JP6733198B2 - インクジェットインク、インクカートリッジおよびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
本発明に係るインクジェットインクの一態様は、
顔料を用いるインクジェットインクであって、少なくともポリカーボネートジオールに由来する繰り返し単位、脂環族イソシアネートに由来する繰り返し単位、および酸基含有ジオールに由来する繰り返し単位を有し、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、ウレタン基がウレア基の10倍以上であるウレタン重合体を含む高分子粒子の含有量が、前記顔料の含有量の0.5倍以上3倍以下である。
上記適用例において、
前記ポリカーボネートジオールの重量平均分子量が500以上3000以下であることができる。
上記適用例において、
前記ウレタン重合体は、さらに、アルキレングリコールに由来する繰り返し単位を含むことができる。
上記適用例において、
前記脂環族イソシアネートが、水素添加4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび水素添加キシリレンジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種であることができる。
上記適用例において、
前記脂環族イソシアネートとして、芳香族ポリイソシアネート化合物の芳香環の80%以上が水素化されてなるブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物を含むことができる。
上記適用例において、
前記ウレタン重合体からなるウレタン樹脂のゲル分率が50%以上であることができる。
本発明に係るインクカートリッジの一態様は、
インクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インクが、適用例1ないし適用例6のいずれか一例に記載のインクジェットインクである。
本発明に係るインクジェット記録方法の一態様は、
インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクが、適用例1ないし適用例6のいずれか一例に記載のインクジェットインクである。
以下、本実施の形態に係るインクジェットインク、インクカートリッジおよびインクジェット記録方法について説明する。
本発明の一実施形態に係るインクジェットインクは、顔料を用いるインクジェットインクであって、少なくともポリカーボネートジオールに由来する繰り返し単位、脂環族イソシアネートに由来する繰り返し単位、および酸基含有ジオールに由来する繰り返し単位を有し、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、ウレタン基がウレア基の10倍以上であるウレタン重合体を含む高分子粒子の含有量が、前記顔料の含有量の0.5倍以上3倍以下であることを特徴とする。
本実施形態に係るインクジェットインクは、色材として顔料を含む。本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、顔料の分散方式は、分散剤なしに分散できる自己分散顔料か、アクリルスチレン樹脂やアクリル樹脂などのウレタン樹脂とは異なる樹脂を用いた樹脂分散顔料を用いることが好ましい。これは、分散樹脂がウレタン系であると、後述するウレタン重合体を含む高分子粒子との相互作用によって分散がこわれやすくなり、特に高温状態インクが増粘するためである。
ナトリウム、カリウム、アンモニウム(NH4)、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミンが挙げられる。また、他の原子団としては、炭素原子数1〜12の直鎖又は分岐のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基、アミド基、スルホニル基、アミノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基およびこれらの基を組み合わせた基などが挙げられる。
本実施形態に係るインクジェットインクは、ウレタン重合体を含む高分子粒子を含む。このウレタン重合体は、少なくともポリカーボネートジオールに由来する繰り返し単位、脂環族イソシアネートに由来する繰り返し単位、および酸基含有ジオールに由来する繰り返し単位を有し、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、ウレタン基がウレア基の10倍以上である。
トインクは、高分子粒子として含むウレタン樹脂が、ポリカーボネートジオール、脂環族イソシアネートおよび酸基含有ジオールを少なくとも用いることによって得られることにより、膜強度、耐擦性、耐水性、インク保存安定性、間欠吐出安定性、連続吐出安定性および特に高温での目詰まり回復性に優れる。
本実施形態に係るインクジェットインクで用いられるウレタン重合体は、上記ウレタン樹脂の重合方法に用いられる多官能ポリイソシアネートとして、脂環族イソシアネートが用いられる。
キサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添XDI)などの環状構造を有するポリイソシアネートが好ましい。本実施形態に係るインクジェットインクは、これらのポリイソシアネートを用いることで、膜強度が高くなり、耐擦性が良好になる。
本実施形態に係るインクジェットインクで用いられるウレタン重合体は、上記ウレタン樹脂の重合方法に用いられるポリオールとして、ポリカーボネートジオールが用いられる。
,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−イソプロピル−1,4−ブタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。これらは一種または二種以上を併用できる。
本実施形態に係るインクジェットインクで用いられるウレタン重合体は、上記ウレタン樹脂の重合方法に用いられるポリオールとして、酸基含有ジオールも用いられる。
本実施形態に係るインクジェットインクで用いられるウレタン重合体は、上記ウレタン樹脂の重合方法に用いられるポリオールとして、アルキレングリコールも用いられることが好ましい。
リコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4−ジヒドロキシフェニルメタン、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールメラミン、ポリオキシプロピレントリオール、ジメチル−1,3−ペンタンジオール、ジエチル−1,3−ペンタンジオール、ジプロピル−1,3−ペンタンジール、ジブチル−1,3−ペンタンジール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、などが挙げられる。
本実施形態に係るインクジェットインクで用いられるウレタン重合体は、上記ウレタン樹脂の重合方法に用いられるポリオールとして、更に、以下のポリオールやポリアミンを用いてもよい。
本実施形態に係るインクジェットインクに用いられるウレタン樹脂は、重合する際に、架橋剤や鎖延長剤が用いられていてもよい。架橋剤はプレポリマーの合成時に用いられ、鎖延長剤はプレポリマーの合成後に鎖延長反応を行うときに用いられる。架橋剤や鎖延長剤としては、架橋や鎖延長などの用途に応じて、上記のポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどから適宜に選択して用いることができる。鎖延長剤として、ウレタン樹脂を架橋させることができるものを用いることもできる。
ウレタン樹脂の組成、ポリイソシアネートの構造、酸価、ゲル分率およびウレタン基/ウレア基の比率、はそれぞれ以下の方法によって分析することができる。
ウレタン樹脂を、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)に溶解してサンプルとし、プロトン核磁気共鳴法(1H−NMR)またはカーボン13核磁気共鳴法(13C−NMR)により分析を行い、得られたピークの位置から、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどの種類を確認することができる。さらに、各成分の化学シフトの
ピークの積算値の比から、組成比を算出することもできる。また、ウレタン樹脂を熱分解ガスクロマトグラフィー(GC−MS)により分析しても、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどの種類を確認することができる。また、カーボン13核磁気共鳴分光法(13C−NMR)により分析により、長鎖ポリオールの単位ユニットの繰り返し数を求め、数平均分子量を算出することもできる。
ウレタン樹脂を、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)により分析を行って得られた赤外吸収スペクトルから、多官能ポリイソシアネートの構造を確認することができる。主な吸収は以下の通りである。アロファネート構造は、3300cm−1にNH伸縮振動吸収、1750〜1710cm−1、及び、1708〜1653cm−1に2本のC=O伸縮振動吸収が存在する。ウレトジオン構造は、1780〜1755cm−1にC=O伸縮振動吸収、1420〜1400cm−1にウレトジオン環に基づく吸収が存在する。イソシアヌレート構造は、1720〜1690cm−1にC=O伸縮振動吸収、1428〜1406cm−1にイソシアヌレート環に基づく吸収が存在する。ビウレット構造は、1720〜1690cm−1にC=O伸縮振動吸収が存在する。
ウレタン樹脂の酸価は滴定法により測定することができる。酸価は、京都電子工業社(Kyoto Electronics Manufacturing Co.,Ltd.)製のAT610(製品名)を用いて測定を行い、以下の数式(1)に数値をあてはめて算出する。
酸価(mg/g)=(EP1−BL1)×FA1×C1×K1/SIZE (1)
(上記の数式中、EP1は滴定量(mL)、BL1はブランク値(0.0mL)、FA1は滴定液のファクター(1.00)、C1は濃度換算値(5.611mg/mL)(0.1mo1/L KOH 1mLの水酸化カリウム相当量)、K1は係数(1)、SIZEは試料採取量(g)をそれぞれ表す。)
ウレタン樹脂を水中に加え、ウレタン樹脂を含む溶液を調製する。この溶液を用いて、均一な厚さを有するウレタン樹脂の皮膜を作成する。この皮膜をテトラヒドロフランに浸漬させた状態で、温度40℃の環境に48時間載置する。その後、溶解せずに残存している成分(ゲル)の質量から、ゲル分率を算出する。
ウレタン樹脂におけるウレタン基/ウレア基の比率は、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)に溶解させたウレタン樹脂をカーボン13核磁気共鳴法(13C−NMR)により分析を行い、ウレタン基/ウレア基のピークの積算値の比から求めることができる。ただし、ウレタン基/ウレア基のピークの位置は、ウレタン樹脂の合成に使用した化合物の種類によってシフトする。したがって、ウレタン樹脂の合成に使用した化合物についてのウレタン結合とウレア結合のピークの位置をあらかじめ調べる必要がある。
ポリオールと酸基含有ジオールが併用されていれば、(I)ポリイソシアネートと長鎖ポリオールの反応物、(II)ポリイソシアネートと酸基含有ジオールの反応物、(III)ポリイソシアネートと水の反応物、をそれぞれ調製する。このようにして調製した反応物を重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)に溶解し、カーボン13核磁気共鳴法(13C−NMR)により分析を行って、各反応物についてのウレタン結合及びウレア結合の化学シフトを確認する。上記の例であれば、(I)と(II)の反応物からウレタン結合の化学シフトを、また、(III)の反応物からウレア結合の化学シフトを、それぞれ確認する。そして、得られたそれぞれの化学シフトから、ウレタン結合とウレア結合のピークを特定し、それらのピークの積算値の比からウレタン樹脂におけるウレタン結合/ウレア結合のモル比率を算出する。
上記ウレタン樹脂を含む高分子粒子の含有量は、顔料の0.5倍以上3倍以下である。高分子粒子の添加量が顔料の0.5倍未満では十分な耐擦性が得られない。また、高分子粒子の添加量が顔料の3倍を超えるとインクの粘度が増加しやすくなり、目詰まり回復性や間欠吐出安定性が得られなくなる。
