JP2016039239A - 配線基板の製造方法、配線基板及び配線基板製造用の分散液 - Google Patents

配線基板の製造方法、配線基板及び配線基板製造用の分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】銅マイクロ粒子を用いた乾式処理法(ドライプロセス)で銅配線基板を得ることが可能な配線基板の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る配線基板の製造方法は、電気絶縁性の基板上に導電性配線を形成する配線基板の製造方法において、前記基板上に、銅マイクロ粒子と揮発性の有機溶剤とを含有する分散液を塗布して塗布膜を得る塗布膜形成工程と、前記塗布膜を加熱処理して前記有機溶剤を乾燥除去する乾燥工程と、前記乾燥工程後の塗布膜に、大気において、波長300〜600nmのレーザ光を照射して前記銅マイクロ粒子を焼結し前記基板に密着させることにより、銅マイクロ粒子焼結膜を得るレーザ光照射工程と、を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、配線基板の製造方法、配線基板及び配線基板製造用の分散液に関する。
電子機器用配線基板の製法として、従来の銅箔のフォトケミカルエッチングやアデイティブ銅めっき法の他に、最近ではこれらの湿式プロセスに替わる新しい乾式プロセス(ドライプロセス)が発表されている。これらドライプロセス法では、銅ナノ粒子のレーザ照射やプラズマ処理により、銅ナノ粒子を焼結してバルク化し、導電性配線を基板上に形成するものである。すでに公開されているレーザ焼結やプラズマ処理による配線形成方法として、以下の特許文献1‐7がある。
特許文献1(特表2010‐528428号公報)には、電気絶縁性基板上に導電性フィルムを形成する方法であって、基板の表面上に複数の銅ナノ粒子を含有するフィルムを堆積させる段階と、該フィルムの少なくとも一部を露光して、露光部分を導電性にする段階とを備えた方法が開示されている。特許文献1には、露光にはレーザ(連続レーザ、パルスレーザを含む)を用いて、銅ナノ粒子(直径1000nm未満)を含む銅インクを銅導体に焼結させることが記載されている。また、パルスレーザでは、ナノ秒からフェムト秒のパルスレーザを用いて、銅インクを焼結させることが記載されている。
特許文献2(特開2014‐57024号公報)には、支持体と該支持体上に配置された酸化銅粒子を含む前駆体層とを有する前駆体層付き支持体に対して、光照射を行い、該酸化銅粒子を還元して金属銅を含有する導電層を形成する還元工程を備える導電層の製造方法であって、該前駆体層の酸化銅粒子の充填率が65%以上である導電層の製造方法が開示されている。特許文献2には、酸化銅粒子としては平均粒子径が200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましいことが記載されている。また、光照射処理で使用される光源としてはレーザービームを用いることが記載されている。
特許文献3(特許第5507161号公報)には、有機化合物を粒子表面に有する金属微粒子と高分子分散剤と溶媒とを少なくとも含み、高分子分散剤のアミン価と酸価の差(アミン価−酸価)が0〜50である分散体を基材に塗布して塗布膜を作製する工程(a)と、該塗布膜の全領域又は一部領域にレーザ光を大気中で照射する工程(b)とを備えることを特徴とする塗膜の製造方法が開示されている。特許文献3には、金属微粒子としては、1nm〜1μm程度が好ましく、1〜200nmの範囲の平均粒子径を有する金属微粒子がより好ましく、多方面の用途に用いることができることから1〜100nm程度の平均粒子径を有する金属微粒子が更に好ましく、より微細な電極、回路配線パターンや優れた金属色調の表面を得るためには、1〜50nmの範囲の平均粒子径を有する金属微粒子を用いることが更に好ましいことが記載されている。
特許文献4(特開2013‐247060号公報)には、導電性金属厚膜の形成に使用される導電性金属厚膜形成用材料であって、該導電性金属厚膜形成用材料は、導電性金属厚膜の形成に使用される金属粒子および金属ナノ粒子、ならびに有機物を含んでおり、塗布可能な流動性を示す材料であり、基材上に導電性金属厚膜形成用材料を塗布し、導電性金属厚膜形成用材料の塗布膜を形成した後、還元性雰囲気下でマイクロ波プラズマを照射して焼成する処理を施すことにより、塗布膜中に含有される金属粒子および金属ナノ粒子から、バルク状の導電性金属厚膜を形成することができる
ことを特徴とする、導電性金属厚膜形成用材料が開示されている。
特許文献5(特開2010‐87287号公報)には、基材上に、銅ナノ粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成した後、この印刷層を焼成処理してパターン状の半導体層を形成する半導体基板の製造方法であって、酸素を含む雰囲気下、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマに該印刷層を晒すことにより、該印刷層の焼成処理を行うことを特徴とする半導体基板の製造方法が開示されている。
