JP2016004640A - 荷電粒子線応用装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高分解能で傾斜観察が可能な荷電粒子線応用装置を提供する。
【解決手段】荷電粒子線応用装置100は、荷電粒子源101と、荷電粒子源により発生した荷電粒子線を、試料上に集束させる対物レンズ112とを具備している。ここで、荷電粒子線応用装置は、荷電粒子源と対物レンズとの間に設けられた収差発生用素子と、収差発生用素子と対物レンズとの間に設けられた傾斜用偏向器と、収差発生用素子を制御する偏向収差制御部と、収差発生用素子と対物レンズとの間に設けられた第1電磁界重畳多極子106と、第1電磁界重畳多極子を制御する電磁界重畳多極子制御部とを具備している。収差発生素子は、傾斜用偏向器により、試料に対して荷電粒子線を傾斜させたときに発生する複数の収差を、相殺するように機能する。また、第1電磁界重畳多極子は、荷電粒子線において主となる荷電粒子線とはエネルギーの異なる荷電粒子線の軌道を変更するように機能する。
【選択図】図1

Description

本発明は、荷電粒子線応用装置に関し、特に荷電粒子線を利用して検査、計測および/または観察を行う装置に関する。
荷電粒子線応用装置として、荷電粒子線測長装置、荷電粒子線検査装置等がある。荷電粒子線測長装置、荷電粒子線検査装置は、例えば半導体あるいは磁気ディスクの製造プロセスにおいて用いられる。この場合、荷電粒子線測長装置では、試料上に、電子線あるいはイオンビーム等の荷電粒子線(以下、一次ビームとも称する)を照射し、試料に形成されたパターンの形状あるいは寸法に応じて発生する二次電子等の二次荷電粒子線(以下、二次ビームとも称する)の信号を取得し、パターンの形状あるいは寸法を測定する。また、荷電粒子線検査装置では、取得した二次ビームの信号に基づいて、パターンの欠陥の有無が調べられる。このような荷電粒子線測長装置、荷電粒子線検査装置のより具体的な例としては、従来から走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下、SEMと称する)が知られている。
近年、SEMを用いて測長あるいは検査を行う半導体においては、半導体デバイスの微細化がますます進み、微細化の限界に近づきつつある。そのため、半導体デバイスの高集積化を進めるために、微細化の代わりとして、デバイス構造の三次元化が推進されている。
三次元化された半導体デバイスにおいて、検査および/または測長を行うためには、平面方向の観察、すなわち試料の平面的な形状あるいは寸法の観察に加えて、試料の高さ方向の情報も取得することが要求される。試料に対して、傾斜した一次ビームを照射し、この照射により発生した二次ビームの信号を取得することにより、三次元構造に係わる高さ方向の情報も得ることが可能である。
試料に対して傾斜した一次ビームを照射する構成としては、試料を搭載する試料台あるいは試料ステージを、一次ビームに対して機械的に傾斜させることが考えられる。汎用のSEMにおいては、試料を小片として切り出すことが可能である。そのため、小片として切り出した試料を試料台に搭載し、試料台を機械的に傾斜させて、試料に対して傾斜した一次ビームが照射されるようにすることが行われている。
一方、半導体の製造プロセスにおける検査および/または測長は、半導体デバイスを製造するラインにおいて、行われる。すなわち、半導体の検査、測長に用いられるSEMは、インラインのプロセス管理ツールとして用いられる。プロセス管理ツールと言う性質上、多数個の半導体デバイスが形成されるウェハが、試料として扱われる。従って、試料であるウェハを搭載する試料ステージは、物理的に大きなサイズとなる。このような大きな試料ステージを機械的に傾斜させると、SEMにおける対物レンズから試料までの作動距離が、必然的に長くなり、分解能の低下が生じる。そのため、SEMに偏向器を設け、偏向器により電気的に電子線を傾斜させるビームチルト方式での観察が望まれる。この方式は傾斜に必要な時間や再現性の点で有利であるが、対物レンズ内で電子線が光軸から大きく離れた位置を通過するため、偏向色収差や偏向コマ収差が増大するという課題がある。
偏向色収差を打ち消す技術は、例えば特許文献1に示されている。特許文献1では、ウィーンフィルタを設置して、偏向色収差を打ち消すことが示されている。また、特許文献2には、色収差補正器に関しての記述があり、エネルギーの異なる荷電粒子線(ビーム)をレンズ主面付近で交差させるための伝達光学部品が示されている。
特開2001−15055号公報 特開2007−128893号公報
ビームチルト時に打ち消すべき偏向色収差は、傾斜角、すなわち偏向量に関しての多項式で表現することができる。この場合、多項式は、偏向量に関しての一次の項と、二次以上の項とを有することになる。ビームチルト方式において、ビームチルト角を比較的小さく、小角ビームチルトのときには、多項式における二次以上の項の値は、一次の項の値に比べて小さく、打ち消すべき収差に対する影響は少ない。ところが、ビームチルト角を大きく、例えば10度以上のような大角ビームチルトにすると、偏向量に関する二次以上の項の値が、大きくなり、打ち消すべき収差に対する影響が大きくなる。
特許文献1に示された技術においては、偏向量に関しての一次の項で現される偏向色収差及び偏向コマ収差の2種類の収差のみが対象とされている。すなわち、大角ビームチルトを実現しようとした場合に、偏向量に関しての二次以上の項として現れる高次色収差の影響が意識されていない。ここで、高次色収差は、荷電粒子線の主たる荷電粒子線に基づいて、打ち消すべき偏向色収差を発生させたとき、主たる荷電粒子線の持つ電子線(加速)エネルギーとは異なる電子線エネルギーを持つ荷電粒子線の軌道が変化してしまい、対物レンズ内での離軸距離に大きく差が生じることに起因して発生するものと考えられる。
特許文献2では、伝達光学部品が、平均のエネルギーを有する主たるビームの軌道にも作用する。そのため、多項式における一次の項と二次以上の項とを、同時に小さくすることは困難である。
特許文献1および2のいずれにおいても、大角ビームチルトを実現するときに、偏向色収差を低減することは意識されておらず、高分解能で傾斜観察を行うのには課題が残る。
本発明の目的は、高分解能で傾斜観察が可能な荷電粒子線応用装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
すなわち、荷電粒子線応用装置は、荷電粒子源と、荷電粒子源により発生した荷電粒子線を、試料上に集束させる対物レンズとを具備している。ここで、荷電粒子線応用装置は、荷電粒子源と対物レンズとの間に設けられた収差発生用素子と、収差発生用素子と対物レンズとの間に設けられた傾斜用偏向器と、収差発生用素子を制御する偏向収差制御部と、収差発生用素子と対物レンズとの間に設けられた第1電磁界重畳多極子と、第1電磁界重畳多極子を制御する電磁界重畳多極子制御部とを具備している。
