JP2004269284A - 多孔質ガラス材料の製造法、並びに外径変動の少ないガラス材料 - Google Patents

多孔質ガラス材料の製造法、並びに外径変動の少ないガラス材料 Download PDF

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秀夫 森岡
Tomoyuki Yokogawa
知行 横川
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Abstract

【課題】スス付け法による多孔質ガラス母材の製造おいて、多孔質ガラス母材端部の割れ防止のために母材両端部を加熱する場合でも、得られる多孔質ガラス母材の外径変動を小さくする方法を提供する。
【解決手段】OVD法を用い、かつ得られるガラス多孔質層の両端部を、補助熱源を用いて加熱する多孔質ガラス材料の製造法であって、
所定範囲内をガラス合成用バーナが移動している間、ガラス合成用バーナからの火炎によって加熱されているガラス多孔質層の加熱部位における表面温度を測定するとともに、予め設定された基準温度に対する表面温度の変動幅が所定の温度幅以下になるようにガラス合成用バーナによるガラス多孔質層表面の加熱条件を制御し、
かつガラス多孔質層の両端部の表面温度を測定するとともに、予め設定された基準温度に対する各端部の表面温度の変動幅が所定の温度幅以下になるように補助熱源による各端部の加熱条件を制御する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス合成用バーナを出発ロッドに対して移動させて、バーナで合成されたガラス微粒子を出発ロッド外周上に堆積させてガラス多孔質層を形成させる多孔質ガラス材料の製造法であって、得られるガラス材料の外径の変動幅が小さいことを特徴とする製造法及びその製造法によって得られる外径の変動幅が小さな多孔質ガラス材料及びその中間材料に関するものである。本発明のガラス材料は、例えば、光ファイバ母材(プリフォーム)又はプリフォームの中間母材として用いることができるものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバは、一般に多孔質ガラス母材を焼結して得られる透明ガラス母材を線引工程において線引きすることによって製造される。この多孔質ガラス母材すなわち光ファイバ母材として用いられるガラス材料の製造法としては、従来よりガラス合成用バーナによって合成されたガラス微粒子を、長手方向中心軸を回転軸として回転する出発ロッド外周上に堆積させて製造する方法、いわゆるスス付け法が一般的であり、具体的にはOVD法などの外付け法が知られている。外付け法によって製造された多孔質ガラス材料(すなわち、例えば光ファイバ母材)は回転軸周りに形成されたほぼ円柱形状を有するが、均一かつ安定な特性を有する光ファイバを製造するためには、この多孔質ガラス材料の長手方向に沿った外径変動をできるだけ小さくしておくことが必要である。
【0003】
スス付け法において多孔質ガラス材料の長手方向の外径変動を小さくする方法としては、ガラス合成用バーナからの火炎によって加熱されているガラス多孔質層の表面温度を測定し、その温度と予め設定された基準温度との差に基づいてガラス合成用バーナの火炎による加熱条件を制御する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、多孔質ガラス材料の長手方向の加熱温度の変動を小さくでき、それに応じて得られる多孔質ガラス材料の長手方向の外径変動を小さくできる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−247330号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
スス付け法により製造される多孔質ガラス材料は、出発ロッド及び、この出発ロッドの外周上に形成されたガラス多孔質層を有する。多孔質ガラス材料を製造する時に、この多孔質ガラス材料のガラス多孔質層(以下、単に「ガラス多孔質層」ともいう)の両端部の温度が低くなるとこのガラス多孔質層に割れが発生しやすくなる。したがって、スス付け工程においては、ガラス多孔質層の両端部を補助熱源を用いて加熱することが行われる。この両端部の加熱により、両端部及び両端部に近いガラス多孔質層の表面温度が高くなるため、ガラス合成用バーナの火炎による加熱条件を制御するだけでは、ガラス多孔質層の表面温度を所望する範囲の温度に制御することが困難となる。さらにこの両端部のガラス多孔質層の表面温度、例えば表面温度の最高値が両端部の間で大きく異なると、多孔質ガラス材料の長手方向で嵩密度差が生じる結果、多孔質ガラス材料の内部構造及び長手方向における外径変動が大きくなり好ましくない。
【0006】