特許文献6(特開2004‐119686号公報)には、基板上に銅ナノ粒子相互の焼結体層からなる微細な銅系配線パターンを形成する方法であって、平均粒子径を1〜100nmの範囲に選択される、表面に酸化銅被覆層を有するナノ粒子を含有する分散液を用いて、前記微細な配線パターンの塗布層を基板上に描画する工程と、前記塗布層中に含まれる、表面に酸化銅被覆層を有するナノ粒子に対して、表面の酸化銅を還元する処理を施し、さらに、還元処理を受けたナノ粒子の焼成を行って、焼結体層を形成する工程とを有し、同一工程内で実施される、前記還元処理と焼成処理は、
加熱温度を、300℃以下に選択して、還元性気体の存在下、生起されるプラズマ雰囲気内に、塗布層中に含まれる、該ナノ粒子を曝すことにより行うことを特徴とする微細配線パターンの形成方法が開示されている。
特許文献7(特開2004‐218055号公報)には、金超微粒子を導電性媒体とする導電性金ペーストを用いて、無電解金メッキ代替導電性金皮膜を形成する方法であって、無電解金メッキ代替導電性金皮膜を形成する下地上に、導電性金ペーストの塗布層を形成する工程と、形成された導電性金ペーストの塗布層を、300℃を超えない温度にて加熱処理し、含有される金超微粒子相互を焼結する工程とを有し、利用する導電性金ペーストは、分散媒体となる有機溶剤中に平均粒子径が1〜100nmの範囲に選択される金超微粒子が分散されており、金超微粒子表面は、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子のいずれかを含む基を有する化合物1種以上により被覆されており、加熱処理を施す際、金元素と配位的な結合が可能な基として、窒素、酸素、イオウ原子を含む基を有する化合物の金超微粒子表面からの解離がなされることを特徴とする無電解金メッキ代替導電性金皮膜の形成方法が開示されている。
特表2010‐528428号公報 特開2014‐57024号公報 特許第5507161号公報 特開2013‐247060号公報 特開2010‐87287号公報 特開2004‐119686号公報 特開2004‐218055号公報
上記従来技術では、銅粒子として銅ナノ粒子を用い、この銅ナノ粒子を含む分散液をインクジェット装置等を用いて基板上に塗布し、塗布膜にレーザ又はプラズマ等を照射して配線基板を得ている。銅ナノ粒子を用いているのは、表面エネルギーが高く、レーザ光又はプラズマ照射等によって焼結しやすいためである。一般に、表面エネルギーの高い金属ナノ粒子形状を分散液中(溶媒中)で安定に保つために、ナノ粒子表面に分散剤と称する有機化合物被膜を形成することが良く知られている。この分散剤には銅とのキレート結合性の高い、ポリエチレンイミン又はアミン等のアミン系やチオール等のイオウ系の有機化合物等が用いられる。この分散剤は、レーザ照射によって、簡単に分解する必要があり、残存した場合には、バルク金属(銅配線)の電気特性、特に比抵抗を増大させる可能性がある。
特許文献1では、レーザ焼結前の溶媒や分散剤の乾燥を、150℃未満の温度で行うことが記述されているが、実際にはこの温度以下の沸点を有する分散剤の選定には制約があり、分散剤はレーザ焼結後にも残存する可能性がある。レーザ焼結によって分散剤が完全に燃焼又はアブレーション(分解蒸発)しない場合には、バルク銅中に残存する可能性がある。バルク銅中に分散剤が残存すると、バルク被膜中にボイドの発生や電気特性の低下を招くおそれがある。このため、これらの分散剤は必要最小限の添加量として管理される必要があり、可能であれば分散剤を使用しないことが最も望ましい。
また、銅ナノ粒子は、一般に、湿式の溶液還元法やアトマイズ法で製造される段階で、分散剤の添加された有機溶媒中に捕集して製造されるが、この製造工程には特別の工夫が必要であり、銅マイクロ粒子と比較して製造コストが極めて高価となる。
さらに、銅ナノ粒子では、基板に一回で塗布できる膜厚が銅マイクロ粒子と比較して非常に小さい。通常の銅導電体を用いる配線基板では、銅配線膜は電気特性の面から7μm以上の厚さが求められる。これは配線基板の伝送路において要求される、低い高周波特性インピーダンスを得るのが目的でもある。この必要な膜厚を得るためには、銅ナノ粒子インクでは、インクの流動性が高く、通常5μm以上厚く塗布できないために、複数回の分散液(インク)の塗布が必要となり、製造時間及び製造コストの増大を招くことになる。
本発明の目的は、上記事情に鑑み、銅マイクロ粒子を用いた乾式処理法(ドライプロセス)で銅配線基板を得ることが可能な配線基板の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、電気絶縁性の基板上に導電性配線を形成する配線基板の製造方法において、前記基板上に、銅マイクロ粒子と揮発性の有機溶剤とを含有する分散液を塗布して塗布膜を得る塗布膜形成工程と、前記塗布膜を加熱処理して前記有機溶剤を乾燥除去する乾燥工程と、前記乾燥工程後の塗布膜に、大気において、波長300〜600nmのレーザ光を照射して前記銅マイクロ粒子を焼結し前記基板に密着させることにより、銅マイクロ粒子焼結膜を得るレーザ光照射工程と、を有することを特徴とする配線基板の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、電気絶縁性の基板上に銅配線を有する配線基板において、前記銅配線は、銅粒子が焼結した導電層を有し、前記導電層は、膜厚が7μm以上であることを特徴とする配線基板を提供するものである。
