JP2016023503A - 免震構造 - Google Patents

免震構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2016023503A
JP2016023503A JP2014149949A JP2014149949A JP2016023503A JP 2016023503 A JP2016023503 A JP 2016023503A JP 2014149949 A JP2014149949 A JP 2014149949A JP 2014149949 A JP2014149949 A JP 2014149949A JP 2016023503 A JP2016023503 A JP 2016023503A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seismic isolation
response
damper
sliding
displacement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014149949A
Other languages
English (en)
Inventor
杉本 浩一
Koichi Sugimoto
浩一 杉本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Construction Co Ltd, Shimizu Corp filed Critical Shimizu Construction Co Ltd
Priority to JP2014149949A priority Critical patent/JP2016023503A/ja
Publication of JP2016023503A publication Critical patent/JP2016023503A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】あらゆる振動特性の構造体に適用して加速度、変位を確実に低減できるようにした免震構造を提供する。
【解決手段】上部構造体2と固定端3の間の免震層4に設けられ、上部構造体2の地震時応答を低減させるための応答低減機構8を備えた免震構造1であって、滑り免震装置5と、慣性質量ダンパー6、粘性減衰系ダンパー7の少なくとも一方のダンパーとをそれぞれ上部構造体2と固定端3に接続し、並列に配置して応答低減機構8を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、建物などの上部構造体の地震時応答を低減させるための免震構造に関する。
従来、建物などの上部構造体と地盤(固定端)の間(免震層)に免震構造を設け、この免震構造によって上部構造体の地震時応答を低減させるようにした免震建物が広く知られている。一方で、巨大地震が発生し、また長周期地震動が作用し、免震層の変形が過大となって上部構造体が擁壁等に衝突したり、免震構造を構成する積層ゴム(構造体バネ)に破損が生じることなどに関する検討も行われている。
例えば、上部構造体を構造体バネと構造体減衰で免震支持するとともに、別途応答低減機構を水平剛性(構造体バネのバネ剛性)と並列に設置してなる免震構造が提案、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。この免震構造の応答低減機構は、慣性質量ダンパーと付加バネを直列に接続するとともに、オイルダンパーなどの第1の付加減衰を慣性質量ダンパーと並列に接続し、さらに、オイルダンパーなどの第2の付加減衰を慣性質量ダンパーと直列に接続し、さらに、第2の付加減衰と並列に復元バネを接続して構成されている。
そして、このように構成した応答低減機構では、慣性質量ダンパーによる慣性質量と復元バネのバネ剛性で応答低減機構の固有周期を上部構造体の固有周期と同調させることで、共振時の応答を大幅に改善することができる。
一方、上部構造体と地盤の間に滑り免震機構を設けて免震構造を構成することも提案、実施されている。この滑り免震機構は、上部構造体の底部に固定される上沓と、地盤に繋がる下部構造体の上部に固定される下沓と、上沓及び下沓の間に介装される摺動子とを備えて構成されている。
