JP2015218204A - 難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】射出成形機で成形した成形品に焼けが生じにくい組成物の製造方法の提供。【解決手段】(a)テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)を含む難燃性成分(但し、ハイドロタルサイトは除く)80〜98.9質量%、(b)ハイドロタルサイト0.1〜10質量%、および(c)融点60〜160℃の熱可塑性樹脂(但し、次工程で使用するプロピレン系樹脂は除く)1〜10質量%を溶融混練した後、冷却し、切断して、混合物ペレットを得る工程、プロピレン系樹脂100質量部と前記混合物ペレット5〜30質量部を溶融混練する工程、その後、冷却し、切断してペレットを得る工程を有している、難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法に関する。
難燃剤を配合したポリプロピレン樹脂組成物は、家電製品、OA製品、自動車用などの外装材料や内部部品の製造用として汎用されている。
特許文献1には、(A)ポリオレフィン系樹脂、(B)(b1)テトラブロモビスフェノールAのビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテルと、(b2)テトラブロモビスフェノールSのビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテル又は(b3)トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートとの混合物、(C)酸化アンチモン、(D)ハイドロタルサイト類からなる難燃性樹脂組成物が記載されている。
実施例(段落番号0020)では、上記成分に相当する成分(表1)を二軸混練機に供給して、120〜240℃で溶融混練した後、最終的に組成物ペレットを得たことが記載されている。
しかしながら、上記した各成分を実施例に記載の方法により溶融混練して組成物ペレットを得た場合には、ペレット中における(D)成分のハイドロタルサイト類の分散性が悪いため、「焼け」が生じるという問題があった
特許文献1の実施例では、「(3)耐熱性(滞留焼け試験)」の結果、「5:焼けがごくわずかである」との評価になっているが、200〜220℃で5分間滞留させるという短時間の滞留試験であり、より長い時間の滞留試験における焼けの有無は確認されていない。
特許第3648032号公報
本発明は、プロピレン樹脂に対してハイドロタルサイトを含む添加剤を添加したものを溶融混練した後で射出成形した場合であっても、成形品に上記した「焼け」の問題が生じることがない難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、課題の一つの解決手段として、
(a)テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)を含む難燃性成分(但し、ハイドロタルサイトは除く)85〜98.5質量%、および
(b)ハイドロタルサイト1.5〜15質量%をドライブレンドして混合物を得る工程、
プロピレン系樹脂100質量部と前記混合物5〜30質量部を溶融混練する工程、
その後、冷却し、切断してペレットを得る工程を有している、難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明は、課題の他の解決手段として、
(a)テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)を含む難燃性成分(但し、ハイドロタルサイトは除く)80〜98.9質量%、
(b)ハイドロタルサイト0.1〜10質量%、および
(c)融点60〜160℃の熱可塑性樹脂(但し、次工程で使用するプロピレン系樹脂は除く)1〜10質量%を溶融混練した後、冷却し、切断して、混合物ペレットを得る工程、
プロピレン系樹脂100質量部と前記混合物ペレット5〜30質量部を溶融混練する工程、
その後、冷却し、切断してペレットを得る工程を有している、難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法を提供する。
本発明の製造方法で得られた難燃性プロピレン系樹脂組成物は、射出成形機により成形して得られた成形品に焼けが生じ難くなる。
<第1の製造方法>
最初の工程にて、(a)成分と(b)成分をドライブレンドして混合物(第1混合物)を得る。
(a)成分は、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)を含む難燃性成分(但し、ハイドロタルサイトは除く)である。
(a)成分の難燃性成分は、難燃剤であるテトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)を含むものであり、他の難燃剤、難燃助剤を併用することができる。
他の難燃剤としては、臭素系難燃剤(臭素原子を含む難燃剤)が好ましい。他の難燃剤を併用するときには、難燃剤中の他の難燃剤(難燃助剤は含まれない)の含有割合は50質量%以下であることが好ましく、35質量%以下がより好ましい。
難燃助剤としては、三酸化アンチモン(Sb23)、五酸化アンチモン(Sb25)が好ましい。
(a)成分の難燃性成分は、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)単独からなるもの、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)と難燃助剤の組み合わせからなるものが好ましい。
(a)成分の難燃性成分が、(a−1)テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)と(a−2)難燃助剤からなるものであるときは、(a−1)成分と(a−2)成分の合計量中、(a−1)成分の混合割合は50〜90質量%が好ましく、60〜85質量%がより好ましく、(a−2)成分の混合割合は10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。
(b)成分のハイドロタルサイトは、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、ビスマスなどの含水塩基性炭酸塩、またはそれらの無水物を使用することができる。
(b)成分のハイドロタルサイトは、天然物でもよいし、合成品でもよい。
天然物としては、Mg6 Al2 (OH)16CO3 ・4H2 Oの構造を有するものを使用することができる。
合成品としては、Mg0.7 Al0.3(OH)2(CO30.15・0.54H2O、Mg4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O、Mg4.2Al2(OH)12.4(CO3 0.15、Zn6 Al2(OH)16CO3・4H2O、Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg14Bi2(OH)29.6・4.2H2Oなどを使用することができる。
(a)成分と(b)成分の混合割合は、合計量100質量%中、(a)成分は85〜99.9質量%、好ましくは90〜98.5質量%、(b)成分は0.1〜15質量%、好ましくは1.5〜10質量%である。
次の工程にてプロピレン系樹脂、必要に応じて添加する他の成分、前工程で得られた第1混合物を押出機などの混練機に供給して、溶融混練する。
その後、例えばストランド状に押し出しながら冷却し、ペレタイザーで切断して組成物のペレットを得る。
本発明の製造方法で使用するプロピレン系樹脂は、プロピレンのホモポリマーのほか、プロピレンと他のモノマーとのコポリマーを使用することができる。
プロピレンと他のモノマーとのコポリマーとしては、プロピレンとエチレン、
プロピレンと他のモノマーとのコポリマーは、プロピレン単位の割合(原料基準)が50モル%以上であることが好ましい。
プロピレン系樹脂と第1混合物の混合割合は、プロピレン系樹脂100質量部に対して、第1混合物5〜30質量部が好ましく、8〜20質量部がより好ましい。
必要に応じて添加できる他の成分としては、充填剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料などを使用することができる。これらの他の成分は、第1混合物に配合することもできる。
<第2の製造方法>
最初の工程にて、(a)成分、(b)成分および(c)成分を押出機などの混練機に供給して溶融混練した後、例えばストランド状に押し出しながら冷却し、ペレタイザーで切断して混合物ペレット(第2混合物ペレット)を得る。
(a)成分と(b)成分は、上記の第1の製造方法で使用したものと同じものである。
(a)成分の難燃性成分が、(a−1)テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)と(a−2)難燃助剤からなるものであるときは、(a−1)成分と(a−2)成分の合計量中、(a−1)成分の混合割合は50〜90質量%が好ましく、60〜85質量%がより好ましく、(a−2)成分の混合割合は10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。
(c)成分の融点60〜160℃の熱可塑性樹脂(プロピレン単位は含まず、上記したプロピレン系樹脂は除かれる)は、上記したプロピレン系樹脂よりも融点の低いものである。
(c)成分の熱可塑性樹脂は、融点が60〜120℃のものが好ましく、65〜105℃のものがさらに好ましい。
(c)成分の熱可塑性樹脂は、前記の融点範囲であり、使用するプロピレン系樹脂の融点よりも40℃以上融点が低いものが好ましく、55℃以上融点が低いものがより好ましい。
(c)成分の熱可塑性樹脂は、上記した融点範囲を満たすものであり、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれる単量体との共重合体、低密度ポリエチレンから選ばれるものを使用することができる。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルを挙げることができ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルを挙げることができる。
(c)成分の熱可塑性樹脂は市販品を使用することができ、市販品としては、例えば、
株式会社NUCから販売されているNUC−6220(融点97℃)、NUC−6170(融点93℃)、NUC−6510(融点94℃)、NUC−6520(融点94℃)、NUC−6570(融点91℃)、NUC−6070(融点87℃)、NUC−6940(融点83℃)(いずれも、EEA樹脂)、DPDJ−6182(融点95℃)、DPDJ−6169(融点93℃)、DPDJ−9169(融点92℃)(いずれも、EEA樹脂)、
株式会社NUCから販売されているNUC−36600(融点103℃)、NUC−8450(融点89℃)、NUC−3830(融点86℃)、NUC−3461(融点75℃)、NUC−3888(融点75℃)、NUC−3195(融点73℃)、NUC−3810(融点72℃)(いずれもEVA樹脂)、DQDJ−1868(融点83℃)、DQDJ−3269(融点69℃)(いずれもEVA樹脂)を挙げることができる。
(a)成分、(b)成分、(c)の混合割合は、合計100質量%中、
(a)成分は80〜98.9質量%、好ましくは84〜95質量%であり、
(b)成分は0.1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%であり、
(c)成分は1〜10質量%、好ましくは1〜8質量%である。
次の工程にてプロピレン系樹脂、必要に応じて添加する他の成分、前工程で得られた第2混合物ペレットを押出機などの混練機に供給して、溶融混練する。
その後、例えばストランド状に押し出しながら冷却し、ペレタイザーで切断して組成物のペレットを得る。
本発明の製造方法で使用するプロピレン系樹脂は、プロピレンのホモポリマーのほか、プロピレンと他のモノマーとのコポリマーを使用することができる。
プロピレンと他のモノマーとのコポリマーとしては、プロピレンとエチレン、
プロピレンと他のモノマーとのコポリマーは、プロピレン単位の割合(原料基準)が50モル%以上であることが好ましい。
プロピレン系樹脂と第2混合物ペレットの混合割合は、プロピレン系樹脂100質量部に対して、第2混合物ペレット5〜30質量部が好ましく、10〜25質量部がより好ましい。
必要に応じて添加する他の成分としては、充填剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料などを使用することができる。これらの他の成分は、第2混合物ペレットに配合することもできる。
(a)成分
TBS:テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル),丸菱油化工業(株)社製のノンネンPR-2
難燃剤1:エタン-1,2-ビス(ペンタブロモフェニル),アルベマール(株)製のSAYTEX8010(融点354℃)
難燃剤2:2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)1,3,5-トリアジン,第一エファール(株)製のSR-245(融点230℃)
難燃剤3:トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート,大八化学工業(株)製のCR900(融点183℃)
三酸化アンチモン:TWINKLING STAR社製 H1010
(b)成分
ハイドロタルサイト:協和化学工業社製 DHT4A2
(c)成分
エチレンエチルアクリレートコポリマー(EEA):融点87℃,NUC社製NUC-6070
(プロピレン系樹脂)
PP1:サンアロマー製のPM854X(プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)(融点165℃;DSC法)
PP2:サンアロマー製のPM9000A(プロピレンのホモポリマー)(融点168℃;DSC法)
製造例1(第1混合物の製造)
表1に示す(a)成分のテトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)95.6質量%と(b)成分のハイドロタルサイト4.4質量%をドライブレンドして、第1混合物を得た。
Figure 2015218204
製造例2(第2混合物ペレットと比較用ペレットの製造)
表2に示す各成分をドライブレンドしたのち、2軸押出機に供給して150℃で溶融混練した。
その後、ストランド状に押し出しながら冷却して、ペレタイザーで切断して、第2混合物ペレットと比較用ペレットを得た。
Figure 2015218204
実施例1〜7、比較例1〜6
表3に示す各成分を2軸押出機に供給して、220℃で溶融混練した。その後、ストランド状に押し出しながら冷却して、ペレタイザーで切断して、各組成物のペレットを得た。
これらの組成物のペレットを使用して、以下の各試験を実施した。結果を表3に示す。
(1)焼けの評価試験
射出成形機内にて、220℃で、10分、20分およびは30分滞留させた後、下記の条件で射出成形してプレート(90×50×3mm)を得た。得られたプレートの外観を肉眼で観察したときの焼けの有無を次の基準で評価した。
◎:30分間の滞留でも焼けがなかった
○:20分間の滞留では焼けがなかったが、30分間の滞留では焼けがあった
△:10分間の滞留では焼けがなかったが、20分間の滞留では焼けがあった
×:10分間の滞留で焼けがあった
(射出成形条件)
射出成形機:三菱重工(株)の100MS II(型締力100t)射出成形機,シリンダー径36mm
シリンダー温度:220℃
金型温度:50℃
(2)難燃性試験
UL規格94Vに準拠し、厚み1.6mmの試験片と厚み0.75mmの試験片について垂直燃焼試験を行い、燃焼性を評価した。
Figure 2015218204
実施例1、2の組成物から得られた成形体は、220℃、20分間の滞留後の成形でも焼けがなく、実施例3〜7の組成物から得られた成形体は、220℃、30分間の滞留後の成形でも焼けがなかった。
これに対して、比較例1〜6から得られた成形体は焼けが生じやすかった。比較例4〜6は、特許文献1(特許第3648032号公報)の実施例に相当する組成物であるが、220℃、10分間の滞留により成形体に焼けが生じた。
表3の結果から、ハイドロタルサイトを含む添加剤を使用してプロピレン樹系脂組成物を製造することによって、組成物中にハイドロタルサイトを均一に分散させることができるため、成形品に焼けが生じ難くなるものと考えられる。

Claims (4)

  1. (a)テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)を含む難燃性成分(但し、ハイドロタルサイトは除く)85〜99.9質量%、および
    (b)ハイドロタルサイト0.1〜15質量%をドライブレンドして混合物を得る工程、
    プロピレン系樹脂100質量部と前記混合物5〜30質量部を溶融混練する工程、
    その後、冷却し、切断してペレットを得る工程を有している、難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  2. (a)テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)を含む難燃性成分(但し、ハイドロタルサイトは除く)80〜98.9質量%、
    (b)ハイドロタルサイト0.1〜10質量%、および
    (c)融点60〜160℃の熱可塑性樹脂(但し、次工程で使用するプロピレン系樹脂は除く)1〜10質量%を溶融混練した後、冷却し、切断して、混合物ペレットを得る工程、
    プロピレン系樹脂100質量部と前記混合物ペレット5〜30質量部を溶融混練する工程、
    その後、冷却し、切断してペレットを得る工程を有している、難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  3. (c)成分の融点60〜160℃の熱可塑性樹脂が、エチレンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれる単量体との共重合体、低密度ポリエチレンから選ばれるものである、請求項2記載の難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法。
  4. (a)成分の難燃性成分が、(a−1)テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)と(a−2)難燃助剤からなるものであり、
    (a−1)成分と(a−2)成分の合計量中、(a−1)成分の含有割合が50〜90質量%、(a−2)成分の含有割合が10〜50質量%である、請求項1または2記載の難燃性プロピレン系樹脂組成物の製造方法。
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