JP2016021926A - 複数のホップ香気が調和した好ましい香気を有する発酵麦芽飲料およびその製法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)原料としてホップを用いて、ホップの複雑な香気を有する発酵麦芽飲料を製造する方法であって、
前記ホップが予め加熱処理に供されたものであり、
前記ホップが、前記方法に含まれる加熱操作を伴う全ての工程が終了し、加熱された原料混合物が冷却された後に、その原料混合物に添加され、
前記ホップが、単独で用いた場合に発酵麦芽飲料に対して7.3以下のリナロール濃度(ppb)/5−メチル−ヘキサン酸濃度(ppb)比を与える第一の品種群から選択される少なくとも1種のホップと、単独で用いた場合に発酵麦芽飲料に対して23以上のリナロール濃度(ppb)/5−メチル−ヘキサン酸濃度(ppb)比を与える第二の品種群から選択される少なくとも1種のホップとを含んでなるものである、方法。
(2)前記第一の品種群が、マグナム種、ガリーナ種、ネルソンソービン種、アポロ種、ギャラクシー種、サミット種、トマホーク種およびシヌーク種からなり、
前記第二の品種群が、ハラタウトラディッション種、ミレニアム種、ナゲット種、ヘルスブルッカー種、ペルレ種およびザーツ種からなる、前記(1)に記載の方法。
(3)前記加熱処理が、65〜90℃の温度で行われる、前記(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記加熱処理が、1〜60分間行われる、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)麦汁煮沸工程、麦汁静置工程、麦汁冷却工程および発酵工程を含んでなり、ホップが麦汁冷却工程の後に添加される、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法によって製造される、リナロール(Linalool)および5−メチル−ヘキサン酸(5-methyl-hexanoic acid)を少なくとも含んでなる発酵麦芽飲料であって、
リナロールの濃度が100ppb以上であり、
リナロール濃度(ppb)/5−メチル−ヘキサン酸濃度(ppb)比が7.7〜20である、発酵麦芽飲料。
このような発酵麦芽飲料としては、ビール、発泡酒、リキュール(例えば、酒税法上、「リキュール(発泡性)(1)」に分類される飲料)などが挙げられる。本発明による発酵麦芽飲料は、好ましくは、原料として少なくとも水、ホップ、および麦芽を使用した発酵麦芽飲料とされる。
本実施例では、様々なホップに加熱処理を加え、得られたホップを用いて製造したビールについて官能評価を行い、ホップの組み合わせの適切な選択条件、および選択されたホップを用いて得られた飲料の好ましい香気成分量を検討した。
麦芽使用比率を100%として調製した麦汁糖度12.5度の仕込麦汁を調製した。この仕込麦汁に対し、電気ヒーターを用いて、一定強度で60分間煮沸を行ったところ、蒸発率は10%であった。その後、麦汁を90℃で60分間静置させた。濾紙により濾過を行った後に、氷水中で麦汁を冷却した。得られた発酵前液にビール酵母を添加して1週間主発酵を行い、その後さらに4日間後発酵を行うことにより、試飲サンプルを得た。
添加するホップの添加前の処理およびホップの組み合わせの効果を調べるために、得られた試飲サンプルを対象として3名の訓練されたパネルによる官能評価を行った。評価基準は表1に示すとおりとした。
サンプル中の香気成分をC18固相カラムで抽出し、ジクロロメタン溶出画分をGC/MSに供した。定量は内部標準法を用いた。内部標準物質にはボルネオール(Borneol)を用い、試料中25ppbになるよう添加した。定量値は、ppbを単位とする濃度として算出した。GC/MSにおけるホップ香気成分の分析条件は以下のとおりである。
ホップとして、単調なフローラル香を持ったドイツ産ハラタウトラディッション(Hopsteiner社)と、フルーツ香を持ち、青臭および樹脂様香気が強いという特徴を持ったドイツ産マグナム(Hopsteiner社)を用いて試飲サンプルを作製した。試飲サンプルの官能評価の結果を、2種のホップの配合量とともに表3に示す。
上記(4)で作製した試飲サンプルを分析し、好ましい香気を得るための指標成分の探索を行った。その結果、マグナム種のホップは、5−メチル−ヘキサン酸(5-methyl hexanoic acid)の含有量が特徴的に高いことが分かった。そこで、各試飲サンプル中の5−メチル−ヘキサン酸の含有量を分析した。また、ホップ香気の全体の強度を示す指標として、リナロール(Linalool)を分析した。その結果を、表3に記載の官能評価結果とともに表4に示す。
他の品種を用いた場合の官能評価結果および成分分析値を把握するため、様々なホップ品種を用いて、各品種単独の試飲サンプルを作製し、官能評価および成分分析を行った。その結果を表5に示した。ホップ添加量は3g/Lとした。
A:青草様香気および樹脂様香気が強く、好ましいと言えない、あるいは好ましくない;
B:複雑でかつ特徴香が強く、より好ましい;ならびに
C:特徴となる香気が強いものの、単調であり、好ましいと言えない。
(i) 5−メチル−ヘキサン酸含有量に対するリナロール含有量の比率が7.7〜20、より好ましくは7.7〜18の範囲であること;
(ii) 用いるホップが、前記比率が7.3以下の品種群と前記比率が23以上の品種群からそれぞれ1品種以上を選択し、ブレンドすること;ならびに
(iii) ホップ香の強度の指標として、リナロール含有量が100ppb以上であること、
が好ましいものと考えられた。
Claims (6)
- 原料としてホップを用いて、ホップの複雑な香気を有する発酵麦芽飲料を製造する方法であって、
前記ホップが予め加熱処理に供されたものであり、
前記ホップが、前記方法に含まれる加熱操作を伴う全ての工程が終了し、加熱された原料混合物が冷却された後に、その原料混合物に添加され、
前記ホップが、単独で用いた場合に発酵麦芽飲料に対して7.3以下のリナロール濃度(ppb)/5−メチル−ヘキサン酸濃度(ppb)比を与える第一の品種群から選択される少なくとも1種のホップと、単独で用いた場合に発酵麦芽飲料に対して23以上のリナロール濃度(ppb)/5−メチル−ヘキサン酸濃度(ppb)比を与える第二の品種群から選択される少なくとも1種のホップとを含んでなるものである、方法。 - 前記第一の品種群が、マグナム種、ガリーナ種、ネルソンソービン種、アポロ種、ギャラクシー種、サミット種、トマホーク種およびシヌーク種からなり、
前記第二の品種群が、ハラタウトラディッション種、ミレニアム種、ナゲット種、ヘルスブルッカー種、ペルレ種およびザーツ種からなる、請求項1に記載の方法。 - 前記加熱処理が、65〜90℃の温度で行われる、請求項1または2に記載の方法。
- 前記加熱処理が、1〜60分間行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 麦汁煮沸工程、麦汁静置工程、麦汁冷却工程および発酵工程を含んでなり、ホップが麦汁冷却工程の後に添加される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法によって製造される、リナロール(Linalool)および5−メチル−ヘキサン酸(5-methyl-hexanoic acid)を少なくとも含んでなる発酵麦芽飲料であって、
リナロールの濃度が100ppb以上であり、
リナロール濃度(ppb)/5−メチル−ヘキサン酸濃度(ppb)比が7.7〜20である、発酵麦芽飲料。
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