本発明に係る燃料供給装置の一実施の形態について、ガソリンスタンド等の給油所に設置され、給油ノズルの筒先を車両等の給油口に挿入し、ガソリン、軽油といった燃料を車両等に補給する給油装置を例に説明する。
図1は、本発明に係る燃料供給装置の一実施形態としての給油装置の一実施例の概略構成図である。
図示の例では、給油装置1は、地上設置式の給油装置を示している。給油装置1は、給油装置本体2内に、ポンプモータ12により駆動されるポンプ11、ポンプ11から吐出された燃料の液量を計測する流量計13が収納されている一方、給油装置本体2からは、流量計13の流出側と内部配管15を介して連通され、先端に給油ノズル17が接続された給油ホース16が導出された構造になっている。ポンプ11の吸い込み側は、地下配管41を介して、燃料油液を貯溜する地下タンク42内の液中に連通接続されている。
給油装置1において、ポンプ11により地下タンク42内から汲み上げられた油液は流量計13に供給され、その液量が計測される。流量計13には流量発信器14が付設され、単位流量毎の油液の流れに比例した流量パルスが出力される。
給油ノズル17は、給油作業で使用されないときは、給油装置本体2に設けられたノズル収納部18に格納されている。給油ノズル17は、給油作業時、ノズル収納部18から取り出され、先端の吐出パイプを車両等の給油口に挿入し、操作レバーを操作して内蔵された開閉弁を開弁して、燃料の補給が行えるようになっている。ノズル収納部18には、給油ノズル17の取り出し及び掛け戻しを検知するためのノズルスイッチ19が設けられている。給油作業の際における給油量等の給油情報は、その表示面を給油装置本体2から外部に臨ませて設けられた表示器21に表示される。
給油装置本体2内には、ポンプ11、流量計13等といった機器に加え、給油装置各部を制御する制御装置30が設けられている。制御装置30は、メモリ、入出力インタフェース等を備えたマイクロコンピュータ装置を含んで構成されている。制御装置30には、ノズルスイッチ19の検出信号等が入力され、これら信号入力に基づいて、給油装置各部を制御する。
具体的に、制御装置30は、ノズルスイッチ19からの検出信号に基づき、給油ノズル17のノズル収納部18からの取り出しによりポンプモータ12を駆動し、給油ノズル17のノズル収納部18への掛け戻しによりポンプモータ12の駆動を停止させ、給油ノズル17への油液の送液を制御する油液供給制御部として機能する。また、制御装置30は、流量発信器14からの流量パルスの入力に基づき、給油作業時の給油量を演算して表示器21に表示する給油量演算表示部として機能する。
さらに、給油装置1では、制御装置30は、給油所内ローカルエリアネットワーク(いわゆる、給油所LAN)を介して図示せぬ給油所用POS端末機(販売時点情報管理機)と通信接続され、給油所用POS端末機から供給される給油作業許可信号や給油作業禁止信号の受信に基づいて、上述した給油ノズル17の操作に基づくポンプモータ12の駆動をはじめとする装置各部の作動を許可又は禁止し、給油作業が終了した際には給油量等の給油情報を給油所用POS端末機に伝票発行等のために送信するようになっている。
本実施例に係る給油装置1では、上述した構成に加えて、地下タンク42から給油ノズル17に到る燃料供給経路の適所に、水検出装置50が設けられている。水検出装置50は、ポンプ11により地下タンク42内から汲み上げられて給油ノズル17に供給される燃料中に混入している水の量を検出する。
そして、制御装置30は、この水検出装置50の検出出力に基づいて供給対象に供給される燃料中に水の異常な混入が有るか否かを検出する異常混入検出部としても機能するようになっている。これに伴って、制御装置30には、水検出装置50の検出出力が入力されるようになっている。
異常混入検出部としての制御装置30は、給油ノズル17に送液される油液中に所定の含水率を超える水分が混入されている異常時を判定する異常判定処理を行い、その結果、送液燃料中に所定の含水率を超える水分が混入されている異常時を判別した場合は、さらに異常時対策処理を行うようになっている。
水検出装置50は、図示の例では、ポンプ11の吸い込み側に設けられ、ポンプ11の吸い込み口は、この水検出装置50を介して、一端が地下タンク42内に連通された地下配管41の他端と連通接続された構成になっている。