また、本発明は、電気絶縁性の基板上に導電性配線を形成するために用いる配線基板製造用の分散液であって、前記分散液は、銅マイクロ粒子と揮発性の有機溶剤とを含有することを特徴とする配線基板製造用の分散液を提供するものである。
本発明によれば、銅マイクロ粒子を用いた乾式処理法(ドライプロセス)で銅配線基板を得ることが可能な配線基板の製造方法を提供することができる。すなわち、銅箔のケミカルエッチングやアデイティブ銅めっき等の湿式のプロセスによる配線基板の製法に替り、銅マイクロ粒子を含むインクの印刷とレーザ焼結のドライプロセスにより、フォトマスクレスで導電性配線基板を製造できる。銅マイクロ粒子を含む分散液中には、ナノ粒子で用いる分散剤が含まれず、レーザ照射で完全に分解する成分のみを用いるため、レーザ焼結後にボイドの発生や炭素(カーボン)等の有機物が残留することが無く、高導電性の被膜を得ることができる。さらに、銅マイクロ粒子を用いることで、一回のインクの印刷で7μm以上の配線層の厚さを得ることが可能になる。
上記本発明の製造方法によれば、様々な立体形状を有する基板(樹脂成型品)に配線膜を形成することができる。例えば、電子機器の外装部品(携帯電話のICカードの筐体等)に直接配線膜を形成することができる。このため、従来の内臓配線基板(プリント配線基板)が不要となり、電子機器の更なる小型化を達成することができる。
本発明に係る配線基板の製造方法の一例を示すフロー図である。 銅マイクロ粒子の反射、吸収及び透過スペクトルを示すグラフである。 本発明に係る配線基板の製造方法の他の一例を示すフロー図である。 フェノール樹脂の反射、吸収及び透過スペクトルを示すグラフである。 ガラスエポキシ樹脂の反射、吸収及び透過スペクトルを示すグラフである。 ポリイミド樹脂の反射、吸収及び透過スペクトルを示すグラフである。 本発明に係る配線基板の製造方法の他の一例を示すフロー図である。 本発明に係る配線基板の一例を示す断面模式図である。 本発明に係る配線基板の一例を示す平面模式図である。 実施例1のCu配線基板の光学顕微鏡写真である。 実施例1のCu配線基板の光学顕微鏡写真である。 実施例1のCu配線基板のレーザ顕微鏡写真である。 実施例2のCu配線基板の光学顕微鏡写真である。 実施例3のCu配線基板の光学顕微鏡写真である。
本発明に係る配線基板の製造方法は、HLP(High speed Laser Plating:高速レーザめっき、登録商標)を用いたものである。本発明者らは、銅マイクロ粒子を含む分散液を基板上に塗布して得た塗布膜を乾燥後、大気中において、300〜600nmのレーザ光を照射することで、銅マイクロ粒子を焼結し、銅ナノ粒子と同等以上の基板との密着性及び配線抵抗を実現する配線基板が得られることを見出し、本発明を完成した。銅マイクロ粒子をレーザ光で焼結させた配線膜は従来には無く、新規な発明である。
以下、図面を用いて、本発明に係る配線基板の製造方法及び配線基板について詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施形態に限定されることは無く、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜改良や変更を加えることが可能である。
[配線基板の製造方法]
図1は本発明に係る配線基板の製造方法の一例を示すフロー図である。図1に示すように、本発明に係る配線基板の製造方法は、電気絶縁性の基板1上に銅マイクロ粒子と揮発性の有機溶剤とを含有する分散液を塗布(印刷)して、銅マイクロ粒子を含む塗布膜2を得る塗布膜形成工程(a)と、この塗布膜2を加熱処理して、塗布膜2中の揮発性の有機溶剤を乾燥除去する乾燥工程(b)と、この乾燥した塗布膜3にレーザ光6を照射して銅マイクロ粒子を焼結し基板1に密着させることにより、銅マイクロ粒子焼結膜4を得るレーザ光照射工程(c)とを有する。以下、上記(a)〜(c)の工程について詳述する。
(a)塗布膜形成工程
配線を形成する電気絶縁性の基板1としては特に限定は無く、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はこれらをブレンドして得た変性熱硬化性樹脂又は変性熱可塑性樹脂等を用いることができる。より具体的には、熱硬化性樹脂では、レゾール系やノボラック系のフェノール樹脂やエポキシ樹脂等が挙げられる。フェノール樹脂やエポキシ樹脂は、それ自体では十分な機械的強度が得られないために、ガラス繊維を補強材とし、ガラス繊維に未硬化樹脂を含浸してから硬化させた材料を用いることができる。また熱可塑性樹脂としては、フレキシブル配線基板に多く用いられるポリイミド樹脂(PI)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)や、近年一部で実用化が開始された液晶ポリマー(LCP)を用いることができる。
上記した基板1上に、銅マイクロ粒子と揮発性の有機溶剤とを含む分散液を塗布し、塗布膜2を得る。本発明の銅マイクロ粒子は、平均粒径が1〜3μm(1μm以上3μm以下)であることが好ましい。1μm未満では、配線膜の膜厚を7μm以上とするためには銅ナノ粒子同様に塗布回数(印刷回数)が増え、また、3μmより大きいと、後述するレーザ光照射工程にて焼結させることが困難となる。平均粒径が1〜3μmの銅粒子を焼結させることが可能なレーザ光の条件については、追って詳述する。
