JP2016007754A - 多層構造体 - Google Patents
多層構造体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016007754A JP2016007754A JP2014129288A JP2014129288A JP2016007754A JP 2016007754 A JP2016007754 A JP 2016007754A JP 2014129288 A JP2014129288 A JP 2014129288A JP 2014129288 A JP2014129288 A JP 2014129288A JP 2016007754 A JP2016007754 A JP 2016007754A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- acid
- cyclic olefin
- layer
- multilayer structure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Packages (AREA)
- Wrappers (AREA)
Abstract
Description
しかしながら、この多層構造体をレトルト処理のように長時間、熱水処理すると、処理直後のガスバリア性が低下したり、白化したり、形態を保持できないという欠点がある。
しかしながら、特許文献1に記載の発明において、環状オレフィン系樹脂層とEVOH樹脂層の接着樹脂として用いられる無水マレイン酸で変性したポリプロピレンは、両層に対する接着性が乏しく、改善の余地があった。
本発明者は、かかる表面融着問題について調べたところ、外層の環状オレフィン系樹脂層同士が融着していることが判明した。このような現象は、特許文献2に記載の多層構造体が、外層の環状オレフィン系樹脂として、ガラス転移点の低いものとガラス転移点の高いもののブレンド物を用いており、その中のガラス転移点の低い環状オレフィン系樹脂に原因があるものと推測される。
本発明者は、かかるレトルト処理によるガスバリア性の回復について調べたところ、外層に用いられるガラス転移点の高い環状オレフィン系樹脂は、特に水蒸気透過度が低く、レトルト処理時にEVOH樹脂中に取り込まれた水分の放出が妨げられている為だと推測した。
本発明の多層構造体に使用される環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン構造を主鎖および/または側鎖に有する重合体であり、例えば特開2003−103718号公報、特開平5−177776号公報、特表2003−504523号公報に記載されるような公知の樹脂である。かかる環状オレフィン系樹脂は非晶性の樹脂である。
また、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体としては、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、2−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、5−メチル−トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセンが挙げられる。
トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-ウンデセン誘導体としては、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-ウンデセン、10−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-ウンデセンが挙げられる。
オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセン誘導体としては、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセン、15−メチル−オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセンが挙げられる。
ヘプタシクロ-5-エイコセン誘導体としては、ヘプタシクロ-[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]-エイコセン、ヘプタシクロ-5-ヘンエイコセン誘導体としては、ヘプタシクロ-[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]-ヘンエイコセンが挙げられる。
ペンタシクロ−4,10−ペンタデカジエン誘導体としては、ペンタシクロ[6,5,1,13,6 ,02,7 ,09,13]ペンタデカ−4,10−ジエンが挙げられる。
これらの環状オレフィン系モノマーを2種類以上組合わせて使用する場合、全環状オレフィン系モノマーに対する、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)誘導体の含有量を、10重量%以上とすることが耐候性の観点から好ましい。
例えば、非環状オレフィンが挙げられ、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等の炭素数2〜20のα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。
