JP2016027012A - Ucp−1発現促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたUCP−1発現促進作用を有し、脂肪の褐色脂肪化(褐色化)促進させる医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤、若しくは医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤又は食品等へ配合する素材の提供。【解決手段】PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなるUCP−1発現促進剤。【選択図】なし

Description

本発明は、褐色脂肪化を促し、UCP−1の発現を促進する、UCP−1発現促進剤に関する。
従来、脂肪は白色脂肪(white adipose)と褐色脂肪(brown adipose)とに大別されてきた。白色脂肪は、白色脂肪細胞中に過剰なエネルギーを単房性の脂肪滴の形態で貯蔵し、栄養状態に応じて脂肪酸を放出する器官である。褐色脂肪に多い褐色脂肪細胞は、多くのミトコンドリアを有し、特異的にUCP−1(脱共役タンパク質(uncoupling protein)−1)が多く発現しており、エネルギーを熱の形で放散する特性を有している。
UCPは、ミトコンドリア内膜での酸化的リン酸化反応を脱共役させ、エネルギーを熱として散逸する機能を持っている。褐色脂肪細胞の代表的なUCPであるUCP−1は、近年の研究により、その発現量の増加が熱産生を促進させ、その結果として糖質や脂質エネルギーの消費を増大させ、脂肪蓄積や肥満、糖尿病を抑制することに繋がることが明らかとなり、褐色脂肪化が肥満やメタボリックシンドロームの予防、改善の観点から注目されている(非特許文献1)。
一方、PPARγ(peroxisome proliferator−activated receptor γ)は、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)の一種であり、その活性化により糖尿病やインスリン抵抗性を予防・改善することが知られている(非特許文献2)。例えば、PPARγ活性化剤であるピオグリタゾン(Pioglitazone)やロシグリタゾン(Rosiglitazone)は2型糖尿病薬として利用されている(非特許文献3)。
他方、Smadファミリーは、TGF−β(transforming growth factor−β)ファミリー分子の刺激によってリン酸化を受け、核にそのシグナルを伝達する細胞内情報伝達因子である。また、Smad3特異的な阻害剤であるSIS3(specific inhibitor of Smad3)は、TGF−βに起因する組織の線維化を予防、改善する薬剤として期待されている(非特許文献4)。また、近年、Smad3欠損マウスが食餌性肥満及び糖尿病に対して耐性を示すことより、このTGF−β/Smad3シグナル伝達経路がグルコース及びエネルギーの恒常性に関与する可能性が示唆されており、肥満及び糖尿病予防、改善におけるTGF−β制御法の適用が検討されている(非特許文献5)。一方で、Smad3欠損マウスにおいては、血中トリグリセリドレベルはむしろ増加し、インスリンも増加するという報告もされている(非特許文献6)。
また、βアドレナリン受容体には、β1、β2及びβ3として分類される3種類のサブタイプが存在し、例えば、β3アドレナリン受容体は、主に脂肪細胞、脳、胆嚢、前立腺、膀胱、腸管に存在し、その他に肝臓、胃等にも存在することが知られている。β3アドレナリン受容体は、当該受容体を介する刺激により脂肪の分解促進作用、熱産生の促進作用、血糖降下作用、抗高脂血症作用、腸管運動の抑制作用、グルコースの取り込み促進作用、抗うつ作用等が引き起こされることが報告されている(特許文献1、非特許文献7、8)。
TGR5は、主に骨格筋や褐色脂肪細胞に存在し、例えば胆汁酸が、TGR5の内因性リガンドとして働くことにより、脂肪組織での熱産生を促進し、エネルギー代謝改善効果を有することが報告されている(非特許文献9)。
特開平10−33178号公報
Patrick Seale et al., DIABETES, VOL. 58, 1482-1484, 2009 Michael Lehrke et al., Cell 123, 993-999, 2005 Steven M. Watkins et al., Journal of Lipid Research Volume 43, 1809-1817, 2002 Masatoshi Jinnin et al., Mol Pharmacol 69, 597-607, 2006 Hariom Yadav et al., Cell Metabolism 14, 67-79, 2011 Chek Kun Tan et al., Diabetes, 60, 464-476, 2011 David C. Humber et al., J. Med. Chem. 35, 3081-3084, 1992 斉藤昌之 「エネルギー代謝調節機構―UCPを中心に」、第124回日本医学会シンポジウム、62-70、2003 石井伸一 「胆汁酸からの糖・脂質代謝疾患への新たなアプローチ」、日薬理誌、第136巻、第5号、2010年11月
本発明は、優れたUCP−1発現促進作用を有し、褐色脂肪化(褐色化とも称する)を促す医薬品、医薬部外品又は皮膚外用剤、若しくは医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤又は食品等へ配合する素材を提供することに関する。
本発明者らは、上記課題に鑑み検討したところ、PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせて使用した場合に、UCP−1の発現を有意に促進して、褐色脂肪化を促し、斯かる組み合わせがエネルギー消費促進、体脂肪蓄積抑制、肥満の予防又は改善、高脂血症の予防又は改善、糖尿病の予防又は改善、脂質燃焼促進、糖代謝改善、脂質代謝改善の各効果を発揮し得る医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤又は食品等の素材として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(12)に係るものである。
(1)PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなるUCP−1発現促進剤。
(2)PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる褐色脂肪化促進剤。
(3)PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなるエネルギー消費促進剤。
(4)PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる体脂肪蓄積抑制剤。
(5)PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる肥満予防又は改善剤。
(6)PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる糖尿病予防又は改善剤。
(7)PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる高脂血症予防又は改善剤。
(8)PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる脂質燃焼促進剤。
(9)PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる糖代謝改善剤。
(10)PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる脂質代謝改善剤。
(11)PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなるアディポネクチン産生促進剤。
(12)PPARγ活性化剤の摂取又は投与と、Smad3阻害剤の摂取又は投与或いはSmad3を阻害するための処置と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤の摂取又は投与或いはβ3アドレナリン受容体又はTGR5を活性化するための処置とを組み合わせることを特徴とする、非治療的UCP−1発現促進方法、非治療的褐色脂肪化促進方法、非治療的エネルギー消費促進方法、非治療的体脂肪蓄積抑制方法、非治療的肥満予防又は改善方法、非治療的糖尿病予防又は改善方法、非治療的高脂血症予防又は改善方法、非治療的脂質燃焼促進方法、非治療的糖代謝改善方法、非治療的脂質代謝改善方法、非治療的アディポネクチン産生促進方法。
本発明によれば、優れたUCP−1発現促進作用及び褐色脂肪化作用を有し、エネルギー消費促進、体脂肪蓄積抑制、肥満の予防又は改善、糖尿病の予防又は改善、高脂血症の予防又は改善、脂質燃焼促進、糖代謝改善、脂質代謝改善、アディポネクチン産生促進等のために有用な、医薬品、医薬部外品、或いは医薬品、医薬部外品又は食品に使用される素材及び方法を提供できる。したがって、本発明によれば、UCP−1の発現及び褐色脂肪化を促進させ、エネルギー消費の促進、体脂肪蓄積の抑制、肥満予防又は改善、糖尿病の予防又は改善、及び高脂血症の予防又は改善、脂質燃焼促進、糖代謝改善、脂質代謝改善、アディポネクチン産生促進が可能となる。
UCP−1発現量(in vitro)を示すグラフ。 UCP−1発現量(in vitro)を、PPARγ活性化剤の有無で示すグラフ。 UCP−1発現量(in vitro)を、Smad3阻害剤及びsiRNAの有無で示すグラフ。 UCP−1発現量(in vitro)を、Smad3阻害剤の有無で示すグラフ。 UCP−1発現量(in vitro)を、β3アドレナリン受容体活性化剤の有無で示すグラフ。 UCP−1発現量(in vivo)を示すグラフ。左図:定量的PCRの結果、右図:ウエスタンブロッティングの結果。 UCP−1発現量(in vitro)を示すグラフ。 鼠径部皮下脂肪におけるUCP−1の免疫組織化学の染色像を示す顕微鏡写真。 酸素消費量及び呼吸商の測定結果を示すグラフ。左図:酸素消費量の平均値、右図:呼吸商の平均値。All:全日、Day:明期、Night:暗期 脂質燃焼量及び糖質燃焼量の測定結果を示すグラフ。左図:脂質燃焼量の平均値、右図:糖質燃焼量の平均値。All:全日、Day:明期、Night:暗期 直腸温の測定結果を示すグラフ。左図:明期、右図:暗期。 糖代謝の測定結果を示すグラフ。左上図:血糖値、右上図:血糖値のΔAUC、左下図:インスリン、右下図:インスリンのΔAUC。 脂質代謝の測定結果を示すグラフ。左上図:トリグリセリド、右上図:トリグリセリドのΔAUC、左下図:NEFA、右下図:NEFAのΔAUC。 ラットの体重の測定結果を示すグラフ。 ラットの脂肪組織重量の測定結果を示すグラフ。 TGF−β刺激応答性のSmad3リン酸化亢進抑制作用を示す図。(レーン左;低濃度サンプル、レーン右;高濃度サンプル) PPARγの活性化作用を示す図。 TGR5の活性化作用を示す図。