本発明が銅マイクロ粒子を用いる理由の一つには、銅ナノ粒子で用いられる分散剤を排除することがある。金属は微細化することにより格子歪が増大して表面自由エネルギーが増大することが知られている。この表面エネルギーの増大は、サイズが格子定数に近くなる粒子径、1‐5nmのナノ粒子では特に顕著である。金属のマイクロ粒子では、表面エネルギーがバルク金属に近いために、表面エネルギーが小さく分散剤の使用が不要である。
なお、上述した銅マイクロ粒子は、純銅の他に、配線膜の特性を向上させるために銅と他の金属元素とを合金化させたものであってもよい。例えば、強度を向上するために錫(Sn)と合金化した銅‐錫(Cu‐Sn)合金であってもよい。その他、銅‐亜鉛(Cu‐Zn)又は銅‐ジルコニウム(Cu‐Zr)合金等であってもよい。または、銅マイクロ粒子の他に、Sn,Zn,Zr等のマイクロ粒子を混合しても良い。これらの合金粒子の平均粒径が、上述した1〜3μmの範囲にあれば、本発明の効果を得ることができる。
銅マイクロ粒子を含む分散液としては、銅マイクロ粒子の他に、揮発性の有機溶剤と、添加剤として結着剤及び粘度調整剤を含むことが好ましい。揮発性の有機溶剤は、後述する乾燥工程で乾燥除去される沸点を有するものを用いる。分散液中の添加剤成分は、後述するレーザ光照射工程において、レーザで完全分解する低沸点(350℃以下)の溶媒や、低分子量(10,000以下)の有機化合物を用いることが好ましい。これらの成分が分解せず、配線膜中に存在すると、ボイドの発生や配線抵抗の増大を招く恐れがあるためである。分散液の好ましい組成を、表1に記載する。
Figure 2016039239
表1に示す分散液では、低沸点(沸点:78.3℃)のエタノールを主たる溶剤とし、流動性を得るために、粘度調整剤としてデカノール(沸点:231℃)とヒマシ油(沸点:313℃)を加え、さらに結着剤(増粘剤)として微量のエチルセルロース(分子量:1,000〜3,000)を添加する。エタノールは後述する分散液の印刷後の乾燥工程で完全に蒸散し、そのほかの有機化合物は後述するレーザ光照射工程における熱と光により完全に分解する。
なお、有機溶剤としては、エタノール以外にもメタノール(沸点64.5℃)等を用いることができる。また、粘度調整剤としてグリセリン(沸点290℃)等を用いることができ、結着剤として分子量10,000以下の低分子量メチルセルロースやポリビニルアルコール等を用いることができる。
上記分散液(銅マイクロ粒子ペースト)の基板1への塗布は、銅マイクロ粒子を含む分散液を塗布可能な方法、例えば、スクリーン印刷法、ドクターブレード法又はディスペンサ法等を用いて所望のパターンの塗布を行う。
(b)乾燥工程
次に、基板1を加熱処理し、塗布膜2中に含まれる揮発性の有機溶剤を乾燥除去する。乾燥は大気中で行うが、乾燥温度は銅マイクロ粒子の酸化を防止するために120℃以下の温度で行うことが好ましい。分散液の乾燥により揮発性の有機溶剤(エタノール等)が蒸発するため、乾燥後の塗布膜3の膜厚は、乾燥前の6〜7%に減少する。また、乾燥は減圧乾燥することで時間を短縮できる。
(c)レーザ光照射工程
次に、上記乾燥後の塗布膜3に印刷パターンの上方からレーザ光6を照射し、塗布膜3中の銅マイクロ粒子を焼結させる。この工程において、分散液中に含まれる銅マイクロ粒子以外の成分(添加剤等)はレーザ光の照射によって分解する。銅マイクロ粒子のレーザ焼結には、銅マイクロ粒子の反射、吸収及び透過スペクトルの測定値から最も適した波長のレーザ光を選定する。図2は、銅マイクロ粒子(平均粒径:1μm)の反射、吸収及び透過スペクトルを示すグラフである。図2に示すように、銅マイクロ粒子は、波長200〜600nmで約80%以上の高い吸収率を有し、特に波長200〜550nmで約95%の高い吸収率を持つので、この波長帯域のレーザ光を用いることで銅マイクロ粒子の焼結膜を得ることができる。例えば、波長が532nmのグリーンレーザ光等を用いると短時間での焼結に効果的である。銅マイクロ粒子の焼結膜を得るためには、吸収率70%以上の波長のレーザ光を用いることが好ましい。
レーザパワー(集光ビームフルエンス)および照射時間は、乾燥工程後の塗布膜3の厚さにより最適な値を選定する。塗布膜3(印刷層)が厚いほど、レーザパワーを高く設定して照射することで、印刷層の内部まで焼結膜が得られる。照射時間は、用いるレーザ光のパワーに応じて最適な時間を決定する。レーザ光の波長、パワー、及び時間の各条件は、焼結膜の、例えばFIB(Focused Ion Beam)による断面加工後のSEM(Scanning Electron Microscope)観察により、焼結欠陥(ボイド等)の有無を観察することで最適化できる。レーザ光は、常時発振の定常波(CW:Continuous Wave)でも良いが、パルス波(PW:Pulse Wave)を用いることで、より厚く緻密な焼結膜が得られる。パルスレーザを用いる場合には、パルスレーザ光の周波数が10〜300kHzであり、パルス幅が1〜50nsであることが好ましい。例えば532nmのグリーンレーザ光では、周波数が30kHz、パルス幅6nsのパルスレーザを用いることが好ましい。
