まず、コンバイン100について簡単に説明する。
図1は、コンバイン100の左側面を示している。図2は、コンバイン100の右側面を示している。図中には、コンバイン100の前後方向及び上下方向を表す。
コンバイン100は、主に走行装置1と、刈取装置2と、脱穀装置3と、選別装置4と、貯留装置5と、動力装置6と、で構成されている。
走行装置1は、シャシフレーム10の下方に設けられている。走行装置1は、トランスミッション11と、左右一対のクローラ装置12・12と、で構成されている。トランスミッション11は、ディーゼルエンジン61の回転動力をクローラ装置12・12へ伝達する。クローラ装置12・12は、コンバイン100を前後方向に走行させる。また、クローラ装置12・12は、コンバイン100を左右方向に旋回させる。
刈取装置2は、走行装置1の前方に設けられている。刈取装置2は、リール21と、カッター22と、オーガ23と、コンベヤ24と、ビータ25と、で構成されている。リール21は、回転することによって圃場の穀稈をカッター22へ案内する。カッター22は、リール21によって案内された穀稈を切断する。オーガ23は、カッター22によって切断された穀稈を所定の位置に集合させる。コンベヤ24は、オーガ23によって集合させた穀稈をビータ25まで搬送する。ビータ25は、コンベヤ24が搬送してきた穀稈を脱穀装置3へ送り込む。
脱穀装置3は、刈取装置2の後方に設けられている。脱穀装置3は、ローター31と、シーブメッシュ32と、で構成されている。ローター31は、回転することによって穀稈を脱穀する。また、ローター31は、回転することによって穀稈を搬送する。シーブメッシュ32は、ローター31によって搬送される穀稈を支持するとともに脱穀物を選別装置4へ落下させる。なお、脱穀後の穀稈は、後部の排出口3Eから排出される。
選別装置4は、脱穀装置3の下方に設けられている。選別装置4は、揺動装置41と、送風装置42と、で構成されている。揺動装置41は、脱穀物をふるいにかけて穀粒を選別する。送風装置42は、揺動装置41の上に残った細かな穀稈(以降「藁屑」とする)を吹き飛ばす。なお、吹き飛ばされた藁屑は、後部の排出口3Eから排出される。
貯留装置5は、脱穀装置3及び選別装置4の側方に設けられている。貯留装置5は、グレンタンク51と、排出オーガ52と、で構成されている。グレンタンク51は、選別装置4から搬送されてきた穀粒を貯留する。排出オーガ52は、グレンタンク51内の穀粒を排出する際に用いられる。なお、排出オーガ52は、穀粒の排出作業を行なう際に回動され、穀粒を任意の場所に排出できる。
動力装置6は、貯留装置5の前方に設けられている。動力装置6は、ディーゼルエンジン61で構成されている。ディーゼルエンジン61は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。具体的に説明すると、ディーゼルエンジン61は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを回転動力に変換する。
次に、脱穀装置3と選別装置4について更に詳しく説明する。なお、以下では、脱穀物を「脱穀物C」、穀粒を「穀粒G」、藁屑を「藁屑S」として説明する。
図3は、脱穀装置3と選別装置4を示している。図4は、選別装置4の構造を示している。また、図5は、選別装置4が穀粒Gを選別している状況を示している。図中には、脱穀物Cである穀粒Gと藁屑Sが移動する方向を表す。また、図中には、ファン421による風が流れる方向を表す。
まず、脱穀装置3について説明する。
上述したように、脱穀装置3は、ローター31と、シーブメッシュ32と、で構成されている。ローター31は、回転することによって穀稈を脱穀する。また、ローター31は、回転することによって穀稈を搬送する。シーブメッシュ32は、ローター31によって搬送される穀稈を支持するとともに脱穀物Cを選別装置4へ落下させる。
ローター31は、主に、センターシャフト311と、インペラ312と、ツースバー313と、で構成されている。本ローター31においては、センターシャフト311の前端部にインペラ312が配置され、該インペラ312の後方にセンターシャフト311を中心とした複数のツースバー313が配置されている。