これらの共重合可能なモノマーは、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
中でも、反応性や汎用性の点から好ましくは炭素数2〜20のα−オレフィンであり、より好ましくは炭素数2〜4のα−オレフィンであり、特に好ましくはエチレンである。
すなわち、他の共重合可能なモノマーの含有量は通常1〜99モル%であり、好ましくは10〜90モル%であり、特に好ましくは30〜70モル%である。
本発明で使用される環状オレフィン系樹脂を水素添加して用いる場合は、上記のようにして得られた重合体を、常法に従って水素添加触媒の存在下に水素により水素化する方法により得ることができる。
その水素添加率は、耐候性および防湿性の観点から、通常95%以上、98%以上がより好ましく、99%以上がさらにより好ましい。ここで水素添加率とは、水素添加前の炭素−炭素二重結合の全モル数に対する、水素添加されたもののモル数の割合で表される。
ガラス転移温度が低すぎる場合、熱水処理時に樹脂が融着する傾向がある。一方、高すぎる場合、熱水処理時に浸入した水蒸気がガスバリア層から放出され難く、酸素透過度が悪くなる傾向がある。 本発明においては、特定のガラス転移点を有する環状オレフィン系樹脂を主成分として用いることを最大の特徴とする。
上記樹脂は、例えばポリプラスチック社製の「TOPAS(登録商標)」、三井化学(株)製の「アペル(登録商標)」等として市販されている。
ガラス転移点(Tg)が85〜130℃である環状オレフィン系樹脂のみからなることが、最も好ましい。
混合方法としては、溶融混合法や溶液混合法が挙げられる。共重合法としては、上記不飽和カルボン酸またはその誘導体を公知の方法にて環状オレフィン系樹脂に共重合する方法が一般的である。また、上記グラフト変性する方法としては、例えば、環状オレフィン系樹脂と不飽和カルボン酸またはその誘導体を有機溶剤に分散あるいは溶解し、加熱撹拌して反応させる方法や、溶剤を使用せずに環状オレフィン系樹脂と不飽和カルボン酸またはその誘導体を押出機で溶融混練して反応させる方法がある。後者のほうが簡便であり経済的に有利である。
また、上記の不飽和カルボン酸の誘導体としては、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミドおよび不飽和カルボン酸のエステル化合物を挙げることができる。具体的な例としては、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートを挙げることができる。これらの不飽和カルボン酸またはその誘導体は、単独で使用することもできるし、また複数を組み合わせて使用することもできる。
中でも、不飽和カルボン酸またはその誘導体の炭素数は、取り扱い性の点から通常3〜20、好ましくは3〜15、特に好ましくは3〜10である。さらに、不飽和カルボン酸またはその誘導体の融点は、取り扱い性の点から通常0〜200℃であり、好ましくは30〜100℃であり、特に好ましくは40〜80℃である。
各種の配合剤としては、通常用いられる配合剤、例えば、老化防止剤、安定剤、難燃剤、可塑剤、結晶核剤、塩酸吸収剤、帯電防止剤、無機フィラー、滑剤、ブロッキング防止剤等が挙げられる。
また、着色剤、紫外線吸収剤(例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリレート系、サリチレート系等)等を配合することにより、遮光性を持たせるようにしてもよい。
[EVOH樹脂層(α)]
本発明で用いるEVOH樹脂は、非水溶性の熱可塑性樹脂である。EVOH樹脂は通常、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させた後にケン化させることにより得られる樹脂であり、公知のものを用いることができる。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いることができるが、一般的には溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
すなわち、EVOH樹脂は、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
かかるエチレン構造単位の含有量は、例えば、ISO14663に準じて計測することができる。
かかるビニルエステル成分のケン化度は、例えば、JIS K6726(ただし、EVOH樹脂は水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に準じて計測することができる。
本発明のEVOH樹脂には、EVOH樹脂以外に、他の熱可塑性樹脂を、EVOH樹脂に対して、通常30重量%以下にて含有してもよい。
例えば具体的には、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)等のホモポリマーが挙げられる。