直径が5‐10nm以下の金属ナノ粒子は、粒子表面の格子歪に起因する表面エネルギー(粒子自らが凝集粗大化しようとするエネルギー)の増大が顕著で、融点以下で粗大化(バルク化)することが知られている。銅マイクロ粒子ではこのような粒子効果が期待できないが、本発明者らは、銅マイクロ粒子のレーザ光の70%以上の吸収率を持つ波長帯域において、特に短パルスレーザを用いることで銅ナノ粒子同様に焼結できることを見出した。例えばパルス幅が6ns以下のパルスグリーンレーザ(波長532nm)の場合に、50ms程度の短い時間で銅焼結膜の得られることを見出した。
このパルスレーザを用いる利点は他にもあり、例えば銅マイクロ粒子が長期保存や高温放置で酸化されて、亜酸化銅(CuO)や酸化銅(CuO)等が形成された場合でも、パルスレーザを用いることで、これら酸化銅が分解し、純銅(Cu)に還元されることを本発明者らは見出した。酸化銅が純銅に還元されることで、より緻密で欠陥の少ない銅焼結膜を得ることができる。
上記レーザ照射工程は、大気中で行う。上述した従来技術のプラズマ処理では、処理雰囲気を、水素を含む還元性雰囲気や、不活性雰囲気に制御する必要があるが、本発明では大気雰囲気で行うことができるため、プラズマ処理を行う製造工程に比べて製造コストを抑えることができる。さらに、プラズマ処理では焼結に数分の時間がかかるが、上述したように、本発明によれば50ms程度の短い時間で配線膜を得ることができ、成膜時間の観点からもプラズマ処理に比べて製造コストを抑えることができる。このため、樹脂成形加工プロセスや配線基板製造プロセスにインライン化が可能となる。
上述した本発明に係る配線基板の製造方法によれば、分散剤被覆が必要な銅ナノ粒子を用いることなく、分散剤が不要な銅マイクロ粒子でもバルク化した銅焼結膜を得ることができる。
図3は、本発明に係る配線基板の製造方法の他の一例を示すフロー図である。図3に示す製造方法は、図1に示す塗布膜形成工程(a)の前に、基板前処理工程(a‐1)を有する。基板前処理工程(a‐1)では、基板1の表面をレーザ光5の照射により活性化する処理を行う。具体的には、基板1の表面に対して、これらの樹脂特有の吸収スペクトル測定値から得られる波長のレーザ光5を用いて活性化処理(表面粗化及び官能基付与)を行う。以下に、この活性化処理について詳述する。
前処理工程(a‐1)においてレーザ光照射により、照射面に銅配線膜(銅マイクロ粒子)と高い密着性を示すカルボキシル基(‐COOH)、水酸基(‐OH)又はアミノ基(NH)等の官能基が生成(露出)する。このような官能基が生成された(活性化された)基板1の表面(活性化処理面)は、レーザ光照射工程(c)により高温となるために、熱可塑性樹脂にあっては、活性化処理面の温度がTg(ガラス転移温度)以上となって分子流動し、その中に銅マイクロ粒子が取り込まれるために、熱可塑性樹脂と銅マイクロ粒子とが化学結合する。この作用と、レーザ光照射による表面粗化で得られる機械的なアンカー効果により、基板1に対して高い密着性を有する銅焼結膜が得られる。また、フェノール樹脂等の結晶性の熱硬化性の樹脂にあっては、熱可塑性を示さないが、150℃程度(熱変形温度)の温度で機械的強度が低下する。この熱変形温度程度まで基板の表面温度が上昇すると、表面をあらかじめ粗化されたフェノール樹脂の凹部に、銅マイクロ粒子が侵入しやすくなって、機械的なアンカー効果による、高密着性の銅焼結膜を得ることができる。レーザ光照射後に基板は冷却されて樹脂が収縮するので、樹脂基板内に閉じ込められた銅マイクロ粒子の焼結体は基板との密着性がさらに向上する。
以上のことから、活性化処理面を得るためには、基板1が高い吸収(吸収率50%以上)を示す波長のレーザ光を照射することが好ましい。
図4〜6は、それぞれ、フェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂及びポリイミド樹脂の反射、吸収及び透過スペクトルを示すグラフである。
自動車電子機器用樹脂成形品に多用されるフェノール樹脂は、ベンゼン環に水酸基を有するフェノールに、ヘキサメチレンテトラミン等の塩基性の硬化剤を加えて加熱重合することで三次元網目構造の樹脂として得られる。図4に示すように、フェノール樹脂の吸収スペクトルは、200〜1200nmの全波長領域で90%程度の高い吸収率を示す。これはフェノール樹脂に充填される黒色カーボン粉末や繊維状補強物質とフェノール樹脂の複合材料としての材料特性を示している。この高い吸収率は、レーザ照射によるフェノール樹脂中のカーボン分解起因の表面粗化や、フェノール樹脂の化学的結合性を優起させる官能基の生成が期待できる。
また、図5に示すように、電子機器用配線基板に多用されるガラスエポキシ樹脂は、波長400nm程度まで80%以上の吸収率を持つが、長波長側(500nm以上)で吸収率が40%程度に低下する。このためガラスエポキシ基板では、短波長のレーザ光を用いると、効率的に樹脂の分解と官能基の付与が期待できる。
また、図6に示すように、ポリイミド樹脂は400nmの波長で最大の吸収を示すが、600nm以上では10%未満の吸収率に低下する。