センターシャフト311は、長く直線状に形成された構造体である。センターシャフト311は、インペラ312やツースバー313を支持する。センターシャフト311は、その前端部でインペラ312を支持し、その中央部から後端部にかけて複数のツースバー313を支持する。なお、センターシャフト311は、その前端部及び後端部がローターハウジング33によって回転自在に支持されている。
インペラ312は、螺旋状のブレード312bが形成された構造体である。インペラ312は、ビータ25によって送り込まれてきた穀稈を掻き込む。つまり、インペラ312は、回転することにより、ビータ25によって送り込まれてきた穀稈を取り込んで後方へ送り出すのである。なお、インペラ312は、螺旋状のブレード312bを備えた構造に限定するものではなく、複数のブレードを備えた構造であっても良い。
ツースバー313は、複数の扱ぎ歯313tを所定の間隔をあけて平行に取り付けた構造体である。ツースバー313は、インペラ312が送り出した穀稈を脱穀する。つまり、ツースバー313は、回転することにより、インペラ312が送り出した穀稈を揉み込んで脱穀物Cを取り出すのである。なお、ツースバー313は、複数の扱ぎ歯313tを備えた構造に限定するものではなく、螺旋状のブレードを支持する構造であっても良い。
シーブメッシュ32は、主に、網体321で構成されている。本シーブメッシュ32においては、複数のツースバー313によって構成される回転体の下方を覆うように網体321が配置されている。
網体321は、複数のワイヤ321wを所定の間隔をあけて平行に張り巡らした構造体である。網体321は、穀稈を支持するとともに該穀稈と脱穀物Cに分別する。つまり、網体321は、穀稈を支持しつつ脱穀物Cを落下させることにより、穀稈と脱穀物Cに分けるのである。なお、網体321は、左側部と右側部を組み合わせてなる構造とされ、左側部は扉とともに開閉自在になっている。網体321は、ワイヤ321wを張った構造に限定するものではなく、板材に無数の穴を設けた構造であっても良い。
次に、選別装置4について説明する。
上述したように、選別装置4は、揺動装置41と、送風装置42と、で構成されている。揺動装置41は、脱穀物Cをふるいにかけることによって穀粒Gを選別する。送風装置42は、脱穀物Cに含まれる藁屑Sを吹き飛ばすことによって穀粒Gを選別する。
揺動装置41は、主に、フィードパン411と、チャフシーブ412と、ストローラック413と、セパレータ414と、で構成されている。本揺動装置41においては、フィードパン411の後方にチャフシーブ412が配置され、該チャフシーブ412の後方にストローラック413が配置されている。更に、チャフシーブ412の上方にセパレータ414が配置されている。
フィードパン411は、広く平らに形成された構造体である。フィードパン411は、シーブメッシュ32から落下してきた脱穀物Cを受け止める。また、フィードパン411は、前後に揺動することにより、該フィードパン411上の脱穀物Cを均しながら後方に移動させる。このとき、脱穀物Cは、斜めに取り付けられたフィン411fによって左右方向にも満遍なく広げられる。
チャフシーブ412は、複数のシーブプレート412pを所定の間隔をあけて平行に取り付けた構造体である。チャフシーブ412は、フィードパン411から送られてきた脱穀物Cを濾過する。つまり、チャフシーブ412は、前後に揺動することにより、フィードパン411から送られてきた脱穀物Cをふるいにかけるのである。これにより、脱穀物Cに混入している藁屑Sを浮き上がらせ、穀粒Gと分けることができる。こうして、チャフシーブ412は、脱穀物Cから穀粒Gの選別を行なう。なお、選別後の脱穀物C(穀粒Gのみとなっている)は、ふるい網415を通った後に、第一流穀板431に案内されて一番樋43へ落下する。また、チャフシーブ412の上に残った脱穀物Cは、後方に移動してストローラック413へ送られる。
ストローラック413は、複数のラックプレート413pを所定の間隔をあけて平行に取り付けた構造体である。ストローラック413は、チャフシーブ412から送られてきた脱穀物Cを濾過する。つまり、ストローラック413は、前後に揺動することにより、チャフシーブ412から送られてきた脱穀物Cをふるいにかけるのである。これにより、脱穀物Cに混入している比較的に大きな藁屑Sを支持し、穀粒Gと分けることができる。こうして、ストローラック413は、脱穀物Cから穀粒Gの選別を行なう。なお、選別後の脱穀物C(穀粒Gと少数の小さな藁屑Sとなっている)は、第二流穀板441に案内されて二番樋44へ落下する。また、ストローラック413の上に残った脱穀物Cは、後方に移動して排出口3Eから排出される。
