JP2016018055A - 電子鍵盤楽器 - Google Patents

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Abstract

【課題】鍵のがたつきと装置の大型化とを抑制しつつ、鍵の後方を覆う上パネルを強固に支持できる電子鍵盤楽器を提供すること。
【解決手段】鍵3の後方を覆う上パネル4は、シャーシ上壁21から鍵3の貫通穴32aを通過して上パネル4側に延びる後方ガイド25によって支持されている。即ち、後方ガイド25は、鍵3が、がたつくのを抑制する機能と、上パネル4を支持する機能とを兼用している。よって、かかる機能を有する部材を別々に設けるよりも、上パネル4を支持する位置の自由度が向上する。従って、鍵3が、がたつくのを抑制しつつ、上パネル4が撓み難い位置で上パネル4を後方ガイド25で支持できるし、装置が大型化するのを抑制できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子鍵盤楽器に関し、特に、鍵のがたつきと装置の大型化とを抑制しつつ、鍵の後方を覆う上パネルを強固に支持できる電子鍵盤楽器に関する。
次の特許文献1には、鍵の後方がパネル3に覆われている電子鍵盤楽器が記載されている。かかる電子鍵盤楽器では、パネル3に覆われている鍵の後方に支点部11aと、共通基端部11bとが設けられており、支点部11aで鍵の横揺れが規制され、共通基端部11bの位置でパネル3が支持されている。
特開平10−240254号公報(段落0019参照)
しかしながら、特許文献1に記載されている電子鍵盤楽器では、支点部11aと、共通基端部11bとが装置の奥行き方向に並んで配置されている。そのため、装置が奥行き方向に大型化するという問題点があった。
また、共通基端部11bを配置する位置、即ち、パネル3を支持する位置が、鍵の横揺れを規制する支点部11aによって制約される。そのため、任意の位置でパネル3を支持できず、パネル3を強固に支持できないという問題点があった。
本発明は、電子鍵盤楽器に関し、特に、鍵のがたつきと装置の大型化とを抑制しつつ、鍵の後方を覆う上パネルを強固に支持できる電子鍵盤楽器を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
請求項1記載の電子鍵盤楽器によれば、次の効果を奏する。シャーシが上パネルとの間に鍵の後方を挟んだ位置に配設されている。鍵の後方には、シャーシ側と上パネル側とに通じる貫通穴が貫通している。後方ガイドは、シャーシから貫通穴を通過して上パネル側に延びている。そのため、後方ガイドによって鍵のがたつきを抑制できる。また、上パネルは、後方ガイドによって支持されている。即ち、後方ガイドは、鍵のがたつきを抑制する機能と、上パネルを支持する機能とを兼用している。よって、かかる2つの機能を有する部材を別々に設ける場合よりも、上パネルを支持する位置の自由度が向上する。従って、上パネルが撓み難い位置で上パネルを支持できるし、装置が大型化するのを抑制できる。結果、鍵のがたつきと装置の大型化とを抑制しつつ、鍵の後方を覆う上パネルを強固に支持できるという効果がある。
請求項2記載の電子鍵盤楽器によれば、請求項1記載の電子鍵盤楽器が奏する効果に加え、次の効果を奏する。複数の鍵が並べられる方向を幅方向とする。後方ガイドは、ガイド本体が貫通穴を通過する位置に、ガイド本体から幅方向にブラケットが延びている。よって、幅方向において鍵と後方ガイドとの隙間を小さくできる。従って、特に、鍵が幅方向へがたつくのを抑制できるという効果がある。
請求項3記載の電子鍵盤楽器によれば、請求項1又は2に記載の電子鍵盤楽器が奏する効果に加え、次の効果を奏する。複数の鍵の各々を回動可能に軸支する回動軸と、複数の鍵の各々について設けられている後方ガイドとは、シャーシと一体に構成されている。よって、回動軸と、後方ガイドとの位置ずれが発生せず、鍵の回動不良が発生するのを防止できる。また、隣合う鍵を精度よく配置でき、鍵同士が衝突するのを防止できるという効果がある。
