JP2016028790A - X線撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】各透視画像の撮影間隔を短縮するX線撮影装置を提供する。【解決手段】複数枚の透視像を撮影して各透視像の差分からサブトラクション像を作成するX線撮影装置1において、被検体にX線を照射するX線管2と、被検体を透過したX線を検出するX線平面検出器4と、透視撮影1枚目におけるX線平面検出器4の積分期間の終了時期または透視撮影2枚目におけるX線平面検出器4の積分期間の開始時期を基に1枚目の撮影開始時期を算出する照射開始時期算出部9とを備える。【選択図】図1

Description

本発明はX線撮影装置に係り、特に、サブトラクション像を作成するX線撮影装置に関する。
従来、人体を構成する臓器のX線透過特性を利用して、線質の異なるX線にて得られる複数の透視画像から、より有用な透視画像を作るエネルギーサブトラクション撮影法がある。通常、X線管に印加する電圧を変えることでX線の線質を変えている。高エネルギーX線で撮影した透視画像とそれよりも低い低エネルギーのX線で撮影した透視画像との2枚のX線画像を収集し、重み付け差分などの画像間演算により、たとえば骨および軟部組織の透視画像として分離するのに利用されている。画像間演算により得られた透視画像をサブトラクション像という。
サブトラクション像を得るために、少なくとも2枚の透視画像を収集する必要が有り、被検体は同一位置で保持されることが望ましい。しかしながら、被検体の意図しないわずかな動きにより、画像間演算の結果としてアーチファクトが発生する。
図14は、従来のサブトラクション像を撮影するタイミングチャートである。X線検出器として半導体検出器を用いる場合、撮影者の撮影指示が入力されると、直ちにX線検出器の積分期間Tnの周期に合わせてX線が照射される。その後、照射期間Teが終了し、積分期間Tnが終了してから、読み出し期間Trにおいて蓄積された電荷情報を読み出す。この読み出し期間Trの終了後に2枚目の透視画像が撮影される。1枚目の照射期間Teと2枚目の照射期間Teとの間で被検体が動くと、1枚目の透視像と2枚目の透視像とではズレが生じるので、それらの透視画像から得られるサブトラクション像にアーチファクトが生じる。このような理由で、2回の画像収集は短時間に行うことが望ましい。2回の画像収集を短時間に行うために、特許文献1には、高エネルギーおよび低エネルギー用のそれぞれの検出画素を備えたX線検出器が記載されている。
特開2009−82194号公報
しかしながら、特許文献1に記載のX線検出器はエネルギーサブトラクション撮影に特化したX線検出器であり、一般的なX線撮影での利用には適さず、構造が複雑すぎる。また、従来の技術によれば、X線検出器の仕様により定められている積分期間Tnの開始時期に合わせてX線照射を開始している。これより、1枚目の透視画像の撮影が終了しても、その後に1枚目の積分期間が終了し、X線検出器に蓄積された電荷信号を読み出す読み出し期間Trが終了するまでは、次のX線照射をすることができない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、各透視画像の撮影間隔を短縮するX線撮影装置を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。 すなわち、本発明は、複数枚の透視像を撮影して各透視像の差分からサブトラクション像を作成するX線撮影装置において、被検体にX線を照射するX線照射器と、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、透視撮影1枚目における前記X線検出器の積分期間の終了時期または透視撮影2枚目における前記X線検出器の積分期間の開始時期を基に前記1枚目の撮影開始時期を算出する照射開始時期算出部とを備えるX線撮影装置である。
上記構成によれば、照射開始時期算出部が、透視撮影1枚目における撮影開始時期を、1枚目における前記X線検出器の積分期間の終了時期または透視撮影2枚目における前記X線検出器の積分期間の開始時期を基に算出する。算出された1枚目の撮影の開始時期にX線照射器から被検体にX線を照射され、被検体を透過したX線はX線検出器により検出される。このようにして撮影された各透視像の差分からサブトラクション像を作成する。
1枚目の撮影開始時期を1枚目の積分期間の開始時期に合わせることなく、1枚目における積分期間の終了時期または2枚目における積分期間の開始時期を基に算出するので、1枚目と2枚目の透視画像の撮影間隔を短縮することができる。