収差発生用素子は、傾斜用偏向器により、試料に対して荷電粒子線を傾斜させたときに発生する複数の収差を、相殺するように(打ち消すように)機能する。また、第1電磁界重畳多極子は、荷電粒子線において主となる荷電粒子線とはエネルギーの異なる荷電粒子線の軌道を変更するように機能する。これにより、多項式において、偏向量に関しての一次の項に現れる偏向色収差および/または偏向コマ収差は、収差発生素子により補正され、偏向量に関しての二次以上の項に現れる高次色収差は、第1電磁界重畳多極子によって抑制される。その結果、傾斜を大きくした大角ビームチルドでの観察(検査および/または測長を含む)において、偏向色収差を低減することが可能となり、高分解能で観察を行うことが可能となる。また、荷電粒子線の集束量を向上させることが可能であるため、高感度、高効率の荷電粒子線応用装置を提供することが可能となる。
一実施の形態によれば、高分解能で傾斜観察が可能な荷電粒子線応用装置を提供することができる。
実施の形態1に係わる電子線観察装置の構成を示す構成図である。 (A)〜(D)は、実施の形態1に係わるビームチルトの電子光学系の構成を示す簡略図である。 (A)および(B)は、実施の形態1に係わる高次色収差制御用電磁多極子の構成を示す概略図である。 実施の形態1に係わる傾斜観察の操作を示すフローチャート図である。 実施の形態1に係わる傾斜観察を行う際の電子線調整設定画面である。 (A)および(B)は、実施の形態2に係わる高次色収差制御用電磁多極子の構成を示す概略図である。 実施の形態3に係わる電子線観察装置の構成を示す構成図である。 実施の形態4に係わる電子線観察装置の構成を示す構成図である。 実施の形態5に係わる電子線観察装置の構成を示す構成図である。 実施の形態5に係わるビームチルトの電子光学系の構成を示す簡略図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は、原則省略する。以下、荷電粒子線応用装置として、電子線を使用して、試料の観察を行う電子線観察装置を例として説明する。しかしながら、荷電粒子線応用装置としては、観察装置に限定されず、検査あるいは測長を行う検査装置あるいは測長装置も含まれる。また、荷電粒子線として、電子線を例として説明するが、荷電粒子線は、イオンビームであってもよい。さらに、観察装置、検査装置および測長装置だけでなく、計測装置あるいは電子顕微鏡にも適用可能である。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係わる電子線観察装置100の構成を示す構成図である。電子線観察装置100は、大別すると、電子光学系と制御系とを具備している。
電子光学系は、図1において、特に制限されないが、電子源(荷電粒子源)101、コンデンサレンズ103、収差発生用偏向器104、収差発生用レンズ105、高次色収差制御用電磁多極子106、反射板107、ビームセパレータ108、検出器109、ビームチルト用偏向器110、走査偏向用偏向器111,対物レンズ112を具備している。電子源101は、電子線(荷電粒子線)102を発生し、図1において、下側の方向(下流方向)へ向けて照射する。図1において、一点鎖線は、電子線102を傾斜させない場合の電子線102の光軸を示している。
電子源101から照射される電子線102の方向、すなわち電子源101の下流方向に向けて、電子線102の光軸に沿って、コンデンサレンズ103、収差発生用偏向器104、収差発生用レンズ105、高次色収差制御用電磁多極子106、反射板107、ビームセパレータ108、ビームチルト用偏向器110、走査偏向用偏向器111および対物レンズ112の順に配置されている。検出器109は、反射板107によって反射された電子線を検出するため、電子線102の光軸から外れた位置に配置されている。図1に示した電子光学系は、この実施の形態を説明するために必要な部分だけが示されており、図示されていないが、電子光学系は、電流制限用絞り、一次ビームの中心軸(光軸)調整用アライナ、および収差補正器等も含んでいるものと理解されるべきである。
上記したコンデンサレンズ103、収差発生用レンズ105および対物レンズ112のそれぞれは、励磁電流によって、そのフォーカスを制御する電磁レンズを例として説明する。また、それぞれが、1段の電磁レンズによって構成されている例を説明するが、それぞれは、複数段の電磁レンズによって構成してもよい。また、それぞれは、所謂静電レンズを1段あるいは複数段用いて、構成してもよいし、電磁レンズと静電レンズとを複合させて構成してもよい。
図1において、113は、観察されるべき試料を示している。この実施の形態においては、半導体ウェハが、試料113である。試料113は、試料ステージ114に載置される。試料ステージ114は、同図において試料ステージ114の下面に描かれている回転体が回転することにより、試料113を載置した状態で移動する。試料113である半導体ウェハと試料ステージ114との間には、図示されていないがウェハホルダが介在している。このウェハホルダと半導体ウェハとは電気的に導通しており、ウェハホルダに所定の電圧が供給される。これにより、半導体ウェハ(試料113)に所定の電圧が印加されることになる。
上記した走査偏向用偏向器111は、走査信号発生装置115に接続され、走査信号発生装置115は、システム制御部117に接続されている。また、上記した電子源101、コンデンサレンズ103、収差発生用偏向器104、収差発生用レンズ105、高次色収差制御用電磁多極子106、ビームセパレータ108、ビームチルト用偏向器110、対物レンズ112のそれぞれは、光学系制御回路116に接続され、さらに光学系制御回路116は、システム制御部117に接続されている。試料ステージ114は、ステージ制御装置118に接続され、ステージ制御装置118および検出器109も同様に、システム制御部117に接続されている。
システム制御部117は、機能的には、記憶部119および演算部120を具備している。このシステム制御部117は、入出力部121に接続されている。入出力部121は、システム制御部117に対して情報および/または指示を入力する入力手段と、システム制御部117からの情報を出力する表示手段とを具備している。
特に制限されないが、走査信号発生装置115、光学系制御回路116、システム制御部117、ステージ制御装置118および入出力部121によって、電子線観察装置100の制御系が構成されている。これらの制御系および回路系以外の構成要素は、真空容器(図示せず)内に配置されており、当該真空容器内を、真空排気して動作させていることは言うまでもない。また、真空容器外からウェハを試料ステージ114上に配置するウェハ搬送系(図示せず)が具備されていることも言うまでもない。なお、図1には、説明の都合上、試料113であるウェハも描かれているが、試料113は、電子線観察装置100の構成要素でないことは言うまでもない。
システム制御部117を、より具体的に述べておくと、記憶部119は、記憶装置であり、プログラムと各種の情報を格納する。また、演算部120は、図示しない中央処理装置に含まれている演算装置である。この中央処理装置は、記憶部119に格納されているプログラム等を、演算部120を用いながら実行する。中央処理装置が、プログラム等を実行することにより、観察(欠陥検査や寸法計測)に係わる画像処理、あるいは走査信号発生装置115、ステージ制御装置118および光学系制御回路116等の制御を行う。すなわち、走査信号発生装置115、ステージ制御装置118および光学系制御回路116等を介して、システム制御部117により、電子光学系を構成する要素の制御が行われる。本願明細書においては、システム制御部117、入出力部121、走査信号発生装置115、ステージ制御装置118、および光学系制御回路116等を含めて、制御部と総称する場合がある。