また、本願の出願人は、摺動子を上沓に対して水平の一方向にのみ摺動可能に保持し、且つ下沓に対して一方向に直交する水平の他方向にのみ摺動可能に保持し、さらに、摺動子と上沓の互いに当接する摺動面を一方向に沿って逆V形に傾斜する上部傾斜面とし、且つ摺動子と下沓の互いに当接する摺動面を他方向に沿ってV形に傾斜する下部傾斜面として構成した滑り免震機構を発明し、既に特許出願している(例えば、特許文献2参照)。
そして、このように構成した滑り免震機構においては、ある耐力以上は荷重を負担しないことで応答加速度を抑える免震性能を発揮し、且つ低コストでこの免震性能を付与することができる。また、摺動子を上沓および下沓に対して水平2方向に摺動させるための上下の摺動面が傾斜面として形成されていることにより、装置自体に復元機能が具備され、地震後に自ずと復元力が得られて残留変位を抑制することができる。
特開2014−20534号公報 特開2013−130216号公報
齊木、石丸ほか:慣性接続要素を有する1質点系の地震応答に関する研究、日本建築学会学術講演梗概集、2004年8月
ここで、慣性質量ダンパーは、大きな相対変位が得られる免震層に設置することにより、免震建物の周期が増加して免震層の変位を抑制する効果が得られることが報告されている(非特許文献1参照)。
しかしながら、慣性質量ダンパーを免震層に設置する場合には、変位を抑制できる反面、高振動数領域での加速度が増加し免震性能の低下を招くという問題があり、このため、慣性質量ダンパーを免震層に設置する免震技術は広く普及するに至っていない。
本発明は、上記事情に鑑み、あらゆる振動特性の構造体に適用して加速度、変位を確実に低減できるようにした免震構造を提供することを目的とする。
本発明の免震構造は、上部構造体と固定端の間の免震層に設けられ、前記上部構造体の地震時応答を低減させるための応答低減機構を備えた免震構造であって、前記応答低減機構が、滑り免震装置と、慣性質量ダンパー、粘性減衰系ダンパーの少なくとも一方のダンパーとをそれぞれ前記上部構造体と前記固定端に接続し、並列に配置して構成されていることを特徴とする。
また、本発明の免震構造においては、前記慣性質量ダンパーの慣性質量Ψと前記上部構造体の質量Mの比Ψ/Mが0.05〜1.0であることが望ましい。
本発明の免震構造においては、あらゆる振動特性の構造体に適用して加速度、変位を確実に低減でき、優れた免震性能を付与することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る免震構造を示すモデル図である。 本発明の一実施形態に係る免震構造の滑り免震装置の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る免震構造の滑り免震装置の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る免震構造の慣性質量ダンパーの一例を示す図である。 地震応答解析で用いた入力地震動の加速度応答スペクトルを示す図である。 地震応答解析で用いた免震構造を示すモデル図である。 地震応答解析において、エルセントロ波を入力地震動に用いた場合の解析結果を示す図である。 地震応答解析において、告示波を入力地震動に用いた場合の解析結果を示す図である。 地震応答解析において、三の丸波を入力地震動に用いた場合の解析結果を示す図である。 地震応答解析において、上町断層3B2波を入力地震動に用いた場合の解析結果を示す図である。 地震応答解析において、三の丸波を入力地震動に用いた場合の各免震構造の変位応答スペクトルを示す図である。 地震応答解析において、三の丸波を入力地震動に用いた場合の各免震構造の加速度応答スペクトルを示す図である。
以下、図1から図12を参照し、本発明の一実施形態に係る免震構造について説明する。
本実施形態の免震構造1は、図1に示すように、建物などの上部構造体2と地盤や下部構造体などの固定端3の間の免震層4に、滑り免震装置5と慣性質量ダンパー6とオイルダンパーなどの粘性減衰系ダンパー7からなる応答低減機構8を備えて構成されている。また、この免震構造1は、滑り免震装置5と慣性質量ダンパー6と粘性減衰系ダンパー7がそれぞれ一端側を上部構造体2に、他端側を固定端3に接続し、並列に配設されている。
