JP2016044253A - ノニオン性多価アルコール含有結合剤 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、ガラス繊維結合剤であって、(1)重合性カルボン酸又は無水物、又はその混合物と、ヒドロキシC2〜C8アルキルアクリレート又はメタクリレート、又はその混合物との反応生成物から成るコポリマー、及び(2)リン含有酸のアルカリ金属塩との水溶液から成ることを特徴とする結合剤が開示されている。該結合剤は、未硬化の時に低粘度を有し、硬化した時に構造的な剛性を有することが開示されている。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の結合剤は、水酸基を有する重合体を含み、該重合体は、上記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を含む。本発明の結合剤の必須成分である上記重合体を、以下、「本発明の重合体」ともいう。
上記一般式(1)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数2〜20の有機基を表す。本発明の結合剤をガラス繊維や粉末ガラスの結合剤に使用した場合の被結合体(本発明の結合剤で処理されたガラス繊維や粉末ガラス等をいう)の強度が向上し、吸湿劣化が抑制できる傾向にあることから、R1とR2に含まれる炭素数の合計は、3以上であることが好ましい。
上記置換のアルキレン基とは、アルキレン基を構成する水素原子の一部又は全部が置換基により置換されている基をいう。ここで置換基とは、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、エステル基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基等である。
上記置換のアリール基とは、アリール基を構成する水素原子の一部又は全部が置換基により置換されている基をいう。ここで置換基とは、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、エステル基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基等である。
上記エーテル基とはポリエーテル基を含み、置換のエーテル基とは、エーテルを構成する水素原子の一部又は全部が置換基により置換されている基をいう。ここで置換基とは、アルキル基、アリール基、水酸基、アミノ基、エステル基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基等である。
本発明の重合体は、上記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を、1種含んでいても、2種以上含んでいても良い。
上記塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が例示される。金属塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;鉄、アルミニウム等の遷移金属;等の塩が例示される。有機アミン塩としては、メチルアミン、n−ブチルアミン等のアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン等のアルカノールアミン;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のポリアミン;等の塩が例示される。
その他の単量体としては、特に制限はないが、具体的には、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸及びこれらの塩等のスルホン酸系単量体;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアミン、およびこれらの4級化物や塩等のアミノ基含有単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド系単量体;3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、3−アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の不飽和アルコール系単量体;上記不飽和アルコール系単量体にアルキレンオキシドを付加した構造を有するポリアルキレングリコール系単量体;ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体;(メタ)アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の不飽和グリシジル化合物;1−アリロキシ−3−ブトキシプロパン−2−オール等の、不飽和グリシジル化合物にアルコールを付加させた構造を有する単量体;スチレン、インデン、ビニルアニリン等のビニルアリール単量体;イソブチレン、オクテン等のアルケン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;が挙げられる。また、上記他の単量体を使用する場合は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上を併用しても良い。
上記塩としては、上記不飽和カルボン酸系単量体における塩と同様の塩が例示される。
なお、上記重量平均分子量は後述する測定方法により測定することができる。
上記重合開始剤の使用量としては、単量体(全単量体)の使用量1モルに対して、0.1g以上、10g以下であることが好ましく、0.1g以上、7g以下であることがより好ましく、0.1g以上、5g以下であることがさらに好ましい。
