JP2016045381A - 電子写真感光体、電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ここにいう「電子写真方式」とは、一般に、光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電させ、次いで露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸散させて静電潜像を得て、この潜像部を染料、顔料などの着色剤及び樹脂材料などで構成されるトナーで現像し、可視化して画像を形成する画像形成プロセスである。
近年、感光体の高耐久化の技術的方法の一つとして、フィラー(無機微粒子)を表面保護層に添加し、強度を高めて、寿命を延ばす方法が一般的とされている。
しかしながら、使用されるフィラーの多くは、例えば酸化アルミ、二酸化チタン、酸化スズなどの電子輸送性であるn型半導体金属微粒子であり、繰り返し露光後の残留電位が大きく、安定した画像形成を行うことができない。これは、表面保護層の上記n型半導体金属微粒子がホール輸送機能を有さないために、電荷輸送層と表面保護層との界面及び表面保護層内の粒子界面で、ホール(正孔)がトラップされるため、効果的に感光体表面の負電荷をキャンセルできないためであると考えられる。
CuAlO2微粒子を用いると、高強度を維持したまま必要とされるホール輸送能を持つことが確認される。しかしながら、さらなるプリントの高速化のためには、感光体のホール輸送能を向上させる必要があり、CuAlO2微粒子の場合、表面保護層への添加部数を上げる施策があるが、CuAlO2微粒子の添加部数を上げると、微粒子由来のヒドロキシ基も増えるために、空気中の水分がヒドロキシ基に吸着して抵抗を下げ、その結果、高温高湿下での画像ボケが劣ることが問題となる。ヒドロキシ基をシランカップリング剤などで疎水化処理すれば解決するが、完全にヒドロキシ基を疎水化することは難易度が高かった。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.導電性支持体上に、少なくとも感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、
前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともMgCu2O2、CaCu2O2、SrCu2O2、BaCu2O2から選ばれる1種の化合物を含む微粒子を含有することを特徴とする電子写真感光体。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
上記MgCu2O2、CaCu2O2、SrCu2O2及びBaCu2O2の粒子は、CuAlO2粒子よりもホール輸送機能が高いため、粒子の添加部数が少なくてもCuAlO2と同等の以上の電気特性を発揮することができ、長期の残留電位の上昇及び画像濃度差(画像メモリー)の発生を防止することができる。また、上記粒子の添加部数を少なくすることができるため、表面保護層に添加するp型半導体粒子由来のヒドロキシ基量を減らせることができ、その結果、高温多湿化での画像ボケや、耐メモリー性を改善することができると推察される。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともSrCu2O2を含む微粒子を含有することが好ましい。
前記SrCu2O2を含む微粒子の数平均一次粒径が、1〜1000nmの範囲内であることが、製造しやすく、感光体として成立する点で好ましい。
本発明の電子写真感光体は、電子写真画像形成装置に好適に用いられる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、少なくとも感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともMgCu2O2、CaCu2O2、SrCu2O2、BaCu2O2から選ばれる1種の化合物を含む微粒子を含有することを特徴とする。
また、必要に応じて導電性支持体と感光層の間に中間層を設けてもよい。
感光層は、その層構成を特に制限するものではなく、表面保護層を含めた具体的な層構成として、例えば以下(1)〜(4)に示すものがある。
(1)導電性支持体上に、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順次積層した層構成
(2)導電性支持体上に、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層の感光層及び表面保護層を順次積層した層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順次積層した層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層の感光層及び表面保護層を順次積層した層構成
本発明の感光体は、上記(1)〜(4)いずれの層構成のものでもよく、これらの中でも、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び表面保護層を順次設けて作製された層構成のものが特に好ましい。
本発明の表面保護層は、バインダー樹脂、及び少なくともMgCu2O2、CaCu2O2、SrCu2O2、BaCu2O2から選ばれる1種の化合物を含む微粒子(以下、単に「p型半導体粒子」ともいう。)を含有する。
当該p型半導体粒子は、MgCu2O2、CaCu2O2、SrCu2O2、BaCu2O2から選ばれる1種の化合物を主成分として、本発明の効果を阻害しない範囲内で、他の金属酸化物等の無機化合物を含有しても良い。
特に、本発明の表面保護層は、バインダー樹脂、及び少なくともSrCu2O2を含む微粒子(以下、単に「SrCu2O2微粒子」ともいう。)を含有することが好ましい。
上記p型半導体粒子は、電荷を輸送するキャリアとして正孔(ホール)が使われる半導体粒子である。すなわち、正孔が多数キャリアとなる半導体である。
p型半導体粒子の数平均一次粒径は、1〜1000nmの範囲内であることが好ましい。特に好ましくは10〜500nmの範囲内である。
また、本発明では、特にSrCu2O2微粒子の数平均一次粒径が、1〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
また、表面保護層は、数平均一次粒径が異なる2種類以上のp型半導体粒子を含有することが好ましい。この場合、少なくとも一つのp型半導体粒子の数平均一次粒径が、10〜50nmの範囲内であることが好ましい。2種類以上のp型半導体粒子を含有し、大きさの異なる粒子を用いて表面保護層を製膜すると、表面が凹凸になり、これによってクリーニング性の向上につながる。
表面修飾剤としては、p型半導体粒子の表面に存在するヒドロキシ基等と反応する表面修飾剤が好ましく、これらの表面修飾剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
また、本発明においては、表面保護層の硬度をさらに高くする目的で、反応性有機基を有する表面修飾剤が好ましく、反応性有機基を有する表面修飾剤としては、ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤が好ましい。これらのラジカル重合性反応基は、本発明に係る後述する硬化性化合物とも反応して強固な表面保護層を形成することができる。
ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、ビニル基、アクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、下記に記すような公知の化合物が例示される。
S−2:CH2=CHSi(OCH3)3
S−3:CH2=CHSiCl3
S−4:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−5:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
S−6:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OC2H5)(OCH3)2
S−7:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
S−8:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−9:CH2=CHCOO(CH2)2SiCl3
S−10:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−11:CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
S−12:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−13:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
S−14:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S−15:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
S−16:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−17:CH2=C(CH3)COO(CH2)2SiCl3
S−18:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−19:CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3
S−20:CH2=CHSi(C2H5)(OCH3)2
S−21:CH2=C(CH3)Si(OCH3)3
S−22:CH2=C(CH3)Si(OC2H5)3
S−23:CH2=CHSi(OCH3)3
S−24:CH2=C(CH3)Si(CH3)(OCH3)2
S−25:CH2=CHSi(CH3)Cl2
S−26:CH2=CHCOOSi(OCH3)3
S−27:CH2=CHCOOSi(OC2H5)3
S−28:CH2=C(CH3)COOSi(OCH3)3
S−29:CH2=C(CH3)COOSi(OC2H5)3
S−30:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3
S−31:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)2(OCH3)
S−32:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCOCH3)2
S−33:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(ONHCH3)2
S−34:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OC6H5)2
S−35:CH2=CHCOO(CH2)2Si(C10H21)(OCH3)2
S−36:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH2C6H5)(OCH3)2
また、表面修飾剤としては、前記S−1からS−36以外でも、ラジカル重合可能な反応性有機基を有するシラン化合物を用いてもよい。これらの表面修飾剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
表面修飾するに際して、粒子100質量部に対し、表面修飾剤0.1〜100質量部の範囲内、溶媒50〜5000質量部の範囲内を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。また、乾式でも処理することができる。
具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では0.1〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
バインダー樹脂としては、重合性化合物を重合して得られる樹脂を含有することが好ましい。
重合性化合物を重合して得られる樹脂としては、硬化性化合物を硬化して得られる硬化性樹脂や、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等の公知の樹脂を挙げることができる。また、硬化性樹脂と、硬化性樹脂以外の樹脂を併用して用いることもできる。
ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性反応基として、アクリロイル基、メタクリロイル基の少なくともいずれかを有する重合性単量体が好ましい。
本発明に係る表面保護層に使用可能な硬化性化合物を硬化反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法やラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法等により硬化反応を行うことができる。
ラジカル重合開始剤を用いて硬化反応を行う場合、重合開始剤として光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
また、光重合促進効果を有するものを単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
また、表面保護層に各種の滑剤粒子を含有させることも可能である。例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種又は2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
表面保護層の形成に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面保護層は、バインダー樹脂(ラジカル重合性の硬化性化合物)、及び表面修飾した上記p型半導体粒子、必要に応じて公知の樹脂、重合開始剤、滑剤粒子、酸化防止剤等を添加して調製した塗布液を、公知の方法により感光層表面に塗布し、自然乾燥又は熱乾燥を行い、その後硬化処理して作製することができる。
表面保護層の膜厚は、0.2〜10μmの範囲内が好ましく、0.5〜6μmの範囲内がより好ましい。
照射条件は、それぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常1〜20mJ/cm2の範囲内、好ましくは、5〜15mJ/cm2の範囲内である。