なお、本発明に係る免震構造1は、滑り免震装置5と、慣性質量ダンパー6、オイルダンパーなどの粘性減衰系ダンパー7のいずれか一方のダンパーとを備えて構成してもよい。
また、一例として、滑り免震装置5は、図2及び図3に示すように、上部構造体2の底部に固定される上沓10と、固定端3(下部構造体)の上部に固定される下沓11と、上沓10及び下沓11の間に介装される摺動子12とを備えて構成されている。
また、本実施形態において、滑り免震装置5は、摺動子12が上沓10に対して水平の一方向(X−X)にのみ摺動可能に保持され、且つ下沓11に対して一方向(X−X)に直交する水平の他方向(Y−Y)にのみ摺動可能に保持されている。さらに、摺動子12と上沓10の互いに当接する摺動面14、15が一方向(X−X)に沿って逆V形に傾斜する上部傾斜面として形成され、且つ摺動子12と下沓11の互いに当接する摺動面16、17が他方向(Y−Y)に沿ってV形に傾斜する下部傾斜面として形成されている。また、摺動子12の上下の摺動面14、16は摩擦抵抗が小さくなるように低摩擦係数の滑り材を貼設するなどして形成されている。
また、慣性質量ダンパー6としては、例えばボールネジ機構と回転錘(フライホイール)を組み合わせたものが採用可能であり、回転錘の実際の質量の数百倍以上もの大きな質量効果を得ることができる。
一例として、慣性質量ダンパー6は、図4に示すように、中心軸線を軸線O1上に配して設けられたボールねじ20と、ボールねじ20に螺着して配設されたボールナット21と、ボールナット21に取り付けられ、ボールナット21の回転に従動して回転する回転錘22とを備えて構成されている。
ボールねじ20は、その一端20aに、上部構造体2又は固定端3に接続するためのボールジョイントやクレビスなどの連結部材23が取り付けられている。
また、ボールねじ20に螺着したボールナット21は、軸受け24に支持されている。軸受け24は、軸線O1周りに回転不能に且つ軸線O1方向に移動不能に固設される円環状の外輪24aと、外輪24aの内孔内に配されて軸線O1周りに回転可能に支持された円環状の内輪24bとを備えて形成されている。そして、ボールねじ20が軸受け24の内輪24bの中心孔に挿通して配設されるとともに、ボールナット21が軸受け24の内輪24bに固設されている。これにより、ボールナット21は、軸線O1周りに回転可能に、且つ軸線O1方向に移動不能に配設されている。
さらに、ボールナット21に回転錘22が一体に固定して設けられている。回転錘22は例えば略円筒状に形成され、ボールねじ20を内部に挿通し、ボールねじ20と互いの軸線O1を同軸上に配した状態でボールナット21に固着して配設されている。
一方、本実施形態の慣性質量ダンパー6は、上記のボールねじ20とボールナット21と回転錘22とを備えてなる回転慣性質量機構25に直列に連結した付加ばね機構26を備えて構成されている。
例えば、付加ばね機構26は、円筒状に形成された外筒27と、外筒27よりも外径が小の円筒状に形成され、外筒27の内部に互いの軸線O1を同軸上に配して設けられた内筒28と、外筒27と内筒28の間に配設された付加ばね(ばね部材)29とを備えて構成されている。
外筒27は、所定長さの高軸剛性かつ高曲げ剛性の中空円筒体であって、その他端(図中左側の端部)27aに内部を閉塞させるように円板状の接続板30が固着され、この接続板30に、固定端3又は上部構造体2に接続するためのボールジョイントやクレビスなどの連結部材31が取り付けられている。また、外筒27の一端側(図中右側の端部)27bには、内筒28を挿通させる挿通孔を中心に貫通形成した円環状の支持板32が内部を閉塞させるように固着されている。
また、外筒27には、一端27b側に、支持板32に固着して設けられ、外筒27を内筒28に対して軸線O1方向に案内して相対的に進退させるためのリニアガイド33が設けられている。さらに、外筒27には、他端27a側に、内面から径方向内側に突出し、他端27aから軸線O1方向一端27b側に向けて延びる凸部34が設けられている。また、この凸部34は、ストローク量に応じた軸線O1方向の長さ寸法で形成されている。