図1においては、入出力部121の入力手段としてキーボードおよびマウスが描かれており、表示手段として液晶表示デバイスが描かれている。しかしながら、入出力部121は、これに限定されない、例えば、入力手段と表示手段(出力部)のそれぞれの構成は、図1に示した構成と異なっていてもよいし、タッチパネル等を利用して、入力手段と表示手段とが一体型の入出力手段で構成してもよい。
次に、試料113に対して傾斜した観察(傾斜観察)を行う場合の動作を説明する。先ず、電子源101により電子線102を発生させる。電子源101から放出された電子線102は、コンデンサレンズ103による集束作用を受けて、電子源像(ビーム径が極小になる点)122を、収差発生用偏向器104と同じ位置に形成する。
図示されていないが、電子源101から電子源像122との間には、電流制限絞りが設けられている。電流制限絞りによって、所望の電流範囲の電子線102が、この絞りを通過するようにされている。電子源101のエミッション電流を制御および/またはコンデンサレンズ103の励磁電流を制御して、動作条件を変更すれば、電流制限絞りを通過する電子線102の電流量を所望の値に調整することが可能となっている。また、図示されていないが、電子源101とコンデンサレンズ103との間には、電子線102の光軸を補正するアライナが配置されている。電子線102の中心軸が、電流制限絞りや電子光学系の中心軸に対してずれている場合、アライナによって、中心軸が一致するように補正が行われる。
電子源像122が形成された後、電子線102は、収差発生用偏向器104により偏向を受け、偏向される。この偏向により、電子線102は、収差発生用レンズ105内において、中心軸から離れた位置、すなわち離軸した状態で通過する。さらに、収差発生用レンズ105を通過した電子線102は、高次色収差制御用電磁多極子106を通過し、電子源像123を、ビームチルト用偏向器110と同じ位置に形成する。ここで、電子源像122が、収差発生用偏向器104と同じ位置に形成されているため、電子源像123もまた光軸上に形成される。
高次色収差制御用電磁多極子106は、電子線102のうち、電子線エネルギーの平均値を持つ電子線(以下、主たる電子線とも称する)に対して働く磁場による力と電場による力とが、光学系制御回路116により相殺するように(打ち消すように)制御される。これにより、電子線102のうち、主たる電子線の軌道は、高次色収差制御用電磁多極子106による力の作用を受けない。すなわち、電子線102が、高次色収差制御用電磁多極子106を通過するとき、電子線102のうち主たる電子線については、その軌道が変化しない。
電子源像123を形成した後、電子線102は、ビームチルト用偏向器110により偏向を受ける。これにより、電子線102は、対物レンズ112内を、離軸した状態で通過する。このとき、電子線102は、対物レンズ112の集束作用を受けて、試料113へ到達する。電子線102は、ビームチルト用偏向器111によって偏向作用を受けているため、試料113上では、電子線102の光軸(一点鎖線)に対してθ2だけ傾斜することになる。
走査偏向用偏向器111は、傾斜して試料113に到達している電子線102が、試料113の定められた領域を走査するように、走査信号発生装置115によって制御される。試料113の表面に到達した電子線102は、試料113の表面付近の物質と相互に作用する。これにより、反射電子、二次電子、オージェ電子等の二次的な電子が、試料113から発生し、取得すべき信号となる。試料113から発生する電子が、二次電子である場合を説明すると、次のようになる。
すなわち、電子線102が試料113に到達した位置から発生した二次電子124は、対物レンズ112を通過した後、二次電子に対しては偏向作用を持つビームセパレータ108による偏向を受け、反射板107へ到達する。二次電子は、反射板107での衝突および反射を経て、検出器109に到達し、検出される。検出器109で検出された二次電子124は、検出信号として、システム制御部117へ供給される。システム制御部117においては、供給された検出信号に対する信号処理を、走査信号発生装置115から走査偏向用偏向器111に送られる走査信号と同期して行い、検出信号に基づいた画像を形成し、入出力部121に表示させ、試料113の観察が実施される。なお、この実施の形態では、二次電子124の検出は、ビームセパレータ108および反射板107を介して検出器109で行う例を示したが、これらを介さずに直接、検出器109へ、二次電子を導く構成であってもよい。
<偏向色収差および偏向コマ収差の相殺>
偏向色収差および偏向コマ収差の相殺(打ち消し)に関して、先ず説明する。傾斜観察のために、電子線102を傾斜させる、すなわちビームチルトさせるためのビームチルト用偏向器110による偏向の方向は、収差発生用偏向器104によって電子線102が電子源像123に到達した際の光軸に対する電子線102の傾斜角(θ1)を打消す、逆向きの方向とする。
このようにした場合、電子線102うちの中心光線(図1では、破線)と開き角を考慮した光線(図1では、外側実線)を追跡すると、収差発生用レンズ105内で、中心光線の通過位置(図1では、A1)に対して開き角を考慮した光線は外側の位置(図1では、B1)を通過する。その結果、収差発生用レンズ105内で発生する収差は、開き角を考慮した光線(実線)に比べて、中心光線の方が小さくなる。ここで、収差発生用偏向器104による偏向の方向を、上述のように、ビームチルト用偏向器110による偏向の方向と逆向きにとると、対物レンズ112内での開き角を考慮した光線(内側実線)の通過位置(図1では、B2)は、中心光線(破線)の通過位置(図1では、A2)に対して内側となる。そのため、対物レンズ112において発生する収差は、中心光線(破線)の方が大きくなる。
従って、対物レンズ112で発生する収差と同じ量の収差が発生するように収差発生用偏向器104及び収差発生用レンズ105を制御することで、発生した偏向色収差を相殺した状態で、電子線102を光軸(一点鎖線)に対して傾斜させた状態で試料に到達させることが可能となる。収差発生用レンズ105および対物レンズ112の像面定義の球面収差係数をそれぞれCs1、Cs2とし、色収差係数をそれぞれCc1、Cc2とし、電子源像123および試料113への到達時の電子線102の光軸に対する傾斜角をθ1、θ2とすると、下記の(1)式、(2)式を満たすときに偏向色収差および偏向コマ収差を相殺して、補正することができる。
Figure 2016004640
Figure 2016004640
ここで、Mは対物レンズの倍率であり、Φ1およびΦ2は、電子線102が、電子源像123および試料113に到達したときの主たる電子線の電子線エネルギーである。この実施の形態においては、対物レンズ112の偏向収差を相殺するための収差発生は収差発生用偏向器104による電子線の偏向により行ったが、(1)式、(2)式が成立するように収差発生用レンズ105の軸外を通過させられればよいので、ビームチルト用偏向器110より上流、すなわちビームチルト用偏向器110と電子源101との間に軸外軌道を選択するための絞りを設けることで実現してもよい。
