JP2016008304A - 界面活性剤含有マスターバッチ、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】界面活性剤の表面溶出を抑制し、マスターバッチのブロッキングの発生を抑制することができる界面活性剤含有マスターバッチ、及びその製造方法を提供する。【解決手段】結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを含むマスターバッチであって、該マスターバッチの表面及びその近傍内部にトランスクリスタル晶層が存在することを特徴とする、マスターバッチ、及び結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを溶融混練する混練工程を含むマスターバッチの製造方法であって、前記混練工程で得られた混練物を冷却し、続いて加熱する結晶化工程を含むことを特徴とする、製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は界面活性剤含有マスターバッチ、及びその製造方法に関する。より詳しくは、マスターバッチの表面及びその近傍内部にトランスクリスタル晶層が存在することを特徴とする界面活性剤含有マスターバッチ、及びその製造方法に関する。
従来から、樹脂に界面活性剤を高濃度に練りこんだマスターバッチを予め用意し、樹脂成形時押出機等の成形装置に樹脂原料と共に前記マスターバッチを投入し、界面活性剤含有樹脂の成形を為すという方法が取られている。
この従来からの方法により得られる樹脂成形体はそれに含まれる界面活性剤が成形体表面に露出することにより、例えば、撥水性能、帯電防止性能や防曇性能などを発揮するものである。その反面、界面活性剤を高濃度に含有するマスターバッチにあっては、多い量の界面活性剤がマスターバッチ表面に移行(ブリード)し易く、その結果、マスターバッチ同士が結着するブロッキングの現象が生じ易いという問題があった。ブロッキングは成形の生産性及び作業性を著しく悪化させる。
このような欠点を改善するために、例えば、特許文献1に記載された製造方法では、結晶性熱可塑性樹脂、帯電防止剤及び造核剤を配合した組成物から得られるストランドを所定の空冷率で徐冷することにより、帯電防止剤の低ブリード化を図ることが提案されている。
また、引用文献2には、ペレットの固相重縮合時における融着を抑制すべくポリエステル樹脂ペレットの表面に、微細球晶を有する表面結晶層を特定の厚さだけ形成する方法が提案されている。この表面結晶層はトランスクリスタル層を含むものと説明されている。
また、引用文献3には、プロピレン系樹脂フィルムまたはシートの表面にアクリル系紫外線硬化性樹脂を硬化させたハードコート層を有するプロピレン系樹脂成型品の製造方法において、プロピレン系樹脂フィルムまたはシートにより形成される層中のプロピレン系樹脂の結晶をトランスクリスタル構造とすることを特徴とする方法が記載されている。
特開2012−72335号公報 特開2006−199830号公報 特許第2794890号
しかし、引用文献1に開示された方法では、ブロッキングの改善方法としては不十分であり、また徐冷されたストランドはペレットカットしづらいものとなるためペレット形状の均一性が保たれなくなり、異型ペレットが発生しやすくなるなどの問題点が存在した。
また、撥水剤、帯電防止剤や防曇剤等として界面活性剤を含むペレットの場合、ブロッキングの発生は一般に界面活性剤を含まないペレットより著しいものとなるため、引用文献2に開示された方法に従うペレットが相当量の界面活性剤を含む場合においても有効にブロッキングの発生を抑制できるものとは限らない。その上、引用文献2に記載されたペ
レットには、いずれも界面活性剤などの添加剤が含まれていないため、引用文献2は界面活性剤を含むペレットについてブロッキングを抑制する有効な手段を示唆するものではない。実際、相当量の界面活性剤を含むペレットにおいて、引用文献2に記載された表面結晶層の形成によって十分有効にブロッキングの発生を抑制できないことを確認している。
さらに、引用文献3に開示された方法は、プロピレン系樹脂成型品の表面に形成されるハードコート層の光沢が著しく劣らないものとすることを目的としている。したがって、引用文献3は、プロピレン系樹脂成形品中に含有される界面活性剤の成形品表面溶出の抑制する手段、とりわけトランスクリスタル構造が界面活性剤の移行を抑制する点を示唆するものではない。
本発明は、上述した従来技術を考慮し、上記の課題を解消すべく為されたものである。すなわち、本発明は、界面活性剤の表面溶出を抑制し、マスターバッチのブロッキングの発生を抑制することができる界面活性剤含有マスターバッチを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記界面活性剤含有マスターバッチの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、マスターバッチの表面及びその近傍内部にトランスクリスタル晶層を形成することにより、界面活性剤の表面溶出を抑制し、マスターバッチのブロッキングの発生を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明者は、結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを溶融混練して得られた混練物を冷却し、続いて加熱することにより、造核剤を用いなくても結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを含むマスターバッチの表面及びその近傍内部にトランスクリスタル晶層を形成することができることを見出し、更に上記の冷却温度と加熱温度を適当な温度に設定することで、マスターバッチの生産性の著しい低下を引き起こすことなく、トランスクリスタル晶層の形成を確実なものとすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを含むマスターバッチであって、該マスターバッチの表面及びその近傍内部にトランスクリスタル晶層が存在することを特徴とする、マスターバッチに関する。