本発明において用いられるPPARγ活性化剤とは、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)γを活性化する物質の総称であり、PPARγ活性化剤或いはPPARγリガンド、PPARγアゴニストともいわれる。代表的PPARγ活性化剤として知られるチアゾリジン誘導体は、脂肪組織において小型の脂肪細胞を増加させ、アディポネクチンなどのインスリン感受性ホルモンの分泌を促進することで、インスリン抵抗性を改善することから、広く2型糖尿病薬として利用されている。
PPARγ活性化剤としては、例えば下記構造式で表わされるロシグリタゾン(BRL49653)(J Biol Chem. 1995 Jun 2;270(22):12953-6.)、ピオグリタゾン(J Biol Chem. 1995 Jun 2;270(22):12953-6.)の他、ネトグリタゾン(Bone. 2006 Jan;38(1):74-84.)、ダルグリタゾン(J Pharmacol Exp Ther 305:1173-1182)、シグリタゾン(J Biol Chem. 1995 Jun 2;270(22):12953-6.)、エングリタゾン(J Biol Chem. 1995 Jun 2;270(22):12953-6.)、トログリタゾン(Eur J Biochem. 1996 Jul 1;239(1):1-7.)、リヴォグリタゾン(Ann Pharmacother. 2013 Jun;47(6):877-85.)、FK-614(Metabolism. 2005 Sep;54(9):1250-8.)、Tesaglitazar(AZ-242)(Structure. 2001 Aug;9(8):699-706.)、Ragaglitazar (J Med Chem. 2001 Aug 2;44(16):2675-8.)、Prostaglandin D2、J2、delta12-prostaglandin J2、15-Deoxy-delta 12, 14-prostaglandin J2(Cell. 1995 Dec 1;83(5):803-12.)、docosahexaenoic acid、eicosapentaenoic acid、 linolenic acid、linoleic acid、arachidonic acid(Mol Endocrinol. 1997 Jun;11(6):779-91.)、Telmisartan(Acta Diabetol. 2005 Apr;42 Suppl 1:S9-16.)、Carsonic acid (Planta Med. 2006 Aug;72(10):881-7.)、FMOC−L−ロイシン及びその誘導体(特表2004−501896号公報)、アリールオキシ酢酸置換基を有するN−置換インドール、デヒドロジオイゲノールA、デヒドロジオイゲノールB、マグノロール、オレアノール酸、ベツリン酸(特開2005−97216号公報)、ロスマリン酸誘導体(特開2006−273741号公報)、モノアシルグリセロール又はその誘導体(特開2008−106040号公報)、ジンゲロール類又はその誘導体(特開2008−285438号公報)、ショウガ(特開2010−106001)、ジフェニルエテン誘導体(特開2012−116799号公報)、炭素鎖長20〜22の高度不飽和脂肪酸の水酸化誘導体(国際公開第2002/102364号)、GW1929(Diabetes. 1999 Jul;48(7):1415-24)、nTZDpa(Mol Endocrinol. 2003 Apr;17(4):662-76.)、乳酸菌処理物(国際公開第2013/084971号)、醤油粕(特開2009−242382号公報)、クルクミン(Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:470975. doi: 10.1155/2013/470975.)等が挙げられる。
また、後記参考例に示すように、ショウガ抽出物、ナツメグ抽出物、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ロベージ抽出物、エレミ抽出物、クローブ抽出物、シトロネラ抽出物、ベイ抽出物、シンナモン抽出物、ダバナ抽出物、アサの実抽出物、ケシの実抽出物、アシタバカルコンには、PPARγ活性化作用があることが確認されており、ショウガ又はその抽出物、ナツメグ又はその抽出物、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ロベージ及びその抽出物、エレミ又はその抽出物、クローブ又はその抽出物、シトロネラ又はその抽出物、ベイ又はその抽出物、シンナモン、又はその抽出物、ダバナ又はその抽出物、アサの実又はその抽出物、ケシの実又はその抽出物、アシタバカルコンを本発明のPPARγ活性化剤として用いることができる。このうち、ショウガ又はその抽出物、ナツメグ又はその抽出物、DHA、EPA及びそれらを含有する魚油、クローブ又はその抽出物、シンナモン又はその抽出物、ベイ又はその抽出物が好ましい。
本発明において用いられるSmad3阻害剤とは、Smad3が担う細胞内シグナル伝達系の阻害作用を有する物質を意味し、例えばSmad3のリン酸化抑制剤やSmad3の発現抑制剤が挙げられる。また、Smad3とSmad4の相互作用を阻害する物質や、TGF−β受容体拮抗剤、TGF−βシグナル伝達阻害剤、アクチビン受容体拮抗剤、Smad3分解促進剤等もSmad3阻害剤として挙げられる。
Smad3阻害剤としては、代表的にはSpecific Inhibitor of Smad3(SIS3)として知られている、下記式で示される6,7−ジメトキシ−2−((2E)−3−(1−メチル−2−フェニル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル−プロプ−2−エノイル))−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩( Molecular Pharmacology 69(2) 597-607)が挙げられるが、塩酸塩が好ましい。
その他、Naringenin(Pharmaceutical Research 23(1) 82-89, 2006)、SB431542(Molecular Pharmacology 62: 58-64, 2002)、LY2157299 (Proc Amer Assoc Cancer Res. 2006:47. Abstract 250)、ウルソール酸(特開2000−159673号公報)、オレアノール酸(特開2000−159793号公報)、ピリジルアクリル酸アミド誘導体(国際公開第99/05109号)、キナゾリン誘導体(特表2002−523502号公報)、シクロピロパンカルボン酸アミド化合物(特開2004−35475号公報)、ピリジン/トリアジン誘導体(特表2006−503043号公報)、ピラジン誘導体(特表2006−519833号公報)、縮合複素芳香族化合物(特表2006−519249号公報)、イソチアゾール誘導体(特表2006−516603号公報)、イソチアゾール/イソキサゾール誘導体(特表2006−506443号公報)、ピラゾール誘導体(特表2006−507353号公報)、イミダゾール誘導体(特表2006−502237号公報)、トリアゾール誘導体(特表2006−502236号公報)、トリアゾール/オキサゾール誘導体(特表2006−502235号公報)、キナゾリン誘導体(特表2007−517046号公報)、ピリミジニルイミダゾール誘導体(特表2008−511631号公報、特表2008−511630号公報)、ピラゾール誘導体(特開2009−197016号公報、特表2009−502780号公報、特表2004−535404号公報)、二本鎖RNA(特表2011−527893号公報)、TGF−β1阻害ペプチド(特表2012−519671号公報、特開2012−214489号公報、特表2009−512727号公報、特開2008−56685号公報、特開2007−186519号公報)、アルコキシ−チエノピリミジン誘導体(特表2012−530731号公報)、イミダゾチアジアゾール誘導体(特表2011−529456号公報)、チエノピリミジン誘導体(特表2011−518132号公報)、トリアザベンゾ[e]アズレン誘導体(特表2010−508311号公報)、トリアゾール誘導体(特表2009−520706号公報)、ヘテロサイクル誘導体(特表2006−527722号公報)、チアゾール誘導体(特表2006−527720号公報)、ピラゾール湯導体(特表2005−539026号公報)、2−フェニルピリジン−4−イルヘテロサイクル誘導体(特表2005−539000号公報)、ピリジン誘導体(特表2005−537291号公報)、トリアゾール誘導体(特表2005−538997号公報)、アミノチアゾール誘導体(特表2005−538996号公報)、ベンゾオキサジノン誘導体(特表2005−530800号公報)、チアゾール誘導体(特表2004−521903号公報)、ピラゾール誘導体(特表2004−521901号公報)、チアゾール誘導体(特表2004−523540号公報)、チアゾールアミン誘導体(特表2004−524302号公報)、トリアゾール誘導体(特表2004−517069号公報)、ピリジニルイミダゾール誘導体(特表2003−524010号公報)、トリアリールイミダゾール誘導体(特表2002−541253号公報)等を、Smad3阻害に有効なTGF−β阻害剤として挙げることができる。
