JP2007137718A - 光ファイバ用多孔質母材の製造方法 - Google Patents

光ファイバ用多孔質母材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、割れおよび振れが生じにくい光ファイバ用多孔質母材の製造方法を提供することにある。
【解決手段】 光ファイバ用多孔質母材の製造方法において、ターゲットロッドの外径をd(mm)、光ファイバ用多孔質母材の完成時の中央部の外径をDs(mm)とし、ガラス微粒子の堆積開始時に、補助バーナによりターゲットロッド表面が400℃以上に加熱される領域Rの光ファイバ用多孔質母材の完成時の最小テーパ部外径をDt1(mm)、最大テーパ部外径をDt2(mm)、としたとき、Dt1およびDt2が以下の式を満たすように、多孔質母材の端部に補助バーナを設置することを特徴とする。
Dt1=(Ds−d)/100×A1+d
Dt2=(Ds−d)/100×A2+d
A1≧10、A2≦80
A2−A1≧40
ここで、A1、A2は、0以上、100以下の任意の数である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、外付け法による光ファイバ用多孔質母材の製造方法に関するものであり、特に、光ファイバ用多孔質母材の割れの防止に関するものである。
光ファイバ用多孔質母材(以降、単に多孔質母材と呼ぶ。)のクラッド部の合成方法として、図1に示すような製造装置を用いる外付け法が知られている。具体的な方法は以下の通りである。
まず、VAD法などによって製造されたコアを含むコア用多孔母材を、脱水、ガラス化し、コアロッドを形成する。得られたコアロッドを所定の外径に加熱延伸して、その両端に支持部材3a、3bを溶着し、ターゲットロッド1を形成する。次いで、得られたターゲットロッド1を図1に示すような製造装置の保持部材2a、2bにセットし、ターゲットロッド1を回転させながら該ターゲットロッド1の長手方向(矢印A方向)に沿ってガラス微粒子合成用バーナ4を往復移動させ、該ターゲットロッド1の外周にガラス微粒子堆積層5を形成する。
しかしながら、この製造方法によってガラス微粒子堆積層5を合成すると、ガラス微粒子の堆積成長にともなってその両端部にテーパ部6が形成される。ここでテーパ部6とは、該ガラス微粒子堆積層5の外径が一定な部分(中央部7)に比べて外径が1%以上小さい部分を意味する。テーパ部6はガラス微粒子合成用バーナ4による加熱量が少なく、中央部7より密度が小さいため割れが生じやすい。
そこで、テーパ部6の密度を高くするために、多孔質母材の製造装置に、ガラス微粒子合成用バーナ4の他にテーパ部を焼き締める補助バーナ8a、8bを設ける方法がある。この方法によれば、ガラス微粒子堆積層5を製造中にテーパ部6を補助バーナ8a、8bによって焼き締め、テーパ部の密度を高くすることができる。
近年、技術の発達によって従来の多孔質母材よりも大型の多孔質母材を製造することが可能となってきた。
しかしながら、製造中の多孔質ガラス母材の外径が大きくになるとその両端部に位置するテーパ部6にさらに割れが生じやすくなるという問題が生じた。
これを解決する方法として、特許文献1にはテーパ部をリング状のバーナによって焼き締めながら多孔質母材を製造する方法が開示されている。
特開平6−329431号公報
しかしながら、特許文献1に示す方法では円周方向には一定した加熱が可能であるが、長手方向(回転軸方向)には加熱範囲が狭く、振れと呼ばれるターゲットロッド1の回転軸が一定に定まらず、円を成す様に移動してしまう現象が起きることがあった。振れが大きい状態で製造された多孔質母材は、それをガラス化して得られる光ファイバ母材およびさらにそれを線引きして得られる光ファイバの偏心が大きい問題が生じる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大型の光ファイバ用多孔質母材を製造しても振れおよび割れがともに生じにくい光ファイバ用多孔質母材の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく本発明の請求項1記載の光ファイバ用多孔質母材の製造方法は、火炎加水分解反応により合成したガラス微粒子を回転するターゲットロッドの外周に堆積させる光ファイバ用多孔質母材の製造方法において、前記ガラス微粒子の堆積成長にともなって前記光ファイバ用多孔質母材の端部に形成されるテーパ部を補助バーナによって焼き締めながら前記ガラス微粒子を堆積させ、前記ターゲットロッドの外径をd(mm)、前記光ファイバ用多孔質母材の完成時の中央部の外径をDs(mm)とし、前記ガラス微粒子の堆積開始時に、前記補助バーナにより前記ターゲットロッド表面が400℃以上に加熱される領域Rの前記光ファイバ用多孔質母材の完成時の最小テーパ部外径をDt1(mm)、最大テーパ部外径をDt2(mm)、としたとき、Dt1およびDt2が以下の式を満たすように、前記補助バーナを設置することを特徴とする。