したがって、スス付け法において、多孔質ガラス材料端部の多孔質層の割れを防止するために多孔質ガラス材料の両端部を補助熱源を用いて加熱する場合であっても、ガラス多孔質層の長手方向における表面温度の変動を小さくして、得られる多孔質ガラス材料の長手方向に沿った外径変動を小さくすることができる方法が必要であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の多孔質ガラス材料の製造法は、ガラス合成用バーナを、出発ロッドに対し出発ロッドの長手方向に所定範囲内で移動させて、ガラス合成用バーナで合成されたガラス微粒子を出発ロッドの外周上に付着かつ堆積させてガラス多孔質層を形成させるとともに、ガラス多孔質層の両端部を、補助熱源を用いて加熱する多孔質ガラス材料の製造法であって、
上記所定範囲内をガラス合成用バーナが移動している間、ガラス合成用バーナからの火炎によって加熱されているガラス多孔質層の加熱部位(この加熱部位にガラス合成用バーナで合成されたガラス微粒子が付着かつ堆積されることから、この部位を以下、「ガラス微粒子堆積部」ともいう)における表面温度(以下、「ガラス微粒子堆積部温度」ともいう)を測定するとともに、予め設定された基準温度に対する前記表面温度の変動幅が所定の温度幅以下になるようにガラス合成用バーナによるガラス多孔質層表面の加熱条件を制御し、
かつガラス多孔質層の両端部の表面温度を測定するとともに、予め設定された基準温度に対する各端部の表面温度の変動幅が所定の温度幅以下になるように補助熱源による各端部の加熱条件を制御することを特徴とするものである。
【0008】
本発明の製造法においては、上記の補助熱源として酸水素バーナを用いることが好ましい。
さらに本発明の多孔質ガラス材料の製造法において、上記補助熱源として酸水素バーナを用いる場合は、さらにガラス多孔質層の各端部の表面温度の測定時から、(ガラス合成用バーナ径)÷(ガラス合成用バーナの移動速度)で算出される時間内に、前記表面温度の測定結果に基づいてガラス多孔質層の各端部の加熱条件の制御が行われることが好ましい。
【0009】
また、本発明の製造法においては、上記の補助熱源として抵抗炉を用いることが好ましい。
本発明の上記製造法において上記の補助熱源として抵抗炉を用いる場合は、ガラス合成用バーナが、ガラス多孔質層の各端部に移動してきた時に測定された各端部の表面温度をメモリーし、ガラス合成用バーナが同一端部に次回移動してきた時に、そのメモリーされた表面温度と予め設定された基準温度との差に基づいて各端部の加熱条件の制御を行うことが好ましい。
【0010】
本発明の上記製造法においては、ガラス合成用バーナの移動が出発ロッドに対する往復運動であって、ガラス合成用バーナが往復移動する領域の両端部において、ガラス合成用バーナによるガラス多孔質層表面の加熱条件の制御を停止し、ガラス多孔質層の加熱部位における表面温度の制御を補助熱源によって行うことが好ましい。
【0011】
本発明の製造法においては、ガラス合成用バーナが移動可能範囲を一往復する間に、ガラス多孔質層の両端部の各表面の最高温度の間の差が25℃以下に保たれることが好ましい。
【0012】
本発明の製造法によって製造される多孔質ガラス材料を焼結することによって得られるガラス材料は、その外径の変動幅が外径平均値の3%以内であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、スス付け法によって多孔質ガラス材料を製造する場合に、多孔質ガラス材料のガラス微粒子堆積部の温度を測定し、その温度に基づいてガラス微粒子合成用バーナによる加熱条件を制御することにより、ガラス微粒子堆積部の温度の変動幅が予め定めた基準温度から所定温度幅以内となるようにするとともに、多孔質ガラス材料の両端部を補助熱源で加熱し、この補助熱源を制御することによって、この両端部の表面温度の変動幅が予め定めた基準温度から所定温度幅以内となるようにすれば、長手方向の外径変動が少ない多孔質ガラス材料が製造できることを見いだし、本発明を完成させたものである。なお、多孔質ガラス材料のガラス多孔質層(以下、単に「ガラス多孔質層」ともいう)の両端部とは、ガラス多孔質層の長手方向においてほぼ等しい外径を有する中央部分よりも外径が小さくなり始めた部分から長手方向の両末端までに存在する、テーパー形状部のことをいう。また、外径変動という場合等の「外径」とは、上記テーパー形状部を除く、ほぼ円柱形状を有する部分の外径をいう。
【0014】
図1は、光ファイバ母材として用いられる多孔質ガラス材料の製法の一つであるOVD法を基にした本発明の製造法に用いる製造装置の一実施態様を概念的に示した図である。以下、本発明の製造法を図1に基づいて説明するが、本発明は、図1に示した態様に限定されるものではない。なお、実際の実施にあたっては、図1の製造装置は反応容器中に配置され、さらに一般には反応容器には排気口等が設けられ、また、モータ等必要な機器が取り付ける等の適宜の手段が用いられるが、これらは図示していない。
【0015】