また共重合ポリアミド系樹脂としては、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン86)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン108)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン6/66)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン12/66)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン26/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン66/610)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン6/66/610)等の脂肪族ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリメタキシリレンアジパミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド/テレフタルアミド共重合体、ポリ−P−フェニレンテレフタルアミドや、ポリ−P−フェニレン・3−4’ジフェニルエーテルテレフタルアミド等の芳香族ポリアミド、非晶性ポリアミド、これらのポリアミド系樹脂をメチレンベンジルアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族アミンで変性したものやメタキシリレンジアンモニウムアジペート等が挙げられる。あるいはこれらの末端変性ポリアミド系樹脂であってもよく、好ましくは末端変性ポリアミド系樹脂である。
100×Y/(X+Y)≧5
を満足する末端変性ポリアミド系樹脂が好ましく用いられる。
本発明のEVOH樹脂には、ガスバリア性を向上させる目的で、EVOH樹脂(所望により、さらに他の熱可塑性樹脂)の他、さらに板状無機フィラーを含有してもよい。
本発明のEVOH樹脂には、熱水処理(レトルト処理)後のガスバリア性を改善する目的で、EVOH樹脂(所望により、さらに他の熱可塑性樹脂)の他、さらに酸素吸収剤を含有してもよい。
酸素吸収剤とは、包装される内容物よりも素早く酸素を捕捉する化合物または化合物系である。具体的には、無機系の酸素吸収剤、有機系の酸素吸収剤、無機触媒と有機化合物を組み合わせて用いる複合型酸素吸収剤等が挙げられる。
本発明のEVOH樹脂には、上記成分のほか、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限り(例えば、樹脂組成物全体の5重量%未満にて)、エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコール等の可塑剤;飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン)等の滑剤;熱安定剤;アンチブロッキング剤;酸化防止剤;着色剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;抗菌剤;不溶性無機塩(例えば、ハイドロタルサイト等);充填材(例えば無機フィラー等);結晶核剤(例えばタルク、カオリン等);界面活性剤、ワックス;分散剤(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸モノグリセリド等);共役ポリエン化合物、アルデヒド化合物(例えばクロトンアルデヒドなどの不飽和アルデヒド類等)などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
なお、かかる共役ポリエン化合物は、EVOH樹脂に、あらかじめ含有されていることが好ましい。
[酸変性オレフィン系エラストマー層(β)]
本発明で用いられる酸変性オレフィン系エラストマーとは、ハードセグメント(硬質相)としてポリオレフィン成分(A)、ソフトセグメント(軟質相)として脂肪族系ゴム成分(B)から構成された熱可塑性を示すオレフィン系エラストマー樹脂であって、かつ成分(A)及び成分(B)の少なくとも一方が、不飽和カルボン酸またはその無水物で変性されたものを含有する組成物である。
(1)混合型のオレフィン系エラストマーの具体例としては、例えば、サーモラン(三菱化学(株)製)、ミラストマー(三井化学(株)製)、エスポレックスTPE(住友化学(株)製)等が挙げられる。
ここで、動的に熱処理するとは、ミキシングロール、ニーダーバンバリーミキサー、ブラベンダーブラストグラフ、一軸または二軸押出機等の混錬装置を用いて、成分(A)、成分(B)および有機過酸化物を溶融状態として混錬することであり、混錬条件としては、通常、100℃〜350℃、好ましくは120℃〜280℃で、0.2分〜30分、好ましくは0.5分〜20分の間行われる。またここでの有機過酸化物としては、前記で例示した具体的化合物(ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、t−ブチルベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルバーオキシド)のうちのいずれか1種または2種以上が使用される。
(2)動的架橋型のオレフィン系エラストマーの具体例としては、例えば、サントプレーン(エクソンモービルケミカル社製)、サーリンク(東洋紡(株)製)等が挙げられる。
(3)重合型のオレフィン系エラストマーの具体例としては、例えば、ニューコン(日本ポリプロ(株)製)、ゼラス(三菱化学(株)製)、プライムTPO(三井化学(株)製)等が挙げられる。
例えば、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシフェニルアセテート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ブチルペルオキシ−sec−オクトエート、t−ブチルペルオキシピバレート、クミルペルオキシピバレートなどのジアルキルペルオキシド、有機ペルオキシエステル、ジアシルペルオキシド等が用いられる。