水検出装置50は、給油装置1の燃料供給経路の適宜位置、図示の実施例では、ポンプ11の吸い込み口に気液密に着脱可能に取り付けられている。水検出装置50は、位置調整用配管49を適宜必要に応じて使用することにより、如何様な燃料供給経路の構成であっても、後述する水溜部70の凹部開口71を、燃料供給経路を流れる燃料の水平方向に沿った流れ向きに対して正対できるようになっている。
図2は、図1に示した水検出装置の一実施例の概略構成図である。図2(A)は、図1に示した水検出装置の正面外観の概略構成図を、図2(B)は、図2(A)に示した水検出装置の左側面外観の概略構成図をそれぞれ示す。
図3は、図2に示した水検出装置の一実施例の正面概略断面図である。
図2及び図3に示すように、水検出装置50の装置筐体51の筐体面には、供給対象に供給される燃料が流入する流入口52と、供給対象に供給される燃料が流出する流出口53とが別々に設けられている。また、装置筐体51の筐体内部には、流入口52と流出口53との間を連通するように、途中に流路の屈曲部分若しくは湾曲部分からなる流れ向き変換部55が備えられた検出流路54が延設されている。
具体的に、図2及び図3に示す水検出装置50においては、装置筐体51は、流入側の円筒直管筐体部51iと流出側の円筒直管筐体部51oとを、互いの管流路同士が連通するように、一体的にL字状に連結したエルボ配管継手形状になっている。また、流入口52、流出口53がそれぞれ形成された装置筐体51の開口周縁部分は、水検出装置50が接続される相手配管、すなわち図1に示した給油装置1の場合は、ポンプ11の吸い込み口、位置調整用配管49との接続のための締結用端面になり、締結用フランジ61(61i,61o)が形成された構造になっている。
ここで、検出流路54に備えられている流れ向き変換部55について、詳述する。
流れ向き変換部55は、燃料の流入方向Fi(水平方向)に対し、燃料の流出方向Fo(垂直方向)を変える検出流路54における流路部分を指す。図3に示すように、流れ向き変換部55は、図中、例えば、水平方向(X方向)に沿って流入する燃料の流れを、垂直方向(Z方向)に沿って流出する燃料の流れに切り換えることができればよく、具体的には流路を切り換え案内するための流れ向き変換部55の流路の形状が屈曲形状若しくは湾曲形状であればよい。なお、燃料の流入方向Fiと燃料の流出方向Foとの間の流れ向きの変換角度θについては鋭角又は鈍角であってもよい。
図2及び図3に示した水検出装置50においては、装置筐体51の流入側の円筒直管筐体部51iと流出側の円筒直管筐体部51oとの管流路同士の連通・連結部分が、屈曲部分56からなる流れ向き変換部55に該当する。そして、この装置筐体51の検出流路54を形成する流路壁58の中、流れ向き変換部55の流路壁部分が、流れ向き変換部55の流路壁59に該当し、この流路壁59は屈曲形状若しくは湾曲形状となっている。流れ向き変換部55の流路壁59には、流れ向き変換部55の流入側と流出側との間で燃料の流れ向きを変える(Fi→Fo)ため、流入側の円筒直管筐体部51iの検出流路54部分に沿って流入する燃料の流体圧に抗する流路壁部分59pも含まれる。
その上で、装置筐体51の流路壁部分59pには、この流路壁部分59pに凹部開口71を臨ませるようにして、水溜部70を構成する凹部72が形成されている。図示の例では、水溜部70は、流入側の円筒直管筐体部51iを、その延設方向に係り、流出側の円筒直管筐体部51oとの管流路同士の連通・連結部分よりも奥部側に突設して、流入側の円筒直管筐体部51iの管流路と一体的に形成されている。
この結果、水溜部70では、水溜部70を構成する凹部72が、凹部開口71を流れ向き変換部55の流入部55iと対向するように、流れ向き変換部55の流路壁部分59pに設けられているので、凹部72の凹部周壁73の中、流れ向き変換部55の流出部55oと近い側の上方側周壁73uが、凹部底面74と流れ向き変換部55の流出部55oとの間で段差面となって、凹部72内に流入した燃料がそのまま垂直すなわち高さ方向(Z方向)の上向きに流れ向きを変えて、凹部72から流出できないようになっている。
これに対し、凹部72の凹部周壁73の中、流れ向き変換部55の流出部55oと遠い側の下方側周壁73dは、流れ向き変換部55の流路壁59の中の流出部55oと対向する流路壁部分59qとの間で、段差を形成しないようになっている。