請求項4記載の電子鍵盤楽器によれば、請求項1から3のいずれかに記載の電子鍵盤楽器が奏する効果に加え、次の効果を奏する。鍵は、上壁と、その上壁の長手方向両縁から垂下する一対の側壁とを備えている。一対の側壁の間には前方ガイドが介在し、前方ガイドは、後方ガイドを回動軸との間に挟んだ位置に設けられている。よって、後方ガイドを回動軸との間に挟んだ位置においても前方ガイドによって鍵のがたつきを抑制できる。また、鍵のがたつきによって回動軸に軸支されている部分にストレスが加わり、かかる部分が異音を発生したり、かかる部分が変形したりするのを防止できるという効果がある。
請求項5記載の電子鍵盤楽器によれば、請求項1から4のいずれかに記載の電子鍵盤楽器が奏する効果に加え、次の効果を奏する。後方ガイドの先端は、上パネルから垂下する支柱の先端に当接している。即ち、上パネルは、支柱を介して後方ガイドに支持されている。よって、シャーシから上パネル側に延ばす後方ガイドの長さを短くできる。従って、後方ガイドの剛性を向上できるという効果がある。
請求項6記載の電子鍵盤楽器によれば、請求項1から4のいずれかに記載の電子鍵盤楽器が奏する効果に加え、次の効果を奏する。弾性部材の上面には支柱の先端が当接し、弾性部材の下面には後方ガイドの先端が当接している。後方ガイドの先端は、弾性部材の下面うち支柱の先端と重畳する位置に当接している。よって、シャーシから上パネル側に延ばす後方ガイドの長さを短くできる。従って、後方ガイドの剛性を向上できるという効果がある。また、鍵が後方ガイドに衝突して、その衝突によって後方ガイドが振動しても、その振動を弾性部材で吸収できる。従って、かかる振動によって異音が発生するのを防止できるという効果がある。
(a)は、電子鍵盤楽器の平面図である。(b)は、(a)に示すIb−Ib断面線における電子鍵盤楽器の断面図である。 図1(b)のII−II断面線における後方ガイドの部分断面図である。 (a1)は、シャーシ本体に固定されている本実施形態のベース部材の側面図であり、(a2)は、(a1)に示す矢印IIIa2方向視における電子鍵盤楽器の底面図である。(b1)は、本実施形態とは異なる向きでシャーシ本体に固定されているベース部材の側面図であり、(b2)は、(b1)に示す矢印IIIb2方向視における電子鍵盤楽器の底面図である。 (a)は、横揺れ規制部を備えた本実施形態のハンマの平面図である。(b)は、横揺れ規制部52を備えていないハンマの平面図である。 (a)〜(c)は、それぞれ図2に相当する図であって、後方ガイドによって上パネルを支持する方法の第1変形例〜第3変形例を説明するための部分断面図である。 (a)〜(c)は、それぞれ図2に相当する図であって、後方ガイドによって上パネルを支持する方法の第4変形例〜第6変形例を説明するための部分断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、電子鍵盤楽器の平面図である。図1(b)は、図1(a)に示すIb−Ib断面線における電子鍵盤楽器の断面図である。尚、本実施形態では、複数の鍵3が並ぶ方向を幅方向W、鍵3の長手方向を奥行き方向Dと称す。また、図1(a)では、鍵3は、黒鍵5本、白鍵7本の合計12鍵分だけを図示し、その他の図示は省略してある。
電子鍵盤楽器1は、鍵3の操作に応じて図示しない電子回路から出力される信号で楽音を発生するものであり、特に、鍵の幅方向Wへのがたつきと装置の大型化とを抑制しつつ、鍵の後方を覆う上パネル4を強固に支持できるものである。電子鍵盤楽器1としては、例えば、電子ピアノ、電子オルガン、電子キーボード、シンセサイザなどが例示される。
電子鍵盤楽器1は、主に、シャーシ2と、シャーシ2に回動自在に軸支される鍵3と、鍵3の後方を覆う上パネル4と、鍵3の押鍵、離鍵に連動して回動するハンマ5とよって構成されている。尚、図1(a)では、上パネル4は、一部だけを図示している。