セパレータ414は、広く平らな板材に無数の穴を設けた構造体である。セパレータ414は、シーブメッシュ32から落下してきた脱穀物Cを濾過する。つまり、セパレータ414は、前後に揺動することにより、シーブメッシュ32から落下してきた脱穀物Cをふるいにかけるのである。これにより、脱穀物Cに混入している比較的に大きな藁屑Sを引っ掛け、残りの脱穀物Cと分けることができる。こうして、セパレータ414は、脱穀物Cから比較的に大きな藁屑Sを取り除く。なお、選別後の脱穀物C(穀粒Gと多数の小さな藁屑Sとなっている)は、直接にチャフシーブ412へ落下する。また、セパレータ414の上に残った脱穀物Cは、後方に移動してストローラック413へ落下する。このとき、脱穀物Cは、ふるい線414Sによって更にふるいにかけられる。
その後、チャフシーブ412は、フィードパン411から送られてきた脱穀物Cとともにセパレータ414から落下してきた脱穀物Cをふるいにかけるのである。上述したように、選別後の脱穀物C(穀粒Gのみとなっている)は、ふるい網415を通った後に、第一流穀板431に案内されて一番樋43へ落下する。また、チャフシーブ412の上に残った脱穀物Cは、後方に移動してストローラック413へ送られる。
加えて、ストローラック413は、チャフシーブ412から送られてきた脱穀物Cとともにセパレータ414から落下してきた脱穀物Cをふるいにかけるのである。上述したように、選別後の脱穀物C(穀粒Gと少数の小さな藁屑Sとなっている)は、第二流穀板441に案内されて二番樋44へ落下する。また、ストローラック413の上に残った脱穀物Cは、後方に移動して排出口3Eから排出される。
送風装置42は、主に、ファン421と、ファンケース422と、で構成されている。本送風装置42においては、フィードパン411の下方にファン421が配置され、該ファン421を覆うようにファンケース422が配置されている。
ファン421は、複数のファンプレート421pを所定の角度毎に取り付けた構造体である。ファン421は、チャフシーブ412やストローラック413に向けて風を送り、藁屑Sを吹き飛ばす。つまり、ファン421は、回転して風を送り出すことにより、チャフシーブ412上の藁屑Sや該チャフシーブ412から落下してきた藁屑Sを吹き飛ばす。また、ファン421は、回転して風を送り出すことにより、ストローラック413上の藁屑Sや該ストローラック413から落下してきた藁屑Sを吹き飛ばす。これにより、脱穀物Cに混入している比較的に小さな藁屑Sを吹き飛ばし、穀粒Gと分けることができる。こうして、ファン421は、脱穀物Cから穀粒Gの選別を行なう。なお、選別後の脱穀物C(穀粒Gのみとなっている)は、第一流穀板431に案内されて一番樋43へ落下する。若しくは、選別後の脱穀物C(穀粒Gと少数の小さな藁屑Sとなっている)は、第二流穀板441に案内されて二番樋44へ落下する。
ファンケース422は、板材を折り曲げて形成された構造体である。ファンケース422は、ファン421を覆うとともに該ファン421が送り出した風を所定の方向へ案内する。具体的に説明すると、ファンケース422は、ファン421が送り出した風を四つに分岐し、それぞれを所定の方向へ案内する。
ファンケース422は、アッパフローガイド423を備えている。アッパフローガイド423は、ファン421が上方へ送り出した風を分岐し、一方をチャフシーブ412の上面側に向かわせ(図5における矢印Fa参照)、他方をチャフシーブ412の下面側に向かわせる(図5における矢印Fb参照)。これにより、チャフシーブ412やストローラック413上の藁屑Sを吹き飛ばすことができる。また、チャフシーブ412やストローラック413から落下してきた藁屑Sを吹き飛ばすことができる。更に、ふるい網415上の藁屑Sを吹き飛ばすことができる。
加えて、ファンケース422は、ロワフローガイド424を備えている。ロワフローガイド424は、ファン421が後方へ送り出した風を分岐し、一方をふるい網415を介してチャフシーブ412に向かわせ(図5における矢印Fc参照)、他方を第一流穀板431に沿わせてストローラック413に向かわせる(図5における矢印Fd参照)。これにより、チャフシーブ412やストローラック413上の藁屑Sを吹き飛ばすことができる。また、チャフシーブ412やストローラック413から落下してきた藁屑Sを吹き飛ばすことができる。更に、ふるい網415上の藁屑Sを吹き飛ばすことができる。なお、第一流穀板431は、チャフシーブ412の下方に設けられた一番樋43からストローラック413に向けて設置されている。このため、第一流穀板431に沿って流れる風は、徐々に強められてストローラック413に到達する。