また、前記照射開始時期算出部は、前記1枚目におけるX線照射の終了時期と前記1枚目における積分期間の終了時期とが一致するように前記1枚目のX線照射の開始時期を算出してもよい。これより、1枚目と2枚目との撮影間隔を検出器からの読み出し期間だけにすることができる。
また、前記X線照射器から照射されるX線が透過する撮影補助器具を備え、前記照射開始時期算出部は、前記1枚目と前記2枚目との照射の間の前記撮影補助器具の撮影準備期間の終了時期と2枚目の照射の開始時期とが一致するように、かつ、前記撮影準備期間の開始時期と前記1枚目の照射終了時期とが一致するように、前記1枚目の照射の開始時期を算出することが好ましい。この構成によれば、1枚目の照射の終了時期から2枚目の照射開始時期までの間が撮影補助器具の準備期間と一致するので、1枚目と2枚目の透視画像の撮影間隔を短縮することができる。
また、前記撮影補助器具が前記X線照射器から照射されるX線の線質を変えるフィルタを複数枚有するフィルタ器であってもよい。フィルタ器に複数枚のフィルタを有することで、電圧による変更に加えてX線の線質をより細分化して変更することができる。
また、前記撮影準備期間が1枚目の透視像と2枚目の透視像とで前記フィルタ器のフィルタを切り替える期間であってもよい。この構成によれば、電圧による変更に加えてX線の線質をより細分化して変更する際においても、アーチファクトを低減したサブトラクション像を作成することができる。
また、請求項5に記載のX線撮影装置において、前記フィルタの切り替え期間が、前記フィルタ器におけるX線の照射野に応じて設定されてもよい。この構成によれば、フィルタの切り替え時間がフィルタ器におけるX線の照射野に応じて設定されるので、フィルタ器の切り換え移動中にもX線を照射することができ、1枚目と2枚目の透視画像の撮影間隔を短縮することができる。
また、前記撮影補助器具が前記X線照射器から照射されるX線の散乱X線を吸収するブッキーであってもよい。この構成によれば、X線照射器から照射されるX線の散乱X線を吸収するブッキーを用いる場合でも、1枚目と2枚目の透視画像の撮影間隔を短縮することができる。
本発明に係るX線撮影装置によれば、各透視画像の撮影間隔を短縮するX線撮影装置を提供することができる。
実施例1に係るX線撮影装置のブロック図である。 実施例に係るX線撮影装置に備わるX線検出器の構成を示す回路図である。 実施例に係るX線撮影装置に備わるX線検出器のX線変換層周辺部の概略縦 断面図である。 実施例1に係るサブトラクション像の撮影の流れを示すフローチャートであ る。 実施例1に係るX線撮影のタイミングチャートである。 実施例2に係るX線撮影装置のブロック図である。 実施例2に係るX線の照射野を示す説明図である。 変形例2に係るフィルタ器の上面図である。 実施例2に係るフィルタ器の回転を示す説明図である。 実施例2に係るグリッドを示す断面図である。 実施例2に係るグリッドの速度を示すグラフ図である。 実施例2に係るX線撮影のタイミングチャートである。 実施例2に係るサブトラクション像の撮影の流れを示すフローチャートで ある。 従来例に係るX線撮影のタイミングチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1は実施例1におけるX線撮影装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、X線撮影装置1は、被検体MにX線を照射するX線管2と、被検体を載置する天板3と、被検体Mを透過したX線を検出するX線平面検出器(フラットパネルディテクタ:以後FPDと称す)4と、FPD4から出力されるアナログのX線検出信号をデジタルのX線検出信号に変換するA/D変換器5とが備えられている。X線管2は本発明におけるX線照射器に相当し、FPD4は本発明におけるX線検出器に相当する。
また、X線撮影装置1は、他にも、デジタルのX線検出信号を入力して種々の画像処理を行う画像処理部6と、X線撮影に関する種々の制御を行う主制御部7と、管電圧や管電流の制御をするX線管制御部8と、X線管2に管電圧を印加する開始時期を算出する照射開始時期算出部9と、X線管制御部8の指示に基づいてX線管2に管電圧を印加するX線管電源10と、X線撮影に関する入力設定を行うことが可能な入力部11と、画像処理部6で処理されて得られた透視画像などを表示する表示部12と、画像処理部6で処理されて得られた透視画像などを記憶する記憶部13とを備えている。
図2に示されるように、FPD4は、複数のX線検出素子DU、ゲート駆動回路22、アンプアレイ部23、サンプルホールド部24、マルチプレクサ25とが備えられている。これら複数のX線検出素子DUはゲート線GL1〜GL10によりゲート駆動回路22と接続し、データ線DL1〜DL10によりアンプアレイ部23と接続されている。主制御部7はゲート駆動回路22、アンプアレイ部23、サンプルホールド部24、マルチプレクサ25とに接続されている。