シャーシ2は、電子鍵盤楽器1の骨格を形成するものであり、樹脂材料により所定の幅単位のブロックで形成されている。シャーシ本体20の複数のブロック体と、シャーシ本体20の上方に形成されるシャーシ上壁21と、シャーシ本体20の底方に形成されるシャーシ底壁22a〜22cとによって構成されている。
シャーシ本体20は、鍵3の下方において隣合う鍵3(隣合うハンマ5)の間に形成されている。シャーシ上壁21は、鍵3の後方を上パネル4との間に挟むに位置に形成されている。シャーシ上壁21には、鍵3の後方から鍵回動軸24と、後方ガイド25とが奥行き方向Dに並んで設けられている。
鍵回動軸24は、鍵3を回動可能に軸支するものであり、鍵3毎に形成されている。ここで、鍵3は、上壁32と、上壁32の奥行き方向Dに延びる両縁から垂下する一対の側壁33と、上壁32の前端から垂下する前壁34とによって、底側が開放された断面略コ字状に形成されている。また、側壁33の後方には、フック部35が連設されている。鍵回動軸24には、鍵3のフック部35が引っ掛けられている。鍵3は、フック部35を介して鍵回動軸24に軸支され、鍵回動軸24を中心に回動する。
後方ガイド25は、鍵3の幅方向Wのがたつきを抑制すると共に、上パネル4を支持するものであり、鍵3毎に設けられている。後方ガイド25は、シャーシ上壁21から上パネル4側に延びている。シャーシ上壁21の上方には、鍵3の上壁32が位置しているが、鍵3の上壁32には貫通穴32aが貫通している。後方ガイド25は、貫通穴32aを通過して上パネル4側に延びている。そのため、後方ガイド25によって鍵3が、がたつくのを抑制できる。
また、鍵3毎の鍵回動軸24と、鍵3毎の後方ガイド25とは、シャーシ本体20のブロック単位でシャーシ上壁21と一体に構成されている。そのため、鍵回動軸24と、後方ガイド25との位置ずれが発生せず、鍵3の回動不良が発生するのを防止できる。また、隣合う鍵3各々の距離を精度よく配置でき、鍵3同士が衝突するのを防止できる。
後方ガイド25の先端は、上パネル4から基板6を貫通して垂下する支柱41の先端と当接している。換言すれば、後方ガイド25は、支柱41を介して上パネル4を支持している。尚、基板6には、上パネル4に設けられる各種スイッチや、液晶パネルと接続される電子回路が搭載されている。上パネル4からは、奥行き方向Dに支柱41を挟んで内部に雌ねじが形成されている円柱型のボス42が垂下している。基板6は、ボス42を介して上パネル4にビス止めされている。ここで、図2を参照して、後方ガイド25について詳細に説明する。
図2は、図1(b)のII−II断面線における後方ガイド25の断面図である。尚、図2では、後方ガイド25の外形の理解を容易するため、後方ガイド25と支柱41は、その一部を断面視している。
後方ガイド25は、円柱状のガイド本体25aと、ガイド本体25aから幅方向Wの両方に延びる第1ブラケット25bと、ガイド本体25aから奥行き方向D(図1(b)参照)の両方に延びる第2ブラケット25cとによって構成されている。
後方ガイド25には、ガイド本体25aに第1ブラケット25bが設けられているので、側壁33の内面と第1ブラケット25bとの隙間が、側壁33の内面とガイド本体25aとの間隔よりも小さくなっているので、第1ブラケット25bによって、鍵3の幅方向Wのがたつきを抑制できる。また、貫通穴32aの幅方向Wの長さは、一対の側壁33の内面間の長さと等しく形成されている。そのため、側壁33の内面と第1ブラケット25bとの隙間が所定距離に渡って高さ方向(図2の上下方向)に延び、より確実に鍵3の幅方向Wのがたつきを抑制できる。更に、後方ガイド25は、第1,第2ブラケット25b,25cによって剛性が高められている。尚、後方ガイド25と、側壁33の内面との間には、グリスなどの潤滑油が塗布され、鍵3が貫通穴32aに沿って摺動し易くなっている。
支柱41は、上パネル4から基板6を貫通して下方に延びる円柱状の支柱本体41aと、支柱本体41aから幅方向Wの両方と、奥行き方向Dの両方とに延びるブラケット41cとによって構成されている。支柱41には、ブラケット41cが設けられているので剛性が高められている。