次に、脱穀装置3と選別装置4を動かすための仕組について説明する。
図6は、コンバイン100の動力伝達機構を示している。図7は、ベルト機構7を示している。
動力伝達機構は、トランスミッション11のほか、各種の伝達機構で構成されている。ここでは、ベルト機構7に着目して説明する。ベルト機構7は、脱穀装置3や選別装置4の側方に配置されている。
ベルト機構7は、ディーゼルエンジン61の回転動力を脱穀装置3や選別装置4へ伝達する。ベルト機構7には、ファン421のセンターシャフト71を介してディーゼルエンジン61の回転動力が入力される。センターシャフト71には、プーリー711が取り付けられており、該プーリー711にベルト712が掛けられている。また、センターシャフト71には、プーリー713が取り付けられており、該プーリー713にベルト714が掛けられている。
ベルト機構7は、ロータリシャフト72を備えている。ロータリシャフト72には、プーリー721が取り付けられており、該プーリー721にベルト712が掛けられている。そのため、ロータリシャフト72は、センターシャフト71の回転に伴って回転される。また、ロータリシャフト72は、ギヤユニット722を介してローター31に連結されている。従って、ローター31は、ロータリシャフト72の回転に伴って回転される。
ベルト機構7は、ロータリシャフト73を備えている。ロータリシャフト73には、プーリー731が取り付けられており、該プーリー731にベルト714が掛けられている。そのため、ロータリシャフト73は、ロータリシャフト71の回転に伴って回転される。また、ロータリシャフト73は、コンベヤ43Cの中心軸である。従って、コンベヤ43Cは、ロータリシャフト73と一体となって回転される。
ベルト機構7は、ロータリシャフト74を備えている。ロータリシャフト74には、プーリー741が取り付けられており、該プーリー741にベルト714が掛けられている。そのため、ロータリシャフト74は、ロータリシャフト71の回転に伴って回転される。また、ロータリシャフト74は、コンベヤ44Cの中心軸である。従って、コンベヤ44Cは、ロータリシャフト74と一体となって回転される。なお、ロータリシャフト74には、プーリー742が取り付けられており、該プーリー742にベルト743が掛けられている。
ベルト機構7は、クランクシャフト75を備えている。クランクシャフト75には、プーリー751が取り付けられており、該プーリー751にベルト743が掛けられている。そのため、クランクシャフト75は、ロータリシャフト74の回転に伴って回転される。また、クランクシャフト75は、揺動装置41の入力軸となる。従って、揺動装置41は、クランクシャフト75の回転に伴って揺動される。
次に、ローター31の回転に伴って穀稈が搬送される仕組について説明する。
図8は、ローターカバー34を示している。図9は、図8の矢印Xから見た図(断面図)であり、図10は、図8の矢印Yから見た図(断面図)である。また、図11は、図8の矢印Zから見た図である。加えて、図12は、可動式送塵ガイド37の取り付け構造を示している。図13は、固定式送塵ガイド38の取り付け構造を示している。
ローターガバー34は、ローター31を覆う(図1、図3参照)。ローターガバー34は、トッププレート341と、ライトサイドプレート342と、レフトサイドプレート343と、で構成されている。本ローターカバー34においては、水平にトッププレート341が配置され、該トッププレート341の右端から斜め下方に向けてライトサイドプレート342が溶接されている。更に、トッププレート341の左端から斜め下方に向けてレフトサイドプレート343が溶接されている。
ローターカバー34は、その内側にガイドプレート35とインナープレート36が取り付けられている。ガイドプレート35は、円弧状に曲げられており、ローター31に巻き上げられた穀稈を案内する。また、インナープレート36は、ローターカバー34に沿うように曲げられており、ローター31とともに回転する穀稈に起因した摩耗を抑える。なお、ガイドプレート35は、ライトサイドプレート342に取り付けられ、インナープレート36は、トッププレート341とレフトサイドプレート343に取り付けられる。