X線検出素子DUは、入射されたX線に感応して電荷信号を出力するものであり、X線が入射されるX線検出面DSに縦横の2次元マトリックス状に配列されている。実際のX線検出面DSにはX線検出素子DUが、例えば、縦4096×横4096程度に2次元マトリックス状に配列されて用いられる。なお、図2においては、X線検出素子DUが縦10×横10の2次元マトリックス状に配列したものを一例として図示している。
また、X線検出素子DUは図3に示されるように、高電圧のバイアス電圧Vaを印加する電圧印加電極26と、入射したX線から電荷信号へ変換するX線変換層27とX線変換層27で変換された電荷信号を収集、蓄積、読み出し(出力)を行うアクティブマトリックス基板28とを備えている。
X線変換層27は、X線感応型半導体からなり、例えば、非晶質のアモルファスセレン(a−Se)膜で形成されている。また、X線変換層27にX線が入射すると、このX線のエネルギーに比例した所定個数のキャリア(電荷信号)が直接生成される構成(直接変換型)となっている。
アクティブマトリックス基板28は図3に示すように、絶縁性のガラス基板29が設けられ、このガラス基板29上には、電圧印加電極26にバイアス電圧Vaが印加されたことによりX線変換層27で変換された電荷信号を収集する収集電極30と、収集電極30で収集された電荷信号を蓄積するコンデンサCaと、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)31と、ゲート駆動回路22からTFT31を制御するためのゲート線GL1〜GL10と、TFT31から電荷信号が読み出されるデータ線DL1〜DL10とを設けている。
X線撮影装置1では、FPD4の仕様に応じてコンデンサCaに電荷信号が蓄積される蓄積時間である積分期間が複数個予め決められている。この電荷信号は、X線から変換された電荷信号だけに限られず、暗電流による電荷信号を含んでもよい。積分期間はゲート駆動回路22およびアンプアレイ部23などの回路の制約を受ける期間であり、補正データの取り方によっても変動する期間であるので、必ずしもX線の照射期間と一致する期間ではない。撮影者は、予め決められた複数個の積分期間の中から被検体の体格または撮影対象の部位に応じて適切な積分期間を入力部11から選択することができる。
ゲート駆動回路22は、積分期間においてコンデンサCaに蓄積された電荷信号を順次選択的に取り出すために、各X線検出素子DUのTFT31を動作させるものである。ゲート駆動回路22は、X線検出素子DUの横行ごとに共通して接続されるゲート線GL1〜GL10を順次選択してゲート信号を送る。この選択した行内のX線検出素子DUのTFT31は、ゲート信号により一斉にスイッチオン状態になり、コンデンサCaに蓄積された電荷信号がデータ線DL1〜DL10を通りアンプアレイ部23に出力される。ゲート駆動回路22からゲート信号が送られて全てのコンデンサCaに蓄積された電荷信号がアンプアレイ部23に出力されるまでの期間が読み出し期間である。
次に、アンプアレイ部23は図2に示すように、X線検出素子DUの縦列ごとのデータ線DL1〜DL10に対応した数(図2では10個)の電荷電圧変換アンプ29を有する。電荷電圧変換アンプ29は、各X線検出素子DUから出力された電荷信号を電圧信号に変換する電荷検出増幅回路(CSA:Charge Sensitive Amplifier)である。電荷電圧変換アンプ29は、電荷信号を電圧信号に変換し、サンプルホールド部24に出力する。
次に、サンプルホールド部24は、電荷電圧変換アンプ29の数に対応した数のサンプルホールド回路SH1〜SH10を有する。各サンプルホールド回路は、電荷電圧変換アンプ29から出力された電圧信号を所定の時間においてサンプリングし、所定の時間が経過した時点での電圧信号を保持(ホールド)し、安定した状態の電圧信号をマルチプレクサ25に出力する。マルチプレクサ25の内部には、サンプルホールド回路SH1〜SH10の数に対応した数のスイッチを有する。スイッチのいずれかひとつを順次ON状態に切り替えて、サンプルホールド回路SH1〜SH10から出力される各電圧信号の一つずつを束ねた時分割信号として、図1に示すA/D変換器5に出力する。
次に、A/D変換器5は、マルチプレクサ25からの時分割信号の各電圧信号について、所定のタイミングでサンプリングしてデジタルの時分割信号の各電圧信号に変換し、画像処理部6に出力する。画像処理部6は、入力された複数の透視画像のデータを基に重み付け差分演算による画像間演算によりサブトラクション像を作成する。画像処理部6はマイクロプロセッサまたはFPGAで構成してもよいし、中央演算処理装置(CPU)で構成される主制御部7と同じCPUを利用してもよい。作成されたサブトラクション像は、主制御部7を介して表示部12で表示されるか、記憶部13で記憶される。
