JP2019050761A - 柑橘の果皮とホップに由来する香味を共存させた発酵飲料およびその製法 - Google Patents

柑橘の果皮とホップに由来する香味を共存させた発酵飲料およびその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】ホップの香味とともに柑橘果実の香りと甘さをバランス良く呈する発酵飲料の製法の提供。【解決手段】原料として柑橘の果皮およびホップを用いて発酵飲料を製造する方法であって、該方法が原料混合物を煮沸する煮沸工程および発酵工程をこの順で含んでなり、前記ホップとしてフルーティーホップまたはハーバルホップが用いられ、前記果皮が、煮沸工程における煮沸終了の直前またはこれよりも後に添加され、ここで、前記果皮が、前記方法に含まれる加熱操作を伴う全ての工程が終了し、加熱された原料混合物が冷却された後にその原料混合物に添加される場合には、前記果皮が、50〜100℃の温度で10〜60分間という条件下で予め加熱処理される、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、柑橘の果皮とホップに由来する香味を共存させた発酵飲料およびその製法に関する。
従来より、発酵飲料、特にアルコール度数が1〜10v/v%程度の低アルコールの発酵飲料の分野では、各種フルーツの果汁、果実、フレーバーなどを用いた発酵飲料が多く飲用されている。特に、レモン、オレンジ、ユズ、ライムなどの柑橘類を用いた発酵飲料は香りもよく、適度な酸味があり、味も爽やかであり、飲みやすいため、需用者に好まれる傾向がある。
このような発酵飲料を開発するため、様々な技術が考案されている。例えば、特許文献1には、レモン、オレンジ、ユズなどのピール(果皮)エキスと、5〜50ppmのナリンジンとを含有するアルコール飲料が開示されている。さらに、特許文献1には、このような構成により、果皮らしさを備えるとともに、アルコールの後引き感を迅速に消すことができ、さらにアルコール飲料としての香味のバランスに優れたアルコール飲料が提供されると記載されている。
特開2015−6141号公報
本発明者らは、柑橘の果皮を所定の条件下で加熱処理し、得られた加熱処理果皮を、フルーティーホップまたはハーバルホップを原料とする発酵飲料に浸漬することにより、ホップの香味とともに前記柑橘果実の香りと甘さをバランス良く呈する発酵飲料が得られることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
従って、本発明は、ホップの香味とともに柑橘果実の香りと甘さをバランス良く呈する発酵飲料およびその製法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)原料として柑橘の果皮およびホップを用いて発酵飲料を製造する方法であって、
該方法が原料混合物を煮沸する煮沸工程および発酵工程をこの順で含んでなり、
前記ホップとしてフルーティーホップまたはハーバルホップが用いられ、
前記果皮が、煮沸工程における煮沸終了の直前またはこれよりも後に添加され、ここで、前記果皮が、前記方法に含まれる加熱操作を伴う全ての工程が終了し、加熱された原料混合物が冷却された後にその原料混合物に添加される場合には、前記果皮が、50〜100℃の温度で10〜60分間という条件下で予め加熱処理される、方法。
(2)前記果皮が、以下のa)〜g):
a)煮沸工程における煮沸終了直前時;
b)煮沸工程における煮沸終了時;
c)発酵工程における主発酵よりも前;
d)発酵工程における主発酵時;
e)発酵工程における主発酵終了時;
f)発酵工程における後発酵時;および
g)発酵工程における後発酵終了時
のいずれかの時期に添加される、前記(1)の方法。
(3)前記方法が煮沸工程、発酵工程および濾過工程をこの順で含んでなり、前記果皮が、h)濾過工程における濾過時、またはi)濾過工程における濾過終了時に添加される、前記(1)の方法。