支柱41は、支柱本体41aの端面が後方ガイド25の端面と当接している。即ち、後方ガイド25は、支柱41を介して上パネル4を支持している。支柱41を設けず、後方ガイド25を上パネル4まで延ばし、直接、後方ガイド25で上パネル4を支持することも可能である。しかし、この場合は、後方ガイド25が長くなり剛性が低下する。また、後方ガイド25を、鍵3と基板6との両方を貫通させる必要があり、位置合わせが困難になる。
これに対し、本実施形態では、後方ガイド25は、支柱41(支柱本体41aの端面)に当接し、支柱41を介して上パネル4を支持している。よって、後方ガイド25の長さを短くでき、後方ガイド25の剛性を確保し易い。また、鍵3と基板6との両方を貫通させる必要がないので、位置合わせも容易である。
このように、後方ガイド25は、鍵3が幅方向Wにがたつくのを抑制する機能と、上パネル4を支持する機能とを兼用している。よって、かかる機能を有する部材を別々に設ける場合よりも、上パネル4を支持する位置の自由度が向上する。従って、鍵3が幅方向Wにがたつくのを抑制しつつ、上パネル4が撓み難い位置で上パネル4を後方ガイド25で支持できるし、装置が大型化するのを抑制できる。尚、後方ガイド25は後述する前方ガイド11と同様に、ゴムやエラストマーなどの弾性部材からなるカバーで被覆してもよい。
図1に戻り説明を続ける。シャーシ底壁22a〜22cには、その下方に断面視コの字型に形成された金属製のベース部材7〜9が固定されている。シャーシ2は、ベース部材7〜9によって剛性が高められている。また、ベース部材8とベース部材9とは、同じ部品によって構成されているので、部品点数を削減できる。更に、ベース部材8と、ベース部材9とは、互いに背中合わせで固定されている。その理由を、図3を参照して説明する。
図3(a1)、(a2)は、本実施形態を示し、ベース部材8とベース部材9とを、互いに背中合わせで固定した状態を示している。図3(a1)は、シャーシ本体20と、ベース部材8,9との側面図、図3(a2)は、図3(a1)に示す矢印IIIa2方向視における電子鍵盤楽器1の底面図である。
図3(b1)、(b2)は、図3(a1)、(a2)に示すベース部材8を反対向きに固定した状態を示している。図3(b1)は、シャーシ本体20と、ベース部材8,9との側面図、図3(b2)は、図3(b1)に示す矢印IIIb2方向視における電子鍵盤楽器1の底面図である。
ベース部材8とベース部材9とは、複数のシャーシ本体20を連結し、シャーシ2の剛性を高めるべく、電子鍵盤楽器鍵1の幅方向Wの全長に渡って長尺に形成されている。そのため、ベース部材8とベース部材9とは、プレス加工時に、一定方向に湾曲して成形されることがある。そのため、湾曲して成形されたベース部材8,9を、図3(b1)、(b2)に示す通り、互いに同じ向きでシャーシ本体20に固定すると、ベース部材8,9に倣って、シャーシ2全体が湾曲してしまうことがあった。即ち、シャーシ2の全体が水平線Hに対し後方(図3(b2)の上方)に湾曲してしまうことがあった。
そこで、本実施形態では、図3(a1)、(a2)に示す通り、ベース部材8とベース部材9とは、互いに背中合わせで固定されている。これにより、ベース部材8とベース部材9とは、互いの湾曲を相殺するように作用する。よって、図3(b1)、(b2)のように、シャーシ2全体が湾曲してしまうのを防止できる。換言すれば、図3(a1)、(a2)に示す通り、シャーシ2の全体を水平線Hに対し並行にできる。
尚、図3(a1)、(a2)では、ベース部材8とベース部材9とを、互いに背中合わせで固定する場合について説明したが、それとは反対(即ち、断面視コの字型の開口側が互いに向き合うように)に固定しても良い。この場合でも、互いに背中合わせで固定する場合と同様な効果が得られる。
図1に戻り説明を続ける。シャーシ底壁22cには、ベース部材9とは反対側に金属製の金物10が固定されている。金物10の前方(図1(b)の右側)には、前方ガイド11が設けられている。