本発明は、前記トランスクリスタル晶層の厚さが少なくとも2μmであることを特徴とする、マスターバッチに関する。
本発明は、前記界面活性剤が帯電防止剤及び/又は防曇剤であることを特徴とする、マスターバッチに関する。
本発明は、前記結晶性熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする、マスターバッチに関する。
本発明は、結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを溶融混練する混練工程を含むマスターバッチの製造方法であって、前記混練工程で得られた混練物を冷却し、続いて加熱する結晶化工程を含むことを特徴とする、製造方法に関する。
本発明は、前記結晶化工程において、混練物の冷却前の温度(T)と冷却後の温度(T)との差がT−T=−110乃至−210℃であることを特徴とする、製造方法に関する。
本発明は、前記結晶化工程において、混練物の冷却後の温度(T)と加熱後の温度(T)との差がT−T=10乃至90℃であることを特徴とする、製造方法に関する。
本発明は、前記結晶化工程の冷却が水冷方式にて為されることを特徴とする、製造方法に関する。
本発明は、前記結晶化工程の後に、得られた結晶化物をペレット形態のマスターバッチに成形する成形工程を更に含むことを特徴とする、製造方法に関する。
本発明は、前記界面活性剤が帯電防止剤及び/又は防曇剤であることを特徴とする、製造方法に関する。
本発明は、前記結晶性熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする、製造方法に関する。
本発明のマスターバッチは、その表面及びその近傍内部にトランスクリスタル晶層が形成されているため、界面活性剤の表面溶出を抑制し、マスターバッチのブロッキングの発生を抑制するこができる。
また、本発明のマスターバッチの製造方法は、結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを溶融混練して得られた混練物を冷却し、続いて加熱することにより、マスターバッチの表面及びその近傍内部にトランスクリスタル晶層を形成することができるため、上記マスターバッチを効率的に製造することができる。
図1は、実施例及び比較例のペレットを製造する際に用いた製造装置の概略図である。 図2は、実施例1で製造したペレットの偏光顕微鏡観察の画像である。 図3は、図2に示した画像の各部分を拡大したものである。 図4は、比較例2で製造したペレットの偏光顕微鏡観察の画像である。 図5は、図4に示した画像の各部分を拡大したものである。 図6は、実施例1及び比較例2で製造したペレットの断面TEM観察の画像である。 図7は、実施例1及び比較例2で製造したペレットの側面SEM観察の画像である。
[結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを含むマスターバッチ]
本発明のマスターバッチは、結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを含むマスターバッチであって、該マスターバッチの表面及びその近傍内部にトランスクリスタル晶層が存在することを特徴とする。
マスターバッチの表面及びその近傍内部にトランスクリスタル晶層が存在することにより、界面活性剤を高濃度で含む場合であっても、界面活性剤の表面溶出を抑制することが
でき、そして、マスターバッチ同士のブロッキングを抑制することができる。
したがって、本発明のマスターバッチの表面及びその近傍内部に存在するトランスクリスタル晶層の厚さは、界面活性剤の表面溶出を十分に抑制する観点から、例えば、少なくとも2μmであり、好ましくは少なくとも10μmであり、より好ましくは少なくとも30μmである。また、マスターバッチの表面すべてがトランスクリスタル晶層で覆われていなくても、耐ブロッキング性には効果がある。
なお、本発明において、トランスクリスタル晶層の厚さは、偏光顕微鏡を用いて測定した値である。
本発明のマスターバッチに含まれる結晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体、前記α−オレフィン同士の共重合体、前記α−オレフィンと共重合可能なα−オレフィン以外の単量体とα−オレフィンとの共重合体、及びこれらの混合物等が挙げられる。前記α−オレフィンと共重合可能なα−オレフィン以外の単量体としては、酢酸ビニル、マレイン酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸エチル等を挙げることができる。
ポリスチレン樹脂としては、例えば、スチレン類の単独重合体の他、スチレン類と共重合可能な単量体とスチレン類との共重合体等が挙げられる。具体的には、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS)、及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)等が挙げられる。
ビニル樹脂としては、ジエン系重合体、例えばブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂等が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
ポリアセタール樹脂としては、例えば、ホルムアルデヒド又はトリオキサンの重合体が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとホスゲンとの縮合物、ビスフェノールAと炭酸ジエステルとの縮合物が挙げられる。