更に、ローターカバー34は、その内側に複数の可動式送塵ガイド37と固定式送塵ガイド38が取り付けられている。可動式送塵ガイド37は、ローター31の軸方向に対して所定の取付角度αとなっている。また、固定式送塵ガイド38も、ローター31の軸方向に対して所定の取付角度となっている。そのため、可動式送塵ガイド37と固定式送塵ガイド38は、ローター31とともに回転する穀稈を受け流し、該穀稈をローター31の軸方向へ案内する。換言すると、可動式送塵ガイド37と固定式送塵ガイド38は、ローター31とともに回転する穀稈をすくい、該穀稈をローター31の軸方向へ移動させる。このため、穀稈は、螺旋状の軌跡を描きながら、徐々に後方へ搬送されるのである。以下に、可動式送塵ガイド37と固定式送塵ガイド38について詳細に説明する。
可動式送塵ガイド37は、所定の形状に切り出された板材を折り曲げて形成されている。可動式送塵ガイド37は、曲代37bの一端部に丸穴37hが設けられており、該丸穴37hに嵌め込まれたマウントシャフト37Sを介してトッププレート341に取り付けられる(図12の※印部参照)。具体的に説明すると、可動式送塵ガイド37は、曲代37bに設けられた丸穴37hにマウントシャフト37Sが嵌め込まれる。そして、可動式送塵ガイド37は、マウントシャフト37Sがトッププレート341の取付穴341hに挿入された状態でナット37Nによって固定される。このとき、トッププレート341とナット37Nの間には、ワッシャ37Wとスプリングワッシャ37Sが挟み込まれる。なお、可動式送塵ガイド37は、リンク機構8によって取付角度αが調節自在となっている。かかるリンク機構8については後述する。
固定式送塵ガイド38は、所定の形状に切り出された板材を折り曲げて形成されている。固定式送塵ガイド38は、曲代38bに複数のボルト穴38hが設けられており、該ボルト穴38hに通されたボルト38Bを介してライトサイドプレート342に取り付けられる。具体的に説明すると、固定式送塵ガイド38は、曲代38bに設けられたボルト穴38hにボルト38Bが通される。そして、固定式送塵ガイド38は、ボルト38Bがライトサイドプレート342のボルト穴(図示せず)に挿入された状態でナット38Nによって固定される。このとき、ライトサイドプレート342とナット38Nの間には、ワッシャ38Wとスプリングワッシャ38Sが挟み込まれる。なお、固定式送塵ガイド38は、レフトサイドプレート343に取り付けられる場合も存在する。
次に、リンク機構8について説明する。
図14は、リンク機構8を示している。図15は、リンク機構8の動作態様を示している。図中の矢印は、後述するコントロールレバー82を動かした場合のコントロールロッド81と可動式送塵ガイド37の動作方向を表す。
まず、可動式送塵ガイド37の詳細な形状について説明しておく。
上述したように、可動式送塵ガイド37は、曲代37bの一端部に丸穴37hが設けられており、該丸穴37hに嵌め込まれたマウントシャフト37Sを介してトッププレート341に取り付けられる。そのため、可動式送塵ガイド37は、マウントシャフト37Sを中心に回動自在となっている。また、可動式送塵ガイド37は、曲代37bの他端部に座部が形成されている。そして、座部の中央には、取付穴37iが設けられている。
リンク機構8は、コントロールロッド81を備えている。コントロールロッド81は、所定の位置に丸穴81hが設けられており、該丸穴81hに嵌め込まれたコントロールピン81Pを介して可動式送塵ガイド37に取り付けられる。具体的に説明すると、コントロールロッド81は、所定の位置に設けられた丸穴81hにコントロールピン81Pが嵌め込まれる。そして、コントロールロッド81は、コントロールピン81Pが可動式送塵ガイド37の取付穴37iに挿入された状態でナット81Nによって固定される。このとき、曲代37bとナット81Nの間には、ワッシャ81Wが挟み込まれる。
リンク機構8は、コントロールレバー82を備えている。コントロールレバー82は、一端部に取付穴82hが設けられており、該取付穴82hに嵌め込まれたマウントシャフト37Aを介して可動式送塵ガイド37に取り付けられる。この部分の詳細な説明については後述する。