図1に示される製造装置においては、出発ロッド(2)は略水平にその両端を支持手段(5)によって支持され、さらに支持手段(5)は、出発ロッド回転手段(以下、単に「回転手段」ともいう)(6)に連結される。ガラス合成用バーナ(10)(以下、単に、「バーナ(10)」ともいう)は、バーナから噴射される火炎(11)が出発ロッド(2)又は出発ロッドにガラス微粒子が堆積されて形成されつつあるガラス多孔質層(3)に向くようにしてバーナ移動手段(12)に連結される。ガラス多孔質層(3)の両端部それぞれを加熱するための補助熱源(20)及び補助熱源(21)が配置される。図1においては補助熱源としてバーナを用いる場合を示しているが、補助熱源はバーナに限定されない。ガラス微粒子堆積部(P)、及びガラス多孔質層の両端部(P及びP)の表面温度をそれぞれ測定するための表面温度測定手段(30,31及び32)を配置する。表面温度測定手段(30)が常にガラス合成用バーナによる加熱部位であるガラス微粒子堆積部(P)の表面温度を測定できるように、この表面温度測定手段(30)は、ガラス合成用バーナ(10)とともに移動させるための移動手段と連結される(この移動手段は図示していない)。
【0016】
出発ロッド(2)は、回転手段(6)によりその長手方向を軸として回転される。ガラス合成用バーナ(10)には、ガラス原料ガス、燃料ガス、助燃性ガス、所望によりシールガス等が供給され、火炎加水分解反応等の公知のガラス生成反応によりバーナ火炎中でガラス微粒子が合成される。このガラス合成用バーナは公知であり、バーナに供給するガスも公知のものを用いることができる。ガラス合成用バーナ(10)よって合成されたガラス微粒子は、バーナからの火炎とともに、回転する出発ロッド(2)の表面、又は出発ロッド(2)の表面にガラス微粒子が堆積されつつあるガラス多孔質層(3)の表面に吹き付けられて堆積される。ガラス合成用バーナ(10)が、出発ロッドの回転軸と略平行に往復移動(トラバース)しながら、所定の移動範囲にわたり出発ロッド(2)表面にガラス多孔質層(3)が形成される。ガラス合成用バーナ(10)の移動とともにガラス微粒子堆積部(P)が移動するため、表面温度測定手段(30)は、ガラス合成用バーナ(10)とともに移動し、常にガラス微粒子堆積部(P)温度を測定する。測定されたガラス微粒子堆積部温度の情報は、バーナ・熱源制御部に送られ、バーナ・熱源制御部は、ガラス微粒子堆積部温度として予め設定した基準温度と測定された温度との差に基づいてガラス合成用バーナ(10)によるガラス多孔質層表面の加熱条件を制御する。
【0017】
本発明の製造法においては、さらにガラス多孔質層(3)の両端部(P及びP)の表面温度が表面温度測定手段(31,32)によって測定され、測定された温度情報は、バーナ・熱源制御部に送られる。バーナ・熱源制御部は、予め設定した上記両端部に対する基準温度と、実際に測定された温度との差に基づいて、補助熱源(20及び21)によるガラス多孔質層(3)両端部の加熱条件を制御する。なお、上述のとおり、ガラス多孔質層(3)両端のテーパー部を端部というが、表面温度を測定する部位であるP及びP部位を前記テーパー部のどこに設定するかは適宜定めることができ、特に限定されない。ただし、P及びP部位はできるだけ対称な位置、具体的には、ガラス多孔質層の両端において外径が小さくなり始める位置からそれぞれ外側に等距離離れた位置、あるいは前記テーパー部上においてガラス多孔質層の中央部の外径の約1/2又は約1/3の外径を有する位置などの中から適宜定めることが好ましい。
【0018】
上記各表面温度の測定及びそれに基づく加熱条件の制御は、所定の時間間隔をおいて行うことが好ましい。この所定の時間間隔があまり長いと、各表面温度の変動幅が大きくなる場合があるため好ましくない。この所定の時間間隔は、本発明の目的を達成できるように適宜定めることができるが、例えば、10秒以下とすることが好ましい。また上記加熱条件の制御は、各表面温度を測定した都度行うことが好ましい。
【0019】
表面温度測定手段(30〜32)による温度の測定方法としては、例えば上記各加熱部位(P〜P)のサーモグラフィ画像をとり、その画像中の最も高い温度情報を取り出して、その加熱部位の温度を表面温度とする方法があげられる。また、各加熱部位に複数の測定点を設けて表面温度を測定し、複数の測定値の平均値をその加熱部位の温度とすることもできる。この複数の測定点の位置に関しては、各加熱部位上に出発ロッドの長手方向に沿って等間隔に測定点を並べる方法や、各加熱部位上に2次元マトリクス状に測定点を配置する方法などがあげられる。
【0020】
上記ガラス微粒子堆積部(P)及びガラス多孔質層両端部(P及びP)の加熱条件の制御は、それぞれの部位について予め設定された基準温度に対して、実際に測定された各部位の表面温度の変動幅が、所定の変動幅以内になるように行われる。ガラス微粒子堆積部表面温度又はガラス多孔質両端部表面温度として予め設定される基準温度は、個々の各製造装置において、ガラス合成用バーナで合成されたガラス微粒子の出発ロッドへの堆積効率が高く、かつ得られる多孔質ガラス材料の品質が良好となる温度を実験的に求めておくことにより、製造装置ごとに定めることが好ましい。したがって、この予め設定される基準温度は、製造装置の構造、運転条件等によって異なる値となる場合があり、さらにガラス微粒子堆積部(P)及びガラス多孔質層両端部(P及びP)の各部位の間で異なる基準温度を設定することも、あるいは一部又は全部に同じ基準温度を設定することもできる。
【0021】
