JP5420630B2 - スパイシーでフルーティーなホップ香気を強調した発酵麦芽飲料 - Google Patents
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Description
(1)リナロール(Linalool)、α−フムレン(α-Humulene)、ゲラニルアセテート(Geranyl acetate)、α酸、イソα酸およびS−フラクションを少なくとも含んでなる発酵麦芽飲料であって、
リナロールの濃度が108.9〜234.4ppbであり、
α−フムレンの濃度が3.7〜74.7ppbであり、
ゲラニルアセテートの濃度が1.7〜2.4ppbであり、
前記S−フラクションが、逆相クロマトグラフィーにおいてイソα酸のピークより前に検出される全てのピークであり(該逆相クロマトグラフィーは、前記発酵麦芽飲料10mlに1mlの3N塩酸を加え、そこに20mlのイソオクタンを加えて振とうした後に得られるイソオクタン有機溶媒層から10mlを採取し、その溶媒を蒸発させた後に残る固体に、内部標準物質としてβフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものを分析用試料とするものであり、検出を270nmの吸光度によって行うものである)、
前記逆相クロマトグラフィーにおけるα酸のピーク面積が、内部標準物質であるβフェニルカルコンのピーク面積の0.10〜0.35倍であり、
前記逆相クロマトグラフィーにおけるS−フラクションのピーク面積が、イソα酸のピーク面積の0.2191〜0.3760倍である、発酵麦芽飲料。
(2)α−フムレンの濃度が37.0〜74.7ppbであり、前記逆相クロマトグラフィーにおけるS−フラクションのピーク面積がイソα酸のピーク面積の0.2463〜0.3760倍である、前記(1)に記載の発酵麦芽飲料。
(3)少なくとも予め加熱処理されたホップが添加された発酵前液を発酵させることを含んでなる、前記(1)または(2)に記載の発酵麦芽飲料の製造方法。
(4)ホップがヘルスブルッカー種のものである、前記(3)に記載の製造方法。
本発明による発酵麦芽飲料は、リナロール(Linalool)、α−フムレン(α-Humulene)、ゲラニルアセテート(Geranyl acetate)、α酸、イソα酸およびS−フラクションを所定の含有量で含有することを特徴とする。
リナロールの濃度が108.9〜234.4ppbであり、
α−フムレンの濃度が3.7〜74.7ppb、好ましくは37.0〜74.7ppbであり、
ゲラニルアセテートの濃度が1.7〜2.4ppbであり、
前記逆相クロマトグラフィーにおけるα酸のピーク面積が、内部標準物質であるβフェニルカルコンのピーク面積の0.10〜0.35倍であり、
前記逆相クロマトグラフィーにおけるS−フラクションのピーク面積が、イソα酸のピーク面積の0.2191〜0.3760倍、好ましくは0.2463〜0.3760倍である。
本発明による発酵麦芽飲料は、リナロール、α−フムレン、ゲラニルアセテート、α酸、イソα酸およびS−フラクションを、所定の含有量となるように添加することにより製造することができる。
本実施例では、予め熱処理を加えたホップを用いて試飲サンプルを製造し、この試飲サンプルについて官能評価および成分分析を行った。
仕込時の麦芽使用比率を67%とし、副原料(米、コーングリッツおよびコーンスターチ)を使用比率33%として調製した仕込麦汁(麦汁糖度12〜14度)を調製した。電気ヒーターを用いて一定強度で60分間煮沸を行ったところ、蒸発率は10%であった。その後、麦汁を90℃で60分間静置させた。濾紙により濾過を行った後に、氷水中で麦汁を冷却した。その後、発酵前液にビール酵母を添加して1週間主発酵を行い、その後さらに4日間後発酵を行うことにより、試飲サンプルを得た。
得られた各試験区の試飲サンプルおよび市販品を対象として、3名のパネルによる官能評価を行った。官能評価はS、A、BおよびCの4段階評価により行った。
サンプル中の香気成分をC18固相カラムで抽出し、ジクロロメタン溶出画分をGC/MSに供した。定量は内部標準法を用いた。内部標準物質にはボルネオール(Borneol)を用い、試料中25ppbになるよう添加した。GC/MSにおけるホップ香気成分の分析条件は以下のとおりである。