光源の出力電圧は、好ましくは0.1〜5kWの範囲内であり、特に好ましくは、0.5〜3kWの範囲内である。
電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVの範囲内であることが好ましい。吸収線量としては0.005Gy〜100kGy(0.5〜10Mrad)の範囲内であることが好ましい。
表面保護層の乾燥条件は、塗布液に使用する溶媒の種類や表面保護層の膜厚などにより適宜選択することが可能である。また、乾燥温度は、室温〜180℃の範囲内が好ましく、80〜140℃の範囲内が特に好ましい。また、乾燥時間は、1〜200分の範囲内が好ましく、5〜100分の範囲内が特に好ましい。本発明においては、上記乾燥条件で表面保護層を乾燥することにより、表面保護層に含有される溶媒量を20〜75ppmの範囲内に制御することができる。
本発明で用いられる支持体は、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
本発明では、導電性支持体と感光層の中間にバリア機能と接着機能を有する中間層を設けることができる。
中間層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチン等のバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解させて浸漬塗布等により形成させることができる。前記バインダー樹脂の中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
これら金属酸化物粒子を1種類、又は2種類以上混合して用いることができる。2種類以上混合して用いる場合には、固溶体又は融着の形態をとってもよい。
このような金属酸化物粒子は、数平均一次粒径が0.3μm以下のものが好ましく、0.1μm以下のものがより好ましい。
具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、バインダー樹脂として好ましいとされるポリアミド樹脂に対して良好な溶解性と塗布性能を発現させることから好ましい。
また、保存性や無機微粒子の分散性を向上させるために、前記溶媒に対して以下のような助溶剤を併用することができる好ましい効果が得られる助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
前述したように、本発明の感光体を構成する感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を一つの層に付与した単層構造の他に、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に感光層の機能を分離させた層構成のものがより好ましい。
このように、機能分離型の層構成とすることにより、繰り返し使用に伴う残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすいメリットがある。
負帯電性感光体は、中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)を設ける構成をとり、正帯電性感光体は中間層の上に電荷輸送層(CTL)、その上に電荷発生層(CGL)を設ける構成をとる。好ましい感光層の層構成は、前記機能分離構造を有する負帯電感光体である。
本発明で形成される電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有するもので、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散させてなる塗布液を塗布して形成されたものが好ましい。
これらの電荷発生物質は、単独若しくは公知のバインダー樹脂中に分散させる形態で使用することができる。
電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが0.01〜5μmの範囲内が好ましく、0.05〜3μmの範囲内がより好ましい。
なお、電荷発生層用の塗布液は、塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成することもできる。
本発明で形成される電荷輸送層は、少なくとも層内に電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有するものであり、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
本発明の感光体を構成する中間層、電荷発生層、電荷輸送層、及び表面保護層等の各層は、公知の塗布方法により形成することができる。
具体的には、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、円形量規制型塗布法等が挙げられる。
なお、円形量規制型塗布方法については、例えば、特開昭58−189061号公報、特開2005−275373号公報に記載されている。
本発明の感光体は、一般的な電子写真方式の画像形成装置に備えることができる。また、本発明の感光体は、該画像形成装置を用いた画像形成方法に好適に用いることができる。
以下に、画像形成装置とともに画像形成方法について説明する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラー5M、クリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラー5C、クリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラー5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
また、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも一つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、及びレジストローラー23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラー5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。
カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて、機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体という。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラー71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bと、を有する。
<SrCu2O2微粒子の作製>
酸化ストロンチウムと酸化銅を混合して、窒素中に酸素が5%以下混入されている雰囲気中で1000℃以上に加熱融解したのち、降温させ、又は融点付近の温度のまま、一般式SrCu2O2で表される微結晶を種結晶上又は基板上に析出、成長させ、SrCu2O2単結晶を得た。その単結晶を、粉砕し、篩がけ(分級)することで、数平均一次粒径が10nm、30nm、100nm、500nm、及び1000nmのSrCu2O2からなる微粒子を得た。