Dt1=(Ds−d)/100×A1+d
Dt2=(Ds−d)/100×A2+d
A1≧10、A2≦80
A2−A1≧40
ここで、A1、A2は、0以上、100以下の任意の数である。
このようにしてなる本発明の請求項1記載の光ファイバ用多孔質母材の製造方法によれば、大型の光ファイバ用多孔質母材を製造しても振れおよび割れが生じにくく、歩留まりよく光ファイバ用多孔質母材の製造が可能である。
また、補助バーナの設定および配置を容易に最適化でき、多孔質母材の製造装置間におけるテーパ部の焼き締め具合のばらつきも小さくできる。
以上に述べたように本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法によれば、大型の光ファイバ用多孔質母材を製造しても振れおよび割れがともに生じにくい光ファイバ用多孔質母材の製造方法が提供される。
以下、図面を用いて本発明の光ファイバ用多孔質母材の製造方法を詳細に説明する。
まず、VAD法などによって製造されたコアを含むコア用多孔質体を、脱水、ガラス化し、コアロッドを形成する。得られたコアロッドを所定の外径に加熱延伸して、その両端に支持部材3a、3bを溶着し、ターゲットロッド1を形成する。次いで、得られたターゲットロッド1を図1に示すような製造装置の保持部材2a、2bにセットし、ターゲットロッド1を回転させながら該ターゲットロッド1の長手方向(矢印A方向)に沿ってガラス微粒子合成用バーナ4を往復移動させ、該ターゲットロッド1の外周にガラス微粒子堆積層5を形成する。
また、該ガラス微粒子堆積層5の両端部に位置するテーパ部6を焼き締めて、テーパ部6の密度を高くするための補助バーナ8a、8bが前記ターゲットロッド1の両端部に設けられている。
この製造方法を用いて、多孔質母材を製造した。具体的には、外径40mm、長さ1000mmのコアロッドの両端に支持部材3a、3bを溶着してターゲットロッド1を形成し、保持部材2a、2bに保持して回転させ、補助バーナ8a、8bでテーパ部6を焼き締めながら多孔質母材の外径が200mmになるまでガラス微粒子合成用バーナ4を往復移動させてガラス微粒子を堆積させた。
このとき、補助バーナ8a、8bを配置する場所および供給する酸水素量を種々に変化させて多孔質母材を製造し、割れおよび振れの発生を調べた。なお、本実施例においては、補助バーナに供給する酸水素量は合成開始から終了まで一定とした。
また、合成開始時のターゲットロッド1のテーパ部6が形成される領域における温度分布をサーモビュアにて測定し、表面温度が400℃以上となる領域を調べた。表面温度が400℃以上になる領域を広くするためには補助バーナ8a、8bをターゲットロッド1の回転軸方向と平行になる方向に角度を変えればよく、温度が低くなりすぎる場合は、供給する酸水素量を増やせばよい。逆に表面温度が400℃以上になる領域を狭くするためには、補助バーナ8a、8bをターゲットロッド1の回転軸方向と垂直になる方向に角度を変えればよい。また、補助バーナ8a、8bをターゲットロッド1の回転軸方向に平行移動させることで、表面温度が400℃以上になる領域を移動させることができる。
また、このとき合成開始時の補助バーナ8a、8bのターゲットロッド1の回転軸と垂直方向の火炎幅は、ターゲットロッド1とほぼ同等とした。ここで火炎幅とは目視にて観察できる火炎の幅を意味する。火炎幅をこのようにすることで、合成される多孔質母材を円周方向に均等に焼き締めることができる。補助バーナ8a、8bのターゲットロッド1の回転軸と垂直方向の火炎幅は、供給する酸水素量を増やすか、補助バーナ8a、8bをターゲットロッド1に近づけることで、広げることができる。
表1に表面温度が400℃以上となる領域と割れ、振れの発生およびスート密度を示す。
Figure 2007137718
表1において、「加熱領域」は、図2に示すガラス微粒子の堆積開始時に、補助バーナにより前記ターゲットロッド表面が400℃以上に加熱される領域Rの、多孔質母材の完成時の最小テーパ部外径をDt1(mm)、最大テーパ部外径をDt2(mm)、としたとき、Dt1=(Ds−d)/100×A1+d、Dt2=(Ds−d)/100×A2+dで表されるA1とA2の値を示している。