内筒28は、所定長さの高軸剛性かつ高曲げ剛性の中空円筒体であって、支持板32の挿通孔に他端28a側から挿通して外筒27内に配設され、一端28b側を外筒27から外側に配して設けられている。また、このとき、内筒28は、その一端28bを、ボールねじ20を回転可能に軸支する軸受け24の外輪24aに固着し、内輪24bの内孔と互いの軸線O1が同軸上に配されるようにして設けられている。さらに、内筒28は、他端28aと外筒27の他端27aに固着された接続板30との軸線O1方向の間に所定の間隔(制振機構のストローク量を規定する間隔)を設けて外筒27内に配設されている。
また、内筒28には、外筒27の支持板32から外側に延設された一端28b側に、径方向外側に突出し、軸線O1方向に延び、リニアガイド33が係合して外筒27を内筒28に対して軸線O1方向に案内し相対回転せずに進退させるためのリニアガイドレール35が設けられている。さらに、内筒28には、その他端28aに、内筒28の外径よりも大きく、外筒27の内径よりも小さい直径を有する円板状の係止板36が固着されている。
内筒28の他端28a側には、内筒28の外径と略等しい内径を備え、外筒27の内径よりも僅かに小さい外径を備えて略円環状に形成されたストローク規定板37が、その中心孔に内筒28の他端28a側を挿通して取り付けられている。このストローク規定板37は、外筒27の内面に当接する外周ローラー37aと、内筒28の外面に当接する内周ローラー37bを備えている。そして、ストローク規定板37は、これらローラー37a、37bによって外筒27と内筒28のそれぞれに対し、相対的に軸線O1方向に進退自在に設けられている。また、このとき、ストローク規定板37は、外筒27の凸部34の軸線O1方向一端に当接することで、外筒27に対し、さらなる軸線O1方向他端27a側への移動が規制され、内筒28の係止板36に当接することで、内筒28に対し、さらなる軸線O1方向他端28a側への相対移動が規制されている。
付加ばね機構26のばね部材(付加ばね)29は、内筒28の外面と外筒27の内面の間、且つストローク規定板37と支持板32の軸線O1方向の間に設けられている。本実施形態において、ばね部材29は、複数枚の皿バネが直列に重ねられた1組の皿バネ群を複数組軸線O1方向に並設して構成されている。なお、図4では軸線O1方向中間部分のばね部材29を省略して図示している。
これにより、ばね部材29による付勢力でストローク規定板37に軸線O1方向他端側に押圧する力が作用し、通常時には、この付勢力を受けたストローク規定板37が凸部34に当接してそれ以上軸線O1方向他端側に移動しないように設けられている。また、この状態で、ストローク規定板37に内筒28に設けられた係止板36が当接する。
そして、内筒28に対して外筒27が軸線O1方向一端側に相対変位する際には、すなわち、圧縮側の力が作用した際には、凸部34にストローク規定板37が押圧され、これとともに内筒28に対してストローク規定板37が軸線O1方向一端側に相対変位し、ばね部材29が縮む。また、内筒28に対して外筒27が軸線O1方向他端側に相対変位する際には、すなわち、引張側の力が作用した際には、係止板36にストローク規定板37が押圧され、これとともに外筒27に対してストローク規定板37が軸線O1方向一端側に相対変位し、ばね部材29が縮む。
なお、ストローク規定板37や支持板32のばね部材29と当接する面や、外筒27の内面、内筒28の外面に硬質ゴム等の緩衝材を取り付け、付加ばね機構26の動作時に騒音(機械音)が発生したり、摩耗が生じることを防止することが好ましい。
そして、地震などが発生し、上部構造体2と固定端3に相対的な変位が生じると(入力されると)、この変位差に応じて回転慣性質量機構25(慣性質量ダンパー6)のボールねじ20が軸線O1方向に進退し、軸受け24の内輪24bに支持されたボールナット21が回転するとともに回転錘22が回転する。これにより、回転錘22の実際の質量の数千倍もの慣性質量効果が得られ、応答変位が大幅に低減することになる。
また、ばね部材29の伸縮によって、回転慣性質量機構25(慣性質量ダンパー6)と付加ばね機構26(ばね部材29)とにより定まる振動数を上部構造体2の卓越する振動数(例えば1次固有振動数)に同調させることができ、これにより、より効果的に応答変位を低減することが可能になる。
〔実施例〕
次に、本発明に係る免震構造1の優位性を確認するために行なった地震応答解析について説明する。ここでは、従来の免震構造と本実施形態の免震構造の応答低減効果を地震応答解析によって求め、これら解析結果を比較検討した。