以上より、前処理工程(a‐1)で基板1に照射するレーザ光5の波長は、基板1が高い吸収率(50%以上)を示す波長域を用いることが好ましく、フェノール樹脂では200〜1200nm、ガラスエポキシ樹脂では200〜400nm、ポリイミドフィルムでは200〜400nmが好ましい。このように、銅マイクロ粒子を含む分散液を塗布する前の基板1に対して、基板1の種類に応じたレーザ波長を塗布膜形成工程前に照射することにより、樹脂基板表面の粗化および官能基付与を行うことができる。
図7は、本発明に係る配線基板の製造方法の他の一例を示すフロー図である。図7に示す製造方法は、図1に示す塗布膜形成工程(a)の前に、ビア穴形成工程(a‐2)を有する。ビア穴形成工程(a‐2)では、基板1にビア穴7を形成し、このビア穴7に塗布膜2を形成する。基板1に対するビア穴7の形成方法としては、特に限定は無く、ドリル等で形成することができる。塗布膜形成工程(a)において、基板1に分散液を塗布する際に、分散液を充填するビア穴の開口部と反対側の開口部を接着性の保護テープ8で覆うことで、分散液がリークすること無く、ビア穴に分散液を充填することができる。乾燥工程(b)以降は、図1に示す製造方法と同様である。また、ビア穴形成工程(a‐2)後、塗布膜形成工程(a)の前に、図3に示す基板前処理工程(a‐1)を行っても良い。図7に示す製造方法によれば、ビア穴に対しても、基板との密着性及び配線膜の電気抵抗が従来と同等以上の配線膜を形成することができる。
[配線基板]
図8A及び8Bは、本発明に係る配線基板の一例を示す模式図である。上述した本発明に係る配線基板の製造方法によれば、凹凸形状を有する電子機器の外装部品(樹脂成型品)、例えば携帯電話のIC(Integrated Circuit)カード(SIM(Subscriber Identity Module)カード)の筐体に直接に導電性配線を形成することができる。従来のめっき法では、凹凸形状を有する基板に配線膜をめっきすることは不可能であった。これに対し、本発明に係る配線基板の製造方法によれば、特殊な材料及び設備を要することなく、基板の形状を選ばずに配線膜を形成することができる。基板の有する凹凸のサイズは特に限定されず、数μmのもの、数mmのものも対象とすることができる。
従来のドライプロセスによる配線基板の製法では、例えば上述した特許文献7に見られるように、分散剤として沸点が300℃を超えないアルキルアミン等を用いる。そして焼結は、レーザではなく200℃×10分程度の炉焼成により行われるため、ほとんどの分散剤は焼結膜中に残存することになる。このため、電気抵抗は純金属(純銅)の数倍程度に大きくなる恐れがある。
さらに、従来の銅ナノ粒子インクは流動性が高く、インクジェット印刷が中心である。このため、1回に塗布できる膜厚は2μm程度であり、これを乾燥し、レーザ焼結すると0.5μm程度の膜厚となる。通常、配線基板の電子回路は7μm以上必要となるので、銅ナノ粒子を用いた場合には、約15回の塗布が必要となる。このように複数回塗布を行った配線膜は、ミクロ組織観察(光学顕微鏡による断面観察)で塗布境界を認識することが可能である。一方、本発明に係る配線基板の製造方法を用いて製造した配線基板の配線膜は、1回の塗布で7μm以上の配線膜が得られるため、配線膜は特に境界を持たないものとなる。
[配線基板製造用の分散液]
本発明は、上述した配線基板の製造方法及び配線基板に加えて、配線基板製造用の分散液(塗布膜形成工程(a)において、基板1に塗布する銅マイクロ粒子含有分散液)を提供するものである。分散液の組成は、上述したとおりである。従来は分散液として銅ナノ粒子を含有するものが用いられているので、銅マイクロ粒子を含有する分散液は、新規な発明である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1に示す製造方法にて、配線基板を作製した。基板1として、厚さ1mm、25mm角のガラスエポキシ樹脂基板を用意した。この基板1に対して、塗布膜形成工程(a)として、銅マイクロ粒子分散液を印刷し、塗布膜2を得た。分散液の組成は表1に示すものとし、銅マイクロ粒子の平均粒径は1μmとした。銅マイクロ粒子には、日本アトマイズ加工株式会社のHXR‐Cu、ロット番号14302‐Dを用いた。分散液(銅マイクロ粒子ペースト)を100μmの厚さになるように、ガラスエポキシ樹脂基板上にドクターブレードを用いて印刷した。
印刷後、乾燥工程(b)において、大気中で100℃の温度に印刷基板を昇温し、5分間の乾燥処理を行った。これにより銅マイクロ粒子分散液中に含まれる沸点78.3℃のエタノールが蒸発し逸脱した。
次に、レーザ光照射工程(c)において、乾燥後の塗布膜3にレーザ光6を照射し、塗布膜3中の銅マイクロ粒子を焼結し基板1へ密着させた。照射は、ビーム径φ25μmのグリーンレーザ6(波長:532nm)を用いて行った。照射条件は、周波数30kHz、レーザパワー0.3W、パルス幅6ns、レーザ照射走査速度10mm/sとした。
図9は実施例1のCu配線基板の光学顕微鏡写真(基板の平面図)である。図9に示すように、レーザ光を照射した部分は、銅マイクロ粒子が幅25μmのライン状にバルク化して焼結しており、またレーザ光を照射していない部分には、φ1μmの銅マイクロ粒子が印刷状態のまま残存している。図10は実施例1のCu配線基板の光学顕微鏡写真(基板の断面図)である。図10に示すように、深さ方向に約7μmの銅焼結層の形成が確認できる。図11は実施例1のCu配線基板のレーザ顕微鏡写真(基板の断面図)である。図11はレーザ焼結部の過酸化水素、アンモニア水によるエッチング後の断面ミクロ組織のレーザ顕微鏡像である。図11に示すように、未焼結のφ1μmの銅マイクロ粒子31の中央に、銅マイクロ粒子焼結層32が明瞭に確認できる。銅マイクロ粒子焼結層の周縁部に、未焼結の銅マイクロ粒子の存在を確認できる。
