JP6138025B2 - ホップ香気を強調し、かつ渋味を低減した発酵麦芽飲料 - Google Patents
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Description
(1)原料としてホップを用いて発酵麦芽飲料を製造する方法であって、
前記ホップが、予め、65℃以上90℃未満の温度で1分間以上60分間未満という条件下での第一の加熱処理に供され、その後、40℃〜55℃の温度で60〜180分間という条件下での第二の加熱処理に供されたものであり、
前記ホップが、前記方法に含まれる加熱操作を伴う全ての工程が終了し、加熱された原料混合物が冷却された後に、その原料混合物に添加される、方法。
(2)ホップの第一の加熱処理が65〜70℃の温度条件で行われるものである、前記(1)の方法。
(3)ホップの第一の加熱処理が1〜30分間の条件で行われるものである、前記(1)または(2)の方法。
(4)ホップの第一の加熱処理が1〜10分間の条件で行われるものである、前記(3)の方法。
(5)ホップの第一の加熱処理および第二の加熱処理が、温度管理された水浴中で行われるものである、前記(1)〜(4)のいずれかの方法。
(6)麦汁煮沸工程、麦汁静置工程、麦汁冷却工程および発酵工程を含んでなり、ホップが麦汁冷却工程の後に添加される、前記(1)〜(5)のいずれかの方法。
(7)ホップが、麦汁冷却工程の後、かつ、発酵工程の直前に添加される、前記(6)の方法。
(8)ホップが、ブラボー種、マンダリアバーバリア種、ヒュールメロン種、ハラタウブラン種、シトラ種およびギャラクシー種からなる群から選択される1種以上のものである、前記(1)〜(7)のいずれかの方法。
(9)前記(1)〜(8)のいずれかの方法によって製造される、発酵麦芽飲料。
(10)リナロール(Linalool)および渋味成分を少なくとも含んでなる発酵麦芽飲料であって、
リナロールの濃度が80ppb以上であり、
前記渋味指標成分が、下記の表1に示す条件下での逆相クロマトグラフィーにおいて保持時間24〜26分に検出される全てのピークであり(該逆相クロマトグラフィーは、前記発酵麦芽飲料10mlに1mlの3N塩酸を加え、そこに20mlのイソオクタンを加えて振とうした後に得られるイソオクタン有機溶媒層から10mlを採取し、その溶媒を蒸発させた後に残る固体に、内部標準物質としてβフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものを分析用試料とするものである)、
(11)予め加熱処理されたホップが添加された発酵前液を発酵させることにより製造され、該加熱処理が、65℃以上90℃未満の温度で1分間以上60分間未満という条件下での第一の加熱処理と、その後の40℃〜55℃の温度で60〜180分間という条件下での第二の加熱処理とからなる、前記(10)の発酵麦芽飲料。
(12)ホップが、ブラボー種、マンダリアバーバリア種、ヒュールメロン種、ハラタウブラン種、シトラ種およびギャラクシー種からなる群から選択される1種以上のものである、前記(11)の発酵麦芽飲料。
このような発酵麦芽飲料としては、ビール、発泡酒、リキュール(例えば、酒税法上、「リキュール(発泡性)(1)」に分類される飲料)などが挙げられる。本発明による発酵麦芽飲料は、好ましくは、原料として少なくとも水、ホップ、および麦芽を使用した発酵麦芽飲料とされる。
本実施例では、予め加熱処理を加えたホップを用いて製造したビールについて官能評価を行い、ホップの適切な加熱処理条件を検討した。
仕込時の麦芽使用比率を67%とし、副原料(米、コーングリッツおよびコーンスターチ)を使用比率33%として調製した麦汁糖度12〜14度の仕込麦汁を調製した。電気ヒーターを用いて一定強度で60分間煮沸を行ったところ、蒸発率は10%であった。その後、麦汁を90℃で60分間静置させた。濾紙により濾過を行った後に、氷水中で麦汁を冷却した。その後、発酵前液にビール酵母を添加して1週間主発酵を行い、その後さらに4日間後発酵を行うことにより、試飲サンプルを得た。
添加するホップの添加前の加熱の効果を調べるために、得られた試飲サンプルを対象として3名のパネルによる官能評価を行った。