連鎖移動剤の使用量としては、単量体(全単量体)の使用量1モルに対して、0g以上、20g以下であることが好ましく、1g以上、15g以下であることがより好ましく、1g以上、10g以下であることがさらに好ましい。
上記重金属イオンの使用量としては、重合反応液全量に対して、0ppm以上、100ppm以下であることが好ましく、0ppm以上、50ppm以下であることがより好ましい。
溶媒の使用量としては、単量体100質量%に対して40〜200質量%が好ましい。より好ましくは、45質量%以上であり、更に好ましくは、50質量%以上である。また、より好ましくは、180質量%以下であり、更に好ましくは、150質量%以下である。溶媒の使用量が40質量%未満であると、得られる重合体の分子量が高くなるおそれがあり、200質量%を超えると、得られる重合体の濃度が低くなり、保管等のコストが高額になるおそれがある。
上記重合温度は、重合反応において、常にほぼ一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間又は昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応中に経時的に温度変動(昇温又は降温)させてもよい。
本発明の結合剤は、ノニオン性の多価アルコールを必須成分として含む。ノニオン性とは、分子内に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基や、アミノ基、4級アミン基等のカチオン性基を有しないことをいう。本発明の結合剤がノニオン性の多価アルコールを含むことにより、ガラス繊維や粉末ガラスの結合体の強度を良好なものとすることが可能となる。
上記ノニオン性の多価アルコールは、本発明の結合剤において、本発明の重合体の架橋剤として働くことを主な役割としているが、多価アルコールがノニオン性であることにより、本発明の結合剤の保存時や架橋反応時に本発明の重合体と適度に相互作用することにより、保存安定性が向上する傾向にあったり、ガラス繊維や粉末ガラスの結合体の強度が顕著に向上する傾向にあることの一因になっていると考えられる。
本発明の結合剤は、ノニオン性の多価アルコールと本発明の重合体とを必須に含む。
本発明の結合剤は、多価アルコールを、本発明の結合剤に含まれる重合体(本発明の重合体)に含まれる酸基100モル%に対し、1〜50モル%含んでいることが好ましく、3〜45モル%含んでいることがより好ましく、5〜40モル%含んでいることが特に好ましい。上記範囲で含有することにより、ガラス繊維や粉末ガラスの結合体の強度がより向上する傾向にある。
本発明の結合剤は、本発明の重合体を結合剤100質量%に対し、50〜99質量%含むことが好ましく、55〜97質量%含むことがより好ましく、60〜95質量%含むことがさらに好ましい。上記範囲で含有することにより、ガラス繊維や粉末ガラスの結合体の強度がより向上する傾向にある。
リン含有化合物以外の硬化促進剤としては、プロトン酸[硫酸、カルボン酸、炭酸等]、およびその塩[金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族、4A族、4B族、5B族等)塩、アンモニウム塩等]、金属(上記のもの)の、酸化物、塩化物、水酸化物およびアルコキシド等が挙げられ、これらは単独使用でも2種類以上併用してもいずれでもよい。本発明の結合剤は、上記リン含有化合物以外の硬化促進剤を、例えば0〜20質量%含んでいても良い。
本発明の結合剤は、溶媒を、本発明の結合剤100質量%に対し、0〜75質量%含むことが好ましく、30〜70質量%含むことがより好ましく、30〜60質量%含むことがさらに好ましい。
本発明の結合剤は、ガラス繊維、ロックウール、カーボン繊維等の無機繊維;ガラス粒子、鉱物粒子等の無機粒子(無機粉体);羊毛、セルロース、麻、ナイロン、ポリエステル等の有機物の繊維;ナイロン微粒子、ポリエステル微粒子等の有機物の粒子(有機物の粉体);等の結合剤として、使用することができる。好ましくはガラス繊維や粉末ガラスの結合剤として使用することができる。
本発明の結合剤による処理は、本発明の結合剤を、ガラス繊維や粉末ガラス等の対象物質(被結合物質)に接触させる工程を必須とする。上記工程は、本発明の結合剤が溶剤を含む場合には、そのままで、または所望により濃度等を調節して、(i)被結合物質を本発明の結合剤に含浸させるか、または(ii)被結合物質に本発明の結合剤を散布することにより、行うことが好ましい。本発明の結合剤が溶剤を含まない場合には、本発明の結合剤を加熱・溶融させて被結合物質に接触させても構わないが、処理物(被結合体)の強度にむらが生じやすくなる傾向にあるので、溶剤に溶解し、上記(i)または(ii)を行うことが好ましい。
中でも、被結合物質に対する本発明の結合剤の添加量を調節しやすいことから、上記(i
i)が好ましい。
上記本発明の結合剤を、被結合物質に接触させる工程における、被結合物質に対する本発明の結合剤の添加量は、本発明の結合剤の固形分が、被結合物質100質量%に対し、1〜40質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、1〜15質量%であることがさらに好ましい。本発明の結合剤を上記範囲で使用すると、被結合体の機械強度が向上する傾向にある。
なお、「被結合物質に接触させる工程における、被結合物質に対する本発明の結合剤の添加量」とは、上記(i)の工程においては被結合物質を含浸後、被結合物質に実際に付着した結合剤の量をいい、上記(ii)の工程においては、被結合物質に散布した後、被結合物質に実際に付着した結合剤の量をいう。
上記加熱処理工程は、100〜400℃で行うことが好ましく、120〜350℃で行うことがより好ましく、150〜300℃で行うことがさらに好ましい。
