JP5252173B2 - 防振機構 - Google Patents
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Description
(a)に示すような振動系は(b)に示すような1質点系の振動モデルとして考えることができる。いま、浮き基礎1の質量がM=1500ton、浮き基礎1の固有振動数がf1=1Hz(固有角振動数ω1=2πf1)、バネ要素3のバネ定数がk=60tonf/cm、減衰要素としてのダッシュポット4の減衰係数がc=0.95tonf/kine、減衰定数がh=0.05、振動源としての機械振動による加振力がF=10ton(振幅fの正弦波)であり、その加振力Fが卓越加振振動数(制御対象振動数)f0=8Hzにおいて卓越する場合、加振力Fに対する反力Rの大きさ(振幅比)を表す反力倍率R/fは(c)に示すようなものとなる。
すなわち、反力倍率R/fは浮き基礎1の固有振動数(f1=1Hz)においてピークとなってそれ以上の振動数領域では漸減するものの、M=1500tonもの巨大な質量の浮き基礎1としているにも拘わらず、卓越加振振動数f0=8Hzにおける反力倍率はR/f=0.020(1/50)程度に過ぎず、必ずしも効率的な反力低減効果が得られないものである。
なお、このことは上記のような大規模な浮き基礎1の場合のみならず、各種の機器を設置するための架台をバネ要素により支持した防振架台の類においても同様である。
これによれば、図8(a)に示すように制御対象振動数f0の近傍での反力倍率をR/f=0.009程度、つまり1/100以下にまで低減させることができる(但し、制御対象振動数f0の前後を除く他の振動数領域では反力率は従来よりも大きくなる)。
この場合、そのような反力低減効果を得るに必要な回転慣性質量はΨ=23.4ton程度でよく、実際の回転体の質量はその1/10〜1/500程度で良いので、小型軽量の小容量の回転慣性質量ダンパー5を設置することで大きな反力低減効果が得られる。しかも、他の条件が同じであれば浮き基礎1の質量はM=117ton程度で充分であり、図6に示したような単なる浮き基礎の場合に比べてその所要質量を1/10以下にまで軽減することが可能である。
図8(b)は上記の加振反力低減機構における浮き基礎1の変位x0(加振力による静的変位で無次元化した無次元化変位)を示すものである。これによれば、図6に示した単なる浮き基礎(M=1500ton)の場合には制御対象振動数f0における無次元化変位はx0=0.0159であるのに対し、上記のように回転慣性質量ダンパー5を設置して浮き基礎1の質量をM=117tonに軽減した場合にはx0=0.199程度に増大してしまい、変位振幅の点では逆効果となる。
また、変位振幅抑制効果を発揮する振動数は可動質量体と第1のバネ要素の諸元により定まり、反力低減効果を発揮する振動数は回転慣性質量と第2のバネ要素の諸元により定まり、いずれも振動体の質量には依存しないので、各諸元をいったん設定してしまえば載荷荷重や機器荷重が変化しても反力低減効果や変位振幅抑制効果は維持され、したがって再同調作業は不要である。
さらに、振動体の自重を軽減できるばかりでなく、単なる浮き基礎の場合に比べて自ずと短周期化するので所謂ふかふかバネ状態になることもない。
すなわち、本実施形態の防振機構は、振動体としての浮き基礎1とその固定端としての構造物2の間に、それらの双方に対して相対振動可能な可動質量体6を介装して、可動質量体6と浮き基礎1および構造体2との間にそれぞれ第1のバネ要素3aおよび第2のバネ要素3bを設置している。
また、可動質量体6と浮き基礎1との間には減衰要素としてのダッシュポット4を第1のバネ要素3aと並列に設置するとともに、可動質量体6と構造体2との間には、可動質量体6の振動により作動して所定の回転慣性質量Ψを生じる回転慣性質量ダンパー5を第2のバネ要素3bと並列に設置したものである。
浮き基礎1に加振力Fが作用したときの振動方程式は、その質量Mの変位振幅x、および可動質量体6の質量mの変位振幅xmとして、次式で表される。
但し、減衰が過小であると低振動数の共振域で過大な応答となるので、減衰定数はh=0.01程度は確保する必要がある。