前方ガイド11は、鍵3が幅方向Wにがたつくのを抑制するものであり、鍵3の底方から、鍵3の両端から垂下された一対の側壁33の間に延びている。そのため、鍵3が幅方向Wにがたつくのを抑制できる。また、前方ガイド11は、ゴムやエラストマーなどの弾性部材からなるカバー12で被覆されているので、鍵3の側壁33と前方ガイド11とが衝突した場合の衝撃を緩衝できる。また、カバー12にはグリスなどの潤滑油が塗布され、鍵3との間で摺動し易くなっている。
更に、前方ガイド11は、奥行き方向Dにおいて後方ガイド25を鍵回動軸24との間に挟んだ位置に設けられている。即ち、電子鍵盤楽器1は、鍵回動軸24よりも前方において、後方ガイド25と、前方ガイド11との両方によって鍵3が幅方向Wにがたつくのが抑制されている。よって、鍵3が、がたつくことで、鍵回動軸24に軸支されている鍵3のフック部35に掛かるストレスが軽減され、鍵3のがたつきにより、鍵3のフック部35が異音を発生したり、変形したりするのを防止できる。
前方ガイド11が連設されている金物10のフランジ部と、それとは反対側に位置する金物10のフランジ部とには、クッション材13a,13b、13cが貼り付けられている。また、前方ガイド11が連設されているのとは反対の金物10の端部には、クッション材13cが貼り付けられている。クッション材13a、13b、13cは、緩衝材または消音材として機能するものであり、フェルトや発泡ウレタンなどから構成されている。一方、鍵3の側壁33には、側面視L字状のストッパ部材37が形成されている。鍵3が押鍵されると鍵3の側壁33がクッション材13b、13cに衝突し、鍵3が離鍵されると鍵3のストッパ部材37がクッション材13aに衝突する。そのため、クッション材13a、13b、13cによって、鍵3との衝撃を吸収できると共に、衝突した際に発生する音を小さくできる。
鍵3は、シャーシ本体20の上方に配設され、樹脂材料で構成されている。鍵3の側壁33の奥行き方向Dには、その中央部に略尖形形状の連結突起36がハンマ5に向けて設けられている。連結突起36は、鍵3とハンマ5とを連結(接触)するものである。即ち、鍵3は、押鍵時にはハンマ5の重量により所定のタッチ重さが付与され、離鍵時には、ハンマ5の重量により上方に持ち上げられている。
ハンマ5は、鍵3毎に幅方向Wへ列設され、樹脂材料内に金属部材がインサート成形された構造で構成されている。ハンマ5は、鍵3の押鍵または離鍵に連動して回動することによって、アコースティックピアノと同様のタッチ重さを付与するためのものである。ハンマ5は、主に、ハンマ本体50と、軸受51とによって構成されている。
ハンマ本体50は、軸受51を挟んで奥行き方向Dの両側に延びている部分である。軸受51は、ハンマ本体50に連設され、ハンマ回動軸23に軸支される部分であり、断面視C型に形成されている。ハンマ回動軸23は、ハンマ5を軸支するものであり、シャーシ本体20のサブシャーシ20aから突設されている。ハンマ5の軸受51は、ハンマ回動軸23に嵌め込まれ、ハンマ5はハンマ回動軸23を中心に回動する。また、ハンマ本体50には、軸受51の前方(図1(b)の右方)に横揺れ規制部52が設けられている。ここで、図4を参照して、横揺れ規制部52について説明する。
図4(a)は、横揺れ規制部52を備えた本実施形態のハンマ5の平面図である。図4(b)は、横揺れ規制部52を備えていないハンマ5の平面図である。
図4(a)に示す通り、横揺れ規制部52は、ハンマ5の長手方向(奥行き方向D)の中心線Sを跨いで軸受51の前方(図4の上方)の一部に設けられている。ハンマ5の軸受51と、横揺れ規制部52とは、ハンマ本体50よりも肉厚な肉厚Whで構成されている。ハンマ5の軸受51は、間隔Wcを空けて対向するサブシャーシ20aの間に橋渡しされているハンマ回動軸23に嵌められている(図1(b)参照)。軸受51と横揺れ規制部52とは、対向するサブシャーシ20aの内面の間に位置し、サブシャーシ20aの内面と摺動しながらハンマ回動軸23を中心に回動する。尚、軸受51とサブシャーシ20aの内面との間、横揺れ規制部52とサブシャーシ20aの内面との間には、グリスなどの潤滑油を塗布され、摺動し易くなっている。