<高次色収差の抑制>
次に、高次色収差制御用電磁多極子106を用いた高次色収差の抑制を、図2を用いて説明する。図2(A)〜(D)は、ビームチルトの電子光学系の構成を示す概略図である。図2(A)〜(D)において、図1と同じ部分には、同じ符号が付されている。また、説明を容易にするために、図1に示した電子光学系を構成する要素のうち、収差発生用レンズ105、対物レンズ112、及び高次色収差制御用電磁多極子106以外は、省略している。
まず、図2(A)には、収差発生用レンズ105を設置せずに、対物レンズ112のみで電子線102を傾斜した場合が示されている。この場合、電子線102は、対物レンズ112の物面201から傾斜した状態で対物レンズ112へ進入し、対物レンズ112の集束作用を受けて、試料113へ到達する。
ここで、電子線102について述べておく。電子線102は、平均の電子線エネルギーを有する主たる電子線と、主たる電子線とは電子線エネルギーが異なる電子線とが含まれている。主たる電子線よりも、その電子線エネルギーが低い電子線を、ここでは低速電子線202Aとし、主たる電子線よりも、その電子線エネルギーが高い電子線を、高速電子線202Bとする。図2においては、主たる電子線、低速電子線202Aおよび高速電子線202Bを含む電子線を102として示している。
主たる電子線、低速電子線202Aおよび高速電子線202Bは、対物レンズ112に入射するまでは収差の影響を受けず同一の軌道を通る。しかしながら、電子線エネルギーが互いに異なるため、対物レンズ112へ入射した後は、収差を受け、試料113上の異なる位置に到達する。この位置ずれが偏向色収差となる。この偏向色収差を補正するためには、図2(B)に示すように、対物レンズ112の物面201において、対物レンズ112による色収差の影響を相殺するように、エネルギーの異なる電子線を対物レンズ112の色収差で決まる距離Lだけずれた状態で出射させればよい。すなわち、高速電子線202Bと比較して、対物レンズ112の集束作用を強く受ける低速電子線202Aは、対物レンズ112の物面201においては、主たる電子線より内側(同図では、光軸に対して左側)から出射させればよい。一方、対物レンズ112の集束作用を受けにくい高速電子線202Bは、主たる電子線よりも外側(同図では、光軸に対して右側)から出射させればよい。このときの対物レンズ112内における低速電子線202Aと高速電子線202Bとの間の通過位置の距離をD1とする。
対物レンズ112の物面201において、エネルギーの異なる電子線の出射する位置を図2(B)に示すような状態とするには、対物レンズ112より、電子源101に近い上流のレンズ、すなわち収差発生用レンズ105によって、図2(B)に示すような状態を形成すれば偏向色収差を打ち消すことができ、これを数式化したものが上述の(2)式である。
図2(C)は、電子線エネルギーの異なる電子線が、対物レンズ112の物面201において、距離Lだけ離れて到達するように、収差発生用レンズ105内で、主たる電子線とエネルギーの異なる電子線202A、202Bの軌道を制御した場合を示している。これにより、図2(C)においては、対物レンズ112の物面201において、図2(B)と同様に、低速電子線202Aと高速電子線202Bとの間の軌道間の距離はLとなっており、偏向色収差を相殺する条件と一致する。
ところが、図2(C)に示すように、対物レンズ112内での、低速電子線202Aと高速電子線202Bとの間の軌道の距離D2は、図2(B)において説明した距離D1と比較して大きく拡がった状態となる。そのため、高次の色収差が発生し、電子線エネルギーの異なる低速電子線202Aと高速電子線202Bは、試料113上で同じ位置に到達しない。すなわち、試料113上の傾斜角θ2として10度以上の大角を選ぶ場合、(1)式および(2)式を満たすように制御をしても高次色収差が発生するため高分解能な観察ができない。なお、図2(C)では、対物レンズ112の物面201において、ビームチルト用偏向器110(図1)により、電子線102の偏向方向が逆にされている。そのため、対物レンズ112の物面201において、低速電子線202Aおよび高速電子線202Bを含む電子線102の方向が、図2(C)に示すように偏向されている。ビームチルト用偏向器110によって、偏向方向を変えていない場合には、低速電子線202Aおよび高速電子線202Bは、収差発生用レンズ105から下流に向けて、末広がりに射出されることになる。
この課題を解決するために、この実施の形態においては、高次色収差制御用電磁多極子106が設けられている。高次色収差制御用電磁多極子106を使用した電子光学系の構成が、図2(D)に示されている。図2(D)に示すように、高次色収差制御用電磁多極子106は、対物レンズ112と収差発生用レンズ105との間に設けられている。この高次色収差制御用電磁多極子106は、電子線102に含まれている主たる電子線には作用を及ぼさず、主たる電子線とは電子線エネルギーが異なる低速電子線202Aおよび高速電子線202Bに対して、それぞれの軌道を偏向するように制御される。すなわち、対物レンズ112内において、低速電子線202Aと高速電子線202Bの間の軌道の距離が、図2(C)で示した距離D2よりも短い距離D3になるように、光学系制御回路116によって制御される。これにより、偏向色収差、偏向コマ収差の相殺に加え、高次色収差を抑制することが可能となる。
なお、この実施の形態に示した高次色収差制御用電磁多極子106により偏向されたエネルギーの異なる電子線の軌道は、図2(B)に示した偏向色収差補正時の軌道と厳密には一致しないため、収差発生用偏向器で発生させる偏向色収差量が微小に変動するが、実用上の問題はない。
<高次色収差制御用電磁多極子の原理>
次に、高次色収差制御用電磁多極子106が、電子線102に含まれる主たる電子線には作用を及ぼさず、電子線エネルギーの異なる電子線(低速電子線202A、高速電子線202B)の軌道が、対物レンズ112内で拡がるのを制御する原理を説明する。この実施の形態において、高次色収差制御用電磁多極子106は、電磁界重畳双極子である。図3(A)および(B)は、高次色収差制御用電磁多極子106の構成を示す概略図である。
図3(A)は、光軸に対して垂直な方向に投影した高次色収差制御用電磁多極子106の平面形状を示している。また、図3(B)は、光軸に沿って高次色収差制御用電磁多極子106を見たときの断面形状を示している。なお、図3(B)においてX方向は、図3(A)におけるX方向と一致している。
