JP2016014699A - トナー粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温で定着が可能であり、かつ、十分な耐熱保存性を有し、高温保存による性能の変化が少ないトナーを安定して得られる製造方法を提供する。【解決手段】 結着樹脂、着色剤およびブロックポリマーを含有する乳化粒子を水系媒体中で凝集および合一させることによって樹脂粒子分散液を製造し、その後に、樹脂粒子分散液の温度を、樹脂粒子のガラス転移点TgA−15(℃)以上であって樹脂粒子に含まれるブロックポリマー由来の吸熱ピークのオンセット温度TmA(℃)以下の温度範囲内、かつ、温度変動幅が20℃以下となるように、0.35℃/分以下の温度変動速度を60分以上維持する工程を有する。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット方式記録法などの方法によって形成される静電潜像を現像してトナー画像を形成するために用いられるトナー粒子の製造方法に関する。
近年、複写機、プリンター、ファックスなどの画像形成装置においては、省エネルギー化が大きな技術的課題として考えられており、定着装置にかかる熱量の大幅な削減が望まれている。
したがって、トナーにおいては、より低エネルギーでの定着が可能な、いわゆる「低温定着性」のニーズが高まっている。
また、これら画像形成装置の需要の高まりにつれて、様々な使用環境下、とりわけ温度や湿度の異なる環境下においても、安定して高画質の画像を得ることができる画像形成装置が求められている。さらには、過酷な環境下における多数枚の複写またはプリントによっても、画質低下のない高耐久性が要求されるようになっている。
トナーの低温定着性を改善するための方法としては、例えば、トナー粒子に使用する結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を低くする方法が挙げられる。
しかしながら、単に結着樹脂のガラス転移温度(Tg)を低下させるだけでは、トナーの耐熱保存性が低下してしまい、低温定着性と耐熱保存性とを高いレベルで両立させることは困難である。
そこで、トナーの低温定着性と耐熱保存性とを高いレベルで両立させるため、シャープメルト性に優れた結晶性樹脂をトナー粒子に使用する方法が検討されている。
結晶性ポリエステル樹脂は、高分子鎖が規則的に配列した構造を有しており、融点未満の温度領域では軟化しにくく、融点を境に急激に溶融して粘度低下を起こす性質を有している。このような特性から、結晶性ポリエステル樹脂は近年特に注目されており、これをトナーの材料として用いる検討が盛んに行われている。
しかしながら、単純に結晶性樹脂を添加しただけでは、トナーの耐熱保存性が悪化する場合があるだけでなく、トナーの製造条件や高温での保存によって結晶性樹脂の結晶化度が変化し、それに伴ってトナーの性能が劣化する場合がある。そのため、該結晶性樹脂の特性を活用するために、種々の工夫がなされたトナーが提案されている。具体的には、結晶性樹脂を、該結晶性樹脂の融点未満の温度に長時間置くことで、該結晶性樹脂の結晶を成長させ、耐熱保存性の向上、および高温放置による結晶化度の変化を抑える工夫がなされている。
特許文献1では、結晶性樹脂を含有したトナーを45℃以上65℃以下の温度で保管する工程を含むトナーの製造方法が提案されている。しかしながら、上記したトナーの製造方法では、該温度で保管する工程により、一部のトナーが凝集する場合がある。また、乾式で該工程を行うことで、トナー表面近傍に存在していた結晶性樹脂が、結晶成長に伴いトナー表面に移行する現象が生じ、画像濃度やその他のトナーの現像性能が低下する恐れがある。
特許文献2では、非晶性ポリエステルに結晶性ポリエステルを添加したトナーにおいて、該結晶性ポリエステルの融点未満の特定の温度で加熱処理を行う方法が提案されている。上記したトナーでは、結着樹脂に非晶性ポリエステルを用いているため、トナーの製造工程において結晶性ポリエステルが結着樹脂に相溶する。そのため、その後の加熱処理における結晶化度向上の効率が非常に低くなるだけでなく、該処理中にトナーの一部が凝集してしまう場合がある。また、一部の成分については相溶したままになってしまい、トナー性能の経時変化が生じる可能性がある。
特許文献3には、結晶性ポリエステルの樹脂微粒子分散液の分散安定性を保持する製造方法が提案されている。該文献からもわかるとおり、結晶性ポリエステルの樹脂微粒子分散液を分散安定に保持するには、非常に精密なpH制御などが必要であり、トナーの製造に応用した場合には製造安定性の確保が困難になることが予想される。
以上のように、結晶性樹脂を導入したトナーにおいて、結晶性樹脂の添加による定着性能を十分に活かしながら、トナーの経時変化に対する弊害を抑えるために種々の工夫がなされている。
しかしながら、十分な性能のトナーが得られる製造安定性の高い製造方法は未だ提案されていなかった。
特開2006−065015号公報 特開2009−128652号公報 特開2010−77319号公報
本発明は、上述した従来の問題点を解決したトナーの製造方法を提供するものである。
すなわち、本発明は、低温で定着が可能であり、かつ、十分な耐熱保存性を有し、高温保存による性能の変化が少ないトナーを安定して得られる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂、
着色剤、ならびに、
ポリエステル部位およびビニルポリマー部位を有するブロックポリマー
を含有するトナー粒子の製造方法であって、
該結着樹脂、該着色剤および該ブロックポリマーを含有する乳化粒子を水系媒体中で凝集および合一させることによって樹脂粒子分散液を製造する工程と、
該樹脂粒子分散液を製造する工程の後に、該樹脂粒子分散液の温度を、該樹脂粒子のガラス転移点TgA−15(℃)以上であって該樹脂粒子に含まれるブロックポリマー由来の吸熱ピークのオンセット温度TmA(℃)以下の温度範囲内、かつ、温度変動幅が20℃以下となるように、0.35℃/分以下の温度変動速度を60分以上維持する工程と、
を有することを特徴とするトナー粒子の製造方法
である。
また、本発明は、
ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂、
着色剤、ならびに、
ポリエステル部位およびビニルポリマー部位を有するブロックポリマー
を含有するトナー粒子の製造方法であって、
該結着樹脂、該着色剤および該ブロックポリマーを含有する乳化粒子を水系媒体中で凝集および合一させることによって樹脂粒子分散液を製造する工程と、
該樹脂粒子分散液を製造する工程の後に、該樹脂粒子分散液の温度を、該樹脂粒子のガラス転移点TgA−15(℃)以上であって該樹脂粒子に含まれるブロックポリマーの結晶化に伴う発熱が終了する温度TcA(℃)以下の温度範囲内、かつ、温度変動幅が20℃以下となるように、0.35℃/分以下の温度変動速度を60分以上維持する工程と、
を有することを特徴とするトナー粒子の製造方法
である。