また、後記参考例に示すように、植物タンニン、ルテオリン、ローズマリー抽出物、白茶抽出物、マリアアザミ抽出物、ログウッド色素、ピーナツ種皮抽出物、ライチポリフェノール、リンゴポリフェノール、ウーロン茶抽出物、及びオールスパイスには、Smad3阻害作用があることが確認されており、植物タンニン、ルテオリン、ローズマリー又はその抽出物、白茶又はその抽出物、マリアアザミ又はその抽出物、ログウッド色素、ピーナツ種皮又はその抽出物、ライチポリフェノール、リンゴポリフェノール、ウーロン茶又はその抽出物、及びオールスパイスを本発明のSmad3阻害剤として用いることができる。このうち、植物タンニン、ローズマリー又はその抽出物、オールスパイス、又はルテオリンが好ましい。
また、Smad3を阻害するための処置としては、Smad3が担う細胞内シグナル伝達系を阻害するための処置、例えばSmad3のリン酸化抑制やSmad3の発現抑制を行うための処置が挙げられ、具体的には、温熱処置(特開2009−226069号公報)等が挙げられる。
本発明において用いられるβ3アドレナリン受容体活性化剤とは、β3アドレナリン受容体を刺激して活性化する物質を意味する。β3アドレナリン受容体が活性化されると、cAMPの生成を促して、UCP1の発現が増加し、脂肪の分解促進作用、熱産生の促進作用、血糖降下作用、抗高脂血症作用、腸管運動の抑制作用、グルコースの取り込み促進作用、抗うつ作用等が引き起こされることが知られている。
β3アドレナリン受容体活性化剤としては、代表的にはノルエピネフリン、エピネフリン、CL316,243、ミラベグロン、Amibegron、Solabegron、L−796,568、LY−368,842、Ro40−2148等が挙げられる。また、交感神経を活性化する剤を用いてもよく、例えば、TRPV1活性化作用を有するカプサイシン、カプシエイト、アリシン、パラドール等が挙げられる(Pharmacology & Therapeutics106:179-208, 2005)。
本発明において用いられるTGR5活性化剤とは、Gタンパク質共役型受容体TGR5を刺激して活性化する物質を意味する。TGR5が活性化されると、細胞内のcAMPを増加させ、D2遺伝子の活性化により、甲状腺ホルモンのT4のT3への変換を促進させ、熱産生、基礎代謝及び脂肪燃焼(β−酸化)が促進されることが知られている。
TGR5活性化剤としては、代表的には胆汁酸、デオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロコール酸、グリコール酸、ウルソデオキシコール酸、ノミリン(特開2011−241189号公報)、TGR5モデュレーター(特表2012−509348号公報)、TGR5モデュレーター(特表2012−509349号公報)、TR5アゴニスト(特表2013−513605号公報)、縮合環化合物(特開2004−346059号公報)、縮合環化合物(特開2006−56881号公報)、TGR5受容体作動剤(特開2006−63064号公報)、イオノン類(特開2013−173713号公報)等が挙げられる。
また、後記参考例に示すように、コール酸、ハッカ抽出物、発酵グアバ茶抽出物、オリーブ茶抽出物、オリーブリーフ抽出物、レモンバーム抽出物、ヒソップ抽出物、カンゾウ抽出物、西洋サンザシ抽出物、マジョラム抽出物、マテ茶抽出物、バナバ葉抽出物、シソエキス、大豆サポニン、サンソウニン抽出物、バジル抽出物、レンコン抽出物、柿の葉茶抽出物、ディル抽出物、スペアミント抽出物、ブラックカーラント色素、バコパモニエラ抽出物、サポニン、ナツメグ抽出物、ジンゲロール、ビワ茶抽出物、赤ショウガエキス−P、及びチェストツリー抽出物には、TGR5活性化作用があることが確認されており、コール酸、ハッカ又はその抽出物、発酵グアバ茶又はその抽出物、オリーブ茶又はその抽出物、オリーブリーフ又はその抽出物、レモンバーム又はその抽出物、ヒソップ又はその抽出物、カンゾウ又はその抽出物、西洋サンザシ又はその抽出物、マジョラム又はその抽出物、マテ茶又はその抽出物、バナバ葉又はその抽出物、シソエキス、大豆サポニン、サンソウニン又はその抽出物、バジル又はその抽出物、レンコン又はその抽出物、柿の葉茶又はその抽出物、ディル又はその抽出物、スペアミント又はその抽出物、ブラックカーラント色素、バコパモニエラ、サポニン、ナツメグ又はその抽出物、ジンゲロール、ビワ茶又はその抽出物、赤ショウガエキス−P、及びチェストツリー又はその抽出物をTGR5活性化剤として用いることができる。このうち、胆汁酸、発酵グアバ茶、オリーブ茶、又はコール酸類が好ましい。
また、β3アドレナリン受容体又はTGR5を活性化するための処置としては、β3アドレナリン受容体又はTGR5が担う細胞内シグナル伝達系を活性化するための処置、β3アドレナリン受容体又はTGR5の発現を促進するための処置が挙げられ、具体的には、寒冷処置(Physiol Rev 84: 277-359, 2004)等が挙げられる。
PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤との好適な組み合わせとしては、UCP−1発現誘導の点から、チアゾリジン誘導体とSmad3阻害剤とβ3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤の組合せ、好ましくはロシグリタゾン(マレイン酸ロシグリタゾン)又はピオグリタゾンと、SIS3又はSB431542と、CL316,243、ミラベグロン又はノルエピネフリンとの組み合わせ、さらに好ましくはロシグリタゾン(マレイン酸ロシグリタゾン)とSIS3とCL316,243の組み合わせが挙げられる。
本発明のPPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなるUCP−1発現促進剤、褐色脂肪化促進剤、エネルギー消費促進剤、体脂肪蓄積抑制剤、肥満予防又は改善剤、糖尿病予防又は改善剤、高脂血症予防又は改善剤、脂質燃焼促進剤、糖代謝改善剤、脂質代謝改善剤、又はアディポネクチン産生促進剤は、配合剤として、それぞれの有効量を適当な配合比において一の剤型に製剤化したものでも、またそれぞれの有効量を含有する薬剤を単独に製剤化したものを同時に又は間隔を空けて別々に使用できるようにしたキットであってもよいが、同時摂取が好ましい。また、Smad3を阻害するための処置及びβ3アドレナリン受容体又はTGR5を活性化するための処置は、剤の投与と同時に又は間隔を空けて行ってもよいが、好ましくは剤の投与と同時に処置を行う。
また、PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせて配合剤とする場合、その配合比率は、素材、用途又は製剤の種類に応じて適宜選択することができるが、概ね、PPARγ活性化剤:Smad3阻害剤:β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤が、1:0.001〜10000:0.001〜10000、好ましくは1:0.01〜1000:0.01〜1000、さらに好ましくは1:0.02〜100:0.02〜100である。
後記実施例に示すように、PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせて、ラット皮下脂肪由来培養細胞に添加した場合、UCP−1遺伝子の発現が有意に増加し、また、PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてラットに投与した場合に、皮下脂肪においてUCP−1遺伝子の発現が有意に増加し、その効果は、PPARγ活性化剤、Smad3阻害剤、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤をそれぞれ単独で添加又は投与した場合に得られる効果の相加を超え、相乗的効果であると云える。
すなわち、PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤或いはSmad3を阻害する処置と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤或いはβ3アドレナリン受容体又はTGR5を活性化する処置との併用は、UCP−1発現を促進するため或いは脂肪細胞を褐色化するために使用すること、例えばUCP−1発現促進剤又は褐色脂肪化促進剤として使用することができ、また、当該UCP−1発現促進剤又は褐色脂肪化促進剤を製造するために使用することができる。
また、UCP−1の発現が促進されることにより、熱産生が促進され、その結果としてエネルギーの消費が増大すると考えられており(前記非特許文献1)、実際に、PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせて使用した場合に、脂質燃焼量が増加するとともに、直腸温が上昇し、エネルギー消費促進作用及び脂質燃焼促進が認められている(実施例3)。
UCP−1の発現が促進されることにより、脂質代謝及び血糖値の改善をすると考えられており(前記非特許文献1)、実際に、PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせて使用した場合に、血糖値、血中インスリン値、中性脂肪(TG)値、NEFA(脂肪酸)値が顕著に低下し、糖代謝改善作用及び脂質代謝改善作用が認められている(実施例4)。
UCP−1の発現が促進されることにより、脂肪蓄積及び肥満を抑制すると考えられており(前記非特許文献1)、実際に、PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせて使用した場合に、体重及び脂肪組織重量値が顕著に低下し、脂肪蓄積抑制作用及び肥満予防又は改善作用が認められている(実施例5)。
また、UCP−1の発現が促進、熱産生が増加されることにより、体脂肪が減少するとともに白色脂肪細胞が小型化し、血中アディポネクチン量が増加したと考えられる(実施例6)。
したがって、PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤との併用は、エネルギー消費促進、体脂肪蓄積抑制、肥満予防又は改善、糖尿病予防又は改善、高脂血症予防又は改善のために使用すること、例えばエネルギー消費促進剤、体脂肪蓄積抑制剤、肥満予防又は改善剤、糖尿病予防又は改善剤、高脂血症予防又は改善剤として使用することができ、また、当該エネルギー消費促進剤、体脂肪蓄積抑制剤、肥満予防又は改善剤、糖尿病予防又は改善剤、及び高脂血症予防又は改善剤を製造するために使用することができる。