図2は、浮き基礎1の質量M=100ton、第1および第2のバネ要素3a,3bのバネ定数をk1=k2=120tonf/cmとし、可動質量体6の質量mおよび回転慣性質量Ψをm=Ψ=46.5tonとした場合の例である。すなわち、f0=8Hzから ω0=2πf0=50.3rad/sec、したがって m=Ψ=k1/ω0 2=0.0475tonf/(cm/sec2)=46.5ton となるように設定したものである。減衰についてはc=2mhmω0、hm=0.01とした。
図2には比較のために図6に示した浮き基礎(M=1500ton)のみの場合と、図7〜図8に示した加振反力低減機構(浮き基礎(M=117ton)に回転慣性質量(Ψ=23.4ton)を付加)した場合を併せて示している。
図2(a)に示されるように、制御対象振動数f0=8Hzにおける反力倍率はR/f=0.001程度にまで低減し、したがって図7〜図8に示した加振反力低減機構による場合よりも効果的であることがわかる。
また、図2(b)に示されるように、制御対象振動数f0における無次元化変位もx0=0.01程度となり、図7〜図8に示した加振反力低減機構の場合はもとより図6に示した従来の単なる浮き基礎の場合よりもさらに低減している。
すなわち、本発明によれば反力と変位の双方に対する低減効果が同時に得られるものであり、単に回転慣性質量を利用するだけの加振反力低減機構では変位が増大してしまうという問題を有効に改善できるものである。
(1)従来一般の防振機構と比較して、振動系に軽微な可動質量と回転慣性質量を加えるだけで、特定の振動数領域において飛躍的な反力低減と振幅抑制の効果を発揮できる。
(2)浮き基礎等の防振基礎に適用する場合には、従来型と同等性能でも所要質量を格段に軽減することができる。これにより、浮き基礎自体のみならず建築物の地下基礎工事も簡素化でき、掘削工事、地下躯体工事、杭や基礎工事の軽減も可能となる
(3)変位振幅抑制効果を発揮する振動数は可動質量とバネにより定まり、反力低減効果を発揮する振動数は回転慣性質量とバネにより定まり、いずれも質量には依存しない。そのため、その振動数を制御対象振動数としていったん設定してしまえば、載荷荷重や機器荷重が変化しても反力低減効果や変位振幅抑制効果は維持される。
これは質点重量とバネから応答低減振動数が定まる所謂チューンドマスダンパー(TMD)と大きく異なる有利な点である。すなわち、TMDでは重量や載荷荷重の変化により効果が発揮されなくなるので、重量変化があると周波数の再同調作業が必要になるが、本発明ではそのような必要がない。
(5)本発明はバネと回転慣性質量ダンパーを並列に設置したものであるので、バネにより振動体の自重を支持できる。また、回転慣性質量を用いない単なる浮き基礎と比較すると短周期化し、所謂ふかふかバネ状態にはならない。
(6)本発明では反力と変位振幅を同時に低減できる振動数帯域は狭いが、バネや回転慣性質量を適切に調整すれば、従来型より桁違いに小型で高性能な防振機構とすることができる。また、従来型の浮き基礎に軽微な可動質量体と小容量の回転慣性質量ダンパーを付加するだけの簡単な構成なので、既往の施工手法を踏襲してローコストに実施することができる。
2 外基礎(構造体)
3a 第1のバネ要素
3b 第2のバネ要素
4 ダッシュポット(減衰要素)
5 回転慣性質量ダンパー
6 可動質量体
Claims (1)
- 構造体に対して振動可能に設置される振動体が所定の加振振動数で加振される際に前記構造体に作用する反力を低減させるとともに前記振動体に生じる加振振動数での振動の振幅を低減させるための防振機構であって、
前記構造体と前記振動体との間にそれら構造体と振動体の双方に対して相対振動可能な可動質量体を介装して、該可動質量体と前記振動体および前記構造体との間にそれぞれ第1のバネ要素および第2のバネ要素を設置し、
前記可動質量体と前記構造体との間には、該可動質量体の振動により作動して回転慣性質量を生じる回転慣性質量ダンパーを前記第2のバネ要素と並列に設置し、
前記第1のバネ要素のバネ定数と前記可動質量体の質量とにより定まる固有振動数と、前記第2のバネ要素のバネ定数と前記回転慣性質量ダンパーにより生じる回転慣性質量とにより定まる固有振動数を、いずれも前記加振振動数に一致させてなることを特徴とする防振機構。
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JP2007257233A JP5252173B2 (ja) | 2007-10-01 | 2007-10-01 | 防振機構 |
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