JP2016004870A - 抵抗器のトリミング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単かつ生産効率の良いトリミング方法によって、トリミング溝に導電性のダストが載った場合でも抵抗値変動を抑制可能な抵抗器を提供する。
【解決手段】一対の表電極3にプローブを当てながら抵抗体4にレーザー光を照射することにより、抵抗体4の抵抗値を規定する第1トリミング溝5と、この第1トリミング溝5により規定された無効領域内に存する第2トリミング溝6とを形成するトリミング方法において、第1レーザー光を照射して第1トリミング溝5を形成している最中に、第2レーザー光を照射して第2トリミング溝6を同時に形成する。
【選択図】図2
【解決手段】一対の表電極3にプローブを当てながら抵抗体4にレーザー光を照射することにより、抵抗体4の抵抗値を規定する第1トリミング溝5と、この第1トリミング溝5により規定された無効領域内に存する第2トリミング溝6とを形成するトリミング方法において、第1レーザー光を照射して第1トリミング溝5を形成している最中に、第2レーザー光を照射して第2トリミング溝6を同時に形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、抵抗体にトリミング溝を形成することによって抵抗値が調整される抵抗器のトリミング方法に関するものである。
一般的にチップ抵抗器は、直方体形状の絶縁基板と、絶縁基板上に所定間隔を存して対向配置された一対の表電極と、これら表電極間を橋絡する抵抗体等によって主に構成されており、抵抗体には抵抗値を調整するためのトリミング溝が形成されている。トリミング溝はレーザー光の照射によって形成されるスリットであり、そのスリット形状としては「Lカット」と呼ばれるものが主流となっている。
このようなトリミング溝を形成する場合、抵抗体の両端部に接続する表電極に測定端子(プローブ)を接触させて、抵抗体の抵抗値を測定しながら抵抗体の一方の側縁から電流方向と直交する方向にスリットを入れて、測定抵抗値が目標抵抗値よりも僅かに下回るまで抵抗値を上昇させた後(抵抗値の粗調整)、そのスリットを方向変換(ターン)して電流方向と平行な方向へ延ばすことにより、測定抵抗値を目標抵抗値に対して一致させるようにしている(抵抗値の微調整)。
しかしながら、上記したチップ抵抗器においては、抵抗体に形成された1本のL字状トリミング溝によって抵抗値が規定されるため、万一、このトリミング溝内に導電性のダストが侵入するとトリミング溝を橋絡してしまい、それに伴って抵抗値が変動してしまうという問題がある。
そこで従来より、図4に示すように、絶縁基板11上に所定間隔を存して対向配置された一対の表電極12と、これら表電極12間を橋絡する長方形の抵抗体13等を備え、この抵抗体13に2本のトリミング溝14,15を形成することにより、溝にダストが載った場合でも、抵抗値の変動を抑制できるようにしたチップ抵抗器10が提案されている(特許文献1参照)。
このチップ抵抗器10において、外側のトリミング溝14は、抵抗体13の抵抗値を規定するL字状形状の主溝であり、抵抗体13の一側縁13aから電流方向と直交する方向に延びる第1スリット14aと、第1スリット14aの終端部から電流方向と平行な方向に延びる第2スリット14bとを有している。このトリミング溝14は、一対の表電極12に図示せぬプローブを当てながら、抵抗体13にレーザー光を照射および走査することにより形成され、抵抗体13が目標抵抗値になった時点でレーザー光の照射は停止される。
内側のトリミング溝15は、外側のトリミング溝14を形成した後に、そのトリミング溝14の無効領域S内に形成されるL字状形状の補助溝であり、抵抗体13の一側縁13aから電流方向と直交する方向に延びる第1スリット15aと、第1スリット15aの終端部から電流方向と平行な方向に延びる第2スリット15bとを有している。ここで、無効領域Sは、外側のトリミング溝14の第1および第2スリット14a,14bと、第2スリット14bの終端部を通って抵抗体13の一側縁13aに垂直な仮想線Pとにより囲まれた領域であって、トリミング溝14によって電流が流れない領域となっている。