上記のガラス微粒子堆積部(P)及びガラス多孔質層両端部(P及びP)の各部位における基準温度は、ガラス合成用バーナ(10)の位置に応じてそれぞれが変化するように定めることができる。例えば、実際に用いる製造装置において好ましい結果が得られたときの基準温度のパターンの例を、バーナ(10)の位置と、各部位(P、P又はP)における基準温度との関係として図2に示した。図2について以下説明する。図2の横軸は、出発ロッド(2)の長手方向に沿って移動するガラス合成用バーナ(10)が存在している位置を示す。すなわち、図1においてバーナ(10)が最もガラス多孔質層端部P側に移動した時の位置がLであり、バーナ(10)が最もガラス多孔質層端部P側に移動した時の位置がLである。したがってバーナ(10)はL及びLの間を往復移動する。縦軸は各部位(P、P又はP)の基準温度を示す。以下、バーナ(10)の位置と各部位(P、P又はP)の基準温度との関係を図2に基づいて簡単に説明する。
【0022】
図2におけるバーナの位置を示すL、L、L、L、L、L、L,及びLが、実際のガラス多孔質層上のどの位置に対応するかについては以下のとおりである。すなわち、ガラス多孔質層の両末端はそれぞれL及びLに対応し、ガラス多孔質層の両端のテーパー部の開始位置、すなわちガラス多孔質層の外径が小さくなり始める位置は、それぞれL又はLに対応する。したがって、L及びLはそれぞれテーパー部上にあり、L及びLはガラス多孔質層のほぼ均一な外径を有する部位上にある。
【0023】
図2に従い、ガラス微粒子堆積部であるP部位の基準温度はバーナ(10)の位置に対応して以下のように変化される。すなわちバーナ(10)がL位置から図2の右方向に移動し、L位置を通過したときに、P部位の基準温度をTから下げ始める。バーナ(10)がさらにL位置に移動する間に、P部位の基準温度を直線的にTからTまで下げる。バーナ(10)がL位置からL位置まで移動する間は、P部位の基準温度はTの一定値とする。バーナ(10)がL位置を通過したときからP部位の基準温度を直線的に上げ始め、バーナ(10)がL位置に達したときにP部位の基準温度をTまで上昇させ、以後バーナ(10)がL位置に達するまでP部位の基準温度はTの一定値とする。
【0024】
図2においてガラス多孔質層左端部であるP部位の基準温度は以下のように変化される。すなわちバーナ(10)がL位置にあるときのP部位の基準温度はTである。バーナ(10)がL位置から右方向に移動し、L位置を通過したときにP部位の基準温度をTから直線的に下げ始める。バーナ(10)がL位置を通過するときには、P部位の基準温度はTまで下げられている。バーナ(10)がL位置からさらに右方向に移動し、L位置に達するまではP部位の基準温度はTで一定とする。
【0025】
図2においてガラス多孔質層右端部であるP部位の基準温度は以下のように変化される。すなわちバーナ(10)がL位置にあるときのP部位の基準温度はTである。バーナ(10)がL位置から右方向に移動し、L位置に至るまではP部位の基準温度はTで一定である。バーナ(10)がL位置を通過した後は、P部位の基準温度を直線的に上昇させ、バーナ(10)がL位置に達したときには、P部位の基準温度はTまで上昇されている。バーナ(10)がL位置からさらに右方向に移動し、L位置に達するまではP部位の基準温度はTで一定とする。
【0026】
バーナ(10)がL位置からL位置に戻るときは、上述したバーナ位置と各部位の基準温度変化の関係を逆にたどり、図2に示したバーナ(10)の位置及び各部位基準温度との関係に示すように各部位の基準温度が変化される。
【0027】
図2に示したT、T、及びTの具体的な温度の値、基準温度を昇温又は降温させる場合の速度、並びに基準温度の変化を開始又は終了するときのバーナ(10)の位置等は、いずれも本発明の製造法によって製造される多孔質ガラス材料の長手方向の外径変化が少なく、かつ多孔質ガラス材料端部における割れの発生が少なく、さらにバーナ(10)で合成されたガラス微粒子が効率良く出発ロッドに堆積されるように、個々の製造装置及び製造条件ごとに決定されることができ、その決定は当業者であれば容易に行うことができる。
【0028】
上述のように設定された、基準温度に対する変動幅が所定の値以下になるように、これら各部位の表面温度を制御するようにバーナ(10)及び補助熱源(20及び21)による加熱条件が制御される。
【0029】
本発明の製造法においては、バーナ(10)の位置によって変化する各部位(P、P、及びP)の基準温度を上述のように予め設定し、この各基準温度に対する実際の各部位の表面温度の変動幅が所定の変動幅以下になるように、ガラス微粒子堆積部(P)及びガラス多孔質層両端部(P及びP)の各部位において、ガラス合成用バーナ(10)又は補助熱源(20及び21)による加熱条件が制御される。基準温度に対する実際の表面温度の変動幅が小さいほど、得られる多孔質ガラス材料の外径変動が小さくなるため、基準温度に対する実際の表面温度の変動幅は、±50℃以内であることが好ましく、±30℃以内であることがさらに好ましく、±20℃以内であることが特に好ましい。また、この基準温度に対する実際の表面温度の変動幅は、ガラス微粒子堆積部(P)及びガラス多孔質層両端部(P及びP)のそれぞれについて同じ値を設定しても、又は異なる値を設定してもよい。