数平均一次粒径の測定法は、上述した方法と同様にして行った。後述する金属酸化物微粒子についても同様である。
上記SrCu2O2微粒子の作製において、酸化ストロンチウムを酸化マグネシウムに変更した以外は、同様にして、数平均一次粒径が30nmのMgCu2O2微粒子を得た。
上記SrCu2O2微粒子の作製において、酸化ストロンチウムを酸化カルシウムに変更した以外は、同様にして、数平均一次粒径が30nmのCaCu2O2微粒子を得た。
上記SrCu2O2微粒子の作製において、酸化ストロンチウムを酸化バリウムに変更した以外は、同様にして、数平均一次粒径が30nmのBaCu2O2微粒子を得た。
Al2O3(純度99.9%)とCu2O(純度99.9%)を1:1のモル比で混合し、Ar雰囲気中で1100℃の温度で4日間仮焼した後、ペレット状に成型し1100℃で2日間焼結することで焼結体を得た。その後、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒を用いて、湿式メディア分散型装置を使用して、数平均一次粒径が30nmのCuAlO2からなる微粒子を得た。
In2O3(純度99.9%)とCu2O(純度99.9%)を1:1のモル比で混合し、Ar雰囲気中で1100℃の温度で4日間仮焼した後、ペレット状に成型し1100℃で2日間焼結することで焼結体を得た。その後、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒を用いて、湿式メディア分散型装置を使用して、数平均一次粒径30nmのCuInO2からなる微粒子を得た。
Ga2O3(純度99.9%)とCu2O(純度99.9%)を1:1のモル比で混合し、Ar雰囲気中で1100℃の温度で4日間仮焼した後、ペレット状に成型し1100℃で2日間焼結することで焼結体を得た。その後、数100μmまで粗粉砕した後、得られた粗粒子と溶媒を用いて、湿式メディア分散型装置を使用して、数平均一次粒径100nmのCuGaO2からなる微粒子を得た。
<表面修飾SrCu2O2微粒子の作製>
金属酸化物微粒子として、数平均一次粒径10nmのSrCu2O2微粒子100質量部、重合性表面修飾剤として上記例示化合物「S−15」(KBM−503(化合物名:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン))30質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合した。その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥して、表面修飾SrCu2O2微粒子を作製した。
なお、数平均一次粒径が30nm、100nm、500nm、及び1000nmのSrCu2O2微粒子についても同様にして表面修飾SrCu2O2微粒子を作製した。
上記表面修飾SrCu2O2微粒子の作製において、金属酸化物微粒子として、数平均一次粒径30nmのMgCu2O2微粒子を使用した以外は、同様にして表面修飾MgCu2O2微粒子を作製した。
上記表面修飾SrCu2O2微粒子の作製において、金属酸化物微粒子として、数平均一次粒径30nmのCaCu2O2微粒子を使用した以外は、同様にして表面修飾CaCu2O2微粒子を作製した。
上記表面修飾SrCu2O2微粒子の作製において、金属酸化物微粒子として、数平均一次粒径30nmのBaCu2O2微粒子を使用した以外は、同様にして表面修飾BaCu2O2微粒子を作製した。
得られたCuAlO2微粒子100質量部、表面修飾剤として上記例示化合物「S−15」7質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合し、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、表面修飾CuAlO2微粒子を作製した。
得られたCuInO2微粒子100質量部、表面修飾剤として上記例示化合物「S−15」7質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合し、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、表面修飾CuInO2微粒子を作製した。
得られたCuGaO2微粒子100質量部、表面修飾剤として上記例示化合物「S−6」7質量部、メチルエチルケトン1000質量部を湿式サンドミル(径0.5mmのアルミナビーズ)に入れ、30℃にて6時間混合し、その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾別し、60℃にて乾燥し、表面修飾CuGaO2微粒子を作製した。
上記表面修飾SrCu2O2微粒子の作製において、金属酸化物微粒子として、数平均一次粒径30nmのCuO微粒子(市販品)を使用した以外は、同様にして表面修飾CuO微粒子を調製した。
<感光体1の作製>
下記のようにして感光体1を作製した。
(支持体)
直径80mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体を用意した。
下記組成の分散液を同じ溶媒にて2倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層塗布液を調製した。
ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 1質量部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 3質量部
メタノール 10質量部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
上記塗布液を用いて前記支持体上に、乾燥膜厚2μmとなるようにして浸漬塗布法で塗布した。
電荷発生物質:Y−TiPh 20質量部
(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料)
ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C:電気化学工業社製) 10質量部
酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
電荷輸送物質:4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン 225質量部
バインダー:ポリカーボネートZ(Z300:三菱ガス化学社製) 300質量部
酸化防止剤(Irganox1010:BASFジャパン社製) 6質量部
テトラヒドロフラン 1600質量部
トルエン 400質量部
シリコーンオイル(KF−54:信越化学社製) 1質量部
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
表面修飾SrCu2O2微粒子(数平均一次粒径10nm) 20質量部
重合性化合物(上記例示化合物M1) 100質量部
重合開始剤(イルガキュア819:BASFジャパン社製) 15質量部
2−ブタノール 500質量部