このように構成されたチップ抵抗器10では、抵抗体13に主溝側のトリミング溝14と補助溝側のトリミング溝15という2本の溝が形成されているため、万一、主溝側のトリミング溝14に導電性のダストが載った場合であっても、補助溝側のトリミング溝15が主溝の代用となることで、チップ抵抗器10の抵抗値の変動を抑制することができるようになっている。また、補助溝側のトリミング溝15は主溝側のトリミング溝14の無効領域S内に形成されており、チップ抵抗器10が正常に動作する際(主溝側のトリミング溝14にダストが載っていない状態)に、補助溝側のトリミング溝15は抵抗体13の抵抗値にほとんど影響を与えないため、抵抗値の変動に注意を払う必要がなく補助溝側のトリミング溝15を形成することができる。
特許文献1に開示された従来技術のように、抵抗体に1本目のトリミング溝を形成して目標抵抗値になるまで抵抗値調整を行った後、そのトリミング溝の無効領域内に2本目のトリミング溝を形成する場合、1本目のトリミング溝の寸法(第1および第2スリットの長さ)が抵抗体を形成したときの初期抵抗値やトリミング条件(例えば粗調整時の抵抗値設定)に左右されるため、1本目のトリミング溝の形状が一定になることはない。したがって、1本目のトリミング溝の形状によって区画される無効領域も一定になることはなく、このような無効領域内に2本目のトリミング溝を正確に形成するためには、1本目のトリミング溝の位置情報(寸法情報)を取得しなければならず、複雑な画像処理を伴う高価なトリミングプログラムが必要になるという難点がある。また、1本目のトリミング溝を形成した後に2本目のトリミング溝を形成するため、2本目のトリミング溝形成時の加工熱によって抵抗値が変化したり、両方のトリミングに要する加工時間が長くなって生産効率を悪化させるという問題もあった。
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、簡単かつ生産効率の良いトリミング方法によって、トリミング溝に導電性のダクトが載った場合でも抵抗値変動を抑制可能な抵抗器を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、絶縁基板と、この絶縁基板の表面に設けられた一対の表電極と、これら一対の表電極に接続する抵抗体とを備え、前記抵抗体にレーザー光を照射してトリミング溝を形成することで抵抗値が調整される抵抗器のトリミング方法において、前記抵抗体の抵抗値を規定する第1トリミング溝と、この第1トリミング溝により規定された無効領域内に存する第2トリミング溝とを有し、前記抵抗体に第1レーザー光を照射して前記第1トリミング溝を形成している最中に、前記抵抗体に第2レーザー光を照射して前記第2トリミング溝を同時に形成するようにした。
このような抵抗器のトリミング方法では、抵抗体の抵抗値を規定する第1トリミング溝を形成している最中に、もう1つの第2トリミング溝を同時に形成するようにしたので、初期抵抗値やトリミング条件等に応じて第1トリミング溝が様々な形状になっても、わざわざ第1トリミング溝の位置情報を取得することなく、第2トリミング溝を第1トリミング溝の無効領域内に短時間で正確に形成することができる。したがって、万一、第1トリミング溝に導電性のダクトが載った場合であっても、抵抗値の変動を抑制可能な抵抗器を実現することができる。
上記のトリミング方法において、抵抗体に対する第2レーザー光の照射位置を第1レーザー光の照射位置よりも一定間隔だけ走査方向の後側へずらし、この間隔を保ったまま第1レーザー光と第2レーザー光を同じ速度で走査すると、1つのレーザー光を均等に分配して位置関係を固定した状態で第1および第2トリミング溝を形成することができて好ましい。
