JP2016029456A - 低反射シート - Google Patents
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Abstract
Description
光透過性を有する低反射シートは、例えば画像表示装置の出光面上に配置することで、表示装置の画面における日光等の外光反射を低減し、画像視認性を向上させることができる(特許文献1)。また、低反射シートの微細凹凸が形成された面上に酸化インジウム錫(ITO)等の透明導電層が設けられた透明導電性積層体は、タッチパネルに用いられるタッチパネル電極として用いることで、タッチパネル電極および隣接する各種部材間での光の反射を防止することができる(特許文献2)。
一方、遮光性を有する低反射シートは、例えば合成皮革として用いることで、表面のマット感がより鮮明となり、外観や質感、意匠性を向上させることができる。また、デジタルカメラなどの光学機器用のシャッター羽根表面に上記低反射シートを用いることで、撮像素子への外光照射を抑止することができる。
このため、本発明の低反射シートは、優れた反射率低減効果を発揮することができる。
本発明の低反射シートは、着色基材の少なくとも一方の面側に、多数の突起部を備える低反射樹脂層を有し、上記突起部の底面の最大径の平均が250nm以上500nm以下の範囲内であり、一の上記突起部および上記一の突起部の底面の中心に最も近接した位置に底面の中心を有する他の上記突起部の中心間距離(以下、最近接中心間距離と称する場合がある。)の平均が400nm以下であり、上記中心間距離の分散が10000以上であり、上記低反射樹脂層の上記突起部を有する面内の長さ方向および幅方向をx軸方向およびy軸方向で規定し、平面視上において上記突起部の底面の中心からの上記突起部の頂部の位置を方位角φ(0°≦φ<360°)で示し、上記突起部の抽出点数をn(n≧30)としたときに、|Σ(k=1〜n)cosφk/n|≦0.25、かつ|Σ(k=1〜n)sinφk/n|≦0.25の関係を満たすことを特徴とするものである。
図1に示すように、本発明の低反射シート10は、着色基材1の少なくとも一方の面側に低反射樹脂層2を有するものである。また、図1および図2に例示するように、低反射樹脂層2の表面のうち、着色基材1と接する面に対向する表面上には、形状および配置位置に所望のばらつきを有する多数の突起部3を備える。
ここで、多数の突起部が有する所望のばらつきとは、3つのパラメータを定量化することで規定される。第1のパラメータは、突起部の大きさによるものである。すなわち、図2に示すように、突起部3の底面の最大径Rの平均が250nm以上500nm以下の範囲内である。
第2のパラメータは、隣接する突起部の位置関係によるものである。すわなち、図2に示すように、一の突起部3Aおよび一の突起部3Aの底面の中心Oに最も近接した位置に底面の中心Oを有する他の突起部3Bの中心間距離Lの平均が400nm以下であり、中心間距離Lの分散が10000以上である。
第3のパラメータは、突起部の頂点が示す方向によるものである。すなわち、図3に示すように、低反射樹脂層2の突起部3を有する面内の長さ方向および幅方向をx軸方向およびy軸方向で規定し、平面視上において突起部3の底面の中心Oからの突起部3の頂部Tの位置を方位角φ(0°≦φ<360°)で示し、突起部3の抽出点数をn(n≧30)としたときに、|Σ(k=1〜n)cosφk/n|≦0.25、かつ|Σ(k=1〜n)sinφk/n|≦0.25の関係を満たす。
しかし、本発明者が上記問題について更に鋭意検討を重ねた結果、以下の理由から単に凹凸形状を微細化しただけでは、反射率低減効果が十分に得られないことを知得した。
すなわち、一般に低反射シートの表面に付される微細凹凸は、個々の凸部(突起部)および凹部(溝部)の形状や配置に規則性を有し、面全体として所望の表面粗さを有するものである。しかし、上記微細凹凸の有する上記規則性によっては、光が干渉し合うことで特定の波長光の強度が強まり、干渉縞が発生する等といった不具合が生じてしまう。このため、上記不具合の発生により反射率低減効果が阻害されるものと推量される。
また、多数の突起部が所望のばらつきを有することで、干渉によって特定の波長光の強度が強まるのを抑制することができる。
さらに、多数の突起部が所望のばらつきを有することで、上記突起部、中でも突起部の頂部においては、多数回反射により低反射樹脂層へ光が吸収されるのに加えて、突起部の形状により光をミー散乱させることで、低反射樹脂層への光の吸収量をさらに増加させることができ、反射率をより低減させることが可能となる。これは、ミー散乱が「前方散乱が強い」、「波長依存性が小さい」といった特長を有することによるものである。
すなわち、ミー散乱は前方散乱が強いため、突起部に入射した光は低反射樹脂層内で散乱されることとなり、散乱光を低反射樹脂層へ吸収させることができるからである。また、ミー散乱は波長依存性が小さいため、可視光領域380nm〜780nmの全域の光を散乱させ、その散乱光を低反射樹脂層に吸収させることが可能となるからである。
これにより、本発明の低反射シートは優れた反射率低減効果を発揮することができる。
