JP2011099541A - 免震機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】応答変位と応答加速度をともに低減させることのできる有効適切な免震機構を実現する。
【解決手段】構造体1と固定端との間に慣性質量ダンパー4と付加バネ5とを直列に設置するとともに、それら慣性質量ダンパー4と付加ばね5の双方もしくは少なくともいずれか一方に対して並列にオイルダンパー6,7を設置する。固定端と構造体との間に、固定端に対して変位した構造体を定位置に復元させるための復元機構として、固定端に対する構造体の変位によらず一定の復元力を生じる定荷重バネ10を設置する。定荷重バネと構造体との間に、定荷重バネによる復元力を拡大して構造体に作用させる荷重拡大機構を設置する。
【選択図】図1
【解決手段】構造体1と固定端との間に慣性質量ダンパー4と付加バネ5とを直列に設置するとともに、それら慣性質量ダンパー4と付加ばね5の双方もしくは少なくともいずれか一方に対して並列にオイルダンパー6,7を設置する。固定端と構造体との間に、固定端に対して変位した構造体を定位置に復元させるための復元機構として、固定端に対する構造体の変位によらず一定の復元力を生じる定荷重バネ10を設置する。定荷重バネと構造体との間に、定荷重バネによる復元力を拡大して構造体に作用させる荷重拡大機構を設置する。
【選択図】図1
Description
本発明は、地震動入力に対する構造体の応答加速度と応答変位をともに低減させ得る免震機構に関する。
免震構造物の変位を抑制する機構として、慣性質量ダンパー(慣性接続要素ともいわれる)を構造体バネと並列に設置する機構や、付加バネと直列にして構造体バネと並列に設置する機構が知られている。
慣性質量ダンパーとしてはボールねじとフライホイール(回転体錘)を組み合わせたものが多用されており、それによれば実際の回転体質量の数百倍と桁違いに大きな質量効果が得られることから、そのような回転慣性機構を利用した免震システムとしてたとえば特許文献1に示されるものが知られている。
慣性質量ダンパーとしてはボールねじとフライホイール(回転体錘)を組み合わせたものが多用されており、それによれば実際の回転体質量の数百倍と桁違いに大きな質量効果が得られることから、そのような回転慣性機構を利用した免震システムとしてたとえば特許文献1に示されるものが知られている。
ところで、慣性質量ダンパーを利用する場合にはその設置の形態により一長一短があり、応答加速度(上部構造の絶対加速度)と応答変位(固定端に対する相対変位)の双方を同時に低減することは困難である。
すなわち、慣性質量ダンパーを構造体バネに並列に設置する場合には、構造体質量に慣性質量が加わることで固有振動数が小さくなり(つまり長周期化する)、それにより加振力が低減されるために応答変位も低下できるが、その反面、高振動数域では加速度応答倍率が増大してしまう。また、慣性質量ダンパーを付加バネと直列に設置した場合には、加振振幅に対して付加振動系の固有周期近傍で応答変位が低減するが、固有周期の前後の振動数域で応答加速度が加振加速度に対して増大してしまう。
すなわち、慣性質量ダンパーを構造体バネに並列に設置する場合には、構造体質量に慣性質量が加わることで固有振動数が小さくなり(つまり長周期化する)、それにより加振力が低減されるために応答変位も低下できるが、その反面、高振動数域では加速度応答倍率が増大してしまう。また、慣性質量ダンパーを付加バネと直列に設置した場合には、加振振幅に対して付加振動系の固有周期近傍で応答変位が低減するが、固有周期の前後の振動数域で応答加速度が加振加速度に対して増大してしまう。
一方、免震機構に減衰を付与するためにオイルダンパーを用いることが一般的であるが、その場合において大きな減衰を得るために減衰係数を大きくすると変位抑制には効果的である反面、加速度が増大してしまうという問題がある。