本発明は、低温で定着が可能であり、かつ、十分な耐熱保存性を有し、高温保存による性能の変化が少ないトナーを安定して得られる製造方法を提供することができる。
本発明者らは、結晶性樹脂の結晶化度を向上させる工程(以下、アニール工程ともいう。)について、結晶性樹脂および結着樹脂の分子設計から見直して鋭意検討を重ねた。その結果、ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と、結晶性樹脂としてビニルポリマー部位およびポリエステル部位を有するブロックポリマーを用いた場合に、製造安定性を確保しながらアニール効果を十分に得られることを見出した。
従来の組合せとしてポリエステルの結着樹脂と、結晶性ポリエステルを用いた場合には、製造工程において結着樹脂と結晶性ポリエステルが完全に相溶する。このことはトナーのガラス転移温度が、元の結着樹脂のガラス転移温度と比べ大きく低下することからも裏付けられる。この状態からアニール工程を行った場合、結晶成長は結晶性ポリエステルが相溶状態から進行するため、長時間を要するものと考えられる。さらに、上記した結晶成長が進行する過程で、トナーの分散安定性が崩れる傾向にある。この理由は明確ではないが、前述したように結晶性ポリエステルそのものの樹脂微粒子の分散安定性は低いと考えられるため、その影響によるものと思われる。また、結晶性ポリエステルの結晶化が進むと同時に、低温定着性も悪化する傾向にある。
一方で、本発明における結着樹脂とブロックポリマーを用いた場合には、結着樹脂中にブロックポリマーが完全には相溶せず、ブロックポリマーのドメインを形成する。これは結晶性ポリエステルにビニルポリマー部位を導入することにより、結着樹脂であるポリエステル樹脂に対する相溶性が低下するためである。この状態からアニール工程を行った場合、形成されたドメイン内で、速やかに結晶核の形成が行われると予想され、その結果、アニール工程による効果が飛躍的に向上したと考えられる。また、結晶性ポリエステルをブロックポリマー化することで、樹脂微粒子の分散安定性が向上する。この理由は定かではないが、結晶性ポリエステルが非晶性のビニルポリマー部位を有することで、結晶性が低下し、結晶性樹脂特有の自己凝集力が低下したためと予想している。
さらに、本発明における結着樹脂とブロックポリマーを用いた場合には、ブロックポリマーの結晶化が進んでも、低温定着性の悪化が起こりにくい。これは、アニール工程を行っても、トナー中におけるブロックポリマーの分散状態が保たれているためと予想される。
以上のように本発明者らは、ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂と、ビニルポリマー部位およびポリエステル部位を有するブロックポリマーを用いたトナー粒子において、アニール工程での特有の効果を見出し、本発明に至った。
なお、一般的なブロックポリマーの定義としては、線状に連結した複数のブロックで構成されたポリマー(高分子学会 国際純正応用化学連合高分子命名法委員会による高分子科学の基本的術語の用語集)とあり、本発明もその定義に従う。
ここで、「ポリエステル樹脂を主成分とする」とは、結着樹脂の50質量%以上がポリエステル樹脂であることを意味する。本発明において、結着樹脂は、すべてポリエステル樹脂であることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知のトナーに用いられる結着樹脂を含めることも可能である。ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂を用いることで、ブロックポリマーのポリエステル部位と結着樹脂とが溶融時に相溶するため、低温定着性が向上する。
また、ブロックポリマーのビニルポリマー部位の組成はスチレン、メチルメタクリレート、n−ブチルアクリレートなどの公知のビニルモノマーを用いることができる。特にスチレンを主成分として用いた場合、ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂との相溶性や相分離構造の形成の観点から、より好ましい形態が得られる。
本発明は、乳化凝集法によって乳化粒子を凝集および合一させた樹脂粒子分散液を製造する。その後、樹脂粒子分散液の温度を、
該樹脂粒子のガラス転移点TgA−15(℃)以上であって該樹脂粒子におけるブロックポリマー由来の吸熱ピークのオンセット温度TmA(℃)以下の間の温度範囲内、かつ、
温度変動幅が20℃以下
となるように、0.35℃/分以下の温度変動速度を60分以上維持することによって達成される。温度変動幅は、好ましくは12℃以下であり、より好ましくは3℃以下である。
乳化凝集法とは、結着樹脂、着色剤粒子、ブロックポリマーなどが水系媒体中に分散された分散液中で、これらの粒子(乳化粒子)を凝集させて凝集粒子を得る工程(以下、「凝集工程」ともいう。)、および、前記凝集粒子を融合する(合一させる)工程(以下、「融合工程」ともいう。)を含む樹脂粒子の製造方法である。本発明において、上記した融合工程が終了した時点で樹脂粒子の製造が終了したとみなし、該樹脂粒子を用いてアニール工程を行った。乳化凝集法による樹脂粒子の製造方法については後述する。
アニール温度がTgA−15(℃)以上TmA(℃)以下であることで、ブロックポリマーの分子運動が結着樹脂に束縛されにくく、かつブロックポリマーの再結晶化が起こるため、アニール工程による効果が得られる。アニール温度がTmA(℃)よりも高い場合、アニール工程においてトナー凝集が生じたり、ブロックポリマー自体が溶融したりするため好ましくない。
本発明におけるアニール工程は、該樹脂粒子のガラス転移点TgA−15(℃)以上、該ブロックポリマーの冷結晶化に伴う発熱が終了する温度TcA(℃)以下の間の温度で行われることがより好ましい。TcA(℃)以下であることで、ブロックポリマーの結晶成長速度をより早めることができ、かつ低分子量成分などの低融点成分についても十分に結晶化を行うことができるため、アニールによる効果がより大きくなる。これにより、より優れた耐熱性や現像性を得ることができる。
該TgA(℃)、TmA(℃)、TcA(℃)については、各々の樹脂を構成する単量体の種類や、分子量で制御することができる。なお、該TgA(℃)、TmA(℃)、TcA(℃)の測定方法については後述する。
アニール工程中、温度の変動はないことが好ましいが、工程中の最大の温度変動速度が0.35℃/分以下であればアニール工程の効果を発現するうえで問題はない。温度変動速度は、0.20℃/分以下であることが好ましく、0.10℃/分以下であることがより好ましい。アニール工程における最大の温度変動速度が0.35℃/分以下であることで、ブロックポリマーの結晶核が効率的に形成され、トナーの分散安定を保ちながら、効率的に結晶成長を行うことができる。
アニール工程中の最高温度と最低温度の差である温度変動幅を20℃以下とすることで、ブロックポリマーの結晶核の形成と、結晶成長が十分な速度で行われるため、トナーの分散安定を保ちながらブロックポリマーを高結晶化度の状態にすることができる。