本発明における低反射樹脂層は、着色基材の少なくとも一方の面側に有し、多数の突起部を備えるものである。
また、低反射樹脂層が備える突起部は、その形状および配置位置に所望のばらつきを有するものである。
突起部は、その形状および配置位置に所望のばらつきを有するものであり、多数の突起部が有するばらつきの程度により、本発明の低反射シートの反射率低減効果が決定される。
ここで、突起部の形状および配置位置のばらつきは、突起部の大きさ、隣接する突起部の位置関係、突起部の頂点が示す方向の3つのパラメータを定量化することで規定される。
以下、各パラメータの定量化方法、および上記定量化方法により規定される各パラメータについて説明する。
本発明における突起部の形状および配置位置のばらつきは、低反射樹脂層上に備わる多数の突起部のうち、所望の点数を抽出して算出され、定量化される。
突起部の抽出は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)や原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)等を用い、倍率10000倍、視野範囲を縦4μm×横4μmとして低反射シートの突起部を有する面側から平面視観察を行い、上記視野範囲における突起部の面内配列を画像で検出し、その中から所望の点数を抽出する方法を用いる。
抽出点数および視野範囲の検出数を上記範囲で規定することで、3つのパラメータをより高い精度で定量化することができ、突起部の形状および配置位置のばらつきを正確に規定することができるからである。
(a)まず、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)や原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)を用いて突起部の面内配列を検出する。検出された面内配列から、所望の点数の突起部を抽出し、各突起部の高さの極大点および極小点を検出する。なお、極大点および極小点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって求める方法等、種々の手法を適用することができる。このとき得られた極大点を「突起部の頂部」と定義する。
根元の形状の近似は、画像から形状を近似する際に用いられる従来公知の方法を適用することができ、上記方法については特に限定されないが、具体的な方法としては、例えば、テンプレートマッチング、一般化ハフ変換、Douglas-Peucker法等の方法を用いることができる。
テンプレートマッチングは、予め形状を表現したテンプレートを準備し、画像認識の対象となる画像データに対してテンプレートを移動させながら相関係数等の類似度の指標を調べることによって画像データに含まれる形状を認識する技術である。テンプレートマッチングによる画像近似手法については、例えば、「中田崇行、包躍、藤原直史:“三次元環境におけるLog-Polar変換を用いた図形認識”,電気情報通信学会論文誌(D-II), Vol.88, No.6, pp.985-993(2005.6)」、「斎藤文彦:“部分ランダム探索と適応型探索による半導体チップ画像テンプレートマッチング”, 精密工学会誌, Vol.61, No.11, pp.1604-1608(1995.11)」に開示される。
また、一般化ハフ変換は、無限に存在する直線の中から画像データ内の特徴点を最も多く通る直線を決定するハフ変換を一般化して曲線に応用したものであり、この一般化ハフ変換によっても、事前に用意した参照用のテーブルを利用して画像データの形状認識を行うことができる。一般化ハフ変換による画像近似手法については、例えば、「Ballad,D.H.: “GENERALIZING THE HOUGH TRANSFORM TO DETECT ARBITRARY SHAPES”, Pattern Recognition, Vol.13, No.2, pp.111-122(1981)」や、「木村彰男,渡辺孝志:“アフィン変換に不変な任意図形検出法として拡張された一般化ハフ変換”, 電気情報通信学会誌(D-II), Vol. J84-D-II, No. 5, pp.789-798(2001.5)」に開示される。
Douglas-Peucker法は、折れ線近似によって形状認識を行う手法である。Douglas-Peucker法による画像近似手法については、例えば、「Wu, S.T, M.R.G:“A non-self-intersection Douglas-Peucker Algorithm”, Proceeding of Sixteenth Brazilian Symposium on Computer Graphics and Image Processing, IEEE, pp.60-66(2003)」に開示される。
得られた多角形等の近似形状を「突起部の底面の形状」と定義する。また、以下の方法により特定される、突起部の底面の最も幅広の部分の長さを、「突起部の底面の最大径(以下、単に最大径とする場合がある。)」とし、上記最大径の中心を「突起部の底面の中心(以下、単に中心とする場合がある。)と定義する。