サンプル中の香気成分をC18固相カラムで抽出し、ジクロロメタン溶出画分をGC/MSに供した。定量は内部標準法を用いた。内部標準物質にはボルネオール(Borneol)を用い、試料中25ppbになるよう添加した。定量値は、ppbを単位とする濃度として算出した。GC/MSにおけるホップ香気成分の分析条件は以下のとおりである。
HPLC分析のための試料を調製するため、試飲サンプル10mlに1mlの3N塩酸を加えた後、20mlのイソオクタンを加え、振とうした後に静置した。得られた溶液は、水溶層とイソオクタンから成る有機溶媒層の2層に分離し、イソオクタン有機溶媒層から10mlを採取した。採取した有機溶媒層の液体を、窒素ガス噴霧下で完全に乾燥させて固化した。これに、内部標準物質として、βフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものをHPLC分析用試料とした。HPLCの分析条件は、以下の通りである。
上述したように、特開2013−132272号公報、特開2013−132274号公報および特開2013−132275号公報では、ホップは、原料混合物への添加前に、65℃以上90℃未満の温度で1分間以上60分間未満という条件下で予め加熱処理されており、すなわち、本発明における第一の加熱処理のみが行われる。そして、この方法によれば、用いるホップの品種によっては強い渋味が生じることが分かっている。そこで、多くの品種のホップについて、第二の加熱処理による渋味低減効果の確認を行った。表6にその結果を示す。
Claims (9)
- 原料としてホップを用いて発酵麦芽飲料を製造する方法であって、
前記ホップが、予め、65℃以上90℃未満の温度で1分間以上60分間未満という条件下での第一の加熱処理に供され、その後、40℃〜55℃の温度で60〜180分間という条件下での第二の加熱処理に供されたものであり、
前記ホップが、前記方法に含まれる加熱操作を伴う全ての工程が終了し、加熱された原料混合物が冷却された後に、その原料混合物に添加される、方法。 - ホップの第一の加熱処理が65〜70℃の温度条件で行われるものである、請求項1に記載の方法。
- ホップの第一の加熱処理が1〜30分間の条件で行われるものである、請求項1または2に記載の方法。
- ホップの第一の加熱処理が1〜10分間の条件で行われるものである、請求項3に記載の方法。
- ホップの第一の加熱処理および第二の加熱処理が、温度管理された水浴中で行われるものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 麦汁煮沸工程、麦汁静置工程、麦汁冷却工程および発酵工程を含んでなり、ホップが麦汁冷却工程の後に添加される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- ホップが、麦汁冷却工程の後、かつ、発酵工程の直前に添加される、請求項6に記載の方法。
- ホップが、ブラボー種、マンダリアバーバリア種、ヒュールメロン種、ハラタウブラン種、シトラ種およびギャラクシー種からなる群から選択される1種以上のものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- リナロール(Linalool)および渋味成分を少なくとも含んでなる、ブラボー種、マンダリアバーバリア種、ヒュールメロン種、ハラタウブラン種、シトラ種およびギャラクシー種からなる群から選択される1種以上のホップを原料とする発酵麦芽飲料であって、
リナロールの濃度が80ppb以上であり、
前記渋味指標成分が、下記の表1に示す条件下での逆相クロマトグラフィーにおいて保持時間24〜26分に検出される全てのピークであり(該逆相クロマトグラフィーは、前記発酵麦芽飲料10mlに1mlの3N塩酸を加え、そこに20mlのイソオクタンを加えて振とうした後に得られるイソオクタン有機溶媒層から10mlを採取し、その溶媒を蒸発させた後に残る固体に、内部標準物質としてβフェニルカルコン12mgを加えたリン酸メタノール溶液(リン酸:メタノール=40ml:400ml)を1ml加え、溶解したものを分析用試料とするものである)、
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