JP2016020451A - ゴム変性スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

ゴム変性スチレン系樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】製品強度、剛性、耐油性に優れ、寸法精度が高く、勘合性に優れた食品包装用容器を得ることのできるゴム変性スチレン系樹脂組成物の提供。
【解決手段】スチレン系重合体のマトリックス相と該マトリックス相中に分散相として存在するゴム状重合体粒子とを含むゴム変性スチレン系樹脂と、可塑剤とを含む、ゴム変性スチレン系樹脂組成物であって、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物が、該スチレン系重合体89.5〜82.5質量%、該ゴム状重合体粒子10〜15質量%、及び該可塑剤0.5〜2.5質量%を含み、該スチレン系重合体の重量平均分子量Mwが16万〜20万であり、該スチレン系重合体における分子量5万以下の成分の比率が10〜20質量%であり、該ゴム状重合体粒子の粒子径が2μm〜5μmであり、該ゴム変性スチレン系樹脂組成物が、ゲル分含有率20〜40質量%、及び膨潤指数9〜11を有する、ゴム変性スチレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、寸法精度、製品強度、剛性、耐油性及び成形性に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物及びこれを用いて形成された食品包装用容器に関するものである。
ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、その優れた成形性と実用強度から、また食品衛生上問題がないことから、食品包装用途において、肉、魚、惣菜等々のトレーやフードパック、弁当容器、デザート容器等の原料として広く用いられている。また、近年のコーヒーブームの広がりを受け、コーヒーショップやコンビニエンスストアのテイクアウト用のコーヒーの蓋(カフェリッド)の原料としても用いられている。カフェリッドは、牛乳やホイップクリームに含まれる乳脂肪分と接触する場合があるが、ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、油脂や有機溶媒との接触で応力亀裂を生じやすいという問題がある。また、カフェリッドは高温状態でカップから着脱されることがあるため、カフェリッドには、この際に破壊しない強度と剛性が求められる。また、カフェリッドには、カップに装着した状態で内容物であるコーヒーが漏洩しないように勘合性が求められるため、高い寸法精度と寸法安定性が必要となる。
ゴム変性スチレン系樹脂組成物の油脂との接触による応力亀裂を抑制する、すなわち耐油性を向上させる手段として、特許文献1にはゴム変性スチレン系樹脂組成物と耐油性に優れるポリプロピレン樹脂とのアロイ化が記載されている。しかし、ポリプロピレン樹脂は剛性に劣り、寸法安定性に劣るという問題があり、また、アロイ化することにより生産コストが悪化するという問題が生じる。
特許文献2には、ゴム変性スチレン系樹脂組成物からなる発泡シートの片面に耐油性に優れるポリオレフィン系樹脂フィルムを積層接着されてなる熱成形用多層シートが提案されている。しかし、カフェリッドのような開口部が設けられた形状の成形品においては、その開口部は、熱成形後に打抜き加工によって形成されるため、特許文献2に記載される手段では、ポリオレフィン系樹脂フィルムが存在せず、ゴム変性スチレン系樹脂組成物と油脂成分が直接接触し、当該部位で応力亀裂が発生する懸念がある。更にシートを多層化するために、生産工程が複雑になり、生産コストが悪化するという問題が生じる。
ゴム変性スチレン系樹脂組成物の耐油性を向上させる手段として、ゴム状重合体粒子(ゴム粒子)の粒子径を巨大化させることは広く知られている。例えば、特許文献3には、ゴム粒子の数平均粒子サイズを6〜12μmとすることにより、耐油性を向上させたゴム変性熱可塑性重合体組成物が記載されている。特許文献4には、ゴム変性スチレン系樹脂組成物中のゴム粒子の粒子径、ゲル分、グラフト率、膨潤比を特定の範囲とすることにより、機械的特性、耐油性、耐薬品性に優れるゴム変性スチレン系樹脂組成物が記載されている。
国際公開第2005/100470号パンフレット 特開2014−79985号公報 特開平8−12845号公報 特開2010−37455号公報
このように、従来のゴム変性スチレン系樹脂組成物の耐油性を改良すべく、解決策が種々提案されており、一部の文献においては、射出成形した場合の強度や剛性についても言及されている。しかしながら、カフェリッド等の食品包装用容器においては、今日、耐油性と、製品強度及び剛性とのバランスがさらに優れる材料が求められている。ここで、一般的に、ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、その成形方法や成形条件が変わると、得られる成形品の機械的特性が大きく変化するという問題がある。つまり、押出成形により作製されたシートを熱成形で賦型して得られるカフェリッド等の食品包装用容器においては、押出シートの厚さが射出成形品と比べて非常に薄く、成形時に加わる応力やひずみの状態も異なるため、押出シートや食品包装用容器の製品強度及び剛性は、ISOやJIS等で規格化されている射出成形品の強度及び剛性とは、必ずしも同じにならない。このため、あくまでも、押出成形されたシートを用いた評価において優れた製品強度及び剛性を示すようなシート材料が、カフェリッド等の食品包装用容器の用途において求められている。