(c)突起部の底面の形状から、突起部の底面の中心を特定する。突起部の底面の中心は、一般的な線形代数の計算で求めることができる。例えば、突起部の底面の形状が正円である場合、円周上の3点を結ぶ三角形を描き、三角形のうち二辺の垂直2等分線をそれぞれ引いた交点を円の中心とすることができる。また、突起部の底面の形状が楕円である場合、楕円の外周上の2点を結ぶ2本の線分を平行となるように引き、平行する2本の線分の各中点を結び、結んだ線分の中点を中心とすることができる。
さらに突起部の底面の形状が多角形である場合、突起部の底面の中心は、以下の方法で算出できる。
(i)まず、多角形の1つの頂点から、上記1つの頂点に隣接する2つの頂点を除く他の各頂点へ対角線を結び、複数の三角形に分割する。
(ii)分割された各三角形の重心を求める。
(iii)次に、各三角形の重心を結び多角形を形成する。
(iv)突起部の底面の形状が奇数角形の場合、(iii)において形成される多角形が三角形となるまで、(i)〜(iii)の操作を繰り返す。一方、突起部の底面の形状が偶数角形の場合、(iii)において形成される多角形が四角形となるまで、(i)〜(iii)の操作を繰り返す。
(v)上述の(i)〜(iv)の操作により、分割された各三角形の重心から形成された形状が三角形となる場合、上記三角形の重心が突起部の底面の中心(重心)となる。
一方、上述の(i)〜(iv)の操作により、分割された各三角形の重心から形成された形状が四角形となる場合、以下の方法で上記四角形の重心を求める。まず、上記四角形を1つの対角線で2つの三角形に分割し、2つの三角形の各重心を求め、2つの重心を直線で結ぶ。次に、四角形を別の対角線で2つの三角形に分割して2つの三角形の各重心を求め、2つの重心を直線で結ぶ。2本の直線の交点が突起部の底面の中心(重心)となる。
算出した最大径を統計処理することで、突起部の底面の最大径の平均値および分散を求める。統計処理には既存の表計算ソフトを使用する。なお、上記最大径の平均値および分散を求める際には、外れ値を除外することが望ましい。外れ値とは、以下の計算式によって算出される標準化得点の絶対値が3以上をいう。
標準化得点=(個々の突起部の最大径−最大径の平均値)/標準偏差
まず、SEM画像やAFM画像内の所望の位置に原点を設定する。例えば、SEM画像やAFM画像中の左下を原点とする。次に、上記原点から上記画像内において低反射シートのシート面、すなわち低反射樹脂層の突起部を有する面内の長さ方向に相当する一方向をx軸、幅方向に相当する一方向をy軸と規定する。このように画像を座標平面とすることで、各突起部の位置を座標化することができる。
突起部の位置の座標から、特定の一の突起部と隣接する複数の突起部との突起部間の距離、すなわち中心間距離を算出する。中心間距離は以下の計算式によって算出され、算出される中心間距離のうち、最小の距離が「最近接中心間距離」と定義される。
中心間距離={(x1−x2)2+(y1−y2)2}1/2}
なお、式中のx1およびy1は、特定の一の突起部の位置を示すx座標およびy座標である。また、x2およびy2は、上記特定の一の突起部に隣接する突起部の位置を示すx座標およびy座標である。
上記中心間距離は、SEM画像またはAFM画像のスケールのピクセルサイズとピクセル数との対比から算出する。
上記の方法で各突起部の最近接中心間距離を抽出し、既存の表計算ソフトで統計処理することにより、最近接中心間距離の平均値および分散を計算する。なお、最近接中心間距離の平均値および分散を求める際には外れ値を除外することが望ましい。外れ値とは、以下の計算式によって算出される標準化得点の絶対値が3以上をいう。
標準化得点=(個々の突起部の最近接中心間距離−最近接中心間距離の平均値)/標準偏差
抽出した各突起部について方位角φを決定し、突起部の各方位角φのcos値の和を抽出点数で割った値の絶対値、および各方位角φのsin値の和を抽出点数で割った値の絶対値を算出する。この算出は既存の表計算ソフトを使用する。
同様に、隣接する突起部の「最近接中心間距離」を「最近接重心間距離」と言い換えることができ、方位角φを定義する「突起部の底面の中心からの上記突起部の頂部の位置」を、「突起部の底面の重心からの上記突起部の頂部の位置」と言い換えることができる。
すなわち、上記突起部の底面は、上記底面の重心を通る最大幅の平均が250nm以上500nm以下の範囲内であり、一の上記突起部と、上記一の突起部の底面の重心に最も近接した位置に底面の重心を有する他の上記突起部と、の重心間距離の平均が400nm以下であり、上記重心間距離の分散が10000以上であり、上記低反射樹脂層の上記突起部を有する面内の長さ方向および幅方向をx軸方向およびy軸方向で規定し、平面視上において上記突起部の底面の重心からの上記突起部の頂部の位置を方位角φ(0°≦φ<360°)で示し、上記突起部の抽出点数をn(n≧30)としたときに、|Σ(k=1〜n)cosφk/n|≦0.25、かつ|Σ(k=1〜n)sinφk/n|≦0.25の関係を満たす。
次に、本発明における突起部の形状および配置位置のばらつきを規定する各パラメータについて説明する。