具体的に、解析条件と各免震構造のモデルについて説明する。
まず、入力地震動は、各加速度波形を図5(a)〜図5(d)に示すエルセントロ(NS)波−(Lv2)、告示波−(Lv2)、三の丸波、上町断層(3B2)波とした。
そして、図6(a)〜図6(e)に示すように、解析ケースはCase1〜Case5の5種とした。
また、上部構造体(免震対象の建物)2は、その重量Mを7.6t、免震周期Tを4.0sとした。
Case1は、図6(a)に示すように、オイルダンパー(粘性減衰)と積層ゴム(せん断剛性)を備えた通常の免震構造(比較対象の免震構造)であり、粘性減衰Cを4.78kNs/m(減衰定数h=0.20に相当)、せん断剛性Kを18.75kN/mとしている。
Case2は、図6(b)に示すように、滑り免震装置のみを備えた免震構造(比較対象の免震構造)であり、滑り免震装置の摩擦係数μを0.05、摺動面の傾斜角(勾配)を1/70としている。
Case3は、図6(c)に示すように、滑り免震装置とオイルダンパーを備えた免震構造(本発明に係る免震構造)であり、滑り免震装置の摩擦係数μを0.05、摺動面の傾斜角を1/70としている。オイルダンパーは、その粘性減衰Cを4.78kNs/mとしている。
Case4は、図6(d)に示すように、滑り免震装置と慣性質量ダンパーを備えた免震構造(本発明に係る免震構造)であり、滑り免震装置の摩擦係数μを0.05、摺動面の傾斜角を1/70としている。慣性質量ダンパーは、慣性質量Ψをパラメータとし、0.1M、0.2M、0.3M、0.8M、1.0Mに変化させて解析を行った。また、慣性質量ダンパーの装置減衰Cを慣性質量Ψによらず一律3.0kNs/mとした。
Case5は、図6(e)に示すように、滑り免震装置と慣性質量ダンパーとオイルダンパーを備えた免震構造(本発明に係る免震構造)であり、滑り免震装置の摩擦係数μを0.05、摺動面の傾斜角を1/70としている。慣性質量ダンパーは、慣性質量Ψをパラメータとし、0.1M、0.2M、0.3M、0.8M、1.0Mに変化させて解析を行った。また、慣性質量ダンパーの装置減衰Cを慣性質量によらず一律3.0kNs/mとした。オイルダンパーは、その粘性減衰Cを4.78(Case4と同じ)kNs/mとしている。
図7から図10は、エルセントロ(NS)波−(Lv2)、告示波−(Lv2)、三の丸波、上町断層(3B2)波を入力し、Case1〜Case5について地震応答解析を行って免震層の最大変位と最大加速度を示した図である。
また、表1は、Case1〜Case5の応答変位と応答加速度を示している。なお、Case2〜Case4においてはCase1に対する比率として応答変位と応答加速度を示している。
Figure 2016023503
これら図7から図10、表1から、上町断層(3B2)波以外の地震動に対してはCase2〜Case5の全ての免震構造で最大変位が40%以上低減することが確認された。また、上町断層(3B2)波では、Case2のみ変位が増大しているが、それ以外のCase3〜Case5で変位が低減することが確認された。さらに、加速度に関しては、Case4、Case5の免震構造で慣性質量を増大すると加速度が上昇する傾向にあるが、建物重量Mの10%程度の慣性質量Ψ(慣性質量ダンパーの質量比(Ψ/M)が0.05〜1.0程度)であれば大幅な上昇とならず、変位低減の大きな効果が得られることが確認された。また、三の丸波、上町断層(3B2)波に関しては、Case2〜Case5の免震構造で変位だけでなく加速度もCase1より低減しており、非常に効果が大きいことが確認された。
以下、各Caseについて説明する。
Case2(滑り免震装置のみを備えた免震構造)においては、図11(b)(及び図11(a))、図12(b)(及び図12(a))に示すように、例えば三の丸波を入力した際の変位と加速度の応答波形から、最大変位と最大加速度ともに約50%、Case1の通常の免震構造と比較して低減することが確認された。また、滑り免震装置により加速度が頭打ちとなりある数値以上は上昇していない。さらに、摺動面が傾斜していることで復元力があるため、地震終了後も残留変形がほぼない。一方、減衰装置がないため、地震終了後も加速度が収まらないという欠点も確認された。