熱可塑性ポリウレタン樹脂としては、例えば、有機ジイソシアネートと高分子ジオールの反応物が挙げられる。
フッ素樹脂としては、例えば、フッ素含有モノマーの重合体が挙げられる。
その中でも、本発明のマスターバッチに含まれる結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ガラス転移点が常温より低いポリプロピレン、ポリエチレンがより好ましい。
本発明のマスターバッチに用いられる界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を併用しても良い。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸及びその塩;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルアリールエーテル硫酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンミリスチン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミドエーテル硫酸ナトリウム、オレイン酸アミドエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルアミド硫酸及びその塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等のアシルエステル硫酸及びその塩;ラウリルスルホン酸ナトリウム、ミリスチルスルホン酸ナトリウム、ヤシ油アルキルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸及びその塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン等のアルキルベンゼンスルホン酸及びその塩;アルキルナフタレンスルホン酸及びその塩;ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン重縮合物等のホルマリン縮合系スルホン酸及びその塩;スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、オレイン酸アミドスルホコハク酸2ナトリウム等のスルホコハク酸及びその塩;ドデセンスルホン酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ドデセンスルホン酸カリウム、デトラデセンスルホン酸カリウム等のα−オレフィンスルホン酸及びその塩;α−スルホラウリン酸メチルエステル、α−スルホミリスチン酸メチルエステル、α−スルホラウリン酸(EO)nメチルエステル等のα−スルホ脂肪酸エステル及びその塩;ヤシ油脂肪酸アシル−N−メチルタウリンカリウム、ラウロイル−N−メチルタウリンナトリウム、ラウロイル−Nメチルタウリンカリウム、ラウロイル−N−メチルタウリントリエタノールアミン、ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ミリストイル−N−メチルタウリントリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸アシル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−N−メチルタウリントリエタンールアミン等のN−アシルメチル−タウリン及びその塩;ヤシ油脂肪酸アシル−グルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−グルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシル−グルタミン酸トリエタンールアミン、ラウロイル−グルタミン酸ナトリウム、ミリストイル−グルタミン酸カリウム、ミリストイル−グルタミン酸ナトリウム、パーム油脂肪酸アシル−グルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸及びその塩;N−ラウロイルグリシンナトリウム、N−ミリストイルグリシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−グリシンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−グリシンカリウム等のN−アシルグリシン及びその塩;ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ミリストイルイセチオン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルイセチオン酸ナトリウム等のアシルイセチオン酸及びその塩;アルキルスルホ酢酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルリン酸カリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ジポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム等のアルキルエーテ