突起部の大きさとは、突起部の底面の最大径(最大幅)をいい、図2および図4(a)においてRで示す部分である。なお、図4は本発明の低反射シートにおける突起部を有する表面の平面SEM画像であり、図4(a)中のTは突起部の頂部を示す。
また、低反射樹脂層の単位面積あたりの突起部の個数が減少するため多数回反射が生じにくくなり、反射率を低減させることが困難となる場合があるからである。
一方、突起部の底面の最大径の平均が上記範囲よりも小さいと、レイリー散乱が支配的になるため、前方散乱が起こりにくくなり、低反射樹脂層への光の吸収が小さくなる場合があるからである。
突起部の底面の最大径の分散の単位はnm2となる。
突起部の位置とは、突起部の底面の中心(重心)の位置をいう。すなわち突起部の底面の最大径(最大幅)の中心の位置をいい、図2、図3においてOで示す部分である。
本発明においては、隣接する突起部の位置関係は、一の突起部および上記一の突起部の底面の中心(重心)に最も近接した位置に底面の中心(重心)を有する他の突起部の中心(重心)間距離の平均により規定される。
最近接中心間距離の平均とは、上記操作を繰り返し行い、突起部の抽出点数分の最近接中心間距離の総和を算出し、抽出点数で割ることで算出される。
最近接中心間距離の平均の下限については特に限定されず、製造上設計可能な範囲で設定することができ、例えば280nm以上であることが好ましい。
上記分散の上限については特に限定されず、製造上設計可能な範囲で設定することができ、例えば14000以下であることが好ましい。
なお、最近接中心間距離の分散の単位はnm2となる。
突起部の頂点が示す方向とは、低反射樹脂層の表面において、突起部の底面の中心(重心)に対して突起部の頂点が位置する方向をいう。
すなわち、図3に示すように、低反射樹脂層の面内の長さ方向および幅方向をx軸方向およびy軸方向で規定し、平面視上において突起部の底面の中心Oからの突起部の頂部Tの位置を方位角φ(0°≦φ<360°)で示すことにより、突起部の頂点が示す方向が規定される。方位角φは、先に説明した方法により規定される。
本発明においては、|Σ(k=1〜n)cosφk/n|≦0.25、かつ|Σ(k=1〜n)sinφk/n|≦0.25の関係を満たすことで、複数の突起部の頂点が、光の入射角度に因らず反射率の低減が可能となるように、ランダムな方向に向くこととなる。中でも|(Σ(k=1〜n)cosφk)/n|≦0.15、かつ|Σ(k=1〜n)sinφk/n|≦0.15の関係を満たすことが好ましく、特に|Σ(k=1〜n)cosφk/n|≦0.10、かつ|Σ(k=1〜n)sinφk/n|≦0.10の関係を満たすことが好ましい。|Σ(k=1〜n)cosφk/n|および|Σ(k=1〜n)sinφk/n|の値が上記範囲よりも大きいと、複数の突起部の各頂点が一定の同じ方向を向き、高い規則性を有して配置されることになる。このため、特定の角度から入射される光に対しては、高い反射率で反射してしまい、光の入射角度に応じて反射率の低減の程度に差が生じる場合がある。
なお、抽出点数nは30点以上であればよく、より好適な点数については既に説明した抽出点数と同様である。
突起部の高さとしては、上述のパラメータを備えることが可能な大きさであれば特に限定されないが、例えば、100nm〜10μmの範囲内が好ましく、中でも300nm〜1μmの範囲内が好ましい。突起部の高さが上記範囲よりも小さい場合、突起部の頂部の曲率が大きくなるため、ミー散乱よりも幾何光学散乱が支配的になり、前方散乱が起こりにくくなるため低反射樹脂層への光の吸収が小さくなる可能性がある。一方、突起部の高さが上記範囲よりも大きい場合、所望の突起部の形状に製造することが困難となる可能性がある。
突起部の高さとは、突起部が形成された低反射樹脂層の表面から突起部の頂点までの長さをいい、図2においてh1で示す部分である。突起部の高さは、「(1)パラメータの定量化方法」の項で説明した方法により検出した極大点から、特定の基準位置(例えば突起部の根元位置を高さ=0とする。)からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化し、ヒストグラムによる度数分布から算出し、平均化される。
一般に、突起部が規則的に配置された低反射シートにおいては、反射率低減効果を向上させるために、突起部の形状を頂部が分岐した多峰形状とし、表面積を大きくする方法が用いられる。しかし、このような形状は、精度良く賦型できない場合がある。一方、本発明においては、突起部に所望のばらつきをもたせることで反射率低減効果を奏することから、突起部を多峰形状とする必要がなく、個々の突起部を精度良く賦型することが可能となるのである。
突起部の頂部の先端は、尖っていてもよく、曲率を有していてもよい。中でもミー散乱による低反射樹脂層への光の吸収が大きくなることから、先端が尖っていることが好ましい。
また、突起部の側面形状としては、突起部の縦断面において直線状であってもよく、曲線状であってもよい。さらに、突起部の側面形状が多段状であってもよい。中でも突起部の側面が多段状であることが好ましい。突起部において多数回反射およびミー散乱がより起こりやすくなるからである。
