JP2016020082A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2016020082A
JP2016020082A JP2014237799A JP2014237799A JP2016020082A JP 2016020082 A JP2016020082 A JP 2016020082A JP 2014237799 A JP2014237799 A JP 2014237799A JP 2014237799 A JP2014237799 A JP 2014237799A JP 2016020082 A JP2016020082 A JP 2016020082A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
ink
repellent surface
wiping
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014237799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016020082A5 (ja
Inventor
賢一 椎葉
Kenichi Shiiba
賢一 椎葉
小笠原 幹史
Mikifumi Ogasawara
幹史 小笠原
岡村 大二
Daiji Okamura
大二 岡村
康介 山▲崎▼
Kosuke Yamazaki
康介 山▲崎▼
敦士 高橋
Atsushi Takahashi
敦士 高橋
智之 天川
Tomoyuki Amakawa
智之 天川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2014237799A priority Critical patent/JP2016020082A/ja
Priority to US14/568,562 priority patent/US9387679B2/en
Publication of JP2016020082A publication Critical patent/JP2016020082A/ja
Publication of JP2016020082A5 publication Critical patent/JP2016020082A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/165Prevention or detection of nozzle clogging, e.g. cleaning, capping or moistening for nozzles
    • B41J2/16517Cleaning of print head nozzles
    • B41J2/1652Cleaning of print head nozzles by driving a fluid through the nozzles to the outside thereof, e.g. by applying pressure to the inside or vacuum at the outside of the print head
    • B41J2/16526Cleaning of print head nozzles by driving a fluid through the nozzles to the outside thereof, e.g. by applying pressure to the inside or vacuum at the outside of the print head by applying pressure only
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/165Prevention or detection of nozzle clogging, e.g. cleaning, capping or moistening for nozzles
    • B41J2/16517Cleaning of print head nozzles
    • B41J2/1652Cleaning of print head nozzles by driving a fluid through the nozzles to the outside thereof, e.g. by applying pressure to the inside or vacuum at the outside of the print head
    • B41J2/16532Cleaning of print head nozzles by driving a fluid through the nozzles to the outside thereof, e.g. by applying pressure to the inside or vacuum at the outside of the print head by applying vacuum only
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/165Prevention or detection of nozzle clogging, e.g. cleaning, capping or moistening for nozzles
    • B41J2/16517Cleaning of print head nozzles
    • B41J2/16535Cleaning of print head nozzles using wiping constructions
    • B41J2/16538Cleaning of print head nozzles using wiping constructions with brushes or wiper blades perpendicular to the nozzle plate

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】樹脂を含有する水性インクを優れた精度で吐出することができるとともに、耐マーカー性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。【解決手段】吐出口面11が撥水面である記録ヘッド1と、撥水面をワイピングするためのワイピング手段9と、撥水面を加熱するための加熱手段と、を備えたインクジェット記録装置を使用し、樹脂を含有する水性インクを吐出口から吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。加熱手段により撥水面を加熱した後、ワイピング手段により撥水面をワイピングするとともに、撥水面のワイピング後まで撥水面を加熱し続ける加熱工程を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、インクジェット記録方法及びそれに用いるインクジェット記録装置に関する。
近年、インクジェット記録装置は、画質向上及び記録速度向上に伴い、家庭において写真画像やWebページなどを出力するだけでなく、オフィスなどのビジネス分野においても使用される機会が増加している。ビジネス文書などの出力物に用いられるインクジェット記録装置用のインクに対しては、高いレベルの吐出安定性などの信頼性を有するとともに、高度な画像性能を発現することなどが要求されている。例えば、その表面をマーカーペンでなぞっても汚れにくい、耐マーカー性に優れた画像を記録可能であることが求められる。このような要求を満たすべく、例えば、樹脂を添加したインクを使用し、記録される画像の堅牢性を高めようとする試みがなされている(特許文献1参照)。
一方、吐出口が設けられた吐出口面が撥水処理された撥水面である記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置を使用して、樹脂を含有する水性インクを吐出して記録する場合、吐出不良などの弊害が生じやすいといった課題が新たに生ずる。以下、撥水処理された吐出口面のことを「撥水面」と記載することがある。例えば、撥水面に付着又は吸着しやすい特性を有する樹脂を添加したインクは、吐出口付近に滞留しやすくなる。このため、吐出口から吐出されるインク滴が吐出口付近に滞留したインクに引き寄せられてしまい、意図した位置と異なる位置にインク滴が付与されることがある。このような吐出精度の低下は、記録される画像の品位に大きな影響を及ぼす。
水溶性の高い樹脂をインクに添加すると、撥水面に対するインクの接触角を高く保つことができる。このため、吐出精度が低下するといった上記のような問題を改善するために、高酸価の樹脂が水性インクに添加されている。高酸価の樹脂を用いることで、撥水面上でのインクの濡れ広がりが抑制され、吐出口付近にインクが滞留しにくくなる。
一方、吐出口付近のインクの除去性を向上させた記録装置についても提案されている。例えば、吐出口面をワイピングして清掃することが可能な清掃部材を有し、インクの粘度に合わせて適切なワイピング速度を選択することでインクの除去性を向上させた記録装置が提案されている(特許文献2参照)。また、吐出口面をワイピングする手段と加熱する手段を有し、ワイピングに先立って吐出口近傍を加熱して滞留インクを低粘度化し、滞留インクの除去性を向上させることが提案されている(特許文献3及び4参照)。また、ワイピングする手段を加熱することや、ワイピング用にインクとは別の液体を用意し、この液体を加熱した状態で吐出口面に供給しながらワイピングを行うことで、滞留インクの除去性を向上させる提案もなされている(特許文献5及び6参照)。
特開2004−285344号公報 特開2003−341080号公報 特開平11−263024号公報 特開2005−254463号公報 特開2005−169201号公報 特開2009−101632号公報
本発明者らは、樹脂を含有する水性インクについてさらなる検討を行った。その結果、吐出精度を高めながら、耐マーカー性に優れた画像を記録することは困難であることが判明した。一般的なインクジェット記録装置は、吐出後に跳ね返ったインクが吐出口付近に付着し、後に続くインクの吐出を阻害するのを防止すべく、所定の条件を満たした場合に、吐出口面をワイピング部材によりワイピングする手段を備えている。このようなインクジェット記録装置により樹脂を含有するインクを吐出して画像を記録した場合、ワイピング部材によりワイピングした直後のインクの吐出精度が顕著に低下する場合があることがわかった。
このような問題を解決すべく、本発明者らは、高酸価の樹脂を含有するインクを用いて同様に画像を記録したが、明確な改善効果を確認することができなかった。すなわち、撥水面に対するインクの接触角を高くした場合であっても、インクの吐出精度の低下を改善するのは困難であることが判明した。
そこで、本発明者らは、インクの吐出精度が低下する原因を解明するためにさらなる検討を行った。その結果、樹脂を含有する水性インクは、撥水面上における流動性が著しく低下することがわかった。撥水面上の水性インクは、ワイピング部材によりワイピングされることで一時的に撥水面の広い範囲に引き延ばされた後、瞬時に収縮して円形状の液滴を形成する。ただし、樹脂を含有する水性インクの場合、ワイピングにより引き延ばされてから円形状の液滴を形成するまでに多くの時間を要することが判明した。すなわち、ワイピング直後の吐出口の近傍においては、インクは依然として十分に収縮しておらずに濡れ広がった状態となっている。このため、次のインクの吐出が阻害されてしまい、吐出精度が低下するものと推測される。
次に、本発明者らは、上記の特許文献で提案された技術によって、ワイピング直後のインクの吐出精度を向上させることを試みた。その結果、上記の特許文献で提案されたいずれの技術を採用した場合であっても、ワイピング直後のインクの吐出精度を満足できるレベルにまで改善するのは困難であることが判明した。
例えば、特許文献2においては、インクの粘度に応じて適切なワイピング速度を選択する技術が提案されている。しかし、樹脂を含有する水性インクを吐出した場合、様々なワイピング速度で撥水面をワイピングしても、撥水面上におけるインクの流動性はさほど向上せず、十分な吐出精度を得ることはできなかった。また、特許文献3及び4で提案された、ワイピングに先立って吐出口近傍を加熱する技術であっても、樹脂を含有する水性インクを吐出する場合には十分な吐出精度を得ることはできなかった。また、特許文献5及び6で提案された、ワイピングする手段の加熱や、ワイピング用の液体を加熱した状態で吐出口面に供給しながらワイピングを行うという技術であっても、やはり十分な吐出精度を得ることはできなかった。以上より、記録される画像の耐マーカー性と、インクの吐出精度とを高度なレベルで両立することは困難であることが判明した。