ルリン酸及びその塩;アルキルアリールエーテルリン酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルアミドエーテルリン酸ナトリウム等の脂肪酸アミドエーテルリン酸及びその塩;ラウリルリン酸ナトリウム、ミリスチルリン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸リン酸ナトリウム、ミリスチルリン酸カリウム、ラウリルリン酸トリエタノールアミン、オレイルリン酸ジエタノールアミン等のアルキルリン酸及びその塩;ラウロイルイミノジ酢酸ナトリウム、ラウロイルイミノジ酢酸トリエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸アシルイミノジ酢酸ナトリウム、ラウロイルイミノジ酢酸ジナトリウム、パーム核脂肪酸イミノジ酢酸ナトリウム等のアシルイミノジ酢酸及びその塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル酢酸カリウム、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル酢酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンステアリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリグリセリルラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のエーテルカルボン酸及びその塩;ヤシ油脂肪酸シルクペプチド等のアシル化ペプチド;ポリオキシエチレンラウリン酸アミドエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチン酸アミドエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミドエーテルカルボン酸トリエタノールアミン等のアミドエーテルカルボン酸及びその塩;アシル乳酸塩;アルケニルコハク酸及びその塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、パルミチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オレイルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシ油アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ヤシ油アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムメチル硫酸等のモノアルキル第四級アンモニウム塩;ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等のジアルキル第四級アンモニウム塩;ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウムエチル硫酸、ラウロイルアミノエチルメチルジエチルアンモニウムメチル硫酸等のアシルアミノアルキル第四級アンモニウム塩;ジパルミチルポリエテノキシエチルアンモニウムクロライド、ジステアリルポリエテノキシメチルアンモニウムクロライド等のアルキルエテノキシ第四級アンモニウム塩;ラウリルイソキノリニウムクロライド等のアルキルイソキノリニウム塩;ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のベンザルコニウム塩;ベンジルジメチル{2−[2−(p−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトオキシ]エチル}アンモニウムクロライド等のベンゼトニウム塩;セチルピリジニウムクロライド等のピリジニウム塩;イミダゾリニウム塩;N−ココイルアルギニンエチルエステルピロリドンカルボン酸塩、N−ラウロイルリジンエチルエチルエステル塩酸塩等のアシル塩基性アミノ酸アルキルエステル塩;ラウリルアミン塩酸塩等の第一級アミン塩;ジラウリルアミン酢酸塩等の第二級アミン塩;第三級アミン塩;脂肪酸アミドグアニジニウム塩;ラウリルトリエチレングリコールアンモニウムハイドロオキサイド等のアルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、POE(ポリオキシエチレン)オクチルエーテル、POE(2−エチル−ヘキシル)エーテル、POEラウリルエーテル、POEミリスチルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンセチルステアリルジエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;POE・POP(ポリオキシプロピレン)ブチルエーテル、POE・POPラウリルエーテル、POE・POPセチルエーテル、POE・POPグリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール型;POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル
、POEクロロフェニルエーテル、POEナフチルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル;POE硬化ひまし油エーテル、POEひまし油エーテル;その他POEラノリンアルコールエーテル、POEフィトステロール等のエーテル系;モノステアリン酸POEグリセリル、オレイン酸POEグリセリル等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、トリステアリン酸POEソルビタン、モノイソステアリン酸POEソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ヘキサステアリン酸POEソルビトール、テトラステアリン酸POEソルビトール、テトラオレイン酸POEソルビトール、モノラウリン酸POEソルビトール等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールモノラウリン酸、ポリエチレングリコールモノステアリン酸、ポリエチレングリコールモノオレイン酸、ポリエチレングリコールジステアリン酸、ポリエチレングリコールジオレイン酸、ポリエチレングリコールジイソステアリン酸等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールラノリン脂肪酸エステル等のエーテルエステル系;モノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノヒドロキシステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール等のエチレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、自己乳化型モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸ペンタエリスリトール、モノオレイン酸ペンタエリスリトール等のペンタエリスリトール脂肪酸エステル;マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキル(ポリ)グルコシド、シュガーエステル等の糖誘導体;α−モノイソステアリルグリセリルエーテル等のアルキルグリセリルエーテル;アセチル−モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド等の有機酸モノグリセリド;ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウロイルモノエタノールアミド、ミリストイルモノエタノールアミド、ラウロイルジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウロイルイソプロパノールアミド、ミリストイルイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸イソプロパノールアミド、POEラウロイルモノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルモノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド;POEラウリルアミン、POE牛脂アミン、POEパルミチルアミン、POEステアリルアミン、POEオレイルアミン等のPOEアルキルアミン;ラウリルジメチルアミンオキサイド、ココジメチルアミンオキサイド、ココアミドプロピルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド;POEラウリルアミンとラウリン酸のエステル、POEラウリルアミンとステアリン酸のエステル、POEパルミチルアミンとステアリン酸のエステル、POEステアリルアミンとパルミチン酸のエステル、POEステアリルアミンとステアリン酸のエステル等のアミンエステルが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルベタイン、ミリスチルジメチルベタイン、パルミチルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、オレイルジメチルベタイン、ヤシ油アルキルジメチルベタイン、ラウリルメチルエチルベタイン、オクタデシルオキシメチルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン、ヤシ油アルキルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルベタイン、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルベタイン、ステアリン酸アミドプロピルジメチルベタイン、オレイン酸アミドプロピルジメチルベタイン
、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルベタイン等のカルボキシベタイン型;RNCHCOO(R:アルキル)で示されるラウリルグリシン、ステアリルグリシン、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、塩化アルキルアミノエチルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシエトキシエチル−N−カルボキシエチルエチレンジアミン2ナトリウム等のグリシン型;RNCHCHCOO(R:アルキル)で示されるラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン等のアミノプロピオン酸型;ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)ナトリウム、ラウリルジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン、ミリスチルジメチルヒドロキシプロピリルスルホベタイン、ラウリルジメチルプロピルスルホベタイン、ヤシ油アルキルジメチルプロピルスルホベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルスルホベタイン等のスルホベタイン型;RNCHCHSO (R:アルキル)で示されるスルホン酸型;RNCHCHOSO (R:アルキル)で示される硫酸型;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’−ジカルボキシエチル−エチレンジアミン2ナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシエチル−エチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N’−カルボキシメチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ脂肪酸アシル−N’−カルボキシエチル−N’−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’−ジカルボキシメチル−エチレンジアミン2ナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチル−エチレンジアミンナトリウム、N−ヒドロキシドデシル−N−ポリオキシエチレン−N’−カルボキシエチル−N’−ポリオキシエチレンエチレンジアミンナトリウム、ヤシ脂肪酸アシル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、等のアミノカルボン酸塩型;2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−ミリスチル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−ステアリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−ヤシ油アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型;RNCH(CH)P(OH)O (R:アルキル)で示されるリン酸型;レシチン;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型等が挙げられる。
本発明のマスターバッチに含まれる界面活性剤は、帯電防止剤や防曇剤として用いることが好ましい。
本発明のマスターバッチに含まれる界面活性剤を帯電防止剤として用いる場合は、上記界面活性剤の中でも、スルホン酸基を有するアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、グリセリンと脂肪酸とのエステル、POEアルキルアミン、POEアルキルアミンと脂肪酸とのエステル、ジエタノールアミンと脂肪酸の反応物であるアミド化合物等が好ましい。
また、本発明のマスターバッチに含まれる界面活性剤を防曇剤として用いる場合は、上記界面活性剤の中でも、アニオン界面活性剤、多価アルコール(又は多価アルコールのEOA)と脂肪酸との反応物等が好ましい。
また、本発明のマスターバッチに配合される界面活性剤の添加量は、マスターバッチに対して、例えば、1乃至50質量%であり、好ましくは5乃至40質量%であり、さらに好ましくは8乃至35質量%である。
また、本発明のマスターバッチは、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、滑
剤、着色剤、相溶化剤、イオン液体、紫外線吸収剤やその他通常の樹脂製品に添加される各種添加剤、充填剤を付加成分として添加することもできる。
[マスターバッチの製造方法]
本発明のマスターバッチの製造方法は、結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを溶融混練する混練工程を含み、前記混練工程で得られた混練物を冷却し、続いて加熱する結晶化工程を含むことを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
<混練工程>
本工程では、結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを溶融混練する。
結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを溶融混練する方法としては、一軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、オープンロール及びニーダー等の公知の溶融混練装置を用いた方法が挙げられ、その中でも、高剪断力を加えることができる点で、二軸押出機等の押出機が好ましい。
溶融混練する温度は、結晶性熱可塑性樹脂によって適宜選択されるが、通常、結晶性熱可塑性樹脂の溶融温度以上であって、結晶性熱可塑性樹脂の熱分解による着色が現れない温度範囲が好ましく、例えば、結晶性熱可塑性樹脂の溶融温度に対して、+20℃〜+80℃である。
溶融混練する時間は、界面活性剤が結晶性熱可塑性樹脂に均一に分散できればよく、二軸押し出し機等のスクリュー形状によっても異なるが、例えば、30秒乃至10分である。
本工程に用いられる結晶性熱可塑性樹脂及び界面活性剤については、上述した通りである。また、マスターバッチに配合される界面活性剤の添加量は、マスターバッチに対して、例えば、1乃至50質量%であり、好ましくは5乃至40質量%であり、さらに好ましくは8乃至35質量%である。
<結晶化工程>
本工程では、上記混練工程で得られた混練物を冷却し、続いて加熱する。
これにより、マスターバッチの表面及びその近傍内部にトランスクリスタル晶層を形成することができる。
上記混練工程で得られた混練物を冷却する方法としては、公知の方法を挙げることができ、その中でも安全性と環境面の観点から、水冷方式にて為されることが好ましい。
また冷却した混練物を加熱する方法としては、電熱オーブン、オイルバスを用いて加熱する方法や、遠赤外線ヒーター、近赤外線ヒーター、ハロゲンヒーター、誘電加熱、熱風加熱、及び熱板加熱などの公知の加熱装置を用いた方法等が挙げられる。
上記結晶化工程において、混練物の冷却前の温度(T)と冷却後の温度(T)との差は、例えば、T−T=−110乃至−210℃であり、好ましくはT−T=−140乃至−190℃であり、より好ましくはT−T=−150乃至−180℃である。混練物の冷却前の温度(T)と冷却後の温度(T)との差(T−T)が−110℃未満である場合、混練物の内部まで十分に固化せず、成形工程で結晶化物を所定の形態のマスターバッチに成形し難くなる可能性がある。一方、差(T−T)が−210℃を超える場合、続く加熱処理の作業負担が大きくなり、作業効率を低下させてしまう可能性がある。
混練物を冷却する時間としては、混練物の冷却前の温度(T)と冷却後の温度(T)との差が、T−T=−110乃至−210℃になるように適宜選択され、例えば、0.1乃至10秒である。
上記結晶化工程において、混練物の冷却後の温度(T)と加熱後の温度(T)との差は、例えば、T−T=10乃至90℃であり、好ましくはT−T=20℃乃至70℃である。混練物の冷却後の温度(T)と加熱後の温度(T)との差(T−T)が10℃未満である場合、トランスクリスタル晶が十分に形成されない可能性がある。一方、差(T−T)が90℃を超える場合、異形ペレットが発生する可能性がある。