このように構成された水溜部70の凹部72内には、下方側周壁73dから所定距離だけ離間させて、水検出器80のセンサ部81が収容、配設されている。図示の例では、センサ部81は、凹部底面74を形成する装置筐体51部分に貫通形成されたセンサ部取付孔62に、図示せぬシール部材により凹部72すなわち装置筐体51内の液密性を保ちながら、センサ部81の先端側を凹部72内に収容、配置させるように着脱可能に装着されている。これにより、水検出装置50は、その流れ向き変換部55を備えた装置筐体51を、燃料供給経路から取り外して離脱させなくとも、装置筐体51のセンサ部取付孔62から、水検出器80のセンサ部81を凹部72内から取り出して、センサ部81のメンテンス等が行い得るようになっている。
図4は、センサ部を含めた水検出器の一実施例の概略構成図である。
水検出器80は、図示の例では、電気容量型の水検知センサになっている。水検出器80は、一対のセンサ電極82,83と出力回路84とを有し、センサ電極82,83それぞれに対する燃料中に含まれた水の接触具合やセンサ電極82,83間に入り込んで介在する水の量に応じて、このセンサ電極82,83間の電気的特性が変化する構造になっている。電気容量型の水検知センサでは、供給対象に供給される燃料中に含まれる水の量を静電容量Cの変化で検出する構成になっている。
図示の例では、水検出器80の一対のセンサ電極82,83の中、一方のセンサ電極82は、検出電極として、センサ部取付孔62から水溜部70の凹部72内に収容、配設されるセンサ部81の先端側に取り付けられている。また、他方のセンサ電極83は、接地電極として、センサ部81の先端側の電極82と対向する装置筐体51の下方側周壁73dに設けられている。
なお、この接地電極としてのセンサ電極83については、検出電極となるセンサ部81の先端側のセンサ電極82が対向する、装置筐体51の下方側周壁73dが導電性部材で構成されている場合には、この装置筐体51の下方側周壁73d自体で接地電極としてのセンサ電極83を構成することも可能である。
水検出器80の出力回路84は、一対のセンサ電極82,83それぞれと接続され、一対のセンサ電極82,83間の静電容量Cの変化を検出して、異常混入検出部としての制御装置30に検出信号を出力する。
水検出器80の絶縁部85は、図示の例では、センサ部81がセンサ部取付孔62に取り付けられた状態での、一対のセンサ電極82,83同士の短絡、すなわち、センサ部81の先端側のセンサ電極(検出電極)82と、センサ電極(接地電極)83を構成する装置筐体51の下方側周壁73d自体との短絡を防ぐためのものである。
なお、水検出器80の出力回路84は、図示の例では、センサ電極82及び絶縁部85とともに、センサ部81として一体的に構成したが、センサ電極82及び絶縁部85からなるセンサ部81と別途離間して、例えば制御装置30に付設された構成であってもよい。
また、この水検出器80としての電気容量型の水検知センサの具体的な構成は、図4に示した実施例に限られるものではない。例えば、他方のセンサ電極(接地電極)83については、一方のセンサ電極(検出電極)82との間を短絡させないようにして、センサ部81と一体に設けられた構成とすることも可能である。その場合には、センサ電極82,83間には空間部からなる絶縁部86を備え、両センサ電極82,83は共に、凹部72内に収納されることになる。両センサ電極82,83間の絶縁部86には、凹部72内で燃料が介在可能になっている。
図10は、図4に示した電気容量型の水検知センサの別な実施例の概略構成図である。
本実施例の水検出器80としての電気容量型の水検知センサは、センサ部81に一対のセンサ電極82,83の双方が一緒に設けられ、センサ電極(検出電極)82及びセンサ電極(接地電極)83は、センサ部81として一体的に凹部72内に対して着脱可能できる構成になっている。一対のセンサ電極82,83を凹部72内に収容、配置させたセンサ部81の取付状態で、センサ電極(検出電極)82は装置筐体51の下方側周壁73dに対して図示省略した絶縁部85によって絶縁され、他方のセンサ電極83とも絶縁部86によって絶縁されている。この実施例によれば、一対のセンサ電極82,83間の絶縁部86には、凹部72内に貯溜している燃料が介在できるようになっている。そのため、水検出器80は、凹部周壁73とセンサ部81との間に介在する水の溜り状態に応じて、センサ電極82,83間の静電容量が変化することにより、水を検出することができる。また、センサ電極(接地電極)83については、接地電位に保たれているならば、装置筐体51の下方側周壁73dに対して絶縁されていても導通接触されていても構わない。