図3(A)および(B)において、301〜304のそれぞれは、電磁極子を示しており、図3に示した高次色収差制御用電磁多極子106では、4個の電磁極子301〜304を有していることになる。4個の電磁極子301〜304のそれぞれには、コイルが巻かれており、各コイルは、対応する電流供給システム305を介して光学系制御回路116に接続されている。電流供給システム305から各コイルに供給される励磁電流により、電磁極子301〜304で発生する磁場が制御される。また、電磁極子301〜304は、電圧供給システム306にも接続されている。電圧供給システム306も、電流供給システム305と同様に、光学系制御回路116により制御され、各電磁極子301〜304によって形成される電場が制御される。すなわち、図3(A)に右上に示されているように、4個の電磁極子301〜304のそれぞれの電流供給システム305と電圧供給システム306とが、光学系制御回路116に接続されている。これにより、それぞれの電磁極子で形成される磁場と電場が、光学系制御回路116によって制御される。
電子線102は、図3に示すように。4個の電磁極子301〜304によって囲われた空間を通過する。高次色収差制御用電磁多極子106内を通過する電子線102に対して作用する力は、電磁極子301〜304によって発生した電場および磁場による力の合成で表すことができる。ここでは、紙面手前から奥側に進行する電子線102に対し、図3(B)に示した+X方向に電場による力、−X方向に磁場による力が働く場合について説明する。
いま、電磁極子301〜304によって発生するX方向の合成電場がE(ベクトル)、Y方向の合成磁場がB(ベクトル)であったとする。ここでは、Y方向の電場及びX方向の磁場は0であるとする。電子線102に作用する、電場による力は、電子線の速度に依存せず、磁場による力は、電子線102の速度に比例することがわかっている。電子線102に対して働く力F(ベクトル)は(3)式で表される。
Figure 2016004640
ここで、eは電荷素量、vは電子線102の速度である。ここで、主たる電子線は高次色収差制御用電磁多極子106による作用を受けないようにするので、主たる電子線の速度vにおいては(3)式の左辺は0となり、合成電場Eと合成磁場Bの関係が、(4)式で決まる。
Figure 2016004640
(4)式から、電子線の速度vがvに対して大きい場合と小さい場合で(3)式の左辺の正負、すなわち受ける力の方向が反転する。図3(B)に示すように、低速電子線202Aの場合は電場による力の方が大きいため+X方向に、高速電子線202Bの場合は磁場による力の方が大きくなり−X方向に偏向されることになる。これは図2(D)において説明した軌道の変化と一致しており、確かに図3で示した構成にて、偏向色収差、偏向コマ収差の相殺に加え、高次色収差を抑制することが可能となる。なお、ここでは、説明を簡単にするために、X方向に作用する双極子場に関して説明を行ったが、電子線102の傾斜の方向に合わせて双極子場の方向を回転する場合においても同様に実施できる。また、双極子場を形成する電磁多極子の数を4としたが、電磁多極子数を4個以上とした場合であっても、電磁界重畳双極子場を形成するように各電磁極子の印加電圧及びコイル電流を制御すれば同様の効果を得ることができる。
<傾斜観察の操作>
次に、図1に示した電子線観察装置100を用いて行う傾斜観察の操作を、図4および図5を参照しながら、説明する。図4は、試料113を傾斜観察する際の操作を示すフローチャート図であり、電子線調整のステップと傾斜観察のステップとを含んでいる。また、図5は、図1に示した入出力部121における表示手段において表示される画像の例を示している。この実施の形態においては、入出力部121は、表示手段と入力手段とが一体化した構成を有している。すなわち、画面に画像の表示を行うとともに、画像の所定部分をタッチすることにより、入力が行われる。
先ず、オペレーターは、ステップS400において、入出力部121を操作して、システム制御部117を動作させ、高分解能な傾斜観察を開始する。システム制御部117を動作させることにより、システム制御部117は、入出力部121の表示手段に、図5に示すような画像を表示する。図5は、電子線調整の条件等を設定する設定画面である。この設定画面には、特に制限されないが、電子線調整ステップにおいて取得した画像も表示されるようにして、利便性の向上が図られている。
図5に示した設定画面が表示されると、オペレーターは、電子光学系の条件設定を、この設定画面において行う。先ず、図5に示した「設定ファイル選択」部500の「参照」ボタンおよび「開く」ボタンを操作して、所望のファイルを選択する。もちろん、直接、ファイル名を入力して、「開く」ボタンを操作し、所望のファイルを選択するようにしてもよい。システム制御部117の記憶部119には予め複数のプリセットデータが格納されており、このプリセットデータから、所望のファイルに対応したプリセットデータが、記憶部119から読み出される。読み出されたプリセットデータは、図5に示した「制御パラメータ」部501に反映される。また、これと同時に、読み出されたプリセットデータに応じた制御信号が、システム制御部117において生成され、走査信号発生装置115、光学系制御回路116等へ供給される。
システム制御部117から供給された制御信号に従って、走査信号発生装置115、光学系制御回路116等は、コンデンサレンズ103、収差発生用偏向器104、収差発生用レンズ105、高次色収差制御用電磁多極子106、ビームセパレータ108、ビームチルト用偏向器110、走査偏向用偏向器111、および対物レンズ112等を制御する(ステップS401)。記憶部119に格納されているプリセットデータは、あらかじめ理論値に合わせて決定してあってもよいし、以前に決定した値であってもよい。
続いて、オペレーターは、電子線102の加速エネルギー、傾斜角、開き角(入射角)といった、試料観察(この例では、傾斜観察)に必要な電子光学条件を、「制御パラメータ」部501に入力する。この入力された光学条件の内容に従った制御信号を、システム制御部117は、走査信号発生装置115、光学系制御回路116等へ供給する。この制御信号によって、コンデンサレンズ103、収差発生用偏向器104、収差発生用レンズ105、高次色収差制御用電磁多極子106、ビームセパレータ108、ビームチルト用偏向器110、走査偏向用偏向器111、および対物レンズ112等は、入力された光学条件の内容に従った電子光学条件が設定される(ステップS402)。
設定された電子光学条件に従って、電子線102は、試料113へ照射され、電子線調整ステップにおける傾斜観察が行われる。この傾斜観察において、検出器109からのデータに基づいた画像が、図5に示した「取得画像」部502に表示される。「取得画像」部502に表示されている画像を確認しながら、オペレーターは、「制御パラメータ」部501の入力値を変更したり、入出力装置121に備えられている調整用のツマミ(図示せず)による制御等で非点補正器やアライナ、収差発生用レンズ等の設定値を調整することにより、光軸調整を行う(ステップS403)。
次に、オペレーターは、「取得画像」部502に表示されている画像を確認しながら、高次色収差が抑制された状態になるように「制御パラメータ」部501内の高次色収差制御用パラメータを調整する(ステップS404)。なお、図5において、「制御パラメータ」部501内の高次色収差制御用パラメータのうち、Iで始まるパラメータは、高次色収差制御用電磁多極子のコイルに流す励磁電流、Vで始まるパラメータは、高次色収差制御用電磁多極子に印加する電圧値に対応している。すなわち、Iで始まるパラメータに、設定する値によって、励磁電流が定まり、Vで始まるパラメータに、設定する値によって、電圧値が定まる。システム制御部117は、ステップS404で調整(設定)した各パラメータが許容範囲に入っているかどうかを判定し(ステップS405)、許容範囲に入るまでステップS404を繰り返し実行する。例えば、システム制御部117は、電子線観察装置100の許容範囲を超える調整が、各パラメータによって指示されていないかを判定し、電子線観察装置100の許容範囲に入るように、オペレーターを導く。