したがって、本発明の目的は、樹脂を含有する水性インクを優れた精度で吐出することができるとともに、耐マーカー性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクジェット記録方法に好適に用いられるインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、吐出口が設けられた吐出口面が撥水処理された撥水面である記録ヘッドと、前記撥水面をワイピングするためのワイピング手段と、前記撥水面を加熱するための加熱手段と、を備えたインクジェット記録装置を使用し、樹脂を含有する水性インクを前記吐出口から吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記加熱手段により前記撥水面を加熱した後、前記ワイピング手段により前記撥水面をワイピングするとともに、前記撥水面のワイピング後まで前記撥水面を加熱し続ける加熱工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、樹脂を含有する水性インクを優れた精度で吐出することができるとともに、耐マーカー性に優れた画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。また、本発明によれば、このインクジェット記録方法に好適に用いられるインクジェット記録装置を提供することができる。
インクジェット記録装置の主要部の一例を模式的に示す斜視図である。 図1に示すインクジェット記録装置のキャリッジに搭載可能なヘッドカートリッジの一例を示す斜視図である。 クリーニング装置の一例を模式的に示す側面図である。 図2に示すヘッドカートリッジの一部を分解して示す斜視図である。 図4に示す記録素子基板の吐出口付近の構造を部分的に破断して示す斜視図である。 インクジェット記録装置の制御構成の一例を示すブロック図である。 本発明のインクジェット記録方法による記録手順の一例を示す概略図である。 回復動作手順の一例を示す概略図である。 加熱保持ワイピング手順の一例を示す概略図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、本明細書における各種の物性値は、特に断らない限り25℃における値である。
本発明のインクジェット記録方法は、吐出口が設けられた吐出口面が撥水処理された撥水面である記録ヘッドと、撥水面をワイピングするためのワイピング手段と、撥水面を加熱するための加熱手段とを備えたインクジェット記録装置を使用する。そして、樹脂を含有する水性インクを吐出口から吐出して記録媒体に画像を記録する。
本発明者らは、撥水面に対するインクの付着力及び吸着力について検証した。具体的には、インクと撥水面との間に働く付着エネルギーを定量化した。付着エネルギーは、液体と固体表面との付着性の指標となる物性値であり、下記式(1)により表されることが知られている。
付着エネルギー E=mg・sinα/2πr ・・・(1)
α:滑落角
r:着液半径
m:液滴質量
g:重力加速度
付着エネルギーは、一般的な接触角計を使用して測定及び算出することができる。このような接触角計としては、例えば、固液界面解析装置(商品名「DropMaster700」、協和界面科学製)が挙げられる。具体的には、まず、液滴サイズ15μL、最大傾斜90°、及び滑落認識設定2ドットの条件で、液滴滑落時の滑落角及び撥水面に対する着滴半径の実測値を得る。次いで、得られた滑落角及び着滴半径の実測値を用い、上記式(1)から付着エネルギーを算出することができる。そして、付着エネルギーを測定及び算出した結果、インクに樹脂を含有させると、付着エネルギーが顕著に増大することが明らかとなった。
インクに樹脂を含有させた場合に付着エネルギーが増大する理由を、本発明者らは以下のように推測している。インクジェット用の水性インクに広く使用されている樹脂としては、アクリル樹脂やウレタン樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、その分子内中に疎水性を示す部位を有する。そして、その疎水性を示す部位が撥水面の疎水部と疎水性相互作用を起こすため、付着エネルギーが増大すると考えられる。
一方、撥水面上のインクの流動性を左右する因子として、インクの粘度がある。本発明者らは、十分なレベルの耐マーカー性を有する画像を記録可能な樹脂を同量含有するが、液体成分の調整により粘度が相違する、以下に示す3種のインク(インク(1)〜(3))を調製し、吐出精度を評価した。その結果、粘度の増大に伴って吐出精度が低下することが判明した。その理由は、撥水面に対して高い付着力を有していても、インク自体が低粘度で流動性が高いと、撥水面上における液滴の動きがより滑らかになるためであると推測される。
インク(1):粘度2.0mPa・s
インク(2):粘度3.0mPa・s
インク(3):粘度4.0mPa・s
粘度を下げることで、インクの吐出精度は向上する傾向にある。しかし、最も粘度の低いインク(1)(2.0mPa・s)であっても、吐出精度は十分であるとはいえなかった。また、優れた耐マーカー性を有する画像を記録するには、樹脂をある程度多く含有させる必要がある。しかし、水溶性の高い高酸価の樹脂や、不溶化させた粒子状の樹脂を用いた場合であっても、得られるインクの粘度はある程度高くなってしまう。このため、優れた耐マーカー性を有する画像を記録すべく、ある程度の量の樹脂を含有させながらも、粘度が2.0mPa・s以下のレベルまで低粘度のインクを得ることは実質的に困難である。
以上より、樹脂を含有する水性インクの吐出精度を向上させるためには、撥水面へのインクの付着力を低下させること、及びインクを低粘度化することが重要であることがわかった。そして、本発明者らは、インクの撥水面への付着力低下と低粘度化を可能とする手段について、さらなる検討を行った。その結果、撥水面が加熱された状態が継続されていれば、上記のいずれの効果も得られることが判明した。まず、加熱した撥水面に対する樹脂を含有するインクの付着エネルギーを定量した。その結果、加熱されている撥水面に対する付着エネルギーの方が、加熱していない撥水面に対する付着エネルギーに比べて低くなることがわかった。その理由について、本発明者らは以下のように推測している。
前述の通り、樹脂と撥水面の疎水部とが疎水性相互作用を起こすことで、樹脂を含有するインクの付着エネルギーが高くなると考えられる。一般的に、疎水性相互作用には温度依存性があり、高温条件下である方が疎水性相互作用は強くなる。撥水面上に水性インクが付着すると、インク滴は撥水面との界面張力により接触面積が最小となるよう収縮する。ただし、インク中に樹脂が存在する場合、樹脂と撥水面との間に疎水性相互作用が働くため、インク滴の収縮が遅延する。しかし、加熱され続けている条件下においては、インク中の樹脂同士の疎水性相互作用のほうがより強く働く。このため、撥水面に配向する樹脂の疎水部が減少し、インクと撥水面との間の付着エネルギーが低下すると考えられる。
一方、加熱によりインクの粘度が低下することは一般的に知られている。これは、加熱によりインク中の分子の運動が活発となり、分子間力による抵抗が弱まるためである。そして、水性インク中の樹脂のほとんどは特有の粘性を有するため、樹脂を含有するインクの粘度の温度依存性は大きくなる。このため、撥水面を加熱し続けることにより、撥水面上のインク滴が大幅に低粘度化すると考えられる。
本発明者らは、さらに、ワイピング部材によりワイピングした直後にインクを吐出して記録した画像に発生する吐出精度の低下を抑制するための最適な加熱条件について検討した。その結果、ワイピング前からワイピング後にかけて、吐出口が設けられた撥水面が加熱され続けている状態であれば、上記のようなワイピング部材によるワイピングが行われた直後に発生する吐出精度の低下を顕著に抑制可能となることを見出した。
例えば、ワイピング部材によるワイピング前にのみ撥水面を加熱するのであれば、吐出精度の低下を抑制する効果はほとんど得られないことがわかった。これは、加熱によって撥水面に対するインクの付着力はある程度低下するとともに、粘度も低下していると考えられる。しかし、ワイピング後まで継続して加熱していないために、ワイピング後には、インクの付着力及び粘度を低下させるといった効果がほぼ失われるためと考えられる。
また、ワイピング部材によるワイピング後にのみ撥水面を加熱した場合にも、吐出精度の低下を抑制する効果はほとんど得られないことがわかった。ワイピング後にのみ撥水面を加熱しても、撥水面上のインクの流動性を直ちに上昇させることが困難であるとともに、記録動作が行われるまでに十分な流動性をインクに付与することが困難であるためと考えられる。
さらに、ワイピング部材を加熱した場合や、ワイピング用の液体を加熱した状態で吐出口面に供給しながらワイピングを行った場合でも、吐出精度の低下を抑制する効果は得られないことがわかった。また、これは、加熱されたワイピング部材やワイピング用の液体と、インクとの接触期間が短く、撥水面上のインクの流動性を上昇させることが困難であるためと考えられる。
以上の結果をうけ、本発明者らは、ワイピング部材によるワイピングが行われる際における撥水面の加熱工程の導入と加熱条件の最適化について検討し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明のインクジェット記録方法は、加熱手段により撥水面を加熱した後、ワイピング手段により撥水面をワイピングするとともに、撥水面のワイピング後まで撥水面を加熱し続ける加熱工程を有する。以下、本発明のインクジェット記録方法、並びに本発明のインクジェット記録方法で好適に用いるインクジェット記録装置、記録ヘッド、及びインクなどについてそれぞれ説明する。
<記録装置>
図1は、インクジェット記録装置の主要部の一例を模式的に示す斜視図である。図示のインクジェット記録装置において、キャリッジ100は無端ベルト5に固定され、かつガイドシャフト3に沿って移動可能になっている。無端ベルト5は一対のプーリ503に巻回され、一方のプーリ503にはキャリッジを駆動する主走査モータ(不図示)の駆動軸が連結されている。したがって、キャリッジ100は、モータの回転駆動に伴いガイドシャフト3に沿って、記録ヘッド1の走査方向である主走査方向に往復走査される。キャリッジ100上には、インクカートリッジ410を着脱可能に保持するとともに、記録ヘッド1を備えたヘッドカートリッジ400が搭載されている。ヘッドカートリッジにはさらに記録ヘッドを駆動するための信号などを受容するためのコネクタが設けられている。そして、電気信号にしたがって記録ヘッドに備えられた電気熱変換体を駆動することでインクの吐出や吐出口が設けられた吐出口面(撥水面)の加熱が可能な構成になっている。
図2は、図1に示すインクジェット記録装置のキャリッジに搭載可能なヘッドカートリッジの一例を示す斜視図である。図2に示すヘッドカートリッジ400は、インクを収容するとともに、記録ヘッド1にインクを供給するインクカートリッジ410とで構成される。記録ヘッド1(図3)は、ヘッドカートリッジ400の底面に位置する。また、ヘッドカートリッジ400は、記録ヘッド1にインク種ごとに設けられた吐出口列が記録媒体6(図1)と対向し、かつ配列方向が主走査方向と直交する方向(記録媒体6の搬送方向である副走査方向)に一致するようにキャリッジ100に搭載される。吐出口列及びインクカートリッジ410の組は、使用するインク種に対応した個数を設けることができる。図1及び2に示す例では、6色(例えばブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、淡シアン、及び淡マゼンタ)に対応して6組設けられている。
記録媒体6は、キャリッジ100の走査方向と直交する方向に間欠的に搬送される(図1)。また、記録媒体6は、搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ設けた一対のローラユニット(不図示)により支持され、一定の張力を付与されて吐出口に対する平坦性を確保した状態で搬送される。そして、キャリッジ100の移動に伴う記録ヘッド1の吐出口の配列幅に対応した幅の記録と、記録媒体6の搬送とを交互に繰り返しながら、記録媒体6全体に対する記録が行われる。また、図1に示す装置には、キャリッジの主走査方向における位置を検出するなどのためにリニアエンコーダ4が設けられている。
キャリッジ100は、記録開始時を含む非記録時には、メンテナンス機構7に対向する位置であるホームポジションに位置する(図1)。また、記録中にも必要に応じて、ホームポジションに移動する。ホームポジション付近には、キャップユニット(不図示)や、後述するクリーニング装置(図3)を含むメンテナンス機構7が設置されている。キャップユニットは昇降可能に支持されており、上昇位置では、記録ヘッド1の吐出口面をキャッピングし、非記録時などにおいてその保護を行う、又は吸引回復を行うことが可能である。記録動作時には記録ヘッド1との干渉を避ける下降位置に設定され、また吐出口面との対向によって予備吐出を受けることが可能である。
図3は、クリーニング装置の一例を模式的に示す側面図である。なお、簡単のために、ヘッドカートリッジについては、記録ヘッド1の部分のみを示す。図3に示すように、ゴムなどの弾性部材で形成されるワイパ9は、ワイパホルダ10に固定されている。また、ワイパホルダ10は図3の左右方向、すなわち記録ヘッド1の走査方向と直交する方向に移動可能である。ワイパ9は、記録ヘッド1の吐出口が設けられた吐出口面11との摺接時に、屈曲して側部や腹部が摺接するようになっている。なお、ワイピングの精度を高めるために、複数枚のワイパ9を設けても構わない。また、吐出口面11に対するワイパ9の侵入量についても制限はない。クリーニング動作にあたっては、記録ヘッド1をホームポジションに移動させた後、ワイパホルダ10を矢印方向に移動させる。この移動の過程で、ワイパ9が吐出口面11に摺接し、ワイピングが行われることになる。ワイピング速度はワイパホルダ10の移動速度と連動し、実用的な範囲であれば効果の発現が可能である。具体的には20mm/秒以上300mm/秒以下の範囲が好ましい。