上記成分を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、表面保護層塗布液を調製した。この塗布液を先に電荷輸送層まで作製した感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面保護層を塗布した。塗布後、キセノンランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥膜厚2.0μmの表面保護層を得た。このようにして「感光体1」を作製した。
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu2O2微粒子の添加量(質量部)及び数平均一次粒径を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu2O2微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾MgCu2O2微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu2O2微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾CaCu2O2微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu2O2微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾BaCu2O2微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu2O2微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾CuAlO2微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu2O2微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾CuInO2微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu2O2微粒子を、数平均一次粒径100nmの表面修飾CuGaO2微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
上記感光体1の作製において、表面保護層の表面修飾SrCu2O2微粒子を、数平均一次粒径30nmの表面修飾CuO微粒子に変更し、かつ、その添加量を表1に記載のとおりに変更した以外は同様の方法で作製した。
各測定条件に従い、各1000枚両面連続でプリントを行った後、初期評価を行い、さらに、同じ条件で各50万枚両面連続でプリント後、耐久試験を実施した。初期試験と耐久試験後に、感光体の電位を測定し、画像ボケ及び画像メモリーの評価を行った。なお、評価は、以下に示した指標に従い実施した。
また、評価機として、基本的に図2の構成を有するコニカミノルタ社製「bizhub PRO C8000」をベースに、プリント速度を120枚/分に改造し、該評価機に各感光体を搭載して、評価を行った。
10℃、20%RH環境で、Bk位置において内部搭載パターンNo.53/Dot1(規則性を有するドット状に形成された露光パターンの代表的なもの)をA3/PODグロスコート紙(100g/m2)王子製紙社製にて濃度指示値255を100枚連続印字した際の1枚目の露光後電位と100枚目の露光後電位の差をΔViとして定義して評価した。
さらに、同条件で50万枚連続印字後の1枚目と100枚目の電位差を評価する。
評価は、ジェンテック社製「CYNTHIA59」を用いて、10℃、15%RH下で測定した。表面電位変動の測定は、有機感光体を130rpmで回転させながら、グリッド電圧−800V、露光量0.5μJ/cm2の条件で、帯電と露光を繰り返して行った。ΔViの評価は、以下の基準に基づいて行った。
A:耐刷前後とも20V以下
B:耐刷前は20V以下、耐刷後は35V超45V以下
C:耐刷前は20V超40V以下、又は、耐刷前は40V以下かつ耐刷後は35V超
D:耐刷前から40V超
初期1000枚、さらに50万枚両面連続でプリントを行う耐久試験(環境条件30℃、80%RH、画像面積比率6%の文字画像をA4横送り)を実施した。耐久試験後、直ちに実機の主電源を停止した。停止12時間後に電源を入れ、画出し可能状態になった後、直ちにA3中性紙全面にハーフトーン画像(マクベス濃度計で相対反射濃度0.4)とA3全面の6dot格子画像を印字した。印字画像の状態を観察し以下の評価を行った。
R3:ハーフトーン画像及び格子画像ともに画像ボケ発生なし(良好)
R2:ハーフトーン画像のみに感光体長軸方向の薄い帯状濃度低下が認められる(実用上問題なし)
R1:画像ボケによる格子画像の欠損又は線幅の細りが発生(実用上問題あり)
前記耐久試験後に、べた黒とべた白の混在した画像を10枚連続して印刷し、続いて均一なハーフトーン画像を印刷し、該ハーフトーン画像中に前記べた黒とべた白の履歴が現れている(メモリー発生)か否(メモリー発生なし)かで判定した。
R3:メモリー発生なし(良好)
R2:軽微なメモリーが視認できる(実用上問題なし)
R1:はっきりしたメモリーが発生(実用上問題あり)
また、感光体1〜3では、従来のCuAlO2微粒子よりも少ない添加部数で、上記の効果が得られることが認められる。
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー
5b 二次転写ローラー
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段
7 無端ベルト状中間転写体ユニット
8 筐体
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラー
23 レジストローラー
24 定着手段
25 排紙ローラー
26 排紙トレイ
70 無端ベルト状中間転写体
71、72、73、74 ローラー
82L、82R 支持レール
P 転写材
Claims (6)
- 導電性支持体上に、少なくとも感光層及び表面保護層を順次積層した電子写真感光体であって、
前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともMgCu2O2、CaCu2O2、SrCu2O2、BaCu2O2から選ばれる1種の化合物を含む微粒子を含有することを特徴とする電子写真感光体。 - 前記表面保護層が、バインダー樹脂、及び少なくともSrCu2O2を含む微粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記バインダー樹脂が、重合性化合物を重合して得られた樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記SrCu2O2微粒子を含む数平均一次粒径が、1〜1000nmの範囲内であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電子写真感光体。
- 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする電子写真画像形成方法。
- 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を具備していることを特徴とする電子写真画像形成装置。
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