本発明は、寸法精度、製品強度、剛性、耐油性、及び成形性に優れたゴム変性スチレン系樹脂組成物及びその樹脂組成物を用いてなる製品強度、剛性及び耐油性に優れた食品包装用容器を提供することを目的としたものである。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく、ゴム変性スチレン系樹脂組成物のマトリックス相を構成するスチレン系重合体及びゴム変性スチレン系樹脂組成物の分散相を構成するゴム状重合体粒子を形成しているゴム状重合体の構造について、鋭意検討し実験を重ねた結果、予想外に、スチレン系重合体の分子量特性、ゴム状重合体の含有量、ゴム粒子径、ゲル分、及び膨潤指数を特定の範囲内とし、かつ特定量の可塑剤を用いたゴム変性スチレン系樹脂組成物を押出成形によりシートとすることで、引裂き強さ、耐折強さ及び耐油性に優れたシートを得ることができ、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1] スチレン系重合体のマトリックス相と該マトリックス相中に分散相として存在するゴム状重合体粒子とを含むゴム変性スチレン系樹脂と、可塑剤とを含む、ゴム変性スチレン系樹脂組成物であって、
該ゴム変性スチレン系樹脂組成物が、該スチレン系重合体89.5〜82.5質量%、該ゴム状重合体粒子10〜15質量%、及び該可塑剤0.5〜2.5質量%を含み、
該スチレン系重合体の重量平均分子量Mwが16万〜20万であり、該スチレン系重合体における分子量5万以下の成分の比率が10〜20質量%であり、
該ゴム状重合体粒子の粒子径が2μm〜5μmであり、
該ゴム変性スチレン系樹脂組成物が、ゲル分含有率20〜40質量%、及び膨潤指数9〜11を有する、ゴム変性スチレン系樹脂組成物。
[2] JIS K 7210に準拠して200℃及び49Nにて測定されるメルトマスフローレイト(MFR)が1.0〜3.5グラム/10分である、請求項1に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
[3] 上記[1]又は[2]に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物を押出成形してなるシート。
[4] 上記[3]に記載のシートを熱成形してなる成形品。
[5] 上記[3]に記載のシートを熱成形してなる食品包装用容器。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物を用いることにより、製品強度、剛性、耐油性に優れ、寸法精度が高く、勘合性に優れた食品包装用容器を得ることができる。また、本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、押出成形におけるシート成形時や、熱成形による賦型時の成形性に優れ、製品の生産効率の向上に貢献することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の一態様は、
スチレン系重合体のマトリックス相と該マトリックス相中に分散相として存在するゴム状重合体粒子とを含むゴム変性スチレン系樹脂と、可塑剤とを含む、ゴム変性スチレン系樹脂組成物であって、
該ゴム変性スチレン系樹脂組成物が、該スチレン系重合体89.5〜82.5質量%、該ゴム状重合体粒子10〜15質量%、及び該可塑剤0.5〜2.5質量%を含み、
該スチレン系重合体の重量平均分子量Mwが16万〜20万であり、該スチレン系重合体における分子量5万以下の成分の比率が10〜20質量%であり、
該ゴム状重合体粒子の粒子径が2μm〜5μmであり、
該ゴム変性スチレン系樹脂組成物が、ゲル分含有率20〜40質量%、及び膨潤指数9〜11を有する、ゴム変性スチレン系樹脂組成物を提供する。
本開示中、用語「ゴム変性スチレン系樹脂組成物」とは、ゴム変性スチレン系樹脂を含む組成物である。「ゴム変性スチレン系樹脂」は、スチレン系重合体を含むマトリックス相と、該マトリックス相中に分散している、ゴム状重合体粒子の分散相とを含む。ゴム変性スチレン系樹脂は、典型的には、ゴム状重合体の存在下、スチレン系単量体及び任意に追加の単量体を重合して得ることができる。
スチレン系重合体の原料としてのスチレン系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等が挙げられ、これらを単独又は二種以上用いてもよい。中でもスチレンが好ましい。必要に応じて、スチレン系単量体に共重合可能な追加の単量体を本発明の目的を損なわない範囲で用いてもよい。ここで用いるその他の共重合可能な単量体としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水物基含有単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のジカルボン酸イミド基含有単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