<記録ヘッド部>
図4は、図2に示すヘッドカートリッジの一部を分解して示す斜視図である。図2に示すヘッドカートリッジ400の記録ヘッド部は、図4に示すように、記録素子基板420、第1のプレート430、電気配線基板440、第2のプレート450、カートリッジホルダ461及び流路形成部材470から構成されている。各インクの吐出口列を有する記録素子基板420は、酸化アルミニウム(Al23)などの放熱性を有する材料で形成される第1のプレート430上に接着固定されている。また、第1のプレート430には、記録素子基板420にインクを供給するためのインク供給口431が形成されるとともに、開口部を有する第2のプレート450が接着固定されている。この第2のプレート450は、記録素子基板420の吐出口面とインクを吐出するための電気信号を印加する電気配線基板440の表面の高さを合わせるために設けられる。第2のプレート450上には、電気配線基板440と記録素子基板420とが電気的に接続されるように接着固定されている。一方、インクカートリッジ410を脱着可能に保持するカートリッジホルダ461の下部には流路形成部材470が超音波溶着され、インクカートリッジ410から第1のプレート430にわたるインク流路(不図示)を形成している。
図5は、図4に示す記録素子基板の吐出口付近の構造を部分的に破断して示す斜視図である。図5において、421はインクを吐出するために利用されるエネルギーとして、通電に応じインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギーを発生する第1の電気熱変換体(ヒータ)である。また、電気熱変換体421が実装される基材423上には、記録素子基板440の温度を検出する温度センサ428と、検出温度に応じて記録ヘッドやインクを保温するための加熱を行う第2の電気熱変換体429(サブヒータ)と、が設けられる。422は吐出口、424はインク供給口、426は流路壁である。425はインクを吐出するためのヒータ(第1の電気熱変換体421)に対向した状態で吐出口426が形成された吐出口プレートであり、樹脂などで形成される被膜層427を介して基材423上に配設される。また、吐出口プレート425の表面(記録媒体と対向する吐出口面)は撥水処理されて撥水面となっている。なお、記録装置が設置された環境温度(外気温)を検出し、その温度に応じて保温を含む加熱の温度条件を設定する構成としてもよい。また、ピエゾ方式など、インクの吐出に熱エネルギーを利用しない場合であっても、第2の電気熱変換体429に相当するヒータを設ければ、撥水面の加熱を行うことができる。
吐出口が設けられた吐出口面を撥水処理して、撥水面を形成するための方法については、撥水性材料をスプレーで塗布する方法や、真空蒸着やプラズマ重合により撥水性材料を付着させるという方法などを選択することができる。撥水面は、撥水性材料からなる一様な膜として形成されていることが好ましい。また、形成された撥水面の撥水性は、その部材表面における水滴の接触角を測定することにより特定することができる。水の接触角が70度以上である場合は、撥水性を有すると言うことができ、水の接触角が90度以上である場合が好ましい。なお、水との接触角は、純水(イオン交換水)を用い、一般的な接触角計を使用して測定することができる。このような接触角計としては、例えば、自動接触角測定機(商品名「CA−W」、協和界面科学製)が挙げられる。
撥水性材料としては、例えば、フッ素樹脂系の化合物が好ましく用いられる。特に、フッ素樹脂系の化合物からなる一様な樹脂膜として撥水面が形成されていることが好ましく、この樹脂膜にはニッケルなどの金属が含まれないことが好ましい。フッ素樹脂系化合物は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、環状構造を有するフッ素樹脂、などが挙げられる。具体的には、商品名「ポリフロンPTFE」(ダイキン工業製)や、商品名「テフロン(登録商標)PTFE」(デュポン製)、商品名「サイトップ」(旭硝子製)などを挙げることができる。さらには、その他のフッ素原子を含有する樹脂、例えば、フッ素化エポキシ樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、フッ素化ポリアミド樹脂、フッ素化アクリル樹脂、フッ素化ウレタン樹脂、フッ素化シロキサン樹脂及びそれらの変性樹脂なども用いることができる。また、撥水性材料として、珪素原子を含む化合物やシリコーン系樹脂を用いてもよい。なかでも、高度な撥水性と耐久性が得られることから、撥水性材料として、フルオロアルキル基を有する加水分解性シラン化合物、及び、カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物の縮合物を用いることが好ましい。また、この縮合物を、紫外線などの活性エネルギー線の照射により硬化させた樹脂を用いてもよい。これらの加水分解性シラン化合物は、その分子構造中に加水分解性基を有する。加水分解性基としてはアルコキシ基を挙げることができる。また、カチオン重合性基としては環状エーテル基、環状ビニルエーテル基などを挙げることができる。
図5に示す例においては、電気熱変換体421と吐出口422の列がそれぞれ2列配置されている。そして、各列間の電気熱変換体421と吐出口422同士は、配列方向(副走査方向)に配列ピッチの1/2だけずれて配置されている。ここで、1列あたり128個の電気熱変換体421と吐出口422が600dpiの密度でそれぞれ配列されることで、1種のインクあたり1200dpiの解像度を実現している。そして、上記6種のインクに対応した記録素子基板構成が、第1のプレート430(図4)上に配置される。
<制御構成>
図6は、図1に示したインクジェット記録装置の制御構成の一例を示すブロック図である。コントローラ800は主制御部であり、図7〜9に示す手順を実行する。コントローラ800は、例えばマイクロコンピュータ形態のCPU801、その手順に対応したプログラムやその他の固定データを格納したROM803、及び画像データを展開する領域や作業用の領域などを設けたRAM805を有する。さらに、コントローラ800は、所定の条件下で回復動作を行うために利用されるタイマ807及びカウンタ809を有している。ホスト装置810は、画像データの供給源であり、記録に関わる画像データの生成、処理などを行うコンピュータであっても、画像読み取り用のリーダ部などであってもよい。画像データ、その他のコマンド、ステータス信号などは、インタフェース(I/F)812を介してコントローラ800と送受信される。
操作部820は、電源スイッチ822、記録やコピーの開始を指示するためのコピースイッチ824、及び回復動作の起動を指示するための回復スイッチ826など、操作者による指示入力を受容するスイッチで構成される。センサ群830は、ホームポジションなどの記録ヘッド1の位置を検出するためのキャリッジ位置センサ832、及び吸引ポンプ位置を検出するためのポンプ位置センサ834など、記録装置の状態を検出するためのセンサ群で構成される。ヘッドドライバ840は、インクを吐出するためのヒータである第1の電気熱変換体(ヒータ)421、及び記録ヘッドやインクを加熱(保温を含む)するための第2の電気熱変換体(サブヒータ)429を駆動する。主走査モータ850は、記録ヘッド1を主走査方向に移動させるためのモータであり、これを駆動するのがモータドライバ852である。副走査モータ860は、記録媒体6を副走査方向に搬送するためのモータであり、これを駆動するのがモータドライバ854である。
<記録方法>
次に、撥水面を加熱する手順について説明する。図7は、本発明のインクジェット記録装置による記録手順の一例を示す概略図である。ステップS1にて記録指令(記録データ)が検知された場合、必要に応じて、後述するステップS3(図8)の回復動作が実行される。回復動作が不要と判定された場合は、ステップS5にて予備吐出が実行される。この予備吐出は、吐出口近傍に存在する増粘したインクや異物などを排出するために行われるものであり、記録動作前に各吐出口よりインクを吐出させる。予備吐出としてのインクの吐出は、記録データとは関係なく、予備吐出データに基づいて行われる。ステップS5の予備吐出が実行された後、直ちにステップS7の記録動作が開始される。記録動作が終了した後にも、必要に応じて、後述するステップS9の回復動作が実行される場合がある。
次に、上述のステップS3及びステップS9の回復動作について説明する。図8は、回復動作手順の一例を示す概略図である。まず、ステップS21及びステップS27にて、吸引やワイピングが必要か否かを判定する。そして、ステップS21の吸引は、以下の場合に実行される。吸引が実行されない状態が長時間続いた場合、記録ヘッドのインク流路内のインクは増粘する。また、記録ヘッドのインク流路内において気泡が発生し、インクを正常に吐出できなくなることがある。このような事態を予防するために、所定の条件下で吸引が実行される。この場合、記録装置に備えたタイマなどを用いて最終吸引動作からの経過時間が測定され、閾値以上となった場合に吸引を行うよう制御される。また、吸引が実行されない状態で長時間記録した場合、記録ヘッドのインク流路内や吐出口近傍に徐々に気泡が付着していき、インクを正常に吐出できなくなることがある。このような事態を予防するために、所定の条件下で吸引が実行される。この場合、記録装置に備えたカウンタ(吸引用カウンタ)などを用いて最終吸引動作時からの累積の吐出数が計測され、閾値以上となった場合に吸引を行うよう制御される。
一方、ステップS27のワイピングは、以下の場合に実行される。ワイピングが実行されない状態で長時間記録した場合、吐出口近傍にインク滴が多量に付着し、インクを正常に吐出できなくなることがある。このような事態を予防するために、所定の条件下でワイピングが実行される。この場合、記録装置に備えたカウンタ(ワイピング用カウンタ)などを用いて最終ワイピング動作時からの累積の吐出数が計測され、閾値以上となった場合にカウンタワイピングとしてのワイピングを行うよう制御される。
ステップS21にて吸引が必要と判定されれば、ステップS23の吸引へと移行する。吸引は、記録装置に備えたキャップユニットと記録ヘッドの吐出口面とを当接させ、キャップユニットに連結したポンプユニットにより負圧を生じさせることにより実行される。なお、吸引圧や吸引保持時間などは、吐出口数やインクの粘度などに応じて最適化された所定の条件に設定される。吸引終了後、又はステップS27のワイピングが必要と判定されれば、ステップS25の加熱保持ワイピングが実行される。
図9は、加熱保持ワイピング手順の一例を示す概略図である。まず、ワイピングに先立って、ステップS29にて吐出口が設けられた撥水面の温度上昇のための加熱が行われる。加熱手段には特に制限はないが、撥水面に効率良く熱を伝えられることから、記録ヘッドに備えられた、インクを吐出するためのヒータや、それとは別に設けたサブヒータなどの電気熱変換体を用いることが好ましい。電気熱変換体を加熱手段として用いる場合には、吐出口からインクが吐出されない程度に電気熱変換体を駆動させることが好適である。その理由は、インクが吐出されると撥水面上にインクが付着する機会が増えてしまい、ワイピングによるインクの除去性が低下するため、及び撥水面上におけるインクの流動性向上が妨げられやすくなるためである。
温度上昇が生じる程度の加熱を継続したまま撥水面をワイピングした場合であっても、本発明の効果を十分に得ることができる。ただし、撥水面の温度が上昇しすぎると、その温度によっては、吐出口からインク中の液体成分が蒸発しやすくなって、吐出口近傍でインクが固着するなど、正常な吐出が妨げられることがある。このため、ステップS31により適度な温度となった時点で温度上昇のための加熱を終了し、ステップS33にて撥水面を適度な温度に保つ保温のための加熱を継続することが好ましい。保温のための加熱手段には特に制限はないが、撥水面に効率良く熱を伝えられる利点から、記録ヘッドに備えられた、インクを吐出するためのヒータや、それとは別に設けたサブヒータなどの電気熱変換体を用いることが好ましい。電気熱変換体を保温のための加熱手段として用いる場合には、吐出口からインクが吐出されない程度に電気熱変換体を駆動させることが好適である。撥水面の加熱(保温を含む)の温度は環境温度(25℃)より高くすればよいが、30℃以上70℃以下であることが好ましく、40℃以上60℃以下であることがさらに好ましく、45℃以上55℃以下であることが特に好ましい。
上述の通り、本発明のインクジェット記録方法では、撥水面を加熱した後、ワイパなどにより撥水面をワイピングするとともに、ワイピング後まで撥水面を加熱することを要する。ただし、図9に示す例においては、ステップS29の温度上昇のための加熱及びステップS33の保温のための加熱の両方が、撥水面を加熱する操作に含まれる。次に、上述の撥水面の保温のための加熱を継続した状態で、ワイパなどにより撥水面をワイピングする。ワイパで撥水面をワイピングする場合、ワイパの移動方向は、往方向及び復方向のいずれか一方であってもよく、両方向であってもよい。
ステップS35にて撥水面がワイピングされた後、ステップS37によりワイパが設置されたワイパホルダが待機位置に戻る。その後、ステップS39にて保温のための加熱を終了する。なお、吐出口近傍に異物が生じた場合に備えて、ステップS41の予備吐出を実行した後、加熱保持ワイピングを終了してもよい。ステップS39の保温のための加熱の終了が、ステップS35のワイピング往路における撥水面のワイピング直後に導入された場合であっても、本発明の効果を十分に得ることができる。ただし、インクを吐出するまでの間、加熱手段により撥水面を加熱した方が、撥水面上でインク滴が安定な円形状の液滴を形成するまでの時間を短縮できる。このため、ステップS39の保温のための加熱の終了は、ステップS41の予備吐出の前に実行されることが好ましい。一方、図7に示す例において、記録ヘッドの吐出が正常に行われないような不測の事態が生じ、操作者によりステップS11にて回復スイッチが必要と判定された場合にも、前述の回復動作(ステップS13)が実行される。
また、長時間にわたって、記録動作や回復動作が実施されない場合、ステップS15により、記録装置に備えられたキャップユニットによって記録ヘッドの吐出口面をキャッピングすることが好ましい。これにより、インク流路や吐出口近傍へのインクの固着や異物の付着を抑制することができる。なお、キヤップユニットによって吐出口面をキャッピングする場合、ステップS19のキャップクローズに先立って、ステップS17の加熱保持ワイピングを実行して、吐出口近傍に多分に付着したインク滴を除去しておくことが好ましい。
本発明においては、高いレベルの効果が得られるため、加熱保持ワイピングを、吸引を行った後、カウンタワイピング、及び、キャップクローズ前のいずれかのタイミング、また、これらの全てのタイミングで実行することが好ましい。
<水性インク>
本発明のインクジェット記録方法では、水性インクを記録ヘッドの吐出口から吐出して記録媒体に画像を記録する。水性インクには、樹脂が含有される。樹脂を含有する水性インクを用いることで、耐マーカー性を有する画像を記録することができる。以下、水性インクに含有される樹脂、及び任意に配合される成分について説明する。
(樹脂)
樹脂としては、インクジェット用インクに一般的に配合される天然若しくは合成高分子、又は新規に開発された合成高分子など、いかなる樹脂であっても制限なく使用することができる。特に、十分な耐マーカー性を有する画像を記録すべく、記録媒体上に残り、ある程度の強度を有する膜を形成することができる樹脂が好ましく、なかでもアニオン性基を有する樹脂がより好ましい。
水性インク中における樹脂の状態は、水性媒体に溶解した状態であってもよく、水性媒体中に樹脂粒子として分散した状態であってもよい。撥水面に対するインクの接触角が高くなるとともに、撥水面上でのインク濡れ広がりによる吐出精度の低下が起こりにくいため、アニオン性基を有する水溶性樹脂を用いることが好ましい。なお、本発明において樹脂が水溶性であることとは、該樹脂を酸価と当量のアルカリで中和した場合に、粒径を測定しうる粒子を形成しないものであることとする。なかでも、酸価が40mgKOH/g以上の樹脂を用いることが好ましい。また、水溶性樹脂中のアニオン性基は、塩を形成していてもよい。塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のカチオン;アンモニウムイオン(NH4 +);ジメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アンモニウムのカチオンなどを挙げることができる。なお、樹脂の酸価の上限については特に限定されないが、300mgKOH/g以下であればよい。アクリル樹脂を用いる場合は、酸価が250mgKOH/g以下であることが好ましく、240mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。また、ウレタン樹脂を用いる場合は、酸価が200mgKOH/g以下であることが好ましく、160mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。
使用できる樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、多糖類、ポリペプチド類などを挙げることができる。なかでも、インクに吐出安定性及び保存安定性を付与できることから、アクリル樹脂及びウレタン樹脂が好ましい。また、より優れた耐マーカー性を有する画像を記録することができるため、ウレタン樹脂が特に好ましい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を意味する。
[アクリル樹脂]
アクリル樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを有する共重合体を用いることが好ましい。
重合により親水性ユニットとなるモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などのカルボン酸基を有する酸モノマー;スチレンスルホン酸、スルホン酸−2−プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミドスルホン酸などのスルホン酸基を有する酸モノマー;(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸エチル、アクリル酸−2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有する酸モノマー;これらの酸モノマーの無水物や塩などを挙げることができる。なお、酸モノマーの塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のカチオン;アンモニウムイオン(NH4 +);ジメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アンモニウムのカチオンなどを挙げることができる。本発明においては、(メタ)アクリル酸に由来する親水性ユニットを有する水溶性樹脂を用いることが好ましい。
また、重合により疎水性ユニットとなるモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの芳香環を有するモノマーなどを挙げることができる。本発明においては、脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルや、芳香環を有するモノマーに由来する疎水性ユニットを有する水溶性樹脂を用いることが好ましい。
[ウレタン樹脂]
ウレタン樹脂としては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートを反応させて得られるものを好適に用いることができる。これらに加えて、鎖延長剤や架橋剤となる成分をさらに反応させたものであってもよい。
ポリオールとしては、アニオン性基含有ジオールなどの短鎖ポリオール;ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの長鎖ポリオールなどを挙げることができる。短鎖ポリオールはウレタン樹脂のハードセグメントとなり、なかでもアニオン性基含有ジオールに由来するユニットは、ウレタン樹脂の酸価を調整するために好適に使用することができる。また、長鎖ポリオールはウレタン樹脂のソフトセグメントとなるため、ウレタン樹脂の柔軟性を高め、画像の耐マーカー性を向上するために好適に使用することができる。
アニオン性基を有するジオールとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などの酸基含有するジオールを挙げることができる。なかでも、アニオン性基を有するジオールとしては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸などのカルボン酸基を有するジオールが好ましい。さらには、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が好ましい。
長鎖ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖のポリオールは、アニオン性基をさらに有していてもよい。本発明においては、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂を用いることが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、酸エステルを挙げることができる。酸エステルを構成する酸成分(アニオン性成分)としては、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;前記芳香族ジカルボン酸の水素添加物などの脂環族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。また、これらのアニオン性成分の無水物、誘導体(アルキルエステル、及び酸ハライド)などもアニオン性成分として用いることができる。
また、アニオン性成分とエステルを形成する成分としては、(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類;ジオール、トリオールなどの多価アルコール類;などが挙げられる。(ポリ)アルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(1,2−ブチレングリコール)、ポリ(1,3−ブチレングリコール)、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体などを挙げることができる。ジオールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタンなどを挙げることができる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどを挙げることができる。これらのポリエステルポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、アルキレンオキサイド及び多価アルコール類の付加重合物;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類などを挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどを挙げることができる。多価アルコール類やグリコール類としては、上記のポリエステルポリオールを構成する成分として例示したものが挙げられる。これらのポリエーテルポリオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、公知の方法で製造されるポリカーボネートポリオールを用いることができる。具体的には、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどのアルカンジオール系ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。また、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートなどのカーボネート成分やホスゲンと、脂肪族ジオール成分と、を反応させて得られるポリカーボネートジオールを挙げることができる。これらのポリカーボネートジオールは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また、ウレタン樹脂のハードセグメントを形成し、疎水性ユニットとなるポリイソシアネートとしては、脂肪族、及び芳香族のポリイソシアネートなどを挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有するポリイソシアネートを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
ウレタン樹脂には、鎖延長剤や架橋剤が用いられていてもよい。通常、架橋剤はプレポリマーの合成の際に用いられ、鎖延長剤はプレポリマーの合成後に鎖延長反応を行う際に用いられる。基本的には、鎖延長剤や架橋剤としては、鎖延長や架橋など所望の用途に応じて、上記で挙げたものを含めた、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどから適宜に選択して用いることができる。鎖延長剤として、ウレタン樹脂を架橋させることができるものを用いることもできる。
鎖延長剤は、ウレタンプレポリマーのポリイソシアネートユニット中のウレタン結合を形成しなかった残存イソシアネート基と反応する化合物である。上記で挙げたもの以外で、好適に用いることができる鎖延長剤としては、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ジメチロールウレア及びその誘導体、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの多価アミン化合物、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンなどを挙げることができる。これらの鎖延長剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また、ウレタン樹脂を架橋構造とするために、3官能以上の鎖延長剤を用いることができる。ウレタン樹脂を架橋構造にすることができる鎖延長剤としては、上記で挙げたもの以外に、トリメチロールメラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどを挙げることができる。なかでも、イソシアネート基との反応性に優れていることから3官能以上のポリアミンを用いることが好ましい。3官能以上のポリアミンのなかでも、特にジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンを用いることが好ましい。ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンは、それぞれアミノ基が3つ又は4つであるため、効率良く残存イソシアネート基と反応して架橋構造を形成しうるとともに、適度に柔軟な分子構造を有するためである。
水性インクに含有させる樹脂としてウレタン樹脂を用いる場合において、ウレタン樹脂における、ウレタン結合の占める割合(モル%)が、ウレア結合の占める割合(モル%)に対するモル比率で、85.0/15.0以上であることが好ましい。このようなウレタン樹脂を用いることで、撥水面に対する水性インクの付着性をより低減することができる。また、ウレタン樹脂における、ウレタン結合の占める割合(モル%)が、ウレア結合の占める割合(モル%)に対するモル比率で、100.0/0.0以下であることが好ましい。
本発明における、ウレタン結合/ウレア結合のモル比率とは、ウレタン樹脂における、ウレタン結合の占める割合(モル%)及びウレア結合が占める割合(モル%)の合計を100.0モル%として、これらの割合を分数の形式で表すものである。そして、上記モル比率が85.0/15.0以上であることとは、ウレタン結合が占める割合が85.0モル%以上であることを意味する。したがって、ウレア結合が占める割合は15.0モル%以下(合計の100.0モル%から、ウレタン結合の85.0モル%を引いた値以下)となる。なお、本明細書においては、「ウレタン樹脂における、ウレタン結合が占める割合(モル%)の、ウレア結合が占める割合(モル%)に対するモル比率」を、簡単のために「ウレタン結合/ウレア結合のモル比率」と記載することがある。
(樹脂の検証方法)
水性インク中の樹脂の酸価は、以下に示す方法にしたがって測定することができる。まず、水性インクを80000rpmで遠心分離し、固形分を除去して上澄み液を得る。得られた上澄み液に塩酸(HCl)などを添加して樹脂を析出させ、得られた樹脂を乾燥させて樹脂の乾燥物を得る。または、上記の遠心分離によって得た沈殿物から溶媒抽出により樹脂を分離し、得られた樹脂を乾燥させて樹脂の乾燥物を得る。得られた樹脂の乾燥物をテトラヒドロフランに溶解し、水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた電位差滴定により、酸価を測定することができる。
また、ウレタン樹脂におけるウレタン結合/ウレア結合のモル比率は、以下に示す方法にしたがって測定することができる。
まず、水性インクを80000rpmで遠心分離し、固形分を除去して上澄み液を得る。得られた上澄み液に塩酸(HCl)などを添加して樹脂を析出させ、得られた樹脂を乾燥させて樹脂の乾燥物を得る。または、上記の遠心分離によって得た沈殿物から溶媒抽出により樹脂を分離し、得られた樹脂を乾燥させて樹脂の乾燥物を得る。熱分解ガスクロマトグラフィーによって、得られた樹脂の乾燥物を構成する成分(ポリイソシアネート、ポリオール、及び酸基含有ジオールなど)の種類を特定する。次に、特定したポリイソシアネートと酸基含有ジオールの反応物、及びポリイソシアネートとポリオールの反応物をそれぞれ調製する。調製した反応物をそれぞれ重水素化ジメチルスルホキシドに溶解してカーボン核磁気共鳴法(13C−NMR)により分析し、ウレタン結合に由来する化学シフトをそれぞれ確認する。また、ポリイソシアネートと水の反応物を調製して乾燥させたものについて、同様に13C−NMRを測定し、ウレア結合に由来する化学シフトを確認する。さらに、得られた樹脂の乾燥物についても同様に13C−NMRを測定する。そして、ウレタン結合に由来するピークの積算値と、ウレア結合に由来するピークの積算値から、ウレタン結合/ウレア結合のモル比率を求めることができる。
水性インク中の樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上5.0質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。2種以上の樹脂を用いる場合には、少なくともウレタン樹脂及びアクリル樹脂を併用することが好ましい。この場合、インク全質量を基準とした、ウレタン樹脂の含有量が、アクリル樹脂の含有量に対する質量比率で、0.1倍以上1.0倍以下であることが好ましく、0.3倍以上0.8倍以下であることがさらに好ましい。勿論、併用することができる樹脂の組み合わせは上記に制限されるものではない。例えば、組成の異なる複数種のアクリル樹脂を用いてもよく、組成の異なる複数種のウレタン樹脂を用いてもよい。
(色材)
水性インクは、色材を含有しないクリアインクであってもよい。例えば、色材を含有する水性インクにより画像を記録した後に、該画像を含む領域に色材を含有しない水性インクを付与することによって、より優れた耐マーカー性を有する画像を記録することができる。水性インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
水性インクが色材を含有するインクである場合には、色材として顔料や染料を用いることができる。なかでも、顔料を用いることが、高光学濃度、耐水性、及び耐候性を有する画像を記録することができるために好ましい。顔料の分散方式は特に限定されない。例えば、樹脂分散剤により分散させた樹脂分散顔料、界面活性剤により分散させた顔料、及び顔料の粒子表面の少なくとも一部を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを用いることができる。また、顔料の粒子表面にアニオン性基などの親水性基を含む官能基を結合させた自己分散顔料や、顔料の粒子表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させた顔料(樹脂結合型の自己分散顔料)などを用いることもできる。勿論、分散方式の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。
なかでも、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基などのアニオン性基が、直接又は他の原子団(−R−)を介して顔料の粒子表面に結合している自己分散顔料を用いることが特に好ましい。アニオン性基は、酸型及び塩型のいずれであってもよく、塩型である場合は、その一部が解離した状態及び全てが解離した状態のいずれであってもよい。アニオン性基が塩型である場合のカウンターイオンとなるカチオンとしては、アルカリ金属カチオン;アンモニウム;有機アンモニウム;などを挙げることができる。アルカリ金属カチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができる。有機アンモニウムとしては、炭素数1以上3以下のアルキルアミン類;炭素数1以上4以下のアルカノールアミン類などのカチオンを挙げることができる。また、他の原子団(−R−)の具体例としては、炭素原子数1乃至12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基やナフチレン基などのアリーレン基、アミド基、スルホニル基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基などを挙げることができる。また、これらの基を組み合わせた基としてもよい。
自己分散顔料の官能基導入量は0.05mmol/g以上1.00mmol/g以下であることが好ましく、0.05mmol/g以上0.50mmol/g以下であることがさらに好ましい。なお、官能基導入量の単位は、いずれも、顔料固形分1g当たりの官能基のミリモル数である。自己分散顔料の官能基導入量は、以下に示すように測定することができる。まず、自己分散顔料の表面電荷量をコロイド滴定などにより測定する。また、自己分散顔料の官能基の構造はNMRなどにより分析を行い、1の官能基に含まれるアニオン性基の数nを求める。そして、先に得られた表面電荷量と1の官能基に含まれるアニオン性基の数nから、表面電荷量/nの式に基づいて官能基導入量を算出する。なお、一般的に用いられる水性インクのpH域では、ホスホン酸基の解離数は「1」である。
水性インクに色材として用いることができる顔料の種類は特に限定されない。顔料の具体例としては、カーボンブラックなどの無機顔料;アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン、ジケトピロロピロール、ジオキサジンなどの有機顔料を挙げることができる。これらの顔料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
また、色材として染料を用いると、高発色性を有する画像を記録することができる。水性インクに色材として用いることができる染料の種類は特に限定されない。染料としてはアニオン性染料を用いることが好ましく、染料骨格の具体例としては、アゾ、トリフェニルメタン、フタロシアニン、アザフタロシアニン、キサンテン、アントラピリドンなどを挙げることができる。
(水性媒体)
水性インクには、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を含有させることができる。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。水性インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水性インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上を含有させることができる。
(その他の成分)
水性インクには、上記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。水性インク中の水溶性有機化合物の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、必要に応じて所望の物性値を有する水性インクとするために、消泡剤、界面活性剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(インクの物性)
水性インクの25℃における粘度は2.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、2.0mPa・s以上4.0mPa・s以下であることがさらに好ましい。水性インクの25℃におけるpHは、5.0以上9.5以下であることが好ましく、7.0以上9.0以下であることがさらに好ましい。水性インクの25℃における静的表面張力は、25.0mN/m以上45.0mN/m以下であることが好ましく、30.0mN/m以上40.0mN/m以下であることがさらに好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<ウレタン樹脂の合成>
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び還流管を備えた四つ口フラスコに、表1−1に示す使用量のポリイソシアネート、ポリオール、及び酸基含有ジオールを仕込んだ。さらに、メチルエチルケトン300.0部を仕込み、窒素ガス雰囲気下、80℃で6時間反応させた。その後、鎖延長剤を添加し、イソシアネート基が所望の残存率になるまで80℃で反応させた。なお、イソシアネート基の残存率は、FT−IRにより分析して算出した。反応後、40℃まで冷却してイオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌しながら、水酸化カリウム水溶液を添加した。加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去して、ウレタン樹脂(樹脂1〜21)を含む液体(樹脂(固形分)の含有量:20.0%)を得た。
水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた電位差滴定により、得られたウレタン樹脂の酸価を測定した。結果を表1−2に示す。また、ウレタン樹脂を含む液体に過剰の塩酸を添加して析出させたウレタン樹脂を乾燥させた後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させた。そして、カーボン核磁気共鳴法(13C−NMR)による核磁気共鳴装置(商品名「Avance500」、BRUKER Bio Spin製)により、ウレタン結合及びウレア結合の化学シフトのピーク積算値を求めた。求めたこれらのピーク積算値の比率から、得られたウレタン樹脂の「ウレタン結合/ウレア結合のモル比率」を測定した。結果を表1−2に示す。
なお、本実施例において「ウレタン結合/ウレア結合のモル比率」を調整した方法について以下に説明する。ポリイソシアネート中のイソシアネート基は、ポリオール及び酸基含有ジオール中のヒドロキシ基との反応が進行することにより徐々に減少する。反応の進行に伴うイソシアネート基の残存率を随時確認し、任意の残存率に達したところでイオン交換水を添加し、残存イソシアネート基と水を反応させてウレア基を生成させることによって、「ウレタン結合/ウレア結合のモル比率」を調整した。例えば、「ウレタン結合/ウレア結合のモル比率」が95.0/5.0のウレタン樹脂を合成する場合には、仕込んだポリイソシアネートに由来するイソシアネート基の反応率が95.0%(残存率が5.0%)になった時点で、イオン交換水を添加した。
Figure 2016020082
Figure 2016020082
なお、表1−1中の略号の意味を以下に示す。
IPDI:イソホロンジイソシアネート
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
H12MDI:ジシクロヘキシルメタンー4,4’−ジイソシアネート
PPG:ポリプロピレングリコール(数平均分子量2,000)
PEG:ポリエチレングリコール(数平均分子量2,000)
PTMG:ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2,000)
PES:ポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)
PC:ポリカーボネートポリオール(数平均分子量2,000)
DMPA:ジメチロールプロピオン酸
DMBA:ジメチロールブタン酸
EDA:エチレンジアミン
DETA:ジエチレントリアミン
TETA:トリエチレンテトラミン
<アクリル樹脂の合成>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル200.0部を添加し、窒素ガスを導入して撹拌しながら130℃に昇温させた。表2に示す種類及び使用量のモノマーと、重合開始剤(t−ブチルパーオキサイド)4.0部を3時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間エージングし、エチレングリコールモノブチルエーテルを減圧下で除去して固形の樹脂を得た。得られた樹脂を、その酸価と当量の水酸化カリウム及びイオン交換水を加えて80℃で中和溶解させることで、アクリル樹脂(樹脂A〜G)を含む液体(樹脂(固形分)の含有量:20.0%)を得た。得られたアクリル樹脂の酸価を表2に示す。
Figure 2016020082
なお、表2中の略号の意味を以下に示す。
St:スチレン
α−MSt:α−メチルスチレン
BA:アクリル酸ブチル
BzMA:メタクリル酸ベンジル
MMA:メタクリル酸メチル
AA:アクリル酸
<色材を含む液体の調製>
(官能基導入量の測定)
顔料分散液中の自己分散顔料の官能基導入量は、官能基に含まれるアニオン性基に由来する表面電荷量を利用して、以下に示す手順にしたがって測定した。具体的には、流動電位滴定ユニット(PCD−500)を搭載した電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を用い、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた電位差滴定により測定した。
ホスホン酸基に由来する表面電荷量は、以下のようにして測定した。測定対象となる顔料の含有量が0.03%程度になるように顔料分散液を純水で希釈してA液を調製した。また、5℃、80,000rpm、15時間の条件で顔料分散液を超遠心分離し、自己分散顔料が除去された上澄みの液体を採取し、これを純水で80倍程度に希釈してB液を調製した。上記のようにして得た測定用試料のA液及びB液について、ICP発光分光分析装置(商品名「SPS5100」、SIIナノテクノロジー製)を用いてリンを定量した。そして、得られたA液及びB液におけるリン量の差分からホスホン酸基の量を求めた。ここで、表面電荷量の測定結果とホスホン酸基の対応から、ホスホン酸基1に対して表面電荷量は1であることが確認された。そこで、ホスホン酸基に由来する表面電荷量を、ホスホン酸基を含む官能基の導入量とした。(なお、調製した顔料分散液中のホスホン酸基の解離数は「1」である。)
また、スルホン酸基に由来する表面電荷量は、リンに代えて硫黄とした以外はホスホン酸基の場合と同様にして求めた。表面電荷量の測定結果とスルホン酸基の対応から、スルホン酸基1に対して表面電荷量は1であることが確認された。そこで、スルホン酸基に由来する表面電荷量を、スルホン酸基を含む官能基の導入量とした。
カルボン酸基に由来する表面電荷量は、ICP発光分光分析装置により測定することができない。このため、上記で測定したアニオン性基に由来する表面電荷量を、1の官能基に含まれるカルボン酸基の数で除した値を、カルボン酸基を含む官能基の導入量とした。
(顔料分散液1)
顔料20.0g、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩5.3mmol、硝酸15.1mmol、及び純水200.0mLを混合した。顔料としては、カーボンブラック(商品名「ブラックパールズ880」、キャボット製)を用いた。そして、シルヴァーソン混合機を用いて、室温にて6,000rpmで混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた15.1mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。亜硝酸ナトリウムを添加することによって混合物の温度は60℃に達した。この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。30分後、純水20.0mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションした。イオン交換水を用いて顔料の含有量を調整して、顔料分散液1を得た。顔料分散液1には、カウンターイオンがナトリウムである((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。官能基導入量は0.34mmol/gであった。
(顔料分散液2)
顔料7.0g、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩14.0mmol、硝酸40.0mmol、及び純水200.0mLを混合した。顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3を用いた。そして、シルヴァーソン混合機を用いて、室温にて6,000rpmで混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた40.0mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。亜硝酸ナトリウムを添加することによって混合物の温度は60℃に達した。この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。30分後、純水20.0mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションした。イオン交換水を用いて顔料の含有量を調整して、顔料分散液2を得た。顔料分散液2には、カウンターイオンがナトリウムである((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。官能基導入量は0.34mmol/gであった。
(顔料分散液3)
顔料7.0g、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩14.0mmol、硝酸40.0mmol、及び純水200.0mLを混合した。顔料としては、C.I.ピグメントレッド122を用いた。そして、シルヴァーソン混合機を用いて、室温にて6,000rpmで混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた40.0mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。亜硝酸ナトリウムを添加することよって混合物の温度は60℃に達した。この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。30分後、純水20.0mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションした。イオン交換水を用いて顔料の含有量を調整して、顔料分散液3を得た。顔料分散液3には、カウンターイオンがナトリウムである((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。官能基導入量は0.34mmol/gであった。
(顔料分散液4)
顔料7.0g、((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸の一ナトリウム塩7.0mmol、硝酸20.0mmol、及び純水200.0mLを混合した。顔料としては、C.I.ピグメントイエロー74を用いた。そして、シルヴァーソン混合機を用いて、室温にて6,000rpmで混合した。30分後、この混合物に少量の水に溶解させた20.0mmolの亜硝酸ナトリウムをゆっくり添加した。亜硝酸ナトリウムを添加することよって混合物の温度は60℃に達した。この状態で1時間反応させた。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて混合物のpHを10に調整した。30分後、純水20.0mLを加え、スペクトラムメンブランを用いてダイアフィルトレーションした。イオン交換水を用いて顔料の含有量を調整して、顔料分散液4を得た。顔料分散液4には、カウンターイオンがナトリウムである((4−アミノベンゾイルアミノ)−メタン−1,1−ジイル)ビスホスホン酸基が粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。官能基導入量は0.11mmol/gであった。
(顔料分散液5)
水5.5gに濃塩酸70.6mmolを溶かした溶液を温度5℃に冷却し、4−アミノフタル酸9.8mmolを加えた。この溶液の入った容器をアイスバスに入れて液を撹拌し、溶液を常に10℃以下に保った状態とした。これに、5℃の水9.0gに亜硝酸ナトリウム24.9mmolを溶かした溶液を加えた。さらに15分間撹拌後、顔料6.0gを撹拌下で加えた。顔料としては、カーボンブラック(商品名「ブラックパールズ880」、キャボット製)を用いた。その後、さらに15分間撹拌してスラリーを得た。得られたスラリーをろ紙(商品名「標準用濾紙No.2」、アドバンテック製)でろ過した後、十分に水洗し、温度110℃のオーブンで乾燥させて自己分散顔料を得た。イオン交換水を用いて顔料の含有量を調整して、顔料分散液5を得た。顔料分散液5には、カウンターイオンがナトリウムであるフタル酸基が粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。官能基導入量は0.40mmol/gであった。
(顔料分散液6)
熱水にスルファニル酸14.4mmolを溶かした溶液に、顔料25.0gを撹拌下で加え、液体の温度が30℃になるまで撹拌を続けた。顔料としては、カーボンブラック(商品名「ブラックパールズ880」、キャボット製)を用いた。その後、濃塩酸37.7mmolを加え、さらに、少量の水に亜硝酸ナトリウム14.1mmolを溶かした溶液を1時間かけて加えた。泡が消えた後に純水を加え、撹拌した後、水酸化ナトリウムを加えて液体のpHを9に調整した。次いで、ポアサイズが1.2μmであるミクロフィルター(富士フイルム製)でろ過した後、オーブン中で水を蒸発させ、顔料の含有量を調整した。さらに、ポアサイズが1.2μmのミクロフィルター(富士フイルム製)でろ過して、顔料分散液6を得た。顔料分散液6には、カウンターイオンがナトリウムであるベンゼンスルホン酸基が粒子表面に結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%であった。官能基導入量は0.20mmol/gであった。
(顔料分散液7)
顔料10.0部、樹脂分散剤の水溶液20.0部、及びイオン交換水70.0部を混合して混合物を得た。顔料としては、カーボンブラック(商品名「ブラックパールズ880」、キャボット製)を用いた。また、樹脂分散剤の水溶液としては、アクリル樹脂1の含有量(固形分)が20.0%である水溶液を用いた。バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散させた後、ポアサイズが1.2μmであるミクロフィルター(富士フイルム製)で加圧ろ過した。次いで、イオン交換水を加えて顔料の含有量を調整し、顔料分散液7を得た。顔料分散液7には、水溶性樹脂(樹脂分散剤)により分散された顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%、水溶性樹脂の含有量は4.0%であった。
(顔料分散液8)
水30.0gに3−アミノベンジルアミン7.5mmolを溶かした溶液に、撹拌下で硝酸銀1.2gを加えた。発生した沈殿物をろ過して除去し、ろ液を得た。水70.0gに顔料10.0gを分散させた懸濁液に、上記のろ液を撹拌下で加えた。顔料としては、カーボンブラック(商品名「ブラックパールズ880」、キャボット製)を用いた。さらに、濃塩酸1.6gを加えた後、水10.0gに亜硝酸ナトリウム0.60gを溶かした溶液を加えた。反応による窒素ガスの泡の発生が止まった後、温度120℃のオーブンで乾燥させ、粒子表面にアミノ基を含む官能基が結合した顔料を得た。
アクリル樹脂1の含有量(固形分)が20.0%である水溶液1,000gに、得られた顔料50.0gをイオン交換水1,450gに分散させた分散液を撹拌下で加え、混合物を得た。得られた混合物を蒸発皿に移し、温度150℃で15時間加熱することで液体成分を蒸発させた後、室温に冷却して、蒸発乾燥物を得た。水酸化ナトリウムでpHを9.0に調整した蒸留水に蒸発乾燥物を加えて分散させ、さらに、撹拌下で1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、液体のpHを10〜11に調整した。これにより、顔料の粒子表面に結合している官能基に含まれるアミノ基の一部と、樹脂のカルボキシ基とを脱水縮合させた。その後、脱塩、不純物を除去するための精製、及び粗大粒子の除去を行って、顔料分散液8を得た。顔料分散液8には、水溶性樹脂が粒子表面に結合した顔料が含まれており、顔料の含有量は10.0%、樹脂の含有量は4.0%であった。
(染料水溶液1)
染料を含む市販の染料水溶液(商品名「Projet Fast Black 2」、富士フイルム製)を準備し、染料の含有量を調整して、染料水溶液1を得た。染料水溶液1中の染料の含有量は10.0%であった。
<インクの調製>
以下に示す各成分を混合して十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。なお、「アセチレノールE100」は川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤(アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物)である。なお、調製した各インクの粘度は25℃において2.5〜3.5mPa・sの範囲内にあった。
・色材を含む液体(表3に示す種類):30.0%
・ウレタン樹脂を含む液体(表3に示す種類のウレタン樹脂):表3に示す使用量(%)
・アクリル樹脂を含む液体(表3に示す種類のアクリル樹脂):表3に示す使用量(%)
・グリセリン:9.0%
・ジリエチレングリコール:5.0%
・トリエチレングリコール:5.0%
・アセチレノールE100:0.2%
・イオン交換水:合計が100.0%となる残量
<評価>
本発明においては、下記の評価基準で、「AAA」、「AA」、「A」及び「B」を許容できるレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表3に示す。
(吐出精度)
調製した各インクをそれぞれ図2に示すインクカートリッジに充填するとともに、図1に示すインクジェット記録装置に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が12ng±10%であるインク滴を2滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。A4サイズのPPC用紙(商品名「GF−500」、キヤノン製)に19cm×26cmのサイズで、記録デューティが50%であるベタ画像を10枚記録した後、ノズルチェックパターンを1枚記録した。次いで、上記と同様の条件でベタ画像を10,000枚記録した後、再度ノズルチェックパターンを1枚記録した。ベタ画像を10枚記録した後のノズルチェックパターンと、ベタ画像を10,000枚記録した後のノズルチェックパターンを比較し、以下に示す評価基準にしたがって吐出精度を評価した。評価に際しての諸条件を以下に示す。
[吐出精度の評価基準]
AAA:ベタ画像10枚記録後及び10,000枚記録後のいずれにおいても、ノズルチェックパターンは正常に記録されていた。
AA:ベタ画像10枚記録後のノズルチェックパターンは正常に記録されていた。ベタ画像10,000枚記録後のノズルチェックパターンには若干の乱れがあった。
A:ベタ画像10枚記録後及び10,000枚記録後のいずれにおいても、ノズルチェックパターンに若干の乱れがあった。
B:ベタ画像10枚記録後のノズルチェックパターンには若干の乱れがあった。ベタ画像10,000枚記録後のノズルチェックパターンにはより多くの乱れがあった。
C:ベタ画像10枚記録後及び10,000枚記録後のいずれにおいても、ノズルチェックパターンに顕著な乱れがあった。
[諸条件]
・ワイパの侵入量:1.1±0.5mm
(※:吐出口面の位置からワイパ先端までの高さ)
・ワイピング速度:80mm/秒
・記録ヘッド:1200dpi、1024ノズル
・累積吐出数カウンタによるワイピングの実施:A4サイズ1枚分の記録毎
・累積吐出数カウンタによる吸引の実施:A4サイズ10枚分の記録毎
・撥水面の温度上昇のための加熱温度:記録ヘッドに設けた温度センサの検出温度で50℃以上
・撥水面の保温のための加熱温度:記録ヘッドに設けた温度センサの検出温度で50℃以上
・試験環境:温度15℃、相対湿度10%
・ワイパによる吐出口面のワイピング:図9に示す手順中、ステップS35の「ワイピング往路」の実施中に、記録ヘッドの吐出口面がワイパによりワイピングされるよう記録装置を調整した。
・撥水面:
吐出口面に、以下の(1)又は(2)の撥水性材料による撥水処理を行って撥水面としたもの。
撥水面(1);フルオロアルキル基を有する加水分解性シラン化合物(フルオロメチル基及びメトキシ基を有する化合物)、及び、カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物(エポキシ基及びエトキシ基を有する化合物)の縮合物を硬化させた樹脂。
撥水面(2);フルオロアルキル基を有する加水分解性シラン化合物(フルオロメチル基及びメトキシ基を有する化合物)。
・加熱手段:
手段(1);記録ヘッドに備えられたインク吐出用ヒータとサブヒータの両方を用いた。
手段(2);記録ヘッドに備えられたインク吐出用ヒータのみを用いた。
手段(3);記録ヘッドに備えられたサブヒータのみを用いた。
・加熱保持ワイピング手順:
手順(1);図9に示す手順に準じて実施した。
手順(2);図9に示す手順のうち、ステップS39の「保温のための加熱の終了」をステップS35の「ワイピング往路」の直後に移行したこと以外は、図9に示す手順に準じて実施した。
手順(3);図9に示す手順のうち、ステップS29の「温度上昇のための加熱」、ステップS31の「温度上昇のための加熱の終了」、ステップS33の「保温のための加熱」、及びステップS39の「保温のための加熱の終了」を実施しなかった。このこと以外は、図9に示す手順に準じて実施した。
手順(4);図9に示す手順のうち、ステップS33の「保温のための加熱」及びステップS39の「保温のための加熱の終了」を実施しなかったこと以外は、図9に示す手順に準じて実施した。
手順(5);図9に示す手順のうち、ステップS33の「保温のための加熱」及びステップS39の「保温のための加熱の終了」を実施しなかった。また、ステップS29の「温度上昇のための加熱」及びステップS31の「温度上昇のための加熱の終了」を、ステップS37の「ワイピング復路」の直後に移行した。これらのこと以外は図9に示す手順に準じて実施した。
・記録タイミング:
タイミング(1);図7及び8に示す手順中で、ステップ:S1、S3、S21、S23、S25、S5、S7の手順に準じて実施した。この手順は、吸引を行った後に加熱保持ワイピングを行い、これに続いて記録動作を行うものである。
タイミング(2);図7及び8に示す手順中で、ステップ:S1、S11、S15、S17、S19、S1、S3、S21、S27、S7手順に準じて実施した。この手順は、吸引を行った後に加熱保持ワイピングを行い、さらにキャップクローズを行った後に記録を行うものである。
(耐マーカー性)
調製した各インクをそれぞれ図2に示すインクカートリッジに充填するとともに、図1に示すインクジェット記録装置に搭載した。本実施例においては、1/600インチ×1/600インチの単位領域に、1滴当たりの質量が12ng±10%であるインク滴を2滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。そして、PPC用紙(商品名「GF−500」、キヤノン製)に1インチ×1インチのサイズで、記録デューティが50%であるベタ画像を記録した。記録してから5分後に、得られた記録物上のベタ画像に黄色ラインマーカー(商品名「OPTEX2」、ゼブラ製)を用いてマーキングした。マーキング部の汚れを確認し、以下に示す評価基準にしたがって耐マーカー性を評価した。
[耐マーカー性の評価基準]
A:マーキングしても汚れが発生しなかった。
B:マーキングしても汚れがほとんど発生しなかった。
C:マーキングすると汚れが見られた。
Figure 2016020082
1 記録ヘッド
6 記録媒体
7 メンテナンス機構
9 ワイパ
11 吐出口面
100 キャリッジ
400 ヘッドカートリッジ
410 インクカートリッジ
421 第1の電気熱変換体
422 吐出口
425 吐出口プレート
429 第2の電気熱変換体

Claims (8)

  1. 吐出口が設けられた吐出口面が撥水処理された撥水面である記録ヘッドと、前記撥水面をワイピングするためのワイピング手段と、前記撥水面を加熱するための加熱手段と、を備えたインクジェット記録装置を使用し、樹脂を含有する水性インクを前記吐出口から吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記加熱手段により前記撥水面を加熱した後、前記ワイピング手段により前記撥水面をワイピングするとともに、前記撥水面のワイピング後まで前記撥水面を加熱し続ける加熱工程を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記加熱工程が、前記水性インクが吐出されない程度に駆動しうる、前記加熱手段として利用される電気熱変換体を用いて行われる請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記水性インクを吐出するまでの間、前記加熱手段により前記撥水面を加熱し続ける請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記樹脂の酸価が、40mgKOH/g以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記樹脂が、ウレタン樹脂である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記ウレタン樹脂における、ウレタン結合が占める割合(モル%)が、ウレア結合が占める割合(モル%)に対するモル比率で、85.0/15.0以上である請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記撥水面が、フルオロアルキル基を有する加水分解性シラン化合物、及び、カチオン重合性基を有する加水分解性シラン化合物の縮合物で形成される請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置であって、
    吐出口が設けられた吐出口面が撥水処理された撥水面である記録ヘッドと、前記撥水面をワイピングするためのワイピング手段と、前記撥水面を加熱するための加熱手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
JP2014237799A 2013-12-27 2014-11-25 インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 Pending JP2016020082A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014237799A JP2016020082A (ja) 2013-12-27 2014-11-25 インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
US14/568,562 US9387679B2 (en) 2013-12-27 2014-12-12 Ink jet recording method and ink jet recording apparatus

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013272238 2013-12-27
JP2013272238 2013-12-27
JP2014123260 2014-06-16
JP2014123260 2014-06-16
JP2014237799A JP2016020082A (ja) 2013-12-27 2014-11-25 インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016020082A true JP2016020082A (ja) 2016-02-04
JP2016020082A5 JP2016020082A5 (ja) 2017-12-28

Family

ID=53480801

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014237799A Pending JP2016020082A (ja) 2013-12-27 2014-11-25 インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US9387679B2 (ja)
JP (1) JP2016020082A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018149801A (ja) * 2017-03-10 2018-09-27 キヤノン株式会社 インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6406924B2 (ja) 2014-08-25 2018-10-17 キヤノン株式会社 記録装置、制御方法、プログラム及び記録媒体
US10265951B2 (en) 2016-06-29 2019-04-23 Canon Kabushiki Kaisha Inkjet printing apparatus and control method
JP2018012246A (ja) 2016-07-20 2018-01-25 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置および回復処理方法
JP6929637B2 (ja) 2016-12-01 2021-09-01 キヤノン株式会社 記録装置および記録方法
JP6938252B2 (ja) 2017-07-07 2021-09-22 キヤノン株式会社 液体吐出装置
JP6904819B2 (ja) 2017-07-07 2021-07-21 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置および制御方法
JP7207930B2 (ja) 2018-10-05 2023-01-18 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置および回復方法
JP7166869B2 (ja) 2018-10-05 2022-11-08 キヤノン株式会社 記録装置および記録方法
JP7224836B2 (ja) 2018-10-05 2023-02-20 キヤノン株式会社 記録装置および回復方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07205453A (ja) * 1994-01-07 1995-08-08 Canon Inc インクジェット記録装置および吐出回復方法
JP2004148596A (ja) * 2002-10-29 2004-05-27 Canon Inc インクジェット記録装置
JP2007518587A (ja) * 2003-07-22 2007-07-12 キヤノン株式会社 インクジェットヘッドおよびその製造方法
JP2011195686A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 Fujifilm Corp インクジェット記録用インクセット及び画像形成方法
US20120120151A1 (en) * 2010-11-12 2012-05-17 Samsung Electronics Co., Ltd. Inkjet Head Cleaning Apparatus And Method
JP2012214713A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Canon Inc インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE69219180T2 (de) * 1991-02-12 1997-10-02 Canon Kk Tintenstrahlaufzeichnungssystem und Verfahren
JP3167691B2 (ja) 1991-02-12 2001-05-21 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
JP2003341080A (ja) 2002-05-30 2003-12-03 Konica Minolta Holdings Inc インクジェットプリンタ
JP4461222B2 (ja) 2003-03-04 2010-05-12 セイコーエプソン株式会社 顔料分散水性記録液および印刷物
JP2005169201A (ja) 2003-12-09 2005-06-30 Seiko Epson Corp 液滴吐出装置、液滴吐出方法、電気光学装置、および電子機器
JP2005254463A (ja) 2004-03-09 2005-09-22 Ricoh Co Ltd インクジェット記録装置
WO2006070919A1 (en) 2004-12-28 2006-07-06 Canon Kabushiki Kaisha Ink jet printing apparatus and ink processing method for same
JP2009101632A (ja) 2007-10-24 2009-05-14 Canon Inc インクジェット記録装置
JP4894979B2 (ja) * 2010-05-28 2012-03-14 Dic株式会社 インクジェット印刷インク用バインダーの製造方法、インクジェット印刷用インク及び印刷物
WO2012060310A1 (ja) * 2010-11-04 2012-05-10 コニカミノルタIj株式会社 ヘッドメンテナンス装置及びインクジェット記録装置
JP5837765B2 (ja) * 2011-06-02 2015-12-24 株式会社松井色素化学工業所 インクジェット捺染用インク
JP5921137B2 (ja) 2011-10-21 2016-05-24 キヤノン株式会社 インクジェット記録装置および予備吐出方法
JP2013112701A (ja) * 2011-11-25 2013-06-10 Seiko Epson Corp インクセット、画像形成方法
JP6048064B2 (ja) * 2012-10-22 2016-12-21 セイコーエプソン株式会社 液体噴射装置
JP6226623B2 (ja) 2013-08-06 2017-11-08 キヤノン株式会社 記録装置及び制御方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07205453A (ja) * 1994-01-07 1995-08-08 Canon Inc インクジェット記録装置および吐出回復方法
JP2004148596A (ja) * 2002-10-29 2004-05-27 Canon Inc インクジェット記録装置
JP2007518587A (ja) * 2003-07-22 2007-07-12 キヤノン株式会社 インクジェットヘッドおよびその製造方法
JP2011195686A (ja) * 2010-03-18 2011-10-06 Fujifilm Corp インクジェット記録用インクセット及び画像形成方法
US20120120151A1 (en) * 2010-11-12 2012-05-17 Samsung Electronics Co., Ltd. Inkjet Head Cleaning Apparatus And Method
JP2012214713A (ja) * 2011-03-30 2012-11-08 Canon Inc インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018149801A (ja) * 2017-03-10 2018-09-27 キヤノン株式会社 インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP7106285B2 (ja) 2017-03-10 2022-07-26 キヤノン株式会社 インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20150183220A1 (en) 2015-07-02
US9387679B2 (en) 2016-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016020082A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP5587282B2 (ja) インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法
US8226207B2 (en) Coating for an ink jet printhead front face
JP5730113B2 (ja) インクジェット用インク、インクジェット記録方法、及びインクカートリッジ
JP6025352B2 (ja) インクジェット用インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法
US10253197B2 (en) Aqueous ink, ink cartridge and ink jet recording method
EP1834783A1 (en) Head cleaning method and inkjet recorder
EP1839870A1 (en) Ink jet head cleaning device and method
CN101090825A (zh) 清洁喷墨头的设备及其清洁方法
JP2019014238A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP6733198B2 (ja) インクジェットインク、インクカートリッジおよびインクジェット記録方法
CN115139677B (zh) 印刷方法,印刷装置
JP2018150412A (ja) インクセット及びインクジェット記録方法
JP2018039946A (ja) インク、液体を吐出する装置、及び液体を吐出する方法
US11603478B2 (en) Ink, method of manufacturing ink, printing method, and printing device
US10301495B2 (en) Ink jet recording method and ink jet recording apparatus
US10843482B2 (en) Ink jet recording method and ink jet recording apparatus
US10828897B2 (en) Ink jet recording method and ink jet recording apparatus
JP7023615B2 (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
US10501650B2 (en) Ink jet recording method and ink jet recording apparatus
JP7030593B2 (ja) インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
JP2018083414A (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置
JP2017217906A (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP2017136745A (ja) インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
JP2016166310A (ja) インクセット、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171117

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171117

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180911

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181106

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190617

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20190624

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20190726

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20200221