この場合、一対のセンサ電極82,83間には、凹部72内の燃料が介在できるようになっており、供給対象に供給される燃料中に含まれる水の量を静電容量Cの変化で検出できる。一対のセンサ電極82,83間には、燃料中に混入している水分を捕集可能な絶縁部材を設けてもよい。一対のセンサ電極82,83は、燃料中に含まれる水の量の変化を静電容量変化として取り出せるように、凹部72内で水平方向(X方向若しくはY方向は)、又は垂直方向(Z方向、すなわち高さ方向は)に、所定距離だけ離間されて対向配置されている。
以上、水検出器80の水検知センサについて、電気容量型の水検知センサを用いた構成を例に説明したが、燃料中に混入する水の量を検出することができるものであるならば、電気容量型の水検知センサに限られるものではない。例えば、燃料中における水の混入具合を、例えば一対のセンサ電極82,83の間の抵抗値Rや信号伝搬時間等といった電気的特性の変化で検出することができるものであればよい。
このように構成された本実施例の給油装置1にあっては、異常混入検出部としての制御装置30は、車両等の供給対象への給油作業の実行に伴って、図5に示すようにして、給油ノズル17に供給される油液中に所定の含水率を超える水分が混入されている異常時を判定する異常判定処理、及び所定の含水率を超える水分が供給油液中に混入されている異常時と判定されたときの異常時対策処理を行うようになっている。
図5は、本実施例の給油装置により行われる異常判定処理及び異常時対策処理を含めた給油作業処理の手順を示したフローチャートである。
制御装置30は、給油作業処理を実行開始すると、ステップS10で、給油作業が開始されたか否かを監視するともに、ステップS20では、給油作業の待機中において、供給対象に供給される燃料中に含まれる水の監視タイミングであるか否かを監視する。給油作業開始の検出は、ノズルスイッチ19の取り出し検出信号や給油所用POS端末機からの給油作業許可信号等の入力によって検出可能である。また、燃料中に含まれる水の監視タイミングの検出は、制御装置30自身による予め設定された監視インターバルの計時等によって検出可能である。
ここで、給油作業の開始が検出された場合は、制御装置30は、ステップS30以下の給油作業処理を実行する。また、制御装置30は、給油作業の待機中における、供給対象に供給される燃料中に含まれる水の監視タイミングが検出された場合は、ステップS22以下の、給油作業の待機中における、燃料中への水の異常混入の確認処理を実行する。
この場合、給油作業の待機中では、給油装置1は、ポンプ11が停止状態にあるので、水検出装置50における検出流路54は燃料の流れが無い状態になっている。そのため、水検出装置50の水溜部70には、検出流路54内、及び検出流路54と連通状態で高さ位置が上方の上流側配管内に満たされた燃料中に含まれる水が燃料との比重の違いにより燃料から分離して、水留部70内の凹部72の底部に貯留可能な状況になっている。
そこで、制御装置30は、ステップS22以下の燃料中への水の異常混入の確認処理では、まず、水検出装置50における水検出器80の検出出力に、予め設定してある基準出力に対して変化があるか否かを確認する(S22)。この基準出力の値は、水検出器80の出力特性等により予め設定された値である。例えば、水検出器80の一対のセンサ電極82,83間に、タンクローリ車から地下タンクに荷卸しする燃料が介在する場合の水検出器80の検出出力の値が利用可能である。
そして、制御装置30は、水検出器80の検出出力に、この基準出力に対して変化があった場合は、その検出出力の変化が所定値以上であるか否かを確認する(S24)。この場合の所定値は、水検出装置50と連通状態にある上流側の燃料液量等により予め設定された値である。例えば、検出流路54内、及び検出流路54と連通状態で高さ位置が上方の上流側配管内に満たされた燃料中に僅かながら予め存在している水分が、水検出装置50の水溜部70に貯留した場合を基に、予め設定された値である。
制御装置30は、水検出器80の検出出力の基準出力に対する変化が所定値以上であることを確認した場合は、ステップS64以下の異常時対策処理を実行して、供給対象へ供給する燃料中に水が異常に混入していることをエラー報知し(S64)、給油装置1を用いた給油作業を禁止する(S66)。
