JP6784016B2 - 光ファイバ用母材の製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2は、ガラス母材の製造方法に関する発明であって、ガラス微粒子の堆積開始時は出発基材に嵩密度の大きいガラス微粒子を堆積させる必要があるとの記載がある。
また、特許文献2には、ガラス微粒子堆積体の堆積開始端側で嵩密度を大きくすることは記載されているが、ガラス微粒子堆積体の堆積終了端側については何ら記載がない。仮に、終了端を有効部と同程度の固さ(嵩密度)とすると、終了端が割れの起点となることが考えられる。
バーナにガラス原料および火炎形成ガスを投入してガラス微粒子を合成し、種棒の軸方向にガラス微粒子多孔質体を堆積させて引き上げる光ファイバ用母材の製造方法であって、
前記ガラス微粒子多孔質体の引き上げ長が、所定の長さに到達してから、あらかじめ設定した最終の長さまでの間で、前記ガラス微粒子多孔質体の堆積面の温度を上げるように前記バーナのガス流量を変化させる。
最初に本発明の実施形態の概要を説明する。
本実施形態にかかる光ファイバ用母材の製造方法は、
(1)バーナにガラス原料および火炎形成ガスを投入してガラス微粒子を合成し、種棒の軸方向にガラス微粒子多孔質体を堆積させて引き上げる光ファイバ用母材の製造方法であって、
前記ガラス微粒子多孔質体の引き上げ長が、所定の長さに到達してから、あらかじめ設定した最終の長さまでの間で、前記ガラス微粒子多孔質体の堆積面の温度を上げるように前記バーナのガス流量を変化させる。
この構成によれば、ガラス微粒子多孔質体を堆積させる際のバーナのガス流量を制御することで、スス割れ等の製品不良の発生を防止することができる。
この構成によれば、ガス流量を適切に変化させることができる。
水素流量の増加量を上記範囲とすることで、ガラス微粒子多孔質体の終了端を適切な固さにすることができる。
酸素流量の減少量を上記範囲とすることで、ガラス微粒子多孔質体の終了端を適切な固さにすることができる。
この構成によれば、嵩密度をなだらかに変化させることができるため、嵩密度の急激な変化による内部気泡の残留を防止することができる。
この構成によれば、ガラス微粒子多孔質体の終了端において有効部よりも嵩密度が高く固い部分を多く確保することができる。
ガラス微粒子多孔質体におけるガス流量の変化の開始位置を上記範囲とすることで、ガラス微粒子多孔質体の有効部の特性に影響を与えることなく終了端を適切な固さにすることができる。
コア用バーナで前記ガラス微粒子を合成して前記ガラス微粒子多孔質体のコア層を形成する工程と、
クラッド用バーナで前記ガラス微粒子を合成して前記コア層の外周に堆積されるクラッド層を形成する工程と、
前記引き上げ長が所定の長さに到達してから、あらかじめ設定した最終の長さまでの間で、前記クラッド層の堆積面の温度を上げるように前記クラッド用バーナのガス流量を変化させる工程と、を含む。
この構成によれば、クラッド層を形成するためにクラッド用バーナのガス流量を制御して、クラッド層の終了端付近のみを固くするようにしているため、有効部におけるコア層とクラッド層との嵩密度の差を極力少なくできる。これによりコア層での内部気泡の残留防止と、クラッド層の終了端付近のクラックの発生防止を両立させることができる。
以下、本発明に係る光ファイバ用母材の製造方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
ガス流量を直線的に変化させると、クラッド層22の嵩密度がなだらかに変化するため、嵩密度の急激な変化を防止することができる。一方、終了端22A付近の所定位置においてガス流量を一気に変化させる方法だと、クラッド層22のススを固くする部分を多く確保することができる。
図2に示すように、ガラス微粒子多孔質体20を加熱炉100内に挿入する。そして、ガラス微粒子多孔質体20を挿入した加熱炉100内にHeなどの不活性ガスに加えてSiCl4、Cl2などの腐食性ガスを含む導入ガスをガス導入路110から導入して、ヒータ120を加熱させて脱水処理をする。その後、ヒータ120をさらに加熱させて焼結温度に上昇させて、ガラス微粒子多孔質体20を焼結させることにより透明ガラス化して、透明ガラス体を得る。
以下の条件で、それぞれ50本ずつガラス微粒子堆積体の作製(いわゆる、スス付け)を行い、スス割れ発生率の比較を実施した。流量変化の条件およびスス割れ発生率、気泡残留の有無を以下の表1に示す。
図3(a)に示すように、水素および酸素の流量を変化させずにスス付けを行った。
その結果、スス割れ発生率は6%であった。
(例2(比較例2))
図3(b)に示すように、水素流量を、最終の引き上げ長(スス付け終了位置)よりも100mm手前で、水素流量を変化させる前の0.01倍、一気(瞬間的)に増加させて、スス付けを行った。
その結果、スス割れ発生率は4%であった。
(例3(比較例3))