上記で得た銅配線膜に対して、接着テープ(住友スリーエム株式会社製、製品名:スコッチ(登録商標))を貼って剥がしたところ、銅配線膜のピーリング(剥離)は見られなかった。また、銅配線膜の抵抗値を四端子法で測定し、図11の断面積及び配線長さから比抵抗を算出したところ、純銅(1.68μΩ・cm)と同等の値を得ることができた。本実施例において、銅マイクロ粒子を用いたドライプロセス法によって、高い密着性及び低電気抵抗の銅配線膜を有する配線基板を得ることができた。
図3に示す製造方法にて、配線基板を作製した。基板1として、厚さ1mm、25mm角のフェノール樹脂基板を用意した。この基板1に対して、基板前処理工程(a‐1)として、波長532nmのグリーンレーザ5を照射した。照射は、ビーム径φ25μm、周波数30kHz、パルス幅6nsのパルスレーザを用いた。レーザパワーを0.3Wとした。照射領域は、後段の塗布膜形成工程(a)において塗布膜を形成する15mmの銅マイクロ粒子ペースト印刷全領域とした。レーザビームの走査速度は、800mm/sとした。
次に表1に示す銅マイクロ粒子ペーストをドクターブレードにより100μmの厚さに印刷後、乾燥工程(b)において、大気中で100℃の温度に印刷基板を昇温し、5分間の乾燥処理を行った。これにより銅マイクロ粒子ペースト中に含まれる沸点78.3℃のエタノールが蒸発し逸脱した。
次に、レーザ光照射工程(c)において、乾燥後の塗布膜3にレーザ光6を照射し、塗布膜3中の銅マイクロ粒子を焼結し基板1へ密着させた。照射は、ビーム径φ25μmの波長532nmのグリーンレーザ6を用いて行った。照射条件は、周波数90kHz、レーザパワー0.9W、パルス幅8ns、レーザ照射走査速度10mm/sとした。
図12は、実施例2のCu配線基板の光学顕微鏡写真(基板の平面図)である。図12に示すように、レーザ照射した部分は銅マイクロ粒子がレーザビーム幅25μmのライン状にバルク化して焼結しており、またレーザ照射していない部分には、φ1μmの銅マイクロ粒子が印刷状態のまま残存していることがわかった。
上記で得た銅配線膜に対して、実施例1と同様に、ピーリングテープによる剥離試験を行ったところ、銅配線膜のピーリング(剥離)は見られなかった。また、銅配線膜の抵抗値を四端子法で測定し、配線膜の断面積及び配線長さから比抵抗を算出したところ、純銅(1.68μΩ・cm)と同等の値を得ることができた。本実施例において、銅マイクロ粒子を用いたドライプロセス法によって、高い密着性及び低抵抗な銅配線膜を有する配線基板を得ることができた。
図7に示す製造方法にて、ビア穴に配線膜が形成された配線基板を作製した。厚さ38μmのポリイミド樹脂基板1にφ0.4mmの貫通穴をパンチ穴加工金型により形成し、この貫通穴(ビア穴)7に対して、表1の組成の銅マイクロ粒子分散液を充填した。充填にはスキージー印刷法を用いた。ビア穴7の裏面(分散液を充填する開口部と反対側の開口部)には銅マイクロ粒子分散液のリークを防ぐために、厚さ60μmの接着性保護テープ8を添付した。ビア穴表面(分散液を充填する開口部)側に、ドクターブレードを用いて、基板1に対して厚さ100μmの銅マイクロ粒子インク層2を形成した。これによりφ0.4mmの貫通穴内部にも銅マイクロ粒子インクを充填することができた。
次に、乾燥工程(b)において、100℃で1分間の乾燥処理を行った。これにより銅マイクロ粒子ペースト中に含まれる沸点78.3℃のエタノールが蒸発し逸脱した。
次に、レーザ光照射工程(c)において、乾燥後の塗布膜3にレーザ光6を照射し、塗布膜3中の銅マイクロ粒子を焼結し基板1へ密着させた。レーザ照射は、ビーム径φ25μmのグリーンレーザ5(波長:波長532nm)を用いて行った。グリーンレーザの周波数は150kHz、レーザパワー2.4W、パルス幅10ns、レーザ照射の走査速度は10mm/sとした。図13は実施例3のCu配線基板の光学顕微鏡写真(基板の平面図)である。本発明の製造方法によれば、ビア穴に対しても配線膜を形成可能であることが実証された。
以上説明したように、本発明によれば、銅マイクロ粒子を用いた乾式処理法(ドライプロセス)で銅配線基板を得ることが可能な配線基板の製造方法を提供できることが示された。また、本発明によれば、一回のインクの印刷で7μm以上の配線層の厚さを得ることができ、基板との密着性及び配線抵抗が従来と同等以上の配線膜を有する配線基板を提供できることが示された。以上実施例1,2及び3で説明したように、基板の全面に銅マイクロ粒子を印刷してから部分的にレーザを照射して焼結してから、未焼結の銅マイクロ粒子を例えばアルコールなどの溶剤で除去すると、基板上に銅配線を有する配線基板を製造することができる。除去した銅マイクロ粒子は回収することで、繰り返し使用することも可能である。また、上記実施例ではドクターブレード法を用いているが、例えばスクリーン印刷法を用いて基板上に銅マイクロ粒子パターンを印刷してからレーザ照射する方法でも、導電性配線基板を製造することが可能である。この方法では、未焼結の銅マイクロ粒子を除去することなく、配線基板を製造することができる。