スチレン系単量体に共重合可能な追加の単量体の量は、スチレン系重合体の材料として用いる単量体の総量100質量%基準で、好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
スチレン系重合体の含有率は、ゴム変性スチレン系樹脂組成物100質量%基準で、89.5〜82.5質量%である。該含有率が82.5質量%以上であれば、製品剛性と寸法精度が得られ、89.5質量%以下であれば、ゴム変性スチレン系樹脂組成物が後述のゴム状重合体粒子及び可塑剤を含むことによる後述の利点を得ることができる。
スチレン系重合体は、スチレン系単量体を、熱重合させたもの、又は有機過酸化物群を重合開始剤として用いて重合させたもの、であることができる。有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジミリスチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシエステル類、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、p−メンタハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーアミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジクミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等の多官能開始剤類を挙げることができる。特に、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンが好ましい。
これらの有機過酸化物はスチレン系単量体重合のいずれかの工程にて重合系(すなわち重合原料溶液又は重合途中の溶液)に添加される。これらの有機過酸化物は重合原料溶液に加えられても、重合途中の溶液に必要に応じて複数回に分割して添加されてもよい。有機過酸化物の添加量は、重合原料溶液100質量%に対して好ましくは0.0005〜0.2質量%であり、より好ましくは0.001〜0.01質量%、さらに好ましくは0.003〜0.008質量%である。有機過酸化物の添加量が0.0005質量%以上である場合、開始剤添加の効果が良好に得られ、一方、0.2質量%以下の場合、重合時に大量の反応熱が発生することを回避でき重合の制御が容易であるため好ましい。
スチレン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したときの重量平均分子量Mwが16万〜20万、好ましくは17万〜20万、より好ましくは18万〜19万である。Mwが20万を超える場合は、溶融体の粘度が高くなり、成形加工性が極端に低下し、生産性が悪化する。また16万未満の場合は、押出シートの強度が著しく低下し、熱成形時や、製品の使用時に割れが発生するという問題がある。また、スチレン系重合体100質量%基準で、分子量5万以下の成分の含有率は10〜20質量%、好ましくは12〜18質量%、より好ましくは14〜16質量%である。分子量5万以下の成分が10質量%未満の場合は、溶融体の粘度が増大し、成形加工性が悪化する傾向がある。分子量5万以下の成分が20質量%を超えると、押出シートの強度が低下し、熱成形時や製品使用時に割れが発生する。
なお、本開示で、GPCの測定は、以下の方法又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で測定される。
試料調製:ゴム変性スチレン系樹脂組成物1gを精秤し、メチルエチルケトン/メタノール混合溶剤媒(混合重量質量比90/10)20mlを加え23℃で2時間振とう後、遠心分離機(例えば(株)日立製作所製himac(商品名)CR−20(ローター:R20A2))にて10℃以下、20000rpmで60分間遠心分離する。遠心分離後の上澄み液を、メタノール中に再沈殿させた後濾別してスチレン系重合体を回収し、これを乾燥する。テトラヒドロフランに乾燥後のスチレン系重合体約0.05質量%を溶解させ、遠心分離機を用いて溶解時の不溶分を遠心分離して、上澄み液を試料溶液として使用する。
測定条件:機器:TOSOH HLC−8220GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)
カラム:super HZM−H
温度:40℃
キャリア:THF 0.35ml/min
検出器:RI、UV:254nm
検量線:TOSOH製の標準PS使用