尚、当該使用は、ヒト若しくは非ヒト動物、又はそれらに由来する検体における使用であり得、また治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。
ここで、「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
ここで、「UCP−1の発現促進」とは、UCP−1 mRNAへのUCP−1遺伝子の転写を誘導又は促進すること、UCP−1タンパク質へのUCP−1 mRNAの翻訳を誘導又は促進することが挙げられる。
また、「褐色脂肪化促進」とは、白色脂肪の褐色脂肪化を誘導又は促進する、あるいは、前駆脂肪細胞から褐色脂肪(細胞)への分化を誘導又は促進することを意味し、「褐色脂肪化」とは、白色脂肪の形質が褐色脂肪に特徴的な形質に転化する、あるいは前駆脂肪細胞から褐色脂肪(細胞)に特徴的な形質を有する脂肪細胞を誘導することをいう。具体的には、組織学的には、褐色脂肪細胞に特異的な細胞径の小型化、あるいは多房性の中性脂肪蓄積構造などを呈する、あるいはミトコンドリアが増加する、あるいは、mRNAまたは蛋白質レベルで、褐色脂肪細胞のマーカー分子として知られるUCP−1を発現していることが挙げられる。
尚、本発明において、「褐色脂肪(細胞)」には、「古典的褐色脂肪(細胞)」の他に「Beige脂肪(細胞)」或いは「Brite脂肪(細胞)」と呼ばれる脂肪(細胞)も含まれるものとし、「褐色脂肪化」には「古典的褐色脂肪化」、「Beige脂肪化」、「Brite脂肪化」も含まれるものとする(篠田幸作、梶村真吾:細胞工学 Vol.32,No.7,769−773,2013)。
「脂質燃焼促進」とは、食事由来あるいは体内に蓄積された脂肪由来の脂質、特に脂肪酸の燃焼(酸化)を促進することを意味する。
「アディポネクチン産生促進」とは、アディポネクチン産生組織において、アディポネクチンのmRNA及び/又は蛋白質の発現を増加することや、アディポネクチンのmRNA及び/又は蛋白質の分解を抑制することによりアディポネクチンのmRNA及び/又は蛋白質の産生量を増加することを意味し、その結果、アディポネクチン分泌量が増加することや血中アディポネクチン濃度が上昇することも含む概念である。
従って、本発明のUCP−1発現促進剤、褐色脂肪化促進剤、エネルギー消費促進剤、体脂肪蓄積抑制剤、肥満予防又は改善剤、糖尿病予防又は改善剤、高脂血症予防又は改善剤、脂質燃焼促進剤、糖代謝改善剤、脂質代謝改善剤及びアディポネクチン産生促進剤(以下、「UCP−1発現促進剤等」と称する)は、UCP−1の発現促進、脂肪細胞の褐色化、エネルギー消費促進、体脂肪蓄積抑制、肥満の予防又は改善、糖尿病の予防又は改善、高脂血症予防又は改善、脂質燃焼促進、糖代謝改善、脂質代謝改善、アディポネクチン産生促進の各効果を奏する医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤として、或いは医薬品、医薬部外品、皮膚外用剤又は食品へ配合するための素材又は製剤として有用である。
上記医薬品(医薬部外品も含む)の剤形は、例えば注射剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、各種外用剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等の何れでもよく、投与形態も、経口投与(内用)、非経口投与(外用、注射)の何れであってもよい。このような種々の剤型の医薬製剤を調製するには、例えば本発明のPPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤、他の薬効成分等を適宜組み合わせて用いることができる。
上記皮膚外用剤(医薬部外品も含む)は、使用方法に応じて、ローション、乳液、ゲル、クリーム、軟膏剤、粉末、顆粒等の種々の剤型で提供することができる。このような種々の剤型の皮膚外用剤は、例えば本発明のPPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤と、皮膚外用剤に配合され得る、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬効成分、香料、樹脂、防菌防黴剤、植物抽出物、アルコール類等を適宜組み合わせることにより調製することができる。
上記医薬品や皮膚外用剤(医薬部外品も含む)に配合可能な薬効成分としては、例えば、ビタミン類、脂肪代謝促進作用が知られている薬物或いは天然物(例えば、キサンチン誘導体、α−アドレナリン作用抑制薬、PPARα活性化剤、PPARδ活性化剤、ビピリジン誘導体、イソフラボン酸、グレープフルーツオイル、ヌートカトン、カフェイン、唐辛子又はそのエキス、カプサイシン又はその類縁体、レスベラトロール、ココアポリフェノール、コーヒーポリフェノール、クロロゲン酸、フェルラ酸、ケルセチン、ヘスペリジン及びその配糖体、アスタキサンチン、αリポ酸、リン脂質等)等が挙げられる。
上記医薬品や皮膚外用剤(医薬部外品も含む)におけるPPARγ活性化剤の含有量は、通常、製剤全質量の0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、そして95質量%以下、好ましくは80質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。また、0.01〜95質量%、好ましくは0.1〜80質量%、更に好ましくは1.0質量%〜60質量%が挙げられる。
また、Smad3阻害剤の含有量は、製剤全質量の0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、そして95質量%以下、好ましくは80質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。また、0.01〜95質量%、好ましくは0.1〜80質量%、更に好ましくは1.0質量%〜60質量%が挙げられる。
β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤は、製剤全質量の0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、そして95質量%以下、好ましくは80質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。また、0.01〜95質量%、好ましくは0.1〜80質量%、更に好ましくは1.0質量%〜60質量%が挙げられる。
また、上記食品には、エネルギー消費促進、体脂肪蓄積抑制、肥満予防又は改善、糖尿病予防又は改善、高脂血症予防又は改善、脂質燃焼促進、糖代謝改善、脂質代謝改善等をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した病者用食品、栄養機能食品又は特定保健用食品等の機能性食品が包含される。
食品の形態は、固形、半固形又は液状であり得る。食品の例としては、パン類、麺類、クッキー等の菓子類、ゼリー類、乳製品、冷凍食品、インスタント食品、でんぷん加工製品、加工肉製品、その他加工食品、お茶やコーヒー飲料、果実飲料、炭酸飲料、ゼリー状飲料等の飲料、スープ類、調味料、栄養補助食品等、及びそれらの原料が挙げられる。また食品は、サプリメントのように、上記の経口投与製剤と同様、錠剤形態、丸剤形態、カプセル形態、液剤形態、シロップ形態、粉末形態、顆粒形態等であってもよい。
斯かる食品は、任意の飲食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、増粘剤、固着剤、分散剤、湿潤剤等を適宜組み合わせて配合し、調製することができる。また、ビタミン類、脂肪代謝促進作用が知られている薬物或いは天然物(例えば、イソフラボン酸、グレープフルーツオイル、ヌートカトン、カフェイン、唐辛子又はそのエキス、カプサイシン又はその類縁体、レスベラトロール、ココアポリフェノール、コーヒーポリフェノール、クロロゲン酸、フェルラ酸、ケルセチン、ヘスペリジン及びその配糖体、アスタキサンチン、αリポ酸、リン脂質等)等の薬効成分を適宜配合することができる。
上記の食品中のPPARγ活性化剤の含有量は、その使用形態により異なるが、通常、0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であり、そして50質量%以下、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。例えば、0.0001%〜50質量%、好ましくは0.001〜20質量%、更に好ましくは0.01〜10質量%が挙げられる。
また、Smad3阻害剤の含有量は、製剤全質量の0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であり、そして50質量%以下、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。例えば、0.0001%〜50質量%、好ましくは0.001〜20質量%、更に好ましくは0.01〜10質量%が挙げられる。
β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤は、製剤全質量の0.0001質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であり、そして50質量%以下、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。例えば、0.0001%〜50質量%、好ましくは0.001〜20質量%、更に好ましくは0.01〜10質量%が挙げられる。
本発明のPPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤との組み合わせを医薬品或いはサプリメントとして、或いは医薬品或いはサプリメントに配合して使用する場合の投与量は、PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤との種類により、また、対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、経口投与の場合の成人1人当たりの1日の投与量は、通常、PPARγ活性化剤として1mg以上、好ましくは5mg以上、更に好ましくは15mg以上であり、そして10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。ピオグリタゾンの場合は、通常一日あたり1mg〜45mg、特に15mg〜45mg、ロシグリタゾンの場合は通常一日当り1mg〜8mg、特に4mg〜8mgが好ましい。また、Smad3阻害剤として、1mg以上、好ましくは5mg以上、更に好ましくは15mg以上であり、そして10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤として、1mg以上、好ましくは5mg以上、更に好ましくは15mg以上であり、そして10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。ミラベグロンの場合は通常一日当たり5〜100mg、特に25〜50mgが好ましい。
また、上記製剤は、任意の投与計画に従って投与され得るが、1日1回〜数回に分け、数週間〜数ヶ月間継続して投与することが好ましい。 また、投与又は摂取対象としては、それを必要としている若しくは希望している動物であれば特に限定されないが、エネルギー消費促進、体脂肪蓄積抑制、肥満予防又は改善、脂質燃焼促進、糖代謝改善、脂質代謝改善を必要とする若しくは希望するヒトが挙げられる。
上述した実施形態に関し、本発明においてはさらに以下の態様が開示される。
<1>PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなるUCP−1発現促進剤。
<2>PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる褐色脂肪化促進剤。
<3>PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなるエネルギー消費促進剤。
<4>PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる体脂肪蓄積抑制剤。
<5>PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる肥満予防又は改善剤。
<6>PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる糖尿病予防又は改善剤。
<7>PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる高脂血症予防又は改善剤。
<8>PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる脂質燃焼促進剤。
<9>PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる糖代謝改善剤。
<10>PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる脂質代謝改善剤。
<11>PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなるアディポネクチン産生促進剤。
<12>UCP−1発現促進剤、褐色脂肪化促進剤、エネルギー消費促進剤、体脂肪蓄積抑制剤、肥満予防又は改善剤、糖尿病予防又は改善剤、高脂血症予防又は改善剤、脂質燃焼促進剤、糖代謝改善剤、脂質代謝改善剤、又はアディポネクチン産生促進剤を製造するためのPPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤との組み合わせの使用。
<13>UCP−1発現促進、褐色脂肪化促進、エネルギー消費促進、体脂肪蓄積抑制、肥満予防又は改善、糖尿病予防又は改善、高脂血症予防又は改善、脂質燃焼促進、糖代謝改善、脂質代謝改善、又はアディポネクチン産生促進に使用するためのPPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤との組み合わせ。
<14> PPARγ活性化剤の摂取又は投与と、Smad3阻害剤の摂取又は投与或いはSmad3を阻害するための処置と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤の摂取又は投与或いはβ3アドレナリン受容体又はTGR5を活性化するための処置とを組み合わせることを特徴とするUCP−1発現促進方法、褐色脂肪化促進方法、エネルギー消費促進方法、体脂肪蓄積抑制方法、肥満予防又は改善方法、糖尿病予防又は改善方法、高脂血症予防又は改善方法、脂質燃焼促進方法、糖代謝改善方法、脂質代謝改善方法、又はアディポネクチン産生促進方法。
<15>前記<1>〜<14>において、PPARγ活性化剤は、ロシグリタゾン又はピオグリタゾンである。
<16>前記<1>〜<14>において、PPARγ活性化剤は、ショウガ又はその抽出物、ナツメグ又はその抽出物、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エレミ又はその抽出物、クローブ又はその抽出物、シトロネラ又はその抽出物、ベイ又はその抽出物、シンナモン又はその抽出物、アシタバカルコン、ロベージ又はその抽出物、ダバナ又はその抽出物、ケシの実又はその抽出物、アサの実又はその抽出物のいずれか1以上である。
<17>前記<1>〜<16>において、Smad3阻害剤は、SIS3又はSB431542である。
<18>前記<1>〜<16>において、Smad3阻害剤は、植物タンニン、ルテオリン、ローズマリー又はその抽出物、白茶又はその抽出物、マリアアザミ又はその抽出物、ログウッド色素、ピーナツ種皮又はその抽出物、ライチポリフェノール、リンゴポリフェノール、ウーロン茶、又はオールスパイスのいずれか1以上である。
<19>前記<1>〜<18>において、β3アドレナリン受容体活性化剤は、ノルエピネフリン、CL316,243又はミラベグロンである。
<20>前記<1>〜<18>において、TGR5活性化剤は、コール酸、ハッカ又はその抽出物、発酵グアバ茶又はその抽出物、オリーブ茶又はその抽出物、オリーブリーフ又はその抽出物、レモンバーム又はその抽出物、ヒソップ又はその抽出物、カンゾウ又はその抽出物、西洋サンザシ又はその抽出物、マジョラム又はその抽出物、マテ茶又はその抽出物、バナバ葉又はその抽出物、シソエキス、大豆サポニン、サンソウニン又はその抽出物、バジル又はその抽出物、レンコン又はその抽出物、柿の葉茶又はその抽出物、ディル又はその抽出物、スペアミント又はその抽出物、ブラックカーラント色素、バコパモニエラ、サポニン、ナツメグ又はその抽出物、ジンゲロール、ビワ茶又はその抽出物、赤ショウガエキス−P、及びチェストツリー又はその抽出物のいずれか1以上である。
<21>前記<12>において、使用は非治療的使用である。
<22>前記<14>において、方法は非治療的方法である。
<23>前記<14>において、投与又は摂取の対象は、エネルギー消費促進、体脂肪蓄積抑制、肥満予防又は改善、糖尿病予防又は改善、又は高脂血症予防又は改善、アディポネクチン産生促進を必要とする若しくは希望するヒトである。
実施例1 PPARγ活性化剤とSmad3阻害剤とβ3アドレナリン受容体活性化剤によるUCP−1発現誘導作用(細胞)
(1)脂肪組織からの前駆脂肪細胞の調製
Wistarラット(オス、8週齢)の腹部皮下脂肪組織を、コラーゲナーゼバッファー(0.05% collagenase +4% BSA in Hank’s buffer)中にて手術用メスで刻み、その後刻んだ組織を振とうしながら37℃で15分間インキュベートした。適量の培地(high glucose DMEM(invitrogen),+10% fetal bovine serum(FBS)(AusGeneX),+100 units/mL penicillin、+100 mg/mL streptomycin(invitrogen))を添加後、得られた細胞懸濁液を1000rpmで5分間遠心した。上清を除去し、ペレット(SVF; stromal vascular fraction)を得た。SVFはDMEM(+10%FBS、+penicillin、+streptomycin)培地に懸濁、T−175フラスコに播種、4日間培養し、前駆脂肪細胞として用いた。
(2)UCP−1発現誘導
前駆脂肪細胞を、I型コラーゲンにてコートした12穴プレートに播種し、翌日PPARγ活性化剤(ロシグリタゾン(Rosi)(和光純薬)、終濃度:1μM)及び/あるいはSmad3阻害剤(SIS3(SIGMA)、終濃度:10μM)を添加した。7日間培養後、β3アドレナリン受容体活性化剤(ノルエピネフリン(NE)(和光純薬)、終濃度:1μM))を添加、2時間培養した後、細胞をPBSで洗浄し回収した。
(3)定量的PCR
Total RNAの抽出は、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いて定法に従い行った。逆転写は、High Capacity RNA−to−cDNA Kit(アプライドバイオシステム)を用いて定法に従い行った。
得られたcDNA(30ng/well)を鋳型として、7500 Fast Real−Time PCR System(アプライドバイオシステム)を用いて定量的PCRを行った。各遺伝子の発現量は、36B4遺伝子発現量を内部標準として補正した。その結果を、ノルエピネフリン(NE)の有無で分けて、図1に示す。Controlは上記剤を含まないものとした。
図1より、UCP−1の発現量は、ロシグリタゾンとSIS3とノルエピネフリンを組み合わせることにより、相乗的に増加した。
(4)PPARγ活性化剤の寄与
上記で得られた前駆脂肪細胞(n=3)を、I型コラーゲンにてコートした12穴プレートに播種し、翌日PPARγ活性化剤(ロシグリタゾン(Rosi)(和光純薬)又は、ピオグリタゾン(和光純薬):1μM)及びSmad3阻害剤(SIS3(SIGMA)、10μM)を添加した。7日間培養後、β3アドレナリン受容体活性化剤(ノルエピネフリン(和光純薬)、1μM)にて2時間処理した細胞を回収した。
各遺伝子の発現量を、ロシグリタゾン又はピオグリタゾンの有無で分けて、図2に示す。
図2より、UCP−1の発現量は、SIS3とノルエピネフリンに、ロシグリタゾン又はピオグリタゾンを添加することにより、相乗的に増加した。
(5)Smad3阻害剤の寄与
前駆脂肪細胞をトリプシン処理により集め、Neon transfection System (invitrogen)を用いるエレクトロポレーション法により、各Smadに対するsiRNAを導入した。前駆脂肪細胞(3x10個)にsiRNA(Life technologies)50pmolを1150V/20ms/3pulsesにて導入、DMEM(+10%FBS、+100units/mL penicillin、+100 mg/mL streptomycin)培地に懸濁後、I型コラーゲンでコートした12穴プレートに播種した。6時間後にロシグリタゾンを添加し、一日毎に培地を交換しながら培養した。播種4日後にノルエピネフリンにて2時間処理した後に細胞を回収し、UCP−1発現量をRT−PCRにより解析した。尚、コントロールとして、ランダムなsiRNAを導入した細胞にロシグリタゾン、SIS3及びノルエピネフリンを同様の手法にて添加し解析を行った。
UCP−1遺伝子の発現に対する各SmadのsiRNAによる影響を図3に示す
図3の通り、ロシグリタゾン及びノルエピネフリン存在下で、siRNAによりSmad3及びSmad4をノックダウンすることにより、UCP−1の発現量が顕著に増加した。
上記で得られた前駆脂肪細胞(n=3)を、I型コラーゲンにてコートした12穴プレートに播種し、翌日PPARγ活性化剤(ロシグリタゾン(Rosi)(和光純薬)、10μM)及びSmad3阻害剤(SIS3(SIGMA)又はSB431542(SIGMA):10μM)を添加した。7日間培養後、β3アドレナリン受容体活性化剤(ノルエピネフリン(和光純薬)、1μM)にて2時間処理した細胞を回収した。
各遺伝子の発現量を、ロシグリタゾンの有無で分けて、図4に示す。
図4より、UCP−1の発現量は、SIS3とノルエピネフリンに、ロシグリタゾンを添加することにより、相乗的に増加した。
(6)β3アドレナリン受容体活性化剤の寄与
前駆脂肪細胞(n=3)を、I型コラーゲンにてコートした12穴プレートに播種し、翌日6時間後PPARγ活性化剤(ロシグリタゾン(Rosi)(和光純薬)、1μM)及びSmad3阻害剤(SIS3(SIGMA)、10μM)を添加した。7日間培養後、β3アドレナリン受容体活性化剤(ノルエピネフリン(和光純薬)又はミラベグロン(MedChemexpress):1μM)にて2時間処理した細胞を回収した。
UCP−1遺伝子の発現量を、ノルエピネフリン又はミラベグロンの有無で分けて、図5に示す。
図5より、UCP−1の発現量は、ロシグリタゾンとSIS3に、ノルエピネフリン又はミラベグロンを添加することにより、相乗的に増加した。
実施例2 UCP−1発現誘導作用(マウス)
(1)動物及びその飼育
C57BL/6J(SLC、♂、10週齢)を体重が均等になるように4群に分けた(n=10)。食餌は、標準固形飼料CE−2(オリエンタル酵母工業)を自由摂食させ、水道水を自由摂水させた。飼育環境は、室温を23±2℃、湿度を55±10%とし、明期を7〜19時とした。
(2)Alzet浸透圧ポンプの埋め込み手術
ソムノペンチル1/13希釈溶液を10mL/kg体重にて腹腔内投与した後、鎮痛剤ペンタゾシンを1mg/kg体重にて皮下注射した。背部を毛刈り後、以下の剤を充填した浸透圧ポンプAlzet(DURECT)を皮下に埋め込むことで、剤を持続投与した。<被験化合物>
第1群:対照
第2群:PPARγ活性化剤(Rosiglitazone;Rosi(5mg/kg体重/day))+Smad3阻害剤(SIS3(5mg/kg体重/day))
第3群:β3アドレナリン受容体活性化剤(CL316,243(0.01mg/kg体重/day))
第4群:PPARγ活性化剤(Rosiglitazone(5mg/kg体重/day))+Smad3阻害剤(SIS3(5mg/kg体重/day))+β3アドレナリン受容体活性化剤(CL316,243(0.01mg/kg体重/day))
手術一週間後、UCP−1発現量の解析のため、鼠蹊部皮下脂肪の採取を行った。採取組織は液体窒素を用いて即時凍結し、使用時まで−80℃にて保存した。また、組織染色用に10%ホルマリン溶液にて固定した。
(3)定量的PCR
Total RNAの抽出は、RNeasy Lipid Tissue Mini Kit (Qiagen)を用いて定法に従い行った。逆転写は、High Capacity RNA−to−cDNA Kit(アプライドバイオシステム)を用いて定法に従い行った。
逆転写反応により得られたcDNA(30ng/well)を鋳型として、7500 Fast Real−Time PCR System(アプライドバイオシステム)を用いて定量的PCRを行った。UCP−1遺伝子の発現量は、36B4遺伝子発現量を内部標準として補正した。有意差検定は、Tukey−Kramer法による多重比較検定を用いた(異文字間で P<0.05)。その測定結果を、図6(左図)に示す。
図6(左図)より、UCP−1の発現量は、ロシグリタゾンとSIS3とCL316,243を組み合わせることにより、顕著に増加した。
(4)ウエスタンブロッティング
鼠蹊部皮下脂肪にLysis bufferを加えホモジナイズした。3000rpm、4℃、5分間の遠心により固化した脂肪層を除去した後、12000rpm、4℃で10分間遠心した上清をタンパク質溶液として得た。
SDS−PAGEには、1レーンあたりタンパク質10μg分、4xSDS Sample buffer(Novagen)を1/4容量含む調製サンプルに対し、95℃で5分間熱変性をかけたものを用いた。Immun−BlotTM PVDF Membrane(BioRad)に転写し、以下の手順でブロッキング、抗体反応を行い、ECL prime western blotting detection system(Amersham)を用いて感光、バンドを検出した。その検出結果を、図6(右図)に示す。
5% スキムミルク/TBS−T,1時間(室温)
↓ TBS−Tにて洗浄
一次抗体/Can Get SignalTM solution1 (TOYOBO),O/N (4℃)
↓ TBS−Tにて洗浄二次抗体/Can Get SignalTM solution2 (TOYOBO),1時間(室温)
↓ TBS−Tにて洗浄
検出
※TBS−T;0.1% Tween20/Tris Buffered Saline(TBS)
Lysis buffer:RIPA buffer (SIGMA)、Protease inhibiter cocktail (1/1000量、SIGMA)
一次抗体:anti−UCP−1(Abcam ♯23841),1000倍希釈
anti−α−tubulin(Cell signaling ♯2144),1000倍希釈
二次抗体:anti−rabbit IgG, HRP linked(GEヘルスケア),1000倍希釈
図6(右図)より、UCP−1の発現量は、ロシグリタゾンとSIS3とCL316,243を組み合わせることにより、顕著に増加した。
(5)素材の組み合わせによるUCP−1誘導
下記参考例で得られたPPARγ活性化剤、Smad3阻害剤、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤について、下記の各素材を用いて、UCP−1発現誘導作用について検証した。
前駆脂肪細胞を、10% fetal bovine serum(FBS, AusGeneX) 及び 100units/mL penicillin (invitrogen)、100mg/mL streptomycin (invitrogen) を添加したhigh glucose DMEM(SIGMA)培地に懸濁後、I型コラーゲンにてコートした12穴プレートに播種し、37℃、5%CO条件下にて培養した。翌日、PPARγ活性化剤、Smad3阻害剤を各々添加し、7日間培養した。その後、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤を添加、2時間後に細胞を回収、mRNA抽出、RT−PCRに供し、UCP−1mRNA発現誘導作用を評価し、その結果を図7に示す。尚、評価に使用した濃度は以下のとおりである。
Rosiglitazone;Rosi 1μM
SIS3 10μM
Norepinephrine;NE 1μM
植物タンニン/ルテオリン/オールスパイス 0.001%(W/V)
ローズマリー/グローブ/シンナモン/ベイ 0.002%(W/V)
EPA(エイコサペンタエン酸) 100μM
胆汁酸 10μM
ハッカ/発酵グアバ茶/オリーブ茶/レモンバーム/ヒソップ/カンゾウ 0.01%(W/V)
図7より、PPARγ活性化剤、Smad3阻害剤、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤の各剤を組み合わせることにより、UCP−1の発現量は、顕著に増加した。
(6)UCP−1の免疫組織化学的染色
以下のプロトコルに従い、鼠蹊部皮下脂肪について、UCP−1の免疫組織化学的染色を行った。組織の固定には、10%ホルマリン溶液を用いた。抗体はanti−UCP−1(abcam ♯23841)を用いた。その染色結果を図8に示す。
<プロトコル>
1)パラフィン切片をキシレンにより脱パラフィン、アルコール,水洗し、PBSに浸漬。
2)Dako Target Retrieval solution, pH9(10×)でMW処理5分
3)PBS洗浄後、1%過酸化水素メタノール,室温30分
4)1次抗体300倍,反応時間室温60分
5)PBS洗浄後、Anti−Rabbit Envision ,室温30分
6)PBS洗浄後、DABにて発色、ヘマトキシリンで核染色し、脱水、透徹、封入。
※PBS洗浄は5分×3回
<試薬>
一次抗体: ab23841(abcam社)
二次抗体: EnvisionTM K4003(DAKO社)
DAB: K3468(Dako社)
Dako Target Retrieval solution, pH9: S2367(DAKO社)
図8より、ロシグリタゾンとSIS3とCL316,243を組み合わせることにより、細胞は小型化し、UCP−1の発現が誘導されたことがわかる(褐色に染まった部分)。
実施例3 エネルギー代謝促進作用
(1)動物及びその飼育
C57BL/6J(SLC、♂、7週齢)に、60cal%脂肪含有の高脂肪飼料(リサーチダイエット)を自由摂食、水道水を自由飲水させた。1週間ごとに体重測定を行い、10週間後、平均体重が均等になるように4群に分けた(n=8)。飼育環境は、室温を23±2℃、湿度を55±10%とし、明期を7〜19時とした。
(2)Alzet浸透圧ポンプの埋め込み手術
ソムノペンチル1/13希釈溶液を10mL/kg体重にて腹腔内投与した後、鎮痛剤ペンタゾシンを1mg/kg体重にて皮下注射した。背部を毛刈り後、以下の剤を充填した浸透圧ポンプAlzet (DURECT) を皮下に埋め込むことで、剤を持続投与した。
<被験化合物>
第1群:対照
第2群:PPARγ活性化剤(Rosiglitazone;Rosi:5mg/kg体重/day)+Smad3阻害剤(SIS3:5mg/kg体重/day)
第3群:β3アドレナリン受容体活性化剤(CL316,243:0.1mg/kg体重/day)
第4群:PPARγ活性化剤(Rosiglitazone;Rosi:5mg/kg体重/day)+Smad3阻害剤(SIS3:5mg/kg体重/day)+β3アドレナリン受容体活性化剤(CL316,243:0.1mg/kg体重/day)
(3)呼気分析:
呼気測定用チャンバーにマウスを1匹ずつ入れ3日間馴化させた後、術後10日目の19時から術後12日目の19時までの計48時間、Arco−2000system (アルコシステム)を用いて呼気分析を行った。測定項目は酸素消費量、呼吸商とし、また酸素消費量と呼吸商より下記のPeronnetの式を用いて脂質燃焼量、糖質燃焼量を算出した。測定は、15秒ごとにチャンバーを切り替えて行い、5分毎にデータの平均値を算出したものを測定値として解析に用いた。チャンバー内では60cal%脂肪含有の高脂肪飼料の自由摂食、水道水を自由飲水条件で飼育し、測定終了時に餌重量を測定することで摂餌量を算出した。有意差検定は、Tukey−Kramer法による多重比較検定を用いた(異文字間でP<0.05)。その測定の平均値を、図9、10に示す。
<Peronnetの式>
(Peronnet F et al(1991) Table of nonprotein respiratory quotient:an update. Can J Sport Sci 16:23−29)
脂質燃焼量=1.695×(1−1.701/1.695×呼吸商)×酸素消費量
糖質燃焼量=(4.585×呼吸商−3.226)×酸素消費量
図9、10より、ロシグリタゾンとSIS3とCL316,243を組み合わせることにより、酸素消費量(エネルギー消費量)及び脂質燃焼量(脂質酸化量)が増加することがわかる。
(4)直腸温の測定
ロシグリタゾンとSIS3とCL316,243の投与前及び投与後(術前及び術後)において、明期として術後14日目9時頃、暗期として術後12日目21時頃に直腸温を測定した。測定は、デジタル温度計にマウス用直腸温測定プローブ(RET−3; Physitemp) を接続したもの使用し、無麻酔・無補綴下にて行った。有意差検定は、Tukey−Kramer法による多重比較検定を用いた(異文字間でP<0.05)。その測定結果を、図11に示す。
図11より、ロシグリタゾンとSIS3とCL316,243を組み合わせることにより、直腸温が有意に上昇し、エネルギー消費(熱産生)が増加したことがわかる。
実施例4 糖代謝及び脂質代謝改善作用
上記動物のAlzet浸透圧ポンプの埋め込み手術後13日目に経口糖・脂質負荷試験を行った。糖・脂質混合乳剤として、10質量%グルコース及び10質量%コーン油を含有する以下の溶液を、超音波処理にて乳化したものを用いた。
<糖・脂質混合乳剤の組成>
グルコース 1g
コーン油 1g
卵黄レシチン 0.1g
脂肪酸不含BSA 0.4g
蒸留水 total 10mL
絶食12時間後、イソフルラン麻酔下にて補綴し、10mL/kg体重量の糖・脂質混合乳剤をゾンデにて経口投与した。0、15、30、60、120分後に、イソフルラン麻酔下で眼窩より採血すると共に、血糖値、血中インスリン濃度、血中トリグリセリド濃度(TG)及び血中遊離脂肪酸濃度(NEFA)を測定した。
血糖値は、簡易血糖値測定器アキュチェックアビバ(ロシュ)及び測定用試験紙アキュチェックアビバストリップII(ロシュ)にて測定した。また、採血した血液より10000rpm、4℃、6分間の遠心処理にて血清を分取し、血中インスリン濃度をインスリン測定キット(森永生科学研究所)、血中トリグリセリド濃度をTG E−テスト(和光純薬)、血中遊離脂肪酸濃度をNEFA C−テスト(和光純薬)にて測定した。AUCは、最低測定値を底辺とした面積にて算出した。有意差検定は、Tukey−Kramer法による多重比較検定を用いた(異文字間でP<0.05)。その測定結果を、図12、13に示す。
図12、13より、ロシグリタゾンとSIS3とCL316,243を組み合わせることにより、血糖値、血中インスリン値、中性脂肪(TG)値、NEFA(脂肪酸)値が顕著に低下し、糖代謝改善作用及び脂質代謝改善作用が認められた。
実施例5 肥満予防及び体脂肪蓄積抑制作用
(1)体重の測定
上記投与前後(術前及び術後)に、ラットの体重を測定した。術後の測定は、術後12日目の夜、呼気分析終了後かつ絶食開始前に行った。有意差検定は、Tukey−Kramer法による多重比較検定を用いた(異文字間でP<0.05)。投与前と投与後の差を図14に示す。
図14より、ロシグリタゾンとSIS3とCL316,243を組み合わせることにより、体重が低減し、抗肥満作用が認められた。
(2)脂肪組織重量の測定
上記手術後14日目に解剖を行った。イソフルラン麻酔下にて腹部大静脈から採血を行った後、下記に示す各組織を採取して、その組織の重量を測定した。有意差検定は、Tukey−Kramer法による多重比較検定を用いた(異文字間でP<0.05)。その測定結果を、図15に示す。
図15より、ロシグリタゾンとSIS3とCL316,243を組み合わせることにより、白色脂肪重量が有意に低減した。
実施例6 血液分析
上記解剖時に得た血液から血清について、以下に記載の市販測定キットを用いて成分分析を行い、その結果を表1に示す。
アディポネクチン:アディポネクチンELISAキット(大塚製薬)
インスリン:インスリン測定キット(森永生科学研究所)
グルコース:N−アッセイGlu−UL(ニットーボー)
総コレステロール:N−アッセイL T−CHO−H(ニットーボー)
トリグリセリド:N−アッセイTG−H(ニットーボー)
NEFA:NEFA−HA テストワコー(和光純薬)
表1より、ロシグリタゾンとSIS3とCL316,243を組み合わせることにより、血中アディポネクチン量が増加し、インスリン、グルコース、トリグリセリド、NEFA量が減少した。これにより、PPARγ活性化剤、Smad3阻害剤、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤の組合せが、アディポネクチン産生促進剤、抗インスリン血症抑制剤、高血糖抑制剤、高脂血症抑制、脂質代謝改善剤、糖代謝改善剤等として有用であることがわかる。
参考例1 Smad3阻害素材
HEK293細胞を6well dishに3x10cells/wellとなるように播種し、5% charcoal−treated FBS含有DMEM中で一晩培養した。翌日、下記表2に示す各素材を終濃度0.002%(ルテオリンは2μM)(低濃度サンプル)あるいは終濃度0.01%(ルテオリンは10μM)(高濃度サンプル)にてそれぞれ添加した無血清DMEMに交換した。2時間後、0.03μg/mL TGF−βを添加し20分間インキュベートした細胞について、培地を除去しPBSで洗浄後回収した。
(ウエスタンブロッティング)
回収した細胞にLysis bufferを加えよくホモジナイズした。氷上に15分間静置後、超音波にて破砕し、12000rpm、4℃で10分間遠心した上清をタンパク質溶液として得た。
SDS−PAGEには、1レーンあたりタンパク質25mg分、4xSDS Sample buffer(Novagen)を1/4容量含む調製サンプルに対し、95℃で5分間熱変性をかけたものを用いた。Immun−BlotTM PVDF Membrane(BioRad)に転写し、以下の手順でブロッキング、抗体反応を行い、ECL prime western blotting detection system(Amersham)を用いて、αTubulinとSmad3について、併せて検出を行った。尚、図16における(−)はTGF−β未添加、(+)はTGF−βを添加したことを示す。
5% スキムミルク/TBS−T,1時間(室温)
↓ TBS−Tにて洗浄
一次抗体/Can Get SignalTM solution1(TOYOBO),O/N (4℃)
↓ TBS−Tにて洗浄
二次抗体/Can Get SignalTM solution2(TOYOBO), 1時間 (室温)
↓ TBS−Tにて洗浄
検出
※TBS−T;0.1% Tween20/Tris Buffered Saline(TBS)
Lysis buffer:RIPA buffer(SIGMA)
Protease inhibiter cocktail(1/1000量、SIGMA)
Phosphatase Inhibitor Cocktail 1(1/100量、SIGMA)
Phosphatase Inhibitor Cocktail 2(1/100量、SIGMA)
一次抗体: anti−Smad3(Cell signaling ♯9513),1000倍希釈
anti−phospho Smad3(Cell signaling ♯9520),1000倍希釈
anti−α−tubulin(Cell signaling ♯2144),1000倍希釈
二次抗体:anti−rabbit IgG, HRP linked(GEヘルスケア),1000倍希釈
a)〜k)の素材について、TGF−β刺激応答性のSmad3リン酸化亢進が抑制され、高濃度処理群(レーン右側)においてはより顕著な抑制効果が認められた(図16)。
参考例2 PPARγ活性化素材