本発明においては、所望の反射率低減効果を発揮するために、多数の突起部が上述のパラメータの定量化により規定されるばらつきを有する必要がある。本発明においては、樹脂組成物の硬化物からなる低反射樹脂層上に突起部が形成されることで、突起部ごとの形状の精度が高く、所望のばらつきを示すことが可能である。
中でも、本発明の低反射シートを遮光シートとして用いる場合は、硬度、耐傷性、平面性に優れるといった観点からポリエステル系樹脂が好ましい。また、本発明の低反射シートを合成皮革等の表皮材や意匠シートとして用いる場合は、柔軟性、触感等の観点からポリウレタン系樹脂が好ましい。
低反射樹脂層に含有可能な着色剤としては特に限定されず、後述する「B.着色基材」の項で説明する着色剤等を用いることができる。
なお、低反射樹脂層に含有される着色剤の平均粒径としては、突起部のばらつきによる反射率低減効果に影響を及ぼさない大きさであればよい。
なお、低反射樹脂層の厚さとは、低反射樹脂層の突起部が形成されていない面側から突起部の最も高い位置にある頂点までの長さをいい、図1においてh2で示す部分である。
ヘイズ値が上記範囲よりも小さいと、低反射シート表面に形成された突起部が形状および配置位置に所望のばらつきを有しておらず、光の多数回反射およびミー散乱による低反射樹脂層への光の吸収が起こりにくくなり、本発明の低反射シートによる反射率低減効果が発揮されない場合があるからである。一方、ヘイズ値が上限よりも大きいと、所望の突起部の形状に製造することが困難となる場合があるからである。
なお、ヘイズ値はヘイズメーター(東洋精機製作所製 商品名:ヘイズガード)を用いてJIS K7361に準拠した方法により測定することができる。
本発明における着色基材は、少なくとも一方の面側に、多数の突起部を備える低反射樹脂層を有するものである。
着色基材の色については特に限定されず、本発明の低反射シートの用途に応じて適宜選択することができ、例えば黒色、白色等の無彩色、赤色、青色、黄色、緑色、灰色等の有彩色等が挙げられる。中でも、本発明の低反射シートを遮光シートとして用いる場合は、可視光の全波長域に対する反射率低減効果をより高める観点から、黒色または黒色に準ずる暗色が好ましい。暗色とは、例えば濃灰色、褐色、紺色、深緑色、臙脂色、濃紫色等の、低明度で国際照明委員会CIEによる標準光源Cを用いたYxy表色系でのY値が10%以下を示す色が挙げられる。一方、本発明の低反射シートを合成皮革等の表皮材や意匠シートとして用いる場合は、無彩色でもよく有彩色でもよい。
なお、無彩色及び有彩色とは、JIS Z8102:2001における定義に準じる。
なお、着色基材の上記光学濃度は、例えば、サカタインクスエンジニアリング株式会社製X-Rite 361T(V)で計測することができる。
例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等を挙げることができる。また、「A.低反射樹脂層」の項で説明した低反射樹脂層を構成する樹脂と同じものを用いてもよい。
着色布としては、上述した着色樹脂基材に用いられる樹脂に上述の着色剤を含有させて不織布としたもの等が挙げられる。
本発明の低反射シートは、着色基材の少なくとも一方の面側に上述の低反射樹脂層を有していればよいが、基材の両面に上述の低反射樹脂層を有していてもよく、用途に応じて積層態様を選択することができる。例えば、本発明の低反射シートを遮光シートとして用いる場合は、両面の遮光性、平坦性が求められることから、基材の両面に低反射樹脂層を有する態様が好ましい。一方、本発明の低反射シートを合成皮革等の表皮材や意匠シートとして用いる場合は、通常、基材の一方の面側に低反射樹脂層を有する態様とする。
着色基材および低反射樹脂層が一体化した単一層とする場合の樹脂材料については、上述した「A.低反射樹脂層」の項で説明した樹脂材料が用いられる。また、上記単一層に用いられる着色剤およびその含有量については、「B.着色基材」の項で例示した着色剤およびその含有量と同様とすることができる。
なお、着色基材および低反射樹脂層が一体化した単一層とする場合、上記単一層の厚さとしては、上述した着色基材の厚さと同等とすることができる。
なお、最大反射率は、計測装置としてScanning Spectrophotometer UV-3100PC(島津製作所製)を用い、8°入射光(波長領域380nm〜780nm)に対する全反射を測定することで得られる。
本発明の低反射シートの製造方法としては、着色基材上に、少なくとも形状および配置に所望のばらつきを有する突起部を有する低反射樹脂層を形成可能な方法であれば特に限定されず、例えば以下の方法により製造することができる。
まず、多数の凸型錐状構造体を備えた転写原版を準備する。上記凸型錐状構造体は、「A.低反射樹脂層」の項で説明した3つのパラメータの定量化により規定された形状および配置位置のばらつきを有するものとする。
次に、上記転写原版の上記凸型錐状構造体が形成された面上に、硬化性樹脂を含むソフトモールド形成用組成物を塗布し、塗布層を硬化してソフトモールドを転写形成する。このとき、上記ソフトモールドの一方の表面には、凸型錐状構造体の反転形状である凹型錐状構造体が形成される。