このように、横揺れ規制部52が設けられている場合は、図4(b)に示すように、横揺れ規制部52が設けられていない場合に比べて、横揺れ規制部52がサブシャーシ20aと衝突し、ハンマ5が幅方向Wにがたつくのを抑制できる。換言すれば、ハンマ5の後方(図4の下方)において、ハンマ5が幅方向Wにがたつく程度を小さくできる(X2>X1)。従って、ハンマ5が他の部材と衝突するのを防止できる。
また、軸受部51の直径を大きくしたり、あるいは、軸受部51の全周に横揺れ規制部52に相当する構成を設けたりすることも可能である。しかし、かかる場合には、サブシャーシ20aの内面との間の摩擦抵抗が大きくなり、鍵3を押鍵した際の感触が阻害される。これに対し、本実施形態の横揺れ規制部52は、軸受51の前方(図4の上方)の一部だけに設けられているので、ハンマ5が幅方向Wにがたつく程度を小さくしつつ、鍵3を押鍵した際の感触を良好な状態に維持できる。
尚、本実施形態では、横揺れ規制部52を軸受51の前方(図4の上方)の一部だけに設ける場合について説明したが、横揺れ規制部52とハンマ回動軸23を挟んだ反対側に設けても良い、かかる場合でも上述したのと同様の効果が得られる。
図1に戻り説明を続ける。ハンマ本体50には、鍵3の連結突起36が当接する位置とは反対の面にスイッチ突起53が下方に向けて突設されている。一方、シャーシ本体20には、スイッチ突起53と対向する位置にスイッチ14が設けられている。
鍵3の押鍵に連動してハンマ5がハンマ回動軸23を中心に回動すると、ハンマ5のスイッチ突起53によりスイッチ14がONされ、鍵3の離鍵に連動して、スイッチ14がOFFされる。これにより、鍵3の押鍵、離鍵などを検出できる。
上述した通り、本実施形態の電子鍵盤楽器1では、鍵3の後方を覆う上パネル4は、シャーシ上壁21から鍵3の貫通穴32aを通過する後方ガイド25によって支持されている。即ち、後方ガイド25は、鍵3が幅方向Wにがたつくのを抑制する機能と、上パネル4を支持する機能とを兼用している。よって、かかる機能を有する部材を別々に設けるよりも、上パネル4を支持する位置の自由度が向上する。従って、鍵3が幅方向Wにがたつくのを抑制しつつ、上パネル4が撓み難い位置で上パネル4を後方ガイド25で支持できるし、電子鍵盤楽器1が大型化するのを抑制できる。
次に、図5、図6を参照して、上述した後方ガイド25によって上パネル4を支持する方法の変形例を説明する。図5(a)〜(c)と、図6(a)〜(c)との各々は、図2に相当する図であり、図5(a)は第1変形例、図5(b)は第2変形例、図5(c)は第3変形例、図6(a)は第4変形例、図6(b)は第5変形例、図6(c)は第6変形例を説明するための図である。
第1変形例は、図5(a)に示す通り、支柱41の先端と、後方ガイド25の先端との間に、基板6と防振材15とを挟んで後方ガイド25で上パネル4を支持する方法である。防振材15は、例えば、ゴムやエラストマーなどの弾性部材からなる弾性体から構成されている。後方ガイド25の先端は、防振材15と、基板6とを介して、支柱41の先端と重畳する位置にある。即ち、後方ガイド25も、支柱41も基板6は貫通していない。尚、防振材15の固定方法は接着剤によるもの、両面テープによるものなどがあり、また、取り付けるのは後方ガイド25、基板6のいずれか片方のみに張り付け、もしくは、接着されることで固定し、他方はある程度自由に摺動するようにした方が好ましい。
この方法でも、上パネル4は、基板6、防振材15を介して後方ガイド25に支持されているので、上記実施形態と同様な効果を奏する。また、第1変形例では、基板6に貫通穴を設ける必要がない分、位置合わせが容易である。更に、後方ガイド25と、支柱41との間に防振材15が設置されているので、鍵3が後方ガイド25と衝突しても、その振動を防振材15で吸収できる。よって、かかる衝突の影響で、後方ガイド25と支柱41との支持位置がずれたり、異音が発生したりするのを防止できる。