ミン化合物の種類によって反応性が異なるため、同じモル比率とは必ずしもならないためである。
本実施形態に係るインクジェットインクは、水、又は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。本発明においては、水性媒体として少なくとも水を含有する、水性のインクとすることが好ましい。水は、イオン交換水(脱イオン水)を用いることが好ましい。
本実施形態に係るインクジェットインクは、上記した成分以外にも、必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、本実施形態に係るインクジェットインクは、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
本実施形態に係るインクジェットインクは、顔料を用いるインクジェットインクであって、少なくともポリカーボネートジオールに由来する繰り返し単位、脂環族イソシアネートに由来する繰り返し単位、および酸基含有ジオールに由来する繰り返し単位を有し、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、ウレタン基がウレア基の10倍以上であるウレタン重合体を含む高分子粒子の含有量が、前記顔料の含有量の0.5倍以上3倍以下であることにより、目詰まり回復性を確保しながら、耐擦性に優れた画像を記録することができるインクジェットインクを提供することが可能となる。
本実施形態に係るインクカートリッジは、上述した本実施形態に係るインクジェットインクを収容するインク収容部を備えたインクカートリッジである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、負圧によりインクを含浸した状態で保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室、及び、負圧発生部材により含浸されない状態でインクを収容するインク収容室で構成されるものが挙げられる。
次に、本実施形態に係るインクジェットインクを用いたインクジェット記録方法について説明する。
方法を採用したもの、記録ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法を採用したもの等があるが、いずれの記録方法も採用することができる。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、例えば、撥インク処理された吐出ノズル表面を有するインクジェット記録用ヘッドから吐出させるインクジェット記録方法に有利に用いることができる。
以下、本発明を実験例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して%と記載しているものは、特に断らない限り質量%である。
<ポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製>
攪拌機、還流冷却管及び温度計を挿入した反応容器に、下記の方法で得たポリカーボネートジオールa(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量2000)1500g、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)320g及び2−ピロリドン(bp245℃)1347gを窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを1245g、ウレタン化触媒XK−614(楠本化成製)を2.6g加え90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。
攪拌機、留出液トラップ、及び圧力調整装置を備えた5Lガラス製セパラブルフラスコに、窒素ガス置換しながら原料として、1,6−ヘキサンジオール(1,6−HD)を615g、ジフェニルカーボネートを1015gおよび酢酸マグネシウム4水和物水溶液を2.6mL(濃度:3.4g/L、酢酸マグネシウム4水和物:22mg)を入れた。攪拌下、内温を150℃〜160℃まで昇温して、内容物を加熱溶解した。その後、2分間かけて圧力を26kPaまで下げた後、フェノールを系外へ除去しながら100分間反応させた。次いで、圧力を9.0kPaまで100分間かけて下げ、さらに0.6kPaまで40分間かけて下げて反応を続けた後に、170℃まで温度を上げてフェノール及び未反応のジヒドロキシ化合物を系外へ除きながら100分間反応させて、ポリカーボネートジオールa含有組成物を得た。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶媒をTHFとしてスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、2000であった。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)320gを192gに変更し、1,6−ヘキサンジオールを128g加えた以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンB(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールa(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量2000)1500gを1340gに、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)320gを420gに変更した以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンC(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールa(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量2000)1500gを1477gに、35%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