JP2016008148A - Ca(OH)2水性スラリーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、平均粒径が0.05〜1.0μm、分散剤がCa(OH)2100質量部に対して1.0〜2.3質量部、スラリー濃度30〜55質量%のCa(OH)2水性スラリーの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 粉砕器および予備混合器を備えた反応器を用い、水の入った予備混合器に、生石灰と分散剤を連続的または逐次的に30分以上かけて添加するとともに、粉砕器内のスラリー温度が60℃以下を保つようにして反応させる。粉砕器としては、循環式ビーズミルを用い、粉砕メディアの直径が0.03mm〜2mmのものとすることが好ましい。また分散剤としてはカチオン性の高分子型分散剤であることが好ましい。【選択図】 なし
Description
本発明は、排ガス処理剤、有害ガスの捕捉剤、排水処理剤、水性インキ、脱臭剤、塗料、セメント混和剤、建築材、保温性壁材、各種窯炉の耐火材料、強度発現材、薬液注入材料、中和剤、加工機械の腐食防止剤、抗菌剤、紙、鋳物、電解精錬用添加剤、製線用潤滑剤、難燃化充填剤等の用途に有用な超微粒子で高濃度のCa(OH)2水性スラリーの製造方法に関する。
Ca(OH)2スラリーは、排水処理剤、排ガス処理剤、中和剤等として広く利用されている。これらの用途において、より高濃度でかつより小さな粒径のCa(OH)2スラリーを用いれば、その効率や効果を高められることが知られている。しかし、Ca(OH)2スラリーは高濃度化や粉砕による微細化にともない、スラリー粘性が急激に増加したりホイップ状態となって流動性を失ったりして実使用ができない状態になるため、その改善が求められている。
そこで例えば、微細なCa(OH)2スラリーを得る方法としてはCaO(生石灰)を原料として高濃度のCa(OH)2スラリーを圧力化で消化した後、高速攪拌する方法(特許文献1)、水酸化カルシウムスラリーの消化工程において、粗粒スラリーを分離することにより微細なCa(OH)2スラリーを得る方法(特許文献2)、などが提案されている。これらの方法によりある程度微細なCa(OH)2スラリーが得られるが、かかる方法は、消化後のスラリーの粗粒部を分離するだけで、粉砕工程を伴わないため、平均粒径は高々5μm程度であり、またCa(OH)2スラリーの濃度も20%未満であった。また、特許文献3では、酸化カルシウムを予め微粉砕し、必要に応じて石コウおよびグリセリンを添加し低粘度で高濃度のCa(OH)2水性スラリーを調製しているが、その平均粒径は10μm以上であり微細な粒子とはいいがたい。
従って、高濃度で微細な粒径のCa(OH)2スラリーにおいて流動性を保つためには、分散剤を添加することにより、スラリーの粘性を低減することが必須である。またCa(OH)2スラリーの粉砕工程においても、粉砕効率を高めるために、Ca(OH)2粒子を分散する効果を有する、分散剤を添加する必要がある。
分散剤を添加したCa(OH)2スラリーにおいては、水溶性のエチレン系酸型ポリマー/コポリマーを用いる方法(特許文献4)、ポリアルキレングリコール鎖を含む分散剤を使用する方法(特許文献5)、カルボン酸塩系高分子化合物とノニオン系界面活性剤の混合物、もしくはポリスチレンスルホン酸ナトリウム系化合物を用いる方法(特許文献6)、などが提案されているが、特許文献4では平均粒径が3μm程度と粒子の微細化が十分とはいえず、また、ずり速度の低下とともにスラリー粘度が高くなる性質、つまり擬塑性が強いため作業性の点で好ましくない。特許文献5および6においては、得られるスラリーの性能は非常に高いものの、分散剤の使用量が多いためコスト的に問題がある。
本発明は、前述の技術状況を鑑み、非常に微細でかつスラリー濃度が高く、その粘度は低く、また擬塑性が弱い、さらに分散剤の量が少ないために安価に製造可能なCa(OH)2水性スラリーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意研究を行ってきた。その結果、粉砕器および予備混合器を備えた循環型の反応器において、水の入った予備混合器に生石灰および分散剤を投入する速度を制御し30分以上かけて投入するとともに、必要に応じて熱交換器等を用い、粉砕器内のスラリー温度を60℃以下に保つことで、分散剤の使用量を抑えつつ、低粘度、低擬塑性の微細な高濃度のCa(OH)2水性スラリーを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は平均粒径が0.05〜1.0μm、分散剤がCa(OH)2100質量部に対して1.0〜2.3質量部、スラリー濃度30〜55質量%のCa(OH)2水性スラリーを製造する方法であって。粉砕器および予備混合器を備えた反応器を用い、水の入った予備混合器に、生石灰と分散剤を連続的または逐次的に30分以上かけて添加するとともに、粉砕器内のスラリー温度が60℃以下を保つようにして反応させることを特徴とする前記製造方法である。
本発明によれば、非常に微細でかつスラリー濃度が高く、その粘度は低く、また擬塑性が弱いCa(OH)2水性スラリーを、少ない分散剤量で効率的に製造できる。このため本発明の製造方法で提供されるCa(OH)2水性スラリーは、微細でスラリー濃度が高いため前記した各種用途での有用性が高く、また擬塑性が弱いため扱いやすい。よって、産業上極めて有用である。
以下、本発明について最良の形態を含めさらに具体的に説明する。
本発明は平均粒径が0.05〜1.0μm、分散剤がCa(OH)2100質量部に対して1.0〜2.3質量部、スラリー濃度30〜55質量%のCa(OH)2水性スラリーを粉砕器および予備混合器を備えた反応器で製造する方法であって、水の入った予備混合器に、生石灰と分散剤を連続的または逐次的に30分以上かけて添加するとともに、粉砕器内のスラリー温度が60℃以下を保つようにして反応させる。
CaOが水と反応しCa(OH)2になることを消化とよぶ。この消化反応は強い発熱を伴う反応であり、大量のCaOを一度に水の中に投入すると、反応液の温度が急激に上昇する。このような状態で分散剤を投入しても十分な分散効果が得られず、結果、大量の分散剤を投入することが必要となる。
そこで本発明においては、生石灰を水に対し30分以上かけて連続的または逐次的に投入する。これにより反応液の急激な温度上昇を防ぐことができ、分散剤の使用量を抑えることが可能となる。
分散剤は、消化反応にて生成したCa(OH)2粒子の表面に吸着して、近接する粒子間に緩やかな架橋を形成させることにより再凝集や沈降を抑制していると考えられている。しかし、粉砕時に粒子に吸着した分散剤の一部は、粉砕の過程で物理的に生じる再凝集により粒子の内部に一時的に取り込まれるものと推定される。よって、粉砕工程においてスラリーの液相に存在する分散剤の量が多いと、上述のような好ましくない状態で吸着し、取り込まれる分散剤の量が増加するため、特に粉砕の初期段階における吸着量を少量に抑えるように液相における分散剤の量を制御することが重要である。
そこで、分散剤についても水に対し30分以上かけて連続的または逐次的に投入することで、分散剤のCa(OH)2粒子内部への取り込みを抑制することができ、分散剤の使用量を抑えることが可能となる。
分散剤の効果が粉砕器内で十分に発揮されない場合、再凝集が起こりやすくなり粉砕効率が低下し好ましくない。前述の通り、本発明者等は分散剤は反応液の温度が高いほど効果が低下することを確認しており、特に60℃を超えると粉砕効率が著しく低下し、得られるスラリーの粘度が高くなってしまうことを見出した。よって、分散剤の量を抑制しつつ、高い粉砕効率を得るためには粉砕器内の温度を60℃以下に保つことが好ましく、55℃以下に保つことがより好ましく、50℃以下に保つことが特に好ましい。
本発明においては、予備混合器内に存在する水に対して上記生石灰及び分散剤が添加され、ついで、この混合物が粉砕器へと送られる。生石灰は予備混合器では表面しか水酸化物にならないが、粉砕器で粉砕されると粒子径が小さくなるとともに破砕により生じた新たな面が水酸化物へと変換される。この反応は発熱反応であり、破砕機では多量の熱が発生する。そこで、上記温度以下に制御するために、通常、破砕物や反応器を冷却する必要がある。
冷却方法は特に制限されないが、好適には熱交換器形式で冷却することができる。熱交換器の種類は公知のものであれば特に制限なく使用できる。具体例としては、スパイラル式熱交換器やプレート式熱交換器といった液−液系熱交換器、空冷式熱交換器のような気−液熱交換器が挙げられる。
本発明において、スラリー中の粒子の粉砕に用いる粉砕器は、ボールミル、遊星ミル、撹拌槽型ミル、循環式ビーズミルなど、湿式粉砕可能な公知の粉砕器であれば特に制限されないが、微細化するには、粉砕効率が高く、高度な粉砕が可能な湿式粉砕ができる点で循環式ビーズミルが好適である。
上記方法での粉砕効率は粉砕メディアの径に依存する。使用できる粉砕メディアの直径は0.03mm〜2mm程度であるが、直径1.0mm以下の粉砕メディアが好ましく使用でき、特に好ましくは0.8mm以下の粉砕メディアが使用できる。
上記方法で使用する粉砕メディアの材質は特に制限されず、金属、ガラス、セラミックス等の粉砕メディアを使用することができるが、耐摩耗性の観点からセラミックスの粉砕メディアが好ましく使用でき、特にジルコニアの粉砕メディアが好ましく使用できる。
本発明において、原料を投入する予備混合器は、粉体と液体を混合する能力を有している公知の装置であれば特に制限はないが、粉体を投入しやすく、また撹能力を制御しやすいという点で、反応液タンクに撹拌羽を有した形状の混合装置が好ましい。
また上記方法で、原料の投入方法は、投入量を制御できる公知の技術であれば特に制限されないが、連続的な投入が可能であり、また投入時の異物混入を防ぐことができる点で、フィーダーを用いることが好ましい。
前述のとおり、本発明においては生石灰と分散剤を連続的または逐次的に30分以上かけて添加する。ここで、時間当たりの添加量は厳密に均一でなくともよく、10分当たりの添加量が全添加量の1/20〜1/2となるように調整すればよい。添加にかける時間の上限は特に限定されないが、製造効率の点で120分以下とすることが好ましい。
本発明において、原料に用いるCaOとしては、その焼成方法や焼成温度に特に制限はないが、水和反応性が低く、消化反応による凝集を抑制することが可能であることから、硬焼生石灰が好適に使用される。また原料として使用するCaOは粉砕されていれば特に粒径、粒度分布に制限はなく、その粉砕方法や分級方法にも制限はないが、予備混合器内の分散性向上および粉砕時間の抑制が可能となることから、乾式粉砕後、100ミクロン以下にふるい分けされた生石灰粒子が好適に使用できる。
上記方法で本発明のCa(OH)2水性スラリーを得るためにはCaOの全使用量は、それが全て消化されてCa(OH)2になった場合の濃度が30〜55質量%となる量を用いればよい。55質量%を超える濃度で消化・粉砕を行うことは通常困難である。
本発明において、媒体である水は、水道水、イオン交換水、蒸留水、工業用水等が特に制限なく使用出来る。
本発明において用いる分散剤は、水酸化カルシウムを分散する効果を有するものであれば、特に制限無く使用することが出来る。具体的には、リグニンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩等を主成分とするカチオン性の高分子型分散剤が好適な例として挙げられ、さらに好ましくはポリカルボン酸塩、特に好ましくはポリアルキレングリコール鎖を有するポリカルボン酸塩が高い分散能を有し好ましい。なおこれらの分散剤は一種単独で使用してもよく、また2種類以上組み合わせて用いてもよい。 本発明の製造方法によれば、分散剤の全使用量がCa(OH)2100質量部に対して1.0〜2.3質量部となる量で十分に粉砕・分散できる。
分散剤を用いて粉砕するとスラリーが泡立ちやすい。そこで、粉砕に際しては消泡剤を添加することが好ましい。消泡剤は、粉砕が終了する直前の段階で加え、スラリー全体に分散すればよい。消泡剤の具体例としては、エステル型、エーテル型、エステルエーテル型(ポリアルキレングリコール型)、アルカノールアミド型などの非イオン性界面活性剤、またはポリシロキサン系消泡剤やシリコーンオイルなどが挙げられる。消泡剤が含まれる場合、その量はCa(OH)2の水性スラリー中に0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。
粉砕は得られる消石灰の平均粒径が1.0μm以下となるまで行う。平均粒径はサンプリングにより容易に判別できるし、最初に必要な条件を求めておき、次回以降は時間等を同じ条件で行えば都度サンプリングしなくても再現性よく上記平均粒径を得ることが可能である。
本発明の製造方法で提供されるCa(OH)2水性スラリーは、スラリーを構成するCa(OH)2微粒子は、粒子径基準を体積とした場合、通過分積算分布のメディアン径(d50)が1.0μm以下、好ましくは0.9μm以下、特に好ましくは0.8μm以下であり、下限は0.05μm以上であり、好ましくは0.2μm以上である。
なお粒子径を測定する方法として、ここではレーザー光を照射し、照射領域を通過する粒子から発せられる散乱(回折)光から粒子径、粒子数を求めるレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置が使用される。粒子径の基準は体積基準(体積分布)であり、対象データを値の昇順に並べた場合に中央に位置する値をメディアンと呼び、算出する場合にはデータを昇順(降順)にソートしてから、粒子径の大きい側と小さい側が等量となる径をメディアン径(d50)といい一般的によく用いられる。本発明において平均粒径とは、このメディアン径(d50)をいう。
本発明の製造方法で製造されるCa(OH)2水性スラリーは、水を媒体としCa(OH)2微粒子を含み、さらに分散剤を含む。Ca(OH)2の割合は、スラリー全量100質量部に対して、30〜55質量部、好ましくは35〜53質量部、特に好ましくは40〜50質量部であり、また、分散剤の割合は、スラリー中に含まれるCa(OH)2全量100質量部に対し、1.0〜2.3質量部、好ましくは1.2〜2.2質量部、特に好ましくは1.5〜2.1質量部である。残部は水であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、他の溶媒や消泡剤等の添加剤が含まれていてもよい。
本発明の製造方法で提供されるCa(OH)2水性スラリーの粘度は、作業性の観点から、ずり速度が5.36s−1における見かけの粘度が2000mPa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは1000mPa・s以下が好ましく、500mPa・s以下が特に好ましい。下限は特に限定されないが5.0mPa・s以上が好ましい。
なお、ずり速度が5.36s−1における見かけの粘度が2000mPa・s以下とすることにより良好な送液性が得られる。
本発明の製造方法で提供されるCa(OH)2水性スラリーの擬塑性は、見かけのずり速度が1.072s-1の時の見かけの粘度をη1、見かけのずり速度が5.36s-1の時の見かけの粘度をη2とした時、η1/η2の値で表わすことができる。すなわち、この値が大きくなるほど、ずり速度の低下に対する見かけの粘度の上昇が大きいこととなり、擬塑性が強いことになる。
本発明の製造方法で提供されるCa(OH)2の水性スラリーの擬塑性は、作業性の観点からη1/η2が3以下である。2.5以下であることが好ましく、2以下であることが特に好ましい。η1/η2の下限は特に定められるものではないが、一般には1.0以上である。
なお、η1/η2が3を超えてしまう場合、たとえば送液を開始した直後の粘度が高く流動性が低いため、ポンプの故障の原因となり好ましくない。
以下、本発明を更に詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)平均粒径の評価方法
分散媒体としてエタノールを使用し、レーザー回折式粒度分析計(堀場製作所製LA−950)を用いてCa(OH)2の粒度分布を測定し、測定結果から体積平均径d50を算出し、これを平均粒径とした。測定は粉砕終了時点で行った。
分散媒体としてエタノールを使用し、レーザー回折式粒度分析計(堀場製作所製LA−950)を用いてCa(OH)2の粒度分布を測定し、測定結果から体積平均径d50を算出し、これを平均粒径とした。測定は粉砕終了時点で行った。
(2)スラリー粘度の評価方法
B型回転粘度計(東機産業製BH2)により、スラリーの粘度を測定し、見かけのずり速度が5.36s−1の見かけの粘度の値をスラリー粘度とした。測定は粉砕終了時点で行った。
B型回転粘度計(東機産業製BH2)により、スラリーの粘度を測定し、見かけのずり速度が5.36s−1の見かけの粘度の値をスラリー粘度とした。測定は粉砕終了時点で行った。
(3)擬塑性の評価方法
B型回転粘度計(東機産業製BH2)により、スラリーの粘度を測定し、見かけのずり速度が1.072s-1の時の見かけの粘度をη1、見かけのずり速度が5.36s-1の時の見かけの粘度をη2とし、η1/η2の値を算出した。測定は粉砕終了時点で行った。
B型回転粘度計(東機産業製BH2)により、スラリーの粘度を測定し、見かけのずり速度が1.072s-1の時の見かけの粘度をη1、見かけのずり速度が5.36s-1の時の見かけの粘度をη2とし、η1/η2の値を算出した。測定は粉砕終了時点で行った。
(実施例1)
循環型ビーズミル、予備混合器、熱交換器を有する反応器により、生石灰を原料として消化反応と同時にCa(OH)2スラリーを粉砕した。生石灰として工業用硬焼生石灰(最大粒径:100μm)を、分散剤としてポリカルボン酸系高性能AE減水剤(溶液状、固形分濃度:31%)を、水はイオン交換水を使用した。Ca(OH)2の固形分濃度がスラリー全量100質量部に対し48質量部になるよう生石灰の配合量を決定した。また分散剤は、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し2.1wt%となるように配合量を調整した。生石灰および分散剤は一定投入速度で40分かけて予備混合器中の水に投入した。粉砕は生石灰投入開始直後から行い、延べ140分間行った。粉砕終了直前に、予備混合器中に消泡剤としてノニオン系界面活性剤をスラリー全量100質量部に対し0.2質量部になるように添加しスラリー全体に分散させた
熱交換器により反応液の温度を制御し、反応中の粉砕器内における最高温度は47℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
循環型ビーズミル、予備混合器、熱交換器を有する反応器により、生石灰を原料として消化反応と同時にCa(OH)2スラリーを粉砕した。生石灰として工業用硬焼生石灰(最大粒径:100μm)を、分散剤としてポリカルボン酸系高性能AE減水剤(溶液状、固形分濃度:31%)を、水はイオン交換水を使用した。Ca(OH)2の固形分濃度がスラリー全量100質量部に対し48質量部になるよう生石灰の配合量を決定した。また分散剤は、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し2.1wt%となるように配合量を調整した。生石灰および分散剤は一定投入速度で40分かけて予備混合器中の水に投入した。粉砕は生石灰投入開始直後から行い、延べ140分間行った。粉砕終了直前に、予備混合器中に消泡剤としてノニオン系界面活性剤をスラリー全量100質量部に対し0.2質量部になるように添加しスラリー全体に分散させた
熱交換器により反応液の温度を制御し、反応中の粉砕器内における最高温度は47℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(実施例2)
Ca(OH)2の固形分濃度がスラリー全量100質量部に対し53質量部になるよう生石灰の配合量を決定し、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し2.3wt%となるように配合量を調整した以外は実施例1と同様に、Ca(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は55℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
Ca(OH)2の固形分濃度がスラリー全量100質量部に対し53質量部になるよう生石灰の配合量を決定し、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し2.3wt%となるように配合量を調整した以外は実施例1と同様に、Ca(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は55℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(実施例3)
消石灰および分散剤の投入時間を30分とし、熱交換器による温度制御を行わず、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し2.3wt%となるように配合量を調整した以外は実施例1と同様に、Ca(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は57℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
消石灰および分散剤の投入時間を30分とし、熱交換器による温度制御を行わず、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し2.3wt%となるように配合量を調整した以外は実施例1と同様に、Ca(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は57℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(実施例4)
消泡剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に、Ca(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は48℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
消泡剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に、Ca(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は48℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(実施例5)
粉砕時間を120分にし、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し1.7wt%となるように配合量を調整した以外は、実施例1と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は46℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
粉砕時間を120分にし、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し1.7wt%となるように配合量を調整した以外は、実施例1と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は46℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(実施例6)
Ca(OH)2の固形分濃度がスラリー全量100質量部に対し33質量部になるよう生石灰の配合量を決定し、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し1.2wt%となるように配合量を調整し、粉砕時間を90分にした以外は、実施例1と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は43℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
Ca(OH)2の固形分濃度がスラリー全量100質量部に対し33質量部になるよう生石灰の配合量を決定し、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し1.2wt%となるように配合量を調整し、粉砕時間を90分にした以外は、実施例1と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は43℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(実施例7)
消石灰および分散剤の投入時間を30分とし、熱交換器による温度制御を行わず、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し2.3wt%となるように配合量を調整した以外は、実施例6と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は55℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
消石灰および分散剤の投入時間を30分とし、熱交換器による温度制御を行わず、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し2.3wt%となるように配合量を調整した以外は、実施例6と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は55℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(比較例1)
消石灰および分散剤の投入時間を20分とし、熱交換器による温度制御を行わなかった以外は、実施例1と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は63℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
消石灰および分散剤の投入時間を20分とし、熱交換器による温度制御を行わなかった以外は、実施例1と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は63℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(比較例2)
消石灰および分散剤の投入時間を20分とし、熱交換器による温度制御を行わなかった以外は、実施例2と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は68℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
消石灰および分散剤の投入時間を20分とし、熱交換器による温度制御を行わなかった以外は、実施例2と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は68℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(比較例3)
消石灰および分散剤の投入時間を20分とし、熱交換器による温度制御を行わなかった以外は、実施例3と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は63℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
消石灰および分散剤の投入時間を20分とし、熱交換器による温度制御を行わなかった以外は、実施例3と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は63℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(比較例4)
消石灰および分散剤の投入時間を20分とし、熱交換器による温度制御を行わず、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し4.3wt%となるように配合量を調整した以外は、実施例1と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は62℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
消石灰および分散剤の投入時間を20分とし、熱交換器による温度制御を行わず、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し4.3wt%となるように配合量を調整した以外は、実施例1と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は62℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(比較例5)
消石灰および分散剤の投入時間を10分とし、熱交換器による温度制御を行わず、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し7.6wt%となるように配合量を調整した以外は、実施例1と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は74℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
消石灰および分散剤の投入時間を10分とし、熱交換器による温度制御を行わず、分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し7.6wt%となるように配合量を調整した以外は、実施例1と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は74℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(比較例6)
消石灰および分散剤の投入時間を20分とした以外は、実施例7と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は61℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
消石灰および分散剤の投入時間を20分とした以外は、実施例7と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は61℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
(比較例7)
分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し0.8wt%となるように配合量を調整した以外は、実施例6と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は43℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
分散剤を、その固形分量がスラリー中のCa(OH)2の全量に対し0.8wt%となるように配合量を調整した以外は、実施例6と同様にCa(OH)2スラリーを調製した。なお反応中の粉砕器内における最高温度は43℃であった。得られたスラリーの物性値等を表1に示す。
Claims (3)
- 平均粒径が0.05〜1.0μm、分散剤がCa(OH)2100質量部に対して1.0〜2.3質量部、スラリー濃度30〜55質量%のCa(OH)2水性スラリーを製造する方法であって、粉砕器および予備混合器を備えた反応器を用い、水の入った予備混合器に、生石灰と分散剤を連続的または逐次的に30分以上かけて添加するとともに、粉砕器内のスラリー温度が60℃以下を保つようにして反応させることを特徴とする前記製造方法。
- 分散剤がカチオン性の高分子型分散剤である請求項1記載の製造方法。
- 粉砕器が循環式ビーズミルであり、粉砕メディアの直径が0.03mm〜2mmである請求項1又は2記載の製造方法。
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