このようなリンク機構8により、コントロールレバー82を一方へ動かした場合は、全ての可動式送塵ガイド37の取付角度αが小さくなる(図17(A)、図18(A)、図19(A)参照)。反対に、コントロールレバー82を他方へ動かした場合は、全ての可動式送塵ガイド37の取付角度αが大きくなる(図17(B)、図18(B)、図19(B)参照)。
次に、可動式送塵ガイド37の取り付け構造について更に詳しく説明する。ここでは、最前の可動式送塵ガイド37を「可動式送塵ガイド37F」、最後の可動式送塵ガイド37を「可動式送塵ガイド37R」として説明する。
図16は、可動式送塵ガイド37F・37R・37の取り付け構造の違いを示している。(A)は、可動式送塵ガイド37Fの取り付け構造を示し、(B)は、可動式送塵ガイド37Rの取り付け構造を示している。また、(C)は、その他の可動式送塵ガイド37の取り付け構造を示している。
上述したように、可動式送塵ガイド37は、曲代37bの一端部に丸穴37hが設けられており、該丸穴37hに嵌め込まれたマウントシャフト37Sを介してトッププレート341に取り付けられる((C)参照)。マウントシャフト37Sは、径が大きい回動軸部37Saを有し、該回動軸部37Saの上にネジ部37Ssが形成されている。
可動式送塵ガイド37Fは、曲代37bの一端部に丸穴37hが設けられており、該丸穴37hに嵌め込まれたマウントシャフト37Aを介してトッププレート341に取り付けられる((A)参照)。マウントシャフト37Aは、マウントシャフト37Sに比べて径が大きい回動軸部37Aaを有し、該回動軸部37Aaの上にレバー固定部37Abが設けられている。更に、レバー固定部の上にネジ部37Asが形成されている。
可動式送塵ガイド37Fは、マウントシャフト37Aがトッププレート341の筒穴341Cに挿入された状態でナット37Nによって固定される。より詳しくは、マウントシャフト37Aの回動軸部37Aaがトッププレート341の筒穴341Cに挿入された状態でナット37Nによって固定される。このとき、レバー固定部37Abには、コントロールレバー82が嵌められ、該コントロールレバー82とナット37Nの間には、ワッシャ37Wとスプリングワッシャ37Sが挟み込まれる。
可動式送塵ガイド37Rは、曲代37bの一端部に丸穴37hが設けられており、該丸穴37hに嵌め込まれたマウントシャフト37Aを介してトッププレート341に取り付けられる((B)参照)。つまり、可動式送塵ガイド37Fのみならず可動式送塵ガイド37Rも、マウントシャフト37Aを介してトッププレート341に取り付けられる。
可動式送塵ガイド37Rは、マウントシャフト37Aがトッププレート341の筒穴341Cに挿入された状態でナット37Nによって固定される。より詳しくは、マウントシャフト37Aの回動軸部37Aaがトッププレート341の筒穴341Cに挿入された状態でナット37Nによって固定される。このとき、レバー固定部37Abには、カラー37Cが嵌められ、該カラー37Cとナット37Nの間には、ワッシャ37Wとスプリングワッシャ37Sが挟み込まれる。
このように、本コンバイン100は、可動式送塵ガイド37Fと可動式送塵ガイド37Rの取り付け構造を同じとすることで、互いの交換を可能としている。
次に、穀稈の搬送能力を向上させるための技術について説明する。
まず、第一実施形態として、固定式送塵ガイド38がライトサイドプレート342に取り付けられる場合について説明する。この場合、固定式送塵ガイド38は、可動式送塵ガイド37の上流側に配置される。
図17は、固定式送塵ガイド38の配置を示している。(A)は、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も小さい状態を示し、(B)は、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態を示している。なお、図中の矢印Fは、穀稈が移動する方向を表す。
以下に、固定式送塵ガイド38の配置について特定する。ここでは、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も小さい状態であるときの延長線を「延長線La」とし、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態であるときの延長線を「延長線Lb」とする。
