本発明は、給油ポンプを停止しているときでも、給油中の油液に許容含水率以上の水が混入する可能性がある場合は警報信号を発生し、給油中に油液の許容含水率以上の水が混入すると確実に給油を停止させることができる給油装置に関するものである。
特開昭58−073600号公報(特許文献1)の図1及び図2には、給油ポンプの二次側流路に油液の流れを乱さない方向に電極板を配置し、この電極板間の静電容量を測ることによって油中への気泡の混入を判定する給油装置が開示されている。
また特開昭59−040247号公報(特許文献2)の図1、図3及び図4には、油液中に水が混入することにより電気抵抗が小さくなることを利用した導電センサを、ガソリンスタンドの給油タンクに連通した油移送管に装着して水の混入を判定する給油装置が開示されている。
さらに特許第4149275号(特許文献3)の図4には、給油ポンプの内部で油液が流れる流路中の2カ所の位置に導電式の水検知センサを配置して、水の混入を検知すると、計量ユニットを停止させる給油装置が開示されている。
特開昭58−073600号公報(図1及び図2)
特開昭59−040247号公報(図1、図3及び図4)
特許第4149275号の図4
特開昭58−073600号(特許文献1)で用いる静電容量センサはポンプから気液分離器に通じる配管内に、電極が油の流れを乱さない方向に配置されている(図1及び図2参照)ので、給油中でしか気泡及び水の混入を検知できない。なぜならば給油停止中、気泡と水はそれぞれ静電容量センサの上方、下方へ移動するためである。
また特開昭59−040247号(特許文献2)に示された、導電センサは給油タンクから伸びる油移送管の途中に配置されている(図1、図3及び図4参照)ので、給油中においてしか水の混入を検知できない。なぜならば給油停止中、水は導電センサの下方へ移動するためである。しかも、給油中の水の混入を検知するために導電金属網の面積を大きくしたり、網目を細かくする等の工夫が必要で、水検出性能はセンサ形状に左右される。また、給油中での水検出性能を上げた大きな導電センサではセンサ内部に設けられた絶縁部材、金属網が油液の流れを阻害するのでポンプに負担がかかる問題がある。
さらに特許第4149275号(特許文献3)に示された給油装置では、導電式の水検知センサを用いて給油ポンプ内を流れている油液中に水が混入しているか否かを判定する。しかしながら油液中の水分は給油中、攪拌され微細な水滴として存在しているので、導電式の水検知センサを用いて水の混入を確実且つ高い精度で検知するためには、特許文献2に示されるような複雑な構造の導電式の水検知センサを用いる必要がある。
本発明の目的は、給油ポンプが停止しているときでも、油液に所定量以上の水が混入する可能性がある場合は水検知信号を発生し、給油中に許容含水率以上の水が油液に混入すると確実に給油を停止させることができる給油装置を提供することにある。
上記目的に加えて、本発明の他の目的は、給油する油液中に許容含水率以上の水が混入する前に警報信号を発生することができる給油装置を提供することにある。
上記目的に加えて、本発明の他の目的は、給油する油液中に許容含水率以上の水が混入する前に警報信号を発生するとともに、給油の開始を阻止することができる給油装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、油液中に気泡が混入していることを併せて検出できて、油液中の気泡の含有率が許容含有率以上あるときには、給油を停止することができる給油装置を提供することにある。
本発明は、最も広くは、給油ポンプが動作していないときに、給油経路内の水が溜まるエリアに配置されてエリアに溜まった水の存在を抵抗値の変化により検知する導電式水検知センサと、給油される油液中に混入した水の含水率の変化を静電容量の変化により検知する静電容量式水検知センサと、導電式水検知センサの出力と静電容量式水検知センサの出力を入力として検知信号を発生する検知信号発生部と、少なくとも検知信号を入力として、給油ポンプを含む被制御機器を制御する制御信号を発生する制御信号発生部とを具備する給油装置を対象とする。より具体的には、給油ポンプ内の水が溜まるエリアに配置されて給油ポンプ内のエリアに溜まった水の存在を抵抗値の変化により検知する導電式水検知センサと、給油ポンプから排出される油液中に混入した水の含水率の変化を静電容量の変化により検知する静電容量式水検知センサと、導電式水検知センサの出力と静電容量式水検知センサの出力を入力として検知信号を発生する検知信号発生部と、給油ポンプと開閉弁を備えたノズルとの間に配置された制御弁と、少なくとも検知信号に基づいて、給油ポンプ及び制御弁を制御する制御信号を出力する制御信号発生部とを備えた給油装置を対象とする。そして本発明においては、制御信号発生部が、給油ポンプが動作しているときに、静電容量式水検知センサの出力に基づいて許容含水率以上の水が混入していることを検知すると、給油を停止させる給油停止信号を発生する。また制御信号発生部は、給油ポンプが停止しているときに、導電式水検知センサの出力に基づいて所定量の水の存在を検知すると水検知信号を発生する。
このような構成を採用すると、給油ポンプが停止しているときに、導電式水検知センサの出力に基づいて水が溜まるエリア(例えばポンプ)内に溜まった水の量を検知して、給油される油液中に許容含水率以上の水が含まれる可能性があることを水検知信号により報知することができるので、水の混入原因を除去する必要性を給油所の運営者に早期に知らせることができる。また本発明によれば、水検知信号が出された後またはその前でも、静電容量式水検知センサの出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知して、給油を停止できるため、可能な限り給油を継続することができ、しかも給油装置から供給する給油中に許容含水率以上の水が混入することを防止できる。なお水検知信号が発生したときに、この信号に基づいて水の存在を知らせる警報を発生する場合には、水検知信号は警報信号として利用されることになり、給油開始を阻止する場合には、水検知信号は給油開始阻止信号として利用されることになる。
給油ポンプが停止している状態から、給油ポンプが稼働すると、油液中の含水率が許容含水率以上になることが十分に予想される場合には、静電容量式水検知センサの出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知するまでもなく、給油ポンプを起動させないことが好ましい。そこでこのような場合には、制御信号発生部を、給油ポンプの起動及び/または制御弁の動作を阻止して給油の開始を阻止する給油開始阻止信号を発生するように構成することができる。給油開始阻止信号を発生する前に警報信号を発生してもよい。そのためには、給油ポンプ内の水が溜まるエリアにおける導電式水検知センサの設置位置よりも下方の位置に、エリアに溜まった水の存在を抵抗値の変化により検知する追加導電式水検知センサを設ける。そして制御信号発生部は、給油ポンプが停止しているときに、給油開始阻止信号を発生する前に、追加導電式水検知センサが所定量よりも少ない基準量の水の存在を検知したときには、警報信号を発生する。このようにすれば許容含水率以上の油液を給油する事態が発生することをより確実に防止できる。この動作を実現するために、前述の基準量は、給油を開始したとしても、直ちに油液中の水の含水率が許容含水率に達することがないように定められており、所定量は、給油を開始したときに、直ちに油液中の水の含水率が許容含水率に達するように定められている。
導電式水検知センサ及び追加導電式水検知センサは、給油ポンプ内において水が溜まる領域であれば、どこでもよいが、特にこのエリアとしてポンプ内のサンプ室(空気分離装置で分離された気泡を含む油液が集まる部屋)の底壁に隣接するエリアを選択するのが好ましい。これはサンプ室がポンプ内の流路から隔離されており、混入した比重の大きい水が滞留し易いためである。なおこのエリアであれば、導電式水検知センサ及び追加導電式水検知センサの交換、取り付けが容易である。
導電式水検知センサの導電式センサ素子の構造は任意であるが、絶縁基板上に形成されて互い違い配置される一対の櫛歯状電極を備えたものを用いることができる。また導電式センサ素子は、最も簡単な構造としては、2つの棒状あるいは板状の電極を横に並べた構造のものを採用することができる。この構造であれば、簡単な構造で水の存在を検知できる。
また静電容量式水検知センサの静電容量式センサ素子は、給油ポンプの二次側に設けられた管路の内部に配置されているのが好ましい。この位置であれば、給油される油液中の含水率を確実に検知することができる。ここで用いる静電容量式水検知センサの静電容量式センサ素子としては、金属製の管路の中心部を管路に沿って延びる板状または棒状電極部と管路との間の静電容量を検知する静電容量式センサ素子を備えているものを用いるのが好ましい。金属製の管路の中心部を管路に沿って延びる板状電極または棒状電極を用いると、流路抵抗をあまり大きくすることがないので、給油に支障を生じさせることがない。また配管と電極との間に静電容量式センサ素子を形成する(配管は通常アルミ製でアース接続されているので、電極との間にコンデンサを形成する)と、センサの交換、取り付けが容易である。また、この静電容量式センサ素子であれば、簡単な構成にもかかわらず、気泡を検出することが可能である。
なお検知信号発生部は、より具体的には、静電容量式水検知センサの静電容量の変化に応じて周波数が変化する第1の検知信号を発生する第1の検知信号発生回路と、温度変化に伴って周波数は変化するが、一定温度では周波数が変化しない基準周波数の基準信号を発生する基準信号発生回路と、導電式水検知センサの抵抗値の変化を示す第2の検知信号を発生する第2の検知信号発生回路とを備えて構成することができる。また制御信号発生部は、第1の検知信号と基準信号とに基づいて温度補正された第1の検知信号を出力する温度補正部と、温度補正された第1の検知信号に基づいて含水率を判定し、含水率が許容含水率を超えると給油停止信号を発生する第1の判定部とを更に備えた構成とすることができる。このように温度補正部を含めると、温度変化による検知精度の低下を防止することができる。
制御信号発生部は、給油ポンプが動作しているときに、静電容量式水検知センサの出力に基づいて許容含水率よりも低い予め定めた含水率以上の水の混入を検知すると、予告警報信号を発生するように構成することができる。通常の給油装置は、1つの給油ポンプに2つのノズル(給油装置の表裏に設置)が接続されているが、このように予告警報信号を発生すると、他方のノズルで給油している(給油ポンプが動作している)場合でも、予告警報を発することができるので、次回給油時に許容含水率以上の水が混入することを事前に阻止することが可能になる。