なお、上記した実施例は、本発明の理解を助けるために具体的に説明したものであり、本発明は、説明した全ての構成を備えることに限定されるものではない。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。さらに、各実施例の構成の一部について、削除・他の構成に置換・他の構成の追加をすることが可能である。
1…基板、2…塗布膜、3…乾燥後の塗布膜、4…焼結膜、5,6…レーザ光、7,15…ビア穴、8…保護テープ、11…銅配線、12…樹脂成型基板(SIMカード)、13…フラッシュメモリー、14…挿入端子部、20…配線基板、31…未焼結銅マイクロ粒子、32…焼結銅マイクロ粒子。

Claims (19)

  1. 電気絶縁性の基板上に導電性配線を形成する配線基板の製造方法において、
    前記基板上に、銅マイクロ粒子と揮発性の有機溶剤とを含有する分散液を塗布して塗布膜を得る塗布膜形成工程と、
    前記塗布膜を加熱処理して前記有機溶剤を乾燥除去する乾燥工程と、
    前記乾燥工程後の塗布膜に、大気中において、波長300〜600nmのレーザ光を照射して前記銅マイクロ粒子を焼結し前記基板に密着させることにより、銅マイクロ粒子焼結膜を得るレーザ光照射工程と、を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
  2. さらに、前記塗布膜形成工程の前に、前記基板上にレーザ光を照射する基板前処理工程を有し、
    前記塗布膜形成工程において、前記基板前処理工程にてレーザ光を照射した箇所に前記塗布膜を形成することを特徴とする請求項1記載の配線基板の製造方法。
  3. 前記基板前処理工程のレーザ光の波長は、前記基板が50%以上の吸収率を示す波長であることを特徴とする請求項2記載の配線基板の製造方法。
  4. 前記レーザ光は、パルスレーザ光であり、前記パルスレーザ光の周波数が10〜300kHzであり、パルス幅が1〜50nsであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  5. 前記銅マイクロ粒子は、平均粒径が1〜3μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  6. 前記分散液は、添加剤として結着剤及び粘度調整剤を含み、
    前記添加剤は前記レーザ光で分解する成分からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  7. 前記加熱処理は、大気中、120℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  8. 前記基板は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はこれらの変性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  9. さらに、前記塗布膜形成工程の前に、前記基板にビア穴を設けるビア穴形成工程とを有し、
    前記塗布膜形成工程において、前記ビア穴に前記分散液を塗布することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  10. 前記基板は、凹凸形状を有する電子機器の外装部品であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の配線基板の製造方法。
  11. 前記外装部品が、携帯電話のICカードの筐体であることを特徴とする請求項10記載の配線基板の製造方法。
  12. 電気絶縁性の基板上に銅配線を有する配線基板において、
    前記銅配線は、銅粒子が焼結した導電層を有し、
    前記導電層は、膜厚が7μm以上であることを特徴とする配線基板。
  13. 前記導電層は、膜厚方向に塗布境界を持たないことを特徴とする請求項12記載の配線基板。
  14. 前記基板が、電子機器の外装部品であることを特徴とする請求項12又は13に記載の配線基板。
  15. 前記外装部品が、携帯電話のICカードの筐体であることを特徴とする請求項14記載の配線基板。
  16. 電気絶縁性の基板上に導電性配線を形成するために用いる配線基板製造用の分散液であって、
    前記分散液は、銅マイクロ粒子と揮発性の有機溶剤とを含有することを特徴とする配線基板製造用の分散液。
  17. 前記銅マイクロ粒子は、平均粒径が1〜3μmであることを特徴とする請求項16記載の配線基板製造用の分散液。
  18. さらに、前記分散液は添加剤として結着剤及び粘度調整剤を含み、
    前記結着剤及び前記粘度調整剤は、それぞれ、沸点が350℃以下及び/又は分子量が10,000以下の有機化合物であることを特徴とする請求項16又は17に記載の配線基板製造用の分散液。
  19. 前記有機溶剤は、エタノール又はメタノールを含むことを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項に記載の配線基板製造用の分散液。
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