X線管制御部8は、入力部11に入力された撮影条件に応じて、X線管2への管電圧と照射期間をX線管電源10へ指示する。照射開始時期算出部9は、入力された撮影条件に応じて、各透視画像のX線照射開始時期を算出する。算出されたX線照射開始時期はX線管電源10に送られる。X線管電源10は、X線管制御部8から指示される管電圧および照射期間を基に、照射開始時期算出部9から指示されるX線照射開始時期において、X線管2へパルス電圧を供給する。これによりX線管2からX線が照射される。
入力部11は、マウス、キーボード、ジョイスティック、トラックボールやタッチパネルなどに代表されるポインティングデバイスで構成される。撮影者は、入力部11から、最適と思われる積分期間、管電圧および照射期間を設定入力する。また、撮影者は、被検体の撮影部位の条件なども入力部11に入力できる。表示部12は、液晶表示装置やCRTなどで構成される。記憶部13は、フラッシュメモリ、ハードディスクやストレージなどで構成される。
2.X線透視撮影 次に、図4および図5を参照して、実施例1によりX線透視撮影が実施される場合の動作を説明する。図4は実施例1に係るサブトラクション像の撮影の流れを示すフローチャートであり、図5は実施例1に係るX線撮影のタイミングチャートである。
撮影者が入力部11にX線の1枚目と2枚目との管電圧、照射期間Teおよび積分期間Tnなどの撮影条件を入力する(ステップS01)。入力された撮影条件は、主制御部7を介して、X線管制御部8および照射開始時期算出部9へ送られる。撮影条件が入力されると、主制御部7が有するクロックを基に、主制御部7は積分期間Tnを周期的にカウントする。
照射開始時期算出部9は、入力された積分期間Tnから入力された照射期間Teを差し引いた照射待機期間Tpを算出する。これを基に、透視撮影の1枚目の積分期間Tnが時刻t0に開始した場合における、1枚目のX線照射開始の時刻t1を算出する(ステップS02)。すなわち、1枚目におけるX線の照射期間Teの終了時期と1枚目における積分期間Tnの終了時期とが一致するように、1枚目の積分期間Tnが開始されてから照射待機期間Tp経過後の1枚目のX線照射の開始時期を算出している。このように、照射開始時期算出部9は、透視撮影1枚目におけるFPD4の積分期間Tnの終了時期を基に1枚目の撮影開始時期を算出する。
また、実施例1において、積分期間Tnと読み出し期間Trとは交互に周期的に繰り返される。読み出し期間Trは予め定められた期間であるので、照射開始時期算出部9は、2枚目の積分期間の開始時期から読み出し期間Trと1枚目の照射期間Teとをさかのぼって、1枚目の撮影開始時期を算出してもよい。このように、照射開始時期算出部9は、透視撮影2枚目におけるFPD4の積分期間Tnの開始時期を基に1枚目の撮影開始時期を算出してもよい。
さらに、照射開始時期算出部9は、2枚目の積分期間Trが開始されると同時に2枚目のX線の照射が開始されるように、2枚目のX線照射開始の時刻t3を算出する。これより、1枚目の積分期間Tnおよび1枚目の電荷情報を読み出す読み出し期間Tr終了後に2枚目の積分期間Tnが開始し、これと同時に2枚目のX線の照射期間Teが開始される。算出された1枚目の照射開始時刻t1および2枚目の照射開始時刻t2がX線管制御部8へ送られる。
X線管制御部8は、入力された撮影条件を基に、X線管電圧の指示をX線管電源10に指示する。この状態で、入力部11に撮影者から撮影開始の入力がされると、主制御部7を介してX線管制御部8に撮影開始の指示が送られる。X線管制御部8は、撮影開始の指示が入力されると、次にカウントされる積分期間Tnの開始時刻をt0として、時刻t0から照射待機期間Tpが経過した時刻t1にX線管電源10にX線管2への管電圧の印加を指示し、X線管2よりX線が照射される。時刻t1から照射期間Teが経過した時刻t2に、X線管制御部8はX線管電源10にX線管への電圧の印加中止を指示し、1枚目のX線透視画像の撮影が終了する(ステップS03)。
次に、主制御部7からFPD4へコンデンサCaに蓄積された電荷信号を読み出す指示が送られ、時刻t2からt3間の読み出し期間TrにおいてコンデンサCaから電荷信号が読みだされる。コンデンサCaから電荷信号が読みだされると、2枚目の積分期間Tnが時刻t3から開始される。
X線管制御部8は、2枚目の積分期間Tnの開始と共に、時刻t3にX線管電源10にX線管への1枚目とは異なる管電圧の印加を指示し、X線管2よりX線が照射される。時刻t3から照射期間Teが経過した時刻t4に、X線管制御部8はX線管電源10にX線管2への電圧の印加中止を指示し、2枚目のX線透視画像の撮影が終了する(ステップS04)。
次に、2枚目の積分期間が終了する時刻t5に、主制御部7からFPD4へコンデンサCaに蓄積された電荷信号を読み出す指示が送られ、時刻t5からt6間の読み出し期間TrにおいてコンデンサCaから電荷信号が読みだされる。
コンデンサCaから読みだされた電荷信号は電圧信号に変換されて検出信号としてFPD4からA/D変換器5を介して画像処理部6へ送られる。画像処理部6は、順に入力される1枚目の透視画像の検出信号と、2枚目の透視画像の検出信号とのそれぞれ重み付け差分を算出してサブトラクション像を作成する(ステップS05)。ここで、1枚目の透視画像は、時刻t1からt2までの間で撮影された平均画像でもある。また、2枚目の透視画像は、時刻t3からt4までの間で撮影された平均画像でもある。すなわち、1枚目の透視画像および2枚目の透視画像は、それぞれの照射期間Teの中間時刻において撮影された透視画像ということができる。これより、1枚目と2枚目の透視画像における時間差Tdは以下の(1)式により算出することができる。
Td=〔{t3+(t4−t3)/2}−{t1+(t2−t1)/2}〕…(1)
この時間差Tdは従来よりも短縮されている。すなわち、従来よりも、1枚目と2枚目の撮影間隔を短くすることができるので、1枚目と2枚目の撮影の間に被検体の体動によるサブトラクション像のアーチファクトを低減することができる。作成されたサブトラクション像は主制御部7を介して表示部12または記憶部13へ送られる。
このように、実施例1のX線撮影装置1によれば、周期的に繰り返される積分期間Tnに対する1枚目の透視画像のX線照射期間Teの開始時刻を積分期間Tnの開始時刻から遅らせることで、2枚の透視画像の撮影間隔を短くすることができる。これより、被検体の体動を原因とする透視画像のズレを低減することができ、アーチファクトを低減したサブトラクション像を作成することができる。
次に、図6〜図8を参照して本発明の実施例2を説明する。図6は実施例2に係るX線撮影装置の構成を示すブロック図であり、図7は実施例2に係るX線の照射野を示す説明図であり、図8は実施例2におけるフィルタ器の上面図である。実施例2は、フィルタ器15およびグリッド19などの撮影補助器具の準備期間に対応して1枚目の照射開始時期を算出する。実施例2における以下に記載した以外のX線撮影装置の構造は実施例1と同様である。
実施例2では、各透視像の撮影において管電圧を変更することに加えてフィルタにX線を透過させることで、X線のエネルギーすなわち線質を変更する。実施例2における照射開始時期算出部21は、このフィルタの切り替え期間に対応して照射開始時期を算出する。フィルタの切り替え期間は、フィルタの移動時間だけでなくSID(Source Image Distance)およびX線の照射野にも関係する。
X線管移動機構16は、X線管2とFPD4との距離であるSIDを調節するために、X線管2をFPD4に対して鉛直方向に移動させる。X線管2はアーム(図示省略)に支持されており、アームに沿ってまたはアームも一体となって移動される。撮影者は、入力部11からSIDを設定することができ、この設定値に対応してSIDが調節される。
コリメータ移動機構17はコリメータ14の開口部14aの大きさを調節するものである。撮影者はX線管2からX線の代わりに可視光を被検体に照射して、コリメータ14の開口部の大きさを入力部11により設定することができる。設定されたコリメータ14の開口部14aの大きさとX線管2からフィルタ器15およびFPD4への距離により、フィルタ器15におけるX線の照射野15rおよびFPD4におけるX線の照射野4aが決定される(図7参照)。設定されたコリメータの開口部14aの大きさは入力部11から主制御部7へ送られる。
フィルタ器15は、図8に示すように、それぞれ異なる厚みのフィルタ15a、15b、15cとフィルタが装着されていない孔15dを有する。フィルタ15a〜15cとして、たとえば銅を採用するが、これに限らずアルミなどの他の素材を採用してもよい。フィルタ移動機構18は、中心軸15fを中心にフィルタ器15を右回転または左回転させることでフィルタ15a〜15cおよび孔15dを透視撮影ごとにX線照射位置15eに移動させることができる。フィルタ移動機構18としてたとえばステッピングモータと歯車機構とを採用してもよい。
X線管2で発生したX線を撮影ごとに異なる厚みのフィルタ15a、15b、15cまたは孔15dを透過することで、撮影ごとに異なるエネルギーのX線を被検体Mに照射することができる。各フィルタ15a〜15cおよび孔15d間で切り替える切り替え期間は予め計測されている。
フィルタ器15の回転が続いている状態であっても、フィルタ器15上のX線の照射野15rが回転中のフィルタ内に収まる場合があるので、フィルタ器15の回転が完全に終了していない状態であっても、X線の照射を開始することができる。そこで、主制御部7は、コリメータの開口部14aの大きさおよびX線管2からフィルタ器15までの距離Rfからフィルタ器15におけるX線の照射野を算出し、これを基に、フィルタ器15が回転を始めてからフィルタ器15上のX線の照射野15rが回転中のフィルタ内に収まるまでのフィルタ器15の回転角度を算出し、さらに、この回転角度とステッピングモータの回転速度からフィルタ器15が回転を始めてからX線の照射野15rが回転中のフィルタ内に収まるまでの期間をフィルタの切り替え期間として算出する。算出されたフィルタの切り替え期間が終了したタイミングで2枚目のX線照射を開始することができる。このように、フィルタ器15の回転が終了していなくてもフィルタ器15におけるX線の照射野に応じて2枚目のX線照射を開始することができる。算出されたフィルタの切り替え期間は主制御部7から照射開始時期算出部21へ送られ、この切り替え期間を基に1枚目および2枚目のX線照射の開始時期が算出される。
図9を参照する。図9は、フィルタ器の回転を示す説明図である。図9(a)において、フィルタ器15は回転動作中であり、フィルタ器15に投影される照射野15rが、設定されたフィルタ15a、15b、15c、または孔15dのいずれか1つの領域内に含まれていないので、X線照射を待機している状態である。
図9(b)において、フィルタ器15はまだ回転動作中であるが、フィルタ器15に投影される照射野15rが、設定されたフィルタ15a、15b、15c、または孔15dのいずれか1つの領域内に含まれたので、X線照射を開始する状態である。図9(c)は、フィルタ器15に投影される照射野15rの中心と設定された各フィルタ15a、15b、15c、または孔15dのいずれか1つの領域の中心とが合致しているので、フィルタ器15の回転が終了している状態である。
実施例2でいうフィルタの切り替え期間とは、フィルタ器15が回転し始めてから回転が終わるまでの予め計測されている期間としてもよいし、上述したようにフィルタ器15が回転し始めてからフィルタ器15におけるX線の照射野15rが設定された各フィルタ内に収容されるまでの期間でもよい。この場合、フィルタ器15の回転が完全に終わる前にX線を照射することができるので、1枚目と2枚目との撮影間隔をより短縮することができる。
グリッド19は、図10に示すように収束型のグリッドである。グリッド移動機構20は、グリッド19をX線照射領域内の作動位置またはX線照射領域外の退避位置のいずれかに移動させる。また、グリッド移動機構20は、X線照射領域内でグリッド19を往復移動させることができる。すなわち、グリッド19とグリッド移動機構20とでブッキーを構成する。グリッド移動機構20として、たとえばラックとピニオンを採用してもよい。
図11を参照する。図11は照射期間とグリッド速度との関係を示すグラフ図である。グリッド移動機構20は、透視撮影中に、グリッド箔19aの影が検出されないように、グリッド19を往復移動可能な方向のうちいずれか一方向に移動させる。グリッドが速度0から予め定められた速度まで加速される加速期間Tcが経過した後に、1枚目の透視画像が照射期間Teで撮影される。この照射期間Teにおいて、グリッド19は一定の速度でX線照射領域内を移動する。照射期間Teが経過し1枚目のX線照射が終了すると、グリッド19は減速期間Tdにおいて速度0に減速され、さらに、逆方向に加速される。逆方向への加速期間Tcの経過後に、2枚目のX線照射が開始され、2枚目の照射期間Teにおいて透視画像が撮影される。2枚目の照射期間Teにおいて、グリッド19は一定速度で移動し、2枚目の照射期間Teが終了すると、減速期間Tdにおいて停止するまで減速される。
このように、グリッド19をX線の照射期間中に一方向へ一定速度で移動させるので、1枚目の撮影と2枚目の撮影とではグリッドの移動方向が逆である。1枚目の撮影と2枚目の撮影との間にはグリッド19の減速期間と加速期間が存在する。このグリッド19の減速期間と加速期間をX線撮影の1枚目と2枚目との撮影間隔とすることができる。照射開始時期算出部21は、グリッド19の減速期間および加速期間とからX線照射を開始することができる照射開始時期を算出する。
次に、図12を参照して、実施例2によりX線透視撮影が実施される場合の動作を説明する。図12は、実施例2に係るX線撮影のタイミングチャートである。
撮影者が入力部11にX線撮影1枚目と2枚目の管電圧、照射期間Te、積分期間Tn、フィルタの選択、グリッド使用の有無などの撮影条件を入力する(ステップS11)。入力された撮影条件は、主制御部7を介して、X線管制御部8および照射開始時期算出部9へ送られる。撮影条件が入力されると、主制御部7が有するクロックを基に、主制御部7は積分期間Tnを周期的にカウントする。主制御部7は、フィルタ変更またはグリッド使用のいずれか一方が設定された場合、それぞれの1枚目と2枚目のX線撮影間での準備期間を撮影補助器具の準備期間にして設定する。フィルタ変更とグリッド使用の両方が設定された場合、フィルタ切り替え期間とグリッド準備期間とを比べて、いずれか長い方の期間を撮影補助器具の撮影準備期間として設定する。
照射開始時期算出部21は、2枚目の透視撮影の積分期間Tnの開始時刻から1枚目の照射期間Teと撮影補助器具の準備期間Taを差し引いた照射待機期間Tp’を算出する。これを基に、1枚目の積分期間Tnが時刻t0に開始した場合における、X線照射開始の時刻t11を算出する(ステップS12)。すなわち、1枚目と2枚目との照射の間の撮影補助器具の撮影準備期間Taの終了時期と2枚目の照射期間Teとの開始時期とが一致するように、かつ、撮影準備期間Taの開始時期と1枚目の照射期間Teの終了時期とが一致するように1枚目の照射期間Teの開始時期を算出している。また、2枚目の積分期間Tnの開始と同時に2枚目のX線を照射する照射開始時刻t14を算出する。算出された1枚目の照射開始時刻t11および2枚目の照射開始時刻t14がX線管制御部8へ送られる。
X線管制御部8は、入力された撮影条件を基に、X線管電圧の指示をX線管電源に指示する。この状態で、入力部11に撮影者から撮影開始の入力がされると、主制御部7を介してX線管制御部8に撮影開始の指示が送られる。X線管制御部8は、撮影開始の指示が入力されると、次にカウントされる積分期間Tnの開始時刻をt0として、時刻t0から照射待機期間Tp’が経過した時刻t11にX線管電源10にX線管への管電圧の印加を指示し、X線管2よりX線が照射される。時刻t11から照射期間Teが経過した時刻t12に、X線管制御部8はX線管電源10にX線管への電圧の印加中止を指示し、1枚目のX線透視画像の撮影が終了する(ステップS13)。
1枚目の撮影が終了すると、照射期間Teが経過した時刻t12から2枚目の積分期間が始まる時刻t14までの器具準備期間Taの間に、フィルタ移動機構18はフィルタ器15を回転させて、1枚目に用いたフィルタから2枚目の撮影用に選択されたフィルタへ変更する(ステップS14)。また同様に、1枚目の撮影が終了すると、器具準備期間Taの間に、グリッド移動機構20はグリッド19の揺動を減速・停止し、1枚目とは逆方向へ加速させてグリッドの移動方向を転換する(ステップS15)。
フィルタ器15およびグリッド19が次の撮影の準備をしている間に、主制御部7からFPD4へコンデンサCaに蓄積された電荷を読み出す指示が送られ、時刻t13からt14の読み出し期間Tr間にコンデンサCaから電荷が読みだされる。コンデンサCaから電荷が読みだされると、2枚目の積分期間Tnが時刻t14から開始される。
次に、X線管制御部8は、2枚目の積分期間Tnの開始と共に、時刻t14にX線管電源10にX線管2への1枚目とは異なる管電圧の印加を指示し、X線管2よりX線が照射される。時刻t14から照射期間Teが経過した時刻t15に、X線管制御部8はX線管電源10にX線管2への電圧の印加中止を指示し、2枚目のX線透視画像の撮影が終了する(ステップS16)。
次に、2枚目の積分期間が終了する時刻t16に、主制御部7からFPD4へコンデンサCaに蓄積された電荷を読み出す指示が送られ、時刻t16からt17の読み出し期間Tr間にコンデンサCaから電荷が読みだされる。
コンデンサCaから読みだされた電荷信号は電圧信号に変換されて検出信号としてFPD4からA/D変換器5を介して画像処理部6へ送られる。画像処理部6は、順に入力される1枚目の透視画像の検出信号と、2枚目の透視画像の検出信号とのそれぞれ重み付け差分を算出してサブトラクション像を作成する(ステップS17)。
ここで、1枚目の透視画像は、時刻t11からt12までの間で撮影された平均画像でもある。また、2枚目の透視画像は、時刻t14からt15までの間で撮影された平均画像でもある。すなわち、1枚目の透視画像および2枚目の透視画像は、それぞれの照射期間Teの中間時刻において撮影された透視画像ということができる。これより、1枚目と2枚目の透視画像における時間差Td’は以下の(2)式により算出することができる。
Td’=〔{t14+(t15−t14)/2}−{t11+(t12−t11)/2}〕…(2)