また、上記のトリミング方法において、第1レーザー光の照射によって第1トリミング溝を形成した後、第2レーザー光の照射だけを続行することにより、第2トリミング溝を無効領域の外方へ延長させると、第2トリミング溝を抵抗値変化のしない無効領域から抵抗値変化のしにくい領域まで延ばして抵抗値調整できるため、高精度の抵抗値調整が可能となる。
本発明による抵抗器のトリミング方法では、抵抗体の抵抗値を規定する第1トリミング溝を形成している最中に、もう1つの第2トリミング溝を同時に形成するようにしたので、初期抵抗値やトリミング条件等に応じて第1トリミング溝が様々な形状になっても、わざわざ第1トリミング溝の位置情報を取得することなく、第2トリミング溝を第1トリミング溝の無効領域内に短時間で正確に形成することができる。したがって、万一、第1トリミング溝に導電性のダクトが載った場合であっても、抵抗値の変動を抑制することができる。
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明のトリミング方法が適用されたチップ抵抗器1は、セラミックス等からなる直方体形状の絶縁基板2と、絶縁基板2の表面の長手方向両端部に設けられた一対の表電極3と、これら一対の表電極3に接続する長方形状の抵抗体4と、この抵抗体4を覆う図示せぬ保護層等によって主に構成されており、抵抗体4には第1トリミング溝5と第2トリミング溝6が形成されている。なお、図示省略されているが、絶縁基板2の裏面には表電極3に対応するように一対の裏電極が設けられており、絶縁基板2の長手方向の両端面には対応する表電極と裏電極を橋絡する端面電極が設けられている。
一対の表電極3はAgペーストをスクリーン印刷して乾燥・焼成させたものであり、抵抗体4は酸化ルテニウム等の抵抗体ペーストをスクリーン印刷して乾燥・焼成させたものである。
第1トリミング溝5は、抵抗体4の抵抗値を規定するL字状形状の主溝であり、抵抗体4の一側縁(図の下辺)4aから電流方向と直交する方向に延びる第1スリット5aと、第1スリット5aの終端部から電流方向と平行な方向に延びる第2スリット5bとを有している。ここで、第1トリミング溝5の第2スリット5bの終端部を通って抵抗体4の一側縁4aに垂直な仮想線をPとすると、第1トリミング溝5と仮想線Pとにより囲まれた部分は抵抗値変化のしない無効領域Sとなっている。
第2トリミング溝6は、第1トリミング溝5の内側に形成されたL字状形状の補助溝であり、抵抗体4の一側縁4aから電流方向と直交する方向に延びる第1スリット6aと、第1スリット6aの終端部から電流方向と平行な方向に延びる第2スリット6bとを有している。ここで、第1スリット6aの全部と第2スリット6bの大部分は第1トリミング溝5の無効領域S内に形成されているが、第2スリット6bの先端部は無効領域Sを越えた部位まで延びており、当該部位は抵抗値変化のしにくい領域となっている。
なお、詳細については後述するが、第1トリミング溝5と第2トリミング溝6は、一対の表電極3に図示せぬプローブを当てながら抵抗体4に2本のレーザー光を照射し、これらレーザー光を所定方向に同時に走査することにより形成される。
このように構成されたチップ抵抗器1では、抵抗体4に主溝側の第1トリミング溝5と補助溝側の第2トリミング溝6という2本の溝が形成されているため、万一、第1トリミング溝5に導電性のダストが載った場合であっても、補助溝側の第2トリミング溝6が主溝の代用となることで、チップ抵抗器1の抵抗値の変動を抑制することができる。なお、第2トリミング溝6は第1トリミング溝5の無効領域S内に形成されており、この無効領域Sは抵抗値変化のしない領域であるため、チップ抵抗器1が正常に動作する際(主溝側の第1トリミング溝5にダストが載っていない状態)に、補助溝側の第2トリミング溝6は抵抗体1の抵抗値にほとんど影響を与えることはない。