また、アニール工程に係る時間が60分以上であることで、ブロックポリマーの結晶化に伴う耐熱性の向上効果が得られる。アニール工程時間の上限としては特に定められるものではないが、1200分以上維持しても効果に大きな変化は生じないため、製造効率との兼ね合いから決定すればよいと思われる。また、アニール工程時間については合計時間が上記範囲に入っていればよく、数回にわけてアニール工程を行うこともできる。合計の維持時間は120分以上であることがより好ましい。
上記した制御により、優れた低温定着性と耐熱性を両立することが可能となり、かつ高温で保存をした後にも、定着性能や現像性能の変化が少ないトナーが安定して製造可能となる。また、温度変動幅とは、アニール工程中における最高温度と最低温度の差である。
製造安定性およびアニール効率という観点から、該ブロックポリマーのポリエステル部位が、下記式(1)で示されるジカルボン酸と、下記式(2)で示されるジオールとから構成されることがより好ましい。
HOOC−(CH2)m−COOH 式(1)
[式中、mは、6以上14以下の整数を示す。]
HO−(CH2)n−OH 式(2)
[式中、nは、6以上16以下の整数を示す。]
式中のmおよびnが上記範囲にあることで、バインダーとブロックポリマーの相溶性が高くなりすぎず、アニール処理時の結晶成長速度がより早くなる。これにより、耐熱性を維持しながら、より優れた低温定着性を得ることができる。上記mのより好ましい範囲としては7以上10以下である。上記nのより好ましい範囲としては6以上12以下である。mおよびnは14≦m+n≦22の関係を満たすことが好ましい。m+nが22以下であればより良好な定着性が得られる。また、m+nが14以上であればより良好な耐熱保存性および現像性が得られ、アニール処理時にトナー凝集が生じにくくなる。
該ポリエステル部位のソルビリティパラメータ(SP)値が9.40以上10.00以下であることがより好ましい。上記範囲を満たすことで、溶融時に結着樹脂とブロックポリマーが相溶するため、より大きな低温定着効果が得られる。
該ブロックポリマーのビニルポリマー部位のガラス転移点TgB(℃)が、TmA(℃)以上であることが好ましい。該TgB(℃)がTmA(℃)以上であることで、アニール工程はビニルポリマー部位のガラス転移点TgB(℃)以下で行われることになる。これにより、樹脂粒子中に微分散したブロックポリマーのドメインの移動および再配置を抑制することができ、トナー凝集を防ぎながら結晶化度の向上を図ることができる。結果として十分なアニール処理を行うことが可能となり、優れた耐熱保存性を得ることができる。
該ビニルポリマー部位のTgB(℃)は、ビニルポリマー部位を構成する単量体の種類や、ビニルポリマー部位の分子量で制御することができる。
さらに、該ブロックポリマーにおけるポリエステル部位(E)とビニルポリマー部位(V)との比率が、40:60〜70:30であることが好ましい。上記範囲にあることで、樹脂粒子中でのブロックポリマーの分散状態を微分散にしつつ、結晶性樹脂としての溶融特性も両立することができる。その結果、より優れた低温定着性を保持しながら、アニール工程における効果もより効率的に得ることができる。該ブロックポリマーにおけるポリエステル部位とビニルポリマー部位の比率は、ブロックポリマーの製造時の温度や合成時間などの製造条件、および単量体の仕込み比などで制御可能である。なお、該ブロックポリマーにおけるポリエステル部位とビニルポリマー部位の比率の分析方法については後述する。
該ブロックポリマーの吸熱ピークのピーク温度Tmp(℃)(該ブロックポリマーの融点)は55℃以上100℃以下であることが好ましい。上記範囲にあることで、アニール処理時の製造安定性を維持しつつ、ブロックポリマー添加による低温定着性を発揮しながら、耐熱性の低下を抑えることができる。Tmp(℃)は60℃以上90℃以下であることがより好ましい。該Tmp(℃)は、ブロックポリマーにおけるポリエステル部位を構成する単量体の種類や分子量で制御することができる。なお、Tmp(℃)の測定方法については後述する。
該ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)は20000以上45000以下であることが好ましい。20000以上であることで、結着樹脂に相溶したブロックポリマーが、アニール工程においてより速やかに再結晶化する。また45000以下であることで、ブロックポリマーの溶融粘度を低温定着性に適したものにすることができる。該ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)は23000以上40000以下であることがより好ましい。該ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ブロックポリマー製造時の合成温度や合成時間によって制御することが可能である。なお、該ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)の測定方法については後述する。
本発明のトナー粒子は、乳化凝集法を用いて樹脂粒子を製造した後に、該樹脂粒子を水系媒体中においてアニール処理を行うことで製造される。
以下に、乳化凝集法を用いた樹脂粒子の具体的な製造方法を説明するが、以下に限定されるものではない。
乳化凝集法では、結着樹脂、着色剤粒子、ブロックポリマー、およびその他の粒子が水系媒体に分散させた水系媒体中にて、それらの粒子を凝集させて凝集粒子を得る凝集工程、および、該凝集粒子を融合する融合工程を経て樹脂粒子を得る。そして、凝集の程度を調整することによって、トナー粒子径および粒径分布を調整することが可能である。より詳細には、結着樹脂が分散した分散液、着色剤粒子が分散した分散液、ブロックポリマーが分散した分散液を混合し、そこに凝集剤を添加してヘテロ凝集を生じさせることにより、凝集粒子を形成する。この際、離型剤などのトナーに含有させたい材料が他にあれば、その分散液を混合して、一緒に凝集させればよい。その後、結着樹脂およびブロックポリマーの融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合することにより樹脂粒子分散液を得る。
結着樹脂分散液およびブロックポリマー分散液を得る方法としては、公知の方法のいずれでもよく、例えば、結着樹脂またはブロックポリマーを溶剤に溶解させ、機械的シェアや超音波を使用して水系媒体中に乳化または分散させる方法が挙げられる。ブロックポリマー分散液における、ブロックポリマー微粒子の体積基準のメジアン径D50は200nm以下であることが好ましい。200nmよりも大きい場合には、トナー表面にブロックポリマーが露出する割合が大きくなってしまうため、トナーの製造安定性や現像性能が低下する場合がある。
なお、ブロックポリマー分散液におけるブロックポリマー微粒子のメジアン径D50の測定方法については、後述する。
樹脂粒子分散液は、界面活性剤や、高分子分散剤、無機分散剤の添加物を含んでいてもよく、上記の乳化分散の際に必要に応じて界面活性剤や高分子分散剤、無機分散剤を水系媒体中に添加することも可能である。
本発明の前記凝集工程においては、二種類以上の樹脂粒子分散液を混合し、凝集以降の工程を実施することも可能である。その際、第一の樹脂粒子分散液をあらかじめ凝集して第一の凝集粒子形成後、さらに第二の樹脂粒子分散液を添加し第一の粒子表面に第二のシェル層を形成し、粒子を多層化することも可能である。
本発明の製造方法により得られるトナーは、着色力を付与するために着色剤を必要とする。本発明に好ましく使用される着色剤については後述する。
次に、着色剤分散液の作製方法について例示する。着色剤は単独もしくは混合して使用される。これらの着色剤は、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライターのメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機や、ダイノミルの一般的な分散方法を用いて分散液を調製することができる。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散させることもでき、また、その他の微粒子成分とともに混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段階にて添加してもよい。
凝集粒子の融合工程を終了した後、本発明におけるアニール工程を行う。該アニール処理は、樹脂粒子分散液の温度が高い場合には、冷却する過程で行ってもよいし、一度樹脂粒子の水分散液を冷却した後に、再加熱によって行ってもよい。このとき、粒子の凝集や合一を防ぐ目的で、界面活性剤や無機微粒子などの分散安定剤を追加してもよい。その後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程、分級工程を経てトナー粒子を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に洗浄することが好ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥が好ましく用いられる。
次に、本発明のトナー粒子の製造方法に用いることができる材料を例示して具体的に説明するが、以下に限定されるものではない。
本発明に用いられるブロックポリマーは、ポリエステル部位およびビニルポリマー部位を有する。
ポリエステル部位は式(1)で表わされるジカルボン酸および式(2)で表わされるジオールを縮重合させることによって得られ、14≦m+n≦22の関係を満たす組合せの中から適宜選択される。
HOOC−(CH)m−COOH 式(1)
[式中、mは、6以上14以下の整数を示す。]
HO−(CH)n−OH 式(2)
[式中、nは、6以上16以下の整数を示す。]
ビニルポリマー部位はスチレンを主成分とするが、副成分として、スチレン以外のビニルモノマーを使用することもできる。副成分として使用できるビニルモノマーは、特に限定されるものではないが、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン、ビニルナフタリン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、または、アクリルアミドなどを挙げることができる。
本発明のトナーに用いられるポリエステル樹脂としては、アルコールモノマーとカルボン酸モノマーが縮重合したものが用いられる。アルコールモノマーとしては以下のものが挙げられる。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン。
一方、カルボン酸モノマーとしては、以下のものが挙げられる。
フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類またはその無水物、
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物、
炭素数6以上18以下のアルキル基またはアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物、
フマル酸、マレイン酸およびシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類またはその無水物。
また、その他にも以下のモノマーを使用することが可能である。
グリセリン、ソルビット、ソルビタン、さらには例えばノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルなどの多価アルコール類、
トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物などの多価カルボン酸類。
それらの中でも、特に、
下記一般式(3)で表されるビスフェノール誘導体を2価アルコールモノマー成分とし、
Figure 2016014699
(一般式(3)中、Rはエチレン基またはプロピレン基を示し、xおよびyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2以上10以下である。)
2価以上のカルボン酸またはその酸無水物、またはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など)を酸モノマー成分として、
これらのポリエステルユニット成分で縮重合した樹脂が良好な帯電特性を有するので好ましい。
本発明のトナーは、着色剤を含有しており、着色剤としては従来知られている種々の染料や顔料など、公知の着色剤を用いることができる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、または以下に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用される。シアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー用の着色剤として、例えば、以下に示す着色剤を用いることができる。
イエロー着色剤としては、顔料系としては、モノアゾ化合物、ジスアゾ化合物、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントイエロー74,93,95,109,111,128,155,174,180,185が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ化合物、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的にはC.I.ピグメントレッド2,3,5,6,7,23,48:2,48:3,48:4,57:1,81:1,122,144,146,150,166,169,177,184,185,202,206,220,221,238,254,269、C.I.ピグメントバイオレッド19などが例示できる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が利用できる。具体的にはC.I.ピグメントブルー1,7,15,15:1,15:2,15:3,15:4,60,62,66が挙げられる。
本発明のトナーを磁性トナーとして用いる場合には、トナー粒子に磁性体を含有させればよい。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。本発明において、該磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの酸化鉄、
鉄、コバルト、ニッケルなどの金属が挙げられる。またはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムなどの金属との合金およびその混合物が挙げられる。
本発明に用いることのできる離型剤としては特に制限はなく公知のものが利用できる。例えば、以下の化合物が挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、
酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物またはそれらのブロック共重合物、
カルナバワックス、サゾールワックス、エステルワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス、
脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したもの、
脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類、
ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、
植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
また、本発明のトナー粒子は、荷電制御剤を使用してもよい。中でも、トナー粒子を負荷電性に制御する荷電制御剤を用いることが好ましい。該荷電制御剤としては、次のものが挙げられる。有機金属化合物、キレート化合物、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、ノンメタルカルボン酸系化合物およびその誘導体。また、スルホン酸基、スルホン酸塩基、または、スルホン酸エステル基を有するスルホン酸樹脂は好ましく用いることができる。
以下に、本発明で規定する各物性値の測定方法を記載する。
(TgA、TmA、TcA、Tmp、TgB、トナー粒子のガラス転移点の測定方法)
TgA、TmA、TcA、Tmp、TgBは示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、測定サンプル2mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲0℃から120℃の間で、昇温速度1℃/分、振幅温度幅±0.318℃/分の設定でモジュレーション測定を行う。この昇温過程で、温度0℃から120℃の範囲において比熱変化が得られる。
樹脂粒子のガラス転移点TgA(℃)、およびトナー粒子のガラス転移点は、可逆比熱変化曲線の比熱変化が出る前と出た後の、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状変化部分の曲線が交わる点の温度とする。
樹脂粒子におけるブロックポリマー由来の吸熱ピークのオンセット温度TmA(℃)は、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点の温度とする。また、該吸熱ピークの頂点の温度をTmp(℃)とし、吸熱量(J/g)をブロックポリマー由来の吸熱量とする。
なお、ブロックポリマーのビニルポリマー部位のガラス転移点TgB(℃)は、ブロックポリマーのポリエステル部位を加水分解させて測定を行う。具体的な方法は、ブロックポリマー30mgにジオキサン5mL、10質量%の水酸化カリウム水溶液1mLを加え、温度70℃で6時間振とうさせてポリエステル部位を加水分解させる。その後、溶液を乾燥させ、得られた固形分をエタノールに分散および溶解させる。さらに濾過、洗浄によって溶解物を取り除くことでビニルポリマー部位が得られる。その後の操作は、TgAの測定と同様にして行う。
ブロックポリマーの結晶化に伴う発熱が終了する温度TcA(℃)は、
ブロックポリマーを、測定温度100℃から0℃の間で、降温速度1℃/分の設定で測定を行った際の発熱ピークにおける、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、
低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線と、
の交点の温度とする。
<ブロックポリマーのポリエステル部位とビニルポリマー部位の比率の測定方法)
ブロックポリマーのポリエステル部位とビニルポリマー部位の比率は核磁気共鳴分光分析(H−NMR)[400MHz、CDCl、室温(25℃)]を用いて行った。
測定装置:FT NMR装置 JNM−EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μ秒
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
得られたスペクトルの積分値からポリエステル部位とビニルポリマー部位の質量比(C/A比)を算出した。
(SP値の計算方法)
本発明におけるSP値は、Fedorsの式(1)を用いて求めた。ここでのΔei、およびΔviの値は著「コーティングの基礎科学」54〜57頁、1986年(槇書店)の表3〜9による原子および原子団の蒸発エネルギーとモル体積(25℃)」を参照にした。
δi=[Ev/V]^(1/2)=[Δei/Δvi]^(1/2) 式(1)
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子または原子団のモル体積
例えば、ヘキサンジオールは、原子団(−OH)×2+(−CH2)×6から構成され、計算SP値は下記式で求められる。
δi=[Δei/Δvi]^(1/2)=[{(5220)×2+(1180)×6}/{(13)×2+(16.1)×6}]^(1/2)
SP値(δi)は11.95となる。
(分子量の測定方法)
ブロックポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で、ブロックポリマー、およびトナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解させる。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6mL/分
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020mL
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
(体積基準のメジアン径の測定方法)
体積基準のメジアン径(D50)の測定は、JIS Z8825−1(2001年)に準じて測定されるが、具体的には以下のとおりである。
測定装置としては、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、LA−920に付属の専用ソフト「HORIBA LA−920 for Windows(登録商標) WET(LA−920) Ver.2.02」を用いる。また、測定溶媒としては、あらかじめ不純固形物を除去したイオン交換水を用いる。
測定手順は、以下のとおりである。
(1)バッチ式セルホルダーをLA−920に取り付ける。
(2)所定量のイオン交換水をバッチ式セルに入れ、バッチ式セルをバッチ式セルホルダーにセットする。
(3)専用のスターラーチップを用いて、バッチ式セル内を撹拌する。
(4)「表示条件設定」画面の「屈折率」ボタンを押し、ファイル「110A000I」(相対屈折率1.10)を選択する。
(5)「表示条件設定」画面において、粒子径基準を体積基準とする。
(6)1時間以上の暖気運転を行った後、光軸の調整、光軸の微調整、ブランク測定を行う。
(7)サンプルの分散液を、気泡が入らないように注意しながら直ちにバッチ式セルに少量ずつ添加して、タングステンランプの透過率が90%以上95%以下となるように調整する。そして、粒度分布の測定を行う。得られた体積基準の粒度分布のデータを元に、体積基準のメジアン径(D50)を算出する。
(重量平均粒子径(D4)、個数平均粒子径(D1)の測定方法)
トナーの重量平均粒子径(D4)および個数平均粒子径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(商品名、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解させて濃度が1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散させた前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒子径(D4)および個数平均粒子径(D1)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒子径(D4)である。前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒子径(D1)である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中で使用する部数はすべて質量部を示す。
(結晶性ポリエステル1の製造)
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、および、減圧装置を備えた反応容器に、セバシン酸100.0部および、1,12−ドデカンジオール106.5部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。エステル化触媒としてチタン(IV)イソプロポキシド0.7部を加えた後、温度160℃に昇温し5時間かけて縮重合させる。その後、温度180℃に昇温し、減圧させながら所定の分子量となるまで反応させて結晶性ポリエステル1を得た。結晶性ポリエステル1の重量平均分子量(Mw)は19000、融点(Tm)は84℃であった。
(ブロックポリマー1の製造)
撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器に結晶性ポリエステル1を100.0部、脱水クロロホルム440.0部を添加して完全に溶解させた。その後、トリエチルアミン5.0部を加え、氷冷させながら、2−ブロモイソブチリルブロミド15.0部を徐々に加えた。その後、室温(25℃)で一昼夜撹拌した。
メタノール550.0部を入れた容器に、上記の溶解液を徐々に滴化して樹脂分を再沈殿させた後、濾過、精製、乾燥させて結晶性ポリエステル1−2を得た。
次いで、撹拌機、温度計、および、窒素導入管を備えた反応容器に上記で得られた結晶性ポリエステル1−2を100.0部、スチレン155.0部、臭化銅(I)3.5部、および、ペンタメチルジエチレントリアミン8.5部を添加した。そして、撹拌しながら、温度110℃で重合反応を行った。所定の分子量となったところで反応を停止して、メタノール250.0部で再沈殿、濾過、精製し、未反応のスチレンおよび触媒を除去した。その後、50℃に設定した真空乾燥機で乾燥させてポリエステル部位とビニルポリマー部位を有するブロックポリマー1を得た。
(結晶性ポリエステル2〜5の製造)
表1に示すような原料に変更すること以外は結晶性ポリエステル1の製造方法と同様にして結晶性ポリエステル2〜5を得た。結晶性ポリエステルの重量平均分子量MwおよびSP値も合わせて表1に示す。
Figure 2016014699
(ブロックポリマー2〜11の製造)
表2に示すような原料に変更すること以外はブロックポリマー1の製造方法と同様にしてブロックポリマー2〜11を得た。
Figure 2016014699
なお、表中のn−BAはn−ブチルアクリレートを意味する。
ここまでで得られたブロックポリマー1〜11、および結晶性ポリエステル1の物性を表3に示す。
Figure 2016014699
(結晶性ポリエステル分散液1、ブロックポリマー分散液1〜11の調製)
結晶性ポリエステル1 50.0部を酢酸エチル200.0部に添加し、70℃に加熱して溶解させる。その後、温度を60℃に設定し、10質量%アンモニア水5.0部、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)3.0部、イオン交換水200.0部を加える。温度を40℃に設定し、乳化機(IKA製、ウルトラタラックス T−50)を用いて8000rpmにて10分攪拌する。その後、エバポレーターにて25℃、7kPaの条件にて突沸しないように酢酸エチルを揮発させて除去し、イオン交換水の量を適宜調整することで結晶性ポリエステル分散液1(固形分20質量%)を得る。用いる結晶性ポリエステルをブロックポリマー1〜11変更する以外同様にして、ブロックポリマー分散液1〜11を得る。
(結着樹脂の製造)
冷却管、攪拌機、および、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 22.6部
無水トリメリット酸 1.8部
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
75.6部
チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.2部
その後、200℃に加熱し、窒素を導入しつつ生成する水を除去しながら8時間反応させ、その後、10.0mmHgに減圧し1時間反応させ、結着樹脂1を合成した。
GPCで求めた樹脂1の分子量は、重量平均分子量(Mw)5500、数平均分子量(Mn)2500であり、ピーク分子量(Mp)3000、ガラス転移温度(Tg)は55℃であった。
(結着樹脂分散液の調製)
結着樹脂1 50.0部を酢酸エチル200.0部に溶解させ、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)3.0部をイオン交換水200.0部とともに加える。40℃に加熱して、乳化機(IKA製、ウルトラタラックス T−50)を用いて8000rpmにて10分攪拌し、その後、酢酸エチルを揮発させて除去し、イオン交換水の量を適宜調整することで結着樹脂分散液(固形分20質量%)を得る。
(着色剤分散液の調製)
C.I.Pigment Blue15:3 50.0部
カチオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬) 5.0部
イオン交換水 200.0部
上記材料を耐熱性のガラス容器に投入し、ペイントシェーカーにて5時間分散を行い、ナイロンメッシュにてガラスビーズを取り除き、固形分量が20質量%の着色剤分散液を得る。
(離型剤分散液の調製)
パラフィンワックスHNP10(融点:75℃、日本精蝋社製) 30.0部
カチオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬) 5.0部
イオン交換水 270.0部
以上を混合し95℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50にて十分に分散
後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、固形分量が15質量%のワックス分散液を得る。
(樹脂粒子分散液1の製造)
結着樹脂分散液 100.0部
ブロックポリマー分散液1 30.0部
着色剤分散液 6.0部
離型剤分散液 10.0部
10質量%ポリ塩化アルミニウム水溶液 0.5部
以上を丸型ステンレス製フラスコ中に混合し、IKA社製ウルトラタラックスT50にて混合し、分散させた後、攪拌しながら45℃にて60分間保持する(凝集工程)。0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6にした後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら96℃まで加熱する。昇温までの間、適宜水酸化ナトリウム水溶液を追加し、pHが5.5よりも低くならないようにする。その後、96℃にて5時間保持し(融合工程)、融合工程を終了することで樹脂粒子分散液1を得た。
その後、樹脂粒子分散液1の一部を抜き取り、攪拌を続けながら温度を20℃まで冷却した。抜き取った分散液を、濾過、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施す。これをさらにイオン交換水3Lに再分散させ、300rpmで15分間攪拌・洗浄する。これをさらに5回繰り返し、濾液のpHが7.0になったところで、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行い、乾燥させたものを樹脂粒子1とした。得られた樹脂粒子1における重量平均粒径は5.5μm、TgA(℃)は45℃、TmA(℃)は65℃、TcAは52℃であった。
(樹脂粒子分散液2〜12の製造)
ブロックポリマー分散液1の代わりにブロックポリマー分散液2〜11または結晶性ポリエステル分散液1を用いること以外は樹脂粒子分散液1および樹脂粒子1の製造方法と同様にして樹脂粒子分散液2〜12および樹脂粒子分散液2〜12を得た。
得られた樹脂粒子1〜12の物性を表4に示す。
Figure 2016014699
(実施例1〜17)
樹脂粒子分散液1〜11を用いて、表5に示す条件でアニール処理を行った後、攪拌を続けながら温度を20℃まで冷却した。その後、樹脂粒子1の製造と同様に洗浄・乾燥を行ってトナー粒子1〜17を得た。
(実施例18)
樹脂粒子1の製造と全く同様に融合工程を行った後、降温を50℃で止め、そのまま300分温度を保持することによって、アニール工程とした。アニール工程中の温度変動幅は2℃、最大の温度変動速度は0.1℃/分であった。アニール工程終了後、攪拌を続けながら温度を20℃まで冷却した。その後、実施例1の製造と同様に洗浄・乾燥を行ってトナー粒子18を得た。
(比較例1〜6)
樹脂粒子分散液1、8、12を用いて、表5に示す条件でアニール処理を行った後、攪拌を続けながら温度を20℃まで冷却した。その後、樹脂粒子1の製造と同様に洗浄・乾燥を行ってトナー粒子19〜24を得た。
Figure 2016014699
得られたトナー粒子1〜24の物性を、表6にまとめて示す。
Figure 2016014699
なお、表6に記載した吸熱ピークの融点Tmp(℃)について、複数見られた場合には複数のピーク温度を記載した。その際の吸熱量ΔHは、複数の吸熱ピークを含んだ合計値を記載した。また、離型剤由来の吸熱ピークと重なる場合には、離型剤由来の吸熱量を差し引いたものを用いた。離型剤由来の吸熱量については、離型剤単体の吸熱量と、トナー中の離型剤の仕込み量から計算した。
(各トナーの製造)
実施例1〜18および比較例1〜6で得られた各トナー粒子について、トナー粒子100.0部に対して一次粒子の個数平均粒径が40nmのシリカ微粒子1.0部を加え、FMミキサー(日本コークス工業製)を用いて混合しトナーを得た。
各トナーにおける製造安定性を、以下の基準に従って評価した。
[製造安定性]
(評価基準)
A:トナーの重量平均粒径が6.5μm以下である(製造安定性に優れる)
B:トナーの重量平均粒径が6.5μmより大きく、7.0μm以下である(製造安定性に優れる)
C:トナーの重量平均粒径が7.0μmより大きく、7.5μm以下である(製造安定性に問題はない)
D:トナーの重量平均粒径が7.5μmより大きく、8.0μm以下である(製造安定性にやや劣り、使用上問題がある)
E:トナーの重量平均粒径が8.0μmより大きい(製造安定性に劣り、使用上問題がある)
また、得られた各トナーについて、以下の方法に従って性能評価を行った。
[耐熱性]
各トナー5gを50ccポリカップに取り、温度50℃/湿度10%RHで3日間放置し、凝集塊の有無を調べ評価した。
(評価基準)
A:凝集塊発生せず(耐熱性に特に優れる。)
B:軽微な凝集塊が発生、軽い振とうでほぐれる(耐熱性に優れる。)
C:軽微な凝集塊が発生、軽く指で押すとほぐれる(耐熱性に問題はない。)
D:凝集塊が発生、軽く指で押しても崩れない(耐熱性にやや劣る。)
E:完全に凝集(耐熱性に劣る。)
[現像性]
市販のカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を、一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するよう改造して評価を行った。このカラーレーザープリンターに搭載されていたシアンカートリッジから中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、代わりに評価するトナー(300g)を充填した。受像紙として、キヤノン製オフィスプランナー(64g/m)を用いた。そして、常温常湿下(23℃、60%RH)、ベタ画像を出力した。そして、該ベタ画像について反射濃度計であるマクベス濃度計(マクベス社製、SPIフィルターを使用)を用い、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対的な反射濃度を測定した。評価基準を以下に示す。
(評価基準)
A:反射濃度が1.40以上である(現像性に特に優れる。)
B:反射濃度が1.30以上1.40未満である(現像性に優れる。)
C:反射濃度が1.25以上1.30未満である(現像性に問題はない。)
D:反射濃度が1.20以上1.25未満である(現像性にやや劣る。)
E:反射濃度が1.20未満である(現像性に劣る。)
さらに、各トナーを温度45℃/湿度10%RHの環境に30日間放置したものを用い、上記した反射濃度の測定を行い、現像性に対する経時変化特性を評価した。評価基準を以下に示す。
(評価基準)
A:反射濃度が1.40以上である(経時変化特性に特に優れる。)
B:反射濃度が1.30以上1.40未満である(経時変化特性に優れる。)
C:反射濃度が1.25以上1.30未満である(経時変化特性に問題はない。)
D:反射濃度が1.20以上1.25未満である(経時変化特性にやや劣る。)
E:反射濃度が1.20未満である(経時変化特性に劣る。)
[定着性]
定着ユニットを外したカラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を用意し、シアンカートリッジからトナーを取り出して、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(キヤノン製オフィスプランナー 64g/m)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(0.6mg/cm)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、これを用いて未定着画像の定着試験を行った。
まず、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを200mm/s、定着線圧20.0kgfに設定し、初期温度を100℃として設定温度を5℃ずつ順次昇温させながら、各温度で上記未定着画像の定着を行った。
低温定着性の評価基準は以下のとおりである。低温側定着開始点とは、低温オフセット現象(トナーの一部が定着器に付着してしまう現象)が観察されない下限温度のことである。
A:低温側定着開始点が110℃以下(低温定着性が特に優れている。)
B:低温側定着開始点が115℃または120℃(低温定着性に優れている。)
C:低温側定着開始点が125℃または130℃(低温定着性に問題はない。)
D:低温側定着開始点が135℃または140℃(低温定着性にやや劣る。)
E:低温側定着開始点が145℃以上(低温定着性に劣る。)
結果を表7に示した。
Figure 2016014699

Claims (10)

  1. ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂、
    着色剤、ならびに、
    ポリエステル部位およびビニルポリマー部位を有するブロックポリマー
    を含有するトナー粒子の製造方法であって、
    該結着樹脂、該着色剤および該ブロックポリマーを含有する乳化粒子を水系媒体中で凝集および合一させることによって樹脂粒子分散液を製造する工程と、
    該樹脂粒子分散液を製造する工程の後に、該樹脂粒子分散液の温度を、該樹脂粒子のガラス転移点TgA−15(℃)以上であって該樹脂粒子に含まれるブロックポリマー由来の吸熱ピークのオンセット温度TmA(℃)以下の温度範囲内、かつ、温度変動幅が20℃以下となるように、0.35℃/分以下の温度変動速度を60分以上維持する工程と、
    を有することを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  2. ポリエステル樹脂を主成分とする結着樹脂、
    着色剤、ならびに、
    ポリエステル部位およびビニルポリマー部位を有するブロックポリマー
    を含有するトナー粒子の製造方法であって、
    該結着樹脂、該着色剤および該ブロックポリマーを含有する乳化粒子を水系媒体中で凝集および合一させることによって樹脂粒子分散液を製造する工程と、
    該樹脂粒子分散液を製造する工程の後に、該樹脂粒子分散液の温度を、該樹脂粒子のガラス転移点TgA−15(℃)以上であって該樹脂粒子に含まれるブロックポリマーの結晶化に伴う発熱が終了する温度TcA(℃)以下の温度範囲内、かつ、温度変動幅が20℃以下となるように、0.35℃/分以下の温度変動速度を60分以上維持する工程と、
    を有することを特徴とするトナー粒子の製造方法。
  3. 前記温度変動速度が、0.20℃/分以下である請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。
  4. 前記温度変動幅が、12℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
  5. 前記温度変動速度を60分以上維持する請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
  6. 前記ブロックポリマーのポリエステル部位が、下記式(1)で示されるジカルボン酸と、下記式(2)で示されるジオールと、から構成される部位である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
    HOOC−(CH)m−COOH 式(1)
    [式中、mは6以上14以下の整数を示す。]
    HO−(CH)n−OH 式(2)
    [式中、nは6以上16以下の整数を示す。]
  7. 前記式(1)中のmおよび前記式(2)中のnが、14≦m+n≦22の関係を満たす請求項6に記載のトナー粒子の製造方法。
  8. 前記ブロックポリマーのビニルポリマー部位のガラス転移点TgB(℃)が、前記ブロックポリマー由来の吸熱ピークのオンセット温度TmA(℃)以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
  9. 前記ブロックポリマーにおけるポリエステル部位(E)とビニルポリマー部位(V)との比率(E:V)が、40:60〜70:30である請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
  10. 前記ブロックポリマーの吸熱ピークのピーク温度Tmp(℃)が、55℃以上100℃以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナー粒子の製造方法。
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