HPLC分析のための試料を調製するため、試飲サンプル10mlに1mlの3N塩酸を加えた後、20mlのイソオクタンを加え、振とうした後に静置した。得られた溶液は、水溶層とイソオクタンから成る有機溶媒層の2層に分離し、イソオクタン有機溶媒層から10mlを採取した。採取した有機溶媒層の液体を、窒素ガス噴霧下で完全に乾燥させて固化した。これに、内部標準物質として、βフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものをHPLC分析用試料とした。HPLCの分析条件は、以下の通りである。
試飲用サンプルの官能評価、GC/MS分析およびHPLC分析の結果を、下記の表5にまとめた。
表5の官能評価結果に密接に関連した成分指標を得るため、香気成分と苦味成分を解析した。香気成分ついては、ミルセン(Myrcene)、リナロール(Linalool)、α−フムレン(α-Humulene)、δ−セリネン(delta-Selinene)、α−アモルフェン(alpha-Amorphene)、α−ユウデスモル(α-Eudesmol)、β−ユウデスモル(β-Eudesmol)、β−カリオフィレン(β-Caryophyllene)、ゲラニルアセテート(Geranyl acetate)、β−シトロネロール(β-Citronellol)、ネロール(Nerol)およびゲラニオール(Geraniol)を候補とした。苦味成分については、S−フラクション、イソα酸、α酸、およびS−フラクションのイソα酸に対する比率を候補とした。これらの候補について、指標成分を得るための統計解析を行った。
試験例1において選択された7成分の各定量値の範囲と、官能評価結果との関係を表7にまとめた。
Claims (7)
- ヘルスブルッカー種のホップを用いて製造される発酵麦芽飲料であって、
リナロール(Linalool)、α−フムレン(α-Humulene)、ゲラニルアセテート(Geranyl acetate)、α酸、イソα酸およびS−フラクションを少なくとも含んでなり、
リナロールの濃度が108.9〜234.4ppbであり、
α−フムレンの濃度が3.7〜74.7ppbであり、
ゲラニルアセテートの濃度が1.7〜2.4ppbであり、
前記S−フラクションが、逆相クロマトグラフィーにおいてイソα酸のピークより前に検出される全てのピークであり(該逆相クロマトグラフィーは、前記発酵麦芽飲料10mlに1mlの3N塩酸を加え、そこに20mlのイソオクタンを加えて振とうした後に得られるイソオクタン有機溶媒層から10mlを採取し、その溶媒を蒸発させた後に残る固体に、内部標準物質としてβフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものを分析用試料とするものであり、検出を270nmの吸光度によって行うものである)、
前記逆相クロマトグラフィーにおけるα酸のピーク面積が、内部標準物質であるβフェニルカルコンのピーク面積の0.10〜0.35倍であり、
前記逆相クロマトグラフィーにおけるS−フラクションのピーク面積が、イソα酸のピーク面積の0.2191〜0.3760倍である、発酵麦芽飲料。 - α−フムレンの濃度が37.0〜74.7ppbであり、前記逆相クロマトグラフィーにおけるS−フラクションのピーク面積がイソα酸のピーク面積の0.2463〜0.3760倍である、請求項1に記載の発酵麦芽飲料。
- 予め加熱処理されたホップが添加された発酵前液を発酵させることにより製造される、請求項1または2に記載の発酵麦芽飲料。
- ホップの加熱処理が、65℃以上90℃未満の温度で1分間以上60分間未満という条件下で行われる、請求項3に記載の発酵麦芽飲料。
- ホップの加熱処理が、ホップに水を加えた後、恒温水槽において行われる、請求項3または4に記載の発酵麦芽飲料。
- 予め加熱処理されたホップが酵母添加の直前に添加される、請求項3〜5のいずれか一項に記載の発酵麦芽飲料。
- 少なくとも予め加熱処理されたヘルスブルッカー種のホップが添加された発酵前液を発酵させることを含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発酵麦芽飲料の製造方法。
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