その後、オペレーターは必要に応じて「取得画像」部502に表示されている画像(取得画像)の鮮鋭度を測定するために、図5に示した「鮮鋭度測定」部503の「実行」ボタンを押下する(ステップS406)。これに応答して、システム制御部117内の演算部120は、取得した画像を基にして、その画像の鮮鋭度を導出する。システム制御部117は、測定された鮮鋭度が許容範囲に入るかを判定し、「鮮鋭度測定」部503上に、測定された鮮鋭度および判定の結果を表示する(ステップS407)。鮮鋭度が、許容範囲に入っていない場合、オペレーターは、鮮鋭度が許容範囲に入るまで、ステップS403〜S407の操作を繰り返し実施する。ステップS407において鮮鋭度が許容範囲に入ったことが確認されると、オペレーターは、必要に応じて、図5に示した「条件保存」部504(図5では、条件を保持しますか?と記載)にて、以上のステップで確定された電子光学条件の保存を実施する(ステップS408)。すなわち、「Save」ボタンを押し下げることにより、条件を記憶部119へ保持する。ステップS401〜S408までの電子線調整を行った後、この調整で取得した条件を基にして、オペレーターは、試料に対して傾斜観察を、ステップS409において行い、傾斜観察を終了する(ステップS410)。
なお、図4においては、電子線調整は全てオペレーターが手動で実施し、判定もオペレーターが実施する例を示している。しかしながら、画像から測定された鮮鋭度を基に制御系にフィードバックする等の方法で、自動的に実施、判定するようにしてもよい。また、電子線調整においては、試料113として特別なものは用意しない前提で説明したが、調整用の試料113として標準パターンを用意しておいてもよい。また、図5に示した設定画面は、一例であり、この例に限定されることなく、色々な変形を取りうることは言うまでもない。
以上述べたように、実施の形態1に係わる電子線観察装置100によれば、ビームチルト方式で傾斜観察を行う際に問題となる偏向色収差、偏向コマ収差を相殺し、かつ高次色収差を抑制することが可能となるため、高分解能な傾斜観察を実現することが可能となる。
この実施の形態において、収差発生用偏向器104および収差発生用レンズ105のそれぞれは、収差発生用素子と見なすことができ、ビームチルド用偏向器110は、傾斜用偏向器と見なすことができ、高次色収差制御用電磁多極子106は、第1電磁界重畳多極子と見なすことができる。また、システム制御部116は、収差発生用素子を制御する偏向収差制御部と、第1電磁界重畳多極子を制御する電磁界重畳多極子制御部とを具備していると見なすことができる。また、第1電磁界重畳多極子である高次色収差制御用電磁多極子106が形成する電場および磁場は、第1電磁界重畳場と見なすことができる。
(実施の形態2)
実施の形態1においては、高次色収差制御用電磁多極子106が、電磁界重畳双極子である場合を述べた。実施の形態2は、高次色収差制御用電磁多極子106として、電磁界重畳四極子を用いた例である。電子線観察装置100の構成、偏向色収差および偏向コマ収差の相殺は、実施の形態1と同様である。また、傾斜観察を実施する操作に関しても実施の形態1と同様である。そのため、ここでは、これらに関しての説明は省略し、実施の形態1と異なる高次色収差制御用電磁多極子106についてのみ説明する。
図6(A)および(B)は、実施の形態2に係わる高次色収差制御用電磁多極子106の構成を示す概略図である。先に説明した図3(A)および(B)と同様に、光軸に対して垂直な方向に投影したときの、高次色収差制御用電磁多極子106の平面形状が、図6(A)に示されており、光軸に沿ってX方向の断面を取った断面形状が、図6(B)に示されている。
実施の形態2に係わる高次色収差制御用電磁多極子106は、8個の電磁極子601〜608を具備している。電磁極子601〜608のそれぞれには、コイルが巻かれており、各コイルは、対応する電流供給システム305を介して光学系制御回路116に接続されている。光学系制御回路116が、それぞれの電流供給システム305を制御することにより、各電流供給システム305から、対応するコイルに供給される励磁電流が制御され、電磁極子601〜608で発生する磁場が制御される。また、電磁極子601〜608のそれぞれは、対応する電圧供給システム306にも接続されている。それぞれの電圧供給システム306も、電流供給システム305と同様に、光学系制御回路116によって制御される。これにより、各電磁極子601〜608によって発生される電場も、光学系制御回路116によって制御される。なお、図6(A)の右上には、電流供給システム305と、電圧供給システム306と、光学系制御回路116との接続関係が示されている。
高次色収差制御用電磁多極子106内を通過する電子線102に対して作用する力は、電磁極子601〜608によって発生した電場および磁場による力の合成で表すことができる。この実施の形態2においても、図6(A)において紙面手前から奥側に進行する電子線102に対し、図6に示すとおり、電場による力はX方向に収束、Y方向には発散する力が働く場合について説明する。このような力が作用する条件は、電磁多極子601、605に正電圧、電磁多極子603、607に負電圧を供給すれば実現できる。また、同図では示していないが、磁場による力は、電場による力と相殺するようにX方向に発散、Y方向に収束する力が働くように制御する。この場合、電場を発生させる電磁多極子と45度位相がずれた電磁多極子602、604、606、608のコイルに電流を流せば、電場による力を相殺する磁場を発生することが可能である。
実施の形態1で述べたように、電子線102に作用する電場による力は、電子線102の速度に依存しない。一方、磁場による力は電子線102の速度vに比例する。すなわち、主たる電子線の速度vにおいて電場による力と磁場による力が相殺され(打ち消され)、v>vにおいては磁場による力が強く、v<vにおいては電場による力が強く働くことになり、離軸した状態で力のベクトルの向きを実施の形態1で示した電磁界重畳双極子の場合と同一となるように揃えれば同様の効果を得ることができる。このことを踏まえ、図6(B)に示すように、あらかじめ光軸調整を行い、電子線102に対して作用する電場による力が、+X方向に働くようにし、電子線102に対して作用する磁場による力が、−X方向に働くようにして、離軸させれば、実施の形態1における図2(D)で示したような軌道の変化を得ることが可能となる。すなわち、低速電子線202Aは、図6(B)において右側に離軸し、高速電子線202Bは、図6(B)において左側に離軸するように、それぞれの軌道が変化する。