なお、この不飽和カルボン酸等の含有量は、検量線法を用いる赤外吸収スペクトル分析法により測定することができる。
なお、本発明における融点は、DSC(示差走査熱量計)による昇温速度10℃/minでの融解温度値(JIS K7121準拠)を示す。
なお、ここでの融解熱量は、DSC(示差走査熱量計)による昇温速度10℃/minでの融解熱量値(JIS K7122準拠)を示す。
続いて、本発明の多層構造体について説明する。
これらの中でも、コストや環境の観点から考慮して共押出しする方法が好ましい。
本発明の多層構造体には、上記ユニットの上面又は下面に、他の層が少なくとも1層以上積層されていてもよい。
(1)他の基材樹脂層(δ)
EVOH樹脂層(α)/酸変性オレフィン系エラストマー層(β)/環状オレフィン系樹脂層(γ)の積層ユニットに、さらに他の基材層(δ)と積層することで、さらに強度を上げたり、他の機能を付与することができる。
さらにまた、他の基材樹脂層(δ)やリサクリル層(R)との接着性が不十分な場合には、層間に、適宜接着剤層を介在させてもよい。
上記のような多層構造体のうち、EVOH樹脂層(α)/酸変性オレフィン系エラストマー層(β)/環状オレフィン系樹脂層(γ)のユニットに他の基材(δ)を積層した構造(δ1/α/β/γ、δ1/接着性樹脂層/α/β/γ、δ2/δ1/接着性樹脂層/α/β/γ、δ2/接着性樹脂層/δ1/接着性樹脂層/α/β/γ)が、強度を上げたり、他の機能を付与する点から好ましい。また、耐水性、接着性の点から、δ1/接着性樹脂層/α/β/γ、δ2/接着性樹脂層/δ1/接着性樹脂層/α/β/γが好ましい。
かかる環状オレフィン系樹脂は、上記環状オレフィン系樹脂層(γ)に用いた環状オレフィン系樹脂と同様のものを用いることができる。
他の基材樹脂層を設ける場合、適宜、接着性樹脂層を介在させてもよい。
接着剤樹脂としては、公知のものを使用でき、他の基材樹脂層を構成する熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜選択すればよい。代表的には不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性ポリオレフィン系重合体を挙げることができる。例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリ環状オレフィン系樹脂、無水マレイン酸グラフト変性ポリオレフィン系樹脂等であり、これらから選ばれた1種または2種以上の混合物を用いることができる。
本発明の多層構造体が、他の層として、上記のような他の基材樹脂層(δ)、リサイクル層(R)及び接着性樹脂層の少なくとも1種を含む場合、通常、以下のように製造することができる。
また、EVOH樹脂層(α)厚みと環状オレフィン系樹脂層(γ)厚みの比α/γは、α/γ=0.5〜10が好ましい。α/γが小さすぎる場合、熱水処理により悪化したEVOH樹脂のガスバリア性の回復速度が低下する傾向にある。一方で、α/γが大きすぎる場合、熱水処理時に積層体中に多量の水が浸入し、ガスバリア性や接着強度の著しい低下を引き起こす。
本発明の多層構造体は、一般的な食品の他、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材料容器、包装用フィルム等の包装材料のガスバリア層として好適に用いることができる。
特に、本発明の多層構造体は、熱水処理後のガスバリア性が優れるため、熱水処理を行なう食品の包装材料として特に有用である。
尚、例中「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
<多層構造体の製造>
5種7層型フィードブロック、多層構造体成形用ダイ、および引取機を有する共押出多層構造体成形装置を用いて、下記条件で共押出を実施し、冷却水の循環するチルロールにより冷却して5種7層の多層構造体(環状オレフィン系樹脂層/酸変性オレフィン系エラストマー層/EVOH樹脂層/酸変性オレフィン系エラストマー層/環状オレフィン系樹脂層/接着性樹脂層/シーラント層、厚さ(μm):10/5/10/5/10/20/40)を製膜した。
(材料条件)
・EVOH樹脂として、エチレン構造単位含有率29モル%、ケン化度99.7モル%、MI3.8g/10分(210℃、荷重2160g)のエチレン−酢酸ビニル系共重合体ケン化物を用いた。
・環状オレフィン系樹脂として、Tg108℃、MFR10.0g/10分(230℃、荷重2160g)のエチレン−ノルボルネン共重合体樹脂(ポリプラスチックス社製“TOPAS 7010F−600”)を用いた。
・EVOH層/環状オレフィン系樹脂層に介する酸変性オレフィン系エラストマー(接着樹脂)として、融点158℃、融解熱量10J/g、MFR3.0g/10分(230℃、荷重2160g)の酸変性ポリプロピレン系エラストマー(三菱化学社製“ZELAS MC721APR5”)を用いた。
・シーラント層として、ポリプロピレン(日本ポリプロ社製“EA7AD”)を用いた。
・環状オレフィン系樹脂層/シーラント層に介する接着樹脂として、融点140℃、融解熱量49J/g、MFR5.7g/10分(230℃、荷重2160g)の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(三井化学社製“Admer QF551”)を用いた。
(押出成形条件)
・環状オレフィン系樹脂層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:220℃)