第2変形例は、図5(b)に示す通り、防振材15を、支柱41と基板6との間に設けたものである。かかる場合でも、上述した第1変形例と同様な効果がある。尚、防振材15は、後方ガイド25と基板6との間と、支柱41と基板6との間との両方に設けても良い。かかる場合には、鍵3が後方ガイド25と衝突した場合の振動を、より確実に吸収できる。
第3変形例は、図5(c)に示す通り、防振材15を設けず、支柱41の先端と、後方ガイド25の先端との間に、基板6を挟んで後方ガイド25で上パネル4を支持する方法である。かかる場合には、基板6に貫通穴を設ける必要がない分、上記実施形態よりも位置合わせが容易である。
第4変形例は、図6(a)に示す通り、後方ガイド25の先端に環状突起25dを設けたものである。即ち、環状突起25dによって、後方ガイド25の先端に、支柱41の先端が嵌めこまれる凹部を形成したものである。これにより、鍵3が後方ガイド25と衝突しても、その振動を環状突起25dで吸収できる。よって、かかる衝突の影響で、後方ガイド25と支柱41との支持位置がずれるのを防止できる。
第5変形例は、図6(b)に示す通り、図6(a)とは逆に、支柱41の先端に環状突起41dを設けたものである。即ち、環状突起41dによって、支柱41の先端に、後方ガイド25の先端が嵌めこまれる凹部を形成したものである。これにより、鍵3が後方ガイド25と衝突しても、その振動を環状突起41dで吸収できる。よって、かかる衝突の影響で、後方ガイド25と支柱41との支持位置がずれるのを防止できる。
第6変形例は、図6(c)に示す通り、防振材15の上面には支柱41の先端が当接し、防振材15の下面には後方ガイド25の先端が当接している。後方ガイド25の先端は、防振材15の下面うち支柱41の先端と重畳する位置に当接している。よって、シャーシ上壁21から上パネル4側に延ばす後方ガイド25の長さを短くできる。従って、後方ガイド25の剛性を向上できる。また、鍵3が後方ガイド25に衝突して、その衝突によって後方ガイド25が振動しても、その振動を防振材15で吸収できる。従って、かかる振動によって異音が発生するのを防止できる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施形態では、後方ガイド25をシャーシ上壁21から立設する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、シャーシ上壁21の下方に、後方ガイド25を立設するための別の新たなシャーシを設けても良いし、既存のシャーシを使用しても良い。かかる場合は、鍵回動軸24を設けるシャーシと、後方ガイド25を設けるシャーシとを分離できるので、シャーシにかかる荷重を軽減できる。
上記実施形態では、後方ガイド25に第1、第2ブラケット25b、25cを設ける場合について説明したが、これに限定されない。第1、第2ブラケット25b、25cは必ずしも設けなくともよく、第1、第2ブラケット25b、25cの少なくも1方を設けるようにしても良い。また、幅方向Wと、奥行き方向Dとは、別の方向にもブラケットを設けても良い。かかる場合には、ブラケットが延びる方向について鍵のがたつきを効果的に防止できる。
上記実施形態では、図2に示す通り、支柱41が基板6を貫通する場合について説明したが、これに限定されない。後方ガイド25が基板6を貫通するように構成しても良い。かかる場合でも、上記実施形態と同様の効果がある。
上記実施形態では、後方ガイド25の先端と、支柱41の先端とを当接させる場合について説明したが、例えば、両者を両面テープなどで固定しても良い。かかる場合には、鍵3が後方ガイド25と衝突しても、かかる衝突の影響で、後方ガイド25と支柱41との支持位置がずれるのを防止できるとともに、異音が発生するのを防止することができる。