実施の形態1において述べたのと同様に、実施の形態2においても、偏向色収差および偏向コマ収差は相殺され、さらに、図6の構成により、高次色収差を抑制することが可能となる。なお、この実施の形態においては、説明を簡単のために、X方向に収束作用を持つ四極子場に関して説明を行ったが、電子線の傾斜の方向に合わせて四極子場の方向を回転する場合においても同様に実施できる。また、四極子場を形成する電磁多極子の数を8個としたが、電磁多極子数を8個以上、例えば12個とした場合であっても、電磁界重畳四極子場を形成するように各電磁極子の印加電圧及びコイルへの励磁電流を制御すれば同様の効果を得ることができる。
この実施の形態においても、高次色収差制御用電磁多極子106は、第1電磁界重畳多極子と見なすことができ、第1電磁界重畳多極子により形成される第1電磁界重畳場は、四極子場と見なすことができる。実施の形態1も含めて考えると、第1電磁界重畳多極子により形成される第1電磁界重畳場は、双極子場あるいは四極子場と見なすことができる。
(実施の形態3)
実施の形態1および2においては、収差発生用偏向器が1段(収差発生用偏向器104)の場合を例として示した。しかしながら、収差発生用偏向器は、光軸上に複数段設けるようにしてもよい。実施の形態3では、複数段の例として2段の収差発生用偏向器を設けた例を説明する。収差発生用偏向器が1段のみの場合、収差発生用レンズ105を通過した後に電子源像123を光軸(一点鎖線)上に形成するためには、電子源像122の位置を収差発生用偏向器の位置から動かすことができず、光学条件の自由度が制限されるが、複数段の収差発生用偏向器を設けることにより、光学条件の自由度を高めることが可能となる。すなわち、実施の形態3においては、収差発生用偏向器を2段で構成し、仮想偏向支点を制御可能としている。
図7は、実施の形態3に係る電子線観察装置100の構成を示す構成図である。1段の収差発生用偏向器104の代わりに、2段の収差発生用偏向器701、702を用いる点を除いて、電子線観察装置の構成および傾斜観察の操作は、上述した実施の形態1〜2と同様である。そのため、ここでは、実施の形態1および2と異なる収差発生用偏向器701、702についてのみ主に説明する。
収差発生用偏向器701および702のそれぞれは、電子線102を、互いに同一の方向あるいは互いに逆向きの方向に、偏向させ、偏向信号を変えて、偏向角の比を変化させるように制御する。これにより、仮想偏向支点を変化させることができる。
収差発生用偏向器701、702により発生させる偏向角を、それぞれS及びSとなるように偏向する場合、収差発生用偏向器701および702の2つの偏向器によって発生する総合の偏向の偏向支点は、互いに同一の方向へ偏向する場合には、収差発生用偏向器701と702の間の距離を比率S:Sで内分した位置となる。一方、互いに逆向きの偏向の場合には、SあるいはSが負となり、収差発生用偏向器701より上流(電子源101側)、あるいは収差発生用偏向器702より下流(対物レンズ112側)を、仮想偏向支点として選択することができる。このようにして、収差発生用偏向器701、702の偏向の比率を制御することにより、任意の仮想偏向支点を選択することが可能となる。なお、この実施の形態3においては、収差発生用偏向器の段数を701、702の2段としたが、2段以上の任意の複数段とすることで同様の効果を得ることが可能である。
(実施の形態4)
実施の形態1から3においては、ビームチルト用偏向器が1段(ビームチルト用偏向器110)の場合を示した。この実施の形態3においては、高次色収差制御用電磁多極子106と対物レンズ112との間に、複数段のビームチルト用偏向器が設けられる。実施の形態3で述べたのと同様に、ビームチルト用偏向器が1段のみの場合、対物レンズ112を通過した後、試料113上にてクロスオーバーを光軸上に形成するためには、電子源像123、すなわち対物レンズ112の物面の位置を、ビームチルト用偏向器の位置から動かすことができず、光学条件の自由度が制限される。この実施の形態4においては、ビームチルト用偏向器を2段で構成し、仮想偏向支点を制御可能としている。
図8は、実施の形態4に係る電子線観察装置100の構成を示す構成図である。1段のビームチルト用偏向器110の代わりに、2段のビームチルト用偏向器801、802を用いる点を除いて、電子線観察装の置構成および傾斜観察の操作は、上述した実施の形態1および2と同様である。そのため、ここでは、さきに述べた実施の形態1および2と異なるルビームチルト用偏向器801、802についてのみ主に説明する。
ビームチルト用偏向器801および802は、電子線102を互いに同一の方向あるいは互いに逆向きの方向に偏向し、偏向信号を変えて、偏向角の比を変化させるように制御する。これにより、仮想偏向支点を変化させることができる。ビームチルト用偏向器801および802のそれぞれにより発生させる偏向角を、それぞれS及びSとなるように偏向する場合、ビームチルト用偏向器801および802の2個の偏向器によって発生する総合の偏向の偏向支点は、同一方向に偏向する場合、ビームチルト用偏向器801および802の間の距離を比率S:Sで内分した位置となる。一方、偏向の方向を逆向きとした場合には、偏向角SあるいはSが負となり、ビームチルト用偏向器801より上流(電子源101側)、あるいはビームチルト用偏向器802より下流(対物レンズ112側)を、仮想偏向支点として選択できることになる。
このようにして、ビームチルト用偏向器801および802の偏向の比率の制御により、任意の仮想偏向支点を選択することが可能となる。なお、本実施例においては、ビームチルト用偏向器の段数を801および802の2段としたが、2段以上の任意の複数段とすることで同様の効果を得ることが可能である。
(実施の形態5)
実施の形態1〜4においては、高次色収差制御用電磁多極子が1段(高次色収差制御用電磁多極子106)の場合を示した。高次色収差制御用電磁多極子が1段の場合には、電子光学系の構成およびその制御の簡略化を図ることが可能である。しかしながら、実施の形態1で説明したように、高次色収差制御用電磁多極子106により偏向されたエネルギーの異なる電子線の軌道は、図2(B)に示した偏向色収差補正時の軌道と厳密には一致しないため、収差発生用偏向器で発生させる偏向色収差量が微小に変動する。この実施の形態5においては、この問題を解決するために、高次色収差制御用電磁多極子が、複数段設けられる。ここでは、2段の高次色収差制御用電磁多極子901、902が、光軸に沿って設けられた例を説明する。
図9は、実施の形態5に係る電子線観察装置100の構成を示す構成図である。1段の高次色収差制御用電磁多極子106の代わりに、2段の高次色収差制御用電磁多極子901、902(第1電磁界重畳多極子、第2電磁界重畳多極子)を用いる点を除いて、電子線観察装の置構成および傾斜観察の操作は、上述した実施の形態1〜4と同様である。そのため、ここでは、さきの述べた実施の形態1〜4と異なる高次色収差制御用電磁多極子901、902についてのみ主に説明する。また、図10は、この実施の形態に係わるビームチルトの光学系の構成を示す概略図である。同図には、図2(A)〜(D)と同様に、説明に関連している部分のみが示されている。すなわち、電子光学系を構成する要素のうち、収差発生用レンズ105、対物レンズ112、および高次色収差制御用電磁多極子901および902以外の要素は、省略している。図2(D)には、1段の高次色収差制御用電磁多極子106を用いた場合のビームチルトの光学系が簡略的に示されていた。これに対応して、図10には、2段の高次色収差制御用電磁多極子901、902を用いた場合のビームチルトの光学系が簡略的に示されている。