このように、従来においては地震動入力に対する構造体の応答加速度と応答変位をともに低減させることのできる免震機構は実現されておらず、それを可能とする有効適切な免震機構、特に地震時の最大振幅は最初の10秒間ほどで決定される場合も多いことから加振当初の応答特性を改善して変位を抑制しながら加速度も低減できるような免震機構が求められている。
なお、特許文献1において提案されている免震システムは、変位を抑制しつつ構造物に作用する地震力を軽減することを目的としているが、そのために水平振動を上下振動に変換するという複雑な機構となっており、普及するに至っていない。
本発明は固定端に対して水平方向に変位可能に免震支持された構造体を対象とし、固定端から加振入力される地震動に対する構造体の応答加速度と応答変位をともに低減させるための免震機構であって、前記構造体と前記固定端との間に慣性質量ダンパーと付加バネとを直列に設置するとともに、前記慣性質量ダンパーと前記付加ばねの双方もしくは少なくともいずれか一方に対して並列にオイルダンパーを設置し、かつ、前記固定端と前記構造体との間に、前記固定端に対して変位した前記構造体を定位置に復元させるための復元機構として、前記固定端に対する前記構造体の変位によらず一定の復元力を生じる定荷重バネを設置してなることを特徴とする。
本発明においては、前記定荷重バネと前記構造体との間に、前記定荷重バネによる復元力を拡大して前記構造体に作用させる荷重拡大機構を設置することが考えられる。
本発明の免震機構によれば、構造体と固定端との間に設置した慣性質量ダンパーと付加バネおよびオイルダンパーによって優れた応答変位低減効果が得られることはもとより、さらに復元機構として復元力が変位によらず一定に維持される定荷重バネを用いることにより短周期化することなく優れた加速度低減効果が得られ、したがって応答変位と応答加速度の双方をともに低減することができる。
また、定荷重バネによる復元力を拡大して構造体に作用させる荷重拡大機構を設置することにより、定荷重バネが小型小容量であってもそのバネ荷重の数倍以上もの復元力を確保することが可能である。
また、定荷重バネによる復元力を拡大して構造体に作用させる荷重拡大機構を設置することにより、定荷重バネが小型小容量であってもそのバネ荷重の数倍以上もの復元力を確保することが可能である。
本発明の実施形態である免震機構の構造モデルを図1に示す。
本実施形態は、固定端に対して水平変位可能に免震支持されている構造体1を対象とする。
ここで、固定端とは構造体1が地表に設置される建物等の構造物の場合は実質的に地面であり、構造体1が建物内に設置される機器等である場合には実質的にその設置面である床面をさす。
また、固定端に対する構造体1の免震支持は、具体的には、構造体1が建物等の構造物である場合には免震装置(積層ゴムや滑り支承、履歴ダンパー等)によるものであり、構造体1が機器等の場合には免震架台や防振架台の類(摩擦係数の小さいリニアレールと復元バネにより構成されているものが一般的である)によるものであるが、図1に示す構造モデルでは免震装置2として摺動摩擦を有する転がり支承(もしくは滑り支承)を想定している。符号3は構造体減衰である。
本実施形態は、固定端に対して水平変位可能に免震支持されている構造体1を対象とする。
ここで、固定端とは構造体1が地表に設置される建物等の構造物の場合は実質的に地面であり、構造体1が建物内に設置される機器等である場合には実質的にその設置面である床面をさす。
また、固定端に対する構造体1の免震支持は、具体的には、構造体1が建物等の構造物である場合には免震装置(積層ゴムや滑り支承、履歴ダンパー等)によるものであり、構造体1が機器等の場合には免震架台や防振架台の類(摩擦係数の小さいリニアレールと復元バネにより構成されているものが一般的である)によるものであるが、図1に示す構造モデルでは免震装置2として摺動摩擦を有する転がり支承(もしくは滑り支承)を想定している。符号3は構造体減衰である。
本実施形態の免震機構では、構造体1と固定端との間に、慣性質量ダンパー4と付加バネ5を直列に設置するとともに、それら慣性質量ダンパー4と付加バネ5の双方に対してそれぞれ並列に付加減衰としてのオイルダンパー6,7を設置しており、それらにより優れた応答変位低減効果が得られるものである。
本実施形態において設置する慣性質量ダンパー4としては、上述したように従来から多用されているボールねじとフライホイール(回転体錘)を組み合わせた形式のものが好適に採用可能である。
また、オイルダンパー6,7としてはリリーフ機構付きのものが好適に採用可能である。これは通常のオイルダンパーに逃がし弁(リリーフ弁)を追加することでシリンダー内の圧力が一定以上にならないようにして、オイルダンパーの負担力を制限つき(頭打ち)にしたものであり、その負担力が所定のリリーフ荷重を超えないように制限することが可能なものである。
なお、必ずしも上記のように2台のオイルダンパー6,7の双方を併設することはなく、少なくともいずれか一方のみを設置することでも良い。
なお、必ずしも上記のように2台のオイルダンパー6,7の双方を併設することはなく、少なくともいずれか一方のみを設置することでも良い。
本実施形態では構造体1と固定端との間に復元機構を設けて残留変位に対処しており、その復元機構としては図2に示す構成の定荷重バネ10を採用しており、これにより優れた応答加速度低減効果が得られるものである。
本実施形態における定荷重バネ10は、図2(b)に示すように長尺の帯状バネ11を対のドラム12,13にゼンマイ状に巻回したもので、常にほぼ一定の力で帯状バネ11をドラム12,13から引き出し可能かつ巻き取り可能な構成のものである。
この定荷重バネ10を図2(a)に示すように2台1組としてそれぞれワイヤー14(14a,14b)を介して所定の予張力を付与した状態で構造体1に接続しておくと、構造体1が静止状態にある通常時においては両側のワイヤー14の引張力がバランスしているが、地震時に構造体1が変位した際にはいずれか一方の定荷重バネ10から帯状バネ11が引き出され、その反力が復元力として構造体1に作用して構造体1を原位置に復帰させて残留変位が防止される。
すなわち、双方のワイヤー14に予張力を加えて所定位置に固定すると、構造体1が図示A方向に変位した場合、図示左側のワイヤー14aにのみ一定張力(反力)T0が生じる。その際、右側のワイヤー14bは単にたわむだけで張力を失い、したがって合計反力は図2(c)に示すようにT0となる。構造体1が逆方向(図示B方向)に変位すると上記の逆となり、合計反力は−T0となる。
本実施形態における定荷重バネ10は、図2(b)に示すように長尺の帯状バネ11を対のドラム12,13にゼンマイ状に巻回したもので、常にほぼ一定の力で帯状バネ11をドラム12,13から引き出し可能かつ巻き取り可能な構成のものである。
この定荷重バネ10を図2(a)に示すように2台1組としてそれぞれワイヤー14(14a,14b)を介して所定の予張力を付与した状態で構造体1に接続しておくと、構造体1が静止状態にある通常時においては両側のワイヤー14の引張力がバランスしているが、地震時に構造体1が変位した際にはいずれか一方の定荷重バネ10から帯状バネ11が引き出され、その反力が復元力として構造体1に作用して構造体1を原位置に復帰させて残留変位が防止される。
すなわち、双方のワイヤー14に予張力を加えて所定位置に固定すると、構造体1が図示A方向に変位した場合、図示左側のワイヤー14aにのみ一定張力(反力)T0が生じる。その際、右側のワイヤー14bは単にたわむだけで張力を失い、したがって合計反力は図2(c)に示すようにT0となる。構造体1が逆方向(図示B方向)に変位すると上記の逆となり、合計反力は−T0となる。
従来一般の免震機構のように復元機構として単なる復元バネ(伸びに比例した負担力をもつバネ)を採用した場合には、そのバネが構造体1と固定端との間に追加されることで免震機構の固有周期が短くなり、したがって免震機構の加速度低減効果が低下してしまうことが不可避である。それに対し、上記のような定荷重バネ10はそれ自体の剛性は考慮する必要がないので免震機構の周期特性は変化せず(短周期化しない)、加速度低減効果を損なうことなく維持することができる。
上記の定荷重バネ10には、必要に応じて復元力を拡大するための荷重拡大機構15を設置することも考えられる。
荷重拡大機構15は、図2(d)に示すように大小の径の滑車16,17を同軸上に一体化したもので、これを定荷重バネ10と構造体1との間に配置して上記のワイヤー14を小径の滑車17に巻回するとともに、大径の滑車16に巻回したサブワイヤー18を定荷重バネ10に連結することにより、定荷重バネ10による反力が滑車径の比に応じて拡大されて構造体1に対して復元力として作用するものである。
具体的には大径の滑車16の径をr1、小径の滑車17の径をr2とし、その比β=r1/r2 とすると、定荷重バネ10による反力のβ倍の荷重がワイヤー14を介して構造体1に対して作用することになる。
したがってそのような荷重拡大機構15を用いることにより、定荷重バネ10が小型小容量であっても大きな復元力を確保できるし、荷重拡大機構15による拡大倍率の設定により所望の復元力を自由に設定することも可能である。
荷重拡大機構15は、図2(d)に示すように大小の径の滑車16,17を同軸上に一体化したもので、これを定荷重バネ10と構造体1との間に配置して上記のワイヤー14を小径の滑車17に巻回するとともに、大径の滑車16に巻回したサブワイヤー18を定荷重バネ10に連結することにより、定荷重バネ10による反力が滑車径の比に応じて拡大されて構造体1に対して復元力として作用するものである。
具体的には大径の滑車16の径をr1、小径の滑車17の径をr2とし、その比β=r1/r2 とすると、定荷重バネ10による反力のβ倍の荷重がワイヤー14を介して構造体1に対して作用することになる。
したがってそのような荷重拡大機構15を用いることにより、定荷重バネ10が小型小容量であっても大きな復元力を確保できるし、荷重拡大機構15による拡大倍率の設定により所望の復元力を自由に設定することも可能である。
なお、本実施形態では、必要に応じて図1に示すように固定端と構造体1との間に他の慣性質量ダンパー20を設置しても良いし、本来の構造体減衰3の他にさらに付加減衰21を追加設置しても良い。
以下、本発明の具体的な設計例とそれに対する応答解析の結果を示し、特に定荷重バネ10による効果を実証する。
以下の具体例は半導体工場の4階に設置する部分免震(建物内で一部の範囲だけ免震床とする)を対象とするもので、そのモデルを図3(a)に示す。
ここでは免震装置2として免震台を介して構造体1を免震支持する転がり支承としてのリニアガイド(摩擦係数μ=0.006)を用いて、設置床面と免震台との間(つまりは固定端と構造体1との間)に復元機構としての定荷重バネ10(バネ定数K1)を設置するとともに、慣性質量ダンパー4(慣性質量ΔM1)、付加バネ5(バネ定数K2)、付加減衰としてのオイルダンパー7(減衰定数C2)を設置している。構造体減衰3は小さいため無視する。
設計与条件は、構造体1の質量(免震台および積載物を含む)M1=109ton、固有周期7.8秒であり、構造体1の最大応答変位を50cm以下とすることを条件として、最大応答加速度を可及的に小さくして120gal以下とすることを目標とする。
解析用の地震動は上町断層波とし、建設地の地盤条件を考慮した建物の応答解析により免震設置階床の応答波を本検討用の入力地震動とする。これは図3(b)に示すように最大加速度425galで長期成分が大きいという特徴がある地震波である。
以下の具体例は半導体工場の4階に設置する部分免震(建物内で一部の範囲だけ免震床とする)を対象とするもので、そのモデルを図3(a)に示す。
ここでは免震装置2として免震台を介して構造体1を免震支持する転がり支承としてのリニアガイド(摩擦係数μ=0.006)を用いて、設置床面と免震台との間(つまりは固定端と構造体1との間)に復元機構としての定荷重バネ10(バネ定数K1)を設置するとともに、慣性質量ダンパー4(慣性質量ΔM1)、付加バネ5(バネ定数K2)、付加減衰としてのオイルダンパー7(減衰定数C2)を設置している。構造体減衰3は小さいため無視する。
設計与条件は、構造体1の質量(免震台および積載物を含む)M1=109ton、固有周期7.8秒であり、構造体1の最大応答変位を50cm以下とすることを条件として、最大応答加速度を可及的に小さくして120gal以下とすることを目標とする。
解析用の地震動は上町断層波とし、建設地の地盤条件を考慮した建物の応答解析により免震設置階床の応答波を本検討用の入力地震動とする。これは図3(b)に示すように最大加速度425galで長期成分が大きいという特徴がある地震波である。
・比較例1
まず、比較のために、復元機構として定荷重バネ10ではなく単なる復元バネを用いた場合について検討する。各諸元は、その復元バネのバネ定数K1=72kgf/cm、付加バネ5のバネ定数K2=89kgf/cm、オイルダンパー7の減衰係数C2=367kgf/kine(リリーフ機構なし)、慣性質量ダンパー4による慣性質量ΔM1=134tonとする。
この場合の応答解析結果を図4(a)に示す。横軸は時間(秒)、縦軸は加速度(m/s2)および変位(m)である。
この図から、最大応答変位を50cm以下にしたときの最大応答変位は189galにもなり、目標の120galを大きく超えてしまう。
まず、比較のために、復元機構として定荷重バネ10ではなく単なる復元バネを用いた場合について検討する。各諸元は、その復元バネのバネ定数K1=72kgf/cm、付加バネ5のバネ定数K2=89kgf/cm、オイルダンパー7の減衰係数C2=367kgf/kine(リリーフ機構なし)、慣性質量ダンパー4による慣性質量ΔM1=134tonとする。
この場合の応答解析結果を図4(a)に示す。横軸は時間(秒)、縦軸は加速度(m/s2)および変位(m)である。
この図から、最大応答変位を50cm以下にしたときの最大応答変位は189galにもなり、目標の120galを大きく超えてしまう。
・比較例2
さらにオイルダンパー7にリリーフ機構を設けた場合について検討する。他の諸元は比較例1と同じにしたままで、オイルダンパー7の減衰係数C2=490kgf/kineとし、リリーフ荷重を15tonfとした場合の応答を図4(b)に示す。
この場合、最大応答変位を50cm以下にしたときの最大応答変位はリリーフ機構により若干低下して174galとなるものの依然として目標の120galを大きく超えてしまう。応答変位については比較例1よりも僅かに小さくなるが殆ど同じである。
さらにオイルダンパー7にリリーフ機構を設けた場合について検討する。他の諸元は比較例1と同じにしたままで、オイルダンパー7の減衰係数C2=490kgf/kineとし、リリーフ荷重を15tonfとした場合の応答を図4(b)に示す。
この場合、最大応答変位を50cm以下にしたときの最大応答変位はリリーフ機構により若干低下して174galとなるものの依然として目標の120galを大きく超えてしまう。応答変位については比較例1よりも僅かに小さくなるが殆ど同じである。
・本発明1
次に、本発明の定荷重バネ10を用いる場合について検討する。上記の復元バネに代えてバネ荷重(構造体1への反力)をP=90kgfとした定荷重バネ10を用いる以外は比較例1の場合と同じとする。
この場合の応答を図5(a)に示す。最大応答変位を50cm以下としたときの最大応答加速度は169galとなり、目標の120galは満足しないが比較例1,2に比べて改善効果が見られ、特に加振当初の5秒付近での最大応答加速度に対するピークカット効果が得られる。
次に、本発明の定荷重バネ10を用いる場合について検討する。上記の復元バネに代えてバネ荷重(構造体1への反力)をP=90kgfとした定荷重バネ10を用いる以外は比較例1の場合と同じとする。
この場合の応答を図5(a)に示す。最大応答変位を50cm以下としたときの最大応答加速度は169galとなり、目標の120galは満足しないが比較例1,2に比べて改善効果が見られ、特に加振当初の5秒付近での最大応答加速度に対するピークカット効果が得られる。
・本発明2
他の諸元は上記(本発明1)の場合のままとして、オイルダンパー7をリリーフ機構付きとした場合について検討する。
オイルダンパー7を比較例2で用いたもの(減衰係数C2=490kgf/kine、リリーフ荷重を15tonf)とした場合には、図5(b)に示すように最大応答変位を50cm以下としたときの最大応答加速度は147galに改善される。
他の諸元は上記(本発明1)の場合のままとして、オイルダンパー7をリリーフ機構付きとした場合について検討する。
オイルダンパー7を比較例2で用いたもの(減衰係数C2=490kgf/kine、リリーフ荷重を15tonf)とした場合には、図5(b)に示すように最大応答変位を50cm以下としたときの最大応答加速度は147galに改善される。
・本発明3
さらに、定荷重バネ10を用いる場合において、慣性質量ダンパー4および付加バネ7の諸元を最適化した場合について検討する。他の諸元は上記(本発明2)の場合のままとして、回転慣性質量ダンパー4の慣性質量ΔM1=110tonf、付加バネ5のバネ定数K2=1kgf/cmとした場合、最大応答変位を50cm以下としたときの最大応答加速度は127galまで改善され、ほぼ目標を満足する。
さらに、定荷重バネ10を用いる場合において、慣性質量ダンパー4および付加バネ7の諸元を最適化した場合について検討する。他の諸元は上記(本発明2)の場合のままとして、回転慣性質量ダンパー4の慣性質量ΔM1=110tonf、付加バネ5のバネ定数K2=1kgf/cmとした場合、最大応答変位を50cm以下としたときの最大応答加速度は127galまで改善され、ほぼ目標を満足する。
以上の解析により、本発明によれば復元機構として定荷重バネ10を用いることによって応答を有効に低減できることが確認できた。
また、定荷重バネ10を用いることに加えて付加減衰としてのオイルダンパー6にリリーフ特性をもたせることで、応答低減効果をより高めることができることが確認できた。
なお、定荷重バネ10による復元効果によって免震台が原位置に支障なく復元して残留変位が生じないことも確認できた。
また、定荷重バネ10を用いることに加えて付加減衰としてのオイルダンパー6にリリーフ特性をもたせることで、応答低減効果をより高めることができることが確認できた。
なお、定荷重バネ10による復元効果によって免震台が原位置に支障なく復元して残留変位が生じないことも確認できた。
本発明の免震機構は以下の効果を奏する。
構造体1と固定端との間に慣性質量ダンパー4と付加バネ5とを直列に設置し、かつそれらの少なくもの一方と並列にオイルダンパー6,7を設置したので、優れた応答変位低減効果が得られることはもとより、特に定荷重バネ10を用いた復元機構を使用することにより優れた加速度低減効果も得られ、これにより応答変位と応答加速度の双方をともに低減することができる。
すなわち、従来一般的には残留変位を防止するため単なる復元バネを用いていたが、その復元バネの剛性により短周期化してしまうことが避けられず免震機構の加速度低減効果が低下してしまうという問題があった。しかし、本発明によれば定荷重バネ10には剛性がないので免震機構の周期特性は変化せず、固定端から大きな加速度入力があっても構造体1への加振力が頭打ちとなって構造体1の応答加速度を軽減することができ、免震機構の加速度低減効果が維持されるのである。
勿論、定荷重バネ10の復元効果により構造体1がどの方向に変位しても原位置に確実に復帰することができ、残留変位を確実に解消することができる。
構造体1と固定端との間に慣性質量ダンパー4と付加バネ5とを直列に設置し、かつそれらの少なくもの一方と並列にオイルダンパー6,7を設置したので、優れた応答変位低減効果が得られることはもとより、特に定荷重バネ10を用いた復元機構を使用することにより優れた加速度低減効果も得られ、これにより応答変位と応答加速度の双方をともに低減することができる。
すなわち、従来一般的には残留変位を防止するため単なる復元バネを用いていたが、その復元バネの剛性により短周期化してしまうことが避けられず免震機構の加速度低減効果が低下してしまうという問題があった。しかし、本発明によれば定荷重バネ10には剛性がないので免震機構の周期特性は変化せず、固定端から大きな加速度入力があっても構造体1への加振力が頭打ちとなって構造体1の応答加速度を軽減することができ、免震機構の加速度低減効果が維持されるのである。
勿論、定荷重バネ10の復元効果により構造体1がどの方向に変位しても原位置に確実に復帰することができ、残留変位を確実に解消することができる。
本発明はパッシブ型(受動型)の免震機構であって外部からの電力や油圧などのエネルギー供給は一切不要であるし、センサーを用いて高度の制御を必要とするようなシステムでもないため、簡易な構成でありながら優れた免震効果を発揮し得る免震機構をローコストで実現することができる。
特に、定荷重バネ10は各種機器においてたとえばカウンターウエイトの代替品として広く使用されている汎用製品であるから、これは安価に調達できるし、製品としての信頼性にも優れるものであり、免震機構の構成要素として有効に利用可能である。
しかも、荷重増大機構15を併用することにより、小型小容量の定荷重バネ10であってもそのバネ荷重の数倍以上もの復元力を確保することが可能である。
特に、定荷重バネ10は各種機器においてたとえばカウンターウエイトの代替品として広く使用されている汎用製品であるから、これは安価に調達できるし、製品としての信頼性にも優れるものであり、免震機構の構成要素として有効に利用可能である。
しかも、荷重増大機構15を併用することにより、小型小容量の定荷重バネ10であってもそのバネ荷重の数倍以上もの復元力を確保することが可能である。
1 構造体
2 免震装置
3 構造体減衰
4 慣性質量ダンパー
5 付加バネ
6,7 オイルダンパー
10 定荷重バネ(復元機構)
11 帯状バネ
12,13 ドラム
14(14a,14b) ワイヤー
15 荷重拡大機構
16,17 滑車
18 サブワイヤー
20 慣性質量ダンパー
21 付加減衰
2 免震装置
3 構造体減衰
4 慣性質量ダンパー
5 付加バネ
6,7 オイルダンパー
10 定荷重バネ(復元機構)
11 帯状バネ
12,13 ドラム
14(14a,14b) ワイヤー
15 荷重拡大機構
16,17 滑車
18 サブワイヤー
20 慣性質量ダンパー
21 付加減衰
Claims (2)
- 固定端に対して水平方向に変位可能に免震支持された構造体を対象とし、固定端から加振入力される地震動に対する構造体の応答加速度と応答変位をともに低減させるための免震機構であって、
前記構造体と前記固定端との間に慣性質量ダンパーと付加バネとを直列に設置するとともに、前記慣性質量ダンパーと前記付加ばねの双方もしくは少なくともいずれか一方に対して並列にオイルダンパーを設置し、
かつ、前記固定端と前記構造体との間に、前記固定端に対して変位した前記構造体を定位置に復元させるための復元機構として、前記固定端に対する前記構造体の変位によらず一定の復元力を生じる定荷重バネを設置してなることを特徴とする免震機構。 - 請求項1記載の免震機構であって、
前記定荷重バネと前記構造体との間に、前記定荷重バネによる復元力を拡大して前記構造体に作用させる荷重拡大機構を設置してなることを特徴とする免震機構。
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