【0030】
本発明の製造法においては、上述のとおり、各加熱部位の表面温度を基準温度に対して所定の変動幅以内に制御するとともに、ガラス合成用バーナ(10)が移動可能範囲を一往復する間に、ガラス多孔質層の両端部の表面の最高温度の間の差を一定の値以下に保つことが好ましい。この両端部の表面の最高温度の間の差を小さく保つことによって、得られる多孔質ガラス材料の長手方向の外径変動をさらに小さくすることができる。ガラス合成用バーナ(10)が移動可能範囲を一往復する間に、ガラス多孔質層の両端部(P及びP)の表面の最高温度の間の差を常に50℃以下に保つことが好ましく、さらには25℃以下に保つことが好ましく、特に15℃以下に保つことが好ましい。
【0031】
上記加熱条件の制御のうち、ガラス合成用バーナ(10)による加熱条件の制御は、バーナ(10)に供給される燃料ガスの流量、又は燃料ガス及び助燃性ガスの流量を調節することによって行うことが好ましい。具体的にはガラス微粒子堆積部(P)の表面温度を下げる場合は上記ガスの流量を減少させ、また表面温度を高くする場合には上記ガスの流量を増加させる。たとえば、バーナ(10)に供給する燃料ガスの流量を増加させた場合、その増加量とガラス微粒子堆積部(P)表面の温度の上昇量との関係式を求めておき、ガラス微粒子堆積部(P)表面温度と基準温度との差から好適な燃料ガス流量の増減量を算出できるようにしておくことができる。加熱条件の別な制御法としては、ガラス多孔質層表面とバーナ(10)先端との距離を変化させる方法などが挙げられ、具体的にはガラス微粒子堆積部(P)の表面温度を下げる場合は前記距離が長くなるようにバーナ(10)及び/又は出発ロッド(3)を移動し、また表面温度を高くする場合には前記距離が短くなるようにバーナ(10)及び/又は出発ロッドを移動させる。この場合も例えばバーナ(10)の移動距離に対するガラス微粒子堆積部(P)表面温度の変化の関係式を予め求めておき、ガラス微粒子堆積部(P)表面温度と基準温度との差から好適なバーナ(10)の移動距離を算出できるようにしておくことができる。上記バーナ(10)に供給される各ガスの流量を調節すること、及び/又はガラス多孔質層(3)表面とバーナ(10)先端との距離を変化させることは、バーナ・熱源制御部からの制御命令によって自動的に行われるようにすることが好ましい。
【0032】
また、ガラス多孔質層両端部(P及びP)を加熱するための上記補助熱源(20及び21)としては、酸水素バーナ又は抵抗炉を用いることが好ましい。酸水素バーナを補助熱源として用いた場合には、加熱条件の制御は酸水素バーナに供給する水素及び酸素ガスの流量を調節することによって行うことが好ましい。また、ガラス多孔質層端部表面(P又はP)と各酸水素バーナ(20又は21)の先端との距離を変化させることによって加熱条件を制御することもできる。上記水素及び酸素ガスの流量を調節すること、並びに/又はガラス多孔質層端部表面と酸水素バーナとの距離を変化させることは、上述のバーナ・熱源制御部からの制御命令によって自動的に行われるようにすることが好ましい。
【0033】
また、上記補助熱源として抵抗炉を用いた場合には、加熱条件の制御は抵抗炉の温度を上昇又は下降させることによって、ガラス多孔質層端部(P及びP)の加熱条件を制御することができる。抵抗炉の温度の制御は、バーナ・熱源制御部からの制御命令によって自動的に行われるようにすることが好ましい。
【0034】
上述のとおり、本発明の製造法においては、ガラス合成用バーナ(10)によるガラス微粒子堆積部(P)の加熱条件の制御、及び補助熱源(20及び21)によるガラス多孔質層両端部(P及びP)の加熱条件の制御をあわせて行うが、ガラス合成用バーナ(10)が出発ロッドの長手方向にトラバースされるため、バーナ(10)がガラス多孔質層両端部に接近すると、バーナ(10)からの火炎及び補助熱源(20又は21)から加えられる熱の両者によってガラス多孔質層両端部が加熱されるため、この両端部の加熱条件の制御のためのシステムが複雑になる。したがって、ガラス多孔質層両端部にバーナ(10)が接近してきた場合のこれら両端部の加熱条件の制御は、バーナ(10)の出力、すなわちバーナ(10)への燃料ガス等の流量の状態を固定して、補助熱源(20又は21)による加熱条件の制御によって行うようにすることが好ましい。また、補助熱源(20及び21)として酸水素バーナ等のバーナを用い、このバーナによる加熱条件変化を充分に速い速度で行うことができる場合は、バーナ(10)が近づいてきた方のガラス多孔質層端部(P又はP)の表面温度を測定してから、((ガラス合成用バーナ(10)の直径)÷(ガラス合成用バーナ(10)の移動速度))時間以内に、ガラス合成用バーナ及び補助熱源のバーナに供給する燃料ガス、例えば水素ガスの流量を調節することによって、バーナ(10)が近づいてきた方のガラス多孔質層端部(P又はP)の加熱条件の制御を行うようにすることが好ましい。ガラス多孔質層端部(P又はP)の表面温度を測定してから上記時間内に加熱条件を制御することができないと、予め設定した基準温度に対して所定の変動幅以下になるようにガラス多孔質両端部の表面温度を制御できない場合があるからである。