続いて、上記ソフトモールドの凹型錐状構造体が形成された面上に、低反射樹脂層形成用組成物を塗布し、塗布層上にさらに着色基板を配置した状態で上記塗布層を硬化する。これにより、着色基材の一方の面側に多数の突起部を備える低反射樹脂層を有する低反射シートを得ることができる。なお、上記突起部は、上記転写原版の凸型錐状構造体と、形状および配置位置のばらつきが対応する。
また、上記転写原版の製造方法としては、形状および配置位置に所望のばらつきを有する凸型錐状構造体を表面に有することができる方法であれば特に限定されないが、例えばステンレス板の表面をブラスト加工し、ステンレス板の加工表面に対して、段階的に電流値を小さくしながら電解ニッケルめっき、電解クロムめっき、電解スズめっき等の電解めっき処理を施すことにより形成することができる。
このときブラストの表面粗さを調整することにより、凸型錐状構造体の距離や方向性等のばらつきを調整できる。また、段階的に電流値を小さくする割合を調整することにより、凸型錐状構造体の高さを調整できる。
ソフトモールド形成用組成物の塗布方法は、特に限定されず、一般に樹脂製原版の形成の際に用いられる方法と同様とすることができる。
低反射樹脂層形成用組成物の硬化方法および硬化条件については、含有される樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、低反射樹脂層形成用組成物が紫外線硬化性樹脂を含む場合、ソフトモールドを介して紫外線照射を行うことにより硬化させることができる。
本発明の低反射シートは、反射率の低減が求められる用途に使用することができるが、中でも着色基材を有することから、高遮光性が要求され、光透過性が要求されない用途への使用が好ましい。例えば、本発明の低反射シートが黒色または暗色で且つ光学濃度の高いものである場合、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラのレンズシャッターなどのシャッター羽根または絞り羽根、カメラ付き携帯電話や車載モニターのレンズユニット内の固定絞り、プロジェクターの光量調整モジュールの絞り羽根等に用いることができる。
また、本発明の低反射シートは、反射率を低減することで表面にマット感を出すことができるため、外観性向上や意匠性付与を目的として、合成皮革等の表皮材や意匠シートとして用いることができる。
さらに、本発明の低反射シートは、分析機器や光学機器の迷光防止部材等に用いることができる。
以下の方法により、低反射シートを得た。
ステンレス板にブラスト加工をして、三次元表面粗さ測定における算術平均面粗さ(以下、Saと略する。)が0.2μmとなるように仕上げた。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状構造体Aを版面に有した転写原版Aを得た。なお、錐状構造体Aの形状およびばらつきと、得られる低反射シートにおける突起部Aの形状およびばらつきとは、一致するものであった。
以下の組成を含有するめっき浴を用い、陽極としてグラファイト電極を用いて、電流密度を80A/dm2から1分毎に2.0A/dm2ずつ小さくして、最終的に20A/dm2とし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
<<めっき浴の組成>>
・塩化クロム:200g/dm3(0.75mol/dm3)
・塩化アンモニウム:30g/dm3(0.56mol/dm3)
・シュウ酸:3g/dm3(0.024mol/dm3)
・炭酸バリウム:5g/dm3(0.025mol/dm3)
・ホウ酸:30g/dm3(0.49mol/dm3)
・フッ化バリウム:10g/dm3(0.057mol/dm3)
転写原版Aの錐状構造体Aが形成された面上に、下記の組成から成る紫外線硬化型のソフトモールド形成用組成物を塗布し、厚さ0.2mmのポリカーボネート(PC)フィルム(パンライトフィルム、帝人化成株式会社製)で挟んで、PCフィルム面側から波長365nm、照射エネルギー170mJ/cm2でUV照射をした。転写原版Aの錐状構造体Aを転写し、ソフトモールド形成用組成物を硬化させた後、転写原版Aを剥離してソフトモールドを得た。
・ウレタンアクリレート … 35質量%
・1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート … 35質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート … 10質量%
・ビニルピロリドン … 15質量%
・1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン … 2質量%
・ベンゾフェノン … 2質量%
・ポリエーテル変性シリコーンオイル … 1質量%
得られたソフトモールドの、錐状構造体Aの反転形状が形成された面上に、下記の組成から成る紫外線硬化型の低反射樹脂層形成用組成物を塗布し、塗布面上に厚さ2.0mmの黒色アクリル板(アクリライトL 三菱レイヨン株式会社製)を配置した。ソフトモールドのPCフィルム面側から波長365nm、照射エネルギー170mJ/cm2でUV照射をして、低反射樹脂層形成用組成物を硬化させた。その後、ソフトモールドを剥離することで、多数の突起部Aを備える低反射樹脂層を黒色アクリル板上に有する低反射シートを得た。