これに対し、制御装置30は、水検出器80の検出出力に、この基準出力に対して変化がなく、又、変化があっても所定値を超えていない場合は、ステップS10に戻り、給油作業の待機中を継続する。
一方、制御装置30は、ステップS10で給油作業が開始されたことを確認した場合は、ポンプ11を起動し、給油量等の計測表示をゼロリセットする等して、供給対象への燃料供給開始処理を行う(S30)。したがって、給油ノズル17が開弁されれば、供給対象への燃料供給が開始され、水検出装置50における検出流路54には燃料の流れが生じる。
制御装置30は、給油作業が開始された後は、ステップS40以下の、給油作業中における、燃料中への水の異常混入の確認処理を実行するとともに、ステップS50では、給油作業が終了したか否かを監視する。給油作業終了の検出は、ノズルスイッチ19からの掛け戻し検知信号や給油所用POS端末機からの給油作業禁止信号等の入力によって検出可能である。
ここで、給油作業中における、燃料中への水の異常混入の確認処理では、制御装置30は、まず、ステップS22と同様にして、水検出装置50における水検出器80の検出出力に、予め設定してある基準出力に対して変化があるか否かを確認する(S40)。そして、制御装置30は、水検出器80の検出出力に、この基準出力に対して変化があった場合は、その検出出力の変化が所定値以上であるか否かを確認する(S60)。
制御装置30は、ステップS60で、水検出器80の検出出力の基準出力に対する変化が所定値以上であることを確認した場合は、ステップS62以下の異常時対策処理を実行する。この場合、制御装置30は、異常時対策処理として、ポンプ11の駆動を停止して現在行っている給油作業を中断終了させるとともに(S62)、供給対象へ供給する燃料中に水が異常に混入していることをエラー報知し(S64)、給油装置1を用いた給油作業を禁止する(S66)。
さらに、ステップS60にて、水検出器80の検出出力の基準出力に対する変化が所定値以上であることが確認された場合には、ステップS64でのエラー報知は、燃料供給停止によるポンプの駆動の停止により、凹部72内の隅部に寄り集まって滞留していた水が流路壁59の底面部に溜まり、水検出器80による検出出力の変化が所定値以下に変化した場合でも、作業員が所定の復帰操作するまで報知され続けられる構成となっているので、作業員は配管等のメンテナンスを確実に行うことができる。
これに対し、制御装置30は、水検出器80の検出出力が、基準出力に対して変化がなく、又、変化があっても所定値を超えていない場合、及び給油作業も終了していない場合は、ステップS40に戻り、現在の給油作業を継続する。
一方、制御装置30は、ステップS50で給油作業が終了したことを確認した場合は、ポンプ11の駆動を停止し、給油量等の給油情報を伝票発行のために給油所用POS端末機に送信する等の給油作業処理を実行する(S52)。そして、制御装置30は、次の給油作業に備えてステップS10に戻り、給油作業が開始されたか否かを監視するともに、ステップS20では、給油作業の待機中において、供給対象に供給される燃料中に含まれる水の監視タイミングであるか否かを監視する。
なお、上記ステップS60の所定値は、ステップS24の場合の所定値とは異なるものとしてもよい。具体的には、水検出器80における検出流路54に燃料の流れがある場合を前提に、地下タンク42から供給対象に供給する燃料中に予め存在しているごく僅かな水分だけではなく、例えば地下タンク42と給油装置1との間の地下配管41の腐食や亀裂によって外部から燃料中に混入した異常な水もある場合においての、センサ電極82,83それぞれに対する燃料中に含まれた水の接触具合や一対のセンサ電極82,83間に入り込んで介在する水の量を基に、予め設定された値である。したがって、ステップS60の場合は動的状態の燃料中の水を検出するため、その所定値は、ステップS22の静的状態の燃料中の水を検出する場合よりも計測に使用できる時間が短くなるので、ステップS24の場合よりも小さい値にするのが好ましい。
本実施例の給油装置1では、上述したような手順で、車両等の供給対象に対しての給油作業すなわち燃料供給作業が行われるが、次に、この給油作業中(燃料供給時)並びに給油作業の待機中(燃料非供給時)における、図2及び図3に示した水検出装置50の作用について説明する。
図6は、図3に示した水検出装置の作用についての説明図である。