【0035】
ガラス多孔質層の両端部(P及びP)の加熱条件の制御は、前回の加熱条件及びそのときの両端部の表面温度の測定結果をフィードバックすることによって、さらに精密に制御することができる。すなわち、ガラス多孔質層の端部(P又はP)へガラス合成用バーナ(10)が移動してきた時に測定したその端部の表面温度をメモリーし、次回にバーナ(10)が同じ端部に移動してきたときに、メモリーされたその端部の前回の表面温度と、予め設定された基準温度との差に基づいて、その端部の加熱条件を調整する。具体的には、前回測定されたその端部の表面温度が基準温度より低かった場合は、次回バーナ(10)がその端部に移動してきたときには、前回よりもさらに強く加熱するように加熱条件を制御する。加熱条件の制御は、例えば補助熱源がバーナの場合は燃料ガスの流量を増加する等によって行うことができる。前回測定されたその端部の表面温度が基準温度より高かった場合は、その逆に次回バーナ(10)がその端部に移動してきたときは、前回より弱く加熱するように加熱条件を制御する。ここで述べた、前回の加熱条件及びそのときの両端部の表面温度の測定結果をフィードバックして端部の加熱条件を調節する方法は、一般に酸水素バーナより応答が遅い傾向がある抵抗炉を補助熱源として用いた場合にとくに有効である。
【0036】
本発明の多孔質ガラス材料の製造法によれば、例えば光ファイバのプリフォーム又はプリフォームを製造するための中間母材として、長手方向の外径変化が少なく、かつ長手方向に均一性の高い光学的品質を有する材料が製造できる。例えば光ファイバ用のプリフォーム又はその中間母材としては、上述した本発明の製造法によって製造され、かつ両端のテーパー形状部を除く外径の変動幅が、外径平均値の3%以下である材料が特に好ましい。
【0037】
【実施例】
以下に具体的な実施例に基づいて本発明の製造法をさらに説明する。
(製造装置)
図1に概略を示したOVD法による製造装置に準じた装置を用いて多孔質ガラス材料の製造試験を行った。実際に用いた装置は図1に示した構成を有する。ガラス合成用バーナ(10)、補助熱源(20及び21)は全て酸水素バーナで構成した。ガラス合成用バーナ(10)は直径36mmのものを用いた。出発ロッド(2)は、長さ1mの石英製のロッドを用いた。バーナ(10)とともに出発ロッドと略平行に移動可能な表面温度測定装置(30)、及びガラス多孔質層端部(P及びP)の各表面温度を測定するための表面温度測定装置(31及び32)を配置した。表面温度測定装置(30、31及び32)、並びにバーナ(10)及び補助熱源バーナ(20及び21)はいずれもバーナ・熱源制御部に連結されている。
【0038】
ガラス合成用バーナ(10)は、200mm/分の移動速度で出発ロッド(2)に略平行に520mm幅で往復トラバースされるとともに、バーナ(10)にガラス原料ガス、水素、及び酸素が供給され、バーナからの火炎は出発ロッド(2)又はガラス多孔質層(3)の表面に噴射され、火炎中で合成されたガラス微粒子が出発ロッド表面に堆積される。補助熱源バーナ(20及び21)は固定されており、ガラス多孔質層(3)の端部(P又はP)を加熱する。表面温度測定装置(30)は、バーナ(10)とともにトラバースされ、常にバーナの加熱部位であるガラス微粒子堆積部(P)の温度を測定する。また表面温度測定装置(31及び32)は、それぞれ、ガラス多孔質層(3)の端部(P又はP)の表面温度を測定する。これらの各温度測定装置は、各表面のサーモグラフィ画像をとり、それぞれの画像中で一番高い温度の情報を取り出して表面温度とし、その温度情報をバーナ・熱源制御部に送る。バーナ・熱源制御部は、上述したとおり図2に示したバーナ(10)の位置に応じた各部位の基準温度と、各温度測定装置から送られた測定温度との差を算出し、各バーナへの水素流量の増加量と、それに対する各部位におけるガラス多孔質層(3)の表面温度の上昇量との関係式に基づいて、各バーナ(10、20、及び21)に供給する水素流量をそれぞれ調節して加熱条件を制御する。なお、前記の、各バーナへの水素流量の増加量と、それに対する各部位におけるガラス多孔質層(3)の表面温度の上昇量との関係式は予め求めておいたものを用いる。表面温度の測定及びそれに基づく加熱条件の制御は所定の時間間隔ごと(ターン)に行うことができ、その場合、表面温度の測定結果に基づき各バーナへの水素供給量を計算してメモリーし、次の加熱条件制御のときにその計算結果を用いる方式にしている。なお、本試験においては、上記制御の時間間隔は、1.0秒とした。
【0039】
また、本実施例においては、バーナ(10)がガラス多孔質層の両端部に移動してきた場合、ガラス合成用バーナによる加熱条件を固定し、補助熱源バーナ(20及び21)による加熱条件を制御することにより、ガラス多孔質層両端部の加熱条件を制御する方法を用いた。
【0040】
(比較例)