アフリカミドリザル腎細胞株CV−1をプレートにまき、DMEM(5%チャコール処理ウシ胎児血清)中で1日培養した。ホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流にGAL4結合配列を含むレポータープラスミド(pG5−Luc;invitrogen)と、ヒトPPARγ2リガンド結合部位(NCBI Ref Seq NM_015869,nt703−1606)をpBINDベクター(Promega)に挿入したpBIND−PPARγ−LBDとを同時にトランスフェクション試薬(Superfect Transfection Reagent;QIAGEN)を用いて上記細胞に導入した。pBIND−PPARγ−LBDベクターは、細胞に導入するとPPARγ2リガンド結合部位とGAL4結合配列に結合する部位との融合蛋白質を発現する。当該融合蛋白質は、PPARγ2リガンドと結合することにより、その下流のホタルルシフェラーゼ遺伝子の転写を活性化する。よって、ホタルルシフェラーゼ活性を測定することによって、PPARγ2リガンドの結合量を決定することができる。また当該ベクターにはウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子が組み込まれているので、ウミシイタケルシフェラーゼ活性を測定することにより、当該ベクターの導入効率を求めることができる。ベクター導入の3時間後、培養液をDMEM(5%チャコール処理ウシ胎児血清)に交換し、さらに2時間後、培養液を下記表3に示す素材をそれぞれ記載の終濃度にて添加した無血清DMEM培地に交換した。約16時間培養後、PBSにて細胞を洗浄し、Dual Luciferase Reporter Assay System (Promega)を用いてホタル及びウミシイタケのルシフェラーゼ活性を測定することにより、PPARγ活性化作用を評価した。尚、PPARγ活性化作用は以下のように定義した。PPARγ活性化作用=(pG5lucによるホタルルシフェラーゼ活性)/(GAL4−PPARγ−LBDによるウミシイタケルシフェラーゼ活性)
尚、結果はコントロールにおけるルシフェラーゼ活性を1とし、それに対する相対値で示した。
図17より、a)〜n)の素材は、PPARγを活性化することが示された。
参考例3 TGR5活性化素材
24穴プレートにHEK293細胞を1.0×10個/wellで播種し、5% Charcoal−treated FBS含有DMEM培地中で1日培養した。その後、cAMP応答エレメント(CRE)を含むホタルルシフェラーゼレポーターベクターpGL4.29[luc2P/CRE/Hygro](Promega) 200ng/well、ヒトTGR5発現ベクターhTGR5(pcDNA3.1+) 40ng/well、及びphRL−TK(遺伝子導入効率補正用ウミシイタケルシフェラーゼベクター)80ng/wellを、Superfect transfection reagent (Qiagen)にて導入した。3時間後、5% Charcoal−treated FBS含有DMEM培地に変換し、さらにその4時間後に下記表4に示す各素材を終濃度0.001%にて添加した。その12〜18時間後にDualGlo luciferase assay system (Promega)にてルシフェラーゼ活性を測定し、ホタルルシフェラーゼ活性をウミシイタケルシフェラーゼ活性で補正することにより、TGR5活性化作用を評価した。TGR5活性化作用は、コントロールのTGR5活性を1とした相対値で表した。
図18より、a)〜ab)の素材は、TGR5活性を活性化することが示された。

Claims (16)

  1. PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなるUCP−1発現促進剤。
  2. PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる褐色脂肪化促進剤。
  3. PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなるエネルギー消費促進剤。
  4. PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる体脂肪蓄積抑制剤。
  5. PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる肥満予防又は改善剤。
  6. PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる糖尿病予防又は改善剤。
  7. PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる高脂血症予防又は改善剤。
  8. PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる脂質燃焼促進剤。
  9. PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる糖代謝改善剤。
  10. PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなる脂質代謝改善剤。
  11. PPARγ活性化剤と、Smad3阻害剤と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤とを組み合わせてなるアディポネクチン産生促進剤。
  12. PPARγ活性化剤がロシグリタゾン又はピオグリタゾンであり、Smad3阻害剤がSIS3であり、β3アドレナリン受容体活性化剤がCL316,243である、請求項1記載のUCP−1発現促進剤、請求項2記載の褐色脂肪化促進剤、請求項3記載のエネルギー消費促進剤、請求項4記載の体脂肪蓄積抑制剤、請求項5記載の肥満予防又は改善剤、請求項6記載の糖尿病予防又は改善剤、請求項7記載の高脂血症予防又は改善剤、請求項8記載の脂質燃焼促進剤、請求項9記載の糖代謝改善剤、又は請求項10記載の脂質代謝改善剤、請求項11記載のアディポネクチン産生促進剤。
  13. PPARγ活性化剤の摂取又は投与と、Smad3阻害剤の摂取又は投与或いはSmad3を阻害するための処置と、β3アドレナリン受容体活性化剤又はTGR5活性化剤の摂取又は投与或いはβ3アドレナリン受容体又はTGR5を活性化するための処置とを組み合わせることを特徴とする、非治療的UCP−1発現促進方法、非治療的褐色脂肪化促進方法、非治療的エネルギー消費促進方法、非治療的体脂肪蓄積抑制方法、非治療的肥満予防又は改善方法、非治療的糖尿病予防又は改善方法、非治療的高脂血症予防又は改善方法、非治療的脂質燃焼促進方法、非治療的糖代謝改善方法、非治療的脂質代謝改善方法、非治療的アディポネクチン産生促進方法。
  14. PPARγ活性化剤がロシグリタゾン、ピオグリタゾン、ショウガ又はその抽出物、ナツメグ又はその抽出物、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、及びそれらを含有する魚油、エレミ又はその抽出物、クローブ又はその抽出物、シトロネラ又はその抽出物、ベイ又はその抽出物、シナモン又はその抽出物、アシタバカルコン、ロベージ、ダバナ、アサの実、ケシの実のいずれか1以上であり、Smad3阻害剤がSIS3、SB431542、植物タンニン、ルテオリン、ローズマリー又はその抽出物、白茶又はその抽出物、マリアアザミ又はその抽出物、ログウッド色素、ピーナツ種皮又はその抽出物、ライチポリフェノール、リンゴポリフェノール、ウーロン茶、又はオールスパイスいずれか1以上であり、β3アドレナリン受容体活性化剤がノルエピネフリン、CL316,243又はミラベグロンであり、TGR5活性化剤がコール酸、ハッカ又はその抽出物、発酵グアバ茶又はその抽出物、オリーブ茶又はその抽出物、オリーブリーフ又はその抽出物、レモンバーム又はその抽出物、ヒソップ又はその抽出物、カンゾウ又はその抽出物、西洋サンザシ又はその抽出物、マジョラム又はその抽出物、マテ茶又はその抽出物、バナバ葉又はその抽出物、シソエキス、大豆サポニン、サンソウニン又はその抽出物、バジル又はその抽出物、レンコン又はその抽出物、柿の葉茶又はその抽出物、ディル又はその抽出物、スペアミント又はその抽出物、ブラックカーラント色素、バコパモニエラ、サポニン、ナツメグ又はその抽出物、ジンゲロール、ビワ茶又はその抽出物、赤ショウガエキス−P、及びチェストツリー又はその抽出物をいずれか1以上である、請求項1記載のUCP−1発現促進剤、請求項2記載の褐色脂肪化促進剤、請求項3記載のエネルギー消費促進剤、請求項4記載の体脂肪蓄積抑制剤、請求項5記載の肥満予防又は改善剤、請求項6記載の糖尿病予防又は改善剤、請求項7記載の高脂血症予防又は改善剤、請求項8記載の脂質燃焼促進剤、請求項9記載の糖代謝改善剤、又は請求項10記載の脂質代謝改善剤、請求項11記載のアディポネクチン産生促進剤。
  15. PPARγ活性化剤がロシグリタゾン又はピオグリタゾンであり、Smad3阻害剤がSIS3又はSB431542であり、β3アドレナリン受容体活性化剤がCL316,243又はミラベグロンである、請求項13記載の方法。
  16. PPARγ活性化剤がロシグリタゾン、ピオグリタゾン、ショウガ又はその抽出物、ナツメグ又はその抽出物、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、及びそれらを含有する魚油、エレミ又はその抽出物、クローブ又はその抽出物、シトロネラ又はその抽出物、ベイ又はその抽出物、シナモン又はその抽出物、アシタバカルコン、ロベージ、ダバナ、アサの実、ケシの実のいずれか1以上であり、Smad3阻害剤がSIS3、SB431542、植物タンニン、ルテオリン、ローズマリー又はその抽出物、白茶又はその抽出物、マリアアザミ又はその抽出物、ログウッド色素、ピーナツ種皮又はその抽出物、ライチポリフェノール、リンゴポリフェノール、ウーロン茶、又はオールスパイスいずれか1以上であり、β3アドレナリン受容体活性化剤がノルエピネフリン、CL316,243 又はミラベグロンであり、TGR5活性化剤がコール酸、ハッカ又はその抽出物、発酵グアバ茶又はその抽出物、オリーブ茶又はその抽出物、オリーブリーフ又はその抽出物、レモンバーム又はその抽出物、ヒソップ又はその抽出物、カンゾウ又はその抽出物、西洋サンザシ又はその抽出物、マジョラム又はその抽出物、マテ茶又はその抽出物、バナバ葉又はその抽出物、シソエキス、大豆サポニン、サンソウニン又はその抽出物、バジル又はその抽出物、レンコン又はその抽出物、柿の葉茶又はその抽出物、ディル又はその抽出物、スペアミント又はその抽出物、ブラックカーラント色素、バコパモニエラ、サポニン、ナツメグ又はその抽出物、ジンゲロール、ビワ茶又はその抽出物、赤ショウガエキス−P、及びチェストツリー又はその抽出物をいずれか1以上である、請求項13記載の方法。
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