上記実施形態では、図1(b)に示す通り、支柱41を奥行き方向Dにおいてボス42の間に挟まれた位置に設ける場合について説明したが、これに限定されない。例えば、支柱41を前方(図1(b)の右側)のボス42の位置に設け、かかる位置で後方ガイド25によって上パネル4を支持するようにしても良い。また、ボス42に螺着されるビスを皿ネジとし、皿ネジの下方を後方ガイド25で支持するようにしても良い。この場合には、ボス42を介して基板6を上パネル4に固定できると共に、ボス42を介して後方ガイド25によって上パネル4を支持できる。即ち、支柱41を省略できる。
上記実施形態では、鍵3毎に後方ガイド25を設ける場合について説明したが、これに限定されない。例えば、一部の後方ガイド25には、鍵3のがたつき防止機能と、上パネル4の支持機能とのうち、鍵3のがたつき防止機能だけを持たせるようにしても良い。また、後方ガイド25の各々は、図1(a)に示す通り、幅方向Wに一列に並べる必要はない。例えば、黒鍵と、白鍵とで後方ガイド25の設置位置を奥行き方向Dにずらして設けても良い。また、上パネル4が撓み易い位置では、2本以上の後方ガイド25で上パネル4を支持したり、他の後方ガイドよりも太い後方ガイドで上パネル4を支持したりするようにしても良い。即ち、後方ガイド25は、上パネル4が極力撓まないような位置に設けることができる。
1 電子鍵盤楽器
2 シャーシ
3 鍵
4 上パネル
15 防振材(弾性部材の一例)
21 シャーシ上壁(シャーシの一例)
24 鍵回動軸(回動軸の一例)
25 後方ガイド
25a ガイド本体
25b 第1ブラケット(ブラケットの一例)
32 上壁
32a 貫通穴
33 側壁
41 支柱

Claims (6)

  1. 回動軸を中心に回動する鍵と、その鍵の後方を上方から覆う上パネルとを備えた電子鍵盤楽器において、
    前記上パネルとの間に前記鍵の後方を挟んだ位置に配設されるシャーシと、
    前記鍵の後方を貫通して前記シャーシ側と前記上パネル側とに通じる貫通穴と、
    前記シャーシから前記貫通穴を通過して前記上パネル側に延び、前記上パネルを支持する後方ガイドとを備えていることを特徴とする電子鍵盤楽器。
  2. 前記鍵は、幅方向に複数並べられ、
    前記後方ガイドは、ガイド本体と、そのガイド本体が前記貫通穴を通過する位置に前記ガイド本体から前記幅方向に延びるブラケットとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電子鍵盤楽器。
  3. 前記シャーシは、前記複数の鍵の各々を回動可能に軸支する複数の回動軸を備え、
    前記後方ガイドは、前記複数の鍵の各々について複数設けられ、
    前記複数の回動軸と、前記複数の後方ガイドとは、前記シャーシと一体に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子鍵盤楽器。
  4. 前記鍵は、上壁と、その上壁の長手方向両縁から垂下する一対の側壁とを備え、
    前記後方ガイドを前記回動軸との間に挟んだ位置において前記鍵の下方から前記一対の側壁の間に延びる前方ガイドを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
  5. 前記上パネルから垂下する支柱を備え、
    前記後方ガイドの先端は、前記支柱の先端に当接していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
  6. 前記上パネルから垂下する支柱と、
    上面が前記支柱の先端と当接し、上面の反対の下面が前記後方ガイドの先端と当接する弾性部材と備え、
    前記後方ガイドの先端は、前記弾性部材の下面うち前記支柱の先端と重畳する位置に当接していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
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