図3(c)に示すように、水素流量を、最終の引き上げ長よりも100mm手前で、水素流量を変化させる前の0.30倍、一気(瞬間的)に増加させて、スス付けを行った。
その結果、スス割れ発生率は0%であったが、作製されたガラス微粒子多孔質体の先端に気泡が残留してしまった。
(例4(比較例4))
図3(d)に示すように、水素流量を、最終の引き上げ長よりも200mm手前で、水素流量を変化させる前の0.05倍、一気(瞬間的)に増加させて、スス付けを行った。
その結果、スス割れ発生率は0%であったが、コア層の内部に気泡が残留してしまった。
(例5(比較例5))
図3(e)に示すように、水素流量を、最終の引き上げ長より20mm手前で、水素流量を変化させる前の0.05倍、一気(瞬間的)に増加させて、スス付けを行った。
その結果、スス割れ発生率は4%であった。
図4(a)に示すように、水素流量を、最終の引き上げ長より100mm手前で、水素流量を変化させる前の0.05倍、一気(瞬間的)に増加させて、スス付けを行った。
その結果、スス割れ発生率は0%で、気泡残留もなかった。
(例7(実施例2))
図4(b)に示すように、水素流量を、最終の引き上げ長より100mm手前から増加させ始め、最終の引き上げ長より50mm手前で水素流量を変化させる前の0.05倍増加した流量となるように直線的に変化させて、スス付けを行った。
その結果、スス割れ発生率は0%で、気泡残留もなかった。
(例8(実施例3))
図4(c)に示すように、酸素流量を、最終の引き上げ長より100mm手前で、酸素流量を変化させる前の0.05倍、一気(瞬間的)に減少させて、スス付けを行った。
その結果、スス割れ発生率は0%で、気泡残留もなかった。
(例9(実施例4))
図4(d)に示すように、酸素流量を、最終の引き上げ長より100mm手前から減少させ始め、最終の引き上げ長より50mm手前で酸素流量を変化させる前の0.05倍減少した流量となるように直線的に変化させて、スス付けを行った。
その結果、スス割れ発生率は0%で、気泡残留もなかった。
(例10(実施例5))
図4(e)に示すように、最終の引き上げ長より100mm手前で、水素流量を変化させる前の0.025倍、一気(瞬間的)に増加させるとともに、酸素流量を変化させる前の0.025倍、一気(瞬間的)に減少させて、スス付けを行った。
その結果、スス割れ発生率は0%で、気泡残留もなかった。
(例11(実施例6))
図4(f)に示すように、最終の引き上げ長より100mm手前から、水素流量を、最終の引き上げ長より50mm手前で水素流量を変化させる前の0.025倍、一気(瞬間的)に増加させるとともに、酸素流量を、最終の引き上げ長より50mm手前で酸素流量を変化させる前の0.025倍、一気(瞬間的)に減少させて、スス付けを行った。
その結果、スス割れ発生率は0%で、気泡残留もなかった。
2:クラッド用バーナ
10:種棒
20:ガラス微粒子多孔質体(光ファイバ用母材の一例)
21:コア層
22:クラッド層
100:加熱炉
110:ガス導入路
120:ヒータ
Claims (3)
- バーナにガラス原料および火炎形成ガスを投入してガラス微粒子を合成し、種棒の軸方向にガラス微粒子多孔質体を堆積させて引き上げる光ファイバ用母材の製造方法であって、
コア用バーナで前記ガラス微粒子を合成して前記ガラス微粒子多孔質体のコア層を形成する工程と、
クラッド用バーナで前記ガラス微粒子を合成して前記コア層の外周に堆積されるクラッド層を形成する工程と、
前記ガラス微粒子多孔質体の引き上げ長が、所定の長さに到達してから、あらかじめ設定した最終の長さまでの間で、前記クラッド層の堆積面の温度を上げるように前記クラッド用バーナのガス流量を変化させ、前記コア層の先端部を前記クラッド層が覆うように堆積させる工程と、
を含み、
前記ガス流量を変化し始める位置は、前記最終の長さよりも50mmから100mm手前の位置であり、
前記ガス流量の変化を、前記バーナに供給する水素流量を増加させるか、および前記バーナに供給する酸素流量を減少させるかのいずれか、または両方により行い、
前記水素流量の増加量は、前記水素流量を変化させる前の前記ガス流量の0.02倍から0.05倍であり、
前記酸素流量の減少量は、前記酸素流量を変化させる前の前記ガス流量の0.02倍から0.05倍である、光ファイバ用母材の製造方法。 - 前記ガス流量を、前記ガラス微粒子多孔質体の引き上げ長が前記所定の長さに到達してから前記最終の長さの間で、直線的に変化させる、請求項1に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
- 前記ガス流量を変化させる工程は、前記ガラス微粒子多孔質体の引き上げ長が前記所定の長さに到達した後で前記ガス流量を瞬間的に変化させる工程と、変化後のガス流量を維持する工程とを、含む、請求項1に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
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