・ウレタンアクリレート … 35質量%
・1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート … 35質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート … 10質量%
・ビニルピロリドン … 15質量%
・1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン … 2質量%
・ベンゾフェノン … 2質量%
・ポリエーテル変性シリコーンオイル … 1質量%
ステンレス板にブラスト加工をしてSa=0.3μmとした。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状構造体Bを版面に有した転写原版Bを得た。なお、錐状構造体Bの形状およびばらつきと、得られる低反射シートにおける突起部Bの形状およびばらつきとは、一致するものであった。
実施例1と同じめっき浴および陽極を用い、電流密度を80A/dm2から1分毎に1.0A/dm2ずつ小さくして、最終的に20A/dm2とし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
ステンレス板にブラスト加工をしてSa=0.2μmとした。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状構造体Cを版面に有した転写原版Cを得た。なお、錐状構造体Cの形状およびばらつきと、得られる低反射シートにおける突起部Cの形状およびばらつきとは、一致するものであった。
実施例1と同じめっき浴および陽極を用い、電流密度を80A/dm2から1分毎に1.8A/dm2ずつ小さくして、最終的に20A/dm2とし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
ステンレス板にブラスト加工をしてSa=0.15μmとした。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状構造体Dを版面に有した転写原版Dを得た。なお、錐状構造体Dの形状およびばらつきと、得られる低反射シートにおける突起部Dの形状およびばらつきとは、一致するものであった。
実施例1と同じめっき浴および陽極を用い、電流密度を80A/dm2から1分毎に1.6A/dm2ずつ小さくして、最終的に20A/dm2とし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
ステンレス板にブラスト加工をしてSa=0.25μmとした。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状構造体Eを版面に有した転写原版Eを得た。なお、錐状構造体Eの形状およびばらつきと、得られる低反射シートにおける突起部Eの形状およびばらつきとは、一致するものであった。
実施例1と同じめっき浴および陽極を用い、電流密度を80A/dm2から1分毎に1.4A/dm2ずつ小さくして、最終的に20A/dm2とし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
ステンレス板にブラスト加工をしてSa=0.25μmとした。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状構造体Fを版面に有した転写原版Fを得た。なお、錐状構造体Fの形状およびばらつきと、得られる低反射シートにおける突起部Fの形状およびばらつきとは、一致するものであった。
実施例1と同じめっき浴および陽極を用い、電流密度を80A/dm2から1分毎に5.0A/dm2ずつ小さくして、最終的に20A/dm2とし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
ステンレス板にブラスト加工をしてSa=0.25μmとした。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状構造体Gを版面に有した転写原版Gを得た。なお、錐状構造体Gの形状およびばらつきと、得られる低反射シートにおける突起部Gの形状およびばらつきとは、一致するものであった。
実施例1と同じめっき浴および陽極を用い、電流密度を80A/dm2から1分毎に0.5A/dm2ずつ小さくして、最終的に20A/dm2とし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
ステンレス板にブラスト加工をしてSa=0.25μmとした。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状構造体Hを版面に有した転写原版Hを得た。なお、錐状構造体Hの形状およびばらつきと、得られる低反射シートにおける突起部Hの形状およびばらつきとは、一致するものであった。