液42gを63gに変更した以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンD(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールb(ポリカーボネートジオールaと同様の方法で作成した1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量500)に変更した以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンE(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールc(ポリカーボネートジオールaと同様の方法で作成した1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量3000)に変更した以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンF(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを1245gの代わりに4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを800g、水添キシリレンジイソシアンート445gに変えた以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンG(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールa(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量2000)1500gを1340gに変更し、1,5−ペンタンジオールを128g加えた以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンH(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールd(ポリカーボネートジオールaと同様の方法で作成した1,6−ヘキサン
ジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量450)に変更した以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンI(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン10%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールe(ポリカーボネートジオールaと同様の方法で作成した1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量3100)に変更した以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンJ(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールa(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量2000)1500gを2145gに、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを1245gを4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを800gに変えた以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンG(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールa(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量2000)をポリオキシプロピレングリコール(分子量2000)に変えた以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンL(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールa(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量2000)をポリエステルポリオール(分子量2000)に変えた以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンM(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)320gを1,6−ヘキサンジオール320gに変更した以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンN(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)320gを128gに変更し、1,6−ヘキサンジオールを192g加えた以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンB(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールa(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量2000)1500gを796gに、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)320gを1024gに変更した以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂
エマルジョンP(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
上記のポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンAの調製において、ポリカーボネートジオールa(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートの反応生成物、分子量2000)1500gを1460gに、35%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液42gを69gに変更した以外は同様に作製してポリカーボネート系ウレタン樹脂エマルジョンQ(ウレタン樹脂成分30%、水64%、2−ピロリドン6%)を得た。
<顔料分散液1>
イオン交換水500gおよびカーボンブラック15gを混合し、1mmのジルコニアビーズを用いたロッキングミルを用いて30分間撹拌して、顔料を予備湿潤させた。ここに4485gのイオン交換水を加え、高圧ホモジナイザーで分散させた。このときの顔料の平均粒子径は110nmであった。これを高圧容器に移し、圧力3MPaで加圧した後、オゾン濃度が100ppmであるオゾン水を導入することによって顔料の表面のオゾン酸化処理を行った。その後0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてこの分散液のpHを9.0に調整した後、顔料固形分の濃度を調整して、顔料分散液1を得た。顔料分散液1には、粒子表面に−COONa基が結合した自己分散顔料が含まれており、顔料の含有量は30%であった。
500gのカーボンブラック、1000gの水溶性樹脂、14000gの水を混合し、混合物を得た。水溶性樹脂としては、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で中和したものを用いた。1mmのジルコニアビーズを用いたロッキングミルを用いてこの混合物を1時間分散した後、遠心分離により不純物を除去し、さらにポアサイズ5.0μmのミクロフィルター(ミリポア製)を用いて減圧ろ過を行った。次いで、顔料固形分の濃度を調整して、pHが9.0である顔料分散液2を得た。顔料分散液2には、水溶性樹脂(樹脂分散剤)により分散された顔料が含まれており、顔料の含有量は30.0%、樹脂の含有量は15.0%であった。
攪拌機、温度計、還流管及び滴下ロートを備えた反応容器を窒素置換した後、メチルエチルケトン300質量部を入れ、スチレン40質量部、メチルメタクリレート40質量部、ラウリルアクリレート5質量部、ラウリルメタクリレート5質量部、メトキシポリエチレングリコール400アクリレートAM−90G(新中村化学工業株式会社製)5質量部、アクリル酸5質量部、過硫酸アンモニウム0.2質量部、t―ドデシルメルカプタン0.3質量部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながらポリマー分散剤を重合反応させた。その後、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40質量%のポリマー分散剤の溶液を調製した。
C.I.Pigment Blue15:3(大日精化工業株式会社製、商品名、以下「PB15:3」ともいう)30質量部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液1
00質量部、メチルエチルケトン30質量部とを混合し、アルティマイザー25005(スギノマシン株式会社製製品名)で8パスの分散処理を行った。その後、イオン交換水を300質量部添加して、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整した。次いで、シアン顔料の体積平均粒径を粒度分布計で測定しながら、体積平均粒径が100nmとなるまで分散してから、3μmのメンブレンフィルターでろ過して固形分(ポリマー分散剤と顔料)が20質量%である顔料分散液を得た。
(実施例1〜12、比較例1〜8)
下記に示す各成分を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ5.0μmのミクロフィルター(ミリポア製)にて減圧ろ過を行い、実施例1〜12、比較例1〜8、の各インクを調製した。また、実施例および比較例で用いたウレタン樹脂の、酸価、ゲル分率、ウレタン基/ウレア基の値は、前述の方法で測定した。実施例のインク組成および物性を表1に、比較例の組成および物性を表2に示す。
して含有することを表す(質量%)。表1および表2に示す以外の成分として、2−ピロリドン(2−P)を10質量%、1,2−ヘキサンジオール(1,2−HD)を5質量%、プロピレングリコール(PG)を5質量%、ジプロピレングリコール(DPG)5質量%、トリエタノールアミン(TEA)を0.5質量%、EDTA(エチレンジアミン4酢酸2Na塩)を0.02質量%、イオン交換水を残量(残量とは、インクの全成分の合計量が100.0質量%となる量)である。
上記で得られた各インクをそれぞれインクカートリッジに充填し、ピエゾ素子のエネルギーの作用により記録ヘッドからインクを吐出するインクジェット記録装置(商品名PX−G930、セイコーエプソン株式会社製)を一部改造してプラテンを加熱できるようにし、そこに搭載した。本実施例においては、1/720インチ×1/720インチの単位領域に、1滴当たりの質量が25ng±10%であるインク滴を1滴付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。記録条件は、温度:25℃、相対湿度:50%とした。
JIS L0849 2013 に基づいてテスター産業の学振式耐擦性評価装置AB−301を用いて200g荷重100往復の条件で行った。上記のインクジェット記録装置を用いて、フィルム(商品名OPP無地ロール25μm厚、東洋紡製)に、記録デューティが100%である、1.0インチ×0.5インチのベタ画像を記録した記録物を得た。プラテン温度を60℃で1440dpi×1440dpiのドット密度で印刷した。記録の1日後にそれぞれ、記録物のベタ画像の上に金巾綿を押し当てて評価した。その後、金巾綿の汚れ、非記録部の汚れおよび印刷部分の剥がれ具合を目視で確認して、以下に示す評価基準にしたがって耐擦性の評価を行った。
(評価基準)
A:金巾綿の汚れがおよび非記録部の汚れもほとんどなく、印刷部分の剥がれ具合がほとんどなかった。
B:金巾綿の汚れおよび非記録部の汚れがあるが少なく、印刷部分の剥がれ具合がほとんどなかった。
C:金巾綿の汚れおよび非記録部の汚れがあり、印刷部分の剥がれ具合が多少あった。
D:金巾綿の汚れおよび非記録部の汚れがかなりあり、印刷部分の剥がれ具合が多かった。
E:金巾綿の汚れおよび非記録部の汚れがかなりあり、印刷部分の剥がれ具合がかなり多かった。
プリンター PX−G930(セイコーエプソン株式会社製)を用いた。このプリンターを用いて、温度40℃、相対湿度20%の環境下で間欠印刷時における吐出安定性の評価を行った。まず、全てのノズルから正常にインク組成物が吐出されることを確認した。そして、インク組成物をA4判の写真用紙(セイコーエプソン株式会社製フォト光沢紙)上に吐出した後、温度40%、相対湿度20%の環境下で2分間の休止時間を設け、再度、A4判の写真用紙上にインク組成物を吐出した。二回目の吐出において、A4判の写真用紙上に付着した1滴目のドットの位置と、狙い位置とのドットの位置ずれを光学顕微鏡で測定した。得られたドットの位置ずれに基づいて、下記評価基準により間欠特性を評価した。
(評価基準)
A:ドットの位置ずれが10μm以下であった。
B:ドットの位置ずれが10μmを超え20μm以下であった。
C:ドットの位置ずれが20μmを超え30μm以下であった。
D:ドットの位置ずれが30μmを越え40μm以下であった。
E:ドットの位置ずれが40μm超過であった。
プリンター PX−G930(セイコーエプソン株式会社製)の一部を改造して、プラテン温度を加熱できるようにした。このプリンターのインクカートリッジに上記で得られたインク組成物を充填した。そして、縦720dpi×横720dpiの解像度で、A4判のOPPフィルムの布帛上にインク組成物を吐出し、70℃で5分間乾燥することにより、顔料分散液3を用いたインクを作製し、シアンのベタパターンによる記録サンプルを作製した。温度40℃、相対湿度20%の環境下で、最大8時間までこの操作を繰り返してインク組成物を吐出し、安定してインク組成物の液滴がノズルから吐出されなくなるまでの時間を測定した。得られた時間に基づいて、下記評価基準により連続印字安定性を評価した。
(評価基準)
A:吐出開始から8時間たっても、1度も不吐出や吐出乱れが観察されなかった。
B:吐出開始から2時間以上8時間未満で、不吐出や吐出乱れが観察された。
C:吐出開始から1時間以上2時間未満で、不吐出や吐出乱れが観察された。
D:吐出開始から30分以上1時間未満で、不吐出や吐出乱れが観察された。
E:吐出開始から30分未満で、不吐出や吐出乱れ等が観察された。
プリンター PX−G930(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、このプリンターのインクカートリッジに上記で得られたインク組成物を充填し、縦720dpi×横720dpiの解像度で、A4判OPP用紙に印刷して全ノズルでインク組成物が吐出されることを確認した。その後、プリンターを温度40℃、相対湿度20%の環境下に30日間放置した。放置後、再び全ノズルよりインク組成物を吐出し、初期と同等の印刷が可能となるまでにクリーニングを繰り返し実施し、その際のクリーニングの回数を計測した。クリーニングの回数に基づいて、下記評価基準により目詰まり回復性を評価した。
(評価基準)
A:1回から3回のクリーニングで、全てのノズルからインク組成物が吐出された。
B:4回から6回のスクリーニングで、全てのノズルからインク組成物が吐出された。
C:7回から9回のスクリーニングで、全てのノズルからインク組成物が吐出された。
D:10回以上のクリーニングで、全てのノズルからインク組成物が吐出された。
E:クリーニングでは、いずれかのノズルからインク組成物が吐出できなかった。
実施例および比較例より、実施例では、全ての評価結果が比較例を上回り、間欠吐出安定性を満足させ、目詰まりなどが発生せずに、なおかつ、耐擦性に優れた画像を記録することが可能となっていた。特に、実施例1〜9の結果が高かった。これに対し、比較例では、目詰まり回復性の確保と、耐擦性に優れた画像の記録を両立させることができなかった。
Claims (8)
- 顔料を用いるインクジェットインクであって、少なくともポリカーボネートジオールに由来する繰り返し単位、脂環族イソシアネートに由来する繰り返し単位、および酸基含有ジオールに由来する繰り返し単位を有し、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、ウレタン基がウレア基の10倍以上であるウレタン重合体を含む高分子粒子の含有量が、前記顔料の含有量の0.5倍以上3倍以下である、インクジェットインク。
- 前記ポリカーボネートジオールの重量平均分子量が500以上3000以下である、請求項1に記載のインクジェットインク。
- 前記ウレタン重合体は、さらに、アルキレングリコールに由来する繰り返し単位を含む、請求項1または請求項2に記載のインクジェットインク。
- 前記脂環族イソシアネートが、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよび水素添加キシリレンジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
- 前記脂環族イソシアネートとして、芳香族ポリイソシアネート化合物の芳香環の80%以上が水素化されてなるブロック化脂環式ポリイソシアネート化合物を含む、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
- 前記ウレタン重合体からなるウレタン樹脂のゲル分率が50%以上である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のインクジェットインク。
- インクが収容されたインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インクが、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクジェットインクである、インクカートリッジ。
- インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のインクジェットインクである、インクジェット記録方法。
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