ここで、図2に示すようにdはターゲットロッドの外径を、Dsは多孔質母材の完成時の中央部の外径を示し、単位は何れも(mm)である。
すなわち、A1とA2はターゲットロッドの外径dを0%、多孔質母材の完成時の中央部の外径Dsを100%としたときの400℃以上に加熱される領域Rの完成時の最小外径と最大外径のDsに対する外径比率をそれぞれ示しており、0以上、100以下の任意の数である。
また、表1において補助バーナの火力は補助バーナ1本あたりに供給する酸水素の量を示し、単位は(リットル/分)である。さらに、「割れ」は、製造途中で割れた場合を×、割れなかったものは○としている。また、「振れ」は、中心軸に対する振れ量が1mm以上だったものを×、0.5mm以上だったものを△、0.5mm未満だったものを○としている。
なお、中央部とテーパ部の密度は製造終了後、多孔質母材の形状を計測した後に破壊し、中央部とテーパ部に堆積していたスートの重量を測定することにより求めた。
表1からわかるように、前記ガラス微粒子の堆積開始時に、前記補助バーナにより前記ターゲットロッド表面が400℃以上に加熱される領域が、A1が10以上、A2が80以下の範囲以内であり、A2−A1が40以上となるように、前記補助バーナを設置することで、割れ、振れの両方が良好な結果が得られている。
A1が5以下となるとターゲットロッドが高温に加熱されてしまい、振れが大きくなってしまう。また、A2が90以上となると合成用バーナと補助バーナが干渉して、割れが発生しやすくなる。
また、A2−A1が30以下ではテーパ部の一部分のみが高温となるため、ターゲットロッドが軟化しやすく、振れが発生しやすい。
割れ、振れともに良好であったものの中央部とテーパ部の密度比は1.15倍以上2.00倍以下であった。
なお、補助バーナ火炎の最高温度は450℃以上650℃以下となるように、酸水素の供給量を調整することが好ましい。
本発明の多孔質母材の製造方法を用いれば、大型の光ファイバ用多孔質母材を製造しても振れおよび割れがともに生じにくいだけでなく、補助バーナの位置を容易に最適化でき、多孔質母材の製造装置間におけるテーパ部の焼き締め具合のばらつきも小さくできる。
なお、本実施例では、供給する酸水素量を変化させずに製造した例についてのみ説明しているが、製造過程で徐々に酸水素量を変化させてもよい。この場合も補助バーナ火炎の最高温度が450℃以上650℃以下となるように、酸水素の供給量を調整することが好ましい。
また、本実施例では、ターゲットロッド1を固定し、ガラス微粒子合成用バーナ4を所定速度で移動させる製造装置についてのみ説明しているが、これはガラス微粒子合成用バーナ4を固定し、ターゲットロッド1を所定速度で移動させる製造装置においても同様である。また、前記実施例ではターゲットロッド1を鉛直に保持した、いわゆる縦型の製造装置についてのみ説明しているが、ターゲットロッド1を水平に保持する横型の製造装置においても本発明は適用できる。
外付け法によるコアスートの製造装置の一例を示す模式図である。 本発明の光ファイバ用多孔質母材のテーパ部を示す模式図である。
符号の説明
1 ターゲットロッド
2a、2b 保持部材
3a、3b 支持部材
4 ガラス微粒子合成用バーナ
5 ガラス微粒子堆積層
6 テーパ部
7 中央部
8a、8b 補助バーナ

Claims (1)

  1. 火炎加水分解反応により合成したガラス微粒子を回転するターゲットロッドの外周に堆積させる光ファイバ用多孔質母材の製造方法において、
    前記ガラス微粒子の堆積成長にともなって前記光ファイバ用多孔質母材の端部に形成されるテーパ部を補助バーナによって焼き締めながら前記ガラス微粒子を堆積させ、
    前記ターゲットロッドの外径をd(mm)、前記光ファイバ用多孔質母材の完成時の中央部の外径をDs(mm)とし、
    前記ガラス微粒子の堆積開始時に、前記補助バーナにより前記ターゲットロッド表面が400℃以上に加熱される領域Rの前記光ファイバ用多孔質母材の完成時の最小テーパ部外径をDt1(mm)、最大テーパ部外径をDt2(mm)、としたとき、
    Dt1およびDt2が以下の式を満たすように、前記補助バーナを設置することを特徴とする光ファイバ用多孔質母材の製造方法。
    Dt1=(Ds−d)/100×A1+d
    Dt2=(Ds−d)/100×A2+d
    A1≧10、A2≦80
    A2−A1≧40
    ここで、A1、A2は、0以上、100以下の任意の数である。
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