上記装置を用い、バーナ(10)により合成されたガラス微粒子を出発ロッド(2)に堆積させる際、ガラス合成用バーナ(10)によって加熱されるガラス微粒子堆積部(P)の表面温度が570±10℃になるように、バーナ(10)による加熱条件のみを制御した。すなわち、補助熱源バーナ(20及び21)に供給する水素ガスの量は一定量として、測定されたガラス多孔質層両端部の表面温度に基づく補助熱源バーナの制御を行わなかった。そのとき、表面温度測定装置(30)によって測定されたガラス微粒子堆積部(P)の表面温度の測定結果を図3(a)に示した。
【0041】
図3(a)には、ガラス合成用バーナが移動(トラバース)範囲を一方の端から他方の端まで移動する間の、ガラス合成用バーナの位置とP部位の表面温度の関係を示した。図3(a)においては、ガラス合成用バーナ(10)が図1の移動範囲左端にあるときを長手位置0mmとし、バーナ(10)が図1の移動範囲右端にあるときを長手方向520mmと表した。これらの点は下記の実施例の結果を示す図3(b)においても同じである。
【0042】
図3(a)において、ガラス多孔質層の両端部にあたる範囲は、長手位置0〜80mm及び長手位置440〜520mmの範囲である。図3(a)に示されるように、上記比較例においては、ガラス多孔質層両端部表面のピーク温度が、長手位置0mm側で582℃であるのに対し、長手位置520mm側で610℃と、その差が30℃近くになったのみならず、ガラス多孔質層の長手方向370mm付近で、表面温度が485℃の最低温度を示し、長手方向260mm前後の位置における平均温度に対して約80℃の大きな変動を示した。
【0043】
ガラス微粒子の堆積を所定時間行って多孔質ガラス材料を製造した。得られた多孔質ガラス材料の外径を長手方向に沿って測定したところ、テーパー部を除いた部分のガラス微粒子堆積層の長手方向の外径は、外径平均値に対して14.1%の変動を示した。この多孔質ガラス材料を焼結して得られた透明ガラス母材のテーパー部を除く範囲の外径の、外径平均値に対する変動率は8.0%であった。
【0044】
(実施例)
上述した製造装置を使用し、上記比較例と同様に多孔質ガラス材料の製造を行った。ただし本実施例においては、上記比較例同様にガラス微粒子堆積部(P)の表面温度が570±10℃になるように、バーナ(10)による加熱条件を制御するとともに、ガラス多孔質層両端部(P及びP)の表面温度を測定し、両端部温度が610±10℃となるように、補助熱源バーナ(20及び21)による加熱条件を制御した。(なお、570±10℃及び610±10℃に制御を行う領域の間の領域は、直線的に変化するように基準温度を設定した。図2を参照されたい。)図3(b)には、ガラス合成用バーナが移動(トラバース)範囲を一方の端から他方の端まで一回移動する間の、ガラス合成用バーナの位置とP部位の表面温度の関係を示した。この場合、ガラス多孔質層の両端部における最高温度は、長手方向0mm側で618℃、長手方向520mm側で614℃であり、その差は4℃であった。ただし、図3(b)はガラス多孔質層両端部における最高温度の差がバーナの一トラバースの間で最も小さかった場合であり、最高温度の差が最も大きかった場合のその差の値は18℃であった。また、P部位における基準温度に対する表面温度の変動幅は、最大で13℃であった。
【0045】
得られた多孔質ガラス材料のテーパー部を除く長手方向の外径変動は外径平均値に対して1.6%であり、上記比較例の補助熱源バーナによる加熱条件の制御を行わなかった場合と比較して、外径変動が12.5%低下した。さらに、この多孔質ガラス材料を焼結して得られた透明ガラス母材のテーパー部を除く長手方向の外径平均値に対する外径変動率は2.0%であった。
【0046】
(ガラス多孔質層両端部の表面温度の差、及び多孔質ガラス母材の外径変動の関係)
上記比較例及び実施例と同じ製造装置を使用し、製造条件も上記比較例に準拠し、さらに補助熱源バーナによる加熱条件の制御のための条件を種々変更して数回多孔質ガラス材料の製造を行った。各製造試験においては所定時間、出発ガラスロッドへのガラス微粒子の堆積を行った。製造試験中、移動可能範囲をガラス合成用バーナが一往復するごとに、一往復間における前記ガラス多孔質層の両端部それぞれの最高表面温度を測定し、その差が最大であった時の温度差を「両端の最高温度差」とした。この「両端の最高温度差」と、得られた多孔質ガラス母材(ただし、テーパー部を除く。)の外径平均値に対する外径変動率(%)との関係を図4に示す。
【0047】
図4の結果から、ガラス多孔質層の両端部のそれぞれの最高温度の間の差が小さいほど上記外径変動率が小さくなることがわかった。上記外径変動率は3%以下であることが好ましく、したがって、図4から、ガラス合成用バーナが移動可能範囲を一往復する間に、ガラス多孔質層の両端部のそれぞれの最高表面温度の間の差を25℃以下に保つことが好ましい。
【0048】
上記外径変動率が3%以下であるガラス多孔質層を有する多孔質ガラス材料を脱水及び焼成することによって得られるガラス材料は、光ファイバ等を製造するために用いられるプリフォーム又はプリフォームを製造するための中間母材として有用である。
【0049】
【発明の効果】