Case3(滑り免震装置とオイルダンパーを備えた免震構造)においては、図11(c)(及び図11(a))、図12(c)(及び図12(a))に示すように、例えば三の丸波を入力した際の変位と加速度の応答波形から、Case1の通常の免震構造と比較して最大変位が約63%も大きく低減することが確認された。オイルダンパーを負荷することにより装置が負担する荷重が増えるために若干の加速度増加がみられるが、Case1と比較すると加速度は約30%低下している。また、地震後の加速度が収まらないという現象はオイルダンパーによって解消されている。
Case4(滑り免震装置と慣性質量ダンパーを備えた免震構造)においては、図11(d)(及び図11(a))、図12(d)(及び図12(a))に示すように、例えば慣性質量を建物重量の10%付加し、三の丸波を入力した際の変位と加速度の応答波形から、Case3の免震構造とほぼ同等の低減効果(Case1の通常の免震構造と比較し最大変位約63%低減、加速度約30%低減)が得られることが確認された。また、慣性質量を多く付加するほど、変位がさらに経過する傾向にあり、反面加速度が上昇することが確認された。この点から、慣性質量を建物重量の10%程度にすることが好適であると考えられる。
Case5(滑り免震装置と慣性質量ダンパーとオイルダンパーを備えた免震構造)においては、図11(d)(及び図11(a))、図12(d)(及び図12(a))に示すように、例えば慣性質量を建物重量の10%付加し、三の丸波を入力した際の変位と加速度の応答波形から、Case1〜Case4と比較し、最大変位がCase1に対して約70%低減、加速度が約20%低減し、最も変位の低減効果が大きくなることが確認された。
ただし、エルセントロや告示波のように加速度がCase1よりも上昇する地震波もあった。この場合、比率は上昇するが、加速度の絶対値としては100cm/s程度であるため、建物内部の家具などが転倒するなどの被害は全くないと考えられる。
また、表1に示すように、上町断層(3B2)波の地震波でCase1では変位が80cm以上となるが、Case5は60cm未満に低減することが確認された。これは60cmのクリアランスを保有する建物の場合、擁壁への衝突を回避できることを意味し、現在の社会で求められている変位抑制のニーズにマッチしている。また、同じ変形に抑制することはCase4でも可能であるが、慣性質量を増やすよりも減衰装置を負荷した方が加速度上昇を小さくすることができる。
したがって、本実施形態の免震構造1(Case3〜5で示した本発明に係る免震構造)においては、応答低減機構8が滑り免震装置5と、慣性質量ダンパー6及び/又はオイルダンパーなどの粘性減衰系ダンパー7とを備えることにより、免震層4の変位低減効果を保ちつつ、上部構造体2の応答加速度や層間変形角の増加量を抑制することが可能になる。
これにより、あらゆる振動特性の構造体に適用して加速度、変位を確実に低減でき、優れた免震性能を付与することが可能になる。
また、慣性質量ダンパー6の慣性質量Ψと上部構造体2の質量Mの比Ψ/Mが0.05〜1.0となるように構成することで、免震層4の変位低減効果と上部構造体2の応答加速度や層間変形角の抑制効果をバランスよく活用することができる。すなわち、あらゆる振動特性の構造体に適用して、より効果的且つ確実に加速度、変位を低減でき、優れた免震性能を付与することが可能になる。
以上、本発明に係る免震構造の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 免震構造
2 上部構造体
3 固定端(下部構造体)
4 免震層
5 滑り免震装置
6 慣性質量ダンパー
7 粘性減衰系ダンパー
10 上沓
11 下沓
12 摺動子
14 摺動面
15 摺動面
16 摺動面
17 摺動面
20 ボールねじ
20a 一端
20b 他端
21 ボールナット
22 回転錘
23 連結部材
24 軸受け
24a 外輪
24b 内輪
25 回転慣性質量機構
26 付加ばね機構
27 外筒
27a 他端
27b 一端
28 内筒
28a 他端
28b 一端
29 付加ばね(ばね部材)
30 接続板
31 連結部材
32 支持板
33 リニアガイド
34 凸部
35 リニアガイドレール
36 係止板
37 ストローク規定板
37a 外周ローラー
37b 内周ローラー
O1 軸線