工程で得られた被結合体を、乾燥する工程を含んでいても良い。上記乾燥する工程は、常圧下で行っても良いし、減圧下で行ってもよい。乾燥を加熱して行なう場合には、その条件は上記加熱処理する工程と同様である。
装置:東ソー製 HLC−8320GPC
検出器:RI
カラム:東ソー製 TSK−GEL G3000PWXL
カラム温度:35℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学社製 POLY SODIUM ACRYLATE STANDARD
溶離液:リン酸二水素ナトリウム12水和物/リン酸水素二ナトリウム2水和物(34.5g/46.2g)の混合物を純水にて5000gに希釈した溶液。
130℃に加熱したオーブンで結合剤を60分間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)を算出した。
リン含有化合物の含有量は、下記条件にてイオンクロマト分析を行った。
装置 :Metrohm社製 762 Interface
検出器 :Metrohm社製 732 IC Detecter
イオン分析方式 :サプレッサー法
カラム :Shodex IC SI−90 4E
ガードカラム :Shodex SI−90 G
カラム温度 :40℃
溶離液 :NaHCO3水(2gを水で2000gに希釈)
流速 :1.0mL/min。
(i)結合剤に水を添加し、固形分35%に調整する。
(ii)粒径0.35〜0.50mmのガラスビーズに、上記(i)で得られた結合剤を、固形分がガラスビーズ重量の7.5%となるように添加し、十分に混合する。
(iii)離型処理した140mm×20mm×5mmの型枠に(ii)で得られた混合物を押し入れて成型し、200℃のオーブンで30分間乾燥後、デシケータに移し30分冷却することで試験片を得る。
JISK7171に準じ、2mm/minの試験速度で曲げ強さを測定した。試験片3枚の曲げ強さを測定し、平均値を算出した。
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水155.1gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に80質量%アクリル酸水溶液(以下「80%AA」と称する)458.1g(すなわち5.09mol)を180分間、50質量%ヒドロキシエチルメタクリレート(以下「50%HEMA」と称する)330.9g(すなわち1.27mol)を180分間、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下「15%NaPS」と称する)31.9gを195分間、45質量%次亜リン酸ナトリウム水溶液(以下「45%SHP」と称する)21.9gを18分間と更に続いて85.9gを162分間と2段階の供給速度で、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液に純水42.0g、エチレングリコール31.6g(すなわち0.51mol、カルボキシル基に対して10mol%)、45%SHP42.6gを投入することにより、本発明の結合剤(1)を得た。該水溶液の固形分値は53.0%、重量平均分子量(Mw)は3500、SHPの含有量は重合体100質量%に対し、4.2質量%だった。上述の方法で作成した試験片の機械的強度を評価したところ、19.2MPaであった。
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水163.5gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に80%AA482.9g(すなわち5.37mol)を180分間、50%HEMA348.8g(すなわち1.34mol)を180分間、15%NaPS33.6gを195分間、45%SHP23.1gを18分間と更に続いて90.5gを162分間と2段階の供給速度で、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液に純水15.1g、45%SHP42.5gを投入することにより、比較結合剤(1)を得た。該水溶液の固形分値は53.0%、重量平均分子量(Mw)は3500、SHPの含有量は重合体100質量%に対し、4.2質量%だった。上述の方法で作成した試験片の強度を評価したところ、16.4MPaであった。
還流冷却機、攪拌機(パドル翼)、温度計を備えた容量2.5リットルのSUS製セパラブルフラスコに、純水293.9gを仕込み(初期仕込)、攪拌下、沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に80%AA775.5g(すなわち8.62mol)を180分間、15%NaPS41.0gを185分間、45%SHP14.6gを18分間と更に続いて58.4gを162分間と2段階の供給速度で、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、45%SHP以外は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を沸点還流状態に保持(熟成)して重合を完結せしめた。重合の完結後、反応溶液に純水146.0g、エチレングリコール107.0g(すなわち1.72mol、カルボキシル基に対して20mol%)、45%SHP63.6gを投入することにより、比較結合剤(2)を得た。該水溶液の固形分値は53.0%、重量平均分子量(Mw)は6100、SHPの含有量は重合体100質量%に対し、5.3質量%だった。上述の方法で作成した試験片の強度を評価したところ、10.5MPaであった。
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