実施例1と同じめっき浴および陽極を用い、電流密度を80A/dm2から1分毎に6.0A/dm2ずつ小さくして、最終的に20A/dm2とし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
ステンレス板にブラスト加工をしてSa=0.25μmとした。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状構造体Iを版面に有した転写原版Iを得た。なお、錐状構造体Iの形状およびばらつきと、得られる低反射シートにおける突起部Iの形状およびばらつきとは、一致するものであった。
実施例1と同じめっき浴および陽極を用い、電流密度を80A/dm2から1分毎に0.4A/dm2ずつ小さくして、最終的に20A/dm2とし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
ステンレス板にブラスト加工をしてSa=0.5μmとした。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状構造体Jを版面に有した転写原版Jを得た。なお、錐状構造体Jの形状およびばらつきと、得られる低反射シートにおける突起部Jの形状およびばらつきとは、一致するものであった。
実施例1と同じめっき浴および陽極を用い、電流密度を80A/dm2から1分毎に1.8A/dm2ずつ小さくして、最終的に20A/dm2とし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
ステンレス板にブラスト加工をしてSa=0.25μmとした。表面に下記の条件で電解クロムめっきを施し、多数の凸型の錐状構造体Kを版面に有した転写原版Kを得た。なお、錐状構造体Kの形状およびばらつきと、得られる低反射シートにおける突起部Kの形状およびばらつきとは、一致するものであった。
実施例1と同じめっき浴および陽極を用い、電流密度を80A/dm2から1分毎に1.4A/dm2ずつ小さくして、最終的に10A/dm2とし、ステンレス板上に電解めっき処理により黒色クロムめっき膜を形成した。
実施例1〜7、比較例1〜4で得られた低反射シートについて、以下の条件にてSEM観察を行った。実施例ごとに低反射樹脂層上の多数の突起部の中から表1に示す点数を抽出し、平面視SEM像から突起部の底面の最大径(最大幅)の平均および分散、突起部の最近接中心間距離(最近接重心間距離)の平均および分散、ならびに|Σ(k=1〜n)cosφk/n|値および|Σ(k=1〜n)sinφk/n|値を求めた。なお、平面視SEM像を用いた各パラメータの定量化については、先に説明した方法を用いた。
各実施例における突起部の底面は、八角形に近似した。
(条件)
・SEM:電界放出形走査電子顕微鏡 S-4500(株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)
・観察方法:Top−View(突起部を有する面側から)
・前処理:Pt−Pdスパッタ
・観察倍率:×10k
・視野範囲:縦4μm×横4μm
実施例1〜7、比較例1〜4で得られた低反射シートについて、以下の条件にて最大反射率を計測した。
(条件)
・計測装置:Scanning Spectrophotometer UV-3100PC(島津製作所製)
・計測方法:8°入射光(波長領域380nm〜780nm)に対する全反射
実施例1〜7、比較例1〜4で得られた低反射シートにおける低反射樹脂層のヘイズ値を以下の方法により測定した。
(測定方法)
実施例1〜7、比較例1〜4において、黒色アクリル板に換えてPCフィルムを用い、PCフィルム上に低反射樹脂層を形成し、評価用サンプルを作製した。ヘイズメーター(東洋精機製作所製 商品名:ヘイズガード)を用いてJIS K−7361に準拠した方法により各評価用サンプルのヘイズ値を測定した。
一方で比較例1〜4の低反射シートを光学計測機の遮光シートとして使用したところ、迷光の除去は不十分であった。
2 … 低反射樹脂層
3、3A、3B、3C … 突起部
10 … 低反射シート
Claims (2)
- 着色基材の少なくとも一方の面側に、多数の突起部を備える低反射樹脂層を有し、
前記突起部の底面の最大径の平均が250nm以上500nm以下の範囲内であり、
一の前記突起部および前記一の突起部の底面の中心に最も近接した位置に底面の中心を有する他の前記突起部の中心間距離の平均が400nm以下であり、前記中心間距離の分散が10000以上であり、
前記低反射樹脂層の前記突起部を有する面内の長さ方向および幅方向をx軸方向およびy軸方向で規定し、平面視上において前記突起部の底面の中心からの前記突起部の頂部の位置を方位角φ(0°≦φ<360°)で示し、前記突起部の抽出点数をn(n≧30)としたときに、
|Σ(k=1〜n)cosφk/n|≦0.25、かつ
|Σ(k=1〜n)sinφk/n|≦0.25
の関係を満たすこと
を特徴とする低反射シート。 - 前記着色基材および前記低反射樹脂層が一体化した単一層であることを特徴とする請求項1に記載の低反射シート。
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