また制御信号発生部は、給油ポンプが動作しているときに、静電容量式水検知センサの出力に基づいて、油液中に混入している気泡の含有率が基準値以上であることを検知すると予告警報信号を発生するように構成することができる。油液中の水が増えると、静電容量式水検知センサが検出する静電容量は増加し、油液中の気泡が増加すると、静電容量は低下する。したがって静電容量式水検知センサの出力がプラス方向に変化すれば、水の存在を検知していることが判り、マイナス方向に変化すれば気泡の存在を検知していることが判る。したがって本発明によれば、静電容量式水検知センサを用いて気泡の存在をそのまま検知できる。そのため本発明では、前述のように気泡の含有率が基準値以上であることを検知すると予告警報信号を発生することにより、スタンドの運営者に注意を喚起することができる。
また制御信号発生部は、給油ポンプが動作しているときに、静電容量式水検知センサの出力に基づいて、油液中に混入している気泡の含有率が基準値よりも多い許容含有率値以上であることを検知すると、給油停止信号を発生するように構成することができる。
このようにすれば許容含有率以上の気泡が混入した油液を給油することを防ぐことができる。なお前述の基準値は、給油を開始したとしても、直ちに油液中の気泡の含有率が許容含有率に達することがないように定められている。
具体的な検知信号発生部は、第1の検知信号発生回路と、基準信号発生回路と、第2の検知信号発生回路とから構成される。第1の検知信号発生回路は、静電容量式水検知センサの静電容量の変化に応じて周波数が変化する第1の検知信号を発生する。基準信号発生回路は、温度変化に伴って周波数が変化するが、一定温度では周波数が変化しない基準周波数の基準信号を発生する。第2の検知信号発生回路は、導電式水検知センサの抵抗値の変化を示す第2の検知信号を発生する第2の検知信号発生回路とから構成することができる。この場合、制御信号発生部は、温度補正部と、第1の判定部と、第2の判定部とから構成することができる。温度補正部は、第1の検知信号と基準信号とに基づいて温度補正された第1の検知信号を出力する。第1の判定部は、温度補正された第1の検知信号に基づいて含水率または気泡の含有率を判定し、判定した含水率または気泡の含有率に基づいて予告警報信号または給油停止信号を発生する。そして第2の判定部は、第2の検知信号に基づいて水検知信号(警報信号または給油開始阻止信)を発生する。
基準信号発生回路は、第2の検知信号が発生すると、基準信号を変化(基準信号の発振の中心電圧の変化や基準信号が停止する変化等)をさせるように構成することができる。この場合、第2の判定部は、基準信号に予め定めた変化があると水検知信号(警報信号または給油開始阻止信号)を発生するように構成することができる。このように検知信号発生部における導電式水検知センサの出力側の回路部分は、基準信号発生回路の発振を変化(基準信号の発振の中心電圧の変化や基準信号が停止する変化等)させるだけの簡単な回路で構成されており、そのため、導電式水検知センサの出力を、わざわざ別配線で取り出す必要がないので、信号線を増やすことなく、水混入の検出精度を上げることができる。
前述の追加導電式水検知センサを用いる場合、第2の検知信号発生回路は、追加導電式水検知センサの抵抗値の変化を示す第3の検知信号も発生するように構成される。そして基準信号発生回路は、第3の検知信号が発生すると、基準信号を変化させる。そして制御信号発生部の第2の判定部は、第2の検知信号の発生に基づく基準信号の変化を判定すると、給油開始阻止信号を発生し、第3の検知信号の発生に基づく基準信号の変化を判定すると、警報信号を発生するように構成することができる。
ガソリンステーション等で使用される本発明の給油装置の実施の形態の一例の主要部の構成を示すブロック図である。
静電容量式水検知センサ及び導電式水検知センサの実際の配置状態を示す給油ポンプの縦断面図である。
静電容量式水検知センサの静電容量センサ素子の変形例を説明するために用いる図である。
導電式水検知センサの構成の一例を説明するために用いる図である。
図1の実施の形態の第1の検知信号発生回路と、基準信号発生回路と、第2の検知信号発生回路とを具体化した回路の回路図である。
(A)及び(B)は、基準信号の変化を説明するために用いる図である。
第1の実施の形態の検知信号発生部の第1及び第2の検知信号発生回路と、制御信号発生部の第1の判定部と第2の判定部をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。
本発明の給油装置の第2の実施の形態の構成を示すブロック図である。
図8の実施の形態の第1の検知信号発生回路と、基準信号発生回路と、第2の検知信号発生回路を具体化した回路を示す回路図である。
第2の実施の形態の検知信号発生部の第1及び第2の検知信号発生回路と、制御信号発生部の第1の判定部と第2の判定部をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。
本発明の給油装置の第3の実施の形態の構成を示すブロック図である。
図11の実施の形態の第1の検知信号発生回路と、基準信号発生回路と、第2の検知信号発生回路を具体化した回路を示す回路図である。
第3の実施の形態で用いる導電式水検知センサの配置構成を示す図である。
第3の実施の形態の検知信号発生部の第1及び第2の検知信号発生回路と、制御信号発生部の第1の判定部と第2の判定部をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。
第3の実施の形態に、気泡の判定ルーチンを追加したコンピュータプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
第1の実施の形態に、気泡の判定ルーチンを追加したコンピュータプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、ガソリンステーション等で使用される本発明の給油装置1の実施の形態の一例の主要部の構成を示すブロック図である。なお図1には、本発明と直接関係しない構成部品等は図示を省略してある。給油装置1は、地下に埋設されている地下タンクT内に貯蔵されたガソリン、軽油、灯油などの油液を給油ポンプ3を用いて汲み上げて流量計5及び制御弁7を介してノズル8から自動車等の燃料タンクに給油する。なお図1中において、破線で示した線Fは給油経路である。給油装置1には、給油ポンプ3を駆動する駆動源としてのモータの駆動を制御して給油ポンプ3の動作を制御する給油ポンプ駆動制御回路13が配置されている。給油ポンプ駆動制御回路13は、制御信号発生部10からの制御信号に基づいて動作する。後に詳しく説明するが、制御信号発生部10は、POS端末からの給油許可信号、ノズルスイッチ9(ノズルが図示しないノズル収納部から取り外されたことを検知するスイッチ)からの給油要求信号、後述する検知信号発生部19からの検知信号等を入力として、モータ11に供給するモータ電流の通電を制御するためのモータ制御信号を発生する。
図2は、静電容量式水検知センサ15及び導電式水検知センサ17の実際の配置状態を示す給油ポンプ3の縦断面図である。図2に示すように、本実施の形態では、給油ポンプ3の出口配管(二次側出口)14内に静電容量式水検知センサ15が配置され、給油ポンプ3の内部のサンプ室16内に導電式水検知センサ17が配置されている。出口配管は、アルミニウム等の金属材料により形成されている。
本実施の形態では、静電容量式水検知センサ15の静電容量式センサ素子は、絶縁ブッシュ15Bを介して出口配管14に固定されて出口配管14内に沿って延びるように配置された平板状の電極15Aとアースに接続された出口配管14の内壁面とにより構成されている。平板状の電極15Aと出口配管14の内壁面との間に形成されたコンデンサ部の容量は、油液中に混入した水または気泡の量によって変化する。すなわち油液中における水の含水率が大きくなると、コンデンサ部の容量は大きくなり、含水率が小さくなると、コンデンサ部の容量は小さくなる。また油液中における気泡の含有率が大きくなると、コンデンサ部の容量は小さくなり、含有率が小さくなると、コンデンサ部の容量は大きくなる。なお水の混入は、配管の途中から地下水等が浸入した場合に発生し、気泡の混入は配管の途中の接続部の緩みや破損が原因となって発生する。したがってこのコンデンサ部の容量の変化を見れば、給油ポンプ3から吐出される油液中の含水率または気泡の含有率を知ることができる。なお静電容量式水検知センサ15の静電容量センサ素子は、図3に示すように、棒状電極15A´を出口配管14の中心線に沿って延びるようにブッシュ15B´を用いて出口配管に取り付けてもよい。棒状電極15A´を用いると、出口配管14の内壁面と棒状電極15A´の電極部との間の距離Rをほぼ一定にすることができるので、コンデンサ部の容量を高い精度で検出することができる。なお給油ポンプ3が停止している状態では、出口配管14内においても、水は下方に移動してコンデンサ部に均一に留まることはないため、給油ポンプ3停止中においては、静電容量式水検知センサ15の出力に基づいて含水率を測定することはできない。
サンプ室16内に配置された導電式水検知センサ17の水検知センサ素子は、例えば図4に示すように、絶縁基板17A上に形成されて互い違い配置される一対の櫛歯状電極17B及び17Cを備えた構造を有している。絶縁基板17Aは、一対の櫛歯状電極17B及び17Cが形成された面がサンプ室17内の油液の液面と平行になる姿勢で、サンプ室16内を囲む壁部に絶縁ブッシュ17Dを介して固定されている。この構造では、一対の櫛歯状電極17B及び17Cが共に水に浸かることにより、一対の櫛歯状電極17B及び17C間が水によって短絡されて、一対の櫛歯状電極17B及び17C間の抵抗値が下がる。この抵抗値の変化をみることにより、サンプ室内に所定量以上の水が溜まったことを検知できる。なお導電式水検知センサ17の水検知センサ素子としては、2つの棒状あるいは板状の電極を所定の間隔あけて配置した単純な構造のものを用いることができるのは勿論である。
図1において、検知信号発生部19は第1の検知信号発生回路21と、基準信号発生回路23、第2の検知信号発生回路29とを備えている。また制御信号発生部10は、温度補正部25と、第1の判定部27と、第2の判定部30とを備えている。なお制御信号発生部10の主要部は、図示しないマイクロコンピュータ(CPUとメモリ)を利用して実現されている。したがって制御信号発生部10は、本実施の形態で説明する制御信号以外の制御信号も当然にして発生している。
第1の検知信号発生回路21は、静電容量式水検知センサ15の出力を入力として静電容量の変化に応じて周波数が変化する第1の検知信号を発生する。静電容量式水検知センサ15のコンデンサ部に気泡や水が混入すると静電容量(誘電率)が変化するため、気泡や水の混入が検出可能となる(ちなみに空気、ガソリン、水の比誘電率はそれぞれ1、2、80である)。基準信号発生回路23は、温度変化に伴って周波数が変化するが、一定温度では周波数が変化しない基準周波数の基準信号を発生する。温度補正部25は、第1の検知信号と基準信号とに基づいて温度補正された第1の検知信号を出力する。基準信号発生回路23は、含水率の判定の基準となる基準周波数の基準信号を発生する。温度変化などで第1の検知信号発生回路21の出力が変化しても、基準周波数も併せて変化するので、制御信号発生部10の温度補正部25は基準信号に基づいて第1の検知信号を補正し、第1の判定部27が含水率を判定する。具体的には、基準周波数に対して第1の検知信号の周波数が何倍になるかで含水率を判定すれば温度の影響は無視できるようになる。そして制御信号発生部10の第1の判定部27は、温度補正された第1の検知信号に基づいて含水率を判定する。含水率は、事前に求めた第1の検知信号の周波数と基準周波数との比率と、含水率との関係を予めテーブルに記憶しておき、測定した第1の検知信号の周波数と基準周波数との比率を求め、そのテーブルと比較して判定する。第1の判定部27は、含水率が許容含水率以上になると給油停止信号(制御信号)を制御弁7に出力する。制御弁7は、電磁弁と電磁弁駆動回路とからなり、電磁弁駆動回路は、給油停止信号を受信すると、電磁弁を閉じて給油を停止する。このように温度補正部25を含めると、温度変化による検知精度の低下を防止することができる。なお本実施の形態では、許容含水率よりも低い所定の含水率を閾値として用意しておき、含水率がこの所定の含水率を超えたら警報を発するために予告警報信号を発生するように第1の判定部27を構成している。予告警報信号が発生されると、表示部(警報発生器)31は、その旨を表示部31の表示画面等に表示する。
第2の検知信号発生回路29は、給油ポンプ3が停止しているときに、導電式水検知センサ17の出力に基づいて所定量の水の存在を検知すると第2の検知信号を発生する。第2の検知信号は、第2の判定部30に入力されて水検知信号を発生し、警報信号または給油開始阻止信号の発生要因として利用される。なお本実施の形態では、第2の判定部30が第2の検知信号を受けて警報信号を発生し、給油ポンプ3内に水が溜まっていることを表示部(警報発生器)31の画面上に警告する。
図5は、図1の実施の形態の第1の検知信号発生回路21と、基準信号発生回路23と、第2の検知信号発生回路29を具体化した回路を示している。図5の回路では、第1の検知信号発生回路21をオペアンプOP1及び抵抗R1乃至R4からなる非安定マルチバイブレータと、オペアンプOP2からなるインピーダンス変換回路から構成されている。静電容量式水検知センサ15の容量が変わると、その容量と抵抗R1乃至R4の値によって定める周波数の第1の検知信号がオペアンプOP2から出力される。また基準信号発生回路23は、固定値のコンデンサCと、オペアンプOP3と、抵抗R5乃至R8からなる非安定マルチバイブレータとから構成され、第2の検知信号発生回路29はオペアンプOP4と抵抗R9とから構成されている。この非安定マルチバイブレータは、固定値のコンデンサCの容量と抵抗R5乃至R8の値によってきまる基準周波数で基準信号を出力する。そしてサンプ室内の水の量が少なくて、導電式水検知センサ17の導電式センサ素子が水に触れていない状態では、導電式センサ素子の抵抗値が大きくなっており(実質無限大になっており)、オペアンプOP4は図6(A)に示すような0V付近までスイングするようにバイアスが定まった基準信号をそのまま出力する。第2の判定部30は、この基準信号が入力されている間は、第2の検知信号がないものとして特に警報を発生するための制御信号を表示部31には出力しない。サンプ室内の水の量が増えて、導電式水検知センサ17の導電式センサ素子が水に触れる状態になると、導電式センサ素子の抵抗値は小さくなり、オペアンプOP4から出力される基準信号は、図6(B)のように、バイアスが変化して、0V付近までスイングしない信号となる。本実施の形態では、このようなバイアスが変化した基準信号(第2の検知信号)が発生すると、第2の判定部30は水検知信号(警報信号となる信号)を表示部31に出力する。表示部31は、図6(B)のように基準信号が出力されると、警報を発生するように構成されている。
本実施の形態では、給油ポンプ3が停止しているときに、導電式水検知センサ17の出力に基づいてポンプ3内に溜まった水の量を検知して、給油される油液中に許容含水率以上の水が含まれる可能性があることを水検知信号(警報信号)により報知することができるので、水の混入原因を除去する必要性を給油所の運営者に早期に知らせることができる。また水検知信号が出された後でも、静電容量式水検知センサ15の出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知して、給油を停止できるため、可能な限り給油を継続することができて、しかも給油装置から供給する給油中に許容含水率以上の水が混入することを防止できる。
図7は、検知信号発生部19の第1及び第2の検知信号発生回路21及び29と、制御信号発生部10の第1の判定部27と第2の判定部30をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。このアルゴリズムでは、ステップST1で給油ポンプ3が停止状態にあるか否かを判定する。給油ポンプが停止状態にあるときには、ステップST2へと進んで、導電式水検知センサ17からの検知信号を受信し、ステップST3で水が所定量以上有るか否かの判定をする。そして水が所定量以上あるときには、ステップST4で水検知信号を発生する。ステップST1で給油ポンプ3が動いていることを検知すると、ステップST5で静電容量式水検知センサ15からの検知信号を受信し、ステップST6で油液中の水の含水率が予め定めた含水率を以上になると、ステップST7で予告警報信号を発生する。なお予告警報信号の発生を受けて、表示部31には、水に対する対処を指示する表示をするのが好ましい。その後ステップST8で、含水率が許容含水率以上になったことを判定すると、ステップST9で給油停止信号を発生する。この給油停止信号9は制御弁7に送信されて、制御弁7は閉じる。なおこの場合にも表示部31には、水の検知により、給油を停止したことを表示することが好ましい。
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の給油装置の第2の実施の形態の構成を示すブロック図であり、図9は図8の実施の形態の第1の検知信号発生回路21と、基準信号発生回路23と、第2の検知信号発生回路29´を具体化した回路を示している。図8及び図9においては、図5及び図6に示した構成要素と同様のものには、図5及び図6に付した符号と同じ符号を付して説明を省略する。なお図9に示した第2の検知信号発生回路29´では、抵抗R10乃至R12とトランジスタTRとからなる検知回路を備えている。第2の実施の形態では、給油ポンプ3が停止している状態から、給油ポンプ3が稼働すると、給油中の油液の含水率が許容含水率以上になることが十分に予想される場合には、静電容量式水検知センサ15の出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知するまでもなく、給油ポンプ3を起動させないようにしている。そこで第2の実施の形態では、検知信号発生部19の第2の検知信号発生回路29´が、所定量以上の水を検知すると、第2の判定部30´は給油ポンプ3の起動を許可しない(または制御弁7の開動作を禁止する)給油開始阻止信号を発生する。
本実施の形態では、検知信号発生部19の第2の検知信号発生回路29´を、次のように構成して、所定量以上の水を検知した時点で給油開始阻止信号を発生して、給油ポンプ3の起動を阻止する。すなわち導電式水検知センサ17がサンプ室内において所定量の水の存在を検知するまでは、オペアンプOP3を含む回路が非安定マルチバイブレータとして基準信号を発生する。したがってこの状態では、静電容量式水検知センサ15の出力を処理する第1の判定部27が、許容含水率以上の水の混入を検知しない限り、給油ポンプ駆動制御回路13は給油ポンプ3を駆動制御することができる。そして給油ポンプ3が動いているきに、第1の検知信号発生回路21が、許容含水率以上の水の混入を検知すると、第1の判定部27から出力される給油停止信号により制御弁7が閉じられて給油が停止される。給油ポンプ3が停止している状態で、サンプ室内の水の量が増えて、導電式水検知センサ17が水に浸かると、導電式水検知センサ17の抵抗値が下がって、トランジスタTRが導通し、分圧抵抗回路(R5及びR6)の抵抗R6に抵抗R10の抵抗値が並列接続されて、非安定マルチバイブレータを構成するオペアンプOP3の+入力端子の入力が変化し、オペアンプOP3は発振動作を停止する。その結果、オペアンプOP4から出力されていた基準信号はなくなる。基準信号が無くなると(基準信号が変化すると)、第2の判定部30´は、許容できる量以上の水が溜まったものと判断して、給油開始阻止信号を制御信号として、給油ポンプ駆動制御回路13に出力する。また第2の判定部30´は、給油開始阻止信号を表示部31に入力し、表示部31は給油ポンプ3内に水が溜まっていることにより、給油ができなくなっていることを表示する。したがって本実施の形態によれば、給油ポンプ3が停止している状態から、給油ポンプ3が稼働すると、給油中の油液の含水率が許容含水率以上になることが予想される場合に、静電容量式水検知センサ15の出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知するまでもなく、給油ポンプ3を起動させないようにすることができる。このようにすると給油開始阻止信号が発生した時点で、給油ポンプ3の起動が阻止されるので、給油ポンプが稼働中は静電容量式水検知センサ15の検知を優先し、給油ポンプの停止中は導電式水検知センサ17の検知を優先して、給油動作を停止または阻止することができる。
図10は、検知信号発生部19の第1及び第2の検知信号発生回路21及び29´と、制御信号発生部10の第1の判定部27と第2の判定部30´をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。このアルゴリズムでは、最初のステップST0で、給油開始阻止信号が有るか否かの判定が実施される。給油開始阻止信号がある場合には、ステップは終了し、無い場合にステップST1へと進む。そしてステップST1で給油ポンプ3が停止状態にあるか否かを判定する。給油ポンプが停止状態にあるときには、ステップST2へと進んで、導電式水検知センサ17からの検知信号を受信し、ステップST3で水が所定量以上有るか否かの判定をする。そして水が所定量以上あるときには、ステップST10で給油開始阻止信号(水検知信号に相当)を発生する。給油阻止信号が発生すると、給油ポンプの起動が阻止されるとともに、表示部にその旨が表示される。ステップST1で給油ポンプ3が動いていることを検知すると、ステップST5で静電容量式水検知センサ15からの検知信号を受信し、ステップST6で油液中の水の含水率が予め定めた含水率以上になると、ステップST7で予告警報信号を発生する。なお予告警報信号の発生を受けて、表示部31には、水に対する対処を指示する表示をするのが好ましい。その後ステップST8で、含水率が許容含水率以上になったことを判定すると、ステップST9で給油停止信号を発生する。この給油停止信号9は制御弁7に送信されて、制御弁7は閉じる。なおこの場合にも表示部31には、水の検知により、給油を停止したことを表示することが好ましい。
[第3の実施の形態]
図11は、本発明の給油装置の第3の実施の形態の構成を示すブロック図であり、図12は図11の実施の形態の第1の検知信号発生回路21と、基準信号発生回路23と、第2の検知信号発生回路29″を具体化した回路を示している。図11及び図12においては、図5及び図6に示した構成要素と同様のものには、図5及び図6に付した符号と同じ符号を付して説明を省略する。本実施の形態では、第1の導電式水検知センサ171と第2の導電式水検知センサ172(追加導電式水検知センサ)を備えている。第1及び第2の導電式水検知センサ171及び172は、図13に示すように、給油ポンプ3のサンプ室内において上下方向に間隔をあけて配置されている。第1及び第2の導電式水検知センサ171及び172も、図4に例示したものと同様の構成を有している。第1及び第2の導電式水検知センサ171及び172の取付間隔により基準量と所定量の差分が規定される。第2の導電式水検知センサ172に対する閾値となる基準量は、給油ポンプ3を動作させたとしても、直ちに油液中の水の含水率が許容含水率に達することがないように定められており、第1の導電式水検知センサ171に対する閾値となる所定量は、給油ポンプ3を動作させたときに、直ちに油液中の水の含水率が許容含水率に達するように定められている。このようにすれば許容含水率以上の油液を給油する事態が発生することをより確実に防止できる。
第2の導電式水検知センサ(追加導電式水検知センサ)172を用いる場合には、第2の検知信号発生回路29″は、第2の導電式水検知センサ172の抵抗値の変化を示す第3の検知信号を発生するように構成されている。そして基準信号発生回路23は、第3の検知信号が発生すると、基準信号を変化させる。そして制御信号発生部10の第2の判定部30″は、第3の検知信号の発生に基づく基準信号の変化を判定すると、警報信号を発生する。なお図11の回路では、第2の導電式水検知センサ172が水に浸かる前までは、その抵抗値が無限大であり、そのときにオペアンプOP4から出力されている基準信号が、ある意味で給油ポンプに対する起動許可信号となる。サンプ室内の水の量が増えて、第2の導電式水検知センサ172が水に浸かって抵抗値が低くなって(第3の検知信号が出力されている状態)、基準信号は図6(B)のように0V付近までスイングしない信号となり、第2の判定部30″は、警報信号を発生し、警報信号は表示部31に入力される。この警報信号により、表示部31は、水が溜まりつつあることを表示画面に表示する。この状態でも振幅が変化した基準信号は出力されているため、給油ポンプは給油動作することが可能である。サンプ室内の水の量が更に増えて、第1の導電式水検知センサ171が水に浸かると、第1の導電式水検知センサ171の抵抗値が下がって、トランジスタTRが導通し(第2の検知信号が出力されている状態)、分圧抵抗回路(R5及びR6)の抵抗R6に抵抗R10の抵抗値が並列接続されて、非安定マルチバイブレータを構成するオペアンプOP3の+入力端子の入力が変化し、オペアンプOP3は発振動作を停止する。その結果、オペアンプOP4から出力されていた基準信号は停止する(基準信号が無くなる変化をする)。基準信号が無くなると、第2の判定部30″はこの変化に基づいて、給油開始阻止信号を給油ポンプ駆動制御回路13に出力する。同時に、第2の判定部30″は、表示部31に水が溜まっていることにより、給油開始が阻止されていることを表示させる。その結果、給油中の油液の含水率が許容含水率以上になることが十分に予想される場合には、静電容量式水検知センサ15の出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知するまでもなく、給油ポンプ3を起動させることはない。
図14は、検知信号発生部19の第1及び第2の検知信号発生回路21及び29″と、制御信号発生部10の第1の判定部27と第2の判定部30″をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。このアルゴリズムでは、最初のステップST0で、給油開始阻止信号が有るか否かの判定が実施される。給油開始阻止信号がある場合には、ステップは終了し、無い場合にステップST1へと進む。そしてステップST1で給油ポンプ3が停止状態にあるか否かを判定する。給油ポンプが停止状態にあるときには、ステップST2へと進んで、導電式水検知センサ17からの検知信号を受信し、ステップST11で水が基準量以上有るか否かの判定をする。そして水が基準量以上あるときには、ステップST4´で警報信号を発生する。次にステップST3に進んで水が基準量よりも多い所定量あることを判定すると、ステップST10へと進んで給油開始阻止信号を発生する。給油阻止信号が発生すると、給油ポンプの起動が阻止されるとともに、表示部31にその旨が表示される。ステップST1で給油ポンプ3が動いていることを検知すると、ステップST5で静電容量式水検知センサ15からの検知信号を受信し、ステップST6で油液中の水の含水率が予め定めた含水率を以上になると、ステップST7で予告警報信号を発生する。なお予告警報信号の発生を受けて、表示部31には、水に対する対処を指示する表示をするのが好ましい。その後ステップST8で、含水率が許容含水率以上になったことを判定すると、ステップST9で給油停止信号を発生する。この給油停止信号9は制御弁7に送信されて、制御弁7は閉じる。なおこの場合にも表示部31には、水の検知により、給油を停止したことを表示することが好ましい。
上記第1乃至第3の実施の形態では、検知信号発生部19における導電式水検知センサ17の出力側の回路部分は、基準信号発生回路23の発振を変化(基準信号の発振の中心電圧の変化や基準信号が停止する変化等)させるだけの簡単な回路で構成されており、そのため、導電式水検知センサ17、171及び172の出力を、わざわざ別配線で取り出す必要がないので、信号線を増やすことなく、水混入の検出精度を上げることができる(許容含水率以上の油液の給油を確実に防止できる。)。また防爆の関係上、検知信号発生部は電流を抑制する図示しないバリア回路を介して接続されるため、信号線を少なくすることでバリア回路の部品点数を減らしコストを削減できる。
[その他の実施の形態]
上記第1乃至第3の実施の形態では、水の検知だけを実施したが、状況によっては、気泡が油液中で増えることも考えられる。気泡が増えると、静電容量式水検知センサ15が検出する静電容量は下がることになる。そこでこのような場合にも対処するためには、気泡に対応した判定ルーチンを設ける必要がある。図15は第3の実施の形態に、気泡の判定ルーチンを追加したコンピュータプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。このアルゴリズムでは、図14のアルゴリズムにステップST12乃至ST14からなる気泡の判定ルーチンを追加している。すなわちステップST5の後のステップST12において油液中の気泡の含有率が予め定めた値以上であるか否かの判定を行う。気泡の含有率が予め定めた値に達していないときには、ステップST6へと進んで油液中の水の存在を判定する。ステップST12で、油液中の気泡の含有率が予め定めた値以上であることを判定すると、ステップST13で予告警報信号を発生する。この予告警報信号の発生を受けて第2の判定部20″は表示部31に気泡が増えていることを示す表示をする。さらに気泡が増えて、気泡の含有率が許容含有率以上になったことをステップST14で判定すると、ステップST9へと進んで給油停止信号を発生する。このような気泡の判定ルーチンを追加すれば、水及び気泡の両方の増加に対処することができる。
図16は、第1の実施の形態に、気泡の判定ルーチンを追加したコンピュータプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。このアルゴリズムでは、図7のアルゴリズムにステップST12乃至ST14からなる気泡の判定ルーチンを追加している。図16のアルゴリズムでも、気泡の判定ルーチンを追加すれば、水及び気泡の両方の増加に対処することができる。なお第2の実施の形態に気泡の判定ルーチンを追加してもよいのは勿論である。
[変形例]
上記実施の形態では、給油ポンプ内に導電式水検知センサを配置し、給油ポンプの二次側に静電容量式水検知センサを配置したが、給油ポンプ及び配管に水、気泡を貯めるトラップを形成し、その部分に導電式水検知センサ及び静電容量式水検知センサを配置するようにしてもよい。
ガソリンと軽油では比誘電率が異なるので、また本発明の給油装置のままで、若干設定を変えるだけで、貯油タンク内の混油の検出にも利用できるものである。その場合には、導電式水検知センサ及び静電容量式水検知センサの検出対象は、比重が重いほうの油となる。
本発明によれば、給油ポンプが停止しているときに、導電式水検知センサの出力に基づいて給油経路内の水が溜まるエリア内に溜まった水の量を検知して、給油される油液中に許容含水率以上の水が含まれる可能性があることを報知することができるので、水の混入原因を除去する必要性を給油所の運営者に早期に知らせることができる。また本発明によれば、静電容量式水検知センサの出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知して、給油を停止できるようにすることができるため、可能な限り給油を継続することができて、しかも給油装置から供給する給油中に許容含水率以上の水が混入することを防止できる。
1 給油装置
3 給油ポンプ
5 流量計
7 制御弁
8 ノズル
11 モータ
13 給油ポンプ駆動制御回路
14 出口配管
15 静電容量式水検知センサ
17 導電式水検知センサ
19 検知信号発生部
21 第1の検知信号発生回路
23 基準信号発生回路
25 温度補正部
27 第1の判定部
29 第2の検知信号発生回路
30 第2の判定部
31 表示部(警報発生器)
171 第1の導電式水検知センサ
172 第2の導電式水検知センサ(追加導電式水検知センサ)
OP1乃至OP4 オペアンプ
R1乃至R12 抵抗
C コンデンサ
TR トランジスタ
F 給油経路
本発明は、給油ポンプを停止しているときでも、給油中の油液に許容含水率以上の水が混入する可能性がある場合は警報信号を発生し、給油中に油液の許容含水率以上の水が混入すると確実に給油を停止させることができる給油装置に関するものである。
特開昭58−073600号公報(特許文献1)の図1及び図2には、給油ポンプの二次側流路に油液の流れを乱さない方向に電極板を配置し、この電極板間の静電容量を測ることによって油中への気泡の混入を判定する給油装置が開示されている。
また特開昭59−040247号公報(特許文献2)の図1、図3及び図4には、油液中に水が混入することにより電気抵抗が小さくなることを利用した導電センサを、ガソリンスタンドの給油タンクに連通した油移送管に装着して水の混入を判定する給油装置が開示されている。
さらに特許第4149275号(特許文献3)の図4には、給油ポンプの内部で油液が流れる流路中の2カ所の位置に導電式の水検知センサを配置して、水の混入を検知すると、計量ユニットを停止させる給油装置が開示されている。
特開昭58−073600号公報(図1及び図2)
特開昭59−040247号公報(図1、図3及び図4)
特許第4149275号の図4
特開昭58−073600号(特許文献1)で用いる静電容量センサはポンプから気液分離器に通じる配管内に、電極が油の流れを乱さない方向に配置されている(図1及び図2参照)ので、給油中でしか気泡及び水の混入を検知できない。なぜならば給油停止中、気泡と水はそれぞれ静電容量センサの上方、下方へ移動するためである。
また特開昭59−040247号(特許文献2)に示された、導電センサは給油タンクから伸びる油移送管の途中に配置されている(図1、図3及び図4参照)ので、給油中においてしか水の混入を検知できない。なぜならば給油停止中、水は導電センサの下方へ移動するためである。しかも、給油中の水の混入を検知するために導電金属網の面積を大きくしたり、網目を細かくする等の工夫が必要で、水検出性能はセンサ形状に左右される。また、給油中での水検出性能を上げた大きな導電センサではセンサ内部に設けられた絶縁部材、金属網が油液の流れを阻害するのでポンプに負担がかかる問題がある。
さらに特許第4149275号(特許文献3)に示された給油装置では、導電式の水検知センサを用いて給油ポンプ内を流れている油液中に水が混入しているか否かを判定する。しかしながら油液中の水分は給油中、攪拌され微細な水滴として存在しているので、導電式の水検知センサを用いて水の混入を確実且つ高い精度で検知するためには、特許文献2に示されるような複雑な構造の導電式の水検知センサを用いる必要がある。
本発明の目的は、給油ポンプが停止しているときでも、油液に所定量以上の水が混入する可能性がある場合は水検知信号を発生し、給油中に許容含水率以上の水が油液に混入すると確実に給油を停止させることができる給油装置を提供することにある。
上記目的に加えて、本発明の他の目的は、給油する油液中に許容含水率以上の水が混入する前に警報信号を発生することができる給油装置を提供することにある。
上記目的に加えて、本発明の他の目的は、給油する油液中に許容含水率以上の水が混入する前に警報信号を発生するとともに、給油の開始を阻止することができる給油装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、油液中に気泡が混入していることを併せて検出できて、油液中の気泡の含有率が許容含有率以上あるときには、給油を停止することができる給油装置を提供することにある。
本発明は、最も広くは、給油ポンプが動作していないときに、給油経路内の水が溜まるエリアに配置されてエリアに溜まった水の存在を抵抗値の変化により検知する導電式水検知センサと、給油される油液中に混入した水の含水率の変化を静電容量の変化により検知する静電容量式水検知センサと、導電式水検知センサの出力と静電容量式水検知センサの出力を入力として検知信号を発生する検知信号発生部と、少なくとも検知信号を入力として、給油ポンプを含む被制御機器を制御する制御信号を発生する制御信号発生部とを具備する給油装置を対象とする。より具体的には、給油ポンプ内の水が溜まるエリアに配置されて給油ポンプ内のエリアに溜まった水の存在を抵抗値の変化により検知する導電式水検知センサと、給油ポンプから排出される油液中に混入した水の含水率の変化を静電容量の変化により検知する静電容量式水検知センサと、導電式水検知センサの出力と静電容量式水検知センサの出力を入力として検知信号を発生する検知信号発生部と、給油ポンプと開閉弁を備えたノズルとの間に配置された制御弁と、少なくとも検知信号に基づいて、給油ポンプ及び制御弁を制御する制御信号を出力する制御信号発生部とを備えた給油装置を対象とする。そして本発明においては、制御信号発生部が、給油ポンプが動作しているときに、静電容量式水検知センサの出力に基づいて許容含水率以上の水が混入していることを検知すると、給油を停止させる給油停止信号を発生する。また制御信号発生部は、給油ポンプが停止しているときに、導電式水検知センサの出力に基づいて所定量の水の存在を検知すると水検知信号を発生する。
このような構成を採用すると、給油ポンプが停止しているときに、導電式水検知センサの出力に基づいて水が溜まるエリア(例えばポンプ)内に溜まった水の量を検知して、給油される油液中に許容含水率以上の水が含まれる可能性があることを水検知信号により報知することができるので、水の混入原因を除去する必要性を給油所の運営者に早期に知らせることができる。また本発明によれば、水検知信号が出された後またはその前でも、静電容量式水検知センサの出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知して、給油を停止できるため、可能な限り給油を継続することができ、しかも給油装置から供給する給油中に許容含水率以上の水が混入することを防止できる。なお水検知信号が発生したときに、この信号に基づいて水の存在を知らせる警報を発生する場合には、水検知信号は警報信号として利用されることになり、給油開始を阻止する場合には、水検知信号は給油開始阻止信号として利用されることになる。
給油ポンプが停止している状態から、給油ポンプが稼働すると、油液中の含水率が許容含水率以上になることが十分に予想される場合には、静電容量式水検知センサの出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知するまでもなく、給油ポンプを起動させないことが好ましい。そこでこのような場合には、制御信号発生部を、給油ポンプの起動及び/または制御弁の動作を阻止して給油の開始を阻止する給油開始阻止信号を発生するように構成することができる。給油開始阻止信号を発生する前に警報信号を発生してもよい。そのためには、給油ポンプ内の水が溜まるエリアにおける導電式水検知センサの設置位置よりも下方の位置に、エリアに溜まった水の存在を抵抗値の変化により検知する追加導電式水検知センサを設ける。そして制御信号発生部は、給油ポンプが停止しているときに、給油開始阻止信号を発生する前に、追加導電式水検知センサが所定量よりも少ない基準量の水の存在を検知したときには、警報信号を発生する。このようにすれば許容含水率以上の油液を給油する事態が発生することをより確実に防止できる。この動作を実現するために、前述の基準量は、給油を開始したとしても、直ちに油液中の水の含水率が許容含水率に達することがないように定められており、所定量は、給油を開始したときに、直ちに油液中の水の含水率が許容含水率に達するように定められている。
導電式水検知センサ及び追加導電式水検知センサは、給油ポンプ内において水が溜まる領域であれば、どこでもよいが、特にこのエリアとしてポンプ内のサンプ室(空気分離装置で分離された気泡を含む油液が集まる部屋)の底壁に隣接するエリアを選択するのが好ましい。これはサンプ室がポンプ内の流路から隔離されており、混入した比重の大きい水が滞留し易いためである。なおこのエリアであれば、導電式水検知センサ及び追加導電式水検知センサの交換、取り付けが容易である。
導電式水検知センサの導電式センサ素子の構造は任意であるが、絶縁基板上に形成されて互い違い配置される一対の櫛歯状電極を備えたものを用いることができる。また導電式センサ素子は、最も簡単な構造としては、2つの棒状あるいは板状の電極を横に並べた構造のものを採用することができる。この構造であれば、簡単な構造で水の存在を検知できる。
また静電容量式水検知センサの静電容量式センサ素子は、給油ポンプの二次側に設けられた管路の内部に配置されているのが好ましい。この位置であれば、給油される油液中の含水率を確実に検知することができる。ここで用いる静電容量式水検知センサの静電容量式センサ素子としては、金属製の管路の中心部を管路に沿って延びる板状または棒状電極部と管路との間の静電容量を検知する静電容量式センサ素子を備えているものを用いるのが好ましい。金属製の管路の中心部を管路に沿って延びる板状電極または棒状電極を用いると、流路抵抗をあまり大きくすることがないので、給油に支障を生じさせることがない。また配管と電極との間に静電容量式センサ素子を形成する(配管は通常アルミ製でアース接続されているので、電極との間にコンデンサを形成する)と、センサの交換、取り付けが容易である。また、この静電容量式センサ素子であれば、簡単な構成にもかかわらず、気泡を検出することが可能である。
なお検知信号発生部は、より具体的には、静電容量式水検知センサの静電容量の変化に応じて周波数が変化する第1の検知信号を発生する第1の検知信号発生回路と、温度変化に伴って周波数は変化するが、一定温度では周波数が変化しない基準周波数の基準信号を発生する基準信号発生回路と、導電式水検知センサの抵抗値の変化を示す第2の検知信号を発生する第2の検知信号発生回路とを備えて構成することができる。また制御信号発生部は、第1の検知信号と基準信号とに基づいて温度補正された第1の検知信号を出力する温度補正部と、温度補正された第1の検知信号に基づいて含水率を判定し、含水率が許容含水率を超えると給油停止信号を発生する第1の判定部とを更に備えた構成とすることができる。このように温度補正部を含めると、温度変化による検知精度の低下を防止することができる。
制御信号発生部は、給油ポンプが動作しているときに、静電容量式水検知センサの出力に基づいて許容含水率よりも低い予め定めた含水率以上の水の混入を検知すると、予告警報信号を発生するように構成することができる。通常の給油装置は、1つの給油ポンプに2つのノズル(給油装置の表裏に設置)が接続されているが、このように予告警報信号を発生すると、他方のノズルで給油している(給油ポンプが動作している)場合でも、予告警報を発することができるので、次回給油時に許容含水率以上の水が混入することを事前に阻止することが可能になる。
また制御信号発生部は、給油ポンプが動作しているときに、静電容量式水検知センサの出力に基づいて、油液中に混入している気泡の含有率が基準値以上であることを検知すると予告警報信号を発生するように構成することができる。油液中の水が増えると、静電容量式水検知センサが検出する静電容量は増加し、油液中の気泡が増加すると、静電容量は低下する。したがって静電容量式水検知センサの出力がプラス方向に変化すれば、水の存在を検知していることが判り、マイナス方向に変化すれば気泡の存在を検知していることが判る。したがって本発明によれば、静電容量式水検知センサを用いて気泡の存在をそのまま検知できる。そのため本発明では、前述のように気泡の含有率が基準値以上であることを検知すると予告警報信号を発生することにより、スタンドの運営者に注意を喚起することができる。
また制御信号発生部は、給油ポンプが動作しているときに、静電容量式水検知センサの出力に基づいて、油液中に混入している気泡の含有率が基準値よりも多い許容含有率値以上であることを検知すると、給油停止信号を発生するように構成することができる。
このようにすれば許容含有率以上の気泡が混入した油液を給油することを防ぐことができる。なお前述の基準値は、給油を開始したとしても、直ちに油液中の気泡の含有率が許容含有率に達することがないように定められている。
具体的な検知信号発生部は、第1の検知信号発生回路と、基準信号発生回路と、第2の検知信号発生回路とから構成される。第1の検知信号発生回路は、静電容量式水検知センサの静電容量の変化に応じて周波数が変化する第1の検知信号を発生する。基準信号発生回路は、温度変化に伴って周波数が変化するが、一定温度では周波数が変化しない基準周波数の基準信号を発生する。第2の検知信号発生回路は、導電式水検知センサの抵抗値の変化を示す第2の検知信号を発生する第2の検知信号発生回路とから構成することができる。この場合、制御信号発生部は、温度補正部と、第1の判定部と、第2の判定部とから構成することができる。温度補正部は、第1の検知信号と基準信号とに基づいて温度補正された第1の検知信号を出力する。第1の判定部は、温度補正された第1の検知信号に基づいて含水率または気泡の含有率を判定し、判定した含水率または気泡の含有率に基づいて予告警報信号または給油停止信号を発生する。そして第2の判定部は、第2の検知信号に基づいて水検知信号(警報信号または給油開始阻止信)を発生する。
基準信号発生回路は、第2の検知信号が発生すると、基準信号を変化(基準信号の発振の中心電圧の変化や基準信号が停止する変化等)をさせるように構成することができる。この場合、第2の判定部は、基準信号に予め定めた変化があると水検知信号(警報信号または給油開始阻止信号)を発生するように構成することができる。このように検知信号発生部における導電式水検知センサの出力側の回路部分は、基準信号発生回路の発振を変化(基準信号の発振の中心電圧の変化や基準信号が停止する変化等)させるだけの簡単な回路で構成されており、そのため、導電式水検知センサの出力を、わざわざ別配線で取り出す必要がないので、信号線を増やすことなく、水混入の検出精度を上げることができる。
前述の追加導電式水検知センサを用いる場合、第2の検知信号発生回路は、追加導電式水検知センサの抵抗値の変化を示す第3の検知信号も発生するように構成される。そして基準信号発生回路は、第3の検知信号が発生すると、基準信号を変化させる。そして制御信号発生部の第2の判定部は、第2の検知信号の発生に基づく基準信号の変化を判定すると、給油開始阻止信号を発生し、第3の検知信号の発生に基づく基準信号の変化を判定すると、警報信号を発生するように構成することができる。
ガソリンステーション等で使用される本発明の給油装置の実施の形態の一例の主要部の構成を示すブロック図である。
静電容量式水検知センサ及び導電式水検知センサの実際の配置状態を示す給油ポンプの縦断面図である。
静電容量式水検知センサの静電容量センサ素子の変形例を説明するために用いる図である。
導電式水検知センサの構成の一例を説明するために用いる図である。
図1の実施の形態の第1の検知信号発生回路と、基準信号発生回路と、第2の検知信号発生回路とを具体化した回路の回路図である。
(A)及び(B)は、基準信号の変化を説明するために用いる図である。
第1の実施の形態の検知信号発生部の第1及び第2の検知信号発生回路と、制御信号発生部の第1の判定部と第2の判定部をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。
本発明の給油装置の第2の実施の形態の構成を示すブロック図である。
図8の実施の形態の第1の検知信号発生回路と、基準信号発生回路と、第2の検知信号発生回路を具体化した回路を示す回路図である。
第2の実施の形態の検知信号発生部の第1及び第2の検知信号発生回路と、制御信号発生部の第1の判定部と第2の判定部をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。
本発明の給油装置の第3の実施の形態の構成を示すブロック図である。
図11の実施の形態の第1の検知信号発生回路と、基準信号発生回路と、第2の検知信号発生回路を具体化した回路を示す回路図である。
第3の実施の形態で用いる導電式水検知センサの配置構成を示す図である。
第3の実施の形態の検知信号発生部の第1及び第2の検知信号発生回路と、制御信号発生部の第1の判定部と第2の判定部をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。
第3の実施の形態に、気泡の判定ルーチンを追加したコンピュータプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
第1の実施の形態に、気泡の判定ルーチンを追加したコンピュータプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、ガソリンステーション等で使用される本発明の給油装置1の実施の形態の一例の主要部の構成を示すブロック図である。なお図1には、本発明と直接関係しない構成部品等は図示を省略してある。給油装置1は、地下に埋設されている地下タンクT内に貯蔵されたガソリン、軽油、灯油などの油液を給油ポンプ3を用いて汲み上げて流量計5及び制御弁7を介してノズル8から自動車等の燃料タンクに給油する。なお図1中において、破線で示した線Fは給油経路である。給油装置1には、給油ポンプ3を駆動する駆動源としてのモータの駆動を制御して給油ポンプ3の動作を制御する給油ポンプ駆動制御回路13が配置されている。給油ポンプ駆動制御回路13は、制御信号発生部10からの制御信号に基づいて動作する。後に詳しく説明するが、制御信号発生部10は、POS端末からの給油許可信号、ノズルスイッチ9(ノズルが図示しないノズル収納部から取り外されたことを検知するスイッチ)からの給油要求信号、後述する検知信号発生部19からの検知信号等を入力として、モータ11に供給するモータ電流の通電を制御するためのモータ制御信号を発生する。
図2は、静電容量式水検知センサ15及び導電式水検知センサ17の実際の配置状態を示す給油ポンプ3の縦断面図である。図2に示すように、本実施の形態では、給油ポンプ3の出口配管(二次側出口)14内に静電容量式水検知センサ15が配置され、給油ポンプ3の内部のサンプ室16内に導電式水検知センサ17が配置されている。出口配管は、アルミニウム等の金属材料により形成されている。
本実施の形態では、静電容量式水検知センサ15の静電容量式センサ素子は、絶縁ブッシュ15Bを介して出口配管14に固定されて出口配管14内に沿って延びるように配置された平板状の電極15Aとアースに接続された出口配管14の内壁面とにより構成されている。平板状の電極15Aと出口配管14の内壁面との間に形成されたコンデンサ部の容量は、油液中に混入した水または気泡の量によって変化する。すなわち油液中における水の含水率が大きくなると、コンデンサ部の容量は大きくなり、含水率が小さくなると、コンデンサ部の容量は小さくなる。また油液中における気泡の含有率が大きくなると、コンデンサ部の容量は小さくなり、含有率が小さくなると、コンデンサ部の容量は大きくなる。なお水の混入は、配管の途中から地下水等が浸入した場合に発生し、気泡の混入は配管の途中の接続部の緩みや破損が原因となって発生する。したがってこのコンデンサ部の容量の変化を見れば、給油ポンプ3から吐出される油液中の含水率または気泡の含有率を知ることができる。なお静電容量式水検知センサ15の静電容量センサ素子は、図3に示すように、棒状電極15A´を出口配管14の中心線に沿って延びるようにブッシュ15B´を用いて出口配管に取り付けてもよい。棒状電極15A´を用いると、出口配管14の内壁面と棒状電極15A´の電極部との間の距離Rをほぼ一定にすることができるので、コンデンサ部の容量を高い精度で検出することができる。なお給油ポンプ3が停止している状態では、出口配管14内においても、水は下方に移動してコンデンサ部に均一に留まることはないため、給油ポンプ3停止中においては、静電容量式水検知センサ15の出力に基づいて含水率を測定することはできない。
サンプ室16内に配置された導電式水検知センサ17の水検知センサ素子は、例えば図4に示すように、絶縁基板17A上に形成されて互い違い配置される一対の櫛歯状電極17B及び17Cを備えた構造を有している。絶縁基板17Aは、一対の櫛歯状電極17B及び17Cが形成された面がサンプ室17内の油液の液面と平行になる姿勢で、サンプ室16内を囲む壁部に絶縁ブッシュ17Dを介して固定されている。この構造では、一対の櫛歯状電極17B及び17Cが共に水に浸かることにより、一対の櫛歯状電極17B及び17C間が水によって短絡されて、一対の櫛歯状電極17B及び17C間の抵抗値が下がる。この抵抗値の変化をみることにより、サンプ室内に所定量以上の水が溜まったことを検知できる。なお導電式水検知センサ17の水検知センサ素子としては、2つの棒状あるいは板状の電極を所定の間隔あけて配置した単純な構造のものを用いることができるのは勿論である。
図1において、検知信号発生部19は第1の検知信号発生回路21と、基準信号発生回路23、第2の検知信号発生回路29とを備えている。また制御信号発生部10は、温度補正部25と、第1の判定部27と、第2の判定部30とを備えている。なお制御信号発生部10の主要部は、図示しないマイクロコンピュータ(CPUとメモリ)を利用して実現されている。したがって制御信号発生部10は、本実施の形態で説明する制御信号以外の制御信号も当然にして発生している。
第1の検知信号発生回路21は、静電容量式水検知センサ15の出力を入力として静電容量の変化に応じて周波数が変化する第1の検知信号を発生する。静電容量式水検知センサ15のコンデンサ部に気泡や水が混入すると静電容量(誘電率)が変化するため、気泡や水の混入が検出可能となる(ちなみに空気、ガソリン、水の比誘電率はそれぞれ1、2、80である)。基準信号発生回路23は、温度変化に伴って周波数が変化するが、一定温度では周波数が変化しない基準周波数の基準信号を発生する。温度補正部25は、第1の検知信号と基準信号とに基づいて温度補正された第1の検知信号を出力する。基準信号発生回路23は、含水率の判定の基準となる基準周波数の基準信号を発生する。温度変化などで第1の検知信号発生回路21の出力が変化しても、基準周波数も併せて変化するので、制御信号発生部10の温度補正部25は基準信号に基づいて第1の検知信号を補正し、第1の判定部27が含水率を判定する。具体的には、基準周波数に対して第1の検知信号の周波数が何倍になるかで含水率を判定すれば温度の影響は無視できるようになる。そして制御信号発生部10の第1の判定部27は、温度補正された第1の検知信号に基づいて含水率を判定する。含水率は、事前に求めた第1の検知信号の周波数と基準周波数との比率と、含水率との関係を予めテーブルに記憶しておき、測定した第1の検知信号の周波数と基準周波数との比率を求め、そのテーブルと比較して判定する。第1の判定部27は、含水率が許容含水率以上になると給油停止信号(制御信号)を制御弁7に出力する。制御弁7は、電磁弁と電磁弁駆動回路とからなり、電磁弁駆動回路は、給油停止信号を受信すると、電磁弁を閉じて給油を停止する。このように温度補正部25を含めると、温度変化による検知精度の低下を防止することができる。なお本実施の形態では、許容含水率よりも低い所定の含水率を閾値として用意しておき、含水率がこの所定の含水率を超えたら警報を発するために予告警報信号を発生するように第1の判定部27を構成している。予告警報信号が発生されると、表示部(警報発生器)31は、その旨を表示部31の表示画面等に表示する。
第2の検知信号発生回路29は、給油ポンプ3が停止しているときに、導電式水検知センサ17の出力に基づいて所定量の水の存在を検知すると第2の検知信号を発生する。第2の検知信号は、第2の判定部30に入力されて水検知信号を発生し、警報信号または給油開始阻止信号の発生要因として利用される。なお本実施の形態では、第2の判定部30が第2の検知信号を受けて警報信号を発生し、給油ポンプ3内に水が溜まっていることを表示部(警報発生器)31の画面上に警告する。
図5は、図1の実施の形態の第1の検知信号発生回路21と、基準信号発生回路23と、第2の検知信号発生回路29を具体化した回路を示している。図5の回路では、第1の検知信号発生回路21をオペアンプOP1及び抵抗R1乃至R4からなる非安定マルチバイブレータと、オペアンプOP2からなるインピーダンス変換回路から構成されている。静電容量式水検知センサ15の容量が変わると、その容量と抵抗R1乃至R4の値によって定める周波数の第1の検知信号がオペアンプOP2から出力される。また基準信号発生回路23は、固定値のコンデンサCと、オペアンプOP3と、抵抗R5乃至R8からなる非安定マルチバイブレータとから構成され、第2の検知信号発生回路29はオペアンプOP4と抵抗R9とから構成されている。この非安定マルチバイブレータは、固定値のコンデンサCの容量と抵抗R5乃至R8の値によってきまる基準周波数で基準信号を出力する。そしてサンプ室内の水の量が少なくて、導電式水検知センサ17の導電式センサ素子が水に触れていない状態では、導電式センサ素子の抵抗値が大きくなっており(実質無限大になっており)、オペアンプOP4は図6(A)に示すような0V付近までスイングするようにバイアスが定まった基準信号をそのまま出力する。第2の判定部30は、この基準信号が入力されている間は、第2の検知信号がないものとして特に警報を発生するための制御信号を表示部31には出力しない。サンプ室内の水の量が増えて、導電式水検知センサ17の導電式センサ素子が水に触れる状態になると、導電式センサ素子の抵抗値は小さくなり、オペアンプOP4から出力される基準信号は、図6(B)のように、バイアスが変化して、0V付近までスイングしない信号となる。本実施の形態では、このようなバイアスが変化した基準信号(第2の検知信号)が発生すると、第2の判定部30は水検知信号(警報信号となる信号)を表示部31に出力する。表示部31は、図6(B)のように基準信号が出力されると、警報を発生するように構成されている。
本実施の形態では、給油ポンプ3が停止しているときに、導電式水検知センサ17の出力に基づいてポンプ3内に溜まった水の量を検知して、給油される油液中に許容含水率以上の水が含まれる可能性があることを水検知信号(警報信号)により報知することができるので、水の混入原因を除去する必要性を給油所の運営者に早期に知らせることができる。また水検知信号が出された後でも、静電容量式水検知センサ15の出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知して、給油を停止できるため、可能な限り給油を継続することができて、しかも給油装置から供給する給油中に許容含水率以上の水が混入することを防止できる。
図7は、検知信号発生部19の第1及び第2の検知信号発生回路21及び29と、制御信号発生部10の第1の判定部27と第2の判定部30をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。このアルゴリズムでは、ステップST1で給油ポンプ3が停止状態にあるか否かを判定する。給油ポンプが停止状態にあるときには、ステップST2へと進んで、導電式水検知センサ17からの検知信号を受信し、ステップST3で水が所定量以上有るか否かの判定をする。そして水が所定量以上あるときには、ステップST4で水検知信号を発生する。ステップST1で給油ポンプ3が動いていることを検知すると、ステップST5で静電容量式水検知センサ15からの検知信号を受信し、ステップST6で油液中の水の含水率が予め定めた含水率を以上になると、ステップST7で予告警報信号を発生する。なお予告警報信号の発生を受けて、表示部31には、水に対する対処を指示する表示をするのが好ましい。その後ステップST8で、含水率が許容含水率以上になったことを判定すると、ステップST9で給油停止信号を発生する。この給油停止信号は制御弁7に送信されて、制御弁7は閉じる。なおこの場合にも表示部31には、水の検知により、給油を停止したことを表示することが好ましい。
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の給油装置の第2の実施の形態の構成を示すブロック図であり、図9は図8の実施の形態の第1の検知信号発生回路21と、基準信号発生回路23と、第2の検知信号発生回路29´を具体化した回路を示している。図8及び図9においては、図5及び図6に示した構成要素と同様のものには、図5及び図6に付した符号と同じ符号を付して説明を省略する。なお図9に示した第2の検知信号発生回路29´では、抵抗R10乃至R12とトランジスタTRとからなる検知回路を備えている。第2の実施の形態では、給油ポンプ3が停止している状態から、給油ポンプ3が稼働すると、給油中の油液の含水率が許容含水率以上になることが十分に予想される場合には、静電容量式水検知センサ15の出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知するまでもなく、給油ポンプ3を起動させないようにしている。そこで第2の実施の形態では、検知信号発生部19の第2の検知信号発生回路29´が、所定量以上の水を検知すると、第2の判定部30´は給油ポンプ3の起動を許可しない(または制御弁7の開動作を禁止する)給油開始阻止信号を発生する。
本実施の形態では、検知信号発生部19の第2の検知信号発生回路29´を、次のように構成して、所定量以上の水を検知した時点で給油開始阻止信号を発生して、給油ポンプ3の起動を阻止する。すなわち導電式水検知センサ17がサンプ室内において所定量の水の存在を検知するまでは、オペアンプOP3を含む回路が非安定マルチバイブレータとして基準信号を発生する。したがってこの状態では、静電容量式水検知センサ15の出力を処理する第1の判定部27が、許容含水率以上の水の混入を検知しない限り、給油ポンプ駆動制御回路13は給油ポンプ3を駆動制御することができる。そして給油ポンプ3が動いているきに、第1の検知信号発生回路21が、許容含水率以上の水の混入を検知すると、第1の判定部27から出力される給油停止信号により制御弁7が閉じられて給油が停止される。給油ポンプ3が停止している状態で、サンプ室内の水の量が増えて、導電式水検知センサ17が水に浸かると、導電式水検知センサ17の抵抗値が下がって、トランジスタTRが導通し、分圧抵抗回路(R5及びR6)の抵抗R6に抵抗R10の抵抗値が並列接続されて、非安定マルチバイブレータを構成するオペアンプOP3の+入力端子の入力が変化し、オペアンプOP3は発振動作を停止する。その結果、オペアンプOP4から出力されていた基準信号はなくなる。基準信号が無くなると(基準信号が変化すると)、第2の判定部30´は、許容できる量以上の水が溜まったものと判断して、給油開始阻止信号を制御信号として、給油ポンプ駆動制御回路13に出力する。また第2の判定部30´は、給油開始阻止信号を表示部31に入力し、表示部31は給油ポンプ3内に水が溜まっていることにより、給油ができなくなっていることを表示する。したがって本実施の形態によれば、給油ポンプ3が停止している状態から、給油ポンプ3が稼働すると、給油中の油液の含水率が許容含水率以上になることが予想される場合に、静電容量式水検知センサ15の出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知するまでもなく、給油ポンプ3を起動させないようにすることができる。このようにすると給油開始阻止信号が発生した時点で、給油ポンプ3の起動が阻止されるので、給油ポンプが稼働中は静電容量式水検知センサ15の検知を優先し、給油ポンプの停止中は導電式水検知センサ17の検知を優先して、給油動作を停止または阻止することができる。
図10は、検知信号発生部19の第1及び第2の検知信号発生回路21及び29´と、制御信号発生部10の第1の判定部27と第2の判定部30´をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。このアルゴリズムでは、最初のステップST0で、給油開始阻止信号が有るか否かの判定が実施される。給油開始阻止信号がある場合には、ステップは終了し、無い場合にステップST1へと進む。そしてステップST1で給油ポンプ3が停止状態にあるか否かを判定する。給油ポンプが停止状態にあるときには、ステップST2へと進んで、導電式水検知センサ17からの検知信号を受信し、ステップST3で水が所定量以上有るか否かの判定をする。そして水が所定量以上あるときには、ステップST10で給油開始阻止信号(水検知信号に相当)を発生する。給油阻止信号が発生すると、給油ポンプの起動が阻止されるとともに、表示部にその旨が表示される。ステップST1で給油ポンプ3が動いていることを検知すると、ステップST5で静電容量式水検知センサ15からの検知信号を受信し、ステップST6で油液中の水の含水率が予め定めた含水率以上になると、ステップST7で予告警報信号を発生する。なお予告警報信号の発生を受けて、表示部31には、水に対する対処を指示する表示をするのが好ましい。その後ステップST8で、含水率が許容含水率以上になったことを判定すると、ステップST9で給油停止信号を発生する。この給油停止信号は制御弁7に送信されて、制御弁7は閉じる。なおこの場合にも表示部31には、水の検知により、給油を停止したことを表示することが好ましい。
[第3の実施の形態]
図11は、本発明の給油装置の第3の実施の形態の構成を示すブロック図であり、図12は図11の実施の形態の第1の検知信号発生回路21と、基準信号発生回路23と、第2の検知信号発生回路29″を具体化した回路を示している。図11及び図12においては、図5及び図6に示した構成要素と同様のものには、図5及び図6に付した符号と同じ符号を付して説明を省略する。本実施の形態では、第1の導電式水検知センサ171と第2の導電式水検知センサ172(追加導電式水検知センサ)を備えている。第1及び第2の導電式水検知センサ171及び172は、図13に示すように、給油ポンプ3のサンプ室内において上下方向に間隔をあけて配置されている。第1及び第2の導電式水検知センサ171及び172も、図4に例示したものと同様の構成を有している。第1及び第2の導電式水検知センサ171及び172の取付間隔により基準量と所定量の差分が規定される。第2の導電式水検知センサ172に対する閾値となる基準量は、給油ポンプ3を動作させたとしても、直ちに油液中の水の含水率が許容含水率に達することがないように定められており、第1の導電式水検知センサ171に対する閾値となる所定量は、給油ポンプ3を動作させたときに、直ちに油液中の水の含水率が許容含水率に達するように定められている。このようにすれば許容含水率以上の油液を給油する事態が発生することをより確実に防止できる。
第2の導電式水検知センサ(追加導電式水検知センサ)172を用いる場合には、第2の検知信号発生回路29″は、第2の導電式水検知センサ172の抵抗値の変化を示す第3の検知信号を発生するように構成されている。そして基準信号発生回路23は、第3の検知信号が発生すると、基準信号を変化させる。そして制御信号発生部10の第2の判定部30″は、第3の検知信号の発生に基づく基準信号の変化を判定すると、警報信号を発生する。なお図11の回路では、第2の導電式水検知センサ172が水に浸かる前までは、その抵抗値が無限大であり、そのときにオペアンプOP4から出力されている基準信号が、ある意味で給油ポンプに対する起動許可信号となる。サンプ室内の水の量が増えて、第2の導電式水検知センサ172が水に浸かって抵抗値が低くなって(第3の検知信号が出力されている状態)、基準信号は図6(B)のように0V付近までスイングしない信号となり、第2の判定部30″は、警報信号を発生し、警報信号は表示部31に入力される。この警報信号により、表示部31は、水が溜まりつつあることを表示画面に表示する。この状態でも振幅が変化した基準信号は出力されているため、給油ポンプは給油動作することが可能である。サンプ室内の水の量が更に増えて、第1の導電式水検知センサ171が水に浸かると、第1の導電式水検知センサ171の抵抗値が下がって、トランジスタTRが導通し(第2の検知信号が出力されている状態)、分圧抵抗回路(R5及びR6)の抵抗R6に抵抗R10の抵抗値が並列接続されて、非安定マルチバイブレータを構成するオペアンプOP3の+入力端子の入力が変化し、オペアンプOP3は発振動作を停止する。その結果、オペアンプOP4から出力されていた基準信号は停止する(基準信号が無くなる変化をする)。基準信号が無くなると、第2の判定部30″はこの変化に基づいて、給油開始阻止信号を給油ポンプ駆動制御回路13に出力する。同時に、第2の判定部30″は、表示部31に水が溜まっていることにより、給油開始が阻止されていることを表示させる。その結果、給油中の油液の含水率が許容含水率以上になることが十分に予想される場合には、静電容量式水検知センサ15の出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知するまでもなく、給油ポンプ3を起動させることはない。
図14は、検知信号発生部19の第1及び第2の検知信号発生回路21及び29″と、制御信号発生部10の第1の判定部27と第2の判定部30″をコンピュータを利用して実現する場合に用いるコンピュータプログラムのアルゴリズムの一例を示す図である。このアルゴリズムでは、最初のステップST0で、給油開始阻止信号が有るか否かの判定が実施される。給油開始阻止信号がある場合には、ステップは終了し、無い場合にステップST1へと進む。そしてステップST1で給油ポンプ3が停止状態にあるか否かを判定する。給油ポンプが停止状態にあるときには、ステップST2へと進んで、導電式水検知センサ17からの検知信号を受信し、ステップST11で水が基準量以上有るか否かの判定をする。そして水が基準量以上あるときには、ステップST4´で警報信号を発生する。次にステップST3に進んで水が基準量よりも多い所定量あることを判定すると、ステップST10へと進んで給油開始阻止信号を発生する。給油阻止信号が発生すると、給油ポンプの起動が阻止されるとともに、表示部31にその旨が表示される。ステップST1で給油ポンプ3が動いていることを検知すると、ステップST5で静電容量式水検知センサ15からの検知信号を受信し、ステップST6で油液中の水の含水率が予め定めた含水率を以上になると、ステップST7で予告警報信号を発生する。なお予告警報信号の発生を受けて、表示部31には、水に対する対処を指示する表示をするのが好ましい。その後ステップST8で、含水率が許容含水率以上になったことを判定すると、ステップST9で給油停止信号を発生する。この給油停止信号は制御弁7に送信されて、制御弁7は閉じる。なおこの場合にも表示部31には、水の検知により、給油を停止したことを表示することが好ましい。
上記第1乃至第3の実施の形態では、検知信号発生部19における導電式水検知センサ17の出力側の回路部分は、基準信号発生回路23の発振を変化(基準信号の発振の中心電圧の変化や基準信号が停止する変化等)させるだけの簡単な回路で構成されており、そのため、導電式水検知センサ17、171及び172の出力を、わざわざ別配線で取り出す必要がないので、信号線を増やすことなく、水混入の検出精度を上げることができる(許容含水率以上の油液の給油を確実に防止できる。)。また防爆の関係上、検知信号発生部は電流を抑制する図示しないバリア回路を介して接続されるため、信号線を少なくすることでバリア回路の部品点数を減らしコストを削減できる。
[その他の実施の形態]
上記第1乃至第3の実施の形態では、水の検知だけを実施したが、状況によっては、気泡が油液中で増えることも考えられる。気泡が増えると、静電容量式水検知センサ15が検出する静電容量は下がることになる。そこでこのような場合にも対処するためには、気泡に対応した判定ルーチンを設ける必要がある。図15は第3の実施の形態に、気泡の判定ルーチンを追加したコンピュータプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。このアルゴリズムでは、図14のアルゴリズムにステップST12乃至ST14からなる気泡の判定ルーチンを追加している。すなわちステップST5の後のステップST12において油液中の気泡の含有率が予め定めた値以上であるか否かの判定を行う。気泡の含有率が予め定めた値に達していないときには、ステップST6へと進んで油液中の水の存在を判定する。ステップST12で、油液中の気泡の含有率が予め定めた値以上であることを判定すると、ステップST13で予告警報信号を発生する。この予告警報信号の発生を受けて第2の判定部20″は表示部31に気泡が増えていることを示す表示をする。さらに気泡が増えて、気泡の含有率が許容含有率以上になったことをステップST14で判定すると、ステップST9へと進んで給油停止信号を発生する。このような気泡の判定ルーチンを追加すれば、水及び気泡の両方の増加に対処することができる。
図16は、第1の実施の形態に、気泡の判定ルーチンを追加したコンピュータプログラムのアルゴリズムを示すフローチャートである。このアルゴリズムでは、図7のアルゴリズムにステップST12乃至ST14からなる気泡の判定ルーチンを追加している。図16のアルゴリズムでも、気泡の判定ルーチンを追加すれば、水及び気泡の両方の増加に対処することができる。なお第2の実施の形態に気泡の判定ルーチンを追加してもよいのは勿論である。
[変形例]
上記実施の形態では、給油ポンプ内に導電式水検知センサを配置し、給油ポンプの二次側に静電容量式水検知センサを配置したが、給油ポンプ及び配管に水、気泡を貯めるトラップを形成し、その部分に導電式水検知センサ及び静電容量式水検知センサを配置するようにしてもよい。
ガソリンと軽油では比誘電率が異なるので、また本発明の給油装置のままで、若干設定を変えるだけで、貯油タンク内の混油の検出にも利用できるものである。
本発明によれば、給油ポンプが停止しているときに、導電式水検知センサの出力に基づいて給油経路内の水が溜まるエリア内に溜まった水の量を検知して、給油される油液中に許容含水率以上の水が含まれる可能性があることを報知することができるので、水の混入原因を除去する必要性を給油所の運営者に早期に知らせることができる。また本発明によれば、静電容量式水検知センサの出力に基づいて水の混入が許容含水率以上になったことを検知して、給油を停止できるようにすることができるため、可能な限り給油を継続することができて、しかも給油装置から供給する給油中に許容含水率以上の水が混入することを防止できる。
1 給油装置
3 給油ポンプ
5 流量計
7 制御弁
8 ノズル
11 モータ
13 給油ポンプ駆動制御回路
14 出口配管
15 静電容量式水検知センサ
17 導電式水検知センサ
19 検知信号発生部
21 第1の検知信号発生回路
23 基準信号発生回路
25 温度補正部
27 第1の判定部
29 第2の検知信号発生回路
30 第2の判定部
31 表示部(警報発生器)
171 第1の導電式水検知センサ
172 第2の導電式水検知センサ(追加導電式水検知センサ)
OP1乃至OP4 オペアンプ
R1乃至R12 抵抗
C コンデンサ
TR トランジスタ
F 給油経路