水検出装置50は、図1に示したように、水溜部70の凹部開口71が水平方向の燃料の流れ向きに対向するようにして、給油装置1の燃料供給経路に配設されている。そのため、図5において、ステップS10〜20〜10の流れで示した給油作業の待機中状態では、給油装置1の燃料供給経路には燃料の流れが無いため、水検出装置50の検出流路54内、及び検出流路54と連通状態で高さ位置が上方の上流側配管内に満たされた燃料中に含まれる水は、燃料よりも比重が重いので、この待機中状態が続くと、燃料中への混入状態から分離して水溜部70の凹部72の凹部周壁73の中の下方側周壁73d上に集まり、水溜部70の凹部72に図6に示したように溜るようになる。
一方、図5の給油作業処理の手順で、ステップS30の供給対象への燃料供給開始処理でポンプ11が起動され、給油ノズル17が開弁された後の供給対象への燃料供給中は、給油装置1の燃料供給経路、すなわち水検出装置50の検出流路54には、図6に示すような、流れ向き変換部55で流れ向きが変換される燃料の流れF1が生じることになる。そして、このような燃料が流れている状態においては、通常、燃料中に含まれる水は、上述した給油作業の待機中のように分離して溜ることなく、燃料中に分散して水泡状に混入した状態になる。
その際、流れ向き変換部55の流入部55iに流れ込んだ燃料の一部は、水溜部70の凹部開口71がこの流れ向き変換部55の流入部55iと対向するように開口しているため、水溜部70の凹部72内にも流れ込むことになる。これにより、水溜部70の凹部72に、給油作業の待機中に図示したように分離して溜っていた水も、再び流動する燃料中に分散して水泡状に混入した状態になる。
ところが、この水溜部70の凹部72内に流れ込んだ燃料は、この凹部72内が行き止まりとなっており、流れ向き変換部55の流出部55oと近い側の上方側周壁73uが、凹部底面74と流れ向き変換部55の流出部55oとの間で段差面となっているため、そのまま垂直方向、すなわち高さ方向(Z方向)に流れ向きを変えて、流れ向き変換部55の流出部55oから流出することができない。その結果、凹部72内に流れ込んだ燃料の流れF2は、図6に示すように凹部72内での凹部周壁73の上方側周壁73u、凹部底面74、凹部周壁73の下方側周壁73dとの衝突によってその流れ向きを変えられて凹部72内を回流しながら、凹部開口71から凹部72の外部に流出することになる。この凹部72内に流れ込んだ燃料の流れF2の凹部72内での回流により、凹部72内に流れ込んだ燃料中に水泡状に分散して混入している水は、その比重により、回流する燃料の流れF2の外側を流れるものが相対的に増加することになる。そして、この回流する燃料の流れF2中に混入している水は、凹部72内の角部に寄り集まって滞留しだすとともに、この滞留している水の一部は再び回流する燃料の流れF2中に分散して混入することになる。
これにより、水溜部70の凹部72内に下方側周壁73dから所定距離だけ離間させて設けられた水検出器80のセンサ部81には、その一対のセンサ電極82,83間をこの回流する燃料の流れF2の外側部分が通過することになり、供給対象への燃料供給中は、水溜部70の凹部72内の燃料の回流によって、センサ電極82,83それぞれに対する燃料中に含まれた水の接触具合やセンサ電極82,83間に入り込んで介在する水の量を増加させることができ、給油作業中における、水検出装置50における検出流路54に燃料の流れが生じている状況であっても、供給対象へ供給する燃料中に水が異常に混入している場合は、燃料の流れが生じている中で正確かつ迅速に検出することができる。
また、ここで燃料供給開始(=ポンプ駆動開始)前に凹部72内に水が滞留していたとしても、燃料供給が開始(=ポンプ駆動開始)された場合に、上述した凹部72内に流入した燃料の回流により、当初、凹部72内にあった水は燃料中に分散されて流出され、その後、凹部72内の角部に寄り集まって滞留する水の量は、回流する燃料の流れF2中における水の混入具合とその回流具合に依存する。その結果、燃料供給作業が繰り返される度に、水留部内の水が徐々に溜まって増加し続けることがなく、燃料中に所定の含水率を超える水分が混入していない平時であるにも関わらず、水が混入したと誤判定することを防止できる。
次に、このような特徴を有する水検出装置50を備えた本実施例の給油装置1の作用について、従前の水検出装置を備えた給油装置と比較しながら説明する。なお、比較例の構成に係り、図2及び図3に示した水検出装置50の構成と対応する構成については、両者の構成の対比理解をはかるため、ダッシュ'を付した同一符号を用いて説明することとし、図示は省略する。