次に、図2、図9および図10を用いて、実施の形態1〜4との相違点を説明する。実施の形態1において、既に説明したとおり、図2(D)に示したエネルギーの異なる電子線の軌道は、図2(B)に示した偏向色収差補正時の軌道と厳密には一致しない。これは、高次色収差制御用電磁多極子106による軌道の変化の支点が、対物レンズ112の物面201に一致しないからである。
高次色収差制御用電磁多極子を、2段の高次色収差制御用電磁多極子901、902とし、この高次色収差制御用電磁多極子901、902のそれぞれによって形成される電磁界重畳場が作用する方向、すなわち、偏向の方向を互いに同一の方向あるいは互いに逆向きの方向にし、それぞれの偏向の強度を変化させ、強度比を変えるように制御する。このとき、実施の形態1〜4で示した例と同様に、高次色収差制御用電磁多極子901および902のそれぞれは、主たる電子線の軌道が変化しないよう、電場および磁場による力が相殺するように制御する。高次色収差制御用電磁多極子を901および902の2段とすることで、2つのパラメータを同時に制御できるようになり、対物レンズ112内での、エネルギーの異なる電子線202A、202Bの位置の差D4を、図2(B)に示した位置の差D1と一致させるように制御可能となる。更に電子線202Aおよび202Bの軌道を物面201に外挿(細い破線)したとき、物面201における外挿の位置を、高次色収差制御用電磁多極子を使用しないときの位置に一致させるように制御可能となる。
以上により、高次色収差制御用電磁多極子を2段としたことにより、収差発生用偏向器で発生させる偏向色収差量を変動させずに高次色収差を抑制することが可能となる。なお、この実施の形態においては、高次色収差制御用電磁多極子の段数を901、902の2段としたが、2段以上の任意の複数段とすることで同様の効果を得ることが可能である。
また、実施の形態1〜5においては、検出用の反射板107と収差発生用レンズ105との間に配置された高次色収差制御用電磁多極子によって、高次色収差の抑制が図られている。そのため、検出系装置が多く配置されているクロスオーバー位置に、高次色収差を抑制するためのレンズを配置しなくて済むため、クロスオーバー位置における自由度を高めることが可能である。
以上本発明者によってなされた発明を、前記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。勿論、複数の実施の形態を相互に組み合わせてもよい。
100 電子線観察装置、101 電子源、102 電子線、103 コンデンサレンズ、104 収差発生用偏向器、105 収差発生用レンズ、106 高次色収差制御用電磁多極子、107 反射板、108 ビームセパレータ、109 検出器、110 ビームチルト用偏向器、111 走査偏向用偏向器、112 対物レンズ、113 試料、114 試料ステージ、115 走査信号発生装置、116 光学系制御回路、117 システム制御部、118 ステージ制御装置、119 記憶部、120 演算部、121 入出力部、122 電子源像、123 電子源像、124 二次電子、201 対物レンズ物面、202A 低速電子線、202B 高速電子線、301 電磁極子、302 電磁極子、303 電磁極子、304 電磁極子、305 電流供給システム、306 電圧供給システム、500 設定ファイル選択、501 制御パラメータ部、502 取得画像部、503 鮮鋭度測定部、504 条件保存部、601 電磁極子、602 電磁極子、603 電磁極子、604 電磁極子、605 電磁極子、606 電磁極子、607 電磁極子、608 電磁極子、701 収差発生用偏向器、702 収差発生用偏向器、801 ビームチルト用偏向器、802 ビームチルト用偏向器

Claims (9)

  1. 荷電粒子源により発生した荷電粒子線を対物レンズにより、試料上に集束させる、荷電粒子線応用装置であって、
    前記荷電粒子線応用装置は、
    前記荷電粒子源と前記対物レンズとの間に設けられた収差発生用素子と、
    前記収差発生用素子と前記対物レンズとの間に設けられた傾斜用偏向器と、
    前記収差発生用素子を制御する偏向収差制御部と、
    前記収差発生用素子と前記対物レンズとの間に設けられた第1電磁界重畳多極子と、
    前記第1電磁界重畳多極子を制御する電磁界重畳多極子制御部と、
    を具備する、荷電粒子線応用装置。
  2. 請求項1に記載の荷電粒子線応用装置において、
    前記偏向収差制御部は、前記荷電粒子線が前記対物レンズに入射する際の、前記対物レンズにおける位置によって定まる偏向色収差あるいは偏向コマ収差を打ち消すように、前記収差発生用素子を制御する、荷電粒子線応用装置。
  3. 請求項1あるいは2に記載の荷電粒子線応用装置において、
    前記電磁界重畳多極子制御部は、前記荷電粒子線において主たる荷電粒子線の軌道の変化を打ち消すような第1電磁界重畳場を、前記第1電磁界重畳多極子が形成するように、前記第1電磁界重畳多極子を制御する、荷電粒子線応用装置。
  4. 請求項3に記載の荷電粒子線応用装置において、
    前記第1電磁界重畳場は、双極子場あるいは四極子場である、荷電粒子線応用装置。
  5. 請求項1あるいは2に記載の荷電粒子線応用装置において、
    前記収差発生用素子は、前記荷電粒子線の光軸に設けられた、少なくとも1段のレンズと、少なくとも1段の偏向器とを、具備する、荷電粒子線応用装置。
  6. 請求項1あるいは2に記載の荷電粒子線応用装置において、
    前記傾斜用偏向器は、それぞれ、前記荷電粒子線の光軸に設けられた、少なくとも2段の偏向器を、具備する、荷電粒子線応用装置。
  7. 請求項1あるいは2に記載の荷電粒子線応用装置において、
    前記荷電粒子線応用装置は、前記収差発生用素子と前記対物レンズとの間に設けられ、前記電磁界重畳多極子制御部によって制御される第2電磁界重畳多極子を、具備する、荷電粒子線応用装置。
  8. 請求項7に記載の荷電粒子線応用装置において、
    前記電磁界重畳多極子制御部は、前記荷電粒子線において主たる荷電粒子線の軌道の変化を打ち消すような第1電磁界重畳場と第2電磁界重畳場とを、前記第1電磁界重畳多極子と前記第2電磁界重畳多極子とが形成するように、前記第1電磁界重畳多極子および前記第2電磁界重畳多極子を制御し、
    前記主たる荷電粒子線のエネルギーと異なるエネルギーを有する荷電粒子線に対して、前記第1電磁界重畳場が作用する方向と、前記第2電磁界重畳場が作用する方向とが、同一あるいは逆向きになるように、前記電磁界重畳多極子制御部は、前記第1電磁界重畳多極子および前記第2電磁界重畳多極子を制御する、荷電粒子線応用装置。
  9. 請求項8に記載の荷電粒子線応用装置において、
    前記第1電磁界重畳場および第2電磁界重畳場のそれぞれは、双極子場あるいは四極子場である、荷電粒子線応用装置。
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