次に、上記の如く構成されたチップ抵抗器1におけるトリミング方法について、図2を参照しながら説明する。なお、図2では1チップ相当分の絶縁基板2のみを図示しているが、実際には、多数個のチップ抵抗器1を一括して製造するため、多数個取り用の集合基板に多数個分のチップ形成領域が設けられている。
まず、図2(a)に示すように、縦横に格子状に延びる一次分割溝7と二次分割溝8が形成された集合基板2Aを準備する。これら一次分割溝7と二次分割溝8により、集合基板2Aの表裏両面は多数のチップ形成領域に区画され、これらチップ形成領域がそれぞれ1個分の絶縁基板2となる。
そして、この集合基板2Aの表面で一次分割溝7を横断する位置に電極ペーストをスクリーン印刷して焼成することにより、チップ形成領域の長手方向の両端部に表電極3を形成した後、集合基板2Aの表面に酸化ルテニウム等を含有した抵抗体ペーストをスクリーン印刷して焼成することにより、長手方向の両端部を表電極3に重ね合わせた長方形状の抵抗体4を形成する。
なお、図示省略されているが、表電極3を形成する工程に前後して、集合基板2Aの裏面に一次分割溝7に跨がるように複数対の裏電極を形成する。また、抵抗体4を形成した後、この抵抗体4を覆う領域にガラスペーストをスクリーン印刷して焼成することにより、抵抗体4を被覆するアンダーコート層(保護層)を形成する。
次に、抵抗体4の抵抗値を調整するために、一対の表電極3に図示せぬプローブを当てながら、アンダーコート層で覆われている抵抗体4に対して2本のレーザー光を照射し、これらレーザー光を同時に走査することにより、第1トリミング溝5と第2トリミング溝6を形成する。
その際、図2(b)に示すように、1つのレーザー光を第1レーザー光と第2レーザー光に均等に分配すると共に、これら第1レーザー光の照射位置L1と第2レーザー光の照射位置L2を走査方向に所定量だけずらし、その位置関係を維持したまま第1および第2レーザー光を抵抗体4の一側縁(図の下辺)4aに向かって同時に走査する。すなわち、第1レーザー光の照射位置L1の右斜め後方に第2レーザー光の照射位置L2が位置するように設定し、この位置関係を固定した状態で第1レーザー光と第2レーザー光を同じ速度で同一方向に走査する。
これにより、図2(c)に示すように、まず、第1レーザー光の照射位置L1が抵抗体4の一側縁4aから内部に向かい、抵抗体4の一側縁4aを始端部として上方に延びる第1トリミング溝5の第1スリット5aが形成されていき、この第1レーザー光に遅れて第2レーザー光の照射位置L2が抵抗体4の一側縁4aから内部に向かうため、第1トリミング溝5の第1スリット5aの図示右側に第2トリミング溝6の第1スリット6aが一定間隔を存して平行に形成されていく。
このようにして2本の第1スリット5a,6aの長さを延ばしていくと、それに伴って抵抗体4の抵抗値は次第に上昇していき、測定抵抗値が目標抵抗値よりも僅かに下回るまで抵抗値を上昇させた後(抵抗値の粗調整)、第1および第2レーザー光の走査方向を90度方向変換する。これにより、2本の第1スリット5a,6aの延出方向が変わって第2スリット5b,6bとなり、図2(d)に示すように、これら第2スリット5b,6bを電流方向と平行な方向(図の右方)へ延ばすことにより、測定抵抗値を目標抵抗値に対して一致させる(抵抗値の微調整)。
この間、第1レーザー光と第2レーザー光は両者の照射位置L1,L2の位置関係を維持したまま同時に走査されるため、抵抗体4を形成したときの初期抵抗値がばらついたり、トリミング条件(例えば粗調整時における目標抵抗値設定)が変動したとしても、第1トリミング溝5と第2トリミング溝6の間隔や相対的な長さは変わらず、複雑なトリミングプログラムを用いて第1トリミング溝5の位置情報を取得しなくても、第2トリミング溝6を第1トリミング溝5の無効領域S内に短時間で正確に形成することができる。