この時間差Td’は従来の撮影補助器を使用する場合よりも短縮されている。すなわち、従来よりも、1枚目と2枚目の撮影間隔を短くすることができるので、1枚目と2枚目の撮影の間に被検体の体動によるサブトラクション像のアーチファクトを低減することができる。作成されたサブトラクション像は主制御部7を介して表示部12または記憶部13へ送られる。
このように、実施例2のX線撮影装置1’によれば、X線が透過する各フィルタ15a〜15cおよびグリッド19などの撮影補助器具の撮影準備期間を1枚目と2枚目との撮影間隔とすることで、2枚の透視像の撮影間隔を短くすることができる。これより、被検体の体動を原因とする透視画像のズレを低減することができ、アーチファクトを低減したサブトラスション像を作成することができる。X線が透過する撮影補助器具が複数ある場合、1枚目と2枚目との撮影間隔において撮影準備するのに最も長い期間必要とする撮影補助器具の撮影準備期間を2枚の透視像の撮影間隔とすることで、アーチファクトの低減されたサブトラクション像を作成することができる。さらに、フィルタ変更の場合、フィルタが完全に移動終了する前であっても、X線の照射野に各フィルタが全て含まれた段階で2枚目のX線撮影を開始することができるので、2枚の透視像の撮影間隔をさらに短くすることができる。
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例2では、フィルタ器15は回転することで各フィルタ15a〜15cおよび孔15dを変更することができたが、これに限らず、フィルタ器15が直線形状で各フィルタ15a〜15cおよび孔15dが直線上に配列され、フィルタ器15が直線移動することで各フィルタ15a〜15cおよび孔15dを変更してもよい。
(2)上述した実施例では、サブトラクション像を作成するのに2枚の透視像を用いて作成しているが、これに限らず3枚以上の複数枚の透視像を用いて作成してもよい。この場合においても、最初に撮影される2枚を上述したように撮影するので、アーチファクトを低減したサブトラクション像を少なくとも最初に撮影された2枚の透視像から作成することができる。
1 … X線撮影装置
2 … X線管
4 … X線平面検出器(FPD)
9 … 照射開始時期算出部
15 … フィルタ器
15a、15b、15c フィルタ
15d … 孔
19 … グリッド
20 … グリッド移動機構

Claims (7)

  1. 複数枚の透視像を撮影して透視撮影1枚目と透視撮影2枚目との差分からサブトラクション像を作成するX線撮影装置において、
    被検体にX線を照射するX線照射器と、
    被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
    前記透視撮影1枚目と透視撮影2枚目とにおけるX線照射の時間差(Td)が、前記X線検出器の積分期間(Tn)の開始時期に合わせて前記1枚目及び2枚目のX線照射を開始した場合に比べて短くなるように、前記1枚目の撮影開始時期を算出する照射開始時期算出部と
    を備えることを特徴とするX線撮影装置。
  2. 請求項1に記載のX線撮影装置において、
    前記照射開始時期算出部は、
    前記1枚目におけるX線照射の終了時期と前記1枚目における積分期間の終了時期とが一致するように前記1枚目のX線照射の開始時期を算出する
    ことを特徴とするX線撮影装置。
  3. 請求項1に記載のX線撮影装置において、
    前記X線照射器から照射されるX線が透過する撮影補助器具を備え、
    前記照射開始時期算出部は、
    1枚目と2枚目との照射の間の前記撮影補助器具の撮影準備期間の終了時期と2枚目の照射の開始時期とが一致するように、かつ、
    前記撮影準備期間の開始時期と1枚目の照射終了時期とが一致するように、
    1枚目の照射の開始時期を算出する ことを特徴とするX線撮影装置。
  4. 請求項3に記載のX線撮影装置において、
    前記撮影補助器具が前記X線照射器から照射されるX線の線質を変えるフィルタを複数枚有するフィルタ器である
    ことを特徴とするX線撮影装置。
  5. 請求項4に記載のX線撮影装置において、
    前記撮影準備期間が1枚目の透視像と2枚目の透視像とで前記フィルタ器のフィルタを切り替える期間であることを特徴とするX線撮影装置。
  6. 請求項5に記載のX線撮影装置において、
    前記フィルタの切り替え期間が、前記フィルタ器におけるX線の照射野に応じて設定されることを特徴とするX線撮影装置。
  7. 請求項3に記載のX線撮影装置において、
    前記撮影補助器具が前記X線照射器から照射されるX線の散乱X線を吸収するブッキーである
    ことを特徴とするX線撮影装置。
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