。
続いて、例えば加熱乾燥機等のような二次加熱乾燥機43を使用することにより、二次加熱乾燥処理が行われる。該二次加熱乾燥処理においては、該二次加熱乾燥機43による加熱温度が上記熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張温度(140℃〜215℃)の範囲内になるように設定される。また該二次加熱乾燥処理においては、上記繊維シート21上に形成されたフォーム状前駆層32の全体を乾燥することにより、合成樹脂発泡層3が形成される。
そして、表面に合成樹脂発泡層3が形成された上記繊維シート21がカッター44によって所定寸法に切断され、複合吸音材料1が製造される。
上記複合吸音材料1は、シート状のまま自動車の床材,自動車のトランクルームの内装材等に使用することも可能であり、あるいは金型等を用いて所定形状に成形して自動車の床材,自動車のトランクルームの内装材等に使用することも可能である。該成形においては、通常の成形温度が上記熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張温度(通常140℃〜215℃)よりも低い温度に設定されるため、該成形時に該熱膨張性マイクロカプセルが再び膨張して通気度が変わることが防止される。
図3に示すように、本発明にあっては、更に上記複合吸音材料1において、上記合成樹脂発泡層3側の表面に表皮層4を積層してなる吸音性内装材5が提供される。
上記表皮層4を形成する材料としては、不織布,繊維編織物等の繊維シートが使用される。
図4に示すように、上記吸音性内装材5の製造は、上記複合吸音材料1において、分散液31を層状に塗布し、一次加熱乾燥処理を行うことなく未乾燥状態のフォーム状前駆層32を形成し、該フォーム状前駆層32の表面にロール51から引き出した繊維シート52を重ね合わせ、圧着ロール53によって圧着することによって行われる。
すなわち、上記フォーム状前駆層32は未乾燥の状態であり、粘着性を有しているため、該フォーム状前駆層32を接着剤と見做し、上記繊維シート52との接合に利用する。そして、上記繊維シート52が接合された上記フォーム状前駆層32を上記二次加熱乾燥機43による二次加熱乾燥処理で完全に加熱乾燥させることにより、上記表皮層4が接合された状態の上記合成樹脂発泡層3が形成された上記吸音性内装材5が得られる。
通常、上記繊維シート52からなる上記表皮層4を上記合成樹脂発泡層3に接合する場合、接着剤を使用したり、ニードルパンチングによる繊維の絡合を利用したりする。しかし、接着剤を使用する場合には、該接着剤が上記合成樹脂発泡層3に染み込んで孔を塞いだりすることによって通気性が阻害され、またニードルパンチングによる繊維の絡合を利用する場合には、ニードルが刺された箇所に孔が形成されて、該孔が通気性に影響を及ぼす。
上記したように、フォーム状前駆層32の粘着性を利用して表皮層4を接合する方法であれば、接着剤やニードルの孔による影響はなく、また上記熱膨張性マイクロカプセルの膨張度合いに応じ、該熱膨張性マイクロカプセル同士の間に形成される隙間の大きさを変えることによる通気度の調節を遜色なく行うことができる。
上記吸音性内装材5は、上記複合吸音材料1と同様に、シート状のまま自動車の床材,自動車のトランクルームの内装材等に使用することも可能であり、あるいは金型等を用いて所定形状に成形して自動車の床材,自動車のトランクルームの内装材等に使用することも可能である。該成形においては、通常の成形温度が上記熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張温度(通常140℃〜215℃)よりも低い温度に設定されるため、該成形時に該熱膨張性マイクロカプセルが再び膨張して通気度が変わることが防止される。
繊維基材には、ポリエステル繊維70質量%と低融点繊維30質量%とを混合して得た混合繊維からなり、単位面積当たりの質量が700g/m2のフェルトを使用した。
合成樹脂発泡層は、アクリル系エマルジョン100質量部に対して熱膨張性マイクロカプセル(Expancel(登録商標)、日本フィライト社製)10質量部を分散させてなる分散液を、上記フェルトの表面に単位面積当たりの塗布量が100g/m2になるように塗布し、所定温度で一定時間、加熱乾燥して形成した。
実施例の試料として、上記繊維基材の表面に上記合成樹脂発泡層を形成し、厚みを8mmとしたものを使用した。また実施例1は加熱温度を200℃として熱膨張性マイクロカプセルを完全に膨張させた。一方、実施例2は加熱温度を160℃として熱膨張性マイクロカプセルを完全に膨張させなかった。
比較例の試料として、上記繊維基材の単層からなり、厚みを8mmとしたものを使用した。
〔通気度の測定〕
通気度試験機(カトーテック社製、KES−F8−AP1)を使用し、通気抵抗及び通気度を測定した。
実施例1は、通気抵抗が4(KPa・sec)/mであり、通気度が3.11cc/cm2・secであった。
実施例2は、通気抵抗が0.25(KPa・sec)/mであり、通気度が49.8cc/cm2・secであった。
比較例1は、通気抵抗が0.35(KPa・sec)/mであり、通気度が35.3cc/cm2・secであった。
〔吸音率の測定〕
実施例1,2及び比較例1の試料について、JIS A1405に準じて垂直入射吸音率を測定した。その結果を図5のグラフに示す。
吸音率の測定結果より、実施例1は、315Hz〜2500Hzの低い周波数の音に対して比較例1よりも高い吸音率を示した。実施例2は、全ての周波数域の音に対して比較例1よりも高い吸音率を示し、特に3000Hzより高い周波数の音に対しては実施例1よりも高い吸音率を示した。
以上から、熱膨張性マイクロカプセルの単位面積当たりの塗布量は同じであっても、該熱膨張性マイクロカプセルの膨張度合いによって通気度を調節することにより、吸音特性が変わることが示された。
2 繊維基材
3 合成樹脂発泡層
4 表皮層
5 吸音性内装材
Claims (3)
- 繊維基材の表面に合成樹脂発泡層を形成してなる複合吸音材料であって、
上記合成樹脂発泡層には、熱膨張性マイクロカプセルが混合された合成樹脂エマルジョンを使用し、該合成樹脂エマルジョンを加熱して該熱膨張性マイクロカプセルを膨張させるとともに、該熱膨張性マイクロカプセルの膨張度合いに応じて該熱膨張性マイクロカプセル同士の間に形成される隙間の大きさを変えることにより、通気度が所望値となるように調節されている
ことを特徴とする複合吸音材料。 - 上記繊維基材は厚みが5mm〜10mm、単位質量が400g/m2〜1000g/m2であり、
上記合成樹脂エマルジョンの上記繊維基材に対する塗布量は、単位面積当りの質量が50g/m2〜300g/m2であり、
上記熱膨張性マイクロカプセルは上記合成樹脂エマルジョン100質量部に対して2〜20質量部添加されており、
上記通気度は0.1〜50cc/cm2・secの範囲に設定されている
請求項1に記載の複合吸音材料。 - 請求項1又は請求項2に記載の複合吸音材料における上記合成樹脂発泡層側の表面に表皮層を積層してなる吸音性内装材であって、
上記複合吸音材料を形成する際に、上記繊維基材の表面に上記合成樹脂エマルジョンを層状に塗布し、未乾燥のフォーム状前駆層として、該フォーム状前駆層の表面に上記表皮層を圧着して加熱乾燥することにより、上記表皮層が接合された状態の上記合成樹脂発泡層が形成されている
ことを特徴とする吸音性内装材。
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