従前の水検出装置を備えた給油装置の第1の比較例として、水溜部を構成する凹部を備えていない流れ向き変換部55'だけの水検出装置50'の構成(単に流路内に水検出装置50'を設けたもの)がある。また、第2の比較例として、先行技術文献に見られるように水溜部70'を構成する凹部72'の凹部開口71'が流れ向き変換部55'の流入部55i'と対向せず、流出部55o'と対向した水検出装置50'の構成がある。
第1の比較例の水検出装置50'においては、本実施例のような、凹部開口71が流れ向き変換部55の流入部55iと対向する凹部72が、流れ向き変換部55に水溜部70として設けられておらず、流れ向き変換部55'内に水検出器80'が直接収容配置されただけの構成なので、水検出器80'の一対のセンサ電極82',83'間(図示省略)には、流れ向き変換部55'の流入部55i'から流入した燃料が流出部55o'に向かって通過するだけで、センサ電極82',83'それぞれに対する燃料中に含まれた水の接触具合によっては、供給対象へ供給する燃料中に水が異常に混入していても的確に検知できない場合があった。
具体的には、センサ電極82',83'間に入り込んで通過する燃料中に水が異常に混入していることを検知する第1の比較例の水検出装置80'の場合は、一対のセンサ電極82',83'間を通過する燃料中に混入している水を検知するため、一対のセンサ電極82',83'間を通過する燃料の水の混入具合や燃料の流速等により、通過する燃料中に混入している水を検出できない場合がある。また、燃料が流れている最中に通過する燃料中の水分を検出することになるので、燃料が通過する間の極めて短時間で通過した燃料に混入していた水の量を検出する必要があり、水検出装置80'には高い精度が求められることになる。
また、第2の比較例の水検出装置50'においては、水溜部70'を構成する凹部72'の凹部開口71'が流れ向き変換部55'の流出部55o'と対向するようになっており、凹部周壁73'が流れ向き変換部55'の流路壁部分59q'との間で段差部となっているので、流れ向き変換部55'で流れ向きが変換される燃料の流れF1が凹部72'内に流れ込みにくい。また、燃料中に所定の含水率を超える水分が混入していない平時であっても、給油作業が行われる度に水溜部70'としての凹部72'に水が徐々に溜まって凹部72'の水位が増加し続けるだけなので、水溜部70'の水位が所定液位になった場合には異常時の警報がなされてしまう。
これに対して、本実施例の給油装置1では、図6に基づいて説明したように、これらの問題が改善され、給油作業中における、水検出装置50における検出流路54に燃料の流れが生じている状況であっても、供給対象へ供給する燃料中に水が異常に混入している場合は、燃料の流れが生じている中で的確に検出することができる。また、燃料中に所定の含水率を超える水分が混入していない平時における誤警報の発生も抑制することができるので、誤警報に基づくメンテナンスを作業員が行うこともなくなり、給油装置1を用いた燃料供給サービスの低下も防止できる。
次にこのように構成された本実施例の水検出装置50を備えた給油装置1の変形例について、図面に基づき説明する。なお、上述した実施例では、給油装置の型式は、地上設置式の給油装置を例に説明したが、上述した水検出装置50の構成及び作用は、懸垂式給油装置等、他の型式の燃料供給装置であっても変わることはない。
図7は、水検出装置の装置筐体についての変形例を示した図である。
図8は、水検出装置の装置筐体についての別の変形例を示した図である。
図2及び図3に示した水検出装置50では、装置筐体51は、流入側の円筒直管筐体部51iと流出側の円筒直管筐体部51oとを、互いの管流路同士が連通するように、一体的にL字状に連結したエルボ配管継手形状に形成し、流入側の円筒直管筐体部51i部分の検出流路54の断面形状、流れ向き変換部55のその流入部55i側から眺めた形状、及び水溜部70としての凹部72の凹部開口71側から眺めた形状は、いずれも円形で、各部の境界には段差がない構成とした。
これに対し、図7に示した水検出装置50では、装置筐体51は、流入側の方形(菱形)直管筐体部51iと流出側の方形(菱形)直管筐体部51oとを、互いの管流路同士が連通するように、一体的にL字状に連結したエルボ配管継手形状に形成してある。これにより、流入側の円筒直管筐体部51i部分の検出流路54の断面形状、流れ向き変換部55のその流入部55i側から眺めた形状、及び水溜部70としての凹部72の凹部開口71側から眺めた形状は、いずれも菱形形状となっている。