ゴム状重合体粒子を形成しているゴム状重合体としては、ポリブタジエンゴム(ローシスポリブタジエン、及びハイシスポリブタジエン)、スチレン−ブタジエン共重合体(ランダム及びブロックスチレン−ブタジエン共重合体(SBR))、エチレン−プロピレン共重合ゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。これらの中でもポリブタジエンゴムが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体におけるスチレン単位の含有量は、25質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。ゴム状重合体は上記のように例えばスチレン単位を有してよいが、ゴム状重合体は、ゴム状である点(より典型的にはジエン単位を有している点)で前述のスチレン系重合体と区別される重合体である。
ゴム変性スチレン系樹脂組成物中のゴム状重合体粒子含有率は、10〜15質量%、好ましくは11〜14質量%、より好ましくは12〜13質量%である。ゴム状重合体粒子の含有率が10質量%未満では、耐衝撃性及び強度が低下し、15質量%を超えると剛性及び耐熱性が低下する。
なお、ゴム変性スチレン系樹脂組成物中のゴム系重合体粒子の含有率は、以下の方法により得られるものである。すなわち、ゴム変性スチレン系樹脂組成物0.4gを100mlのメスフラスコに入れて精秤する(W)。クロロホルム75mlを加えてよく分散させた後、一塩化ヨウ素18gを1000mlの四塩化炭素に溶かした溶液20mlを加えて冷暗所に保存し、8時間後にクロロホルムで標線に合わせる。これを25ml採取し、ヨウ化カリウム10gを水800ml、エタノール200mlの混合液に溶かした溶液60mlを加え、チオ硫酸ナトリウム10gを1000mlの水に溶かした溶液(モル濃度x)で滴定する。本試験Aml、空試験Bmlとし、ゴム系重合体粒子の含有率(質量%)は以下の式により求められる。
ゴム状重合体粒子含有率(%)=10.8×x×(B−A)/W
ゴム状重合体粒子の粒子径は、2〜5μmであり、好ましくは3〜4μmである。該粒子径が2μm未満では、耐油性が低下し、カフェリッド等の食品包装用容器として用いた場合に油脂分等との接触により、亀裂が発生し、破壊に至る恐れが高くなる。一方、該粒子径が5μmを超えると、剛性が低下し好ましくない。
なお、ゴム状重合体粒子の粒子径は、以下の方法により得られるものである。すなわち、30μm径のアパーチャーチューブを装着したベックマンコールター株式会社製COULTER MULTISIZER III (商品名)又はこれと同等の装置にて、ゴム変性スチレン系樹脂組成物約0.05g(例えばペレット2〜5粒として)をジメチルホルムアミド約5ml中に入れ約2〜5分間放置する。次にジメチルホルムアミド溶解分を適度の粒子濃度として測定し、体積基準のメジアン径を求める。
ゴム変性スチレン系樹脂組成物のゲル分は、20〜40質量%、好ましくは25〜38質量%、より好ましくは30〜36質量%である。上記ゲル分とは、メチルエチルケトン不溶分を意味する。ゲル分が20質量%未満では、強度と耐油性が低下する。一方、ゲル分が40質量%を超えると、剛性、耐熱性、及び成形性が低下する。
上記ゲル分は、ゴム変性スチレン系樹脂組成物中のゴム系重合体と前記ゴム系重合体に内包されたスチレン系重合体成分に対応する。ゴム変性スチレン系樹脂組成物中のゲル分の含有率は、以下の方法で測定される値である。すなわち、ゴム変性スチレン系樹脂組成物を溶剤に溶解し、遠心分離後に、デカンテーションによって、可溶分と、分散相である不溶分とを分離した後、不溶分を乾燥する操作によって、ゲル分の含有率が求められる。一般的には、ゲル分含有率測定用の溶剤としてはトルエンを用いる。しかし、ゴム状重合体粒子の径が小さい、又はゴム状重合体粒子の架橋密度が低いゴム変性スチレン系樹脂組成物では、トルエンを使用すると、トルエンとゲル分との親和性が良いために、測定時のデカンテーション時にゲル分が流出し、分散相の含有量が真の値よりも低い値となってしまう場合がある。そこで本開示では、ゲル分としてメチルエチルケトン不溶分を規定する。ゲル分含有率測定用の溶剤としてメチルエチルケトンを使用することにより、デカンテーション時のゲル分の流出がなく、分散相の含有率を精度良く測定することができる。
本開示において、ゲル分含有率は具体的には下記の方法で測定する。すなわち、ゴム変性スチレン系樹脂組成物1gを精秤し(W1)、メチルエチルケトン/メタノール混合溶剤(混合質量比90/10)20mlを加え23℃で2時間振とう後、遠心分離機(例えば(株)日立製作所製himac(商品名)CR−20(ローター:R20A2))にて10℃以下、20000rpmで60分間遠心分離する。上澄み液をデカンテーションして除き、不溶分を得る。引き続き、160℃、20mmHg以下の条件で60分間真空乾燥し、デシケーター内で室温まで冷却後、不溶分の質量を精秤する(W2)。下記式により、メチルエチルケトン不溶分を求める。
メチルエチルケトン不溶分(質量%)=(W2/W1)×100