(4)前記方法が煮沸工程、発酵工程および容器注入工程をこの順で含んでなり、前記果皮が、j)容器注入工程における容器注入時、またはk)容器注入工程における容器注入終了時に添加される、前記(1)の方法。
(5)柑橘が、レモン、オレンジおよびユズからなる群から選択される、前記(1)〜(4)のいずれかの方法。
(6)ホップが、フルーティーホップの品種である、ブラボー、カスケード、ネルソンソービン、ギャラクシー、モツエカおよびシトラ、ならびにハーバルホップの品種であるヘルスブルッカーからなる群から選択される少なくとも1種のホップである、前記(1)〜(5)のいずれかの方法。
(7)前記ホップが、煮沸工程における煮沸終了の直前またはこれよりも後に添加される、前記(1)〜(6)のいずれかの方法。
(8)前記ホップが、以下のa)〜g):
a)煮沸工程における煮沸終了直前時;
b)煮沸工程における煮沸終了時;
c)発酵工程における主発酵よりも前;
d)発酵工程における主発酵時;
e)発酵工程における主発酵終了時;
f)発酵工程における後発酵時;および
g)発酵工程における後発酵終了時
のいずれかの時期に添加される、前記(7)の方法。
(9)前記方法が煮沸工程、発酵工程および濾過工程をこの順で含んでなり、前記ホップが、h)濾過工程における濾過時、またはi)濾過工程における濾過終了時に添加される、前記(7)の方法。
(10)前記方法が煮沸工程、発酵工程および容器注入工程をこの順で含んでなり、前記果皮が、j)容器注入工程における容器注入時、またはk)容器注入工程における容器注入終了時に添加される、前記(7)の方法。
(11)前記ホップが、65℃以上100℃未満の温度で1分間以上60分間未満という条件下で予め加熱処理されたものである、前記(1)〜(10)のいずれかの方法。
(12)製造される発酵飲料がビールテイスト発酵飲料である、前記(1)〜(11)のいずれかの方法。
(13)前記(1)〜(12)のいずれかの方法によって製造される、発酵飲料。
(14)ビールテイスト発酵飲料である、前記(13)の発酵飲料。
本発明によれば、ホップの香味とともに柑橘果実の香りと甘さをバランス良く呈する発酵飲料が提供される。本発明によれば、好ましい柑橘果実の香味を有するビールテイスト発酵飲料を提供することも可能である。
発明の具体的説明
本発明において「発酵飲料」とは、炭素源、窒素源および水などを原料として酵母により発酵させた飲料を意味する。このような発酵飲料としては、ビールや発泡酒等の麦芽を発酵原料として使用した発酵麦芽飲料が挙げられる。また、麦芽を使用しない発酵飲料としては、米、コーングリッツ、コーンスターチ、液糖、果実等を発酵原料とするもの、例えば、清酒(日本酒)、ワイン、シードルなどが挙げられる。また、発酵飲料としては、麦芽の使用/不使用にかかわらず、ビール様の風味をもつビールテイスト発酵飲料が挙げられる。「ビール様の風味」とは、通常にビールを製造した場合、すなわち、酵母等による発酵に基づいてビールを製造した場合に得られるビール特有の味わい、香りを、その飲料が呈することを意味する。
本発明において「フルーティーホップ」とは、フルーツ(果物の果実)の香気を特徴とするホップを意味する。また、本発明において「ハーバルホップ」とは、ハーブ(香草)の香気を特徴とするホップを意味する。一般に、ホップは、芳醇な香りを特徴とするアロマホップ、苦味を特徴とするビターホップなど、その香味の特徴に応じて分類されている。さらに、アロマホップは、その香りのタイプに応じて、フルーティーホップ、ハーバルホップ、フローラルホップ等に分類されている。フルーティーホップの香気は、例えば、シトラス(柑橘)様、ライチ様、マスカット様、マンゴー様などと表現され、様々な香気が知られているが、本発明ではいずれの香気を有するフルーティーホップも使用できる。また、ハーバルホップの香気は、例えば、スパイシー様、ヒノキ様などと表現され、様々な香気が知られているが、本発明ではいずれの香気を有するハーバルホップも使用できる。
本明細書において、「ppb」および「ppm」は、質量/容量(w/v)の濃度を表し、それぞれ「μg/L」および「mg/L」と同義である。
本発明の方法は、原料として柑橘の果皮およびホップを用いて発酵飲料を製造する方法である。この方法は、少なくとも、原料混合物を煮沸する煮沸工程および発酵工程をこの順で含んでなり、前記果皮は、煮沸工程における煮沸終了の直前またはこれよりも後に添加される。ここで、前記果皮が、前記方法に含まれる加熱操作を伴う全ての工程が終了し、加熱された原料混合物が冷却された後にその原料混合物に添加される場合には、果皮は、50〜100℃の温度で10〜60分間という条件下で予め加熱処理されたものとされる。本発明の好ましい実施態様によれば、柑橘の果皮の加熱処理条件は、65〜90℃の温度で10〜60分間とされる。
本発明の好ましい実施態様によれば、前記果皮は、以下のa)〜g):
a)煮沸工程における煮沸終了直前時;
b)煮沸工程における煮沸終了時;
c)発酵工程における主発酵よりも前;
d)発酵工程における主発酵時;
e)発酵工程における主発酵終了時;
f)発酵工程における後発酵時;および
g)発酵工程における後発酵終了時
のいずれかの時期に添加される。ここで、「e)発酵工程における主発酵終了時」とは、発酵液中の酵母の菌数が3.0×10個/mL以下、より好ましくは2.0×10個/mL以下、さらに好ましくは1.5×10個/mL以下まで減少した以降であって、前記e)後発酵時よりも前の時期をいう。また、c)における主発酵の直前、およびd)〜g)のいずれかの時期に果皮が添加される場合には、果皮は、上記の条件下で予め加熱処理されたものとすることが好ましい。
本発明の他の好ましい実施態様によれば、本発明の方法は煮沸工程、発酵工程および濾過工程をこの順で含んでなり、前記果皮は、h)濾過工程における濾過時、またはi)濾過工程における濾過終了時に添加される。この実施態様では、果皮は、上記の条件下で予め加熱処理されたものとすることが好ましい。
本発明の他の好ましい実施態様によれば、本発明の方法は煮沸工程、発酵工程および容器注入工程をこの順で含んでなり、前記果皮は、j)容器注入工程における容器注入時、またはk)容器注入工程における容器注入終了時に添加される。ここで、飲料が注入される容器は、缶、ペットボトル、ガラス瓶等の流通用の容器だけでなく、グラス、カップ等の飲用時に使用される蓋のない容器をも含む。この実施態様では、果皮は、上記の条件下で予め加熱処理されたものとすることが好ましい。
本発明の特に好ましい実施態様によれば、柑橘果皮の添加時期は、前記b)煮沸工程における煮沸終了時以降、さらに好ましくは前記e)発酵工程における主発酵終了時以降、最も好ましくは前記g)発酵工程における後発酵終了時以降の、いずれも任意の時期である。
本発明に用いられる柑橘は、発酵飲料に付与したい風味に応じて当業者により適宜選択される。本発明に用いられる柑橘としては、例えば、レモン、オレンジ、ユズ、グレープフルーツ、ライム、イヨカン、ウンシュウミカン、カボス、キシュウミカン、スダチ、ダイダイ、タチバナ、ナツミカン、ハッサク、ハナユズ、ヒュウガナツ、シークワーサー等が挙げられる。また、本発明の方法には、一種の柑橘を単独で用いてもよいし、複数種の柑橘を混合して用いてもよい。本発明の好ましい実施態様によれば、本発明に用いられる柑橘は、レモン、オレンジおよびユズからなる群から選択される。
柑橘の果皮の加熱処理は、当業者に公知の方法、例えば、温度管理された水浴中で行なうことができる。例えば、柑橘の果皮の加熱処理は、果皮に十分な量の水を加え、この水の温度を、上記の温度に上記の時間保持し、その後、直ちに室温(例えば約25℃)まで冷却し、そのまま保存することにより行うことができる。
本発明の方法に用いられる柑橘の果皮の量は、発酵飲料に付与したい風味の強度に応じて、また、用いる柑橘の種類に応じて、当業者により適宜調整される。本発明の好ましい実施態様によれば、用いられる柑橘の果皮の量(加熱処理前の重量に換算)は、完成した発酵飲料の容量に対して0.1〜10.0g/Lとされ、より好ましくは0.3〜7.0g/L、さらに好ましくは0.5〜5.0g/Lとされる。
本発明の方法に用いられるホップは、フルーティーホップまたはハーバルホップとされる。フルーティーホップの品種としては、例えば、ブラボー、カスケード、ネルソンソービン、ギャラクシー、モツエカおよびシトラなどが挙げられ、好ましくはブラボー、カスケード、ネルソンソービン、ギャラクシー、モツエカ種が用いられる。また、ハーバルホップの品種としては、例えば、ヘルスブルッカーが挙げられる。本発明の方法では、これらのホップ品種を単独で用いてもよいし、あるいは2種以上のホップ品種を混合して用いてもよい。
本発明の方法に用いられるホップとしては、ホップの毬花(雌花)、毬果(未受精の雌花が成熟したもの)、葉、茎および苞等の各部位、好ましくはルプリンを含む毬花を、そのまま、または圧縮若しくは粉砕した後に、使用することができる。また、ホップとして、ホップ抽出物を用いることもできる。
ホップを原料混合物中に投入する時期は、発酵飲料に付与したいホップの風味およびホップの品種に応じて当業者により適宜選択される。例えば、ホップは、柑橘の果皮について上述した時期と同様の任意の時期に添加することができる。ここで、ホップは、柑橘果皮と同じ時期に(例えば同時に)添加してもよいし、あるいは、柑橘果皮とは異なる時期に添加してもよい。
一つの実施態様では、ホップは、煮沸工程における煮沸終了の直前に添加され、これは、ビールの醸造におけるレイトホッピングに相当する。他の一つの実施態様では、ホップは、発酵工程中、主発酵が終了した後に添加され、これは、ビールの醸造におけるドライホッピングに相当する。さらに別の実施態様では、ホップは、本発明の方法に含まれる加熱操作を伴う全ての工程が終了し、加熱された原料混合物が冷却された後、例えば、発酵工程における主発酵の直前または主発酵時に、その原料混合物に添加される。
本発明の好ましい実施態様によれば、ホップは、予め所定の条件下で加熱処理されたものとされる。ホップの加熱処理の条件として、温度は65℃以上100℃未満とされ、処理時間は1分間以上60分間未満とされる。ホップの加熱処理は、温度管理された水浴中で行なうことができる。例えば、ホップの加熱処理は、ホップに十分な量の水を加え、この水の温度を、上記の温度に上記の時間保持し、その後、直ちに室温(例えば約25℃)まで冷却し、そのまま保存することにより行うことができる。本発明の好ましい実施態様によれば、加熱処理されたホップは、本発明の方法に含まれる加熱操作を伴う全ての工程が終了し、加熱された原料混合物が冷却された後、例えば、発酵工程における主発酵の直前または主発酵時に、その原料混合物に添加される。この方法は、ビールの醸造におけるディップホッピングに相当する。
本発明の方法に用いられるホップの量は、発酵飲料に付与したいホップの風味の強度に応じて、また、用いるホップ品種に応じて、当業者により適宜調整される。本発明の好ましい実施態様によれば、用いられるホップの量は、完成した発酵飲料の容量に対する原単位として、300〜5000ppm、より好ましくは300〜3000ppm、さらに好ましくは500〜2800ppmである。
本発明の方法では、上述の柑橘果皮およびホップの使用手順以外については、一般的な発酵飲料の製法に従った手順を用いることができる。例えば、本発明による方法は、少なくとも水および発酵原料を含む発酵前液を発酵させることにより実施することができる。すなわち、麦芽等の発酵原料から調製された発酵前液(例えば麦汁)に酵母を添加して発酵を行い、所望により発酵液を低温にて貯蔵した後、ろ過工程により酵母を除去することにより、発酵飲料を製造することができる。また、最後の濾過工程は省略することも可能である。
本発明の方法では、ホップ、柑橘果皮、発酵原料の他に、米、とうもろこし、こうりゃん、馬鈴薯、でんぷん、糖類(例えば、液糖)等の酒税法で定める副原料や、タンパク質分解物、酵母エキス等の窒素源、香料、色素、起泡・泡持ち向上剤、水質調整剤、発酵助成剤等のその他の添加物を醸造原料として使用することができる。
以下の実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:ビールテイスト発酵飲料におけるホップと柑橘果皮の組み合わせの検討
本実施例では、ビールテイスト発酵飲料におけるホップと柑橘果皮の組み合わせおよび柑橘果皮の加熱処理条件を検討した。
(1)試飲サンプルの調製
まず、柑橘果皮として、オレンジ、レモンおよびユズの果皮を用意し、それぞれ65℃の水浴中10分間の加熱処理を行った。次に、様々な品種のホップを用いて製造された市販のビールテイスト発酵飲料を用意し、これらに加熱処理後の柑橘果皮のサンプルを添加して、4℃の温度で24時間静置した。果皮の添加量は、加熱処理前の果皮の重量に基づいて、市販のビールテイスト発酵飲料中1g/Lとした。また、ホップ品種によって香味の強さが異なるため、ビールテイスト発酵飲料におけるホップの使用量(ホップ原単位)は、それぞれの品種についての標準的な使用量となっている。得られた液体を、試飲サンプルとして官能評価に供した。
(2)飲料サンプルの官能評価
上記(1)で調製された各試飲サンプルを官能評価試験に供した。官能評価試験では、良く訓練され、ビール、チューハイおよびカクテル系飲料の評価に熟練したパネル4名により、ホップの香味と果皮の起源である果実の香味の評価を行なった。評価は、A:ホップの香味と果実の香味が調和しており、果実の香りと甘さが増強されている、B:果実の香味よりもホップの香味がやや強いが、果実の甘さが感じられる、C:ホップの香味が強すぎて果実の香味が感じられない、の3つのいずれかに分類することにより行った。
官能評価の結果を、各試飲サンプルのベースとなったビールテイスト発酵飲料に用いられているホップ品種、ホップの使用量(ホップ原単位)、および製法とともに、以下の表1に示す。
Figure 2019050761
表1には、ホップ品種と柑橘の種類との各組み合わせについて官能評価結果が示されている。ここで、表1に示す官能評価結果はいずれも、4名のパネルの一致した評価結果である。
表1によれば、アロマホップの中でも、フローラルホップを用いた試飲サンプルの評価結果は悪く、一方で、フルーティーホップまたはハーバルホップを用いた試飲サンプルの評価結果は良好であった。また、柑橘の種類による評価結果の相違はほとんど見られなかったが、唯一、ネルソンソービン種ホップとオレンジ果皮およびユズ果皮との組み合わせが、同ホップとレモン果皮の組み合わせよりも優れていた。
実施例2:ホップと柑橘果皮を用いたビールテイスト発酵飲料における柑橘果皮の加熱処理条件の検討
本実施例では、柑橘果皮の加熱処理条件を検討するため、実施例1で用いた65℃の水浴中10分間という加熱処理条件を、レモン果皮およびオレンジ果皮について、80℃の水浴中10分間という条件に変更して試飲サンプルを調製し、実施例1と同様の官能評価を行った。その結果、実施例1と全く同じ評価結果が得られた。
さらに、オレンジ果皮について、90℃の水浴中10分間という条件も試してみたところ、実施例1と全く同じ評価結果が得られた。
従って、65℃、80℃および90℃の温度条件について官能評価結果に差異が見られなかったことから、柑橘果皮の加熱処理の温度条件は65〜90℃であればよいことが分かった。
比較例1:ビターホップを用いたビールテイスト発酵飲料の官能評価
ビターホップと柑橘果皮の組み合わせによる効果を確認するため、ホップとしてハラタウペルレ(ビターホップ)種を使用し(ホップ原単位:400ppm)、オレンジ果皮とコリアンダーシードが原料として用いられた市販のビールテイスト発酵飲料について、実施例1と同様の官能評価を行った。
その結果、ホップの香味が強すぎて果実の香味が感じられない(C)と評価された。
従って、ビターホップと柑橘果皮の組み合わせは好ましくないことが分かった。

Claims (14)

  1. 原料として柑橘の果皮およびホップを用いて発酵飲料を製造する方法であって、
    該方法が原料混合物を煮沸する煮沸工程および発酵工程をこの順で含んでなり、
    前記ホップとしてフルーティーホップまたはハーバルホップが用いられ、
    前記果皮が、煮沸工程における煮沸終了の直前またはこれよりも後に添加され、ここで、前記果皮が、前記方法に含まれる加熱操作を伴う全ての工程が終了し、加熱された原料混合物が冷却された後にその原料混合物に添加される場合には、前記果皮が、50〜100℃の温度で10〜60分間という条件下で予め加熱処理される、方法。
  2. 前記果皮が、以下のa)〜g):
    a)煮沸工程における煮沸終了直前時;
    b)煮沸工程における煮沸終了時;
    c)発酵工程における主発酵よりも前;
    d)発酵工程における主発酵時;
    e)発酵工程における主発酵終了時;
    f)発酵工程における後発酵時;および
    g)発酵工程における後発酵終了時
    のいずれかの時期に添加される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記方法が煮沸工程、発酵工程および濾過工程をこの順で含んでなり、前記果皮が、h)濾過工程における濾過時、またはi)濾過工程における濾過終了時に添加される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記方法が煮沸工程、発酵工程および容器注入工程をこの順で含んでなり、前記果皮が、j)容器注入工程における容器注入時、またはk)容器注入工程における容器注入終了時に添加される、請求項1に記載の方法。
  5. 柑橘が、レモン、オレンジおよびユズからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ホップが、フルーティーホップの品種である、ブラボー、カスケード、ネルソンソービン、ギャラクシー、モツエカおよびシトラ、ならびにハーバルホップの品種であるヘルスブルッカーからなる群から選択される少なくとも1種のホップである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記ホップが、煮沸工程における煮沸終了の直前またはこれよりも後に添加される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記ホップが、以下のa)〜g):
    a)煮沸工程における煮沸終了直前時;
    b)煮沸工程における煮沸終了時;
    c)発酵工程における主発酵よりも前;
    d)発酵工程における主発酵時;
    e)発酵工程における主発酵終了時;
    f)発酵工程における後発酵時;および
    g)発酵工程における後発酵終了時
    のいずれかの時期に添加される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記方法が煮沸工程、発酵工程および濾過工程をこの順で含んでなり、前記ホップが、h)濾過工程における濾過時、またはi)濾過工程における濾過終了時に添加される、請求項7に記載の方法。
  10. 前記方法が煮沸工程、発酵工程および容器注入工程をこの順で含んでなり、前記果皮が、j)容器注入工程における容器注入時、またはk)容器注入工程における容器注入終了時に添加される、請求項7に記載の方法。
  11. 前記ホップが、65℃以上100℃未満の温度で1分間以上60分間未満という条件下で予め加熱処理されたものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 製造される発酵飲料がビールテイスト発酵飲料である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法によって製造される、発酵飲料。
  14. ビールテイスト発酵飲料である、請求項13に記載の発酵飲料。
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