なお、上記したように抵抗値の微調整が終了した時点で第1レーザー光と第2レーザー光の照射を停止しても良いが、抵抗値をさらに高精度に調整する場合は、図2(e)に示すように、第1レーザー光を走査せずに第2レーザー光だけを走査することにより、第2レーザー光の照射位置L2を第1トリミング溝5の無効領域Sの外側まで延長させれば良い。すなわち、無効領域Sに隣接する当該部位は抵抗値変化のしにくい領域であるため、第2トリミング溝6の第2スリット6bを抵抗値変化のしない無効領域Sから抵抗値変化のしにくい領域まで延ばすことにより、極めて高精度な抵抗値調整が可能となる。
そして、このような抵抗体4の抵抗値調整が終了したなら、前述したアンダーコート層と抵抗体4および両トリミング溝5,6等を覆うように、エポキシ系等の樹脂ペーストをスクリーン印刷して加熱硬化することにより、オーバーコート層を形成して2層構造の保護層とする。なお、下層のアンダーコート層は第1および第2レーザー光の熱で抵抗体4の両トリミング溝5,6近傍が損傷しないようにするためのものであり、上層のオーバーコート層は抵抗体4を外部環境から保護するためのものである。
これまでの工程は集合基板2Aに対する一括処理であるが、次の工程では、集合基板2Aを一次分割溝7に沿って短冊状に一次分割することにより、チップ形成領域の長手方向を幅寸法とする短冊状基板を得る。次に、短冊状基板の分割面に表電極3と裏電極を橋絡する端面電極を形成した後、この短冊状基板を二次分割溝8に沿って二次分割することにより、図1に示すようなチップ抵抗器1を多数個取りすることができる。
以上説明したように、本実施形態例に係るトリミング方法では、第1レーザー光を照射して抵抗体4の抵抗値を規定する第1トリミング溝5を形成している最中に、第2レーザー光を照射して第2トリミング溝6を同時に形成するようにしたので、初期抵抗値やトリミング条件等に応じて第1トリミング溝5の寸法(第1および第2スリット5a,5bの長さ)が変化しても、わざわざ第1トリミング溝5の位置情報を取得することなく、第2トリミング溝6を第1トリミング溝5の無効領域S内に短時間で正確に形成することができる。これにより、万一、第1トリミング溝に導電性のダクトが載った場合であっても、抵抗値の変動を抑制可能なチップ抵抗器1を実現することができる。
また、抵抗体4に対する第2レーザー光の照射位置L2を第1レーザー光の照射位置L1よりも一定間隔だけ走査方向の後側へずらし、この間隔を保ったまま第1レーザー光と第2レーザー光を同じ速度で走査するようにしたので、1つのレーザー光を第1および第2レーザー光に均等に分配して両者の位置関係を固定した状態で、第1トリミング溝5と第2トリミング溝6を簡単かつ正確に形成することができる。
また、第1および第2レーザー光を照射して第1トリミング溝5と第2トリミング溝6を形成した後、第2レーザー光の照射だけを続行して第2トリミング溝6の第2スリット6bを無効領域Sの外方へ延ばすことにより、第2トリミング溝6を抵抗値変化のしにくい領域に形成して超微細な抵抗値調整を行うことができる。
次に、本発明の他の実施形態例に係るトリミング方法について、図3を参照しながら説明する。
本実施形態例に係るトリミング方法では、図3(a)に示すように、集合基板2Aのチップ形成領域に表電極3と抵抗体4を形成した後、この抵抗体4に第1レーザー光と第2レーザー光を照射して走査する際に、第1レーザー光の照射位置L1と第2レーザー光の照射位置L2の位置関係が先に説明した図2の実施形態例と左右逆になっている。すなわち、図3(b)に示すように、第1レーザー光の照射位置L1の左斜め後方に第2レーザー光の照射位置L2が位置するように設定し、この位置関係を固定した状態で第1レーザー光と第2レーザー光を同じ速度で同一方向に走査する。