本願発明の技術的な特徴として、固定式送塵ガイド38は、延長線Laから延長線Lbまでの範囲Rを避けて配置される(図中のハッチング領域を避けて配置される)。これは、固定式送塵ガイド38に機能を発揮させるためである。具体的に説明すると、延長線Laから延長線Lbまでの範囲Rは、ローター31とともに回転する穀稈にとって、可動式送塵ガイド37へ向かう主な通り道となる。そのため、範囲Rに固定式送塵ガイド38を設けても、可動式送塵ガイド37の裏側に穀稈が回り込んだりするので(矢印Fe参照)、搬送能力の向上につながりにくい。従って、固定式送塵ガイド38は、延長線Laから延長線Lbまでの範囲Rを避けて配置されるとしたのである。
このように、固定式送塵ガイド38は、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も小さい状態であるときの延長線Laから可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態であるときの延長線Lbまでの範囲を避けて配置される。これにより、本コンバイン100は、固定式送塵ガイド38が十分に機能を発揮するので、穀稈の搬送能力が向上する。
更に、本実施形態において、固定式送塵ガイド38は、延長線Lb上に該延長線Lbに沿って配置される。こうすることで、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態であるときに、可動式送塵ガイド37と固定式送塵ガイド38が同じ取付角度αで隣り合うこととなる。つまり、可動式送塵ガイド37と固定式送塵ガイド38が隣り合い、一体化するのである。
このように、固定式送塵ガイド38は、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態であるときの延長線Lb上に該延長線Lbに沿って配置される。これにより、本コンバイン100は、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態であるときに、可動式送塵ガイド37と固定式送塵ガイド38が一体化するので、穀稈の搬送能力が向上する。
加えて、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態でないときにおいても、穀稈が矢印Feで表す方向に移動しない。即ち、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態でないときに、穀稈の搬送能力が低下することはないのである。
次に、第二実施形態として、固定式送塵ガイド38がレフトサイドプレート343に取り付けられる場合について説明する。この場合、固定式送塵ガイド38は、可動式送塵ガイド37の下流側に配置される。
図18は、固定式送塵ガイド38の配置を示している。(A)は、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も小さい状態を示し、(B)は、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態を示している。なお、図中の矢印Fは、穀稈が移動する方向を表す。
以下に、固定式送塵ガイド38の配置について特定する。ここでは、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も小さい状態であるときの延長線を「延長線La」とし、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態であるときの延長線を「延長線Lb」とする。
本願発明の技術的な特徴として、固定式送塵ガイド38は、延長線Laから延長線Lbまでの範囲Rを避けて配置される(図中のハッチング領域を避けて配置される)。これは、固定式送塵ガイド38に機能を発揮させるためである。具体的に説明すると、延長線Laから延長線Lbまでの範囲Rは、可動式送塵ガイド37に案内された穀稈にとって、該可動式送塵ガイド37から遠ざかる主な通り道となる。そのため、範囲Rに固定式送塵ガイド38を設けても、固定式送塵ガイド38の裏側に穀稈が回り込んだりするので(矢印Fe参照)、搬送能力の向上につながりにくい。従って、固定式送塵ガイド38は、延長線Laから延長線Lbまでの範囲Rを避けて配置されるとしたのである。