Claims (2)

  1. 上部構造体と固定端の間の免震層に設けられ、前記上部構造体の地震時応答を低減させるための応答低減機構を備えた免震構造であって、
    前記応答低減機構が、滑り免震装置と、慣性質量ダンパー、粘性減衰系ダンパーの少なくとも一方のダンパーとをそれぞれ前記上部構造体と前記固定端に接続し、並列に配置して構成されていることを特徴とする免震構造。
  2. 請求項1に記載の免震構造において、
    前記慣性質量ダンパーの慣性質量Ψと前記上部構造体の質量Mの比Ψ/Mが0.05〜1.0であることを特徴とする免震構造。
JP2014149949A 2014-07-23 2014-07-23 免震構造 Pending JP2016023503A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014149949A JP2016023503A (ja) 2014-07-23 2014-07-23 免震構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014149949A JP2016023503A (ja) 2014-07-23 2014-07-23 免震構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016023503A true JP2016023503A (ja) 2016-02-08

Family

ID=55270525

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014149949A Pending JP2016023503A (ja) 2014-07-23 2014-07-23 免震構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016023503A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1144338A (ja) * 1997-05-29 1999-02-16 Kajima Corp 小ストローク免震装置
JP2009293691A (ja) * 2008-06-04 2009-12-17 Shimizu Corp 免震機構
JP2011099541A (ja) * 2009-11-09 2011-05-19 Shimizu Corp 免震機構
JP2012167820A (ja) * 2006-09-21 2012-09-06 Shimizu Corp 振動低減機構およびその諸元設定方法
JP2014020534A (ja) * 2012-07-23 2014-02-03 Shimizu Corp 免震構造

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1144338A (ja) * 1997-05-29 1999-02-16 Kajima Corp 小ストローク免震装置
JP2012167820A (ja) * 2006-09-21 2012-09-06 Shimizu Corp 振動低減機構およびその諸元設定方法
JP2009293691A (ja) * 2008-06-04 2009-12-17 Shimizu Corp 免震機構
JP2011099541A (ja) * 2009-11-09 2011-05-19 Shimizu Corp 免震機構
JP2014020534A (ja) * 2012-07-23 2014-02-03 Shimizu Corp 免震構造

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5181269B2 (ja) 上下免震機構
JP5970818B2 (ja) 免震機構
JP5696881B2 (ja) 慣性質量ダンパーを用いた制振装置
JP6217181B2 (ja) 床免震システム
KR101548479B1 (ko) 스프링 복원형 마찰 면진장치
JP6902191B2 (ja) 減衰装置、及び、免震構造
JP5777061B2 (ja) 滑り免震機構
JP2013130216A (ja) 滑り免震機構
JP6183478B2 (ja) 免震機構
JP4410725B2 (ja) 上下免震ユニットおよびこれを用いた免震装置
JP2000055117A (ja) 免振装置
JP6000099B2 (ja) 免制振構造
JP5985927B2 (ja) 構造物用の滑り支承
JP6482373B2 (ja) 免震構造
JP2015081464A (ja) 制振構造物
JP2016023503A (ja) 免震構造
JP2011007323A (ja) 免震装置
JP6726381B2 (ja) 回転マスダンパの設置構造
JPH02107843A (ja) 三次元免震装置
JP2019052454A (ja) 免震構造
JP6590201B2 (ja) 多層免震構造物
JP2015105554A (ja) 免震構造
CN211597369U (zh) 一种商场用仿古建筑抗震柱石
JP6797341B2 (ja) 免震ユニットおよび免震装置
JP2017186860A (ja) 長周期地震対応免震建物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170517

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180309

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180320

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180515

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20181002

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181005