・EVOH層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:230℃)
・酸変性オレフィン系エラストマー層:32mmφ単軸押出機(バレル温度:220℃)
・接着性樹脂層:50mmφ単軸押出機(バレル温度:220℃)
・シーラント層:40mmφ単軸押出機(バレル温度:220℃)
・ダイ:5種7層型フィードブロックダイ(ダイ温度:230℃)
・冷却ロール温度:50℃
次いで、得られたフィルム片(I)2枚を、シーラント層同士が接するように重ねあわせ、その3辺をヒートシールし、未シール開口部より蒸留水400mlを入れた後に該部位を同様にヒートシールして密封し、パウチを作成した。
このパウチを、高温高圧調理殺菌装置(日阪製作所製“Flavor Ace RCS−40RTGN”)を用いて、123℃で33分間レトルト処理を行った。
レトルト処理後の多層構造体について、界面接着性、表面融着性、ガスバリア性の回復性を以下のように評価した。
上記レトルト処理を行い、取り出し直後のパウチ外観を目視観察して以下のように評価した。
○:デラミネーションは見られない
×:デラミネーションが発生
上記条件で作製した2個のパウチを重ねた状態で、上記レトルト処理を行い、パウチ同士の融着を目視観察して以下のように評価した。
○:融着しない、もしくはパウチにダメージを与えずに剥離できる。
△:融着し、剥がすとデラミネーションが起こる。
×:融着し、剥がすと破袋が起こる。
上記レトルト処理を行い、取り出し直後に内容物を完全に取り除き、かかるパウチを10cm×10cmの大きさでフィルムを切り出し、フィルム片(II)を得た。
切り出したフィルム片(II)を、酸素透過率測定装置(MOCON社製“Ox−Tran”)を用いて、内側湿度90%、外側湿度50%、温度23℃でフィルムの酸素透過度( c c / m 2 ・d a y ・a t m )を測定し、酸素透過度が100cc/day・m2・atm以下に回復するまでにかかる時間を評価した。
実施例1において、酸変性オレフィン系エラストマーの代わりに、融点122℃、融解熱量65J/g、MFR2.2g/10分(190℃、荷重2160g)の無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学社製“Admer NF528”)を用いた以外は、実施例1と同様に多層構造体を作製し、同様に評価した。
実施例1において、ガラス転移点が108℃である環状オレフィン系樹脂の代わりに、環状オレフィン系樹脂ブレンド(ガラス転移点が69℃である環状オレフィン系樹脂(ポリプラスチックス社製“TOPAS 9506F−500”):60%、ガラス転移点が139℃である環状オレフィン系樹脂(ポリプラスチックス社製“TOPAS 6013F−04”):20%、高圧法メタロセンポリエチレン:20%(三菱化学社製 “カーネル KF260T”)を用いた以外は、実施例1と同様に多層構造体を作製し、同様に評価した。
実施例1において、ガラス転移点が108℃である環状オレフィン系樹脂の代わりに、ガラス転移点が69℃である環状オレフィン系樹脂(ポリプラスチックス社製“TOPAS 9506F−500”)を用いた以外は、実施例1と同様に多層構造体を作製し、同様に評価した。
実施例1において、ガラス転移点が108℃である環状オレフィン系樹脂の代わりに、ガラス転移点が139℃である環状オレフィン系樹脂(ポリプラスチックス社製“TOPAS 6013F−04”)を用い、製膜条件をバレル温度270℃にした以外は、実施例1と同様に多層構造体を作製し、同様に評価した。
実施例1において、ガラス転移点が108℃である環状オレフィン系樹脂の代わりに、ポリプロピレン(日本ポリプロ社製“EA7AD”)を用いた以外は、実施例1と同様に多層構造体を作製し、同様に評価した。
Claims (2)
- エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物層(α)の少なくとも一方の面に、酸変性オレフィン系エラストマー層(β)を介して環状オレフィン系樹脂層(γ)を設けた多層構造体であって、該環状オレフィン系樹脂層(γ)の主成分が、ガラス転移点が85℃〜130℃の環状オレフィン系樹脂であることを特徴とする多層構造体。
- 共押出しにより製造された請求項1記載の多層構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014129288A JP6351398B2 (ja) | 2014-06-24 | 2014-06-24 | 多層構造体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014129288A JP6351398B2 (ja) | 2014-06-24 | 2014-06-24 | 多層構造体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016007754A true JP2016007754A (ja) | 2016-01-18 |
JP6351398B2 JP6351398B2 (ja) | 2018-07-04 |
Family
ID=55225684