混練物を加熱する時間としては使用する装置によって異なるが、混練物の冷却後の温度(T)と加熱後の温度(T)との差が、T−T=10乃至90℃になるように適宜選択され、例えば、0.1秒乃至10時間である。
本発明では、混練物の冷却前の温度(T)とは、結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを溶融混練して得られた混練物の表面温度をいい、例えば、溶融混練装置から排出された混練物の表面温度をいう。
また、混練物の冷却後の温度(T)とは、冷却した混練物の表面温度をいい、例えば、冷却装置から排出された混練物の表面温度をいう。
さらに、混練物の加熱後の温度(T)とは、加熱した混練物の表面温度をいい、例えば、加熱装置から排出された混練物の表面温度だけでなく、冷却装置から排出された混練物を所定の形態に成形して加熱した成形品の表面温度をもいう。
また、本発明では、上記各混練物の表面温度は、赤外放射温度計により測定する。
また、本発明の製造方法における結晶化工程は冷却した混練物を加熱する前に、該混練物を所定の形態に成形し、そしてその成形品を加熱してもよい。その場合、冷却後の温度(T)と加熱後の温度(T)との差は、段落[0063]及び[0064]に記載した事項と同様である。
加熱する方法としては、上述した加熱方法以外に、所定の形態に成形した混練物をフレキシブルコンテナやドラム等に詰めて恒温槽へ保管する方法などが挙げられる。
<成形工程>
本発明のマスターバッチの製造方法は、成形工程を更に含むことができる。
本工程では、上記結晶化工程の後に、得られた結晶化物をペレット形態のマスターバッチに成形する。
結晶化物を成形する方法としては、例えば、結晶化物をカットする等の公知の方法を用いることができる。また、本工程により、成形されるペレット形態は、その使用目的等により適宜設定することができ、例えば、平板状、偏平柱状、偏平円柱状、偏平角柱状、塊状及び粉末状等を挙げることができる。また、その大きさについても特に制限はない。
なお、本発明の製造方法では、本発明の効果を損なわない範囲で、顔料、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤等を任意の割合で添加することができる。
次に実施例及び比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示した製造装置にて結晶性熱可塑性樹脂(以下、樹脂とも略称する)(a)としてポリプロピレン[(株)プライムポリマー製プライムポリプロF−300SP]を、界面活性剤(b)としてアンステックスSA−300F[東邦化学工業(株)製]を、酸化防止剤(c)としてイルガノックス1010(BASF製)を質量比(d)[(a)/(b)/(c)=90/10/0.05]で二軸押出機にて混練し、ストランドを作製後、カットし直径2〜7mmのペレットを作製した。
出てきたストランドの樹脂温度(e)は230℃、水槽温度(f)は30℃、冷却後の樹脂温度(g)は60℃、ヒーター温度(h)は150℃、カット後のペレット温度(i)は100℃、タンク温度(j)は90℃、タンク通過後のペレット温度(k)は80℃であった。
[実施例2乃至実施例7]
実施例1の条件を下記表1に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ペレットを作製した。
[比較例1]
図1に示した製造装置にて結晶性熱可塑性樹脂(a)としてポリプロピレン[(株)プライムポリマー製プライムポリプロF−300SP]を、界面活性剤(b)としてアンステックスSA−300F(東邦化学工業(株)製)を、酸化防止剤(c)としてイルガノックス1010(BASF製)を、質量比(d)[(a)/(b)/(c)=80/20/0.05]で二軸押出機にて混練し、ストランドを作製後、カットし直径2〜7mmのペレットを作製した。
出てきたストランドの樹脂温度(e)は230℃、水槽は使わず室温20℃空冷にて冷却を行った。冷却後の樹脂温度(g)は135℃、カット後のペレット温度(i)は120℃、タンク温度(j)は90℃、タンク通過後のペレット温度(k)は80℃であった。
[比較例2乃至比較例4]
実施例1の条件を下記表1に示した条件に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、ペレットを作製した。
各実施例及び各比較例で製造したペレットについて、「表面溶出率」、「ブロッキング性」、「トランスクリスタル晶」及び「ペレットの形状」を評価した。
また、実施例1及び比較例2で製造したペレットについては、さらに断面TEM観察及び側面SEM観察を行った。
「表面溶出率」
実施例1で製造したペレットを60℃の恒温槽に24時間保管し、100gを秤量後(1)、300mLのビーカーに入れ、100mLのイソプロピルアルコール(IPA)を注いだ。IPAを入れた後、ガラス棒で1分間攪拌して、濾過を行った。濾液をナスフラスコに入れIPAを留去し、100℃オーブンで1時間乾燥させた後溶出物を秤量した(2)。そして、下記計算式にて界面活性剤の表面溶出率を算出した。
表面溶出率(%)=(2)/(1)×100
「ブロッキング性」
実施例1で製造したペレット70gを100mLのプラスチック製の容器に入れ、60℃で12時間、10℃で12時間放置した。室温に3時間放置後、容器を逆さまにすることでペレットが流れ出したらブロッキング性がないため○とした。流れ出ない状態を×、少し流れる状態を△とした。
「トランスクリスタル晶」
ミクロトームを用いて、ペレットの縦方向の断面切片を作製し、ペレット表面及びその近傍内部をクロスニコル下で偏光顕微鏡観察した。トランスクリスタル晶が観察されれば○、観察さなければ×とした。
また、実施例1で製造したペレットにおける偏光顕微鏡観察の画像を図2及び図3に、比較例2で製造したペレットにおける偏光顕微鏡観察の画像を図4及び図5にそれぞれ示した。図3より、実施例1で製造したペレット表面及びその近傍内部にはトランスクリスタル晶層の存在を確認することができた。一方、図5より、比較例2で製造したペレット表面及びその近傍内部にはトランスクリスタル晶層の存在が確認できなかった。
「ペレットの形状」
ペレットをカット後目視で確認し、ささくれやヒゲの発生、つぶれたペレットや綺麗にカットされていない異形ペレットがあった場合は×、ない場合を○とした。
[断面TEM観察]
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、実施例1及び比較例2で製造したペレットの断面を観察した。その結果を図6に示す。
図6より、比較例2で製造したペレットに比べて、実施例1で製造したペレット表面及びその近傍内部には非晶の筋が少なかった。
[側面SEM観察]
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、実施例1及び比較例2で製造したペレットの側面を観察した。その結果を図7に示す。
図7より、実施例1で製造したペレットでは界面活性剤が薄く分散していたのに対し、比較例2で製造したペレットでは界面活性剤は厚く盛り上がっていた。また、ペレット表面をイソプロピルアルコール(IPA)で洗浄し、界面活性剤を除去してペレット表面を観察したところ、実施例1で製造したペレットでは表面が滑らかであったのに対し、比較例2で製造したペレットでは亀の甲羅のように球晶・非晶部が見られ、また非晶部から界面活性剤が析出し始めていた。
各実施例及び各比較例における温度状態を表1に示す。また、各実施例及び各比較例における、「表面溶出率」、「ブロッキング性」、「トランスクリスタル晶」及び「ペレットの形状」の評価結果を表2に示す。
A:(株)プライムポリマー製:プライムポリプロF−300SP(ポリプロピレン)
B:東邦化学工業(株)製:アンステックスSA−300F(ステアリルジエタノールアミンとステアリン酸とのエステル)
C:BASF製:イルガノックス1010
D:日本ポリプロ(株)製:ノバテックPP FB3EBT(ポリプロピレン)
E:東邦化学工業(株)製:アンステックスSA−35(アルキルジエタノールアミン)
F:(株)ADEKA製:アデカスタブ2112
G:日本ポリエチレン(株)製:ノバテックLL UF442(ポリエチレン)
H:BASF製:イルガノックス1076
I:東邦化学工業(株)製:アンステックスSA−8MB(界面活性剤配合物)
J:東邦化学工業(株)製:ソルボンS−40(ソルビタンモノパルミテート)
表2の実施例1〜7で製造したペレットは、結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを溶融混練して得られた混練物を冷却し続いて加熱する際に、その冷却温度と加熱温度を適当な温度に設定することにより、比較例1〜4で製造したペレットと比較して、界面活性剤の表面表出量が抑制され、ブロッキングの発生が抑制された。その上、ペレットの形状も良好であった。
1:原料樹脂タンク
2:フィーダー
3:二軸押出機
4:液体添加用ポンプ
5:界面活性剤
6:水槽
7:除水機
8:ヒーター
9:カッター
10:ふるい
11:圧送機
12:タンク

Claims (11)

  1. 結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを含むマスターバッチであって、
    該マスターバッチの表面及びその近傍内部にトランスクリスタル晶層が存在することを特徴とする、マスターバッチ。
  2. 前記トランスクリスタル晶層の厚さが少なくとも2μmであることを特徴とする、マスターバッチ。
  3. 前記界面活性剤が帯電防止剤及び/又は防曇剤であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のマスターバッチ。
  4. 前記結晶性熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマスターバッチ。
  5. 結晶性熱可塑性樹脂と界面活性剤とを溶融混練する混練工程を含むマスターバッチの製造方法であって、
    前記混練工程で得られた混練物を冷却し、続いて加熱する結晶化工程を含むことを特徴とする、製造方法。
  6. 前記結晶化工程において、混練物の冷却前の温度(T)と冷却後の温度(T)との差がT−T=−110乃至−210℃であることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記結晶化工程において、混練物の冷却後の温度(T)と加熱後の温度(T)との差がT−T=10乃至90℃であることを特徴とする、請求項5又は請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記結晶化工程の冷却が水冷方式にて為されることを特徴とする、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記結晶化工程の後に、得られた結晶化物をペレット形態のマスターバッチに成形する成形工程を更に含むことを特徴とする、請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記界面活性剤が帯電防止剤及び/又は防曇剤であることを特徴とする、請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記結晶性熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする、請求項5乃至請求項10のいずれか1項に記載の製造方法。
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