これにより、水検出器80の図示省略したセンサ電極82,83間に入り込んで介在する水の量の変化が、これら検出流路54、流れ向き変換部55、及び凹部72が菱形形状になっているため、センサ電極82,83間のより顕著な水位変化として現れ、水検出器80の検出性能を一層引き出せる構造になっている。
図8は、図7に示した水検出装置50と同様に水検出器80の検出性能を一層引き出せる目的で、流入側の直管筐体部51i部分の下方側周壁、流れ向き変換部55の下方側周壁としての流出部55iと対向する流路壁部分59q、凹部72の下方側周壁73dそれぞれに、各部の境界に段差がない溝流路をさらに延設した構成の装置筐体51を示したものである。図示の例では、流入側の直管筐体部51i部分の検出流路54の断面形状、流れ向き変換部55のその流入部55i側から眺めた形状、及び水溜部70としての凹部72の凹部開口71側から眺めた形状は、図示のような、大径の半円形状と、溝流路の小径の半円形状とを組み合わせた形状になっている。
図9は、水検出装置についてのさらに別の変形例を示した図である。
本実施例の水検出装置50は、図2及び図3に示した水検出装置50の構成と異なり、装置筐体51の水溜部70としての凹部72の下方位置に、凹部72の下方側周壁73dの奥部に形成された連通孔75を介して連通された水排出準備室90を一体的に形成したことを特徴とする。
さらに、本実施例の水検出装置50では、この構成の相違に伴い、凹部72の下方側周壁73dを、流れ向き変換部55の下方側周壁としての流出部55iと対向する流路壁部分59qに対して下方に位置するようにし、凹部72の下方側周壁73dと流れ向き変換部55の流路壁部分59qとの境界で段差が生じないように、変換部55の流路壁部分59qが凹部72側に向かって傾斜させたことを特徴とする。
加えて、水排出準備室90の底面には、水排出準備室90内に貯溜されている水を外部に排出すための排出管91が連通され、排出管91には、マニュアル操作又は制御装置30からの開閉指示により開閉可能な排出弁92が設けられている。
なお、これら以外の構成については、図2及び図3に示した水検出装置50、図1に示した給油装置1と同様である。以下では、この同様構成については同一符号を付し、その重複説明は省略する。
本実施例の水検出装置50を用いた給油装置1は、図6に基づいて説明したとおり、給油作業中における、水検出装置50における検出流路54に燃料の流れが生じている状況であっても、供給対象へ供給する燃料中に水が異常に混入している場合は、燃料の流れが生じている中で正確かつ迅速に検出することができることを特徴とする。また、給油作業の繰り返しの度に、燃料中に自然に混入している水分が徐々に水溜部に貯留蓄積されることがないことを特徴とする。
ところが、例えば、検出流路54内、及び検出流路54と連通状態で高さ位置が上方の上流側配管内に満たされた燃料の容量が多量であり、かつ想定される給油作業の待機中若しくは給油装置1自体の稼動休止中の時間が長時間に及ぶような場合は、燃料中に混入している水分が自然に混入している水分だけであっても、この間に、燃料中への混入状態から分離して水溜部70の凹部72に集まり溜まった水の水位が、水検出装置50の水検出器80の誤作動を誘う水位に到る恐れが生じる。
そこで、本実施例では、このような状況で水溜部70の凹部72に集まり溜まる水が、連通孔75を介して水排出準備室90内に貯溜できるようにして、水溜部70の凹部72に集まり溜まった水の水位が水検出装置50の水検出器80を誤作動を誘う水位に到らないように構成されている。
水排出準備室90内に貯溜された水は、排出弁92のマニュアル操作又は自動操作によって定期的に排出可能である。例えば、制御装置30からの開閉指示により排出弁92を駆動する場合は、例えば、給油作業の待機中若しくは給油装置1自体の稼動休止中の延べ時間が所定時間になる毎、又は水排出準備室90内の水位を直接計測して所定水位に達する毎に、排出弁92を開弁すればよい。
以上のように、本発明に係る燃料供給装置の一実施形態としての給油装置1は構成されるが、本発明に係る燃料供給装置の実施形態は上記説明した実施例の構成に限定されるものではなく、これ以外にも種々の変形例の採用が可能である。