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014129288A Active JP6351398B2 (ja) | 2014-06-24 | 2014-06-24 | 多層構造体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6351398B2 (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3431281A4 (en) * | 2016-03-15 | 2019-09-11 | Nitto Denko Corporation | STRETCHABLE LAMINATE AND ARTICLE COMPRISING SAME |
CN114144301A (zh) * | 2019-08-09 | 2022-03-04 | 三菱化学株式会社 | 经高压处理的多层结构体的制造方法及多层结构体的高压处理方法 |
WO2022054887A1 (ja) * | 2020-09-10 | 2022-03-17 | 株式会社クラレ | 多層構造体、およびそれからなる包装容器 |
WO2023176326A1 (ja) * | 2022-03-18 | 2023-09-21 | 三菱ケミカル株式会社 | 一軸延伸多層構造体およびその製造方法 |
WO2023176327A1 (ja) * | 2022-03-18 | 2023-09-21 | 三菱ケミカル株式会社 | 一軸延伸多層構造体およびその製造方法 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04276253A (ja) * | 1991-03-04 | 1992-10-01 | Nippon Zeon Co Ltd | 医療用または食品包装用容器 |
WO2006043459A1 (ja) * | 2004-10-18 | 2006-04-27 | Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc. | 医療用ガスバリアフィルムおよびそれを用いた医療用バッグ |
JP2010274595A (ja) * | 2009-05-29 | 2010-12-09 | C I Kasei Co Ltd | 多層フィルム及び多層フィルムの製造方法 |
JP2011062529A (ja) * | 2007-11-22 | 2011-03-31 | Mitsubishi Tanabe Pharma Corp | 環状ポリオレフィン層を含むプラスチック容器 |
JP2011110369A (ja) * | 2009-11-30 | 2011-06-09 | Kyoraku Co Ltd | 医療用容器 |
JP2011212447A (ja) * | 2011-05-23 | 2011-10-27 | Hosokawa Yoko Co Ltd | 医療容器用多層体および医療容器 |
JP2012071491A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-12 | Unitika Ltd | 積層体およびその製造方法 |
WO2014065359A1 (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-01 | キョーラク株式会社 | 医療用容器 |
-
2014
- 2014-06-24 JP JP2014129288A patent/JP6351398B2/ja active Active
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04276253A (ja) * | 1991-03-04 | 1992-10-01 | Nippon Zeon Co Ltd | 医療用または食品包装用容器 |
WO2006043459A1 (ja) * | 2004-10-18 | 2006-04-27 | Otsuka Pharmaceutical Factory, Inc. | 医療用ガスバリアフィルムおよびそれを用いた医療用バッグ |
JP2011062529A (ja) * | 2007-11-22 | 2011-03-31 | Mitsubishi Tanabe Pharma Corp | 環状ポリオレフィン層を含むプラスチック容器 |
JP2010274595A (ja) * | 2009-05-29 | 2010-12-09 | C I Kasei Co Ltd | 多層フィルム及び多層フィルムの製造方法 |
JP2011110369A (ja) * | 2009-11-30 | 2011-06-09 | Kyoraku Co Ltd | 医療用容器 |
JP2012071491A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-12 | Unitika Ltd | 積層体およびその製造方法 |
JP2011212447A (ja) * | 2011-05-23 | 2011-10-27 | Hosokawa Yoko Co Ltd | 医療容器用多層体および医療容器 |
WO2014065359A1 (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-01 | キョーラク株式会社 | 医療用容器 |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3431281A4 (en) * | 2016-03-15 | 2019-09-11 | Nitto Denko Corporation | STRETCHABLE LAMINATE AND ARTICLE COMPRISING SAME |