これにより、図3(c)に示すように、まず、第1レーザー光の照射位置L1が抵抗体4の一側縁4aから内部に向かい、抵抗体4の一側縁4aを始端部として上方に延びる第1トリミング溝5の第1スリット5aが形成されていき、この第1レーザー光に遅れて第2レーザー光の照射位置L2が抵抗体4の一側縁4aから内部に向かうため、第1トリミング溝5の第1スリット5aの図示左側に第2トリミング溝6の第1スリット6aが一定間隔を存して平行に形成されていく。
このようにして2本の第1スリット5a,6aの長さを延ばしていくと、それに伴って抵抗体4の抵抗値は次第に上昇していき、測定抵抗値が目標抵抗値よりも僅かに下回るまで抵抗値を上昇させた後(抵抗値の粗調整)、第1および第2レーザー光の走査方向を90度方向変換する。これにより、2本の第1スリット5a,6aの延出方向が変わって第2スリット5b,6bとなり、図3(d)に示すように、これら第2スリット5b,6bを電流方向と平行な方向へ延ばすことにより、測定抵抗値を目標抵抗値に対して一致させる(抵抗値の微調整)。
その際、第2トリミング溝6の第1スリット6aは第1トリミング溝5の第1スリット5aの左側部位に形成され、当該部位は抵抗値変化の大きい領域であるため、第1スリット5aの長さをそれほど延ばさなくても抵抗値の粗調整を行うことができる。これにより、抵抗体4の残り幅(第1スリット5aの終端部と抵抗体4の上辺との間隔)を増やすことが可能となるため、過負荷に強いチップ抵抗器を実現することができる。
なお、本実施形態例においても、抵抗値の微調整が終了した時点で第1レーザー光と第2レーザー光の照射を停止するようにしても良いが、抵抗値をさらに高精度に調整する場合は、図3(e)に示すように、第1レーザー光を走査せずに第2レーザー光だけを走査することにより、第2レーザー光の照射位置L2を第1トリミング溝5の無効領域Sの外側まで延長させれば良い。
また、抵抗体4の抵抗値調整が終了した以降の工程は、前述した図2の実施形態例と同じであるため、ここでは重複説明を省略する。
1 チップ抵抗器
2 絶縁基板
2A 集合基板
3 表電極
4 抵抗体
5 第1トリミング溝
5a 第1スリット
5b 第2スリット
6 第2トリミング溝
6a 第1スリット
6b 第2スリット
7 一次分割溝
8 二次分割溝
S 無効領域
L1 第1レーザー光の照射位置
L2 第2レーザー光の照射位置
2 絶縁基板
2A 集合基板
3 表電極
4 抵抗体
5 第1トリミング溝
5a 第1スリット
5b 第2スリット
6 第2トリミング溝
6a 第1スリット
6b 第2スリット
7 一次分割溝
8 二次分割溝
S 無効領域
L1 第1レーザー光の照射位置
L2 第2レーザー光の照射位置
Claims (3)
- 絶縁基板と、この絶縁基板の表面に設けられた一対の表電極と、これら一対の表電極に接続する抵抗体とを備え、前記抵抗体にレーザー光を照射してトリミング溝を形成することで抵抗値が調整される抵抗器のトリミング方法において、
前記抵抗体の抵抗値を規定する第1トリミング溝と、この第1トリミング溝により規定された無効領域内に存する第2トリミング溝とを有し、
前記抵抗体に第1レーザー光を照射して前記第1トリミング溝を形成している最中に、前記抵抗体に第2レーザー光を照射して前記第2トリミング溝を同時に形成するようにしたことを特徴とする抵抗器のトリミング方法。 - 請求項1の記載において、前記抵抗体に対する前記第2レーザー光の照射位置を前記第1レーザー光の照射位置よりも一定間隔だけ走査方向の後側へずらし、この間隔を保ったまま前記第1レーザー光と前記第2レーザー光を同じ速度で走査するようにしたことを特徴とする抵抗器のトリミング方法。
- 請求項1または2の記載において、前記第1レーザー光によって前記第1トリミング溝を形成した後、前記第2レーザー光の照射だけを続行することにより、前記第2トリミング溝を前記無効領域の外方へ延長させたことを特徴とする抵抗器のトリミング方法。
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