ゴム変性スチレン系樹脂組成物の膨潤指数は、9〜11、好ましくは10〜11である。上記膨潤指数とは、トルエン不溶分のトルエンに対する膨潤を後述の方法で測定して得られる値である。膨潤指数は、ゴム状重合体の架橋密度の指標であり、数値が小さいほど架橋密度が高く、数値が大きいほど架橋密度は低い。膨潤指数が小さくなるにつれてゴム変性スチレン系樹脂組成物の機械強度が低下する傾向にある。一方、膨潤指数が大きくなるにつれて、成形品の面衝撃性能は低下する傾向にある。また、膨潤指数が大きくなるにつれて成形加工時の配向によってゴム変性スチレン系樹脂組成物中の分散粒子(具体的にはゴム状重合体粒子)が変形を生じ易くなり、配向方向に比べ、その直交方向の機械的特性が低下する異方性が増大する傾向にある。膨潤指数が大きなゴム変性スチレン系樹脂組成物では、該樹脂組成物をペレットに造粒する際に、ストランド状に押出された樹脂組成物の粘度が低く、垂れやすいため、生産効率、及び生産安定性が低い傾向がある。
なお、膨潤指数は、以下の方法により得られるものである。すなわち、ゴム変性スチレン系樹脂組成物1gを精秤し(W3)、トルエン20mlを加え23℃で2時間振とう後、遠心分離機(例えば(株)日立製作所製himac(商品名)CR−20(ローター:R20A2))にて10℃以下、20000rpmで60分間遠心分離する。上澄み液をデカンテーションして除き、トルエンを含んだ不溶分の質量を精秤する(W4)。引き続き、160℃、20mmHg以下の条件で60分間真空乾燥し、デシケーター内で室温まで冷却後、不溶分の質量を精秤する(W5)。下記式により、トルエンに対する膨潤指数を求める。
膨潤指数=W4/W5
ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、可塑剤を含有する。ゴム変性スチレン系樹脂組成物中の可塑剤の含有量は、0.5〜2.5質量%であり、好ましくは0.6〜2.0質量%、より好ましくは0.7〜1.5質量%である。可塑剤の含有量が増加すると、材料の耐熱性は低下する。このため、カフェリッドのように加熱された物質と接触する製品において、耐熱性を大きく低下させる成分である可塑剤の含有量が2.5質量%を超えることは不都合である。また、可塑剤の含有量が増加すると、成形時に可塑剤が析出し、押出成形時のダイス部での目ヤニや、熱成形時の金型汚染の原因となるため、可塑剤の多量の添加は不都合である。さらに、可塑剤の多量の添加は、シートの熱成形時のドローダウン性を悪化させ、熱成形の生産効率を低下させる。一方で、可塑剤の含有量が0.5質量%未満の場合は樹脂組成物の流動性が不十分となり、押出成形時の成形性が悪化する。また、可塑剤の含有量が0.5質量%未満の場合は押出シートの伸び特性が悪化し、熱成形時の離型時の割れや、押出シート及び熱成形品の使用時の割れの原因となる。可塑剤の種類としては流動パラフィン(ホワイトオイルとも称される)、白色鉱油、フタル酸エステル類等が挙げられ、好ましくは流動パラフィン(ホワイトオイル)である。
次に、本開示のゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造方法の例について説明する。典型的な態様において、ゴム変性スチレン系樹脂組成物は、スチレン系単量体を、ゴム状重合体の存在下で重合させて、スチレン系重合体中にゴム状重合体が分散している海島構造を形成することを含む方法によって製造できる。スチレン系単量体の重合方法に関しては、特に制約はなく、スチレン系単量体にゴムを溶かした溶液を用いて、通常の塊状重合、溶液重合、懸濁重合等を行うことができる。また、メルトフローレイト調整のために、溶媒や連鎖移動剤を適宜選択して使用することが好ましい。溶媒としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等を使用できる。溶媒の使用量は特に限定されるものではないが、重合原料液の全量100質量%基準で、0質量%〜50質量%の範囲の使用が好ましい。連鎖移動剤としてはn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等が用いられ、α−メチルスチレンダイマーが好ましい。連鎖移動剤の使用量は、重合原料液の全量100質量%基準で、好ましくは0.01質量%〜2質量%、より好ましくは0.03〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.2質量%の範囲である。重合反応温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃の範囲である。反応温度が80℃以上であれば生産性が良好で工業的に適当であり、一方、200℃以下であれば低分子量重合体が多量に生成することを回避でき好ましい。スチレン系重合体の目標分子量が重合温度のみで調整できない場合は、開始剤量、溶媒量、連鎖移動剤量等で制御すればよい。反応時間は一般に0.5〜20時間、好ましくは2〜10時間である。反応時間が0.5時間以上であれば反応が良好に進行し、一方、20時間以下であれば生産性が良好で工業的に適当である。
ゴム変性スチレン系樹脂組成物のJIS K 7210に従って測定される200℃、49N荷重におけるメルトマスフローレイト(MFR)は、1.0〜3.5グラム/10分、好ましくは1.5〜3.0グラム/10分、より好ましくは2.0〜2.5グラム/10分である。MFRが1.0グラム/10分以上であれば押出成形性が良好であり、一方、3.5グラム/10分以下であれば押出シートの熱成形時にドローダウン性が低下せず、成形性が良好である。
ゴム変性スチレン系樹脂組成物には、慣用されている添加剤、例えば、酸化防止剤、滑剤、着色剤等を含有させてもよい。慣用されている添加剤としては、具体的には、フェノール系又はリン系の酸化防止剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の滑剤、各種難燃剤等が挙げられる。また、ゴム変性スチレン系樹脂組成物のペレットに対する外部潤滑剤として、エチレンビスステアリルアミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等を該ペレットにまぶすように用いてもよい。
本開示のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、追加のスチレン系樹脂と組合せて用いてもよい。ここで、追加のスチレン系樹脂は、ゴム変性されていてもゴム変性されていなくても良い。但し、ゴム変性されていないスチレン系樹脂を用いる場合においては、ゴム状重合体粒子の含有率が低くなり過ぎないようにするため、ゴム変性スチレン系樹脂組成物100質量部に対して、スチレン系樹脂の使用量は、45質量部以下、より好ましくは25質量部以下であることが好ましい。またスチレン系樹脂のGPCで測定したときの重量平均分子量Mwは20万以上40万以下であることが好ましく、22万以上32万以下であることがより好ましい。該重量平均分子量Mwは、Mwが40万以下であれば、溶融体の粘度が高くなりすぎず、成形加工性の低下及び生産性の悪化を回避できる。また20万以上であれば、押出シートの強度の低下を回避できるため、熱成形時や、製品の使用時に割れが発生するという問題を回避できる。
追加の樹脂としてのスチレン系樹脂の添加方法には、特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、ゴム変性スチレン系樹脂組成物と、追加のスチレン系樹脂とを、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー等の公知の混練機を用いて溶融混練する方法、ヘンシェルミキサーやリボンブレンダー等を用いてドライブレンドする方法、又は、シート押出機の材料供給部に計量混合機を設置して、ゴム変性スチレン系樹脂組成物と追加のスチレン系樹脂とを定量供給する方法がある。
本発明の別の態様は、前述のゴム変性スチレン系樹脂組成物を押出成形して成るシート(本開示で、押出シートともいう。)を提供する。
本発明の更に別の態様は、該シートを熱成形してなる成形品を提供する。
本発明の更に別の態様は、該シートを熱成形してなる食品包装用容器を提供する。
押出シートの製造方法としては、通常知られている押出成形方法を用いることができ、例えば、ゴム変性スチレン系樹脂組成物、及び任意成分(例えば前述の追加のスチレン系樹脂等)を従来公知の押出機で押出す。押出シートの厚みは好ましくは10μmから3mm、より好ましくは100μmから1mmである。押出機の温度は、好ましくは150〜300℃、より好ましくは180〜270℃、さらに好ましくは200〜250℃である。押出機の温度が300℃以下であればゴム変性スチレン系樹脂組成物の熱分解を回避できるため好ましく、一方、150℃以上であればゴム変性スチレン系樹脂組成物の溶融物が高粘度となり過ぎず押出しが容易であるため好ましい。
熱成形による成形品の製造方法としては、通常知られている方法を用いることができる。例えば、熱板成形、真空成形、厚空成形、マッチドモールド成形、プラグアシスト成形等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、本開示では、下記の測定方法、及び評価方法を用いた。
(1)スチレン系重合体分子量
試料調製:ゴム変性スチレン系樹脂組成物1gを精秤し、メチルエチルケトン/メタノール混合溶剤媒(混合重量質量比90/10)20mlを加え23℃で2時間振とう後、遠心分離機((株)日立製作所製himac(商品名)CR−20(ローター:R20A2))にて10℃以下、20000rpmで60分間遠心分離した。遠心分離後の上澄み液を、メタノール中に再沈殿させた後濾別してスチレン系重合体を回収し、これを乾燥した。テトラヒドロフランに乾燥後のスチレン系重合体約0.05質量%を溶解させ、遠心分離機を用いて溶解時の不溶分を遠心分離して、上澄み液を試料溶液として使用した。
測定条件:機器:TOSOH HLC−8220GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)
カラム:super HZM−H
温度:40℃
キャリア:THF 0.35ml/min
検出器:RI、UV:254nm
検量線:TOSOH製の標準PS使用
(2)ゴム状重合体粒子含有量
ゴム変性スチレン系樹脂組成物0.4gを100mlのメスフラスコに入れて精秤した(W)。クロロホルム75mlを加えてよく分散させた後、一塩化ヨウ素18gを1000mlの四塩化炭素に溶かした溶液20mlを加えて冷暗所に保存し、8時間後にクロロホルムで標線に合わせた。これを25ml採取し、ヨウ化カリウム10gを水800ml、エタノール200mlの混合液に溶かした溶液60mlを加え、チオ硫酸ナトリウム10gを1000mlの水に溶かした溶液(モル濃度x)で滴定した。本試験Aml、空試験Bmlとし、ゴム状重合体粒子含有率(質量%)は以下の式により求めた。
ゴム状重合体粒子含有率(%)=10.8×x×(B−A)/W
(3)ゴム状重合体粒子の粒子径
30μm径のアパーチャーチューブを装着したベックマンコールター株式会社製COULTER MULTISIZER III (商品名)にて、ゴム変性スチレン系樹脂組成物のペレット2〜5粒をジメチルホルムアミド約5ml中に入れ約2〜5分間放置した。次にジメチルホルムアミド溶解分を適度の粒子濃度として測定し、体積基準のメジアン径を求めた。
(4)メチルエチルケトン不溶分(ゲル分)
ゴム変性スチレン系樹脂組成物1gを精秤し(W1)、メチルエチルケトン/メタノール混合溶媒(混合質量比90/10)20mlを加え23℃で2時間振とう後、遠心分離機((株)日立製作所製himac(商品名)CR−20(ローター:R20A2))にて10℃以下、20000rpmで60分間遠心分離した。上澄み液をデカンテーションして除き、不溶分を得た。引き続き、160℃、20mmHg以下の条件で60分間真空乾燥し、デシケーター内で室温まで冷却後、不溶分の質量を精秤した(W2)。下記式により、メチルエチルケトン不溶分を求めた。
メチルエチルケトン不溶分(質量%)=(W2/W1)×100
(5)トルエンに対する膨潤指数
ゴム変性スチレン系樹脂組成物1gを精秤し(W3)、トルエン20mlを加え23℃で2時間振とう後、遠心分離機((株)日立製作所製himac(商品名)CR−20(ローター:R20A2))にて10℃以下、20000rpmで60分間遠心分離した。上澄み液をデカンテーションして除き、トルエンを含んだ不溶分の質量を精秤した(W4)。引き続き、160℃、20mmHg以下の条件で60分間真空乾燥し、デシケーター内で室温まで冷却後、不溶分の質量を精秤した(W5)。下記式により、トルエンに対する膨潤指数を求めた。
トルエンに対する膨潤指数=W4/W5
(6)流動パラフィン含有量
ゴム変性スチレン系樹脂組成物2gを精秤し、メチルエチルケトン40mlを加え23℃で40分間振とうし、メタノール200ml中に滴下し、60℃で10分間加温した後、23℃に冷却し、穴径0.45μmのメンブランフィルターで濾過した。濾別した濾液を減圧蒸留濃縮し、80℃で30分間乾燥した後、23℃に冷却し、ノルマルヘキサンに溶解させ、10mlの試料を得た。得られた試料について、下記の条件下で液体クロマトグラフィーにより、流動パラフィン含有量を定量した。
機器:高速液体クロマトグラフ (株)島津製作所製(商品名)LC−10A
カラム:平均粒子径5μmの全多孔性シリカゲル、内径4.6mm、長さ250mm
溶媒:ノルマルヘキサン
温度:23℃
溶媒流量:2g/min
注入量:200μm
(7)メルトマスフローレイト(MFR)
ゴム変性スチレン系樹脂組成物につき、JIS K 7210に準拠して200℃、49Nにおいて測定した。
(8)ビカット軟化温度
ゴム変性スチレン系樹脂組成物につき、JIS K 7206に準拠して、荷重49Nにおいて測定した。
(9)引張破壊呼びひずみ
ゴム変性スチレン系樹脂組成物から220℃でJIS K 7152に準拠して射出成形片を作製し、JIS K 7161に準拠して引張破壊呼びひずみを測定した。
(10)曲げ弾性率
ゴム変性スチレン系樹脂組成物から220℃でJIS K 7152に準拠して射出成形片を作製し、JIS K 7171に準拠して曲げ弾性率を測定した。
(11)シャルピー衝撃試験
ゴム変性スチレン系樹脂組成物から220℃でJIS K 7152に準拠して射出成形片を作製し、JIS K 7111−1に準拠してシャルピー衝撃強さを測定した。
(12)押出シート作製方法
ゴム変性スチレン系樹脂組成物を単軸押出機に供給し、該樹脂組成物の温度200℃、ローラー温度90℃の条件で、厚さ0.4mm、幅125mmの押出シートを作製した。
(13)シート引張破断呼びひずみ
前記押出シートの押出(MD)方向と、その直交(TD)方向から、JIS K6251−3号ダンベルを打抜き加工し、試験速度50mm/min、つかみ具間距離60mmの条件で引張試験を実施し、引張破断呼びひずみを測定した。
(14)シート引裂き強さ試験
前記押出シートのMD方向から、長さ150mm、幅50mm、スリット長さ75mmの試験片を作製し、JIS K 7128−1に準拠してトラウザー引裂法にて引裂強さを測定した。
(15)シートの耐折強さ試験
前記押出シートのTD方向から、長さ110mm、幅15mmの試験片を作製し、荷重9.8Nの条件で、JIS P 8115に従ってMIT試験機法にてISO耐折回数を測定した。
ISO耐折回数が100以上のものを◎、10〜99のものを○、1〜9のものを×とした。
(16)シートの耐油性評価
前記押出シートから、長さ100mm、幅100mmの試験片を作製し、熱風乾燥器で80℃にて2時間加熱した後、室温雰囲気下で、下記の油を試験片の中央部に2g設置し、6時間後の状態を観察した。外観に変化のないものを◎、試験片表面にクラックが発生したものを○、試験片が破断に至ったものを×とした。
(i)日清サラダ油:日清オイリオグループ株式会社製
(ii)明治北海道十勝フレッシュ100:株式会社明治製
[実施例1]
<ゴム変性スチレン系樹脂組成物の製造>
スチレン系単量体としてスチレン77.66質量%、ゴム状重合体としてポリブタジエンゴム−1(宇部興産社製BR15HB)8.76質量%、溶剤としてエチルベンゼン12質量%、可塑剤として流動パラフィン(出光興産社製CP−68N)2.25質量%、重合開始剤として1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.004質量%、連鎖移動剤としてα−メチルスチレンダイマー0.18質量%、酸化防止剤イルガノックス1076(BASFジャパン社製)0.15質量%を混合溶解した重合液を、攪拌機を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な6.2リットルの層流型反応器−1に、3.2リットル/Hrで連続的に仕込み、温度を117℃/123℃/129℃に調整した。攪拌機の回転数は毎分150回転とした。反応器出口の反応率は30%であった。
続いて層流型反応器−1と直列に接続された、攪拌機を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な6.2リットルの層流型反応器−2に反応液を送った。攪拌機の回転数は毎分15回転とし、温度は136℃/138℃/140℃に設定した。続いて攪拌機を備え、3ゾーンで温度コントロール可能な6.2リットルの層流型反応器−3に反応液を送った。攪拌機の回転数は毎分10回転とし、温度は147℃/156℃/159℃に設定した。
重合反応器(層流型反応器−3)から連続して排出される重合体溶液を真空ベントつき押出機で、10torrの減圧下、脱揮後ペレタイズした。押出機の温度は240℃に設定した。
重合条件を以下の表1に示す。また、こうして得られたゴム変性スチレン系樹脂組成物のスチレン系重合体の重量平均分子量Mw、分子量5万以下の成分の質量%、ゴム変性スチレン系樹脂組成物のゴム状重合体粒子含有率、ゴム状重合体粒子の粒子径、ゴム変性スチレン系樹脂組成物の膨潤指数、可塑剤(流動パラフィン)含有率、及びメルトマスフローレイトMFR、並びに射出成形品の物性及び押出シートの物性の測定を行った。結果を以下の表2に示す。
Figure 2016020451
Figure 2016020451
ゴム変性スチレン系樹脂組成物ビカット軟化温度は83℃であった。押出シートのTD方向の引張破断呼び歪みは140%、引裂き強さは2.8N/mmであり、実施例1では、耐折強さ、及び耐油性に優れるシートが得られたという結果であった。
[実施例2〜6及び比較例1〜4]
重合条件を表1のとおり変更した以外は実施例1と同様に実施して、表2に示す性状の樹脂組成物、及びシートを製造した。なお実施例3ではゴム状重合体としてポリブタジエンゴム−1(宇部興産社製BR15HB)に代えてポリブタジエンゴム−2(旭化成ケミカルズ社製ジエン55)を用いた。評価結果を表2に示す。
本発明のゴム変性スチレン系樹脂組成物は、フードパックやトレイ、弁当容器、デザート容器及びそれらの蓋類等の食品包装用容器の成形素材として好適に用いることができ、押出成形、熱成形等の方法により、各種の成形体を製造することができる。なかでも、牛乳やホイップクリーム等の油脂分と接触するカフェリッドやデザート容器として好適に用いられる。

Claims (5)

  1. スチレン系重合体のマトリックス相と前記マトリックス相中に分散相として存在するゴム状重合体粒子とを含むゴム変性スチレン系樹脂と、可塑剤とを含む、ゴム変性スチレン系樹脂組成物であって、
    前記ゴム変性スチレン系樹脂組成物が、前記スチレン系重合体89.5〜82.5質量%、前記ゴム状重合体粒子10〜15質量%、及び前記可塑剤0.5〜2.5質量%を含み、
    前記スチレン系重合体の重量平均分子量Mwが16万〜20万であり、前記スチレン系重合体における分子量5万以下の成分の比率が10〜20質量%であり、
    前記ゴム状重合体粒子の粒子径が2μm〜5μmであり、
    前記ゴム変性スチレン系樹脂組成物が、ゲル分含有率20〜40質量%、及び膨潤指数9〜11を有する、ゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  2. JIS K 7210に準拠して200℃及び49Nにて測定されるメルトマスフローレイト(MFR)が1.0〜3.5グラム/10分である、請求項1に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のゴム変性スチレン系樹脂組成物を押出成形してなるシート。
  4. 請求項3に記載のシートを熱成形してなる成形品。
  5. 請求項3に記載のシートを熱成形してなる食品包装用容器。
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