本発明の製造法によれば、スス付け法による多孔質ガラス材料の製造法において、多孔質ガラス材料の両端部において多孔質ガラス層にひび割れが入りにくいように製造時にその両端部の加熱を行う場合であっても、長手方向における外径変動が小さな多孔質ガラス材料を製造することができる。さらに本発明の製造法によって製造された外径変動の小さな多孔質ガラス材料、及びその多孔質ガラス材料を焼結して得られる外径変動の小さなガラス材料は、光ファイバ等の製造に用いるプリフォーム又は光ファイバ等の製造に用いるプリフォームの中間母材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造法に用いる、CVD法を用いた多孔質ガラス材料の製造装置を概念的に示す図である。
【図2】本発明の製造法において、設定される各部位の基準温度とガラス合成用バーナの位置との関係の一例を概念的に示した図である。
【図3】図3(a)は、ガラス合成用バーナが移動(トラバース)範囲を一方の端から他方の端まで移動する間の、ガラス合成用バーナの位置とP部位の表面温度の関係を示す図である。図3(b)は、ガラス合成用バーナが移動(トラバース)範囲を一方の端から他方の端まで移動する間の、ガラス合成用バーナの位置とP部位の表面温度の関係を示す図である。
【図4】ガラス多孔質層の両端部の各表面の最高温度間の差の最大値と、そのとき得られた多孔質ガラス材料のテーパー部を除く外径変動率(%)との関係を示す図である。
【符号の説明】
1…多孔質ガラス材料製造装置
2…出発ロッド
3…ガラス多孔質層
5…支持手段
6…出発ロッド回転手段
10…ガラス合成用バーナ
11…火炎
12…バーナ移動手段
20…補助熱源
21…補助熱源
30…表面温度測定手段
31…表面温度測定手段
32…表面温度測定手段

Claims (8)

  1. ガラス合成用バーナを、出発ロッドに対し前記出発ロッドの長手方向に所定範囲内で移動させて、前記ガラス合成用バーナで合成されたガラス微粒子を前記出発ロッドの外周上に付着かつ堆積させてガラス多孔質層を形成させるとともに、前記ガラス多孔質層の両端部を、補助熱源を用いて加熱する多孔質ガラス材料の製造法であって、
    前記所定範囲内を前記ガラス合成用バーナが移動している間、前記ガラス合成用バーナからの火炎によって加熱されている前記ガラス多孔質層の加熱部位における表面温度を測定するとともに、予め設定された基準温度に対する前記表面温度の変動幅が所定の温度幅以下になるように前記ガラス合成用バーナによる前記ガラス多孔質層表面の加熱条件を制御し、
    かつ前記ガラス多孔質層の両端部の表面温度を測定するとともに、予め設定された基準温度に対する各端部の表面温度の変動幅が所定の温度幅以下になるように前記補助熱源による前記各端部の加熱条件を制御することを特徴とする多孔質ガラス材料の製造法。
  2. 前記補助熱源として酸水素バーナを用いることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ガラス材料の製造法。
  3. 前記各端部の表面温度の測定時から、(前記ガラス合成用バーナ径)÷(前記ガラス合成用バーナの移動速度)で算出される時間内に、前記表面温度の測定結果に基づいて前記各端部の加熱条件の制御が行われることを特徴とする請求項2に記載の多孔質ガラス材料の製造法。
  4. 前記補助熱源として抵抗炉を用いることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ガラス材料の製造法。
  5. 前記ガラス合成用バーナが前記ガラス多孔質層の前記各端部に移動してきた時に測定された前記各端部の表面温度をメモリーし、前記ガラス合成用バーナが同一端部に次回移動してきた時に、前記メモリーされた表面温度と前記予め設定された基準温度との差に基づいて前記各端部の加熱条件の制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の多孔質ガラス材料の製造法。
  6. 前記ガラス合成用バーナの移動が出発ロッドに対する往復運動であって、前記ガラス合成用バーナが往復移動する領域の両端部において、前記ガラス合成用バーナによる前記ガラス多孔質層表面の加熱条件の制御を停止し、前記ガラス多孔質層の加熱部位における表面温度の制御を前記補助熱源によって行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質ガラス材料の製造法。
  7. 前記ガラス合成用バーナが移動可能範囲を一往復する間に前記ガラス多孔質層の両端部の各表面の最高温度の間の差が25℃以下に保たれることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の多孔質ガラス材料の製造法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法により作成された多孔質ガラス材料を焼結することにより製造された、外径の変動幅が外径平均値の3%以内であるガラス材料。
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