US11369528B2 (en) | 2016-03-15 | 2022-06-28 | Nitto Denko Corporation | Stretchable laminate and article comprising same |
CN114144301A (zh) * | 2019-08-09 | 2022-03-04 | 三菱化学株式会社 | 经高压处理的多层结构体的制造方法及多层结构体的高压处理方法 |
WO2022054887A1 (ja) * | 2020-09-10 | 2022-03-17 | 株式会社クラレ | 多層構造体、およびそれからなる包装容器 |
WO2023176326A1 (ja) * | 2022-03-18 | 2023-09-21 | 三菱ケミカル株式会社 | 一軸延伸多層構造体およびその製造方法 |
WO2023176327A1 (ja) * | 2022-03-18 | 2023-09-21 | 三菱ケミカル株式会社 | 一軸延伸多層構造体およびその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6351398B2 (ja) | 2018-07-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6351398B2 (ja) | 多層構造体 | |
WO2020071513A1 (ja) | 多層構造体及びそれを用いた包装材 | |
EP2474571B1 (en) | Resin composition, multilayered structure using resin composition, and method for producing same | |
EP3344453B1 (en) | Adhesive compositions and multilayered structures comprising functionalized polypropylene | |
US8759447B2 (en) | Compatibilizer and method for producing same | |
JP5106223B2 (ja) | 多層延伸フィルムの製造方法 | |
KR102549776B1 (ko) | 작용화된 폴리프로필렌을 포함하는 접착제 조성물 및 다층 구조 | |
EP2748253A1 (en) | Graft composition having long chain branched olefins for improved tie layers | |
WO2005061224A1 (ja) | 積層体 | |
US9074088B2 (en) | Adhesive resin composition, and laminate using the same | |
JP2012193327A (ja) | 樹脂組成物並びにこれを用いた成形品及び多層構造体並びにその製造方法 | |
JP6561799B2 (ja) | 多層構造体 | |
JP7435200B2 (ja) | 多層構造体 | |
JP2010234805A (ja) | 多層構造体 | |
JP2018027673A (ja) | 樹脂組成物およびそれを用いた多層構造体並びにその製造方法 | |
JP2018059036A (ja) | エチレンービニルエステル系共重合体ケン化物を含む樹脂組成物及び当該組成物を用いた多層構造体 | |
JP7155521B2 (ja) | 多層構造体、接着性樹脂層用樹脂組成物および多層構造体の製造方法 | |
TWI795472B (zh) | 樹脂組成物、熔融成形用材料、多層結構體及液體包裝用材料 | |
JP7456197B2 (ja) | 樹脂組成物及び易引裂性フィルム、易引裂性シート | |
US20210115243A1 (en) | Resins for use as tie layer in multilayer structure and multilayer structures comprising the same | |
JP5709395B2 (ja) | 多層フィルムおよび多層延伸フィルム | |
TW201925321A (zh) | 樹脂組成物、熔融成形用材料、多層結構體及液體包裝用材料 | |
JP2014189667A (ja) | 樹脂組成物及び積層体 | |
WO2022158589A1 (ja) | エチレン-ビニルアルコール系共重合体組成物 | |
WO2022030465A1 (ja) | 多層構造体、それを用いた包装材、回収組成物及び回収組成物の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170522 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180219 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180320 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180605 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180605 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6351398 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |