JP2016044086A - ガラス微粒子堆積体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
酸水素ガスの火炎により前記ガラス微粒子堆積体の端部を加熱する補助バーナを設けて、前記ガラス微粒子堆積体を前記補助バーナ、前記原料バーナに対して相対的に往復移動させ、
前記補助バーナにより前記ガラス微粒子堆積体の前記端部を加熱する際の加熱範囲において、前記補助バーナの水素ガス流量を第1流量として加熱する所定の位置より端部側の領域と、前記水素ガス流量を前記第1流量よりも所定量少ない第2流量として加熱する前記所定の位置より中心部側の領域とを設ける。
最初に本発明の実施形態を列記して説明する。
本発明の実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造方法は、
(1) 反応容器内で、原料バーナを用いてガラス微粒子を生成して堆積させ、ガラス微粒子堆積体を製造するガラス微粒子堆積体の製造方法であって、
酸水素ガスの火炎により前記ガラス微粒子堆積体の端部を加熱する補助バーナを設けて、前記ガラス微粒子堆積体を前記補助バーナ、前記原料バーナに対して相対的に往復移動させ、
前記補助バーナにより前記ガラス微粒子堆積体の前記端部を加熱する際の加熱範囲において、前記補助バーナの水素ガス流量を第1流量として加熱する所定の位置より端部側の領域と、前記水素ガス流量を前記第1流量よりも所定量少ない第2流量として加熱する前記所定の位置より中心部側の領域とを設ける。
上記(1)の製造方法によれば、端部側の領域では補助バーナの水素ガス流量を第1流量として加熱することにより割れの発生を抑制でき、中心部側の領域では補助バーナの水素ガス流量を第1流量よりも所定量少ない第2流量として加熱することにより粒子状の突起の発生を抑えることができる。これにより、ガラス微粒子堆積体の表面の粒子状の突起の発生を防ぎつつ、ガラス微粒子堆積体の端部からの割れを防止することができる。
前記第2流量が前記第1流量の0.4以下であることにより、ガラス微粒子堆積体の表面の粒子状の突起の発生をより確実に防ぐことができる。
原料バーナの火炎が当たる回数が、補助バーナの火炎が当たる回数と等しくなる位置よりも中心部側において粒子状の突起が発生するので、この位置より中心部側で補助バーナの水素ガス流量を第2流量とすることが好ましい。
粒子状の突起の発生位置(ロッドの軸方向の位置)は、ガラス微粒子の堆積が進むに従って、徐々に端部側に移動する。したがって、補助バーナの水素ガス流量を第1流量から第2流量とする上記所定位置を、ガラス微粒子の堆積が進むに従って、徐々に端部側に移動させることにより、粒子状の突起の発生をより確実に防ぐことができる。
本発明の実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1に示すように、ガラス微粒子堆積体を製造する製造装置1は、反応容器2内のロッド(ターゲットロッド)3に、原料バーナ4a〜4gの火炎による加水分解反応で生成されるガラス微粒子を堆積させて、光ファイバの母材となるガラス微粒子堆積体5を製造する装置である。原料バーナ4a〜4gは、ロッド3に対向させてロッド3の軸方向に沿って一定間隔で複数配置されており、反応容器2の原料バーナ4a〜4gと反対側には、排気路6が設けられている。
また、製造装置1には、ガラス微粒子堆積体5の端部からの割れを防止するために、酸水素ガスの火炎によりガラス微粒子堆積体5の端部を加熱する補助バーナ7a、7bが設けられている。
ところが、上記製造装置1を用いてガラス微粒子堆積体5を製造する際に、ガラス微粒子堆積体5の表面に粒子状の突起の発生、あるいは、ガラス微粒子堆積体5の端部から割れが発生する場合がある。
補助バーナ7a、7bの水素ガス流量が多すぎると、図2に示すように、過剰加熱によりガラス微粒子堆積体5の表面に粒子状の突起8が発生する場合がある。
一方、補助バーナの7a、7b水素ガス流量が少ないと、図3に示すように、ガラス微粒子堆積体5の端部を起点として割れ9が発生する場合がある。
このため、ガラス微粒子堆積体5を製造する際に、粒子状の突起8と割れ9の両者の発生を防ぐような水素ガス流量に設定することが試みられてきた。しかしながら、両者はトレードオフの関係にあり、後で説明する図6のように、粒子状の突起8が発生する水素ガス流量の範囲と割れ9が発生する水素ガス流量の範囲は一部が重なるため、粒子状の突起8と割れ9の両方を防ぐ流量とすることは困難であった。
粒子状の突起8は、図2に示すように、ガラス微粒子堆積体5の端部の中心部側の領域10で発生し、端部側の領域11では発生していない。
一方、割れ9の起点となる位置は、図3に示すように、ガラス微粒子堆積体5の端部側の領域11である。
以上の知見により、本実施形態のガラス微粒子堆積体の製造方法では、補助バーナの水素ガス流量の制御を工夫している。
図4では、ロッド3の端部付近の補助バーナ7aによる加熱範囲において、ロッド3にガラス微粒子が堆積し、ガラス微粒子堆積体5が成長していく様子を模式的に表している。また、図4では、補助バーナ7aの加熱範囲における、ロッド3の軸方向位置で補助バーナ7aより噴射する水素ガス流量の変化を示している。
このため、補助バーナ7aの火炎がロッド3に当たる範囲(ロッド軸方向の範囲)は、図5の符号12の範囲となる。そして、この符号12の範囲内で補助バーナ7aの火炎がロッド3に当たる回数(ロッド3の当該位置が相対的に往復移動する補助バーナ7aの位置を通り過ぎる回数)は、ロッド軸方向の位置によって変化する。ロッド軸方向の位置における、補助バーナ7aの火炎がロッド3に当たる回数は実線13のようになる。また、補助バーナ7aの隣のバーナである原料バーナ4aの火炎がロッド3に当たる回数は実線14のようになる。
このため、補助バーナ7aの水素ガス流量を第2流量として加熱する中心部側の領域10は、原料バーナ4aによる火炎が当たる回数が補助バーナ7aの火炎が当たる回数と等しくなる位置(図5の実線13と実線14が交差する位置)近傍よりも中心部側とすることが好ましい。
本実施形態に係るガラス微粒子堆積体の製造方法によって、ガラス微粒子堆積体5を製造した。その際に、補助バーナ7aの水素ガス流量の第1流量を1とした場合、第2流量を0.4とする割合の流量に制御した。
そして、製造されたガラス微粒子堆積体5に対して、粒子状の突起8と割れ9の発生率を調べた。その結果、粒子状の突起8の発生率および割れ9の発生率は0%であった。
比較例として、補助バーナ7aの水素ガス流量を一定にする従来の製造方法によりガラス微粒子堆積体5を製造した。そして、製造されたガラス微粒子堆積体5に対して、粒子状の突起8と割れ9の発生率を調べた。その結果、粒子状の突起8の発生率若しくは割れ9の発生率は96%であった(良好率4%)。
さらに、割れ9を完全に抑制できる水素ガス流量を1とした場合に対する水素ガスの流量比を変化させて、製造されたガラス微粒子堆積体5の粒子状の突起8と割れ9の発生率を調べた。その結果を図6のグラフに示す。
図6に示すように、水素ガスの流量比が小さい程、割れ9の発生率が高く、流量比が1近くで割れ9の発生率が0%となった。また、粒子状の突起8は、流量比が0.4を超えると発生し、流量比が大きくなる程発生率が高くなった。そして、粒子状の突起8の発生率と割れ9の発生率が共に0%となる流量比はなく、両者の発生率が最も低い流量比は0.45程度であった。しかしながら、流量比を0.45とした場合であっても、両者の発生率は20%以上であり、従来の製造方法では、粒子状の突起8と割れ9の発生を同時に抑制することは不可能であることが確認された。
2 反応容器
3 ロッド(ターゲットロッド)
4a〜4g 原料バーナ
5 ガラス微粒子堆積体
6 排気路
7a、7b 補助バーナ
8 粒子状の突起
9 割れ
10 中心部側の領域
11 端部側の領域
12 補助バーナ7aの火炎がロッド3に当たる範囲
13 補助バーナ7aの火炎がロッド3に当たる回数
14 原料バーナ4aの火炎がロッド3に当たる回数
Claims (4)
- 反応容器内で、原料バーナを用いてガラス微粒子を生成して堆積させ、ガラス微粒子堆積体を製造するガラス微粒子堆積体の製造方法であって、
酸水素ガスの火炎により前記ガラス微粒子堆積体の端部を加熱する補助バーナを設けて、前記ガラス微粒子堆積体を前記補助バーナ、前記原料バーナに対して相対的に往復移動させ、
前記補助バーナにより前記ガラス微粒子堆積体の前記端部を加熱する際の加熱範囲において、前記補助バーナの水素ガス流量を第1流量として加熱する所定の位置より端部側の領域と、前記水素ガス流量を前記第1流量よりも所定量少ない第2流量として加熱する前記所定の位置より中心部側の領域とを設ける、ガラス微粒子堆積体の製造方法。 - 前記第2流量を、前記第1流量の0.4以下とする、請求項1に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法。
- 前記所定の位置は、前記原料バーナによる火炎が当たる回数が前記補助バーナの火炎が当たる回数と等しくなる位置の近傍である、請求項1又は請求項2に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法。
- 前記所定の位置を、ガラス微粒子の堆積に従い、徐々に端部側へ移動させる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガラス微粒子堆積体の製造方法。
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