このように、固定式送塵ガイド38は、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も小さい状態であるときの延長線Laから可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態であるときの延長線Lbまでの範囲を避けて配置される。これにより、本コンバイン100は、固定式送塵ガイド38が十分に機能を発揮するので、穀稈の搬送能力が向上する。
更に、本実施形態において、固定式送塵ガイド38は、延長線Lb上に該延長線Lbに沿って配置される。こうすることで、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態であるときに、可動式送塵ガイド37と固定式送塵ガイド38が同じ取付角度αで隣り合うこととなる。つまり、可動式送塵ガイド37と固定式送塵ガイド38が隣り合い、一体化するのである。
このように、固定式送塵ガイド38は、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態であるときの延長線Lb上に該延長線Lbに沿って配置される。これにより、本コンバイン100は、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態であるときに、可動式送塵ガイド37と固定式送塵ガイド38が一体化するので、穀稈の搬送能力が向上する。
加えて、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態でないときにおいても、穀稈が矢印Feで表す方向に移動しない。即ち、可動式送塵ガイド37の取付角度αが最も大きい状態でないときに、穀稈の搬送能力が低下することはないのである。
次に、メンテナンスが簡単になる構造について説明する。
図19は、固定式送塵ガイド38の取り付け構造を示している。
本実施形態において、複数の固定式送塵ガイド38は、ラックプレート39に取り付けられる。そして、ラックプレート39は、ローターカバー34に固定される。以下に、具体的な取り付け構造について説明する。
固定式送塵ガイド38は、曲代38bに複数のボルト穴38hが設けられており、該ボルト穴38hに通されたボルト38Bを介してラックプレート39に取り付けられる。具体的に説明すると、固定式送塵ガイド38は、曲代38bに設けられたボルト穴38hにボルト38Bが通される。そして、固定式送塵ガイド38は、ボルト38Bがラックプレート39のボルト穴39hに挿入された状態でナット38Nによって固定される。このとき、ラックプレート39とナット38Nの間には、ワッシャ38Wとスプリングワッシャ38Sが挟み込まれる。
ラックプレート39は、四つの角部にボルト穴39iが設けられており、該ボルト穴39iに通されたボルト39Bを介してローターカバー34に取り付けられる。具体的に説明すると、ラックプレート39は、四つの角部に設けられたボルト穴39iにボルト39Bが通される。そして、ラックプレート39は、ボルト39Bがライトサイドプレート342のボルト穴(図示せず)に挿入された状態でナット39Nによって固定される。このとき、ライトサイドプレート342とナット39Nの間には、ワッシャ39Wとスプリングワッシャ39Sが挟み込まれる。若しくは、ボルト39Bがレフトサイドプレート343のボルト穴(図示せず)に挿入された状態でナット39Nによって固定される。このとき、レフトサイドプレート343とナット39Nの間には、ワッシャ39Wとスプリングワッシャ39Sが挟み込まれる。
このように、ラックプレート39は、ローターカバー34(ライトサイドプレート342若しくはレフトサイドプレート343)に固定される。これにより、本コンバイン100は、複数の固定式送塵ガイド38をラックプレート39ごと交換できるので、メンテナンスが簡単になる。
加えて、ラックプレート39は、ライトサイドプレート342若しくはレフトサイドプレート343の前側部にのみ取り付けられる。即ち、固定式送塵ガイド38は、ローターカバー34の前側部にのみ配置される(図13、図19参照)。ここで、前側部とは、ローターカバー34の前後方向の中心よりも前側を指す。
このように、固定式送塵ガイド38は、ローターカバー34の前側部にのみ配置される。これにより、本コンバイン100は、部品点数が少なくなるので、コストが低減する。